意匠拒絶査定不服審判
2019-017121
給湯器用リモートコントローラー
- 審判番号
- 2019-017121
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-020499外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1672298
- 請求日
- 2019年12月19日
- 審決日
- 2020年06月24日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ノーリツ
- 分類
- D18 .113-WY (H7-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2018-20499「給湯器用リモートコントローラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,意匠法第14条第1項の規定により本願に係る意匠(以下「本願意匠」という。)を2年秘密にすることを請求した,平成30年(2018年)9月20日の意匠登録出願であって,平成31年3月19日付けの拒絶理由の通知に対し,令和1年(2019年)5月15日に意見書が提出されたが,同年8月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「給湯器用リモートコントローラー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1562946号
(意匠に係る物品,給湯機器用リモートコントローラー)の意匠
第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「給湯器用リモートコントローラー」である。
(2)本願意匠の形状
ア.本願意匠は,全体形状が奥行きの浅い板状で,正面視で横長長方形のもので,その縦横の長さ比は,約1対2である。
イ.本体と正面パネルで構成しており,正面パネルは,正面視において上下に2分割しており,その分割した比率は,約5対7である。
ウ.上側のパネル部分(以下,単に「上パネル」という。)には,中央に表示部を設け,その左にセンサー部,右側にスピーカー部を設けている。
エ.下側のパネル部分(以下,単に「下パネル」という。)には,下パネルの下から約3分の1の位置に,丸い操作スイッチ部(以下「操作ボタン部」ともいう。)を5つ横一列に左右等間隔で並べて設けている。
オ.本願意匠は,正面視では,上下左右の四つ角は,比較的アールが大きい角丸としている。
カ.正面パネルは,四周が緩やかに盛り上がっている。
キ.センサー部の形状は,正面視で,操作ボタン部よりやや小ぶりの正円形で,手前側に隆起した山状で,その位置は,左端から全幅の約8分の1内側である。
ク.スピーカー部の形状は,正面視で,4つの略長円形状の孔を略十字状に構成しており,その大きさは操作ボタン部よりやや小ぶりで,その位置は,右端から全幅の約8分の1内側である。
ケ.操作ボタン部の正面形状は,内側にごく僅かにへこんだ凹円弧状で,その直径は,全幅の約10分の1である。
2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「給湯機器用リモートコントローラー」である。
(2)引用意匠の形状
ア.引用意匠は,全体形状が奥行きの浅い板状で,正面視で横長長方形のもので,その縦横の長さ比は,約1対2である。
イ.引用意匠は,本体と蓋部で構成しており,本体の正面側が上下に2分割しており,その下側が蓋部となっており,正面視上側の部分(以下,「本体正面部」ともいう。)と蓋部の縦長さの比率は,約5対7である。
ウ.本体正面部には,中央に表示部を設け,その左にセンサー部,右側にスピーカー部を設けている。
エ.蓋部には,蓋部の下から約3分の1の位置に,丸い操作ボタン部を5つ横一列に左右等間隔で並べて設けている。
オ.引用意匠は,正面視では,上下左右の四つ角は,比較的アールが小さいピン角としている。
カ.本体正面部と蓋部から成る引用意匠の正面は,垂直面である。
キ.センサー部の形状は,正面視で,操作ボタン部の約2分の1の大きさの正円形で,手前側に隆起した山状で,その位置は,左端から全幅の約8分の1内側である。
ク.スピーカー部の形状は,正面視で,3つの略長円形状の孔を略ドーナツ状に構成しており,その大きさは操作ボタン部の約2分の1で,その位置は,右端から全幅の約8分の1内側である。
ケ.操作ボタン部の正面形状は,手前側に山状にごく僅かに隆起した形状で,その直径は,全幅の約10分の1である。
3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「給湯器用リモートコントローラー」であり,引用意匠に係る物品は「給湯機器用リモートコントローラー」である。
(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)全体形状が奥行きの浅い板状で,正面視で横長長方形のもので,その縦横の長さ比を,約1対2とした点。
(イ)正面部分を上下に2分割しており,その分割した比率は,約5対7である点。
(ウ)正面視上側の部分には,中央に表示部を設け,その左にセンサー部,右側にスピーカー部を設けている点。
(エ)正面視下側の部分には,当該部分の下から約3分の1の位置に,丸い操作ボタン部を5つ横一列に左右等間隔で並べて設けている点。
(オ)センサー部の形状が,正面視において正円形で,手前側に隆起した山状で,その位置は,左端から全幅の約8分の1内側である点。
(カ)スピーカー部の位置は,右端から全幅の約8分の1内側である点。
(キ)操作ボタンの直径を,全幅の約10分の1とした点。
イ.相違点について
(ア)本体の正面における構成につき,本願意匠は,上パネルと下パネルから成るのに対して,引用意匠は,本体正面部と蓋部から成る点。
(イ)上下左右の四つ角のアールにつき,本願意匠は,比較的大きい角丸としているのに対して,引用意匠は,ごく小さいピン角としている点。
(ウ)正面の形状につき,本願意匠は,四周が緩やかに盛り上がっているのに対して,引用意匠は,垂直面である点。
(エ)センサー部の大きさにつき,本願意匠は,操作ボタン部よりやや小ぶりであるのに対して,引用意匠は,操作ボタン部の約2分の1である点。
(オ)スピーカー部の正面視形状につき,本願意匠は,4つの略長円形状の孔を略十字状に構成しているのに対して,引用意匠は,3つの略長円形状の孔を略ドーナツ状に構成している点。
(カ)スピーカー部の大きさにつき,本願意匠は,操作ボタン部よりやや小ぶりであるのに対して,引用意匠は,操作ボタン部の約2分の1である点。
(キ)操作ボタン部の正面視形状につき,本願意匠は,内側にごく僅かにへこんだ凹円弧状であるのに対して,引用意匠は,手前側に山状にごく僅かに隆起した形状である点。
4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「給湯器用リモートコントローラー」であり,引用意匠に係る物品は「給湯機器用リモートコントローラー」であるが,いずれも給湯器用のリモートコントローラーであるから,一致している。
(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点(ア)ないし(キ)により,各構成要素の具体的な形状(例えば,スピーカー部の正面視形状や大きさ)を除き,全体形状の形状,各構成要素の有無,各構成要素の配置が共通しており,一定の共通感を生じさせているが,これらの共通点は意匠全体を概括したものに過ぎず,これらの共通点をより詳細に検討すると,共通点の中に上記3の(2)イ.の相違点が認められるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ.相違点について
(ア)相違点(ア)は,正面視においては,余り別異の印象を与えるものではないから,目に付きやすい部分の相違とはいえ,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(イ)相違点(ウ)については,相違点(イ)と相まって,本願意匠は全体に柔らかい印象を与えるのに対して,引用意匠はシャープな堅い印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(ウ)相違点(エ)及び(カ)については,本願意匠は,センサー部とスピーカー部の大きさを操作ボタン部の大きさにおおよそそろえて統一感を持たせているのに対して,引用意匠は,センサー部とスピーカー部の大きさを操作ボタン部の約2分に1の大きさにして,その大きさの違いで差異を持たせているため,両意匠から受ける印象は別異なものとなるから,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。
(エ)相違点(オ)については,本願意匠の形状も,引用意匠の形状も,よく見られる形状であり,部分的な相違でもあるから,全体観察においては,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(オ)相違点(キ)については,へこみ具合も隆起した度合いも共に僅かであるが,そこに表れる陰より見た目の印象が異なるため,操作する際に目に付く箇所における形状の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。
(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(イ)及び(ウ)を始め,各部の相違を総合すると需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。
(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品が一致しているが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。
5 結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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