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特許異議申立

2019-700100

保持具

審判番号
2019-700100
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-140666
登録番号
特許第6375094号(P6375094)
請求日
2019年02月08日
審決日
2019年09月26日
公報発行日
2019年12月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】竹内工業株式会社
  • 【権利者代理人】鈴木 章夫
  • 【異議申立人】廣瀬 哲夫
審判長/審判官
  • 審判長 井上 信一
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 國分 直樹
分類
P1651.113-YAA(H05K) / P1651.121-YAA(H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6375094号発明「保持具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6375094号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6375094号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第6375094号の請求項1に係る特許についての出願は、平成24年6月22日に特許出願され、平成30年7月27日にその特許権の設定登録がされ、同年8月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、平成31年2月8日に特許異議申立人 廣瀬 哲夫により特許異議の申立てがされた。そして、令和1年5月23日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年6月27日付けで特許権者により訂正の請求がされ、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、同年8月8日に意見書を提出した。 第2.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 令和1年6月27日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項のとおりである。なお、下線は訂正部分を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「対象物を保持する保持部と、前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備え、」 と記載されているのを、 「対象物を保持する保持部と、前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備え、前記保持部は前記対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドは前記バンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し、」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記スナップ部は前記保持部を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記保持部と高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え、さらに前記保持部の真横位置において前記スナップ片に連結され、保持部側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え、前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記保持部は対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されることを特徴とする保持具。」 と記載されているのを、 「前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え、さらに前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、ヘッド側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え、前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されることを特徴とする保持具。」に訂正する。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0006】に 「本発明の保持具は、対象物を保持する保持部と、当該保持部に一体に設けられ基板に設けた取付穴に嵌合して保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備えた保持具であって、スナップ部は、保持部を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、取付穴に挿入されたときに保持部と高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備える。また、スナップ片は基板の表面側から取付穴に嵌合したときに保持部での対象物の保持が可能な範囲で、保持部の基板側に向けられた底面が基板の表面よりも当該基板の裏面側の位置で嵌合する構成とする。本発明においては、さらに保持部の真横位置において前記スナップ片に連結され、保持部側に向けて変形されたときに前記スナップ片の嵌合を解除する解除片を備える。」 と記載されているのを、 「本発明の保持具は、対象物を保持する保持部と、当該保持部に一体に設けられ基板に設けた取付穴に嵌合して保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備えた保持具であって、保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドは、バンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し、スナップ部はヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、取付穴に挿入されたときにヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備える。本発明においては、さらにヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、ヘッド側に向けて変形されたときに前記スナップ片の嵌合を解除する解除片を備える。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 明細書の段落【0007】に 「本発明によれば、スナップ片は保持部の側方位置において取付穴に嵌合されるので、保持部をスナップ片と同等な高さ位置にまで下げることができ、保持部の底面は基板の表面よりも低い位置となり、基板の表面に対する保持具全体の高さ寸法を低減することができ、基板に構成した構造体の薄型化が可能になる。特に、スナップ片の上端部に脚片や解除片を連結するスナップ部では、当該上端部を保持部の真横に配置することで、保持部の下側にこれら脚片と解除片を配設するためのスペースが不要になり、保持具の高さ寸法を低減することができる。また、解除片を備えることによりスナップ片による嵌合を容易に解除することができる。」 と記載されているのを、 「本発明によれば、スナップ片はヘッドの側方位置において取付穴に嵌合されるので、ヘッドをスナップ片と同等な高さ位置にまで下げることができ、ヘッドの底面は基板の表面よりも低い位置となり、基板の表面に対する保持具全体の高さ寸法を低減することができ、基板に構成した構造体の薄型化が可能になる。特に、スナップ片の上端部に脚片や解除片を連結するスナップ部では、当該上端部をヘッドの真横に配置することで、保持部の下側にこれら脚片と解除片を配設するためのスペースが不要になり、保持具の高さ寸法を低減することができる。また、解除片を備えることによりスナップ片による嵌合を容易に解除することができる。」に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0010】に「ハンド3」と記載されているのを、「バンド3」に訂正する。 2.訂正要件についての判断 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「保持部」を、「保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドはバンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し」としてその構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0009】には、「前記保持部1は、ケーブルを結束するための細長い帯状のバンド3と、このバンド3の基端に一体に設けられたヘッド4を有しており、これらバンド3とヘッド4は弾性のある樹脂材料によって一体形成されている。」と、また、段落【0010】には「前記バンド3は一方の表面の長さ方向の一部に長さ方向の断面が鋸歯状をした歯部31が形成されている。前記ヘッド4には前記バンド3が先端側から挿通されるバンド挿通溝41が貫通形成されており、このバンド挿通溝41に臨む部位に舌片状をしたロック片42が形成されている。このロック片42には前記バンド3の歯部31に歯合される係止歯43が一体に設けられており、前記バンド挿通溝41にバンド3が挿通されたときに当該係止歯43が歯部31に歯合し、バンド3を挿通した方向と反対方向に移動させることを係止してバンド3をロックさせるようになっている。」と、さらに、段落【0021】には「ヘッド4には上下方向にバンド挿通溝41を形成し、バンド3はヘッド4の側面方向に延長されている。また、ヘッド4の上面に沿った部分には外側に突出した横リブ44が一体に形成されている。」と記載されている。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「前記スナップ部は前記保持部を挟む両側に・・・、前記保持部と高さ方向に重なった状態・・・スナップ片」、「さらに前記保持部の真横位置において・・・、保持部側に向けて・・・解除片」、「前記スナップ片が・・・、前記保持部は対象物・・・配置される」における「保持部」を、訂正事項1で特定した「保持部」の一部である「ヘッド」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、「前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側に・・・、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態・・・スナップ片」に関しては、本件特許明細書の段落【0021】には、「一方、スナップ部2はヘッド4の下面に支柱体を設けてはおらず、ヘッド4の両側面の下端にスナップ片22の基端部を連結している。スナップ片22はヘッド4の両側の真横位置において先端が上方に向けて延長されるとともに、その途中位置の外面にフック221を有している。」と、また、段落【0022】には「一対のスナップ片22はそれぞれ取付穴Hに内挿され、ヘッド4の両側方位置においてそれぞれのフック221が取付穴Hの内縁に嵌合される。」と記載されている。 また、「さらに前記ヘッドの真横位置において・・・、ヘッド側に向けて・・・解除片」に関しては、本件特許明細書の段落【0021】には「スナップ片22はヘッド4の両側の真横位置において先端が上方に向けて延長されるとともに、その途中位置の外面にフック221を有している。また、その先端となる上端部は解除片としても構成されており、両外側面には解除操作時に指を引っかけるための突起25が一体に形成されている。」と、また、段落【0023】には「この実施形態2ではスナップ片22の上端部に設けた突起25に指を引っかけて内側に変形させれば、これに連結されているスナップ片22を内側に変形させてフック221における取付穴Hとの嵌合を外し、スナッピングタイを基板Bから取り外すことができる。」と記載され、さらに、図6によれば、解除片の突起25を変形させる内側はヘッド側であることが看取できる。 さらに、「前記スナップ片が・・・、前記ヘッドは対象物・・・配置される」に関しては、本件特許明細書の段落【0022】には、「この実施形態2においても、図6(a),(b)に正面図と側面図を示すように、バンド3でケーブルCを結束した上で、ヘッド4及びスナップ部2を基板Bの取付穴Hに内挿する。・・・したがって、ヘッド4の底面側の一部は取付穴H内に内挿された状態となり、ヘッド4の底面は基板Bの表面よりも低くなる。・・・また、このようにヘッド4の底面を基板Bの表面よりも低くしても、バンド3は取付穴Hを挿通した状態でヘッド部4を挿通されるため、ケーブルCの結束の障害になることはない。」と記載されている。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項2は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.訂正事項3、4について 訂正事項3、4は、上記訂正事項1、2に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして、訂正事項3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項3、4は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 エ.訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の本件特許明細書の段落【0010】の「以上のハンド3及びヘッド4からなる保持部1」における「ハンド3」を「バンド3」に訂正するものであって、本件特許明細書において記号「3」は一貫して「バンド3」と記載されていることから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに、訂正事項5は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 第3.特許異議の申立について 1.本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 対象物を保持する保持部と、前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備え、前記保持部は前記対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドは前記バンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し、前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え、さらに前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、ヘッド側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え、前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されることを特徴とする保持具。」 2.取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る発明についての特許に対して令和1年5月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件出願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 引用文献:特開平11-82429号公報 (甲第1号証) (2)引用文献の記載 ア.引用文献の記載事項 引用文献には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同様。) a.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車のエンジンルーム内に配線されるハーネスを結束して、パネルの所定位置に固定することのできる取外可能なハーネスクリップの改良に関するものである。 ・・・・中略・・・・ 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る取外可能なハーネスクリップも、合成樹脂の一体成形品で、図1乃至図3に示す如く、ハーネスを抱持する長尺なバンド体1と、パネルの取付孔に固定される固定体2とから成るものであるが、前者のバンド体1に対しては、その両面に連続する鋸歯状列歯3A・3Bを形成すると共に、その基端部1aを内側に空所4を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部1aを固定体2の上端一側縁に面一状態をもって連設する構成となしている。 【0011】又、後者の固定体2に対しては、上下方向に貫通する先細りの中空楕円筒形状となして、その内部の軸線方向にバンド体1を自由端部1b側から挿通する挿通孔5を形成する一方、バンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの上部に、突出肩部6aを有する一対の係止脚片6を固定体2の上端に達する平行スリット7を介して撓み可能に設けて、該各係止脚片6の上端部に外方に水平状態をもって延びる一対の操作片8A・8Bを一体に突設する構成となっている。従って、バンド体1が連設されていない側の操作片8Aは、そのままの露呈した状態で、固定体2から外方に突出することとなるが、バンド体1が連設されている側の操作片8Bは、逆に、上記した二叉状基端部1aの空所4内に突出することとなる。 【0012】これに加えて、上記挿通孔5のバンド体1が連設されていない入口側孔縁に一対のテーパー突起9を一定の間隔をおいて立設すると共に、バンド体1が連設されていない方向において対向する側壁2bの上端縁に一対のフランジ片10を斜設し、且つ、バンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの下部に、挿通孔5内に傾斜する状態をもって臨む一対の逆止爪11を固定体2の下端に達する平行スリット12を介して撓み可能に設ける構成となしている。この為、各逆止爪11と係止脚片6との関係は、夫々の撓み支点となる連結部13を介して一体的に連続することとなる。」 b.「【0013】依って、斯る構成のハーネスクリップを用いて、ハーネスHをパネルPの所定位置に固定する場合には、バンド体1の鋸歯状列歯3Aが形成されている片面でハーネスHの外周を抱持する状態を得て、バンド体1をその自由端部1b側から上記固定体2の挿通孔5内に縦方向から挿通しながら、当該自由端部1bを下方に引き出して、バンド体1の両面に形成されている鋸歯状列歯3A・3Bの所定部位に対応する逆止爪11を係合させれば、この両面に対する強固な係合状態の下で、ハーネスHがバンド体1により確実に結束される。尚、この場合には、上記したテーパー突起9の存在によって、バンド体1の自由端部1bの挿通孔5内に対する挿通作業がスムーズに行なわれると共に、ハーネスHを結束したバンド体1の操作片8A方向への倒れをも有効に阻止できるので、当該操作片8Aがバンド体1によって隠されることは決してない。 【0014】従って、後は、各フランジ片10のパネルP面に対する弾性当接作用を伴って、固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込むと、一対の係止脚片6が内方に撓みながら取付孔Paを通過した後、外方へ拡がった原形に復帰して、各自の突出肩部6aを取付孔Paの孔縁に弾性的に係止するので、これにより、図4に示す如く、ハーネスHが結束状態のままパネルP側に固定されることとなる。 【0015】尚、斯る状態にあっては、バンド体1の二叉状基端部1aは、図示する如く、ハーネスHの結束に応じて、上方に持ち上げられて湾曲することとなるので、当該側の操作片8Bは、二叉状基端部1aの空所4から完全に脱して、逆側の操作片8Aと同様に、パネルP面に沿いながら露呈した状態で外方に突出することとなる。又、固定体2の内部軸線方向に挿通孔5が形成されている関係で、従来のものと比較すると、ハーネスHの結束支持位置を低くすることが可能となるので、周辺機器との干渉も効果的に回避できることとなる。 【0016】そして、クリップ自体をパネルPから取り外す必要が生じた場合には、ハーネスHの上方から上記一対の操作片8A・8Bを把持して、当該一対の操作片8A・8Bを各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向に押圧すると、図5に示す如く、これと連動して、各係止脚片6が上記連結部13を支点として内方に変位して、各自の突出肩部6aの取付孔Paの孔縁に対する係止状態を解くので、斯る状態のまま、固定体2をパネルPの取付孔Paから引き抜けば、固定体2側を損傷・破損することなく、パネルPから取り外すことが可能となる。 【0017】しかも、この場合には、既述した如く、バンド体1が連設されている側の操作片8Bは、二叉状基端部1aの空所4から完全に脱して外部に露呈し、バンド体1が連設されていない側の操作片8Aは、テーパー突起9の倒れ込み防止作用で、やはり、バンド体1に隠されることなく外部に露呈しているので、一対の操作片8A・8Bの把持・押圧作業は極めて容易となる。 【0018】又、これに続いて、ハーネスHの結束状態をも併せて解除したい場合には、一対の操作片8A・8Bを前記以上の力で押圧すると、図6に示す如く、今度は、上記連結部13を支点として、一対の逆止爪11が対応する係止脚片6の内方への変位と連動して外方に変位して、バンド体1の鋸歯状列歯3A・3Bから外れるので、後は、斯る状態のまま、挿通孔5からバンド体1を引き抜けば、操作片8A・8Bを利用するだけで、ハーネスHの結束状態をも極めて容易に解除できることとなる。」 c.「図2 」 d.「図3 」 e.「図4 」 ・上記aの段落【0010】には、ハーネスクリップは、合成樹脂の一体成形品で、ハーネスHを抱持する長尺なバンド体1と、パネルPの取付孔Paに固定される固定体2とから成るものであることが記載されている。 ・上記aの段落【0010】には、バンド体1は、その両面に連続する鋸歯状列歯3A・3Bが形成されると共に、その基端部1aを内側に空所4を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部1aを固定体2の上端一側縁に面一状態をもって連設されることが記載されている。 ・上記aの段落【0011】には、固定体2には、上下方向に貫通する先細りの中空楕円筒形状となして、その内部の軸線方向にバンド体1を自由端部1b側から挿通する挿通孔5が形成されること、さらに、固定体2のバンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの上部に、突出肩部6aを有する一対の係止脚片6が固定体2の上端に達する平行スリット7を介して撓み可能に設けられて、該各係止脚片6の上端部に外方に水平状態をもって延びる一対の操作片8A・8Bが一体に突設されることが、また、段落【0012】には、バンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの下部に、挿通孔5内に傾斜する状態をもって臨む一対の逆止爪11を固定体2の下端に達する平行スリット12を介して撓み可能に設けられ、各逆止爪11と係止脚片6との関係は、夫々の撓み支点となる連結部13を介して一体的に連続すること、そして、段落【0018】には、連結部13を支点として、一対の逆止爪11が対応する係止脚片6の内方への変位と連動して外方に変位することが記載されている。 ・上記bの段落【0013】には、バンド体1の鋸歯状列歯3Aが形成されている片面でハーネスHの外周を抱持する状態を得て、バンド体1をその自由端部1b側から上記固定体2の挿通孔5内に縦方向から挿通しながら、当該自由端部1bを下方に引き出して、バンド体1の両面に形成されている鋸歯状列歯3A・3Bの所定部位に対応する逆止爪11を係合させれば、この両面に対する強固な係合状態の下で、ハーネスHがバンド体1により確実に結束されることが記載されている。 ・上記bの段落【0014】には、固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込むと、一対の係止脚片6が内方に撓みながら取付孔Paを通過した後、外方へ拡がった原形に復帰して、各自の突出肩部6aを取付孔Paの孔縁に弾性的に係止する」ことが、また、段落【0016】には、「クリップ自体をパネルPから取り外す必要が生じた場合には、ハーネスHの上方から上記一対の操作片8A・8Bを把持して、当該一対の操作片8A・8Bを各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向に押圧すると、これと連動して、各係止脚片6が内方に変位して、各自の突出肩部6aの取付孔Paの孔縁に対する係止状態を解かれることが記載されている。 ・図4(上記e)によれば、バンド体1がハーネスHを抱持しバンド体1の自由端部1bが挿通孔5に挿入された固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込んだ状態においては、一対の係止脚片6はバンド体1を挟む両側にそれぞれ配置され、さらに、係止脚片6の突出肩部6aは、固定体2と高さ方向に重なった状態で取付孔Paに嵌合していること、また、固定体2の下面及びバンド体1の自由端部1b側の一部はパネルPの表面よりも裏面側の位置に配置されていることが看取できる。 したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「合成樹脂の一体成形品で、ハーネスHを抱持する長尺なバンド体1と、パネルPの取付孔Paに固定される固定体2とから成るハーネスクリップであって、 前記バンド体1は、その両面に連続する鋸歯状列歯3A・3Bが形成されると共に、その基端部1aを内側に空所4を画成する二叉形状となして、当該二叉状基端部1aを固定体2の上端一側縁に面一状態をもって連設され、 前記固定体2には、上下方向に貫通する先細りの中空楕円筒形状となして、その内部の軸線方向にバンド体1を自由端部1b側から挿通する挿通孔5が形成されており、 前記固定体2のバンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの上部には、突出肩部6aを有する一対の係止脚片6が固定体2の上端に達する平行スリット7を介して撓み可能に設けられており、さらに、該各係止脚片6の上端部に外方に水平状態をもって延びる一対の操作片8A・8Bが一体に突設されており、また、側壁2aの下部に、挿通孔5内に傾斜する状態をもって臨む一対の逆止爪11を固定体2の下端に達する平行スリット12を介して撓み可能に設けられ、各逆止爪11と係止脚片6との関係は、夫々の撓み支点となる連結部13を介して一体的に連動するものであって、 バンド体1の鋸歯状列歯3Aが形成されている片面でハーネスHの外周を抱持する状態を得て、バンド体1をその自由端部1b側から上記固定体2の挿通孔5内に縦方向から挿通しながら、当該自由端部1bを下方に引き出して、バンド体1の両面に形成されている鋸歯状列歯3A・3Bの所定部位に対応する逆止爪11を係合させると、この両面に対する強固な係合状態の下で、ハーネスHがバンド体1により確実に結束され、 固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込むと、一対の係止脚片6が内方に撓みながら取付孔Paを通過した後、外方へ拡がった原形に復帰して、各自の突出肩部6aを取付孔Paの孔縁に弾性的に係止し、また、クリップ自体をパネルPから取り外す必要が生じた場合には、ハーネスHの上方から上記一対の操作片8A・8Bを把持して、当該一対の操作片8A・8Bを各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向に押圧すると、これと連動して、各係止脚片6が内方に変位して、各自の突出肩部6aの取付孔Paの孔縁に対する係止状態を解かれ、 バンド体1がハーネスHを抱持しバンド体1の自由端部1bが挿通孔5に挿入された固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込んだ状態においては、一対の係止脚片6はバンド体1を挟む両側にそれぞれ配置され、さらに、係止脚片6の突出肩部6aは、固定体2と高さ方向に重なった状態で取付孔Paに嵌合し、さらに、固定体2の下面及びバンド体の自由端部1b側の一部はパネルPの表面よりも裏面側の位置に配置されている、 ハーネスクリップ。」 (3)当審の判断 本件特許発明と引用発明とを対比すると以下のとおりである。 a.引用発明の「ハーネスH」は、本件特許発明の「対象物」に相当する。 また、引用発明は、バンド体1がハーネスHを抱持しバンド体1の自由端部1bが固定体2の挿通孔5に挿入されるものであって、バンド体1が固定体2の挿通孔5に挿入されることでハーネスHを保持しているものと認められる。 したがって、引用発明の「バンド体1」及び「固定体2」が、本件特許発明の「対象物を保持する保持部」に相当する。 b.引用発明の「ハーネスHを抱持する長尺なバンド体1」は、本件特許発明の「対象物を結束する帯状のバンド」に相当する。 また、引用発明の「固定体2」は、その上端一側縁にバンド体1の基端部の二叉状基端部1aが連設されるものであるから、本件特許発明の「当該バンドの基端に一体に設けられたヘッド」に相当する。 したがって、引用発明は、本件特許発明と同様に、「保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え」るものである。 c.引用発明の「挿通孔5」は、バンド体1を自由端部1b側から挿通させるものであるから、本件特許発明の「バンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴」に相当する。 また、引用発明の「逆止爪11」は、バンド体1の自由端部1b側を上記固定体2の挿通孔5内に挿通し下方に引き出した際、バンド体1の両面に形成されている鋸歯状列歯3A・3Bに係合し、この両面が強固な係合状態となるものである。よって、本件特許発明の「当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片」に相当する。 したがって、引用発明の「前記固定体2には、・・・、その内部の軸線方向にバンド体1を自由端部1b側から挿通する挿通孔5が形成され」、及び「前記固定体2の・・・、側壁2aの下部に、挿通孔5内に傾斜する状態をもって臨む一対の逆止爪11を固定体2の下端に達する平行スリット12を介して撓み可能に設けられ」ことは、本件特許発明の「当該ヘッドはバンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し」に相当する。 d.引用発明の「パネルP」、「取付孔Pa」は、それぞれ本件特許発明の「基板」、「取付穴」に相当する。 そして、引用発明の「係止脚片6」は、固定体2のバンド体1が連設されている方向において対向する側壁2aの上部に、固定体2の上端に達する平行スリット7を介して撓み可能に設けられるものであって、また、引用発明は合成樹脂の一体成形品であるから、「係止脚片6」は固定体2に一体的に設けられているものと認められる。 また、引用発明の「一対の係止脚片6」は、固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込むと内方に撓みながら取付孔Paを通過した後、外方へ拡がった原形に復帰して、各係止脚片6の突出肩部6aを取付孔Paの孔縁に弾性的に係止させるものであり、固定体2をパネルPに取り付けるものといえる。 したがって、引用発明の「一対の係止脚片6」は、本件特許発明の「前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部」に相当する。 さらに、引用発明の「バンド体1がハーネスHを抱持しバンド体1の自由端部1bが挿通孔5に挿入された固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込んだ状態においては、一対の係止脚片6はバンド体1を挟む両側にそれぞれ配置されるものである」ことと、本件特許発明の「前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有」することとは、「前記スナップ部は前記保持部を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有」する点で共通する。 但し、スナップ部が有する部位により挟まれる保持部が、本件特許発明では、「ヘッド」であるのに対して、引用発明では、バンド体である点で相違する。 e.引用発明の「突出肩部6a」は、一対の係止脚片6が有するものであって、固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込んだ状態において、固定体2と高さ方向に重なった状態で取付孔Paに嵌合すものである。 したがって、引用発明の「一対の係止脚片6」が「突出肩部6a」を有することは、本件特許発明の「少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え」ることに相当する。 f.引用発明の「操作片8A・8B」は、各係止脚片6の上端部に突設されるものであり、また、各係止脚片6の突出肩部6aは、固定体2と高さ方向に重なった状態で取付孔Paに嵌合するものであるから、「操作片8A・8B」は、各係止脚片6の突出肩部6aと固定体2の真横位置で連結されているものと認められる。 また、引用発明の「操作片8A・8B」は、クリップ自体をパネルPから取り外す必要が生じた場合に、ハーネスHの上方から一対の操作片8A・8Bを把持して、当該一対の操作片8A・8Bを各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向に押圧すると、これと連動して、各係止脚片6が内方に変位して、各自の突出肩部6aの取付孔Paの孔縁に対する係止状態を解くものである。そして、各係止脚片6の弾性力に抗して互いに接近する方向は、各係止脚片6がバンド体1を挟む両側にそれぞれ配置されるものであるから、バンド体側に向けて変形させる方向と認められる。 したがって、引用発明の「係止脚片6」に「操作片8A・8B」が突設されること、本件特許発明の「前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、ヘッド側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え」ることとは、「前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、保持部側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え」る点で共通する。 但し、解除片を変形させる方向の保持部が、本件特許発明では、「ヘッド」であるのに対して、引用発明では、バンド体である点で相違する。 g.引用発明の「バンド体1がハーネスHを抱持しバンド体1の自由端部1bが挿通孔5に挿入された固定体2をパネルPの取付孔Paに差し込んだ状態において」「固定体2の下面及びバンド体の自由端部1b側の一部はパネルPの表面よりも裏面側の位置に配置されている」ことは、本件特許発明の「前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されること」に相当する。 h.引用発明の「ハーネスクリップ」は、「バンド体1」、「固定体2」、「一対の係止脚片6」を備えるものであるから、本件特許発明の「保持具」に相当する。 そうすると、本件特許発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「対象物を保持する保持部と、前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備え、保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドはバンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し、前記スナップ部は前記保持部を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え、さらに前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、保持部側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え、前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されることを特徴とする保持具。」 (相違点1) スナップ部が有する部位により挟まれる保持部が、本件特許発明では、「ヘッド」であるのに対して、引用発明では、バンド体である点で相違する。 (相違点2) 解除片を変形させる方向の保持部が、本件特許発明では、「ヘッド」であるのに対して、引用発明では、バンド体である点で相違する。 したがって、本件特許発明は、引用発明と相違点1、2において相違するものであることから、引用文献1に記載された発明ではない。 3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立理由の概要 ア.理由1 訂正前の請求項1に係る特許は、下記の甲第1号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 イ.理由2 訂正前の請求項1に係る特許は、下記の甲第2号証に記載の発明に、甲第3~7号証に記載された技術事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証: 特開平11-82429号公報(引用文献) 甲第2号証: 特開平8-42757号公報 甲第3号証: 特開2004-274073号公報 甲第4号証: 特開2004-278703号公報 甲第5号証: 特開2004-218762号公報 甲第6号証: 特開2005-114124号公報 甲第7号証: 特開2004-60790号公報 (2)各甲号証の記載 甲第1号証の記載事項に関しては、上記「2. (2) ア.引用文献の記載事項」の記載のとおり。 ア.甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。) (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の電装品用のハーネス(電線)等を車体パネル等の取付孔に保持するためのバンドクリップに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、自動車等において、電線やパイプ等の被保持物を結束し車体のパネル等の保持体に取り付けて保持させる部品として、合成樹脂の一体成形よりなるいわゆるバンドクリップ(ハーネスクリップ,ベルトクランプ等各種の呼称がある)が使用されている。これは、係合部(段部又は爪等)が形成された貫通孔を有するロック部(バックル)と、このロック部の片側から延びて前記係合部に係合する歯を有するバンド部と、ロック部の他側に形成されたステム部(脚部)とを有し、バンド部を被保持物に巻付け、このバンド部の先端側をロック部の貫通孔に挿通してバンド部の歯とロック部の係合部を係合させた状態で、ステム部を保持体の取付孔に挿入係止させることにより、電線等の被保持物をパネル等の保持体に取り付けるものである。 【0003】そして、従来この種のバンドクリップとしては、第一に、例えば実公昭58-36190号公報に開示されたタイプが知られている。これは、ロック部の貫通孔がステム部の挿通方向(取付孔の軸方向)に形成され、バンド部の先端もステム部とともに取付孔に挿通する点に特徴を有する。また第二に、実公平5-43344号公報に示されたものがある。これは、ロック部の貫通孔がステム部の挿入方向に対して横方向に形成され、被保持物に巻付けたバンド部の先端を取付状態においてパネルの上面に沿ってロック部の側面から引出した状態とするものである。」 (イ)「【0006】なお、電線等の被保持物とパネル等の保持体取付面との間隔が大きくなると、電線等を配線するために余分なスペースが必要となり、高密度な部品配置が要求される分野で極めて不利となる。例えば自動車では、近年、オーディオ機器やナビゲーション装置、あるいはエアバッグシステムといったように多数の電気機器や安全用機器が搭載され、これらを搭載した上に広い居住空間が要求されるため、インストパネルの裏側やドアトリムやカーペット下等においては、僅かなスペースの節約が設計上極めて重要となる。」 (ウ)「【0011】 【実施例】以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明する。本実施例のバンドクリップ1は、図1,2に示すように、ロック部10と、バンド部20と、ステム部30と、ハネ部40とを備える。ロック部10は、この場合外形が直方体状とされ、横方向に貫通する貫通孔11を有するもので、この貫通孔11の下側内面に可撓性のある爪12が突設されている。このロック部10は、取付状態において下面13が図3に示すような取付パネルP(保持体)に接合するものであるが、この場合爪12が形成された凹部14がこの下面13よりも下方位置に形成され、この部分の肉厚が下面13から突出し取付パネルPの取付孔Aにはまり込む凸部15を形成している。そして、このように取付孔A内に部分的に収納される形状とされた分だけ、下面13からの高さ寸法L1が小さくなっている。具体的には、例えばバンド部の厚さが1.5mm程度のサイズの場合、このロック部10の高さ寸法L1は5mm程度とすることができる。なおここで爪12は、バンド部20の挿入のみを許すラチェット作用を奏するべく、バンド部20が挿入される際には後述する歯24を乗り越えるように変形する形状とされている。 【0012】バンド部20は、全体として柔軟性のある薄い帯状のもので、その基端部21がロック部10の上部側面から斜めに伸び出し、途中から屈曲して挿通部22と先端部23とが上方へ長く伸びるように成形されたもので、少なくとも先端部23と挿通部22とが前記貫通孔11に挿通可能な断面形状とされ、挿通部22の一面側には前記爪12に係合する歯24が一定ピッチで複数形成されている。 【0013】ステム部30は、ロック部10の下面から下方に伸びる支柱部31と、この支柱部31の下端両側から斜め上方に錨状に伸びて先端に段部32が形成された可撓片33とよりなる。このステム部30は、挿入時に可撓片33が一旦内側に撓むことにより、取付パネルPの取付孔Aに挿入され、図3の如く段部32が取付孔Aの下側角部に係合することにより係止させられるものである。 【0014】ハネ部40は、ロック部10の両側下部から下方に斜めに伸びる薄板状のもので、取付時に取付パネルPの上面(取付面)に弾接し、ステム部30を引抜く方向に付勢することにより、取付パネルPの厚さの違いを吸収し、ガタ付きのないようにするものである。」 (エ)「【0015】次に作用を説明する。上記バンドクリップ1によれば、バンド部20を電線等の被保持物Wの外周に巻付け、図2の鎖線に示す如くこのバンド部20の先端23の側をロック部10の貫通孔11に挿通して爪12と歯24とを係合させた状態で、ステム部30を取付パネルPの取付孔Aに挿入係止させることにより、容易に前記被保持物Wを取付パネルPに取り付けて保持させることができる。そして、この取付状態においては、バンド部20の先端部23が取付パネルPの上面側に出た状態となり、取付パネルPと被保持物Wの間の隙間はロック部10の高さL1となる。なお、被保持物Wの外径が小さくバンド部20の先端側がロック部10から長く出るときには、ステム部30を挿入係止させる前に、このバンド部20の先端側を切断して取付けることもできる。」 (オ)「【0017】しかも上記バンドクリップ1は、ロック部10の下面側に取付孔Aにはまり込む凸部15が形成されて、ロック部10が取付状態において部分的に取付孔A内に収納される形状とされているため、取付孔A内に収納される分だけロック部10の取付面からの高さL1が低くできる。すなわち図3に示すように、前述した従来の第二のタイプのバンドクリップ50(ロック部全体が取付パネルP上面側に位置する構成)であると、ロック部の高さL2がかなり高くなってしまうが、本バンドクリップ1の場合、ロック部10の高さL1は、凸部15が取付孔Aにはまり込む分だけ低くなる。このため、被保持物Wと取付パネルPの上面との間隔が小さくでき、この分被保持物Wの配置スペースを削減できるのであり、例えば自動車においては車室内のスペースを拡大することや、設計時におけるハーネスレイアウトがし易くなる。また、この凸部15の側面が取付孔A内面に当接することによりロック部10が取付孔Aの径方向に大きく変位することが阻止されるから、横ずれにより外れる恐れが解消される効果もある。」 (カ)「図3 」 ・図1、図3(上記(カ))によれば、可撓片33は凸部15を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、取付穴に挿入されたときに、凸部15と高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合する段部32を備えることが看取できる。 したがって、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が開示されていると認められる。 「ロック部10と、バンド部20と、ステム部30と、ハネ部40とを備えるバンドクリップ1において、 前記ロック部10は、外形が直方体状とされ、横方向に貫通する貫通孔11を有し、この貫通孔11の下側内面に可撓性のある爪12が突設され、取付状態において下面13が取付パネルP(保持体)に接合し、爪12が形成された凹部14がこの下面13よりも下方位置に形成され、この部分の肉厚が下面13から突出し取付パネルPの取付孔Aにはまり込む凸部15を形成されており、 前記バンド部20は、全体として柔軟性のある薄い帯状のもので、その基端部21がロック部10の上部側面から斜めに伸び出し、途中から屈曲して挿通部22と先端部23とが上方へ長く伸びるように成形されたもので、挿通部22の一面側には前記爪12に係合する歯24が一定ピッチで複数形成されており、 前記ステム部30は、ロック部10の下面から下方に伸びる支柱部31と、この支柱部31の下端両側から斜め上方に錨状に伸びて先端に段部32が形成された可撓片33とよりなり、挿入時に可撓片33が一旦内側に撓むことにより、取付パネルPの取付孔Aに挿入され、段部32が取付孔Aの下側角部に係合することにより係止させられるものであって、 バンド部20を電線等の被保持物Wの外周に巻付け、このバンド部20の先端23の側をロック部10の貫通孔11に挿通して爪12と歯24とを係合させた状態で、ステム部30を取付パネルPの取付孔Aに挿入係止させることにより、容易に前記被保持物Wを取付パネルPに取り付けて保持させることができ、 前記可撓片33は前記凸部15を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記凸部15と高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合する段部32を備える、 バンドクリップ1。」 イ.甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載又は示されている。 (ア)「【0001】 本発明は電子機器等の基板に電子部品やケーブル等を実装するために用いるケーブルクランプ等の実装用部品に関し、特に実装用部品を基板に取着するためのスナップ構造に関するものである。」 (イ)「【0005】 本発明の目的は、基板に対する実装用部品の取り付け及び取り外しを容易に行うことを可能にする一方で、当該実装用部品が意に反して基板から離脱することを防止したスナップ構造を提供するものである。」 (ウ) 「【0008】 次に、本発明の実施例1を図面を参照して説明する。図1は本発明のスナップ構造をケーブルタイに適用した実施例1の斜視図、図2はその正面図、図3(a)~(e)は要部の拡大平面図、左側面図、底面図、AA線断面図、BB線断面図である。これらの図において、実施例1のケーブルタイ1は、図外のケーブルを巻き締め状態にクランプするためのベルト部10と、このベルト部10をケーブルを巻き締めた状態にロックするロック部20と、前記ロック部20の下部ないし側部に形成されたスナップ部30とで構成されており、各部は樹脂成形により一体に形成されている。そして、シャーシ2に設けられた透孔3に嵌合状態に取着されるようになっている。」 (エ)「【0010】 一方、前記スナップ部30は前記ロック部20の下面から垂直下方に向けて突出された細長い板状をしたポスト31と、前記ポスト31の先端の左右面両から外側斜め上方に向けて延長され、水平方向の断面が前記ポスト31を中心とした円弧状に形成された矢尻型の一対のスナップ片32,32と、前記各スナップ片32,32の上端部と前記ロック部20の下面とをそれぞれ連結する一対の連結片33,33と、前記各連結片33,33の外面からそれぞれ外側下方に向けて直線的に突出された一対の脚片34,34と、前記各連結片33,33の外面から前記ロック部20の上縁部との間にわたってそれぞれ外側に膨らんだ状態で延長された一対の解除片35,35とを備えている。」 (オ)「【0013】 以上の構成のケーブルタイ1によれば、ケーブルタイ1をシャーシ2の透孔3に取着する際には、作業者はケーブルタイ1を指で摘んで図4(a)に示すように、スナップ片32,32をシャーシ2の上面側から透孔3に挿入する。このようにして挿入することにより、スナップ片32,32は内径方向に弾性変形されて縮径され、透孔3内の挿入を可能にする。なお、このとき指で解除片35,35を内側に向けて変形させることで連結片33,33を介してスナップ片32,32の縮径を助け、挿入し易くすることが可能である。また、スナップ片32,32が内径方向に縮径されても、ポスト31に設けたストッパ部36に干渉することはない。そして、図4(b)に示すように、スナップ片32,32が透孔3を貫通すると、スナップ片32,32は弾性力によって復元して外径方向に拡径し、段部321,321がシャーシ2の下面において透孔3の内縁部に係合する。また、脚片34,34は弾性力によってシャーシ2の上面に当接されているため、スナップ部30全体は透孔3に嵌合した状態が保持され、かつ段部321,321と透孔3の内縁部との係合によって脱落が防止される。また、このケーブルタイ1を取着した状態では、ポスト31に設けられているストッパ部36の下半分の衝接部38は透孔3内に進入された状態にあり、上半分の当接部37はシャーシ2の上面に接触、ないし近接された状態にある。」 (カ)「【0015】 一方、シャーシに対して取着状態にあるケーブルタイ1をシャーシから離脱させる際には、図6に示すように2本の指で解除片35,35を外側から摘み、かつ両側から力を加えて解除片35,35を内側に変形させる。この変形力は連結片33,33に伝えられ、連結片33,33が内側に変形されるため、これと一体のスナップ片32,32も内側に変形されて縮径され、段部321,321が透孔3の内縁部から外れる。したがって、そのままケーブルタイ1をシャーシ2の上方に引き上げることでスナップ部30を透孔3から引き抜くことができ、ケーブルタイ1の取り外しが容易に実現できる。」 (キ)「図6 」 したがって、甲第3号証には、以下の技術事項(以下、「甲3記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。 「ケーブルタイ1において、スナップ片32,32の上端部に連結する一対の連結片33,33に外側下方に向けて直線的に突出された一対の脚片34,34と、一対の解除片35,35を設けること。」 ウ.甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は電子機器等のシャーシに電子部品やケーブル等を実装するために用いる固定具に関し、特にシャーシの表面側からの取り外しを容易に行うことが可能な固定具に関するものである。」 (イ)「【0007】 本発明の目的は、シャーシの表面側からの取り外しを容易に行う一方で、シャーシから容易に脱落されることがない固定具を提供するものである。」 (ウ)「【0012】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の固定具をケーブルタイに適用した第1の実施形態の斜視図である。また、図2(a),(b)は側面図と背面図、図3(a)~(c)は要部の正面図、底面図、及びAA線断面図である。これらの図において、本実施形態のケーブルタイ1は、図外のケーブルを巻き締め状態にクランプするための保持部10と、この保持部10をシャーシ2に取着するために、当該シャーシ2に設けられた透孔3に嵌合される嵌合部20とで構成されており、両部は樹脂成形により一体に形成されている。前記保持部10はベルト部11と、このベルト部11をケーブルを巻き締めた状態にロックするロック部12とで構成されている。」 (エ)「【0014】 前記嵌合部20は前記ロック部12の筒状部121の下面から所要の長さで下方に突出した細長い板状のポスト21を備えている。前記ポスト21の下側の先端部にはそれぞれ径方向に弾性変形可能な一対の嵌合片22,22が連結されており、嵌合部全体として矢尻型に形成されている。前記一対の嵌合片22,22の外側面は前記ポスト21を中心とした円弧状とされ、円形の輪郭の一部を構成するようになっている。また、前記一対の嵌合片22,22の拡径された各端部にはそれぞれ板厚の小さい連結片23,23が一体に連結形成されており、当該先端部の外側面には前記連結片23,23と嵌合片22,22との板厚の差に相当する径方向の段部22a,22aが形成されている。 【0015】 前記一対の連結片23,23の他端には、それぞれ前記ロック部12の筒状部121の両側面に沿って幾分外側に湾曲された状態で上方に向けて延設された一対の解除片24,24が連結されている。また、前記一対の解除片24,24が前記連結片23,23に連結されている箇所には、それぞれ両外方向の幾分下方に向けて傾斜した状態でほぼ真直に突出された一対の脚片25,25が一体に形成されている。この一対の脚片25,25の各先端部25a,25aはシャーシ2の表面に当接するためにロッド状に形成されており、この先端部25a,25aは通常では前記嵌合片22,22の段部22a,22aよりもシャーシ2の板厚に対応して若干上方に位置されている。また、前記一対の解除片24,24の延設端部24a,24aは若干薄肉に形成されるとともにそれぞれ内側に向けてU字状に曲げ形成され、この屈曲された延設端部24a,24aは前記ロック部12の筒状部121の各外側面に対して若干の間隔をおいて対峙されるように位置されている。 【0016】 以上の構成のケーブルタイ1によれば、ケーブルタイ1をシャーシ2の透孔3に取着する際には、ケーブルタイ1の嵌合部20をシャーシ2の上面側から透孔3に挿入する。このようにして挿入することにより、図4(a)のように、嵌合部20の一対の嵌合片22,22は内径方向に弾性変形されて縮径され、透孔3内への挿入を可能にする。そして、図4(b)に示すように、嵌合片22,22が透孔3を貫通すると、嵌合片22,22は弾性力によって復元して外径方向に拡径し、段部22a,22aがシャーシ2の下面において透孔3の内縁部に係合する。また、これと同時に一対の脚片25,25の先端部25a,25aがシャーシ2の表面に弾性的に当接され、嵌合部20を上方に付勢するため、前記段部22a,22aを透孔3の内縁部に対して押圧することになり、係合状態を保持することになる。これにより、ケーブルタイ1を上方に引っ張った場合でも、段部22a,22aと透孔3との係合によって嵌合部20が透孔3から挿脱されることがなく、ケーブルタイ1をシャーシ2に固定することができる。」 (オ)「【0020】 一方、シャーシ2の透孔3に取着されたケーブルタイ1をシャーシから離脱する際には、図4(a)に鎖線で示したように、2本の指Fで解除片24,24を両外側から摘み、かつ両側から力を加えて解除片24,24を内側に変形させる。この変形により、同図のように解除片24,24と一体の連結片23,23も内側に向けて変形され、さらに連結片23,23と一体の嵌合片22,22も内側に変形されて縮径され、段部22a,22aが透孔3の内縁部から外れることになる。したがって、そのままケーブルタイ1をシャーシ2の上方に引き上げることで嵌合部20を透孔3から引き抜くことができ、ケーブルタイ1の取り外しが実現できる。」 (カ)「図4 」 したがって、甲第4号証には、以下の技術事項(以下、「甲4記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。 「固定具において、一対の嵌合片22,22の拡径された各端部にはそれぞれ板厚の小さい一対の連結片23,23の他端に、一対の解除片24,24と、幾分下方に向けて傾斜した状態でほぼ真直に突出された一対の脚片25,25を一体に形成すること。」 エ.甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は電子機器等のシャーシに電子部品やケーブル等を実装するために用いる固定具に関し、特にシャーシの表面側からの取り外しを容易に行うことが可能な固定具に関するものである。」 (イ)「【0006】 本発明の目的は、シャーシの表面側からの取り外しを容易に行うことを可能にした固定具を提供するものである。」 (ウ)「【0009】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の固定具としてワイヤサドル、特にミニサドルに適用した実施形態の斜視図、図2(a),(b),(c)はその正面図、平面図、右側面図である。これらの図において、ミニサドル1は、図外のケーブルを保持する保持部として、ここではサドル部10と、このサドル部10をシャーシに固定するための嵌合部20とで構成されており、樹脂成形により一体に形成されている。そして、前記嵌合部20がシャーシ2に設けられた透孔3に嵌入されることでシャーシ2に取着されるようになっている。」 (エ)「【0011】 また、嵌合部20は前記サドル本体11の下辺の一側部から幅方向に突出した基部21を有しており、この基部21によって嵌合部20は前記サドル部10の直下位置から側方に外れた位置に形成されている。前記嵌合部20は前記基部21の下面から所要の長さで下方に突出した細長い板状のポスト22を備えている。前記ポスト22の下側の先端部にはそれぞれ基部方向に向けて徐々に板厚が増加され、径方向に弾性変形可能な一対の嵌合片23,23が連結されており、嵌合部全体として矢尻型に形成されている。前記一対の嵌合片23,23の外側面は、図2(d)にA-A線断面図を示すように、前記ポスト22を中心とした円弧状とされ、円形の輪郭の一部を構成するようになっている。また、前記一対の嵌合片23,23の先端部にはそれぞれ板厚の小さい連結片24,24が一体に連結形成されており、当該先端部の外側面には前記連結片24,24と嵌合片23,23との板厚の差に相当する径方向の段部23a,23aが形成されている。前記一対の連結片24,24の他端は前記基部21に近接する位置に配置されており、この他端には前記基部21よりも上方に向けてしかも互いに離反するように外側に向けて翼状に広げられた一対の解除片25,25が一体に形成されている。なお、これら一対の解除片25,25の先端部は後述するように指で摘んだときに指先が痛くならないように断面が円形に形成されている。また、摘む際に解除片25,25自身が変形されることがないように所要の厚さに形成されている。 【0012】 以上の構成のミニサドル1によれば、ミニサドル1をシャーシ2の透孔3に取着する際には、図3及び図5(a)に示すように、作業者はミニサドル1の嵌合部20をシャーシ2の上面側から透孔3に挿入する。このようにして挿入することにより、嵌合部20の一対の嵌合片23,23は内径方向に弾性変形されて縮径され、透孔3内の挿入を可能にする。そして、図5(b)に示すように、嵌合片23,23が透孔3を貫通すると、嵌合片23,23は弾性力によって復元して外径方向に拡径し、段部23a,23aがシャーシ2の下面において透孔3の内縁部に係合する。これにより、ミニサドル1を上方に引っ張った場合でも、段部23a,23aと透孔3との係合によって嵌合部20が透孔3から挿脱されることがなく、ミニサドル1をシャーシ2に固定することができる。」 (オ)「【0014】 一方、シャーシ2に対して取着状態にあるミニサドル1をシャーシ2から取り外す際には、図3及び図5(c)にそれぞれ鎖線で示すように、2本の指Fで解除片25,25を両外側から摘み、かつ両側から力を加えて解除片25,25を内側に変形させる。この変形により、図5(c)に示すように、解除片25,25と一体の連結片24,24も内側に向けて変形される。したがって、連結片24,24と一体の嵌合片23,23も内側に変形されて縮径され、段部23a,23aが透孔3の内縁部から外れることになる。したがって、そのままミニサドル1をシャーシ2の上方に引き上げることで嵌合部20を透孔3から引き抜くことができ、ミニサドル1の取り外しが実現できる。」 (カ)「図5 」 したがって、甲第5号証には、以下の技術事項(以下、「甲5記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。 「固定具におて、一対の嵌合片23,23の先端部の一対の連結片24,24の他端に一対の解除片25,25が一体に形成されること。」 オ.甲第6号証の記載事項 甲第6号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 本発明は電子機器等のシャーシに電子部品やケーブル等を実装するために用いる固定具に関し、特にシャーシの表面側からの取り外しを容易に行うことが可能な固定具に関するものである。」 (イ)「【0006】 本発明の目的は、このような固定具における捩じり方向での変形が要因となってシャーシからの取り外しが困難になることを未然に防止した固定具を提供するものである。」 (ウ)「【実施例1】 【0010】 次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の固定具をシャーシの表面に沿ってケーブルを延設支持するためのケーブルクランプに適用した実施例1の斜視図である。また、図2(a),(b)は正面図と側面図、図3(a),(b)は図2(a)のAA線拡大断面図、BB線拡大断面図である。これらの図において、ケーブルクランプは1は、図外のケーブルをクランプするための保持部10と、この保持部10をシャーシ2に取着するために、当該シャーシ2に設けられた嵌合穴3に嵌合される嵌合部20とで構成されており、両部は樹脂成形により一体に形成されている。」 (エ)「【0012】 前記嵌合部20は前記支承片11の略中央の下面から所要の長さで下方に突出した概ね細長い板状のポスト21を備えている。前記ポスト21の下側の先端部にはそれぞれ径方向に弾性変形可能な一対の嵌合片22,22が連結されており、全体として矢尻型に形成されている。前記一対の嵌合片22,22の外側面は前記ポスト21を中心とした円弧状にされ、円形の輪郭の一部を構成するようになっている。また、前記一対の嵌合片22,22の拡径された各端部にはそれぞれ板厚の小さい連結片23,23が一体に連結形成されており、当該先端部の外側面には前記連結片23,23と嵌合片22,22との板厚の差に相当する径方向の段部22a,22aが形成されている。 【0013】 前記一対の連結片23,23の上端部には、それぞれ前記支承片11の両側面に沿って幾分外側に湾曲された状態で上方に向けて延設された一対の解除片24,24が連結されている。また、前記一対の解除片24,24が前記連結片23,23に連結されている箇所には、それぞれ両外方向の幾分下方に向けて傾斜した状態でほぼ真直に突出された一対の脚片25,25が一体に形成されている。この一対の脚片25,25の各先端部は通常では前記嵌合片22,22の段部22a,22aよりもシャーシ2の板厚に対応して若干上方に位置されている。また、前記一対の解除片24,24の上端部24a,24aは若干薄肉に形成されるとともにそれぞれ内側に向けられ、前記支承片11の各外側面に対して若干の間隔をおいて対峙されるように位置されている。」 (オ)「【0018】 一方、シャーシ2に装着したケーブルクランプ1をシャーシから離脱する際には、図5(b)に示すように、2本の指Fで解除片24,24を両外側から摘み、かつ両側から力を加えて解除片24,24を内側に変形させる。この変形により、同図のように解除片24,24と一体の連結片23,23も内側に向けて変形され、さらに連結片23,23と一体の嵌合片22,22も内側に変形されて縮径され、段部22a,22aが嵌合穴3の内縁部から外れることになる。したがって、そのままケーブルタイ1をシャーシ2の上方に引き上げることで嵌合部20を嵌合穴3から引き抜くことができ、ケーブルクランプ1の取り外しが実現できる。」 (カ)「図5 」 したがって、甲第6号証には、以下の技術事項(以下、「甲6記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。 「固定具において、一対の嵌合片22,22の拡径された各端部の一対の連結片23,23の上端部に、一対の解除片24,24と一対の脚片25,25が一体に形成されること。」 カ.甲第7号証の記載事項 甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は電子機器等のシャーシに電子部品やケーブル等を実装するために用いるケーブルクランプ等の固定具に関し、特にシャーシに対する着脱を容易にする一方でシャーシから容易に外れることがない固定具に関するものである。」 (イ)「【0005】 本発明の目的は、シャーシに対する取り付け及び取り外しを容易に行うことを可能にする一方で、意に反してシャーシから離脱することを防止した固定具を提供するものである。」 (ウ)「【0008】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の固定具としてケーブルタイに適用した第1の実施形態の斜視図である。また、図2(a),(b)はその背面図と側面図、図3(a)~(c)は要部を拡大した正面図、右側面図、底面図である。これらの図において、本実施形態のケーブルタイ1は、図外のケーブルを巻き締め状態にクランプするためのベルト部10と、このベルト部10をケーブルを巻き締めた状態にロックするロック部20と、前記ロック部20の下部ないし側部に形成された嵌合部30とで構成されており、各部は樹脂成形により一体に形成されている。そして、シャーシ2に設けられた透孔3に嵌合状態に取着されるようになっている。」 (エ)「【0010】 一方、前記嵌合部30は前記ロック部20の下面から垂直下方に向けて突出された細長い板状をしたポスト31と、前記ポスト31の先端の左右面両から外側斜め上方に向けて延長され、水平方向の断面が前記ポスト31を中心とした円弧状に形成された矢尻型の一対の嵌合片32,32と、前記各嵌合片32,32の一部として各嵌合片32,32の上端部から突出されて先端部33a,33aが外側にL字型に曲げ形成された連係片33,33と、前記ロック部20の筒状部21の両側面から前記連係片33の両外側に沿って下方に向けられ、かつ前記嵌合片32,32の先端部の高さ位置近傍まで延長され、先端が幾分外側に向けられてほぼ円柱状の当接部34a,34aを備える一対の脚片34,34とを備えている。ここで、前記連係片33,33は前記嵌合片32,32の上端部よりも薄肉に形成されており、これにより前記嵌合片32,32の上端部には連係片33,33との肉厚の差に相当する段部32a,32aが形成される。また、前記連係片33,33の先端部33a,33aは厚さ寸法が若干大きくされているとともに、その先端面は前記脚片34,34に対して前記ポスト31の突出方向と垂直な方向に微小の間隙を保って対向配置されている。」 (オ)「【0013】 一方、シャーシ2に対して取着状態にあるケーブルタイ1をシャーシ2から離脱させる際には、図4(b)に示すように、2本の指で脚片34,34を外側から摘み、かつ両側から力を加えて脚片34,34を内側に変形させる。この変形により脚片34,34の内面は連係片33,33の先端部33a,33aに当接され、脚片34,34の変形力は連係片33,33に伝えられ、連結片33,33が内側に変形されるため、これと一体の嵌合片32,32も内側に変形されて縮径され、段部32a,32aが透孔3の内縁部から外れる。したがって、そのままケーブルタイ1をシャーシ2の上方に引き上げることで嵌合部30を透孔3から引き抜くことができ、ケーブルタイ1の取り外しが実現できる。なお、脚片34,34を挟んで嵌合片32,32を縮径させる操作は、嵌合部30を透孔3に嵌合させるときに行ってもよい。」 (カ)「図4 」 したがって、甲第7号証には、以下の技術事項(以下、「甲7記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。 「固定具が、各嵌合片32,32の一部として各嵌合片32,32の上端部から突出されて形成された連係片33,33と、ロック部20の筒状部21の両側面から前記連係片33の両外側に沿って下方に向けられれた一対の脚片34,34とを備え、2本の指で脚片34,34を外側から力を加えて脚片34,34を内側に変形させると、脚片34,34の内面が連係片33,33の先端部33a,33aに当接されること。」 (3)当審の判断 ア.理由1について 本件特許発明と甲第1号証(引用発明)とを対比すると、上記「2. (3)当審の判断」に記したように相違点1、及び相違点2で相違する。 相違点1について検討する。 引用発明は、図2、3を参照すると、側壁2aに切り欠きがありそこに平行スリット7を介して係止脚片6が設けられるものであって、仮に、引用発明において係止脚片6(スナップ部)が挟む保持部を「固定体」とするには、側壁(固定体)の切り欠きをなくして係止脚片6を当該側壁に対向して設ける構成とする必要がある。 しかしながら、引用発明においては、側壁2aの下部にも平行スリット2を介して撓み可能に逆止爪11が設けられ、逆止爪11と係止脚片6とが撓み支点となる連結部13を介して一体的に連動するものであって、係止脚片6を切り欠きをなくして側壁に対向して設ける構成とすると、逆止爪11と係止脚片6との一体的な連動ができなくなってしまうことから、当該構成を採用することはできない。 よって、上記相違点1に係る本件特許発明の構成は、引用発明に基づいて、当業者が容易に採用し得たものではない。 したがって、相違点2を検討するまでもなく、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 イ.理由2について 本件特許発明と甲2発明とを対比すると以下のとおりである。 a.甲2発明の「被保持物W」は、本件特許発明の「対象物」に相当する。 また、甲2発明は、バンド部20を電線等の被保持物Wの外周に巻付け、このバンド部20の先端23の側をロック部10の貫通孔11に挿通して爪12と歯24とを係合させるものであって、バンド部20がロック部10の貫通孔11に挿通することで被保持物Wを保持しているものと認められる。 したがって、甲2発明の「バンド部20」及び「ロック部10」が、本件特許発明の「対象物を保持する保持部」に相当する。 b.甲2発明の「バンド部20」は、本件特許発明の「対象物を結束する帯状のバンド」に相当する。 また、甲2発明の「ロック部10」は、上部側面から斜めにバンド部20の基端部21が伸び出るものであるから、本件特許発明の「当該バンドの基端に一体に設けられたヘッド」に相当する。 したがって、甲2発明は、本件特許発明と同様に、「保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え」るものである。 c.甲2発明の「貫通孔11」は、バンド部20の先端23が挿通するものであるから、本件特許発明の「バンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴」に相当する。 また、引用発明の「爪12」は、バンド部20の先端23の側をロック部10の貫通孔11に挿通して歯24とを係合するものであって、係合した際にはバンドの長さ方向の移動はロックされるものと認められることから、本件特許発明の「当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片」に相当する。 したがって、甲2発明の「前記ロック部10は、外形が直方体状とされ、横方向に貫通する貫通孔11を有し、この貫通孔11の下側内面に可撓性のある爪12が突設され」は、本件特許発明の「当該ヘッドはバンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し」に相当する。 d.甲2発明の「パネルP」、「取付孔A」は、本件特許発明の「基板」、「取付穴」に相当する。 そして、甲2発明の「ステム部30」の「可撓片33」は、ロック部10の下面から下方に伸びる支柱部31の下端両側から斜め上方に錨状に伸びるように形成されるものであり、ロック部10と一体に設けられているものと認められる。また、取付孔Aへの挿入時に可撓片33が一旦内側に撓むことにより、可撓片33の先端の段部32が取付孔Aの下側角部に係合することによりステム部30が係止させられるものであるから、「可撓片33」はロック部10をパネルPに取り付けているといえる。 したがって、甲2発明の「可撓片33」は、本件特許発明の「前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部」に相当する。 e.また、甲2発明の「凸部15」は、「ロック部10」が有するものである。 したがって、甲2発明の「前記可撓片33は前記凸部15を挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記凸部15と高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合する段部32を備える」、本件特許発明の「前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え」るに相当する。 f.甲2発明の「ロック部10」の「凸部15」は、取付状態においてロック部の下面13が取付パネルPに接合した際、取付パネルPの取付孔Aにはまり込むものであり、凸部の底面は、取付パネルPの表面よりも裏面側の位置に配置されているものと認められる。 したがって、甲2発明の「前記ロック部10は・・・、取付状態において下面13が取付パネルP(保持体)に接合し、爪12が形成された凹部14がこの下面13よりも下方位置に形成され、この部分の肉厚が下面13から突出し取付パネルPの取付孔Aにはまり込む凸部15を形成されて」いることは、本件特許発明の「前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されること」に相当する。 g.甲2発明の「ハーネスクリップ1」は、「バンド部20」、「ロック部20」、「可撓片33」を備えるものであるから、本件特許発明の「保持具」に相当する。 そうすると、本件特許発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「対象物を保持する保持部と、前記保持部に一体に設けられ、基板に設けた取付穴に嵌合して前記保持部を基板に取り付けるスナップ部とを備え、保持部は対象物を結束する帯状のバンドと、当該バンドの基端に一体に設けられたヘッドを備え、当該ヘッドはバンドが先端側から挿通されるバンド挿通穴と、当該バンド挿通穴に挿通されたバンドの長さ方向の移動をロックするロック片を有し、前記スナップ部は前記ヘッドを挟む両側にそれぞれ配置された部位を有し、少なくとも一方の側に配置された部位は、前記取付穴に挿入されたときに、前記ヘッドと高さ方向に重なった状態で当該取付穴に嵌合するスナップ片を備え、前記スナップ片が前記基板の表面側から取付穴に嵌合されたときに、前記ヘッドは対象物の保持が可能な範囲で前記基板側に向けられた底面が当該基板の表面よりも裏面側の位置に配置されることを特徴とする保持具。」 (相違点3) 本件特許発明では、「前記ヘッドの真横位置において前記スナップ片に連結され、ヘッド側に向けて変形されたときに当該スナップ片の嵌合を解除する解除片を備え」ているのに対して、甲2発明では、そのような解除片を有していない点。 相違点3について検討する。 甲第3号証ないし甲第6号証にも記載されるように、保持具を取付穴から取り外すために、スナップ片に連結して解除片を設けることは周知技術である。 しかしながら、甲2発明では、ロック部10の取付穴Aへの取付状態において、ロック部10の下面13が取付パネルP(保持体)に接合しており、取付孔Aはロック部の下面13によって塞がれることから、取付孔Aに係合する段部(スナップ片)に連結する部材を設けることはできないものである。 また、甲第7号証のものは、嵌合片(スナップ片)と脚片(解除片)は別部材であって、スナップ片に連結して解除片を設けるものではない。 したがって、本件特許発明は、引用発明、甲第2号証ないし甲第7号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 第4.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立ての理由によっては、本件特許発明に係る特許を取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700100

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