2019-670008
エンビロサックス、エンバイロサックス
- 審判番号
- 2019-670008
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2019年03月29日
- 審決日
- 2020年12月23日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ベリンダ コーカー
- 【請求人代理人】特許業務法人松原・村木国際特許事務所
- 【被請求人】Marat Gaisin
- 分類
- T132 .1 -Z (W18)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 本件商標
本件国際登録第924379号商標(以下「本件商標」という。)は、「EnviroSax」の欧文字からなり、2015年(平成27年)3月1日に国際登録出願(事後指定)、第18類「Handbags,purses,luggage,garment bags, shopping bags, shoulder bags, backpacks and carry bags made from textile materials, synthё tic and man―made lnaterials.」及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成28年2月12日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成31年4月5日になされたものであり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年(2016年)4月5日から平成31年(2019年)4月4日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
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請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第18類のすべての商品(以下「取消請求商品」という。)について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者又は使用権者」という。)によって、継続して3年以上、日本国内において使用されている事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁の要旨
被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標は、要証期間に日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれによっても、取消請求商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
(1)乙1の1ないし3は、法人格登録証等の写しであり、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)がダブリンにEco Retail Universe Limited(以下「エコ・リテール社」という。)という会社を2012年7月9日に設立したことが記載されている。
(2)乙2の1ないし9は、商品カタログの一部の写し(以下「本件カタログ」という。)として提出されているが、ここには、本件商標が表示され、「shopping bag」の写真や「Bloom」などのシリーズ名が記載されているものの、表紙や裏表紙などの提出がなく、商品の製造者・販売者など該商品の出所を示す表示が一切ない。
また、他に、本件カタログが本件商標権者の商品を掲載したものであることを示す証拠は提出されていない。
したがって、本件カタログ掲載の「shopping bag」が本件商標権者の業務に係るものであると特定することは困難で、その出所は不明なものである。
また、商品カタログには、通常、商品番号が付されているが、本件カタログには、シリーズ名が記載されているだけで、個々の商品には商品番号が記載されていない。にもかかわらず、乙6および乙7のインボイスには品番欄が設けられ商品番号が記載されていることに鑑みれば、本件カタログに商品を特定する商品番号が記載されていないことは、商取引の経験則上極めて自然である。
さらに、本件カタログには、印刷された場所(国)、印刷時期が記載されていない。
(3)本件カタログには「shopping bag」の画像は掲載されているが、本件商標を付したshopping bagの画像の掲載はなく、他に、商品又は商品の包装に標章を付したものの画像は提出されていない。また、被請求人は、「shopping bag」のどこにどのように本件商標が付されているのか等をその主張においても全く説明していないことから、被請求人が提出したすべての主張および証拠を総合的に判断しても、「商品又は商品の包装に標章を付したものを輸入」(商標法第2条第3項第2号)しているか不明である。
(4)乙3は、被請求人によれば、本件商標権者による陳述書であり、提出された抄訳では、日本に在住のA氏は本件商標を使用して使用商品の真正な輸入業者であることが、認められているとする内容が記載されている。しかしながら、当該陳述書は、乙8と同一の内容のものであり、被請求人が主張するような陳述書は提出されていない。たとえ、被請求人が主張するような陳述書が提出されていたとしても、真正な輸入業者であれば、両者間で契約を交わすのが商取引の通念として相当であるから、本件商標権者の署名のみがある陳述書では、本件商標権者の意思しか示されておらず当事者間の契約があったとは到底いえない。
また、真正な輸入業者であれば、本件審判のために協力すべき立場であると考えられるA氏からは何らの証拠の提出もなく、他に、本件商標権者とA氏の関係を裏付ける客観的証拠はない。
よって、被請求人が提出したすべての主張および証拠を総合的に勘案しても、A氏が本件商標権の通常使用権者であるとはいえない。
(5)乙4の1および2は、配送伝票の写しとされている。「Rhenus SE&Co.KG」(以下「レヌス社」ともいう。)が、DHLに対して、2018年2月23日及び26日付で、A氏宛ての小包の配達を依頼していることが記載されているが、小包の中身についての記載がなく、不明である。また、本件商標権者とレヌス社との関係が不明であつて、他に両者の関係を示す証拠もない。
(6)乙5は、エコ・リテール社と本件商標権者が、「レヌス社が、2つの荷物を、DHLを通じて日本へ配送したことを確認する」とする、本件商標権者による陳述書であるが、これは、2019年6月16日付のもので、本件商標権者が本件審判のために作成した証拠と思われる。
また、本件商標権者とレヌス社との関係が不明であつて、他に、本件商標権者がレヌス社へ「shopping bag」の配送を委託した注文書等の客観的証拠も提出されていない。
なお、提出された抄訳は、「私共、レヌスエスイー合資会社は、以下の二つの荷物を配送した」と、あたかも本件商標権者以外の者が証言したかのような内容になっているが、乙5の陳述書は本件商標権者自身が署名した陳述書であるため、訳が陳述書の内容と一致していない。
(7)乙6および乙7は、インボイスの写しであり、乙6は2018年2月23日付、乙7は2018年2月25日付で、いずれもA氏に宛てたものである。しかしながら、当該インボイスの内容欄に記載のシリーズ名は、本件カタログのシリーズ名と一致はするが、そもそも、本件力タログの出所が不明なものであって、当該インボイス記載の商品が本件カタログ掲載の「shopping bag」を表していると断ずることはできない。そして、当該インボイスの品番欄に記載の商品番号は、本件力タログには記載されていないため、商品を特定することもできない。
(8)このように、乙5の陳述書、乙6及び乙7のインボイスともに本件商標権者が作成した書面であつて、乙4の小包の中身を裏付ける客観的な証拠の提出はない。また、真正な輸入業者との取引なのであれば、注文書や受領書、商品代金の支払いを証明する書面など輸入業者からの証拠提出ができるはずであり、輸入業者は本件審判に協力すべき立場の者と言えるにもかかわらず、小包の中身を裏付ける輸入業者からの証拠がないのは極めて不自然である。
(9)乙8は、本件商標権者がA氏から1800ユーロの支払いを受けたことを承認するとする、本件商標権者による陳述書であるが、乙6及び乙7のインボイスの合計金額は1768ユーロであるところ、支払い金額はこれと一致していない。また、乙8も本件商標権者が本件審判のために2019年6月13日付で作成したものであるが、外国送金であれば、支払いを受けた本件商標権者でも受領を証明する銀行手続きの書類が容易に提出できると考えられるところ、客観的な証拠の提出がないのは信用性を疑わざるを得ない。
(10)上述のとおり、被請求人が提出した証拠は乙1及び乙4以外はすべて本件商標権者が作成したものであり、被請求人の主張を裏付ける客観的な証拠が極端に少ない。
(11)以上によれば、本件カタログは、本件商標とともに「shopping bag」が写真入りで掲載され、乙4の1および2の配送伝票、並びに乙6及び乙7のインボイスに記載されている日付は本件審判の要証期間のものであり、当該インボイスを発行している会社は乙1の法人格登録証に記載されている本件商標権者が代表を務める会社である。
(12)しかしながら、乙4の1および2の配送伝票には商品の記載がなく、本件力タログは出所が不明で、商品番号がないため、乙6及び乙7のインポイスに記載の商品を特定することができず、我が国に輸入された事実を裏付ける客観的証拠(商品代金の支払いを証明する書面、通関料、関税又は輸入消費税等の支払いを証明する書面等)も提出されていないため、当該インボイスに記載の商品が現実に我が国に輸入された事実を確認することができず、「shopping bag又はその包装に本件商標を付したもの」の画像がまったく提出されていないため、「商品又は商品の包装に標章を付したものを輸入」したことも確認できず、輸入したとされるA氏と本件商標権者における当事者間の契約が確認できる証拠も提出されていないため、A氏が本件商標権の通常使用権者であるとも認められない。
(13)してみれば、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標は、要証期間に日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれによっても、取消請求商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
第3 被請求人の答弁
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1 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙8(枝番号を含む。枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
(1)本件商標権者による、「shopping bag」に関する本件商標の使用について
ア 本件商標権者は、「エコ・リテール社」を所有している(乙1)。
イ 本件商標を使用した本件力タログには、本件商標が下部に大きく表示されている他、上部には「デザイナーオリジナルの再利用可能なバッグ」との意味の英語が記載され、モデル及び「shopping bag」(以下「使用商品」という。)の写真や、一列に並んだ使用商品、下部の本件商標の上に小さい文字で「Bloom」、「Savanna」、「Rosa」、「Midnight Safari」、「After Dark」、「Cherry Lane」、「MaiTai」、「Flora」又イま「Optimistic」の文字が配されている(乙2)。
ウ 乙3は、日本に在住のA氏は本件商標を使用している使用商品の真正な輸入業者であることが、認められているとする本件商標権者にょる陳述書である。
工 乙4は、2018年2月23日及び26日付の、A氏宛ての使用商品に関する配送伝票であり、乙5において、物流業者を通じて、エコ・リテール社から使用商品が送付されたことが示されている。
オ 乙6及び乙7は、エコ・リテール社からA氏宛ての、使用商品に関する請求書(以下「本件請求書」という。)である。本件請求書には本件商標が左上に大きく付されており、本件商標に係るブランドは、デザイン毎に複数のシリーズを展開しているところ、本件請求書には、当該シリーズ名が記載されており、当該シリーズ名は本件力タログにも掲載されていることから、本件請求書が本件力タログに掲載された商品の請求書であることがわかる。
本件請求書には、商品名の他、納入個数、単価、請求額の合計等が記載されている。そして、乙8における陳述書においては、本件商標権者が2018年3月15日付で、A氏より支払いを受けたことが示されている。
力 したがつて、本件力タログに掲載されている商品は、エコ・リテール社から、本件審判の要証期間である2018年2月に輸入され(乙4)、同年2月23日及び26日付け(審決注:乙7の発行日は2018年2月25日付け)で、本件商標が付されている請求書も発行されていることに加え、A氏が、本件商標権者から使用商品を輸入している正当な輸入業者であることも明白である(乙3)。
よって、本件商標権者は、本件商標を使用した使用商品を、要証期間に、輸入業者を通じて我が国に業として輸入している。
(4)以上より、本件商標「EhviroSax」は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者により使用商品について使用されているため、本件商標登録は、取消の対象となり得ない。
2 被請求人は、審判長が令和2年1月28日付けでした審尋(被請求人提出の乙各号証に関する合議体の暫定的な見解を示したもの)に対し、令和2年3月24日付け回答書において使用証拠の準備が整い次第早急に提出する旨回答したが、その後相当期間を経過するも何らの応答をしていない。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、「エコ・リテール社」を所有している(乙1)。
(2)本件カタログには、「EnviroSax」(以下「使用商標」という。)の文字が表示され、使用商品の写真とともにシリーズ名とされる「Bloom」「Savanna」「Rosa」「Midnight Safari」「After Dark」「Cherry Lane」「Mai Tai」「Flora」「Optimistic」の文字が表示されているが、商品番号、カタログ作成者及び力タログ作成日の記載はない(乙2)。
(3)平成30年(2018年)2月23日及び同26日付のレヌス社からA氏を送付先とするDHL配送伝票には、荷物の内容及び本件商標権者の記載はない(乙4)。
(4)本件商標権者による令和元年(2019年)6月16日付陳述書には、「私共(エコ・リテール社)は、レヌス社がDHLを通じて2つの荷物を日本へ配送したことを確認する」(合議体の仮訳)旨の記載があり、「FIRST PARCEL」として、「2018年2月23日」の日付、「DHL tracking number」として「144276039859」の記載、送り主(Sender)として「エコ・リテール社」、「受取人(Receiver)」としてA氏が記載され、「Number Of Envirosax bags」として「225」の記載がある。また、「SECOND PARCEL」として、「2018年2月26日」の日付、「DHL tracking number」として「144276039865」の記載、送り主(Sender)として「エコ・リテール社」、「受取人(Receiver)」としてA氏が記載され、「Number of Envirosax bags」として「255」の記載がある(乙5)
(5)本件商標権者による令和元年(2019年)6月13日付け陳述書には、使用商標の文字とともに、「エコ・リテール社はA氏から2018年(平成30年)3月15日に1800ユーロを受領したことを確認する」(合議体の仮訳)との記載がある(乙3及び乙8)。なお、乙3の抄訳では「以下の者が日本においてEnvirosaxに係るバッグの真正かつ正式な輸入業者及び販売者であることを承認する。A」と記載されているが、陳述書にはそのような記載はない。
(6)本件請求書は、平成30年2月23日付(乙6)及び25日付(乙7)で、A氏に宛てたものである。しかしながら、本件請求書には使用商標が表示され、その内容欄に記載のシリーズ名は、本件カタログのシリーズ名と一致するものの、本件請求書の品番欄に記載の商品番号は、本件力タログには記載されていない。また、本件請求書の合計金額は1768ユーロであるが、本件商標権者が平成30年3月15日付でA氏より支払いを受けたのは1800ユーロであり(乙8)、請求金額と受取金額が一致していない。
(7)乙1及び乙4以外はすべて本件商標権者自身が作成したものである。
2 前記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
使用商品は、前記1(2)のとおり、「shopping bag」であるから、取消請求商品に含まれる商品であるといえる。
(2)使用商標、使用者、使用行為及び使用時期について
前記1(2)のとおり、本件力タログには、「EnviroSax」(使用商標)が表示されており、これは本件商標と欧文字の綴りを同一にするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものの、使用商品に使用商標が付されているとは認めることができない。また、本件カタログには、本件商標権者の名称が記載されていないから、本件商標権者が本件カタログを作成し、これを配布したことも認めることができない。
そして、前記1(3)のとおり、DHL配送伝票には、荷物の内容及び本件商標権者の名称の記載がないから、平成30年2月23日及び26日に使用商標を付した使用商品が本件商標権者によって輸入されたとは認めることができない。
なお、被請求人は、DHL配送伝票に記載のあるレヌス社が2つの荷物を日本へ配送した旨を主張(乙5)するも、本件商標権者とレヌス社との関係は不明であつて、A氏が正式な輸入業者である旨の主張は、陳述書には記載がなく抄訳にのみ記載されているが、これは不自然である(乙3)。そして、乙1及び乙4以外は、本件商標権者自身が作成したものであるから、客観性があるとはいえず、陳述書(乙3及び乙8)と本件請求書(乙6及び乙7)との受取金額と請求金額が異なることから、実際に取引(輸入)が行われたことについて信ぴょう性に欠ける。
その他、取消請求商品又は取消請求商品の包装に本件商標を付したものが輸入されたと認めるに足りる証拠は見当たらない。
(3)小括
以上によれば、被請求人により提出された全証拠によっては、商標権者又は使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、取消請求商品又は取消請求商品の包装に本件商標を付したものを輸入したとは認めることができない。
その他、商標権者又は使用者のいずれかが、要証期間に本件商標を使用した事実を認めるに足る証拠はない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者又は使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-670008