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特許拒絶査定不服審判

2020-002547

直立プラスチック製保存袋

審判番号
2020-002547
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-554504外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年02月26日
審決日
2021年04月16日
公報発行日
2021年10月29日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (B65D) / P18 .121-WZ (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-554504「直立プラスチック製保存袋」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月2日国際公開、WO2017/034592、平成30年8月23日国内公表、特表2018-523614〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、2015年9月1日(パリ条約による優先権主張 2015年8月21日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年10月31日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和2年2月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、令和2年9月4日付けで当審により拒絶理由が通知され、令和2年12月3日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1~25に係る発明は、令和2年12月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~25にそれぞれ記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
保存袋において、
(A)第1の側壁であって、頂部分及び底部分を有する、第1の側壁と、
第1の側壁が、
続きを表示(全67行)
(a)前記第1の側壁の底部分に提供された少なくとも1つのシフトラインであって、当該シフトラインにおいて前記第1の側壁を折り畳むことが可能な、少なくとも1つのシフトラインと、
(b)第1の側壁の頂部分に提供されるカフラインと、
を含み、
(B)開口部をもつ前記袋の内部を形成するために、前記袋の3つの辺に沿って前記第1の側壁に直接接続された第2の側壁であって、前記第2の側壁が、頂部分及び底部分を有し、前記第2の側壁が前記第2の側壁の頂部分に提供されたカフラインを含む、第2の側壁と、
(C)前記第1及び第2の側壁の各々の頂縁部またはその下方の地点から前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインまで延びる、カフ領域と、
を備え、
前記袋が、
(a)(i)前記第1の側壁と前記第2の側壁との全体が接するフラット構成と、(ii)直立構成であり、前記直立構成において前記袋が前記第1の側壁を前記少なくとも1つのシフトラインで折り畳むことで形成される実質的に平坦な基底部を有するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが互いから離隔している直立構成と、をとることが可能であり、
(b)前記袋が前記直立構成であるときに、前記カフ領域が前記袋への前記開口部を形成するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁の各々の前記カフライン上で前記カフ領域を外側へ折り返すことが可能である、
保存袋。
【請求項2】
前記第1の側壁の前記カフラインは、前記第1の側壁に形成されたスコアラインである、請求項1に記載の保存袋。
【請求項3】
前記第2の側壁の前記カフラインは、前記第2の側壁に形成されたスコアラインである、請求項1に記載の保存袋。
【請求項4】
前記第1の側壁が、第1の相互係止クロージャ構造をさらに含み、前記第2の側壁が、第2の相互係止クロージャ構造をさらに含み、前記第1の相互係止クロージャ構造が、前記袋の前記開口部を封止するために前記第2の相互係止クロージャ構造と相互係止するように構成される、請求項1に記載の保存袋。
【請求項5】
前記第1の側壁上には、前記カフラインが前記第1の相互係止クロージャ構造の下方に配設され、前記第2の側壁上には、前記カフラインが前記第2相互係止クロージャ構造の下方に配設されている請求項4に記載の保存袋。
【請求項6】
前記第1の側壁上では、前記カフ領域が前記第1の側壁の前記第1の相互係止クロージャ構造から前記第1の側壁の前記カフラインまで延び、前記第2の側壁上では、前記カフ領域が、前記第2の側壁の前記第2の相互係止クロージャ構造から前記第2の側壁の前記カフラインまで延びる、請求項4に記載の保存袋。
【請求項7】
前記第1の側壁が、前記第1の相互係止クロージャ構造の下方に配設された第3の相互係止クロージャ構造をさらに含み、前記第2の側壁が、前記第2の相互係止クロージャ構造の下方に配設された第4の相互係止クロージャ構造をさらに含み、前記第3の相互係止クロージャ構造が、前記袋の前記開口部を封止するために前記第4の相互係止クロージャ構造と相互係止するように構成される、請求項4に記載の保存袋。
【請求項8】
前記第1の側壁上では、前記カフ領域が前記第1の側壁の前記第3の相互係止クロージャ構造から前記第1の側壁の前記カフラインまで延び、前記第2の側壁上では、前記カフ領域が前記第2の側壁の前記第4の相互係止クロージャ構造から前記第2の側壁のカフラインまで延びる、請求項7に記載の保存袋。
【請求項9】
前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインが、第1の縁部から、対応する側壁の第2の縁部まで延びる直線を備える、請求項1に記載の保存袋。
【請求項10】
前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインが、第1の縁部から、対応する側壁の第2の縁部まで延びる破線を備える、請求項1に記載の保存袋。
【請求項11】
前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインが、第1の縁部から、対応する側壁の第2の縁部まで延びる曲線を備える、請求項1に記載の保存袋。
【請求項12】
前記カフ領域が、前記袋を折り畳むべき場所及び折り返すべき場所についてユーザに目印を提供するために、パターン帯を備える、請求項1に記載の保存袋。
【請求項13】
前記パターン帯は、(i)印刷パターン、及び(ii)当該パターン帯を当該保存袋の他の領域と区別可能とする表面処理のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の保存袋。
【請求項14】
前記パターン帯が、エンボス加工によって形成された、請求項12に記載の保存袋。
【請求項15】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁のうちの少なくとも1つの底部分が、当該第1の側壁及び前記第2の側壁の他の部分と視覚的に異なるパターン区域を備える、請求項12に記載の保存袋。
【請求項16】
前記パターン帯及び前記パターン区域のうちの少なくとも1つが、エンボス加工によって形成された、請求項15に記載の保存袋。
【請求項17】
前記パターン帯が、前記パターン区域の前記パターンと同じパターンを備える、請求項15に記載の保存袋。
【請求項18】
前記パターン帯が、前記パターン区域の前記パターンとは異なるパターンを備える、請求項15に記載の保存袋。
【請求項19】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の各々が、前記第1及び第2の側壁の前記頂部分の縁部の各々の下方の地点から前記第1及び第2の側壁の各々の前記底部分までの間に少なくとも1つ設けられたパターン区域を備え、
前記第1及び第2の側壁の各々の前記パターン区域が、(i)前記第1及び第2の側壁の各々のカフラインを隠すこと、(ii)前記第1の側壁の前記少なくとも1つのシフトラインを隠すこと、(iii)前記第1及び第2の側壁の各々に剛性を加えること、及び(iv)前記袋を折り畳むべき場所及び折り返すべき場所についてユーザに目印を提供すること、の少なくとも1つのために設けられる、請求項1に記載の保存袋。
【請求項20】
前記パターン区域が、エンボス加工によって形成された、請求項19に記載の保存袋。
【請求項21】
前記第1の側壁が、(i)前記第1の側壁の第1の隅角部の近くから延びるシフトライン、及び(ii)前記第1の側壁の第2の隅角部から延びるシフトラインの前記少なくとも1つのシフトラインを含み、
前記直立構成において、前記実質的に平坦な基底部が前記袋に形成されるように、前記第1の側壁のシフトラインの各々に関して前記第1の側壁が折り畳まれる、請求項1に記載の保存袋。
【請求項22】
前記第1の側壁の前記少なくとも1つのシフトラインは、(i)前記第1の側壁の第1の隅角部の近くから延びる第1のシフトライン、(ii)前記第1の側壁の第1の隅角部の近くから延びる第2のシフトライン、(iii)前記第1の側壁の第2の隅角部の近くから延びる第3のシフトライン、及び(iv)前記第1の側壁の第2の隅角部の近くから延びる第4のシフトラインを含み、
前記直立構成では、前記袋に前記実質的に平坦な基底部が形成されるように、前記第1の側壁の前記第1、第2、第3及び第4のシフトラインにおいて前記第1の側壁が折り畳まれる、請求項1に記載の保存袋。
【請求項23】
前記第2の側壁は、少なくとも1つのシフトラインをさらに含み、前記第2の側壁を前記少なくとも1つのシフトラインで折り畳むことができ、前記少なくとも1つのシフトラインは、前記第2の側壁の前記底部分に提供され、前記少なくとも1つのシフトラインは、前記第2の側壁に形成されたスコアラインである、請求項1に記載の袋。
【請求項24】
前記第2の側壁の前記少なくとも1つのシフトラインは、(i)前記第2の側壁の第1の隅角部の近くから延びるシフトライン、及び(ii)前記第2の側壁の第2の隅角部の近くから延びるシフトラインを含み、
前記直立構成では、前記袋に対して実質的に平坦な基底部が形成されるように、前記第2の側壁のシフトラインの各々において前記第2の側壁が折り畳まれる、請求項23に記載の保存袋。
【請求項25】
前記第2の側壁の前記少なくとも1つのシフトラインは、(i)前記第2の側壁の第1の隅角部の近くから延びる第1のシフトライン、(ii)前記第2の側壁の第1の隅角部の近くから延びる第2のシフトライン、(iii)第2の側壁の第2の隅角部の近くから延びる第3のシフトライン、及び(iv)第2の側壁の第2の隅角部の近くから延びる第4のシフトラインを含み、
前記直立構成では、前記袋に前記実質的に平坦な基底部が形成されるように、前記第2の側壁の第1、第2、第3及び第4のシフトラインにおいて前記第2の側壁が折り畳まれる、請求項23に記載の保存袋。」

第3 令和2年9月4日付け拒絶理由の概要

令和2年9月4日付けで当審より通知した拒絶理由は、以下の理由を含むものである。

(進歩性)本願の請求項1~25に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献2に記載された発明及び引用文献1、3~6に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等

1.米国特許出願公開第2014/0245698号明細書

2.実願昭51-39442号(実開昭52-131310号)のマイクロフィルム

3.特開2012-116498号公報

4.仏国特許出願公開第2759981号明細書

5.特開2004-359255号公報

6.特開2015-67295号公報

第4 当審の判断

1 引用発明

(1)引用文献2

令和2年9月4日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2には、次の事項が記載されている。

ア.「2.実用新案登録請求の範囲

下縁(2)が略直線上となされた偏平状密封包装容器(1)に飲料内容物(9)が封入せられ、該容器(1)を構成する前後両壁(1a)(1b)の各下端部に、下縁(2)と並行状でかつ略同長の前後一対の折目線(4)が設けられるとともに、各折目線(4)の両側中間部と下縁(2)の両端とをそれぞれ連結する左右一対の傾斜状折目線(5)が設けられており、該容器(1)の使用時においてその下縁(2)が上方に押圧されることにより前後一対の折目線(4)以下の前後両壁(1a)(1b)の部分がこの容器(1)内側に折込まれて底面からみて六角形状の底壁(10)を形成するように示された構造。」(明細書1ページ4~15行)

イ.「この考案は、スープ、コーヒ、ジユース、紅茶、緑茶および薬品その他を密封してそれらの飲用に供される密封包装容器に関し、その目的とするところは、きわめて斬新でかつ使用に便利であり、しかも嵩張らず収納と携帯に非常に便利な構造を提供するにある。」(明細書1ページ17行~2ページ2行)

ウ.「・・・密封包装容器(1)は使用前偏平状で嵩張らず収納と携帯に非常に便利であるとともに、使用時において容器(1)の下端部に底面からみて六角形状の底壁(10)を簡単な折込み作業によつて確実に形成せしめることができ、これによつて容器(1)の容量が増大して充分な量の液体を注入できるとともに、非常に安定的となつて持ち易いうえに、液体注入後この容器(1)をたとえばテーブル等の上にそれ自体で立たせることができ、使用に非常に便利である。・・・」(明細書7ページ8~17行)

エ.「第1図

」

オ.「

」

カ.「第4図

」

キ.「第5図

」

ク.「第6図

」

ケ.「第7図

」

(2)引用文献2に記載された発明

引用文献2の実用新案登録請求の範囲の記載を「偏平状密封包装容器(1)」に着目して整理すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「下縁(2)が略直線上となされた扁平状密封包装容器(1)において、
前後両壁(1a)(1b)を備え、
前後両壁(1a)(1b)の各下端部に、下縁(2)と並行状でかつ略同長の前後一対の折目線(4)が設けられるとともに、各折目線(4)の両側中間部と下縁(2)の両端とをそれぞれ連結する左右一対の傾斜状折目線(5)が設けられており、
該偏平状密封包装容器(1)の使用時においてその下縁(2)が上方に押圧されることにより前後一対の折目線(4)以下の前後両壁(1a)(1b)の部分がこの扁平状密封包装容器(1)内側に折込まれて底面から見て六角形状の底壁(10)を形成する偏平状密封包装容器(1)。」

(3)引用文献1

令和2年9月4日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1には、次の事項が記載されている。

ア.「ABSTRACT

A package having a foldable top region is provided. The package generally includes panel portions that at least partially define an interior cavity therebetween and accessible through an access opening. The top portion can provide a cuff member or cuff region that can be folded and unfolded to facilitate use of the package as a bowl or other cuffed container for material contents. The package can be adapted to hold its shape as a bowl or cuffed container. A reclosure member can be provided to facilitate re-sealing of the package. A folding strip, edge contours and stiffening members can also be provided.」(当審訳:要約

折り畳み可能なトップ領域を有するパッケージに関する。パッケージは、一般に、少なくとも部分的にその間の内部空洞を画定するパネル部材を含み、アクセス開口部を介してアクセス可能である。頂部分は、材料内容物のためのボウルまたは他のカフ付き容器のようなパッケージの使用を容易にするために、折り畳みおよび展開可能なカフ部材またはカフ領域を提供することができる。パッケージは、ボウルまたはカフ付き容器としてのその形状を保持するように適合させることができる。パッケージの再封を容易にするために、再封止部材を用いることができる。折りたたみストリップ、エッジの輪郭、および補強部材が設けられてもよい。)

イ.「[0053]

A thinned portion, weakened portion or score line 130 can also be defined in the cuff member or region 124. This weakened portion/score line 130 can be defined in the reclosure member or in the panel portion. This feature 130 helps to define a fold line (132 in FIG. 1) about which the cuffed portion 124 can be folded by the user. The feature 130 also defines a region proximate the top of the package 100 to facilitate folding of the top portion 120 to create the cuff 126 as shown in FIG. 5 and hold the round shape of a bowl or cup.」(当審訳:薄くなった部分、弱くなった部分又はスコアライン130もまた、カフ部材または領域124内に定義することができる。この弱くなった部分/スコアライン130は、閉鎖部材またはパネル部分に定義することができる。この特徴130は、カフ部材124がユーザによって折り畳まれることができる折り目線(図1の132)を定義するのに役立つ。また、特徴130は、図5に示すようなカフ126を形成し、ボウルまたはカップの丸い形状を保持するために、頂部分120の折り畳みを容易にするために、パッケージ100の上部に近接した領域を規定する。)

ウ.「[0061]

The described and depicted package configurations provide a cup-shaped or bowl-shaped package with a wide opening such that the user can selectively shape the cup or bowl, with the cup or bowl generally retaining the desired shape during use because of the additional structure and configuration of the cuff 126. With such configurations, the package 100 can be used as a container vehicle for material contents, solids or liquids. For instance, people or animals can eat or drink directly from the package 100, reducing the chance of injury because of the rounded top edges. In addition, the cup or bowl can be used by a human to hold, transport or consume food or liquids.」(当審訳:記述及び図示されたパッケージの構成は、ユーザがカップまたはボウルを選択的に形成することができるような広い開口部を有するカップ形状またはボウル形状のパッケージを提供するものであって、そのカップまたはボウルは、カフ126の付加的な構造および構成により、使用中に望まれる形状に通常保持される。このような構成により、パッケージ100は、固体または液体の材料内容物の輸送容器として使用することができる。例えば、人または動物がパッケージ100から直接飲食することができ、丸みを帯びた上縁により、怪我をする機会を減らすことができる。さらに、カップまたはボウルは、食品または飲料を保持し、輸送し、または消費するために、人間によって使用されることができる。)

(4)引用文献1記載された事項

上記(3)の摘記事項を総合すると、引用文献1には、以下の事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。

「パッケージにおいて、使用中に望まれる形状に通常保持し、直接飲食することができ、丸みを帯びた上縁により、怪我をする機会を減らすために、頂部分に折り畳みおよび展開可能な、折り目線(図1の132)のスコアライン130を有するカフ領域を設けること。」

2 本願発明と引用発明の対比・判断

ア.対比

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「下縁(2)が略直線上となされた偏平状密封包装容器(1)」は、その機能及び構造から、本願発明の「保存袋」に相当する。

(イ)引用発明の「前後両壁(1a)(1b)」の「下縁部」は、本願発明の「第1の側壁」及び「第2の側壁」の「底部分」に相当する。

また、引用発明の「前後両壁(1a)(1b)」は、前後両壁(1a)(1b)の3つの辺に沿って互いに接続することで、開口部をもつ偏平状密封包装容器(1)を形成し、その前後両壁(1a)(1b)が「下縁部」を有し、当然に頂部分を有するから、本願発明の「(A)第1の側壁であって、頂部分及び底部分を有する、第1の側壁」及び「(B)開口部をもつ前記袋の内部を形成するために、前記袋の3つの辺に沿って前記第1の側壁に直接接続された第2の側壁であって、前記第2の側壁が、頂部分及び底部分を有」する「第2の側壁」に相当する。

(ウ)引用発明の「前後両壁(1a)(1b)の各下端部に、下縁(2)と並行状でかつ略同長の前後一対の折目線(4)が設けられるとともに、各折目線(4)の両側中間部と下縁(2)の両端とをそれぞれ連結する左右一対の傾斜状折目線(5)が設けられて」いる態様は、前後両壁(1a)(1b)の各下端部に、前後一対の折目線(4)と斜状折目線(5)が設けられており、当然に、折目線(4)及び斜状折目線(5)において折り畳むことが可能であるから、本願発明の「前記第1の側壁の底部分に提供された少なくとも1つのシフトラインであって、当該シフトラインにおいて前記第1の側壁を折り畳むことが可能な、少なくとも1つのシフトライン」を有する態様に相当する。

(エ)引用発明の「該偏平状密封包装容器(1)の使用時においてその下縁(2)が上方に押圧されることにより前後一対の折目線(4)以下の前後両壁(1a)(1b)の部分がこの容器(1)内側に折込まれて底面から見て六角形状の底壁(10)を形成する」態様は、使用前において、偏平状密封包装容器(1)が偏平状であるから、前後両壁(1a)(1b)の全体が互いに接するフラット構成と表現でき、使用時において、下縁(2)が上方に押圧されることにより折目線(4)及び斜状折目線(5)で折り畳むことで、底面から見て六角形状の底壁(10)を形成するから、六角形状の底壁(10)が実質的に平坦であり、前後両壁(1a)(1b)が互いに離隔して直立する構成であるといえる。

そうすると、引用発明の上記態様は、本願発明の「(a)(i)前記第1の側壁と前記第2の側壁との全体が接するフラット構成と、(ii)直立構成であり、前記直立構成において前記袋が前記第1の側壁を前記少なくとも1つのシフトラインで折り畳むことで形成される実質的に平坦な基底部を有するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが互いから離隔している直立構成と、をとることが可能であ」る態様に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、

「保存袋において、
(A)第1の側壁であって、頂部分及び底部分を有する、第1の側壁と、
第1の側壁が、
(a)前記第1の側壁の底部分に提供された少なくとも1つのシフトラインであって、当該シフトラインにおいて前記第1の側壁を折り畳むことが可能な、少なくとも1つのシフトライン、
を含み、
(B)開口部をもつ前記袋の内部を形成するために、前記袋の3つの辺に沿って前記第1の側壁に直接接続された第2の側壁であって、前記第2の側壁が、頂部分及び底部分を有する、第2の側壁と、
を備え、
前記袋が、
(a)(i)前記第1の側壁と前記第2の側壁との全体が接するフラット構成と、(ii)直立構成であり、前記直立構成において前記袋が前記第1の側壁を前記少なくとも1つのシフトラインで折り畳むことで形成される実質的に平坦な基底部を有するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁とが互いから離隔している直立構成と、をとることが可能である、
保存袋。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>

本願発明は、「(b)第1の側壁の頂部分に提供されるカフラインと」、「前記第2の側壁が前記第2の側壁の頂部分に提供されたカフラインを」有し、「(C)前記第1及び第2の側壁の各々の頂縁部またはその下方の地点から前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインまで延びる、カフ領域」を備え、「(b)前記袋が前記直立構成であるときに、前記カフ領域が前記袋への前記開口部を形成するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁の各々の前記カフライン上で前記カフ領域を外側へ折り返すことが可能である」のに対して、引用発明は、カフライン、カフ領域を有さない点。

イ.当審の判断

(ア) 相違点についての検討

引用文献1記載事項の「パッケージ」は、その形状及び構成より、本願発明の「袋」に相当する。

引用文献1記載事項の「頂部分」の「折り目線(図1の132)のスコアライン130」は、パッケージが第1の側壁と第2の側壁により形成されることが明らかであるから、本願発明の「第1の側壁の頂部分に提供されるカフライン」及び「前記第2の側壁が前記第2の側壁の頂部分に提供されたカフライン」に相当する。

引用文献1記載事項の「折り目線(図1の132)のスコアライン130」を除いた「カフ領域」は、折り目線(図1の132)のスコアライン130より上方であるから、本願発明の「前記第1及び第2の側壁の各々の頂縁部またはその下方の地点から前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインまで延びる、カフ領域」に相当する。

引用文献1記載事項の「折り畳みおよび展開可能な、折り目線(図1の132)のスコアライン130を有するカフ領域」は、展開時に、パッケージが直立し、折り目線(図1の132)のスコアライン130上でその上方のカフ領域を外側に折り返すことで開口部を形成しているから、本願発明の「前記袋が前記直立構成であるときに、前記カフ領域が前記袋への前記開口部を形成するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁の各々の前記カフライン上で前記カフ領域を外側へ折り返すことが可能である」に相当する。

そうすると、引用文献1記載事項を本願発明の文言で表現すると、「袋において、使用中に望まれる形状に通常保持し、直接飲食することができ、丸みを帯びた上縁により、怪我をする機会を減らすために、第1の側壁の頂部分に提供されるカフラインと、第2の側壁が前記第2の側壁の頂部分に提供されたカフラインを有し、前記第1及び第2の側壁の各々の頂縁部またはその下方の地点から前記第1及び第2の側壁の各々の前記カフラインまで延びる、カフ領域を備え、袋が直立構成であるときに、前記カフ領域が前記袋への開口部を形成するように、前記第1の側壁と前記第2の側壁の各々の前記カフライン上で前記カフ領域を外側へ折り返すことを可能とすること。」であるといえる。

そして、上記1(1)イ.及びウ.によれば、引用発明の偏平状密封包装容器(1)は、テーブル等の上にそれ自体で立たせて使用することが記載されており、スープ、コーヒ、ジユース、紅茶、緑茶および薬品その他を密封してそれらの引飲用に供されるものであるから、引用発明には、使用中に容器の形状を保持し、直接飲食することができ、丸みを帯びた上縁により、怪我をする機会を減らすようにする動機が存在する。

したがって、引用発明において、引用文献1記載事項を適用して、上記相違点に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ) 本願発明の効果について

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献1記載事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(ウ) 請求人の主張について

請求人は、令和2年12月3日提出の意見書において、引用文献2の容器は、スープやコーヒー等の粉末飲料を収容した状態で、上端部が密封されています。そして[藤3]、引用文献2の2頁11~17行に、「この容器(1)の素材は、厚紙、合成樹脂フィルムを被覆した厚紙、合成樹脂薄板、アルミニウム等の金属薄板および合成樹脂フィルムを被覆した金属薄板等適宜のものを使用し得るが、防湿または防水性を有しかつ容易に曲らない程度の薄板状の素材を使用するのが望ましい」と記載されているから、容易に曲らない素材で形成された容器に、カフラインで折り返すことで開口部を形成するカフを適用しようという動機付けはない旨主張する。

しかし、引用文献2に記載された「容易に曲らない程度」とは、偏平状密封包装容器の構造や使用形態からみて、折目線で折り込むことができ、テーブル等の上にそれ自体で立たせて使用することが可能な程度であると理解されるから、折り返すことができない程に曲がらないとまでは理解できない。また、引用文献1が引用発明と同様の使用形態であることも考慮すると、請求人の主張は採用できない。

また、請求人は、引用文献2には、使用時に「容器(1)の容量が増大して充分な量の液体を注入できる」(第5頁第1~3行、第7頁第13~14行)との記載があるから、引用文献2の容器において、カフを形成し、容器の容量を小さくする動機付けはない旨主張する。

しかし、上記記載は、使用前の折り畳まれた状態の容器(1)の容量に比して使用時の展開した状態の容器(1)の容量が大きくなることを意味するものであるから、引用発明においてカフを形成することに阻害要因があるとまではいえない。

ウ.当審の判断のまとめ

したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 まとめ

以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願発明は、特許法第29条第2項の規定を満たしていないから、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-002547

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