特許拒絶査定不服審判
2019-014316
太陽電池モジュール
- 審判番号
- 2019-014316
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-189234外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年10月28日
- 審決日
- 2020年09月02日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-189234「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-207134〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年9月16日(優先権主張 平成25年12月27日、日本国)を国際出願日とする出願である特願2015―554604号の一部を、平成30年10月4日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成30年11月29日付け:拒絶理由通知書(同年12月4日発送)
平成31年 1月30日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 3月22日付け:拒絶理由通知書(最後)(同月26日発送)
令和 元年 5月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 6月20日付け:拒絶理由通知書(同月25日発送)
令和 元年 8月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 9月20日付け:拒絶査定(同年10月1日送達)
令和 元年10月28日 :審判請求書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出
令和 元年12月24日 :上申書の提出
第2 本件補正について
本件補正は、本件補正前の請求項2および請求項6について補正しようとするものであるところ、本件補正前の請求項2は請求項1の記載を引用し、本件補正前の請求項6は請求項5の記載を引用して記載されたものである。そして、本件補正は、本件補正前の請求項2、6の記載について、それぞれ請求項1、5の記載を引用しないものとするものであり、本件補正前の請求項において、実質的にその内容を変更するものではない。
第3 本件補正発明
本願の請求項に係る発明は、本件補正後の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項5に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、その請求項5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項5】
太陽電池モジュールであって、
複数の第1の太陽電池サブグループを有する第1の太陽電池グループと、
複数の第2の太陽電池サブグループを有する第2の太陽電池グループと、を備え、
前記第1の太陽電池グループと前記第2の太陽電池グループとは、第1の方向に沿って並んで配置され、
前記複数の第1の太陽電池サブグループのそれぞれは、
前記第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第1の太陽電池ストリングと、
前記2つの第1の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第1の配線材と、を有し、
前記複数の第2の太陽電池サブグループのそれぞれは、
前記第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第2の太陽電池ストリングと、
前記2つの第2の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第2の配線材と、を有し、
前記複数の第1の太陽電池サブグループのうち一の第1の太陽電池サブグループは、第1のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され、
前記複数の第2の太陽電池サブグループのうち一の第2の太陽電池サブグループは、第2のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され、
前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、電気的に直列に接続され、
前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、前記第1の方向に沿って配置され、かつ、前記第1のバイパスダイオードと前記第2のバイパスダイオードとは、前記第1の方向に沿って配置されており、
前記第1のバイパスダイオードは、前記一の第1の太陽電池サブグループと前記第1の方向の一方端にて接続され、前記第2のバイパスダイオードは、前記一の第2の太陽電池サブグループと前記第1の方向の他方端にて接続されている、
太陽電池モジュール。」
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項5に係る発明は、その優先日前に本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.特開2008-160049号公報
引用文献2.特開2007-234795号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.登録実用新案第3168519号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2010-245176号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2010-16131号公報(周知技術を示す文献)
第5 引用文献の記載事項および引用発明
1 引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【0015】 また、前記ダイオードは、前記太陽電池素子の入力側と出力側との間で並列接続されたバイパスダイオードであることが望ましい。」
「【0024】 図1において、9は表面部材(透光性基板)、10は太陽電池素子、11は接続タブ、12は出力配線、13、14は封止樹脂材(13は受光面側充填材、14は裏面側充填材)、15は裏面部材、17はカバー部材、18は出力ケーブルを示す。」
「【0028】 出力配線12は、接続タブ11により直線的につながれた太陽電池素子群を互いに接続するためのものであり、接続タブ11と同様に厚みが0.1~1mm程度、幅5~15mm程度のハンダコートした銅箔などが用いられる。」
「【0034】<第一実施例> 図1(c)は、本発明に係るバイパスダイオードの取付部構造を示す断面図である。図1(c)において、20はバイパスダイオード、21はバイパスダイオードの接続端子、22は硬化性樹脂を示す。」
「【0035】 バイパスダイオード20は、出力配線12の間に太陽電池素子10のダイオード極性に対し逆方向になるように、ハンダ付けなどで接続される。……<中略>……。このバイパスダイオード20の定格電流などは、使用する太陽電池モジュールの太陽電池素子の大きさや直列数等を考慮して最適に決定すれば良い。」
「【0043】 カバー部材17は、その内部のバイパスダイオード20や硬化性樹脂22等を風や落雷などの衝撃から保護し、さらにバイパスダイオード20で発生した熱の放熱のために設けるものである。」
「【0050】<第三実施例> 図4は、本発明に係る太陽電池モジュールの第三実施例を示す平面図である。また、図4を模式的に示したものが図5である。この太陽電池モジュールは、複数の太陽電池素子が互いに直列に接続された太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが同一の透光性基板9上に配置され、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bが並列に接続されて並列回路を構成するものである。太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bの間には逆流防止ダイオード30を内蔵した、カバー部材17が配置される。」
「【図1】
」
「【図4】
」
2 引用発明
上記1から、以下の事項が読み取れる。
(1) 【0028】の記載及び図1から、4つの太陽電池素子10が接続タブ11により直線的につながれて「列」を形成している構成が見てとれる。以下、当該「列」を「太陽電池素子列」という。
(2) 【0028】の記載及び図1によれば、出力配線12は、隣接する2つの太陽電池素子列を互いに接続する配線である。
(3) 図1から、カバー部材17が見てとれるところ、【0043】の記載より、カバー部材の内部にはバイパスダイオード20が配されている。
(4) 上記(1)~(3)、【0050】の記載を参酌しつつ、図4から、4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向(図面の上下方向)に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向(図面の左右方向)に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した太陽電池素子群Aと、
4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向(図面の上下方向)に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向(図面の左右方向)に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した太陽電池素子群Bと、を備えた太陽電池モジュールが見てとれる。
(5) 図4から、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとは、透光性基板9の一辺に沿った方向(図面の上下方向)に沿って並んで配置されている構成が見てとれる。
(6) 【0050】の記載から、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bが並列に接続されて並列回路を構成している。
(7) 図4から、太陽電池素子群Aが有する、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオードは、透光性基板9の一辺に沿った方向の一端側(図面の上端側)に配置されている構成が見てとれる。
(8) 図4から、太陽電池素子群Bが有する、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオードは、透光性基板9の一辺に沿った方向の他端側(図面の下端側)に配置されている構成が見てとれる。
上記(1)~(8)から、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明」という。)。
「太陽電池モジュールは、
4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した太陽電池素子群Aと、
4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した太陽電池素子群Bと、を備え、
太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが、同一の透光性基板上に、当該透光性基板の一辺に沿った方向に沿って並んで配置され、
太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bが並列に接続されて並列回路を構成し、
太陽電池素子群Aが有する、前記各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオードは、透光性基板の一辺に沿った方向の一端側に配置され、
太陽電池素子群Bが有する、前記各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオードは、透光性基板の一辺に沿った方向の他端側に配置されている、
太陽電池モジュール。」
第5 対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
1 引用発明の「太陽電池素子」、「出力配線」、「バイパスダイオード」、及び「太陽電池モジュール」は、それぞれ本件補正発明の「太陽電池」、「配線材」、「バイパスダイオード」、及び「太陽電池モジュール」に相当する。
2 引用発明の「透光性基板の一辺に沿った方向」は、本件補正発明の「第1の方向」に相当する。
3 引用発明の「太陽電池素子群A」は、「4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した」構成を備えている。
一方、本件補正発明の「第1の太陽電池グループ」は、「複数の第1の太陽電池サブグループ」を有するところ、当該「複数の第1の太陽電池サブグループ」のそれぞれは、「前記第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第1の太陽電池ストリングと、前記2つの第1の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第1の配線材と、を有し」ているものである。
ここで、両者の構成を対比すると、「太陽電池素子群A」が備える「4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列」は、その構成からみて、本件補正発明の「第1の太陽電池グループ」が備える「第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した第1の太陽電池ストリング」に相当するものである。
また、「太陽電池素子群A」の「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し」との構成は、その構成からみて、本件補正発明の「2つの第1の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第1の配線材」に相当するといえる。
そして、「太陽電池素子群A」における「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」は、その構成からみて、本件補正発明の「第1の太陽電池グループ」における「複数の第1の太陽電池サブグループ」に相当するものといえる。
よって、引用発明の「太陽電池素子群A」は、本件補正発明の「第1の太陽電池グループ」に相当するものである。
4 引用発明の「太陽電池素子群B」は、「4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列を、透光性基板の他辺に沿った方向に6列配置し、当該6列の太陽電池素子列のうち、隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した」構成を備えている。
一方、本件補正発明の「第2の太陽電池グループ」は、「複数の第2の太陽電池サブグループ」を有するところ、当該「複数の第2の太陽電池サブグループ」のそれぞれは、「前記第2の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第2の太陽電池ストリングと、前記2つの第2の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第2の配線材と、を有し」ているものである。
ここで、両者の構成を対比すると、「太陽電池素子群B」が備える「4つの太陽電池素子が接続タブにより透光性基板の一辺に沿った方向に直線的につながれた太陽電池素子列」は、その構成からみて、本件補正発明の「第2の太陽電池グループ」が備える「第2の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した第2の太陽電池ストリング」に相当するものである。
また、「太陽電池素子群B」の「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し」との構成は、その構成からみて、本件補正発明の「2つの第2の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第2の配線材」に相当するといえる。
そして、「太陽電池素子群B」における「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」は、その構成からみて、本件補正発明の「「第2の太陽電池グループ」における「複数の第2の太陽電池サブグループ」に相当するものといえる。
よって、引用発明の「太陽電池素子群B」は、本件補正発明の「第2の太陽電池グループ」に相当するものである。
5 引用発明は、「太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが、同一の透光性基板上に、当該透光性基板の一辺に沿った方向に沿って並んで配置され」た構成であるから、太陽電池素子群Aが有する構成と太陽電池素子群Bが有する構成も、透光性基板の一辺に沿った方向に沿って並んで配置されているものと認められる。
したがって、引用発明の太陽電池素子群Aが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」と太陽電池素子群Bが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」とは、透光性基板の一辺に沿った方向に沿って並んで配置された構成と認められるから、引用発明は、本件補正発明の「前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、前記第1の方向に沿って配置され」との構成を満たしているものと認められる。
6 引用発明における「太陽電池素子群A」の「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」は、「各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した」構成を備えていることから、引用発明の「太陽電池素子群A」は、本件補正発明の「複数の第1の太陽電池サブグループのうち一の第1の太陽電池サブグループは、第1のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され」との構成を備えているといえる。
7 引用発明における「太陽電池素子群B」の「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」は、「各組の入力側と出力側との間にバイパスダイオードを接続した」構成を備えていることから、引用発明の「太陽電池素子群B」は、本件補正発明の「複数の第2の太陽電池サブグループのうち一の第2の太陽電池サブグループは、第2のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され」との構成を備えているといえる。
8 引用発明は、「太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bが並列に接続されて並列回路を構成し」ていることから、太陽電池素子群Aが有する構成と太陽電池素子群Bが有する構成も、並列に接続されて並列回路を構成しているものと認められる。
したがって、引用発明の太陽電池素子群Aが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」と太陽電池素子群Bが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続し、出力配線により接続された太陽電池素子列を3組」とは、並列に接続されて並列回路を構成しているものと認められるところ、本件補正発明は「前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、電気的に直列に接続され」るものであるから、引用発明は、本件補正発明と「前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとが、電気的に接続され、」ている構成で共通しているものと認められる。
9 引用発明では、「太陽電池素子群A」が有する、「出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオード」は、「透光性基板の一辺に沿った方向の一端側に配置され」ており、当該構成は、本件補正発明の「第1のバイパスダイオードは、前記一の第1の太陽電池サブグループと前記第1の方向の一方端にて接続されている」との構成を満たしているものと認められる。
10 引用発明では、「太陽電池素子群B」が有する、「出力配線により接続された太陽電池素子列を3組とし、当該各組の入力側と出力側との間に接続されたバイパスダイオード」は、「透光性基板の一辺に沿った方向の他端側に配置され」ており、当該構成は、本件補正発明の「第2のバイパスダイオードは、前記一の第2の太陽電池サブグループと前記第1の方向の他方端にて接続されている」との構成を満たしているものと認められる。
上記1~10から、本件補正発明と引用発明とは、以下の構成において一致する。
<一致点>
「太陽電池モジュールであって、
複数の第1の太陽電池サブグループを有する第1の太陽電池グループと、
複数の第2の太陽電池サブグループを有する第2の太陽電池グループと、を備え、
前記第1の太陽電池グループと前記第2の太陽電池グループとは、第1の方向に沿って並んで配置され、
前記複数の第1の太陽電池サブグループのそれぞれは、
前記第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第1の太陽電池ストリングと、
前記2つの第1の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第1の配線材と、を有し、
前記複数の第2の太陽電池サブグループのそれぞれは、
前記第1の方向に並んで配置される複数の太陽電池を電気的に直列に接続した2つの第2の太陽電池ストリングと、
前記2つの第2の太陽電池ストリングを電気的に直列に接続する第2の配線材と、を有し、
前記複数の第1の太陽電池サブグループのうち一の第1の太陽電池サブグループは、第1のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され、
前記複数の第2の太陽電池サブグループのうち一の第2の太陽電池サブグループは、第2のバイパスダイオードと電気的に並列に接続され、
前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、電気的に接続され、
前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、前記第1の方向に沿って配置され、かつ、前記第1のバイパスダイオードと前記第2のバイパスダイオードとは、前記第1の方向に沿って配置されており、
前記第1のバイパスダイオードは、前記一の第1の太陽電池サブグループと前記第1の方向の一方端にて接続され、前記第2のバイパスダイオードは、前記一の第2の太陽電池サブグループと前記第1の方向の他方端にて接続されている、
太陽電池モジュール。」
一方、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点>
第1の太陽電池サブグループと第2の太陽電池サブグループの電気的な接続について、本件補正発明は、「直列に」接続されているのに対して、引用発明は、「並列に」接続されている点。
第6 判断
1 相違点について
一般に、太陽電池モジュールは複数の太陽電池セルがマトリクス状に配列されており、太陽電池セルが直列接続されて複数の太陽電池ストリングが形成されている。そして、各太陽電池ストリング同士は電気的に直列或いは並列に接続されて、所望の電圧および電流が得られる太陽電池モジュールが構成される。
ここで、隣り合う太陽電池ストリングを直列に接続した構成をグループとし、これら複数のグループを直列に接続する構成は周知な構成(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の【図7】、引用文献3の【図3】、引用文献4の【図10】、更には、特表2012-527786号公報の【図4】を参照。)であり、太陽電池セルを直列接続や並列接続とすることで太陽電池モジュールの電圧や電流を調整することも周知・慣用技術(必要であれば、特開2005-244046号公報の【図1】,【図5】、特開2010-80548号公報の【図4】-【図5】を参照。)である。
したがって、太陽電池モジュールの電圧や電流を調整するために、複数の太陽電池セルを具体的にどのように直列或いは並列接続として構成するかは、当業者が所望により規定し得る設計的な事項である。
ここで、引用発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを並列に接続して所定の電圧および電流を得ている構成であるが、上記のとおり、太陽電池セルを直列接続や並列接続とすることで太陽電池モジュールの電圧や電流を調整することは周知・慣用技術であるから、所望(用途等)により、例えば、2倍の電圧を出力する太陽電池モジュールが求められる場合に、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを直列に接続して構成することは、当業者が容易に想起し得る構成である。
そして、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが直列に接続される以上、太陽電池素子群Aが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続した構成」と太陽電池素子群Bが有する「隣接する2つの太陽電池素子列を出力配線により接続した構成」も、直列に接続されるものとなる。
2 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、以下(1)~(3)の事項を主張しているところ、各主張について判断を示す。なお、上申書の主張は、審判請求書における主張と同じである。
(1) 請求人は、審判請求書の3.(c)において、「引用文献1に係る発明は、バイパスダイオードや逆流防止ダイオード30が発熱しないように、もしくは、発熱した際には、その熱によって周囲に存在する充填剤の変質や発泡などによる太陽電池モジュールの特性低下を抑えようとするものである(引用文献1の[0005]、[0006]、[0051]-[0055])。即ち、バイパスダイオードの発熱を課題とするものであり、その課題解決のために、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを、逆流防止ダイオード30を介して並列に接続することを採用している。」と主張している。
しかしながら、請求人が主張する「その課題解決のために、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを、逆流防止ダイオード30を介して並列に接続することを採用している」との事項は引用文献1には記載されておらず、引用文献1は、課題解決のために、ダイオード(バイパスダイオード或いは逆流防止ダイオード)を、太陽電池素子を封止する封止樹脂の外部に設置するとの構成(【0008】、【0039】参照)を採用するものであるから、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを並列に接続する構成は、課題解決のために必須の構成ではなく、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを直列に接続することを排除するものでもない。
(2) 請求人は、審判請求書の3.(d)において、「しかしながら、引用文献1に係る、或る太陽電池サブグループが遮光されることなどによって該太陽電池サブグループに並列に接続されるバイパスダイオードが発熱する際、引用文献1に係る太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを直列に接続する構成を採用していると、その遮光された或る太陽電池サブグループおよび発熱するバイパスダイオードに直列に接続される太陽電池サブグループの数が増えることとなる。例えば、引用文献1の図4の構成では、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを逆流防止バイパスダイオードを介して並列に接続する構成の場合、上述の直列に接続される太陽電池サブグループの数は2つであるが、直列に接続する構成を採用する場合、5つに増えることとなる。その結果、上述の発熱するバイパスダイオードなどに電流を流そうとする力が大きくなり、バイパスダイオードなどに大きな発熱を生じさせる。そのため、バイパスダイオードの発熱を課題にしている引用文献1に係る太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとの逆流防止ダイオード30を介して並列に接続する構成に代えて、太陽電池サブグループを直列に接続した上で、太陽電池サブグループとバイパスダイオードとの接続配線を短くするようにバイパスダイオードを配置する構成は、太陽電池モジュールの発熱抑制という観点から、当業者が適宜決めうる単なる設計的事項ではなく、当業者が容易に想到し得るものではない。」と主張している。
しかしながら、直列に接続される太陽電池サブグループの数が増えた場合、出力電圧は大きくなるとしても電流に変化はないことから、バイパスダイオードに流れる電流にも変化は生じない。よって、バイパスダイオードの発熱にも変化は生じないものである。
また、「太陽電池サブグループとバイパスダイオードとの接続配線を短くするようにバイパスダイオードを配置する構成」を主張しているが、「短くするように」では比較対象が不明であると共に、本件補正発明に直接的な構成も規定されてはいないことから、当該主張は、特許請求の範囲の記載に基づく主張とは認められないものである。
仮に、本件補正発明の、「前記一の第1の太陽電池サブグループと前記一の第2の太陽電池サブグループとは、前記第1の方向に沿って配置され、かつ、前記第1のバイパスダイオードと前記第2のバイパスダイオードとは、前記第1の方向に沿って配置されており、前記第1のバイパスダイオードは、前記一の第1の太陽電池サブグループと前記第1の方向の一方端にて接続され、前記第2のバイパスダイオードは、前記一の第2の太陽電池サブグループと前記第1の方向の他方端にて接続されている」との構成によって得られている構成であるとしても、上記第5、9~11に示したとおり、引用発明は、当該構成を備えている。
(3) 請求人は、審判請求書の3.(d)において、「仮に、引用文献1の太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが直列接続された構成が周知文献(周知技術)に開示されているとした場合、引用文献1の太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとが並列接続された電気的接続を、上記周知文献に基づいて変更する場合には、バイパスダイオードの配置も、当該周知文献に開示された構成に基づいて変更する様、動機付けされるはずである。しかしながら、仮に、引用文献1の上記並列接続された構成から上記周知文献の直列接続された構成を試みたとしても、引用文献1のバイパスダイオードの配置を維持したまま、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bとを直列接続できる構成は、上記周知文献には開示も示唆もないため、本願請求項1に係る「直列接続された複数の太陽電池ストリングを有する第1の太陽電池サブグループと、直列接続された複数の太陽電池ストリングを有する第2の太陽電池サブグループとが長手方向に配置され、当該長手方向の一方端に第1のバイパスダイオードが配置され、当該長手方向の他方端に第2のバイパスダイオードが配置された構成」は、容易に想到できるものではない。」と主張している。
しかしながら、太陽電池素子の個数や配置等に変更がない場合に、既に太陽電池素子を封止する封止樹脂の外部に設置され、発熱の課題を解決している引用発明のバイパスダイオードの配置を変更する必要はなく、配線の変更のみで対応できるものである。
そして、引用発明において、引用文献1の図4に記載された太陽電池モジュールの構成を参酌しても、太陽電池素子群Aと太陽電池素子群Bの接続を並列接続から直列接続に変更するにあたり、配線の引き回し等について格別の阻害要因となる構成は認められず、また、一般的に接続形態の変更に応じて配線等を変更することは常套手段にすぎないから、上記接続の変更にあたり、周知文献等の示唆が必要であるとする、請求人の主張は採用できないものである。
上記(1)~(3)のとおりであるから、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本件補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-014316