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特許拒絶査定不服審判

2020-000126

符号化方法、復号方法及び符号化データ

審判番号
2020-000126
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-155704外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年01月07日
審決日
2020年11月10日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .1 -Z (H04N) / P18 .575-Z (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項、特許法第17条の2第5項、特許法第2条第1項、特許法第2条第4項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-155704「符号化方法、復号方法及び符号化データ」拒絶査定不服審判事件〔平成31年1月17日出願公開、特開2019-9792〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、2011年(平成23年)10月17日を国際出願日とする出願の一部を数次の分割を経て平成30年8月22日に新たに特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年 8月26日付け:拒絶理由通知
同年10月23日  :意見書、手続補正書の提出
同年11月13日付け:拒絶査定
令和2年 1月 7日  :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年1月7日にされた手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和2年1月7日に提出された手続補正書による手続補正を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

令和2年1月7日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和元年10月23日にされた手続補正により補正された請求項3(以下、「補正前の請求項3」という。)を、以下の請求項3(以下、「補正後の請求項3」という。)とする補正事項を含むものである。なお、下線部は令和2年1月7日の手続補正により補正された箇所を示す。

また、各発明特定事項の符号(A)~(G)は、説明のために当審において付したものであり、以下、発明特定事項A~発明特定事項Gと称する。各請求項3において同じ記載内容の発明特定事項には同じ符号を付し、本件発明により補正された発明特定事項の符号には「’」を付した。

(補正前の請求項3)

「【請求項3】
(A)ハードウェア回路および記憶部を備える電子装置に用いられ、前記記憶部に記憶される符号化データであって、
(B)輝度の重み係数の第1固定小数点精度が符号化されたデータと、
(C)(C1)前記第1固定小数点精度と、色差の重み係数の第2固定小数点精度との差異と同じ値である、第1差分値が符号化されたデータと、
(D)(D1)前記第1固定小数点精度で定められるビット数だけ“1”を左シフトすることによって得られる値と同じ値である第1基準値と、前記輝度の重み係数と、の差異と同じ値である、前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータと、
(E)を含み、
(F)前記ハードウェア回路が、前記記憶部から前記符号化データを読み出し、
(G)読みだされた前記符号化データは、復号装置による復号するための処理に用いられる、
(A)符号化データ。」

(補正後の請求項3)

「【請求項3】
(A)ハードウェア回路および記憶部を備える電子装置に用いられ、前記記憶部に記憶される符号化データであって、
(B)輝度の重み係数の第1固定小数点精度が符号化されたデータと、
(C’)(C1)前記第1固定小数点精度と、色差の重み係数の第2固定小数点精度との差異と同じ値である、第1差分値が符号化されたデータであって、(C2)前記ハードウェア回路により、前記第1固定小数点精度と前記第1差分値とが加算されることにより、前記第2固定小数点精度を決定する処理に用いられるデータと、
(D’)(D1)前記第1固定小数点精度で定められるビット数だけ“1”を左シフトすることによって得られる値と同じ値である第1基準値と、前記輝度の重み係数と、の差異と同じ値である、前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータであって、(D2)前記ハードウェア回路により、前記第1基準値と前記第2差分値とが加算されることにより、前記輝度の重み係数を決定する処理に用いられるデータと、
(E)を含み、
(F)前記ハードウェア回路が、前記記憶部から前記符号化データを読み出し、
(G’)読みだされた前記符号化データは、前記ハードウェア回路による復号するための処理に用いられる、
(A)符号化データ。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の発明特定事項Cの「第1差分値が符号化されたデータ」、発明特定事項Dの「前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータ」及び発明特定事項Gの「前記符号化データ」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項3に記載された発明と補正後の請求項3に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項3に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1に「補正後の請求項3」として記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)発明該当性について

特許法において、「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう。」(第2条第1項)とされている。

また、同法において、「物の発明」における「物」は、「プログラム等を含む。」(第2条第3項第1号)とされ、当該「プログラム等」とは、「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう。」(第2条第4項)とされている。

そこで、本件補正発明が、特許法でいう「発明」に該当するか否かについて、以下検討する。

ア 本件補正発明の「符号化データ」の発明特定事項について

(ア)「符号化データ」の構成

本件補正発明の「符号化データ」は、発明特定事項Bの「輝度の重み係数の第1固定小数点精度が符号化されたデータ」、発明特定事項C1の「前記第1固定小数点精度と、色差の重み係数の第2固定小数点精度との差異と同じ値である、第1差分値が符号化されたデータ」、及び、発明特定事項D1の「前記第1固定小数点精度で定められるビット数だけ“1”を左シフトすることによって得られる値と同じ値である第1基準値と、前記輝度の重み係数と、の差異と同じ値である、前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータ」を含むものである。

(イ)「符号化データ」に基づき実行される情報処理

発明特定事項Bの「輝度の重み係数の第1固定小数点精度が符号化されたデータ」、発明特定事項C1の「第1差分値が符号化されたデータ」及び発明特定事項D1の「前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータ」は、発明特定事項Aのハードウェア回路および記憶部を備える電子装置に用いられるものであって、発明特定事項Aの「記憶部」に記憶され、発明特定事項Aの「ハードウェア回路」により、発明特定事項Fにおいて前記記憶部から読み出され、発明特定事項Gにおいて復号するための処理に用いられる。

そして、当該復号された発明特定事項Bの「輝度の重み係数の第1固定小数点精度」のデータ及び発明特定事項C1の「第1差分値」のデータに基づき、発明特定事項C2の「前記ハードウェア回路」により、「前記第1固定小数点精度と前記第1差分値とが加算されることにより、前記第2固定小数点精度を決定する処理」が実行される。

また、当該復号された「輝度の重み係数の第1固定小数点精度」のデータに基づく「第1基準値」のデータ及び発明特定事項D1の「前記輝度の重み係数の第2差分値」のデータに基づき、発明特定事項D2の「前記ハードウェア回路」により、「前記第1基準値と前記第2差分値とが加算されることにより、前記輝度の重み係数を決定する処理」が実行される。

イ 本件補正発明の発明該当性についての判断

(ア)「自然法則を利用した技術的思想」について

本件補正発明の「符号化データ」に含まれるものである上記ア(ア)の「輝度の重み係数の第1固定小数点精度が符号化されたデータ」、「第1差分値が符号化されたデータ」及び「前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータ」は、上記ア(イ)のとおり、それぞれ発明特定事項C2及び発明特定事項D2の加算処理に用いられる被処理データとして、発明特定事項Gのハードウェア回路による復号処理に供されるものにすぎず、何ら情報処理の内容や手順を規定するものではない。

すると、本件補正発明の「符号化データ」は、供される情報の内容にのみ特徴を有するものであって、情報の単なる提示にとどまるものであるから、それ自体が技術的思想を有するということはできない。

したがって、本件補正発明の「符号化データ」は、特許法第2条第1項に規定された「自然法則を利用した技術的思想」に該当するものではない。

(イ)「プログラムに準ずるもの」について

本件補正発明の「符号化データ」は、上記(ア)のとおり、何ら電子計算機による処理を規定するものではないから、特許法第2条第4項に規定された「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの」ということはできない。

したがって、本件補正発明の「符号化データ」は、同法第2条第3項第1号でいう「物の発明」における「物」に含まれるものではないから、本件補正発明は「物の発明」に該当するものではない。

(ウ)審判請求人の主張について

審判請求人は、審判請求書において、本件補正発明の符号化データは、コンピュータによる情報処理を規定するという点でプログラムに準ずるデータ構造であり、プログラムに準ずるデータ構造が規定する情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されているから、本件補正発明に係る符号化データは、自然法則を利用した技術的思想の創作であり、「発明」に該当するとの主張を行っている。

しかしながら、上記(イ)のとおり、本件補正発明の「符号化データ」は、プログラムに準ずるものとはいえないから、当該主張を採用することはできない。

ウ 小括

上記イのとおりであるから、本件補正発明は、特許法第2項第1項に規定する「発明」に該当しない。

したがって、本件補正発明は、特許を受けることができる発明の要件を満たしておらず、特許法第29条第1項柱書の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しているから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和2年1月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年10月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1に「補正前の請求項3」として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願の請求項3に記載された発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない、というものである。

3 判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、発明特定事項C’の「第1差分値が符号化されたデータ」、発明特定事項D’の「前記輝度の重み係数の第2差分値が符号化されたデータ」及び発明特定事項G’の「前記符号化データ」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、上記第2の[理由]2(2)の判断と同じく、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想」とも「プログラムに準ずるもの」ともいえないから、特許法第2項第1項に規定する「発明」に該当するものではない。

第4 むすび

以上のとおり、本願の請求項3に係る発明は、特許法第2項第1項に規定する「発明」に該当せず、同法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-000126

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