意匠拒絶査定不服審判
2019-017376
スタンド付き調味料用容器
- 審判番号
- 2019-017376
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-018784外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年12月23日
- 審決日
- 2020年08月26日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 分類
- D18 .121-WY (C5-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018- 18784「スタンド付き調味料用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)8月29日の意匠登録出願であって,平成31年4月26日付けの拒絶理由の通知に対し,令和1年(2019年)6月21日に意見書が提出されたが,同年9月17日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「スタンド付き調味料用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用した意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。
「容器本体部の形状において,外形状を上方から下方に向かって僅かにすぼまる略四角柱形状に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
また,開口部を略正方形状とした有底筒状体(一般的に,「枡」と呼ばれるもの)が,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
さらに,瓶等の容器において,容器本体部とそれを保持するスタンド部とからなり,スタンド部の内形状を,容器本体部の外形状に合わせた態様に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠3】。
本願意匠が意匠登録を受けようとする部分は,その出願前公然知られた【意匠1】及び【意匠2】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,【意匠3】の意匠のように組み合わせたまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。
なお,本願意匠の容器本体部が透明である点は,単なる材料の置換であって,この種物品においては普通に見受けられる態様にすぎませんから,この点が創作非容易性の判断に影響を及ぼすものとは認められません。
【意匠1】(当審注:別紙第2参照)
特許庁特許情報課が2003年 2月27日に受け入れた
ドイツ意匠公報 2002年12月24日
第5699頁所載 液体つぎの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH15000303号)
の本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠
【意匠2】(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和54年実用新案出願公開第058984号
第1図に表された意匠の本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当
する部分の意匠
【意匠3】(当審注:別紙第4参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和54年実用新案出願公開第106960号
第5図に表された瓶と保持具の意匠の本願意匠が意匠登録を受けようとす
る部分に相当する部分の意匠」
第4 当審の判断
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「スタンド付き調味料用容器」であり,調味料用容器とスタンドから成るものである。
(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願部分の位置,大きさ及び範囲は,容器の本体部分(本体の下端から首部の少し立ち上がった根元部分まで。以下「容器本体」という。)とスタンドの全部(以下「スタンド」という。)とするものであり,本願部分は,調味料用容器の容器本体の用途及び機能と,調味料用容器を載置するという用途及び機能を有している。
(3)本願部分の形状
本願意匠は,容器全体を透明とした調味料用容器をスタンド内に載置したものであって,(a)本願部分の概略形状は,略縦長四角柱形状の容器本体を,有底角筒形状のスタンド内に載置したものであり,容器本体の高さとスタンドの高さの比率を約7対2とし,容器本体が隙間無くスタンド内に収まるように,スタンドの開口部の寸法を容器本体の下方の寸法に合わせたものである。
(b)容器本体の具体的な形状は,水平断面形状を正方形とし,容器本体の高さと横幅の比率を約7対2としたものであって,下端から約4分の1上がった位置(スタンドに容器本体を載置した場合における,スタンドの上端に相当する高さ位置)までの外側の寸法を一定とし,そこから上端までを,極めて緩やかな弧状で外方へ反るようにして外側の寸法を漸次広げたものである。容器本体の周面内側は,外側よりも若干大きく反って,周面の肉厚が上方へ向かって徐々に薄くなるようにしたものである。容器本体の上面は,緩傾斜とし,その中央に位置する首部の根元部分は,ごく小さな凹弧状で立ち上がった円筒状としたものである。
(c)スタンドの具体的な形状は,平面視正方形としたものであって,スタンドの高さと横幅の比率を約2対3とし,底部は少し上げ底としたものである。壁部の肉厚は,横幅の約6分の1であり,底部の肉厚は,壁部の肉厚の約3分の2である。
2 創作容易性の判断
(1)本願部分における容器本体の形状について
本願部分の容器本体に対して引用した意匠1は,「液体つぎ」の意匠である。
そして,意匠1の容器本体(本願部分の容器本体に相当する部分。以下「意匠1部分」という。)の形状は,全体を略縦長四角柱形状とし,上面は,平坦としたものである。なお,周面の外側の寸法が下方から上方へ向けて徐々に広がっているように見えるが,斜め上方から撮影したことによって,そのように見えている可能性を否定できず,具体的な形状を特定することはできない。また,周面の肉厚の態様については,不透明な材質であるから,外観からは不明であるし,本願部分の首部の根元部分に相当する部分については,円柱状のキャップ部に覆われており,その形状は不明である。
そこで,本願部分の容器本体と意匠1の容器本体を比較すると,意匠1部分の形状は,仮に,周面の外側の寸法が下方から上方へ向けて徐々に広がっているものであったとしても,本願部分のように,下端から約4分の1上がった位置までの外側の寸法を一定とし,そこから上端までを,極めて緩やかな弧状で外方へ反るようにして外側の寸法を漸次広げたものと特定することはできないから,本願部分と同一とはいえない。また,周面の肉厚の態様については,意匠1部分は不明であるから,本願部分と同一とはいえないし,上面については,意匠1部分は,水平であって,本願部分のような緩傾斜面ではないから,相違している。
そうすると,本願部分の容器本体の形状は,意匠1部分の形状に基づいて容易に創作できたとはいえない。
(2)本願部分におけるスタンドの形状について
本願部分のスタンドに対して引用した意匠2は,「枡」の意匠であり,計量用の容器である。
そして,意匠2の形状は,全体を平面視正方形の有底角筒形とし,その高さと横幅の比率を約2対3,壁部の肉厚を横幅の約7分の1としたものである。
なお,底の態様は不明である(一般的に,枡の底は,上げ底ではなく,その厚みは,壁部の厚みと同程度である。)。
そこで,本願部分のスタンドと意匠2の形状を比較すると,意匠2の壁部の厚みは,横幅の約7分の1であって,本願部分のそれと異なり,意匠2の底は,本願部分のスタンドのように,上げ底としたものであるのか明らかでなく,その上,意匠2の底の厚みが,本願部分のように壁部の肉厚の約3分の2としたものであるのか明らかでない。
そうすると,本願部分のスタンドの形状は,意匠2の形状に基づいて容易に創作できたとはいえない。
(3)調味料用容器とスタンドの組合せについて
調味料用容器とスタンドの組合せに対して引用した意匠3は,「瓶類の転倒防止具」における瓶と保持具の意匠であって,その形状は,基板上に取り付けられた有底円筒状の保持具内に瓶を載置したものであり,その状態で,収納,保管され,地震などに対し瓶類の転倒防止の機能を持つものである。
そうすると,本願意匠と意匠3とは,物品の使用目的や使用態様が異なるから,本願意匠の組合せを,意匠3に基づいてありふれた手法ということはできない。
(4)小活
以上のとおりであるから,本願意匠は,本願の出願前に当業者が公然知られた形状に基づいて容易に創作することができた意匠とは認められない。
3 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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