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特許拒絶査定不服審判

2019-017526

移動体通信システム、基地局および移動端末

審判番号
2019-017526
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-083610外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年12月25日
審決日
2020年10月28日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (H04W) / P18 .121-WZ (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018- 83610「移動体通信システム、基地局および移動端末」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月23日出願公開、特開2018-133823〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
【理 由】

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は,2010年(平成22年)1月28日(優先権主張 平成21年2月2日)を国際出願日とする特願2010-548422号の一部を,平成24年11月14日に新たな特許出願とした特願2012-250570号の一部を,平成26年3月4日に新たな特許出願とした特願2014-041232号の一部を,平成27年4月28日に新たな特許出願とした特願2015-091013号の一部を,平成28年6月2日に新たな特許出願とした特願2016-110883号の一部を,平成30年4月25日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

平成31年 2月19日付け:拒絶理由通知書
平成31年 4月22日  :意見書の提出
令和 1年 9月19日付け:拒絶査定
令和 1年12月25日  :拒絶査定不服審判の請求
令和 2年 7月16日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和 2年 9月17日  :意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1ないし3に係る発明は,令和2年9月17日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。

「 移動端末との間で無線通信を行う基地局であって,
特定の加入者がアクセスを許可され自らが属するグループに含まれている基地局を,測定対象として前記移動端末に通知することを特徴とする基地局。」

第3 拒絶の理由

令和2年7月16日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は,次のとおりのものである。

請求項1ないし3に係る発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献3及び4に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献3:米国特許出願公開第2008/0227447号明細書
引用文献4:米国特許第6058302号明細書

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献3

当審が通知した拒絶の理由に引用された引用文献3(米国特許出願公開第2008/0227447号明細書)には,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)

「[0010]  Referring to FIG. 1, an Evolved UMTS Radio Access Network (E-UTRAN) 110 is simplified to a 2-node structure including Evolved Node Bs (ENBs) 120, 122, 124 and an anchor node 130, or ENBs 126 and 128 and an anchor node 132.
[0011]  A UE 101 is connected to an Internet Protocol (IP) network via the E-UTRAN 110. The ENBs 120 to 128 correspond to legacy Node Bs in the UMTS system and are connected to the UE 101 via radio channels. Compared to the legacy Node Bs, the ENBs 120 to 128 handle more complex duties in the system.
[0012]  For example, since all user traffic including real-time service such as Voice Over IP (VoIP) is serviced on shared channels in the 3GPP LTE, an entity for collecting the status information of UEs and scheduling them is required and the ENBs 120 to 128 are responsible for the scheduling. Generally, an ENB controls a plurality of cells and performs Adaptive Modulation and Coding (AMC) by selecting a modulation scheme and a channel coding rate for a UE adaptively according to the channel status of the UE.」

(当審仮訳:

[0010] 図1を参照すると,次世代UMTS無線アクセスネットワ-ク(E-UTRAN)110は,次世代基地局(ENBs)120,122,124及びアンカ-ノ-ド130,又はENBs 126,128及びアンカ-ノ-ド132を含む2ノ-ド構造に単純化される。

[0011] UE 101は,E-UTRAN 110を介してインタ-ネットプロトコル(IP)ネットワ-クに接続される。ENBs 120~128は,UMTSシステムのレガシ-Node Bsに対応し,無線チャネルを介してUE 101に接続される。レガシ-Node Bsに比べて,ENBs 120~128は,システムにおいて,より複雑な役割を担当する。

[0012] 例えば,Voice Over IP(VoIP)のようなリアルタイムサービスを含む全てのユーザトラフィックは,3GPP LTEの共有チャネル上でサービスされるため,複数のUEの状態情報を収集してスケジューリングするためのエンティティが必要とされ,ENBs 120~128はそのスケジューリングを担当する。一般に,一つのENBは,複数のセルを制御し,UEのチャネル状態に応じて変調方式とチャネル符号化率を適応的に選択することによって適応変調符号化(AMC)を実行する。)

「[0041]  Hereinbelow, the explanation of cell selection also applies to cell re-selection. The Home cell, Private network and office network cell are types of Closed Subscriber Group (CSG) cells, which are only accessible by a specific UE or UE group. For the sake of convenience herein, the terms CSG cell, Home cell and Private network are interchangeably used.」

(当審仮訳:

[0041] 以下,セル選択の説明は,セル再選択にも適用される。ホ-ムセル,プライベートネットワ-ク,及びオフィスネットワ-クセルは,特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なClosed Subscriber Group(CSG)セルのタイプである。ここで,便宜上,用語CSGセル,ホ-ムセル,及びプライベートネットワ-クは言い換え可能なものとして使用される。)

「[0088]  In step 711, the serving cell 702 transmits a neighbor cell list to the UE 701 in system information. That is, the UE 701 receives the neighbor cell list for use in a measurement in the system information broadcast from the serving cell 702. The neighbor cell list includes information about cells to be measured and cell selection parameters associated with the cells, when the UE 701 needs to measure.
[0089]  In the illustrated case of FIG. 7, the cell selection parameters include values from which information about the serving cell and a plurality of neighbor cells can be estimated, such as frequency information or a cell ID of each cell. That is, the neighbor cell list has cell selection-associated parameters, particularly the offset of a neighbor cell being a Home cell or a Private network. For example, the offset can be 3 db.」

(当審仮訳:

[0088] ステップ711で,サ-ビングセル702は,システム情報でUE 701に隣接セルリストを伝送する。すなわち,UE 701は,サ-ビングセル702からブロ-ドキャストされるシステム情報の測定に使用される隣接セルリストを受信する。隣接セルリストは,UE 701が測定する必要がある場合に,測定されるセルに関する情報と,セルに関連するセル選択パラメ-タとを含む。

[0089] 図7に示した例において,セル選択パラメ-タは,周波数情報又は各セルのセルIDのように,サ-ビングセル及び複数の隣接セルに関する情報が推定できる値を含む。すなわち,隣接セルリストは,セル選択関連パラメ-タを有し,特に,ホ-ムセル又はプライベートネットワ-クである隣接セルのオフセットを有する。例えば,オフセットは,3dbであり得る。)

「[0107]  The UE 701 measures neighbor cells listed in the neighbor cell list in step 741. Herein, the UE 701 measures neighbor cells with offsets among the neighbor cells of the neighbor cell list in order to prioritize Home cells or Private networks. At the same time, the UE 701 may not measure neighbor cells absent in the stored accessible list.」

(当審仮訳:

[0107] UE 701は,ステップ741で,隣接セルリストにリストされた隣接セルを測定する。ここで,UE 701は,ホームセル又はプライベートネットワ-クを優先するために,隣接セルリストの隣接セルの中でオフセットを有する隣接セルを測定する。その一方で,UE 701は,格納されているアクセス可能なリストに存在しない隣接セルを測定しないこともある。)

上記記載から,引用文献3には,次の技術的事項が記載されている。

(1) [0010]ないし[0012]には,無線チャネルを介してUEに接続され,セルを制御する次世代基地局が記載されている。また,サービングセルはセルの一種であるから,上記次世代基地局がサービングセルを制御するものであることは自明である。

よって,引用文献3には,「無線チャネルを介してUEに接続され,サービングセルを制御する次世代基地局」が記載されているといえる。

(2) [0088]には,「サ-ビングセルはUEに測定されるセルに関する情報を含む隣接セルリストを伝送する」ことが記載されている。

また,[0107]には,「UEは隣接セルリストにリストされた隣接セルを測定する」ことが記載されている。

更に,[0089]及び[0107]の記載によれば,隣接セルはホ-ムセル又はプライベートネットワ-クを含むといえ,また,[0041]には,ホ-ムセル,プライベートネットワ-クは特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なCSGセルのタイプであることが記載されているから,隣接セルは特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なCSGセルを含むといえる。

よって,引用文献3には,「サ-ビングセルはUEに測定されるセルに関する情報を含む隣接セルリストを伝送し,UEは隣接セルリストにリストされた隣接セルを測定し,隣接セルは特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なCSGセルを含む」ことが記載されている。

上記(1),(2)から,引用文献3には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「 無線チャネルを介してUEに接続され,サービングセルを制御する次世代基地局であって,
ここで,サ-ビングセルはUEに測定されるセルに関する情報を含む隣接セルリストを伝送し,UEは隣接セルリストにリストされた隣接セルを測定し,隣接セルは特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なCSGセルを含む,
次世代基地局。」

2 引用文献4

当審が通知した拒絶の理由に引用された引用文献4(米国特許第6058302号明細書)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)

(1) 「FIG. 3A is a diagram that illustrates what a mobile terminal "sees" when it is used by a subscriber of a private network including a transceiver 109a, which defines cell 120 to cover the premises of Company I. Notably, as shown in this example, the subscribing mobile terminal can communicate with BSC 104 and MSC/SGSN 102 via the radio interfaces of the public cells (e.g., 112, 122) and private cell 120. Since, in this example, that particular mobile terminal's user does not subscribe to any other private networks, only the private network associated with cell 120 can be communicated with or "seen" by that subscribing mobile
terminal.」(第5欄第7行~第18行)

(当審仮訳:

図3Aは,送受信機109aを含むプライベートネットワークの加入者によって使用されたときに,移動体端末が「見る」ものを示す図であり,セル120がCompany Iの施設をカバーすることを示している。注目すべきは,この例に示されるように,加入している移動体端末は,複数のパブリックセル(例えば,112,122)及びプライベートセル120の無線インタフェースを介してBSC 104及びMSC/SGSN 102と通信することができる。この例では,特定の移動体端末のユーザーは,他のプライベートネットワークに加入していないので,セル120に関連するプライベートネットワークのみが,加入している移動体端末により通信され,又は「見られる」ものである。)

(2) 「For example, in a GPRS system, such a radio link control message would contain cell selection information for the private cell 120. This information could include, but would not be limited to, information about cell identity (e.g., Base Station Identity Code or BSIC), priority class, temporary offsets to use, permanent offsets to use, signal strength thresholds, and more, as specified in the GSM Technical Specification 03.64.」(第5欄第42行~第49行)

(当審仮訳:例えば,GPRSシステムでは,そのような無線リンク制御メッセージはプライベートセル120のセル選択情報を含むことになる。この情報は,GSM技術仕様03.64に規定されているように,セル識別に関する情報(例えば,基地局識別コード又はBSIC),優先クラス,使用するための一時的なオフセット,使用するための永久的なオフセット,信号強度閾値などを含むことができ,ただし,それらに限定されるものではない。)

(3) 「The private network broadcasts (preferably over the Broadcast Control Channel or BCH) in it's cells (e.g., cells 120a and 120b) pertinent system information about the private and public networks' neighboring cells.」(第5欄第58行~第62行)

(当審仮訳:

プライベートネットワークは,それらのセル(例えば,セル120a及び120b)において,プライベート及びパブリックネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする(好ましくはブロードキャスト制御チャネル又はBCHの上で)。)

(4) 「
」

上記記載から,引用文献4には,次の技術的事項が記載されている。

ア 上記(1)の「…プライベートセル120…」及び「…セル120に関連するプライベートネットワークのみが,加入している移動体端末により通信され」との記載から,プライベートネットワークのセルは,加入している移動体端末により通信されるものといえる。

また,上記(1)の「…セル120がCompany Iの施設をカバーすることを示している。」との記載,上記(3)の「プライベートネットワークは,それらのセル(例えば,セル120a及び120b)において,…」との記載,及び上記(4)の図3Aから,セル120aはCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセルであって,Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセルであるセル120bに隣接するセルであるといえる。

よって,引用文献4には,「加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセルであって,Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセルに隣接するセル」が記載されている。

イ 上記(3)によれば,プライベートネットワークのセルは「プライベートネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする」ことが記載されているといえる。そうすると,上記「ア」において検討したセル120aは,セル120bについての関連するシステム情報をブロードキャストするものといえる。

してみると,引用文献4には,上記「ア」で説示した「加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセル」が,「Company Iの施設をカバーするプライベートネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする」ことが記載されているといえる。

上記「ア」,「イ」から,引用文献4には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

「 加入している移動体端末により通信され Company Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセルであって,Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセルに隣接し,Company Iの施設をカバーするプライベートネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする,
プライベートネットワークのセル。」

第5 対比

本願発明と引用発明1を対比すると,以下のとおりとなる。

1 引用発明1の「UE」は,本願発明の「移動端末」に相当する。また,引用発明1の「サービングセルを制御する次世代基地局」は,無線チャネルを介してUEに接続されるものであるから,UEと無線通信を行うものである。してみると,本願発明の「基地局」と,引用発明1の「サービングセルを制御する次世代基地局」は,双方とも「移動端末との間で無線通信を行う基地局」である。

2 引用発明1は「隣接セルは特定のUE又はUEグル-プのみによってアクセス可能なCSGセルを含む」ものであるところ,CSGとはClosed Subscriber Groupの略語であり,特定の加入者グループのことであるから,引用発明1の「特定のUE又はUEグル-プ」とは,特定の加入者(及び特定の加入者グループ)のことであり,引用発明1の「隣接セル」は,特定の加入者のみによってアクセス可能,すなわちアクセスが許可されているCSGセルを含むものである。

ここで,引用発明1の「UE」は隣接セルリストにリストされた隣接セル,すなわち特定の加入者のみによってアクセスが許可されているCSGセルを測定するものが含まれているから,引用発明1の「UEに測定されるセルに関する情報を含む隣接セルリストを伝送」することは,特定の加入者のみによってアクセスが許可されているCSGセルを測定対象としてUEに通知することを含む。

更に,引用発明1の「サービングセルを制御する次世代基地局」は,「サービングセル」を介して「UEに隣接セルリストを伝送」する,すなわち特定の加入者のみによってアクセスが許可されているCSGセルを測定対象としてUEに通知しているといえる。

してみると,本願発明の「基地局」と引用発明1の「サービングセルを制御する次世代基地局」は,双方とも「特定の加入者がアクセスを許可されているものを,測定対象として前記移動端末に通知する」基地局である。

以上を総合すると,本願発明と引用発明1とは,以下の点で一致し,また相違している。

(一致点)

「 移動端末との間で無線通信を行う基地局であって,
特定の加入者がアクセスを許可されているものを,測定対象として前記移動端末に通知することを特徴とする基地局。」

(相違点1)

「測定対象として前記移動端末に通知」されるものに関し,本願発明は,特定の加入者がアクセスを許可され「自らが属するグループに含まれているもの」を,測定対象として移動端末に通知するものであるのに対して,引用発明1はそのような特定がされていない点。

(相違点2)

「測定対象として前記移動端末に通知」されるものに関し,本願発明は,特定の加入者がアクセスを許可され自らが属するグループに含まれている「基地局」の情報を,測定対象として移動端末に通知するものであるのに対して,引用発明1は「セルに関する情報」を伝送するものである点。

第6 判断

上記各相違点について,判断する。

(相違点1,2について)

引用文献4には,上記「第4 引用文献の記載及び引用発明」の「2 引用文献4」で説示したとおり,

「 加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセルであって,Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセルに隣接し,Company Iの施設をカバーするプライベートネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする,
プライベートネットワークのセル。」という発明(引用発明2)が記載されている。

ここで,例えば,「第4」の「1 引用文献3」において摘記した,引用文献3の[0041]の記載からも明らかなように,プライベートネットワークのセルが,特定の加入者にのみアクセスが許可されたセルであることは技術常識である。また,引用発明2の「加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセル」と「Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセル」は,双方とも「Company Iの施設をカバーする」ためのものであるから,Company Iの施設に関連する同一のグループに属するセルであることは自明である。更に,「加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセル」と「Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセル」のそれぞれのセルに対応する基地局についても,当該それぞれのセルと同一のグループに属する基地局であることは明らかである。

また,引用発明2の「加入している移動体端末により通信されCompany Iの施設をカバーするプライベートネットワークのセル」は,「Company Iの施設をカバーするプライベートネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする」ものであるから,隣接するセルである「Company Iの施設をカバーする他のプライベートネットワークのセル」,すなわち,特定の加入者がアクセスを許可され自らが属するグループに含まれている他のプライベートネットワークのセルについての関連するシステム情報をブロードキャストするものである。

そして,引用発明1と引用発明2は,双方とも,特定の加入者にのみアクセスが許可されたものに関する情報を移動端末に通知するものである。

してみると,引用発明1に対して引用発明2を適用して,引用発明1の「サービングセル」を特定の加入者がアクセスを許可されているプライベートネットワークのセルとし,かつ,「測定されるセルに関する情報」を,「サービングセルを制御する次世代基地局」が属するグループに含まれている他のプライベートネットワークのセルについての関連するシステム情報とすることにより,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到しうることである。

また,引用発明1の「測定されるセルに関する情報」に当該測定されるセルを識別するための情報が含まれることは明らかである。ここで,例えば,「第4」の「2 引用文献4」の(2)に摘記したとおり,セル識別に関する情報として,基地局識別コードを用いることは周知技術であるから,引用発明1の「測定されるセルに関する情報」として,当該測定されるセルに対応する基地局の識別情報を含めることは,当業者が容易になし得る事項である。更に,引用発明1の「測定されるセル」と「測定されるセル」に対応する基地局が同一のグループに属することは自明である。

してみれば,引用発明1に対して上記周知技術を適用して,引用発明1の「測定されるセルに関する情報」として,当該測定されるセルに対応する基地局の識別情報を含めるようにすることにより,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到しうることである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明1及び2に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願発明は,引用発明1及び2に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

[請求人の主張について]

請求人は令和2年9月17日に提出された意見書の「3.請求人の意見」において,「引用例4に関する審判官殿の上記主張のうち、下線を付した箇所は、引用例4の第5欄58行~62行が根拠とされておりますが、その部分には、「The private network broadcasts (preferably over the Broadcast Control Channel or BCH) in it's cells (e.g., cells 120a and 120b) pertinent system information about the private and public networks' neighboring cells.」と記載されています。直訳すると「プライベートネットワークは、そのセル(例えばセル120aと120b)に、プライベートおよびパブリックネットワークの隣接セルについて関係するシステム情報を、(好ましくはブロードキャスト制御チャネルまたはBCHを通して)ブロードキャストする。」となります。ここで言われている「隣接セル」が、審判官殿の指摘のとおり、図3Aにおいて同一のグループ(カンパニーI)に属するセル120内のセル120a,120bを指しているのであれば、審判官殿のご意見は十分に理解することができます。

しかし、この「隣接セル」は、セル120内のセル120a,120bを指しているのではなく、セル120の外側に隣接するセル112やセル122を指しているものと思われます。その根拠としては、引用例4の第4欄64~66行に、図3A~3Cの説明として、「Public network 100 includes a plurality of public macro-cells (e.g., at least neighboring cells 112 and 122),」と記載されていることが挙げられます。従いまして、引用例4には、「基地局が属するグループに含まれている基地局」を通知する技術は開示されていないと考えます。」と主張している。

しかしながら,「第4」の「2 引用文献4」の(3)に摘記したとおり,引用文献4には「プライベートネットワークは,それらのセル(例えば,セル120a及び120b)において,プライベート及びパブリックネットワークの隣接セルについての関連するシステム情報をブロードキャストする」ことが記載されており,請求人が主張しているように,パブリックネットワークのセルである112及び122についての関連するシステム情報のみをブロードキャストしているわけではない。更に,「第4」の「2 引用文献4」の(4)の図3からは,プライベートネットワークのセルである120a及び120bが隣接するセルであることが見てとれる。してみると,「第4」の「2 引用文献4」の(3)及び(4)から,プライベートネットワークのセルである120aが,プライベートネットワークのセルである120bについての関連するシステム情報をブロードキャストしていることは明らかである。

更に,請求人は令和2年9月17日に提出された意見書の「3.請求人の意見」において,「また、拒絶理由通知書には、引用例4の「隣接セル」のことが、「プライベートネットワークである隣接セル」と記載されていますが、引用例4の第5欄58行~62行の原文には、「the private and public networks' neighboring cells」(プライベートおよびパブリックネットワークの隣接セル)と記載されております。つまり、引用例4の「隣接セル」はプライベートネットワーク(特定のUE又はUEグループのみによって接続可能なCSGセルのタイプ)であるとは限りませんので、引用例4の「隣接セル」を「プライベートネットワークである隣接セル」と解釈するのは、客観的な判断ではないと思われます。」と主張している。

請求人が主張しているとおり,引用文献4(第5欄第61行~第62行)には,「… the private and public networks' neighboring cells.」(当審仮訳:…プライベート及びパブリックネットワークの隣接セル)と記載されている。しかし,上記記載は,パブリックネットワークとプライベートネットワークの隣接セルについて開示されているのであって,プライベートネットワークの隣接セルについて開示されていないと判断する根拠がない。してみれば,当業者であれば,引用文献4の上記記載から,隣接セルがプライベートネットワークのセルである場合の技術を把握できることは明らかである。

したがって,上記の請求人の主張は採用できない。

第7 むすび

以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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2019-017526

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