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特許拒絶査定不服審判

2019-017639

ドングルを用いたインターフェースへのアクセスの制御

審判番号
2019-017639
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-511586外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年12月26日
審決日
2021年06月11日
公報発行日
2021年12月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (G06F) / P18 .537-WZ (G06F) / P18 .121-WZ (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-511586「ドングルを用いたインターフェースへのアクセスの制御」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日国際公開、WO2016/186606、平成30年 6月14日国内公表、特表2018-515872〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 8項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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本願は,2015年5月15日を国際出願日とする出願であって,平成30年11月29日付けで拒絶の理由が通知され,平成31年3月4日に意見書とともに手続補正書が提出され,令和1年8月28日付けで拒絶査定(謄本送達日同年9月3日)がなされ,これに対して同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,令和2年9月16日付けで当審により拒絶の理由が通知され(以下,これを「当審拒絶理由通知」という。),同年12月28日に意見書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成31年3月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。

「インターフェース(200)へのアクセスを制御するためのドングル(100)であって、
前記インターフェース(200)と通信可能に接続されるように構成され、ドングル識別子(124)と、認可メニュー(122a)を含むプログラムコード(122)と、を有するドングルメモリー(120)を備え、
前記プログラムコード(122)が、前記認可メニュー(122a)及び前記ドングル識別子(124)に基づいて、前記インターフェース(200)上の1又はそれ以上のメニューへのユーザによるアクセスを承認するように構成されてなる、ドングル(100)。」

第3 当審拒絶理由通知について

1 拒絶理由の概要

当審において,令和2年9月16日付けで通知した拒絶理由の概要は,以下のとおりである。

(1)(実施可能要件)本件出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。

(2)(明確性)本件出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

(3)(進歩性)本件出願の請求項1~15に係る発明は,その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2012-131056号公報

2.特開2005-50160号公報

3.特開2005-50162号公報

2 拒絶理由の要旨

(1) 理由1(実施可能要件)について

ア この出願の発明の詳細な説明には,本願の請求項1に係る発明における,「アクセスを承認する」という発明特定事項に関して,ドングル100が,認可メニュー122aと基準値122bとを有するプログラムコード122と,プログラムコード122とは別体のドングルID124とを有しているところ,インターフェース200が,前記基準値122bおよび前記ドングルID124とを比較してプログラムコード122がドングル100に関連付けされているか否かを判断し,プログラムコードがドングルに関連付けされていることが検証されると,メニューへのアクセスを承認することが記載されている。

しかしながら,インターフェース200が基準値122bおよびドングルID124を比較しても,何を根拠にして,当該基準値122bと当該ドングルID124が関連づけされているか否かを判断しているのか,その判断の根拠が不明である。

…(中略)…

イ 本願の請求項1に係る発明が解決すべき課題は,本願明細書の【0004】に記載されているように,「インターフェースへのアクセスを承認するための技術を提供する」ことであると認められる。

そして,この出願の発明の詳細な説明には,偽ドングルによる承認を防ぎつつ,インターフェースへのアクセスを承認するという技術的事項に関して,以下のように記載されている。

カ) 「偽ドングル 無承認のユーザがインターフェース200上のメニューにアクセスしたいが、たとえば工業計器5を操作するトレイニングを受けていないためドングル100の現品を管理していない場合がある。しかしながら、無承認のユーザがドングル100からプログラムコード122を自分の管理下にある偽ドングルにコピーしようとする場合がある。しかしながら、プログラムコード122を偽ドングルのメモリーの中にコピーしようとしても、プログラムコード122を偽ドングルと関連付けすることができないようになっている。たとえば、偽ドングルがプログラムコード122のコピー元のドングル100のドングルID124とは異なるドングルIDを有するようになっていてもよい。」(【0049】)

キ) 「この制限を回避するために、ユーザは、ドングルメモリー120からドングルID124を偽ドングル内の再書き込み可能なメモリーにさらにコピーしようとする恐れもある。しかしながら、偽ドングルからドングルIDを読み取ろうとする場合、インターフェース200は、偽ドングル内のメモリーのある部分に制限されてしまうようになっていてもよい。たとえば、インターフェース200は、ドングルIDを読み取るにあたって偽ドングル内のメモリーの読み取り専用部分に制限されてしまうようになっていてもよい。したがって、無承認のユーザが偽ドングルにコピーしたドングルID124はインターフェース200により読み取られないようになっている。」(【0051】)

上記カ)及びキ)の記載によれば,プログラムコード122をコピーした偽ドングルによる承認を防ぐために,インターフェースは,ドングルIDをドングル内のメモリーの読み取り専用部分から読み取るように制限されるものと認められる。

しかしながら,正規のドングルからドングルID124とプログラムコード122とを読み取ることはできると認められるところ、正規のドングルのプログラムコード122を偽ドングルにコピーする際に,プログラムコード122内の基準値122bを,偽ドングル内のメモリーの読み取り専用部分に格納されている偽ドングルIDに関連づけられるように書き換えて(例えば,上記(1)エの記載を参考にすると,基準値122bを偽ドングルIDと等しくなるように書き換えて)コピーすると,偽ドングルによる承認を防ぐことはできなくなると認められる。

よって,この出願の発明の詳細な説明には,本願発明の課題を解決するための,偽ドングルによる承認を防いだアクセス承認技術に関して,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。

(以下略)

第4 当審の判断

1 理由1(特許法36条4項1号)について

(1)本願発明の解決しようとする課題について

本願明細書によれば,本願発明の解決しようとする課題に関し,次のように記載されている。

「【技術分野】
【0001】
後述の実施形態は、工業計器用のインターフェースに関するものであり、とくにドングルを用いてインターフェースへのアクセスを制御することに関するものである。
【背景技術】
続きを表示(全12行)
【0002】
工業計器は、様々なユーザによりアクセスされるインターフェースを有している。たとえば、複数の交代作業では、特定の工業計器とその工業計器のインターフェースを介してやり取りが行われる場合がある。通常、インターフェースは工業計器を制御、監視するソフトウェアおよびセッティングを有している。たとえば、ソフトウェアは、アクセスされると工業計器の動作に影響を与えうるメニューを有している。ソフトウェアおよびセッティングの不適切な変更は、工業計器の信頼性の高い動作に悪い影響を及ぼし、大惨事に至ってしまう場合もある。
【0003】
多くの工業分野では、ログインおよびパスワードを用いてインターフェースへのアクセスを制限することにより、装置の信頼性の高い動作を確保しようとしている。たとえば、インターフェースの各ユーザに固有のログインおよびパスワードが設定され、ユーザがログインおよびパスワードを入力してインターフェース上のメニューにアクセスするようになっている場合もある。しかしながら、多くのユーザがインターフェース毎に存在するため、各ユーザがログインおよびパスワードを入力するとインターフェースの限られた演算資源を過剰に消費してしまう恐れがある。加えて、ログインおよびパスワードの使用はたとえばパスワードの忘却またはパスワードの共有という人間的な弱点による影響を受けやすいという問題がある。したがって、インターフェースへのアクセスを制御するためにログインおよびパスワードを用いるのは厄介なだけでなく、ユーザによる無承認のアクセスをも可能としてしまう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような訳で、インターフェースの演算資源を不必要に消費することなくインターフェースへのアクセスを承認するための技術を提供する必要性がある。また、無承認のアクセスを防止すると同時にインターフェースの多くのユーザに対する承認を管理するための技術を提供する必要性がある。これらおよび他の必要性はドングルを用いてインターフェースへのアクセスを制御することにより満たすことができる。」

上記記載によれば,本願発明は,工業計器用のインターフェースに関するものであり,とくにドングルを用いてインターフェースへのアクセスを制御することに関するものであって(【0001】),工業計器は,様々なユーザによりアクセスされるインターフェースを有し,たとえば,複数の交代作業では,特定の工業計器とその工業計器のインターフェースを介してやり取りが行われる場合があり,通常,インターフェースは工業計器を制御,監視するソフトウェアおよびセッティングを有しており,たとえば,ソフトウェアは,アクセスされると工業計器の動作に影響を与えうるメニューを有していて,ソフトウェアおよびセッティングの不適切な変更は,工業計器の信頼性の高い動作に悪い影響を及ぼし,大惨事に至ってしまう場合もあることを背景とし(【0002】),多くの工業分野では,ログインおよびパスワードを用いてインターフェースへのアクセスを制限することにより,装置の信頼性の高い動作を確保しようとしていて,たとえば,インターフェースの各ユーザに固有のログインおよびパスワードが設定され,ユーザがログインおよびパスワードを入力してインターフェース上のメニューにアクセスするようになっている場合もあるが,多くのユーザがインターフェース毎に存在するため,各ユーザがログインおよびパスワードを入力するとインターフェースの限られた演算資源を過剰に消費してしまう恐れがあり,加えて,ログインおよびパスワードの使用はたとえばパスワードの忘却またはパスワードの共有という人間的な弱点による影響を受けやすいという問題があるため,インターフェースへのアクセスを制御するためにログインおよびパスワードを用いるのは厄介なだけでなく,ユーザによる無承認のアクセスをも可能としてしまう恐れがあり(【0003】),インターフェースの演算資源を不必要に消費することなくインターフェースへのアクセスを承認するための技術を提供するとともに,無承認のアクセスを防止すると同時にインターフェースの多くのユーザに対する承認を管理するための技術を提供することを本願発明の解決しようとする課題とするものである(【0004】)。

(2)本願明細書の発明の詳細な説明の記載について

上記(1)の本願発明の解決しようとする課題に対し,本願明細書の段落【0037】,【0046】,【0048】~【0053】には,次の記載が認められる。(下線は当審で付加。以下同様。)

「【0037】
後述の例示的なシステムおよび方法はドングルからプログラムコードを読み出すことができるインターフェースを備えている。プログラムコードは、インターフェース上の1又はそれ以上のメニューへのアクセスを承認することが可能である。以下の例では、偽ドングルによるインターフェースへの無承認のアクセスを防止することがさらにできるようになっている。また、インターフェースへのアクセスを遠隔制御することがさらに記載されている。この遠隔制御にはユーザ所在位置にあるドングルからドングルIDを受け取ることが含まれている。受け取られたドングルIDはプログラムコードへ組み込まれてコード化される。このプログラムコードはドングルへ書き込まれ、このことにより、インターフェースへのアクセスをユーザ所在位置で制御することが可能となる。
…(中略)…
【0046】
続きを表示(全19行)
図4は、ドングル100を用いてインターフェース200へのアクセスを制御するためのドングル100を示す機能ブロック図である。図4に示されているように、ドングル100はコネクタ110と先に記載のドングルメモリー120とを有している。ドングルメモリー120はプログラムコード122を有している。図示されている実施形態では、プログラムコード122は、認可メニュー122a部分と基準値122bとを有するC言語によるプログラムである。ただし他の実施形態では、いかなる適切な言語およびプログラムコードが用いられるようになっていてもよい。ドングルメモリー120は、プログラムコード122とは別体のドングルID124を有していることがさらに示されている。
…(中略)…
【0048】
基準値122bは16進法の値として図示されているが、いかなる適切な値が用いられてもよい。基準値122bによりプログラムコード122がドングル100と関連付けされている。たとえば、基準値122bが特定のドングル100と関連付けされていてもよい。他の実施形態では、基準値122bが特定の作業者グループ用の1組のドングルに関連付けされるようになっていてもよい。たとえば、インターフェース200上の同じ複数のグループのメニューにアクセスすることが承認されている異なるユーザに対して同じソフトウェアおよびドングルの複製を提供することが望ましい場合もある。しかしながら、複数のドングルを製造することができるものの、ドングル100は偽ドングルによるアクセスを承認してしまうことを防止することができるようにもなっている。このことについては以下に説明されている、
【0049】
偽ドングル
無承認のユーザがインターフェース200上のメニューにアクセスしたいが、たとえば工業計器5を操作するトレイニングを受けていないためドングル100の現品を管理していない場合がある。しかしながら、無承認のユーザがドングル100からプログラムコード122を自分の管理下にある偽ドングルにコピーしようとする場合がある。しかしながら、プログラムコード122を偽ドングルのメモリーの中にコピーしようとしても、プログラムコード122を偽ドングルと関連付けすることができないようになっている。たとえば、偽ドングルがプログラムコード122のコピー元のドングル100のドングルID124とは異なるドングルIDを有するようになっていてもよい。
【0050】
偽ドングルからプログラムコード122が確実に読み取られないようにするために、インターフェース200がプログラムコード122の読み取りを防止するためのルーチンを実行するようになっていてもよい。たとえば、インターフェース200は、当該インターフェース200がプログラムコード122を読み取る前に基準値122bを偽ドングルIDと比較するようになっていてもよい。この比較結果はプログラムコード122が偽ドングルと関連付けされていないことを示すようになっていてもよい。したがって、インターフェース200は、偽ドングルからのプログラムコード122を実行することができない。このことにより、無承認のユーザによるインターフェース200へのアクセスを防止することができる。
【0051】
この制限を回避するために、ユーザは、ドングルメモリー120からドングルID124を偽ドングル内の再書き込み可能なメモリーにさらにコピーしようとする恐れもある。しかしながら、偽ドングルからドングルIDを読み取ろうとする場合、インターフェース200は、偽ドングル内のメモリーのある部分に制限されてしまうようになっていてもよい。たとえば、インターフェース200は、ドングルIDを読み取るにあたって偽ドングル内のメモリーの読み取り専用部分に制限されてしまうようになっていてもよい。したがって、無承認のユーザが偽ドングルにコピーしたドングルID124はインターフェース200により読み取られないようになっている。
【0052】
先の記載では、基準値122bおよびドングルID124がメモリー内にプレーンテキスト形式で格納されるものとして説明されているが、他の実施形態では他の格納手法が用いられるようになっていてもよい。たとえば、基準値122bを暗号化された形式で格納することが望ましい場合もある。基準値122bは、インターフェース200により保持されるキーで暗号化されるようになっていてもよい。無承認のユーザは、キーがなければ、偽ドングルのドングルIDに関連付けされた暗号化基準値を作成することができない。
【0053】
偽ドングルを用いたインターフェース200への無承認アクセスを防止するために他の方法が用いられてもよい。ドングル100が偽ドングルではないことをドングルID124および基準値122bが示すようになっているので、インターフェース200はドングル100を読み取ることができる。このような訳で、ドングル100がインターフェース200と通信可能に接続されてインターフェース200へのアクセスを制御することができるようになっている。」

(3)偽ドングルによる,インターフェースへのアクセスの制御について

上記(2)によれば,本願明細書の発明の詳細な説明には,段落【0037】に,「以下の例では、偽ドングルによるインターフェースへの無承認のアクセスを防止することがさらにできるようになっている。」と記載され,その詳細が,段落【0046】以降に記載されている。

ア 上記記載では,「偽ドングルによるアクセスを承認してしまうことを防止することができるよう」(【0048】)にするため,「プログラムコード122を偽ドングルのメモリーの中にコピーしようとしても,プログラムコード122を偽ドングルと関連付けすることができない」ことの対策として,「偽ドングルがプログラムコード122のコピー元のドングル100のドングルID124とは異なるドングルIDを有するようになっていること」が例示されている(【0049】)ものの,通常,偽ドングルに格納されているドングル識別子は,正規のドングルに格納されているドングル識別子とは異なるものであることが技術常識であるから,単に,「偽ドングルがプログラムコード122のコピー元のドングル100のドングルID124とは異なるドングルIDを有するようになっている」だけでは,「プログラムコード122を偽ドングルのメモリーの中にコピー」することを防ぐ対策としては不十分である。

イ また,段落【0050】には,「偽ドングルからプログラムコード122が確実に読み取られないようにするために、インターフェース200がプログラムコード122の読み取りを防止するためのルーチンを実行する」ことが記載され,「インターフェース200がプログラムコード122を読み取る前に基準値122bを偽ドングルIDと比較」して,「この比較結果」が,「プログラムコード122が偽ドングルと関連付けされていないことを示す」場合に,「インターフェース200」が,「偽ドングルからのプログラムコード122を実行することができ」ず,このことにより,「無承認のユーザによるインターフェース200へのアクセスを防止することができる」ことが例示されているが,例えば,「偽ドングル」に,正規のドングルに記録されたプログラムコードをコピーする際に,当該プログラムコード内の基準値を,偽ドングルのドングル識別子に書き換えてコピーしたような場合は,「インターフェース200がプログラムコード122を読み取る前に基準値122bを偽ドングルIDと比較」すると,「この比較結果」によって,当該偽ドングルが正規のものであると判断されることになるから,このような対策も,「無承認のユーザによるインターフェース200へのアクセスを防止すること」ができないことは明らかである。

ウ さらに,段落【0051】には,「この制限を回避するため」,すなわち,事前に基準値とドングル識別子の比較結果を参照して無承認のユーザのインターフェースへのアクセスを防止をさせないよう,「ドングルメモリー120からドングルID124を偽ドングル内の再書き込み可能なメモリーにさらにコピー」するような場合には,「偽ドングルからドングルIDを読み取ろうとする場合、インターフェース200は、偽ドングル内のメモリーのある部分に制限されてしまうようになって」いて,「インターフェース200は、ドングルIDを読み取るにあたって偽ドングル内のメモリーの読み取り専用部分に制限されてしまうようになってい」ることが例示され,これにより,「無承認のユーザが偽ドングルにコピーしたドングルID124」が「インターフェース200により読み取られ」ることがないことが例示されているが,そもそも,正規のドングルでない,「偽ドングル内のメモリーの読み取り専用部分」を,インターフェース200がどのように把握して,読み取りの制限を行うのか,そのための仕組みについては,明細書に一切の開示が無い。

エ また,「基準値122b」につき,これを「インターフェース200により保持されるキーで暗号化」することによって,「無承認のユーザは、キーがなければ、偽ドングルのドングルIDに関連付けされた暗号化基準値を作成することができない」ようにすることも例示されている(【0052】)が,暗号化したプログラムコード及び正規のドングルのドングル識別子をそのまま偽ドングルにコピーしたような場合には,暗号化された状態のまま,基準値も偽ドングルにコピーされることとなり,してみれば,「偽ドングルを用いたインターフェース200への無承認アクセスを防止する」(【0053】)ことができないことは明らかである。

オ また,明細書の発明の詳細な説明のうち,上記(2)で摘記した以外の箇所に,偽ドングルによる,無承認のインターフェースへのアクセスを防止することに関する記述を見いだすことはできない。

カ 以上,ア~オで検討したとおり,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は,インターフェースへのアクセスを承認するための技術のうち,偽ドングルによる,無承認のアクセスを防止することにつき,当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。

(4)結論

したがって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく,本願は,特許法36条4項1号の規定に違反してなされたものである。

第5 むすび

以上のとおりであるから,本願は,明細書の発明の詳細な説明の記載が,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず,本願は,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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