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特許異議申立

2019-700558

導電性接着シート、電磁波シールドシートおよびプリント配線板

審判番号
2019-700558
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-008757
登録番号
特許第6451879号(P6451879)
請求日
2019年07月16日
審決日
2020年07月22日
公報発行日
2020年10月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】東洋インキSCホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】家入 健
  • 【権利者代理人】秦 恵子
  • 【権利者】トーヨーケム株式会社
  • 【権利者代理人】家入 健
  • 【権利者代理人】秦 恵子
  • 【異議申立人】岡林 茂
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 國分 直樹
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 須原 宏光
分類
P1651.121-YAA(H05K) / P1651.113-YAA(H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6451879号発明「導電性接着シート、電磁波シールドシートおよびプリント配線板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6451879号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6451879号の請求項1、2、4ないし7に係る特許を維持する。 特許第6451879号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6451879号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成26年3月25日に出願した特願2014-61520号の一部を平成30年1月23日に新たな特許出願としたものであって、平成30年12月21日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月16日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての本件特許異議の申し立ての経緯は、次のとおりである。 令和1年 7月16日  :特許異議申立人 岡林 茂(以下、「申立人」という。)による請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和1年10月17日付け:取消理由通知書 令和1年12月20日  :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和2年 3月16日  :申立人による意見書の提出 令和2年 4月 3日付け:取消理由通知(決定の予告) 令和2年 6月 4日   特許権者による訂正請求書の提出 なお、先にした令和1年12月20日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の趣旨及び内容 令和2年6月4日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許第6451879号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし7について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである。(なお、下線は訂正部分を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物、リン酸およびビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかであり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物である、」 と記載されているのを、 「前記化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物およびリン酸からなる群より選択される少なくともいずれかであり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物であり、前記化合物(D)を前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含む、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、4ないし7も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「・・・ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」と記載されているのを、「・・・ことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5ないし7も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「・・・ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」と記載されているのを、「・・・ことを特徴とする請求項1、2、4いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6、7も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に「・・・ことを特徴とする請求項1~6いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」と記載されているのを、「・・・ことを特徴とする請求項1、2、4~6いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」に訂正する。 2.訂正要件についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし7に対応する訂正後の請求項1ないし7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「化合物(D)」に関する択一的記載の選択肢の1つである「ビスフェノールS型エポキシ樹脂」を削除するとともに、「前記化合物(D)を前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含む」ものとして配合割合を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件特許の願書に添付した明細書(以下、単に「本件特許明細書」という。)の段落【0034】には、「前記化合物(D)の官能基は、具体的には、アミノ基、リン酸基、メルカプト基、スルフィド基、およびスルホニル基等が好ましい。前記官能基の中でも少量の添加で大きな効果を得る事が出来る面からメルカプト基が特に好ましい。化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物、リン酸およびビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかである。」と、さらに、段落【0036】には「化合物(D)は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、0.1~20重量部を配合することが好ましく、1~10重量部がより好ましい。0.1重量部以上を配合することで接着力がより向上する。また、20重量部以下を配合することで耐熱性および導電性と両立しやすくなる」と記載されている。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項2について 訂正事項2は、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であリ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 ウ.訂正事項3について 訂正事項3は、上記訂正事項2による訂正に伴い、訂正前の請求項4が請求項1~3いずれか1項を引用する記載であったものを、請求項3の引用を削除し、請求項1または2を引用する記載として引用請求項を減少させたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 エ.訂正事項4について 訂正事項4は、上記訂正事項2による訂正に伴い、訂正前の請求項5が請求項1~4いずれか1項を引用する記載であったものを、請求項3の引用を削除し、請求項1、2、4いずれか1項を引用する記載として引用請求項を減少させたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 オ.訂正事項5について 訂正事項5は、上記訂正事項2による訂正に伴い、訂正前の請求項7が請求項1~6いずれか1項を引用する記載であったものを、請求項3の引用を削除し、請求項1、2、4~6いずれか1項を引用する記載として引用請求項を減少させたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 第3 当審の判断 1.本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1、2、4ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2、4ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、導電性微粒子(C)、ならびに窒素、リン、および硫黄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの元素を含む官能基を有する化合物(D)を含有し、 前記熱硬化性樹脂(A)は、カルボキシル基を有し、かつ酸価が5~40mgKOH/gであり、 前記化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物およびリン酸からなる群より選択される少なくともいずれかであり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物であり、 前記化合物(D)を前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含む、導電性樹脂組成物。 【請求項2】 前記官能基が、アミノ基、リン酸基、メルカプト基、スルフィド基、およびスルホニル基からなる群から選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記導電性微粒子(C)を熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して50~1500重量部含むことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。 【請求項5】 前記導電性微粒子(C)が、核体、および前記核体の表面を覆う被覆層を備えた微粒子の少なくともいずれかであって、 前記核体は、金、プラチナ、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、錫及びインジウムならびにこれらの合金からなる群より選ばれる少なくともいずれかであり、 前記被覆層は、核体とは異なる導電性物質であることを特徴とする請求項1、2、4いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。 【請求項6】 前記導電性微粒子(C)が、核体の表面を覆う被覆層を備えた微粒子であって、 核体100重量部に対して、1~40重量部の割合で被覆層を形成してなることを特徴とする請求項5に記載の導電性樹脂組成物。 【請求項7】 前記硬化剤(B)が、エポキシ硬化剤、オキセタン硬化剤、およびアジリジン硬化剤からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1、2、4~6いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。」 2.取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 令和2年4月3日の取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 請求項1、2、4、5、7に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、また、請求項6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4-7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 < 引用文献等一覧 > 引用文献1:国際公開第2014/010524号(甲第1号証) 引用文献2:ウェブページ“福田金属箔粉工業株式会社 製品情報 製品カタログ 金属粉 銀コート銅粉”2012年4月22日アーカイブ[令和1年10月11日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20120423165838fw_/http://www.fukuda-kyoto.co.jp/03product/f-data.html)(甲第2号証) (2)引用文献の記載事項等 ア.引用文献1の記載事項 引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) a.「[0001]本発明は、硬化性導電性接着剤組成物、電磁波シールドフィルム、導電性接着フィルム、接着方法及び回路基板に関する。」 b.「[0008]本発明は上記に鑑み、レジンフローを制御し、かつ埋め込み性を確保出来る硬化性導電性接着剤組成物を提供することを目的とするものである。」 c.「[0020]本発明の硬化性導電性接着剤組成物は、接着時に適度に流動することにより優れた性能を有するものである。これによって、凹凸形状を有する基材においても優れた接着を行うことができる。また、埋め込み性を確保できるという利点も有する。」 d.「[0022]以下に、本発明を詳細に説明する。 <第一実施形態> 本発明の硬化性導電性接着剤組成物は、カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)と、一分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、架橋剤、重合開始剤及び錫系金属触媒からなるから選択される少なくとも1の添加剤(C)と、導電性フィラー(D)とを含有するものである。これによって、複数種の硬化反応による硬化反応を行うものであることから、レジンフローを制御出来るという作用によって、特に凹凸形状を有する面への接着においても対応することができる適度な流動性能を有するものである。」 e.「[0023](ポリウレタン樹脂(A)) ・・・中略・・・ [0028]カルボキシル基を含有するポリオール化合物(1)の具体例としては、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸;ジメチロールアルカン酸のアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量による数平均分子量500未満);ジメチロールアルカン酸のε-カプロラクトン低モル付加物(末端官能基定量による数平均分子量500未満);ジメチロールアルカン酸の酸無水物とグリセリンとから誘導されるハーフエステル類;ジメチロールアルカン酸の水酸基と、不飽和結合を有するモノマーと、カルボキシル基及び不飽和結合を有するモノマーとをフリーラジカル反応させて得られる化合物などを挙げることができる。なかでも、ジメチロールプロパン酸、及びジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸が、入手の容易さ、酸価の調整のしやすさなどの観点から好適である。ポリウレタン樹脂(A)中のポリオール化合物(1)の含有量は、得られるポリウレタン樹脂(A)のエポキシ樹脂(B)との架橋による、耐熱性、耐久性の向上と、柔軟性、密着性との両立の観点から設定される。より具体的には、反応成分中のポリオール化合物(1)の含有量は、得られるポリウレタン樹脂(A)の酸価が、3~100mgKOH/gとなる量とすることが好ましく、3~50mgKOH/gとなる量とすることがさらに好ましい。」 f.「[0047]アルコキシシリル基を導入する化合物としては、アルコキシシリル基を有するモノ及びジアミン類、又はチオール類を用いることができ、モノアミン及びチオールは、ポリウレタン樹脂の末端に、ジアミンは鎖伸長剤として用いて、ポリウレタン樹脂の鎖中にアルコキシシリル基を導入することができる。アルコキシシリル基を導入する化合物としては、具体的には、アルコキシシリル基を有するモノアミンとしては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、ジアミンとしては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、アルコキシシリル基を有するチオール類としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。」 g.「[0061]カルボキシル基に加え更に、アルコキシシリル基を有するポリウレタン樹脂(A)は、触媒の存在下又は不存在下に加水分解し、更にシラノール基同士が縮合し、シロキサン結合を生じる。さらに、イソシアネート架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤等を併用することで、このような架橋剤と反応させることもできる。使用することができるポリイソシアネート化合物としては、上述したポリイソシアネート化合物として例示したものを使用することができる。 [0062]これらの反応は、エポキシ基とカルボキシル基による反応が130~180℃・15~90分の加熱処理が必要なのに対し、より低温での処理、例えば紫外線又は電子線架橋では室温で進行し、その他の架橋反応も室温~120℃の処理で進行し、密着性、柔軟性を保ったまま加工性に優れた接着剤層が得られる。」 h.「[0063](エポキシ樹脂(B)) 本発明の硬化性導電性接着剤組成物は、更にエポキシ樹脂(B)を含有するものである。 使用するエポキシ樹脂(B)としては特に限定されず、一分子に2個以上のエポキシ基を有する任意の公知のものを使用することができる。 [0064]より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テルペン型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂を使用することができる。 ・・・中略・・・ [0075](ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との混合比) 本実施形態において、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との混合比は、ポリウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の質量比で70:30~30:70であることが好ましい。上記範囲内のものとすることで、導電性接着フィルムや電磁波シールドフィルムの可とう性付与、成膜性の付与、耐熱性の調整が容易になるという点で好ましい。」 i.「[0076](添加剤(C)) ・・・中略・・・ [0080]これらの添加剤(C)は、適量であれば耐熱性や耐久性の向上に有効である。但し、添加剤(C)の使用量が多すぎると、柔軟性や密着性の低下などを引き起こす場合がある。このため、添加剤(C)の使用量は、ポリウレタン樹脂(A)の樹脂成分100質量部に対して0.1~200質量部以下とすることが好ましく、0.2~100質量部とすることがさらに好ましい。」 j.「[0082](導電性フィラー(D)) 本実施形態の硬化性導電性接着剤組成物は、導電性フィラー(D)を含有する。上記導電性フィラー(D)としては特に限定されず、例えば、金属フィラー、金属被覆樹脂フィラー、カーボンフィラー及びそれらの混合物を使用することができる。上記金属フィラーとしては、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コ-ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉があり、これら金属粉は、電解法、アトマイズ法、還元法により作製することができる。なかでも、特に銀粉、銀コート銅粉及び銅粉からなる群より選択される少なくとも1の導電性フィラー(D)を使用することが好ましい。 また、特にフィラー同士の接触を得やすくするために、導電性フィラー(D)の平均粒子径が3~50μmとすることが好ましい。また、導電性フィラー(D)の形状としては、球状、フレーク状、樹枝状、繊維状などが挙げられる。」 k.「[0083]また、硬化性導電性接着剤組成物には、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤等を添加してもよい。 [0084](異方性導電性接着剤層、等方性導電性接着剤層) 本実施形態の導電性接着剤層は、異方性導電性接着剤層であっても、等方性導電性接着剤層であってもよく、目的に応じてこれらのいずれかとすることができる。例えば、以下で詳述する金属層を有さない電磁波シールドフィルム、補強板と接着するための導電性接着フィルムとして使用する場合は、等方性導電性接着剤層とすることが好ましい。また、金属層を有する電磁波シールドフィルムの場合は、等方性導電性接着剤層であってもよいが、異方性導電性接着剤層であることが好ましい。 [0085]なお、これらは導電性フィラー(D)の配合量によって異方性導電性接着剤層か等方性導電性接着剤層かのいずれかのものとすることができる。異方性導電性接着剤層とするためには、導電性フィラーを硬化性導電性接着剤組成物の全固形分中で5重量%以上40重量%未満とすることが好ましい。等方性導電性接着剤層とするためには、導電性フィラー(D)を硬化性導電性接着剤組成物の全固形分中で40重量%以上90重量%以下とすることが好ましい。」 l.「[0137][合成例A-3:カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(メトキシシリル基導入)] 攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、DMPA6.0g、CD220100g、及びDMF59.1gを仕込んだ。次いで、HDI31.8g(OH基に対してNCO基が2倍当量)を加え、樹脂のNCO基が理論値の4.0%となるまで90℃で反応を行ってウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液に、DMF311.4gを添加し、40℃に冷却した後、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM-603」、信越化学工業社製)21.0gを滴下して、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで攪拌して、酸価が15.8mgKOH/g、ケイ素含有量1.7wt%のポリウレタン樹脂(A-3)のDMF溶液(固形分濃度30%)を得た。」 m.「[0139][比較合成例A-5:カルボシル基含有ポリウレタン樹脂] 攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、DMPA6.0g、CD220100g、及びDMF59.0gを仕込んだ。次いで、HDI31.9g(OH基に対してNCO基が2倍当量)を加え、樹脂のNCO基が理論値の4.0%となるまで90℃で反応を行ってウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液に、DMF298.5gを添加し、40℃に冷却した後、IPDA16.1gを滴下して、ウレタンプレポリマーのNCO基と反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される、遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで攪拌して、酸価が16.4mgKOH/gのポリウレタン樹脂(A-5)のDMF溶液(固形分濃度30%)を得た。 以上によって得られた各樹脂の原料配合比及び樹脂の特性値を以下の表1に示した。」 n.「[0140] [表1] 」 o.「[0143] [表2] 」 p.「[0146]表2中の導電性フィラーとしては、以下のものを使用した。 導電性フィラーD-1:銀粉(平均粒径5μm、福田金属箔粉工業株式会社製) 導電性フィラーD-2:銀コート銅粉(平均粒径12μm、福田金属箔粉工業株式会社製) 導電性フィラーD-3:銀コート銅粉(平均粒径18μm、福田金属箔粉工業株式会社製)」 q.「[0151] [表4] 」 r.「[0154] [表5] 」 s.「[0156] [表6] 」 t.「[0159] [表7] 表7中の導電性フィラーとしては、以下のものを使用した。 導電性フィラーD-4:銀粉(平均粒径12μm、福田金属工業株式会社) 導電性フィラーD-5:銀コート銅粉(平均粒径20μm、福田金属工業株式会社) 導電性フィラーD-6:銀コート銅粉(平均粒径25μm、福田金属工業株式会社)」 u.「[0165] [表8] 」 v.「 請求の範囲 [請求項1]カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)と、 一分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、 架橋剤、重合開始剤及び錫系金属触媒からなる群から選択される少なくとも1の添加剤(C)と、 導電性フィラー(D)と を含有することを特徴とする硬化性導電性接着剤組成物。 [請求項2]    ・・・中略・・・ [請求項3] ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(A´)の少なくともいずれか1つは、重量平均分子量が1,000~1,000,000であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の硬化性導電性接着剤組成物。」 ・上記d及びvには、カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)と、一分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、架橋剤、重合開始剤及び錫系金属触媒からなる群から選択される少なくとも1の添加剤(C)と、導電性フィラー(D)とを含有する硬化性導電性接着剤組成物、が記載されている。 また、上記kの段落[0083]には、硬化性導電性接着剤組成物には、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤を添加できることが記載されている。 してみると、引用文献1には、カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)と、一分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、架橋剤、重合開始剤及び錫系金属触媒からなる群から選択される少なくとも1の添加剤(C)と、導電性フィラー(D)と、シランカップリング剤とを含有する硬化性導電性接着剤組成物が記載されているといえる。 ・上記eには、ポリウレタン樹脂(A)の酸価は、3~50mgKOH/gであることが記載されている。 ・上記jの段落[0082]には、導電性フィラー(D)は、銀コ-ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉であることが記載されている。 してみると、上記記載事項を総合勘案すると引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)と、一分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、架橋剤、重合開始剤及び錫系金属触媒からなる群から選択される少なくとも1の添加剤(C)と、導電性フィラー(D)と、シランカップリング剤とを含有する硬化性導電性接着剤組成物であって、 ポリウレタン樹脂(A)の酸価は、3~50mgKOH/gであって、 上記導電性フィラー(D)は、銀コ-ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉である、 硬化性導電性接着剤組成物。」 イ.引用文献2の記載事項 引用文献2のインターネットアーカイブによる2012年4月22日の福田金属箔粉工業株式会社の「製品情報」の「製品カタログ」の「金属粉」の「銀コート銅粉」に関するページには、「10%Agコート」と記載されている。 (3)取消理由についての当審の判断 ア.本件特許発明1について 本件特許発明1と引用発明を対比する。 引用発明の「ポリウレタン樹脂(A)」は、通常、ウレタン樹脂が熱硬化性樹脂であること、また、本件の発明の詳細な説明の段落【0015】に「前記熱硬化性樹脂(A)は、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、アクリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア、およびセルロース等が挙げられる。」と記載されることから、本件特許発明1の「熱硬化性樹脂(A)」に相当する。 さらに、引用発明は「カルボキシル基並びに水酸基、炭素-炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するポリウレタン樹脂(A)」の「酸価が、3~50mgKOH/gであ」るから、本件特許発明1の「前記熱硬化性樹脂(A)は、カルボキシル基を有し、かつ酸価が5~40mgKOH/gであり」ということを含むものである。 引用発明の「エポキシ樹脂(B)」は、通常、エポキシ樹脂は硬化剤としても用いられること、また、本件の発明の詳細な説明の段落【0017】に「本発明において硬化剤(B)は、熱硬化性樹脂(A)の反応性官能基と反応可能な官能基を複数有する化合物である。硬化剤(B)は、エポキシ硬化剤、オキセタン硬化剤、ビニルエーテル硬化剤、ポリカルボジイミド硬化剤、アジリジン硬化剤、イソシアネート硬化剤、酸無水物基含有化合物、および金属キレート硬化剤等が好ましい。これらの中でも熱硬化性樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合は、エポキシ硬化剤、オキセタン硬化剤、アジリジン硬化剤がより好ましい。また、熱硬化性樹脂(A)が水酸基を含有する場合は、イソシアネート硬化剤や酸無水物基含有化合物等がより好ましい。」と記載されることから、本件特許発明1の「硬化剤(B)」に相当する。 引用発明の「導電性フィラー(D)」は、銀コ-ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉であることから、本件特許発明1の「導電性微粒子(C)」に相当する。 引用発明の「シランカップリング剤」は、官能基を有する化合物であることは明らかであって、また、引用発明の「ポリウレタン樹脂(A)」及び「エポキシ樹脂(B)」とは別に添加するものであるから、本件特許発明1の「官能基を有する化合物(D)」、及び「前記化合物(D)は、シランカップリング剤であり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物であり」に相当する。 但し、官能基が、本件特許発明1では、「窒素、リン、および硫黄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの元素を含む官能基」であるのに対して、引用発明ではその旨の特定がされていない点で相違する。 また、本件特許発明1では「前記化合物(D)を前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含む」であるのに対して、引用発明ではその旨の特定がされていない点で相違する。 引用発明の「硬化性導電性接着剤組成物」は、熱硬化樹脂であるポリウレタン樹脂(A)、硬化剤であるエポキシ樹脂(B)、化合物であるシランカップリング、導電性微粒子である導電性フィラー(D)を含有するものであるから、本件特許発明1の「導電性樹脂組成物」に相当する。 そうすると、本件特許発明1と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、導電性微粒子(C)、ならびに官能基を有する化合物(D)を含有し、 前記熱硬化性樹脂(A)は、カルボキシル基を有し、かつ酸価が5~40mgKOH/gであり、 前記化合物(D)は、シランカップリング剤であり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物である、導電性樹脂組成物。」 (相違点1) 官能基が、本件特許発明1では、「窒素、リン、および硫黄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの元素を含む官能基を有する」であるのに対して、引用発明ではその旨の特定がされていない点。 (相違点2) 本件特許発明1では「前記化合物(D)を前記熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含む」であるのに対して、引用発明ではその旨の特定がされていない点。 まず、相違点2について検討する。 引用文献1においてシランカップリング剤(「化合物(D)」に相当)の量に関しては、段落[0083]に「耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲」と記載されるのみで、具体的な範囲は記載されておらず、また、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含むものとすることが周知技術であるとも認められない。 したがって、上記相違点1を検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 なお、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項である訂正前の請求項3に記載の発明特定事項に関して、特許異議申立人は、特許異議申立書において、 「本件特許発明3と甲第1発明とを対比する。上記イ-1-10)に記載の通り、甲1号証の合成例A-3では、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン21.0gをポリウレタンポリマー137.8gに加えている。これはポリウレタン樹脂100重量部に対して約15重量部となる。」と主張している。(特許異議申立書13頁15行-19行) しかしながら、この「合成例A-3」は甲第1号証における硬化性導電性接着剤組成物(本特特許発明1の「導電性樹脂組成物」)の原料のポリウレタン樹脂(A)(本特特許発明1の「熱硬化性樹脂(A)」)を製造する際の配合割合を表すものであって、硬化性導電性接着剤組成物の配合割合を表すものではない。 そして、甲第1号証の段落[0047](上記「2.(2)ア.f」)に記載されるようにポリウレタンを合成する際に「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」を用いるのは、合成したポリウレタン樹脂にアルコキシシリル基を導入するためである。してみると、硬化性導電性接着剤組成物の原料として用いる合成されたポリウレタン樹脂中には、「N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン」はアルコキシシリル基として取り込まれ存在していないものと認められる。 よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。 イ.本件特許発明2、4ないし7について 本件特許発明2、4ないし7はいずれも請求項1を直接または間接的に引用するものである。したがって、本件特許発明2、4ないし7は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件特許発明1についての判断と同様の理由により、本件特許発明2、4ないし7は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由等について (1)申立理由の概要 ア.特許法第29条第1項第3号 請求項1ないし7に係る発明は、下記の甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1ないし7に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 記 甲第1号証:国際公開第2014/010524号(引用文献1) (2)各甲号証の記載事項 甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明(引用発明)に関しては、上記「2.(2)ア.引用文献1の記載事項」に記載のとおりである。 (3)対比・判断 取消理由アについて ア.本件特許発明1について 本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明を対比すると、上記「2.(3)ア.本件特許発明1について」で記したように、上記相違点1、及び、相違点2で相違する。 そして、相違点2に関して検討すると、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1~20重量部含むものとすることが自明であるとはいえない。 したがって、本件特許発明1は引用発明と少なくとも相違点2において相違するものであることから、引用文献1に記載された発明ではない イ.本件特許発明2、4ないし7について 本件特許発明2、4ないし7はずれも請求項1を直接または間接的に引用するものである。したがって、本件特許発明2、4ないし7は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件特許発明1についての判断と同様の理由により、本件特許発明2、4ないし7は、引用文献1に記載された発明ではない。 第4 むすび 以上のとおり、本件特許発明1、2、4ないし7に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許発明1、2、4ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件の請求項3に係る特許については訂正により削除され、本件特許の請求項3に対して、特許異議申立人がした特許異議申立てについてはその対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700558

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