2019-014382
ウェットティッシュの包装材の蓋用材、ウェットティッシュの包装材、及びウェットティッシュの包装製品
- 審判番号
- 2019-014382
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-187852外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年10月29日
- 審決日
- 2020年06月09日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .113-WY (B65D) / P18 .121-WY (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月25日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和元年5月27日付け 拒絶理由通知
令和元年7月25日 意見書及び手続補正書の提出
令和元年8月6日付け 拒絶査定
令和元年10月29日 本件審判請求、同時に手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明(以下「本願発明1」等という。)は、令和元年10月29日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3にそれぞれ記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に積層された第1粘着剤層と、前記基材フィルムの、前記第1粘着剤層が積層された側とは反対側の面上に積層された変形抑制層と、を備え、続きを表示(全14行)前記基材フィルムが、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記変形抑制層が、ポリエチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルム層である、ウェットティッシュの包装材の蓋用材。【請求項2】開口部が形成されるウェットティッシュの包材と、前記開口部を覆う蓋体と、を備え、前記蓋体の少なくとも一部が、請求項1に記載のウェットティッシュの包装材の蓋用材から形成される、ウェットティッシュの包装材。【請求項3】請求項2に記載のウェットティッシュの包装材と、前記ウェットティッシュの包装材によって包装されたウェットティッシュと、を備える、ウェットティッシュの包装製品。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、令和元年5月27日付け拒絶理由通知書に記載した「理由2」であって、その概要は次のとおりである。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引 用 文 献 等 一 覧>
1.特開2013-193791号公報
2.特開2002-363513号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2004-026197号公報(周知技術を示す文献)
・請求項1~4
・引用文献1~3
請求項1~4に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 当審の判断
1. 本願発明1について
(1) 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、【0012】~【0039】の記載及び【図1】~【図7】の図示があり、それらを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「ベースフィルム(72)と、前記ベースフィルム(72)の一方の面上に積層された粘着層(8)と、前記ベースフィルム(72)の、前記粘着層(8)が積層された側とは反対側の面上に積層された形状保持フィルム(71)と、を備え、前記形状保持フィルム(71)が、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルムである、ウェットティッシュの包材の蓋材。」
(2) 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「ベースフィルム(72)」、「粘着層(8)」、「ウェットティッシュ」、「包材」、「蓋材」はそれぞれ、本願発明1の「基材フィルム」、「第1粘着剤層」、「ウェットティッシュ」、「包装材」、「蓋用材」にそれぞれ相当する。
引用発明1の「形状保持フィルム」は、本願発明1の「変形抑制層」と、「基材フィルム」の、第1粘着剤層が積層された側とは反対側の面上に積層された樹脂フィルム層である点で一致する。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは次の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
「基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に積層された第1粘着剤層と、前記基材フィルムの、第1粘着剤層が積層された側とは反対側の面上に積層された樹脂フィルム層と、を備えた、ウェットティッシュの包装材の蓋用材。」
<相違点>
本願発明1は、「基材フィルム」が「発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種」であって、基材フィルムの第1粘着剤層が積層された側とは反対側の面上に積層された樹脂フィルム層が、「変形抑制層」であって、「ポリエチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルム層」であるのに対し、引用発明1の「ベースフィルム(72)」が「発泡」したものであるか、あるいは、「微細空孔を有する」ものであるか不明であって、かつ、樹脂フィルム層は、「形状保持フィルム(71)」であるものの、それが「変形抑制層」であって、「ポリエチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルム層」であるか不明である点。
(3) 相違点についての検討
ア. 本願明細書には次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】【0004】しかし、ウェットティッシュの包装材の蓋用材として使用される粘着シートは、貼付と剥離を経て変形してしまうことがある。特に、ウェットティッシュの包装材から粘着シートを剥離する際に、粘着シートに細かいシワが発生したり、カールが発生したりするという問題があった。蓋用材として使用される粘着シートにシワやカールがあると、被着体である包装材と粘着シートとの密着性が損なわれ、ウェットティッシュの成分が包装材の外へ漏れやすくなる。また、粘着シートにシワがあると、剥離の際にシワが起点となって、不快な剥離音が発生する原因となる場合がある。【0005】本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、変形の生じ難い、ウェットティッシュの包装材の蓋用材を提供することを目的とする。また、当該ウェットティッシュの包装材の蓋用材を備えた、ウェットティッシュの包装材及びウェットティッシュの包装製品を提供することを目的とする。」
「【課題を解決するための手段】【0006】本発明は以下の通りである。(1)基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に積層された第1粘着剤層と、前記基材フィルムの、前記第1粘着剤層が積層された側とは反対側の面上に積層された変形抑制層と、を備える、ウェットティッシュの包装材の蓋用材。(2)前記基材フィルムが、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記(1)に記載のウェットティッシュの包装材の蓋用材」
「【0014】(変形抑制層)本実施形態に係る蓋用材1の変形抑制層30は、基材フィルム10の、第1粘着剤層20が積層された側とは反対側の面上に、基材フィルム10に接するように積層されている。ウェットティッシュの包装材から蓋用材を剥離する際、基材フィルム10に細かいシワが発生したり、カールが発生したり等の変形が生じる場合があったが、変形抑制層30が基材フィルム面に積層されていることで、変形抑制層30が基材フィルムを補強し、基材フィルム10の変形が抑制される。」
「【0023】発明者らは、微細空孔を有する基材フィルムを備えた蓋用材は、ウェットティッシュの包装材からの剥離感に優れているが、他のフィルムと比べて剥離時に変形が生じやすいことに着目した。そこで、変形抑制層30が基材フィルム11の面に積層されている構成とすることで、包装材からの剥離感の向上および変形防止が両立され、使用感および再貼付時の密着性に優れた蓋用材を提供できることを見出した。【0024】微細空孔11aを有する基材フィルム11としては、発泡樹脂フィルム、微細空孔を有する合成紙、及び微細空孔を有する樹脂フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。」
上記記載から、本願発明1は、ウェットティッシュの包装材からの剥離感に優れた微細空孔を有する基材フィルムを備えた蓋用材において、蓋用材を包装材から剥離する際に、基材フィルムに細かいシワやカールが発生したり等の変形が生じるのを、「変形抑制層」を「基材フィルム」面に積層することで、「基材フィルム」を補強し、当該変形を抑制するものである。
イ. それに対し、引用文献1には、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】【0006】本発明の目的は、蓋材を包材から剥離した後、その蓋材から手を離しても蓋材が包材側へと戻り難く、片手で容易に、蓋材を捲って取出口を開放しその取出口から物品を取り出すことができる包装体を提供することである。【課題を解決するための手段】【0007】本発明の包装体は、物品を取り出すための取出口を有する包材と、前記取出口を覆うように前記包材の表面に剥離可能且つ再貼付可能に貼着されたフィルム状の蓋材と、を有し、前記フィルム状の蓋材が、形状保持フィルムを含む。【0008】上記本発明の包装体は、蓋材が形状保持フィルムを含むので、蓋材を包材から捲った後、蓋材がカールした状態を保持するため、剥離した蓋材が元に戻ることによって取出口が塞がれることを防止できる。かかる蓋材を有する包装体は、片手で蓋材を捲り、その片手で取出口から包材内の物品を取り出すこともできる。本発明の蓋材は、加熱などの特別な処理を行わなくても、捲ることによってカール特性を生じる。このため、包材内に収納する物品が制約されることはない。」
「【0027】形状保持フィルム71は、人力で容易に変形させることができるフィルムであって、折り曲げた後に折り癖がつき且つ反発によってその折り癖が戻らずに維持されるフィルムである。蓋剤3の引き剥がし時に蓋剤3は曲げられるが、その曲げ応力によって、形状保持フィルム71はカール特性を生じる。つまり、形状保持フィルム71は、加熱によってカール特性を生じる熱収縮フィルムとは顕著に異なり、熱を加えなくてもカール特性を生じる。」
上記記載から、引用発明1の「形状保持フィルム」とは、「蓋材を包材から捲った後、蓋材がカールした状態を保持するため、剥離した蓋材が元に戻ることによって取出口が塞がれることを防止」するためのものであって、そのために、「人力で容易に変形させることができるフィルムであって、折り曲げた後に折り癖がつき且つ反発によってその折り癖が戻らずに維持されるフィルム」である。
ウ. そうすると、引用発明1を、上記<相違点>に係る本願発明1の構成を備えたものとすることは、「蓋材を包材から捲った後、蓋材がカールした状態を保持する」ための「形状保持フィルム」を、カールが発生したりするのを防止する「変形抑制層」に置き換えるものであるから、そのような置換によって、引用発明1は「蓋材を包材から捲った後、蓋材がカールした状態を保持する」ことはできなくなるから、当該置換にはそうすることの阻害事由が存在する。
エ. そして、本願発明1は、上記<相違点>に係る構成を備えることで、剥離感に優れた微細空孔を有する基材フィルムを備えた蓋用材においても、蓋用材を包装材から剥離する際に、基材フィルムに細かいシワやカールが発生したり等の変形が生じるのを抑制できるとの格別な作用効果を奏する。
よって、引用発明1を、上記<相違点>に係る本願発明1の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものであるとはいえない。
(4) 本願発明1についての小活
以上のとおりであるから本願発明1は、引用発明1及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
2. 本願発明2及び3について
本願発明2のウェットティッシュの包装材、及び、本願発明3のウェットティッシュの包装製品は、いずれも本願発明1のウェットティッシュの包装材の蓋用材をその構成に包含するものである。
そうすると、上記1.(3)(4)に示したように、本願発明1は、引用発明及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本願発明2及び3も、引用発明1及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 前置報告について
令和元年12月5日付け前置報告書において、本願発明1~3は、本願出願前に頒布された刊行物である特開2011-186021号公報(以下前置報告書と同様に「引用文献5」という。)に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当するから特許を受けることができない、または、引用発明5から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとされているので、以下、検討する。
引用文献5には、引用発明5の「ライナーレスラベル」の用途として、「本発明に係るライナーレスラベルは、主としてタイヤの規格表示ラベルとして採用されるが、その他、・・・ウェットティッシュ用ラベルが挙げられる。」(段落【0010】)と記載されている。しかし、当該「ウェットティッシュ用ラベル」がウェットティッシュを包装する包装材の蓋用剤であるとの記載はないし、示唆する記載もない。むしろ、引用発明5は、「ところで、成形直後のゴム製車両用タイヤの表面には、金型による加硫成形の際に用いられる離型剤としてのシリコンが残留している。また、タイヤ表面には、トレッドパターンといわれる溝があり、加硫成形時に発生する「スピュー」といわれる細かいひげ状の突起物が数多く存在する凹凸のある粗面である。したがって、従来はこれに貼付するラベルの糊にも高粘度で粘着性の高いゴム系のものが使用されており、一旦貼付したラベルは剥がし難いという特性が」(段落【0006】)あったものにおいて、「切離後の単票の周縁に沿って額縁状の糊無し部」(【請求項1】)を設けて、「・・・糊の幾何学的な塗布形状に関わらず、ロール状に巻回積層した際にラベル基材1端部から糊がはみ出すことを規制する糊の不塗布部分を設けることが肝要である。この糊無し代4aを設けたことにより、一旦貼着したラベルを剥がす際に手掛かりとなり剥離作業が容易になる」(段落【0015】)ようにしたものであるから、引用発明5の「ライナーレスラベル」は、ウェットティッシュの包装材の「蓋用材」のように「繰り返し剥離可能な粘着シート」(本願明細書段落【0002】)であるとはいえない。
そうすると、引用文献5に記載された「ラミネート材5」は、本願発明1の「変形抑制層」に相当するものであるとはいえない。よって、この点、少なくとも本願発明1と引用発明5との間で実質的な相違点といえるから、本願発明1は、引用発明5であるとはいえない。
また、引用発明5の「ライナーレスラベル」を、「繰り返し剥離可能」な程度の粘着力とすることは、離型剤としてのシリコンが残留し、スピューが多く存在する凹凸のある粗面に対して、満足な粘着力を発揮するとはいえないから、そうすることの阻害事由があるといわざるをえない。
よって、本願発明1は、引用発明5であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとはいえない。
また、本願発明1は、引用発明5から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。
さらに、本願発明2及び本願発明3は、本願発明1を引用するものである。そうすると、上記第4の2.に示したのと同様に、本願発明2及び本願発明3は、引用発明5であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとはいえない。また、本願発明2及び本願発明3は、引用発明5から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。
第6 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明1~3は、引用発明1及び従来周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。
また、他に拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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