2020-004063
用手的に容易に破り開くことができる容器
- 審判番号
- 2020-004063
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-090026外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年03月26日
- 審決日
- 2020年10月20日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】久米 明倫
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年4月28日の出願であって、平成30年9月19日付けで拒絶理由が通知され、平成30年11月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年4月19日付けで最後の拒絶理由が通知され、令和元年7月11日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年12月19日付けで令和元年7月11日に提出の手続補正書による補正について補正の却下の決定され、同日に拒絶査定がされた。これに対し、令和2年3月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和2年3月26日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年3月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、平成30年11月27の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の
「切妻屋根型の紙製容器であって、飲料物を飲用したあとで容器をリサイクルに提出する際に容器を展開するにあたり、まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成したのに続いて、従来からの展開方式である、先に作成した正四角筒の、隣り合う二枚の側面の境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「頂線」と記述する)である4つの「頂線」のうちの1つの「頂線」を切り開いた後にそれにつながる4つの側面下部の胴部と底部との境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「底線」と記述する)のうちの3つの「底線」を切り開いて平紙に展開する「通常方式」の展開法に替えて、4つの「頂線」のうちの2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、残りの2つの「頂線」と4つ「底線」を合わせた6つの紙製包材の折り曲げ部分のうちの2つをも追加して破り開いて平紙に展開する「新方式」の展開法に変更することで、用手的に容易に一枚の平紙に展開することができるようにする目的で、組み立て材料である板紙基材を含む複数の層からなる積層構造物である包材のうちの前記2つの「頂線」を含んだ適切な紙製包材の折り曲げ部位の、板紙基材の層、あるいは板紙基材を含む複数の層にあらかじめミシン目や切り目を入れたり、板紙基材の層、あるいは板紙基材層を含む複数の層の一部を切り欠いたり、などをして脆弱部を作成しておいてその脆弱部で包材を用手的に容易に破ることができるように加工しておくことにより、従来鋏を使用して容器を切り開いてリサイクルに提出していたものを、用手的に容易に破り開いてリサイクルに提出することができるようにしたことを特徴とする、切妻屋根型の紙製容器。」を
「切妻屋根型の紙製容器であって、飲料物を飲用したあとで容器をリサイクルに提出する際に容器を展開するにあたり、まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成したのに続いて、従来からの展開方式である、先に作成した正四角筒の、隣り合う二枚の側面の境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「頂線」と記述する)である、4つの「頂線」のうちの1つの「頂線」を切り開いた後にそれにつながる4つの側面下部の胴部と底部との境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「底線」と記述する)のうちの3つの「底線」を切り開いて一枚の平紙に展開する「通常方式」の展開法に替えて、4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、あるいは4つの「頂線」のうちの対角線上の(ひとつおきの)2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、以上の二種類の「新方式」の展開法のいずれかに変更することで、用手的に容易に一枚の平紙に展開することができるようにする目的で、組み立て材料である板紙基材層を含む複数の層からなる積層構造物である包材のうちの、「新方式」の展開法で展開するために手で破り開く必要がある、前記2つの適切な「頂線」と2つの適切な「底線」との部位の、板紙基材の層、あるいは板紙基材を含む複数の層にあらかじめミシン目や切り目を入れたり、板紙基材の層、あるいは板紙基材層を含む複数の層の一部を切り欠いたり、などをして脆弱部を作成しておいてその脆弱部で包材を用手的に容易に破ることができるように加工しておくことにより、従来鋏を使用して容器を切り開いてリサイクルに提出していたものを、用手的に容易に破り開いてリサイクルに提出することができるようにしたことを特徴とする、切妻屋根型の紙製容器。」とする補正を含むものである。
2 特許法第17条の2第5項に適合するかについて
上記補正は、補正前の「「新方式」の展開法」について、「4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、あるいは4つの「頂線」のうちの対角線上の(ひとつおきの)2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、以上の二種類の「新方式」の展開法」に限定するものであって、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないことは明らかである。
よって、本件補正における請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
2 独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。
(1)引用例1
平成31年4月19日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2005-29212号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】パッケージ側面に、はさみなどの道具を用いずに、破ることによって解体できる切り取り線を設けたことを特徴とする牛乳パック。」
(イ)「【技術分野】【0001】この発明は、牛乳等の飲料を充填する容器の形状に関する。」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】【0003】しかしながら、牛乳等の飲料が充填されている容器は、リサイクルの視点から、使用後に洗浄・解体し、分別廃棄することが要求されている。そこで、この発明は、分別廃棄を容易にするために、使用後にはさみなどの道具を用いずに解体できる容器を提供することを課題とする。」
(エ)「【0006】この発明の一実施形態を、図1に示す。牛乳パックの本体1は防水加工をされた紙製品であり、この本体の底面に隣接する3つの側面で連続して底面に平行に、ミシン目をもちいた切り取り線2が設けられている。このミシン目に沿って容器を破ることによって、牛乳パックははさみなどの道具を用いずに底面を展開し平坦に折り畳んだ状態(図2)にすることが可能になる。また、底面に直行した側面に、ミシン目を用いた切り取り線3が設けられている。このミシン目に沿って容器を破ることによって、牛乳パックははさみなどの道具を用いずに平面に展開した状態(図3)にすることが可能になる。切り取り線の実施形態を、図4、図5に示す。切り取り線は、二重のミシン目の構造(図4)や、所定の間隔をおいて2本のほぼ平行な切り取り線(図5)を用いることによって、より確実に破ることが可能になる。防水性と強度を保った、切り取り線の実施形態を、図6、図7に示す。切り取り線は、切り取り線の内側に合成樹脂被膜や金属薄膜6を設けること(図6)や、防水加工をされた紙を貫通させない切り取り線7を用いること(図7)により、水密性と強度を維持することが可能になる。」
(オ)「【図1】」
(2)引用例1に記載された発明
上記(1)の摘記事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「パッケージ側面に、はさみなどの道具を用いずに、破ることによって解体できる切り取り線を設けた防水加工をされた紙製品である牛乳パックであって、切り取り線は、切り取り線の内側に合成樹脂被膜や金属薄膜を設けることや、防水加工をされた紙を貫通させない切り取り線を用い、リサイクルの視点から、使用後に洗浄・解体し、分別廃棄する牛乳パック。」
(3)引用例2
平成31年4月19日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である登録実用新案第3128267号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【考案が解決しようとする課題】【0003】解決しようとする問題点は、牛乳パックなどの紙パックを展開する際、そのパッケージに記載してある展開図通りにはさみで1辺1辺を切って展開していたが、鋏を使わずに、簡単に底面までを切り開く点である。」
(イ)「【0004】本考案は、リサイクルの為の展開例として牛乳パックに記載してある展開図に囚われずに、本体の両端にカッターの刃を設置し、それを紙パックの口の2辺に合わせて、側面から底面までを一気に切り開く。刃は、安全面を考慮して、グリップ部のプッシュボタンを押すと突出し、離すとグリップの中に戻り収納されることを特徴とする。」
(ウ)「【0009】【図1】 牛乳パック展開カッターの実施方法を示した説明図である。【図2】 平面図である。【図3】 断面図である。【図4】 グリップ部である。【図5】 牛乳パックの展開図である。」
(エ)「【図1】」
(オ)「【図5】」
(カ)上記(イ)の記載を参酌すると、【図1】及び【図5】から、下記の点が看取できる。
・牛乳パックが切妻屋根型である点
・まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成し、カッターにより正四角筒の4つの角のうちの隣り合う2つの角を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの角につながる2つの底面の角を破り開いて一枚の平紙に展開する点
(4)引用例2記載事項
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上記(3)の摘記事項を総合すると、引用例2には、次の事項(以下「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「切妻屋根型の紙パックである牛乳パックにおいて、リサイクルの為のカッターによる展開例として、まずトップシール部のシールを全部はがしてできる4つの側面と1つの底面とから構成される正四角筒を作成し、正四角筒の4つの角のうちの隣り合う2つの角を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの角につながる2つの底面の角を破り開いて一枚の平紙に展開する点。」
(5)本願補正発明と引用発明の対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「紙製品である牛乳パック」は、その機能及び構造から、本願補正発明の「紙製容器」に相当し、同様に、「切り取り線」は「脆弱部」に相当する。
(イ)引用発明の「リサイクルの視点から、使用後に洗浄・解体し、分別廃棄する」ことは、牛乳を飲用した後でリサイクルすることが明らかであるから、本願補正発明の「飲料物を飲用したあとで容器をリサイクルに提出する際に容器を展開する」ことに相当する。
(ウ)引用発明は、手で解体し、平板にするものであるから、引用発明の「リサイクルの視点から、使用後に洗浄・解体し、分別廃棄する」ことと、本願補正発明の「用手的に容易に一枚の平紙に展開することができるようにする」こととは、「用手的に容易に平紙に展開することができるようにする」ことの限りで一致する。
(エ)引用発明の「切り取り線は、切り取り線の内側に合成樹脂被膜や金属薄膜を設けることや、防水加工をされた紙を貫通させない切り取り線を用い、」「はさみなどの道具を用いずに、破ることによって解体できる切り取り線を設け」る態様は、牛乳パックが、紙の層の他に合成樹脂被膜や金属薄膜を設けるか、又は防水加工層が設けられていることであるから、引用発明の「組み立て材料である板紙基材層を含む複数の層からなる積層構造物である包材」を有する態様に相当する。
また、引用発明の「切り取り線」は、【図1】を参照すると、ミシン目であることは明らかである。そして、引用発明の当該態様は、手で解体する目的で、解体するために手で破り開く必要がある部位の、紙の層、合成樹脂被膜及び金属薄膜の紙の層、又は紙の層及び防水加工層の紙の層にミシン目を入れて切り取り線を作成していることであるから、引用発明の当該態様と、本願補正発明の「用手的に容易に一枚の平紙に展開することができるようにする目的で、組み立て材料である板紙基材層を含む複数の層からなる積層構造物である包材のうちの、「新方式」の展開法で展開するために手で破り開く必要がある、前記2つの適切な「頂線」と2つの適切な「底線」との部位の、板紙基材の層、あるいは板紙基材を含む複数の層にあらかじめミシン目や切り目を入れたり、板紙基材の層、あるいは板紙基材層を含む複数の層の一部を切り欠いたり、などをして脆弱部を作成」する態様とは、「用手的に容易に平紙に展開することができるようにする目的で、組み立て材料である板紙基材層を含む複数の層からなる積層構造物である包材のうちの、展開するために手で破り開く必要がある部位の、板紙基材の層、あるいは板紙基材を含む複数の層にあらかじめミシン目や切り目を入れたり、板紙基材の層、あるいは板紙基材層を含む複数の層の一部を切り欠いたり、などをして脆弱部を作成」する態様の限りで一致する。
(オ)引用発明の「はさみなどの道具を用いずに、破ることによって解体できる切り取り線を設け」「リサイクルの視点から、使用後に洗浄・解体」することは、切り取り線で牛乳パックを手で破るようになっており、はさみを使用して牛乳パックを解体してリサイクルに提出していたものを、手で解体してリサイクルに提出することであるから、本願補正発明の「その脆弱部で包材を用手的に容易に破ることができるように加工しておくことにより、従来鋏を使用して容器を切り開いてリサイクルに提出していたものを、用手的に容易に破り開いてリサイクルに提出することができるようにした」ことに相当する。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「紙製容器であって、飲料物を飲用したあとで容器をリサイクルに提出する際に容器を展開するにあたり、用手的に容易に平紙に展開することができるようにする目的で、組み立て材料である板紙基材層を含む複数の層からなる積層構造物である包材のうちの、展開するために手で破り開く必要がある部位の、板紙基材の層、あるいは板紙基材を含む複数の層にあらかじめミシン目や切り目を入れたり、板紙基材の層、あるいは板紙基材層を含む複数の層の一部を切り欠いたり、などをして脆弱部を作成しておいてその脆弱部で包材を用手的に容易に破ることができるように加工しておくことにより、従来鋏を使用して容器を切り開いてリサイクルに提出していたものを、用手的に容易に破り開いてリサイクルに提出することができるようにした、切妻屋根型の紙製容器。」 の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
本願補正発明は、「切妻屋根型」であって、「まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成したのに続いて、従来からの展開方式である、先に作成した正四角筒の、隣り合う二枚の側面の境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「頂線」と記述する)である、
4つの「頂線」のうちの1つの「頂線」を切り開いた後にそれにつながる4つの側面下部の胴部と底部との境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「底線」と記述する)のうちの3つの「底線」を切り開いて一枚の平紙に展開する「通常方式」の展開法に替えて、
4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、
あるいは4つの「頂線」のうちの対角線上の(ひとつおきの)2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、
以上の二種類の「新方式」の展開法のいずれかに変更」し、用手的に容易に「一枚の」平紙に展開することができるようにする目的で、「「新方式」の展開法で展開するため」「前記2つの適切な「頂線」と2つの適切な「底線」との部位」に、脆弱部を作成したのに対して、引用発明は、切り取り線をパッケージ側面に設けているが、具体的な位置が特定されていない点。
イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点について>
本願補正発明と引用例2記載事項とを対比する。
(ア)引用例2記載事項の「紙パックである牛乳パック」は、本願補正発明の「紙製容器」に相当し、同様に「4つの側面」は「トップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面」に相当する。
(イ)引用例2記載事項の「まずトップシール部のシールを全部はがしてできる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成し」たことは、本願補正発明の「まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底面とから構成される正四角筒を作成した」に相当する。
(ウ)引用例2記載事項の「正四角筒の4つの角のうちの隣り合う2つの角を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの角につながる2つの底面の角を破り開いて一枚の平紙に展開する」ことは、本願補正発明の「4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の」「新方式の展開法」「に変更」することに相当する。
(エ)引用例2記載の「まずトップシール部のシールを全部はがしてできる4つの側面と1つの底面とから構成される正四角筒を作成し、正四角筒の4つの角のうちの隣り合う2つの角を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの角につながる2つの底面の角を破り開いて一枚の平紙に展開する」ことは、本願補正発明の「容易に一枚の平紙に展開することができるようにする目的で、新方式の展開法で展開する」ことに相当する。
したがって、引用例2記載事項を本願補正発明の文言に置き換えると、引用例2記載事項は、
「切妻屋根型の紙製容器において、リサイクルの為のカッターによる展開例として、まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底面とから構成される正四角筒を作成したのに続いて、4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の新方式の展開法に変更し、容易に一枚の平紙に展開することができるようにする目的で、新方式の展開法で展開する点。」
であるといえる。
ここで、本願補正発明の
「従来からの展開方式である、先に作成した正四角筒の、隣り合う二枚の側面の境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「頂線」と記述する)である、4つの「頂線」のうちの1つの「頂線」を切り開いた後にそれにつながる4つの側面下部の胴部と底部との境界となる紙製包材の折り曲げ部分(今回これを「底線」と記述する)のうちの3つの「底線」を切り開いて一枚の平紙に展開する「通常方式」の展開法に替えて、」
という記載は、従来の紙製容器の展開法を説明するものであって、本願補正発明の紙製容器の構造を特定するものでない。
そうすると、上記相違点は、実質的に、
「本願補正発明は、「切妻屋根型」であって、「まずトップシール部のシールを全部はがしてできるトップシール部と頂部と胴部とからなる4つの側面と1つの底部とから構成される正四角筒を作成したのに続いて、4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、あるいは4つの「頂線」のうちの対角線上の(ひとつおきの)2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、以上の二種類の「新方式」の展開法のいずれかに変更」し、用手的に容易に「一枚の」平紙に展開することができるようにする目的で、「「新方式」の展開法で展開するため」「前記2つの適切な「頂線」と2つの適切な「底線」との部位」に、脆弱部を作成したのに対して、引用発明では、切り取り線をパッケージ側面に設けているが、具体的な位置が特定されていない点。」であるといえる。
そして、引用発明において、引用例2記載事項の展開例を採用した場合、切り取り線は正四角筒の4つの角のうちの隣り合う2つの角と当該2つの角につながる2つの底面の角に設けることとなるから、引用発明において、牛乳パックをリサイクルのために展開するにあたって、具体的に引用例2記載事項の展開例を採用することで、上記相違点に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
<本願補正発明の効果について>
そして、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び引用例2記載事項から、予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)小括
ゆえに、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年3月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年11月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 令和2年3月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)
2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び引用発明等については、上記「第2 令和2年3月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(1)引用例」~「(4)引用例2記載事項」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、補正前の「「新方式」の展開法」について、本願補正発明の「4つの「頂線」のうちの隣り合う2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、あるいは4つの「頂線」のうちの対角線上の(ひとつおきの)2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、先に破り開いた2つの「頂線」につながる2つの「底線」をも追加して破り開いて一枚の平紙に展開する方式の、以上の二種類の「新方式」の展開法」とあるのを、「4つの「頂線」のうちの2つの「頂線」を最初に同時に破り開いて、次に、残りの2つの「頂線」と4つ「底線」を合わせた6つの紙製包材の折り曲げ部分のうちの2つをも追加して破り開いて平紙に展開する「新方式」の展開法」に上位概念化するものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 令和2年3月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(5)本願補正発明と引用発明の対比・判断」に記載したとおりの引用発明及び引用例2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用例2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。
ゆえに、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-004063