特許訂正審判
2019-390104
引出し構造
- 審判番号
- 2019-390104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2006-169507
- 登録番号
- 特許第5051863号(P5051863)
- 請求日
- 2019年08月29日
- 審決日
- 2019年10月15日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】トクラス 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人太陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 森次 顕
- 審判官 住田 秀弘
- 審判官 秋田 将行
- 分類
- P141 .853-Y (A47B) / P141 .841-Y (A47B) / P141 .854-Y (A47B) / P141 .855-Y (A47B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5051863号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5051863号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5051863号(以下「本件特許」という。)は、平成18年6月20日に特許出願され、平成24年8月3日にその特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年3月21日に別件訂正審判(訂正2017-390021号)が請求され、同年5月24日に明細書及び特許請求の範囲を訂正することを認める審決がなされ、さらに令和1年8月29日に本件訂正審判が請求されたものである。
2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の要旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正すること認める、との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
明細書の段落【0021】に、
「一方、引出し11の格納状態において、引出し11の鏡板11aを前述した通常の引っ張り力より強い第2の引っ張り力で引っ張ると、係止手段17のマグネット17aと吸着板17cの係止(吸着)状態が解除され、図7(b)に示すように、引出し11のみがレール14に沿って前方に移動してキャビネット4から引き出される。この時、内引出し13は、レール15の後方側に格納された状態となっており、例えば引出し11の上部の開口から手を入れて内引出し13の鏡板13aを前方に引っ張ることにより、内引出し13を引き出すことができる。これにより、例えば引出し11内の前部に比較的高さの高い収納物がある場合等に、一旦引出し11のみを引き出して当該収納物を取り出し、その後に内引出し13を引き出して内引出し13内の収納物を出し入れできることになる。」
とあるのを、
「一方、引出し11の格納状態において、引出し11の鏡板11aを前述した通常の引っ張り力より強い第2の引っ張り力で引っ張ると、係止手段17のマグネット17aと吸着板17cの係止(吸着)状態が解除され、図7(b)に示すように、引出し11のみがレール14に沿って前方に移動してキャビネット4から引き出される。この時、内引出し13は、レール15の後方側に格納された状態となっており、例えば引出し11の上部の開口から手を入れて内引出し13の鏡板13aを前方に引っ張ることにより、内引出し13を引き出すことができる。これにより、例えば引出し11内の前部に比較的高さの高い収納物がある場合等に、一旦引出し11のみを引き出して当該収納物を取り出し、その後に内引出し13を引き出して内引出し13内の収納物を出し入れできることになる。
なお、第2の引っ張り力であっても、引出し11を引き出したときに、直ちに係止手段17が内引出し13との間の係止状態を解除できず、内引出し13が引出し11に連動して若干引き出された後に係止状態が解除されることもあり得る。」
と訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0030】に、
「またさらに、上記実施形態においては、引出し11の鏡板11aが第2の引っ張り力で引っ張られた際に係止手段17の係止状態が解除されるように構成したが、例えば鏡板11aの引っ張りだけでは解除されず、両引出し11、13を手でもって所定の力で引き離すことにより解除できるように構成して、係止手段17の不用意な解除を防止する構成とすることもできる。また、上記実施形態においては、内引出し13が調理台キャビネット4の中段の引出しとして設けられる例について説明したが、調理台キャビネット4の上段や下段の引出し10、12に適用しても良いし、システムキッチン1の他のキャビネット2、5の各種引出し9に適用することもできる。」
とあるのを、
「また、上記実施形態においては、内引出し13が調理台キャビネット4の中段の引出しとして設けられる例について説明したが、調理台キャビネット4の上段や下段の引出し10、12に適用しても良いし、システムキッチン1の他のキャビネット2、5の各種引出し9に適用することもできる。」
と訂正する。
3 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
本件訂正前の明細書の段落【0017】~【0018】に、
「【0017】
なお、前記マグネット17aと吸着板17cの吸着力は、マグネット17a自体の磁力あるいはその大きさ等により、後述するように引出し11を通常の引っ張り力(第1の引っ張り力)で引っ張った際に吸着状態が維持され、引出し11に比較的強い力を瞬間的に加える引っ張り力(第2の引っ張り力)で引っ張った際に吸着状態が解除されるように設定されている。また、係止手段17のマグネット17aと吸着板17cの位置関係は、図示した例と逆構成のマグネット17aを引出し11側に配設し吸着板17cを内引出し13側に配設することも可能である。
【0018】
次に、このように構成された引出し11の動作を図7等に基づいて説明する。先ず、引出し11をキャビネット4内に押し込んだ格納状態においては、図2及び図7の実線で示すように、キャビネット4の前面開口部が引出し11の鏡板11aで閉塞された状態となっている。この状態で、引出し11を前述した通常の引っ張り力(第1の引っ張り力)で引っ張ると、引出し11がレール14に沿って前方に移動すると共に、この引出し11に係止手段17により係止されている内引出し13もレール15に沿って引出し11に連動する状態で前方に移動し、図7(a)の二点鎖線の位置に設定される。」と記載され、同じく段落【0021】に、
「【0021】
一方、引出し11の格納状態において、引出し11の鏡板11aを前述した通常の引っ張り力より強い第2の引っ張り力で引っ張ると、係止手段17のマグネット17aと吸着板17cの係止(吸着)状態が解除され、図7(b)に示すように、引出し11のみがレール14に沿って前方に移動してキャビネット4から引き出される。この時、内引出し13は、レール15の後方側に格納された状態となっており、例えば引出し11の上部の開口から手を入れて内引出し13の鏡板13aを前方に引っ張ることにより、内引出し13を引き出すことができる。これにより、例えば引出し11内の前部に比較的高さの高い収納物がある場合等に、一旦引出し11のみを引き出して当該収納物を取り出し、その後に内引出し13を引き出して内引出し13内の収納物を出し入れできることになる。」と記載されている。
上記記載からは、通常の引っ張り力(第1の引っ張り力)で引出し11を引っ張ることで、引出し11に係止手段17(マグネット17aと吸着板17c)により係止されている内引出し13も引出し11に連動する状態で前方に移動すること、及び、引出し11を通常の引っ張り力より強い第2の引っ張り力で引っ張ると、係止手段17のマグネット17aと吸着板17cの係止状態が即座に解除され、引出し11のみが前方に移動することとなることが開示されているものと認められる。
そこで、上記第2の引っ張り力と上記係止手段17の係止状態についてさらに検討すると、マグネット17aの磁力の強さとの関係において、第2の引っ張り力が通常の引っ張り力より相当強ければ、該係止状態が即座に解除されることは当然起こりうる動作であるが、第2の引っ張り力は、人が操作することによって与えられるものであって、操作毎に異なる強さとなるものであるところ、通常の引っ張り力より強いというその強さの程度が、通常の引っ張り力よりそれほど強いものでない場合に、該係止状態が即座に解除される場合もあり得る一方、該係止状態が即座に解除されず、内引出し13が若干引き出された後に解除される場合もあり得ることは、当業者にとって自明であるといえる。
よって、以上の検討事項からみて、引出し11を通常の引っ張り力より強い第2の引っ張り力で引っ張る際に、(ア)上記係止手段17の係止状態が即座に解除して、内引出し13がレール15の後方側に格納された状態となる場合に加えて、(イ)上記係止手段17の係止状態が即座に解除せずに、内引出し13が引出し11に連動して若干引き出された後に係止状態が解除されることがあり得るものである。
してみると、第2の引っ張り力により引出11を引っ張った際の動作として、上記(ア)のみが説明されている本件訂正前の明細書の記載では、その他の動作が起こりうるかどうか不明であるから、上記(イ)の動作を説明する記載を加えた訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の追加について
訂正事項1は、上記アで検討したとおり、当業者にとって自明な上記(イ)の動作を加える訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の段落【0030】に記載された
「またさらに、上記実施形態においては、引出し11の鏡板11aが第2の引っ張り力で引っ張られた際に係止手段17の係止状態が解除されるように構成したが、例えば鏡板11aの引っ張りだけでは解除されず、両引出し11、13を手でもって所定の力で引き離すことにより解除できるように構成して、係止手段17の不用意な解除を防止する構成とすることもできる。」を削除するものである。
上記段落【0030】の削除事項は、係止手段17の係止状態の解除を、「両引出し11、13を手でもって所定の力で引き離すことにより解除」することが記載されたものであるが、該解除は、特許請求の範囲において記載されている「前記第1の引っ張り力よりも強い第2の引っ張り力で引っ張った」ことによる解除と整合していない。
よって、訂正事項2の上記削除は、発明の詳細な説明の記載と特許請求の範囲の記載との整合させるものであるから、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、上記アのとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、発明の詳細な説明の記載と特許請求の範囲の記載との整合させるために、単に発明の詳細な説明の記載を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
4 むすび
以上のとおり、訂正事項1、2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項、第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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