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特許拒絶査定不服審判

2019-013111

照明装置

審判番号
2019-013111
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-148734外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年10月02日
審決日
2020年06月23日
公報発行日
2020年10月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F21V)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-148734号「照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 27916号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年7月28日の出願であって、平成31年2月14日付けで拒絶理由が通知され、同年4月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年8月26日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、同年10月2日に拒絶査定服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和1年10月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和1年10月2日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 令和1年10月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 (1)補正前の請求項1 「【請求項1】 光源と、 透光性を有する基材からなり、前記光源からの光を拡散させる光学部材と、 前記光源と前記光学部材との間に配置された、特定の波長の光を吸収する色素を含むフィルタ素子とを備え、 前記フィルタ素子は、前記光学部材と間隔をあけて配置され、 前記フィルタ素子及び前記光学部材の間に他の光学部材が配置されない 照明装置。」 (2)補正後の請求項1 「【請求項1】 光源と、 透光性を有する基材からなり、前記光源からの光を拡散させる光学部材と、 前記光源と前記光学部材との間に配置された、特定の波長の光を吸収する色素を含むフィルタ素子とを備え、 前記フィルタ素子は、前記光学部材と間隔をあけて配置され、 前記フィルタ素子及び前記光学部材の間に他の光学部材が配置されず、 前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い 照明装置。」 2 補正の適否 2-1 新規事項の追加の有無 (1)補正事項 上記1のとおり、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載について、「前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い」との事項(以下「事項A」という。)を、追加して限定するものである。 そこで、上記事項Aが、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」といい、特許請求の範囲及び図面を併せて「当初明細書等」という。)、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえるか否か、すなわち、「当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである」か否か(参考判決:知財高裁 平成20年5月30日特別部判決平成18年(行ケ)第10563号)について、以下検討する。 (2)検討 ア 当初明細書等の記載(下線は、当審で付した。) (ア)当初明細書には、光源とフィルタ素子との間の間隔、フィルタ素子と光学部材との間の間隔に関連し、以下の記載がある。 「【0008】 【図1】図1は、実施の形態1に係る照明装置の外観斜視図である。 【図2】図2は、実施の形態1に係る照明装置の模式断面図である。 【図3】図3は、発光モジュールの外観斜視図である。 【図4】図4は、フィルタ素子の特性を示す図である。 【図5】図5は、比較例1に係る照明装置が発光するときの光路の一例を示す模式図である。 【図6】図6は、実施の形態1に係る照明装置が発光するときの光路の一例を示す模式図である。 【図7】図7は、実施の形態1に係る照明装置の発光特性と、色素の含有率とを示す図である。 【図8】図8は、実施の形態2に係る照明装置の模式断面図である。 【図9】図9は、変形例1に係る照明装置の模式断面図である。 【図10】図10は、変形例2に係る照明装置の模式断面図である。 【図11】図11は、変形例3に係る照明装置の模式断面図である。 【図12】図12は、変形例4に係る照明装置の模式断面図である。 ・・・ 【0038】 なお、図2に示されるように、フィルタ素子50は、カバー30と間隔を空けて配置されるとよい。例えば、フィルタ素子50とカバー30との間隔D1は、1mm以上であるとよい。ここでの間隔D1は、発光モジュール20(LED素子22)の光軸J1上におけるフィルタ素子50とカバー30との距離を意味する。間隔D1は、言い換えれば、光軸J1上における、フィルタ素子50の下面からカバー30の内面までの距離である。 【0039】 これにより、照明装置10をカバー30の外側から視認すると、フィルタ素子50がカバー30と間隔をあけて配置されるため、フィルタ素子50の色が外部から見えにくくなる効果が得られる。また、後述される光の多重反射の回数を増やすことができる。 ・・・ 【0053】 特に、フィルタ素子50がカバー30と間隔を空けて配置されると、フィルタ素子50とカバー30との間に空気層が設けられて界面が増えるため、フィルタ素子50とカバー30との間における光の反射が起きやすくなる(反射の回数が増える)。よって、色素51の含有率をさらに減らすことができる。 【0054】 また、照明装置10においては、フィルタ素子50よりも外側にカバー30が配置される。照明装置10を外側から視認すると、フィルタ素子50は、カバー30に隠れるため、これによってもフィルタ素子50の色が外部から見えにくくなる効果が得られる。特に、フィルタ素子50がカバー30と間隔を空けて配置されると、フィルタ素子50の色が外部からより見えにくくなる効果が得られる。 ・・・ 【0062】 (変形例) 照明装置10及び10aが備えるカバーの形状は、特に限定されない。例えば、照明装置10及び照明装置10aは、上述の照明装置110が備えるカバー130のように長尺矩形板状のカバーを備えてもよい。図9~図12は、変形例1~4に係る照明装置の模式断面図である。なお、図9~図12に示される照明装置10b~10eのそれぞれが備える基台40b~40eは、いずれも、発光モジュール20、フィルタ素子50、及び、カバー130を保持する機能を有する。 【0063】 図9に示される照明装置10bは、長尺矩形板状のカバー130を備える。カバー130は、透光性を有する基材60に光拡散材61が含まれることにより、発光モジュール20からの光を拡散させる。 【0064】 このような照明装置10bにおいても、フィルタ素子50が発光モジュール20と光拡散性を有するカバー130との間に配置されるため、照明装置10と同様の効果が得られ。 【0065】 照明装置10bにおいては、発光モジュール20とフィルタ素子50との間、及び、フィルタ素子50とカバー130との間に隙間(空気層)が設けられているが、この隙間は、設けられなくてもよい。例えば、図10に示される照明装置10cのように、フィルタ素子50とカバー130とが隙間なく重ね合わされてもよい。 【0066】 また、例えば、図11に示される照明装置10dのように、発光モジュール20とフィルタ素子50との間隔D2が照明装置10bよりも広げられてもよい。なお、ここでの間隔D2は、発光モジュール20(LED素子22)の光軸J2上における発光モジュール20とフィルタ素子50との間隔を意味する。間隔D2は、言い換えれば、光軸J2上における、LED素子22の下面からフィルタ素子50の上面までの距離である。 【0067】 上述のように、照明装置において、消灯時にフィルタ素子50の色が見えてしまう要因の一つは、カバーを通じて照明装置の内部に入った外光が当該内部で反射し、フィルタ素子50を通じて再度照明装置の外部に出ることである。 【0068】 ここで、照明装置10dのように、発光モジュール20とフィルタ素子50との間の距離が長くなると、発光モジュール20とフィルタ素子50と間の空間に入った外光の反射回数が増える。したがって、発光モジュール20とフィルタ素子50と間の空間に入った外光は、反射により減衰した後、フィルタ素子50を透過して照明装置10dの外に出るため、フィルタ素子50の色を見えにくくする効果が得られる。間隔D2は、例えば、フィルタ素子50の厚みの3倍以上あればよい。 【0069】 また、カバー30と同様に、カバー130の外面に高屈折率材31が設けられ、カバー130の内面に低反射材32が設けられてもよい。例えば、図12に示される照明装置10eのカバー130の外面には、基材60よりも光の屈折率が高い高屈折率材31が設けられ、カバー130の内面には、基材60よりも光の反射率が低い低反射材32がさらに設けられている。照明装置10eのその他の構成は、照明装置10dと同様である。」 (イ)当初明細書等には、以下の図が示されている。 イ 当初明細書等には、 図2に示される実施の形態1に係る照明装置について、フィルタ素子50は、カバー30と間隔を空けて配置されるとよく、例えば、フィルタ素子50とカバー30との間隔D1は、1mm以上であるとよいこと(段落【0038】)、上記間隔D1により、照明装置10をカバー30の外側から視認すると、フィルタ素子50の色が外部から見えにくくなる効果が得られるとともに、光の多重反射の回数を増やすことができること(段落【0039】、【0053】、【0054】)、 図9に示される変形例1に係る照明装置10bは、長尺矩形板状のカバー130を備え、フィルタ素子50が発光モジュール20とカバー130との間に配置されること(段落【0063】、【0064】)、 図10に示される変形例2に係る照明装置10cについて、フィルタ素子50とカバー130とが隙間なく重ね合わされてもよいこと(段落【0065】及び、 図11に示される変形例3に係る照明装置10dについて、発光モジュール20とフィルタ素子50との間隔D2が図9に示される変形例1に係る照明装置10bよりも広げられてもよいこと(段落【0066】)、照明装置10dのように、発光モジュール20とフィルタ素子50との間の距離が長くなると、発光モジュール20とフィルタ素子50と間の空間に入った外光の反射回数が増えること(段落【0068】)、間隔D2は、例えば、フィルタ素子50の厚みの3倍以上あればよいこと(段落【0068】)、が記載されている。 以上によれば、当初明細書等には、上記事項Aに関連し、光源(発光モジュール20(LED素子22))とフィルタ素子(フィルタ素子50)との間に間隔(間隔D2)を設けること、及び、フィルタ素子(フィルタ素子50)と光学部材(カバー30、カバー130)との間隔(間隔D1)をそれぞれ設けることは記載されているが、上記事項Aの「前記光源と前記フィルタ素子の間隔」(間隔D2)が、「前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔」(間隔D1)よりも広いものとして設定すること、要するに、上記間隔D2と間隔D1とを比較の対象とし、それらの間隔D1,D2が、D2>D1の条件を満たすものとして構成すべきことは、記載も示唆もなく、それが、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項である、ということもできない。 ウ 請求人は、令和1年10月2日付け審判請求書の「3.(a)」の項において、「補正後の請求項1は、補正前の請求項1に『前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い』の限定を加えた請求項です。この限定の根拠は、図10-図12などです。」と主張する。 しかし、請求人が補正の根拠と主張する図10~図12に係る当初明細書の記載(上記「ア(ア)」)を検討しても、 図10には、「変形例2に係る照明装置の模式断面図」(段落【0008】)が示されており、その構造は、「フィルタ素子50とカバー130とが隙間なく重ね合わされてもよい。」(段落【0065】)というものであり、 また、図11には、「変形例3に係る照明装置の模式断面図」(段落【0008】)が示されており、その構造は、「発光モジュール20とフィルタ素子50との間隔D2が照明装置10bよりも広げられてもよい。」(段落【0066】)及び「間隔D2は、例えば、フィルタ素子50の厚みの3倍以上あればよい。」(段落【0068】)というものであり、 さらに、図12には、「変形例4に係る照明装置の模式断面図」(段落【0008】)が示されており、その構造は、「カバー130の外面には、基材60よりも光の屈折率が高い高屈折率材31が設けられ、カバー130の内面には、基材60よりも光の反射率が低い低反射材32がさらに設けられている。照明装置10eのその他の構成は、照明装置10dと同様である。」(段落【0069】)というものであり、 それら図10~図12に係る当初明細書の記載をして、上記事項Aの「前記光源と前記フィルタ素子の間隔」(間隔D2)と、「前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔」(間隔D1)とが比較の対象とされ、それらの間隔D1,D2が、D2>D1の条件を満たすように構成することが記載ないし示唆されていると解すべき合理性はない。 さらに、図10~図12の図示内容(上記「ア(イ)」)を検討しても、上記事項Aの「前記光源と前記フィルタ素子の間隔」(間隔D2)と、「前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔」(間隔D1)について、D2>D1の条件を満たすように構成したとする技術思想を見て取ることはできない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 エ 以上のとおり、上記事項Aは、本願の当初明細書等に記載がなされているということはできず、さらに、当業者によって当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であるということもできない。 よって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2-2 独立特許要件 上記2-1で述べたとおり、本件補正は適法になされたものではないが、念のため、仮に本件補正後の請求項1に係る本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、新規事項を追加するものでないとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。 (1)引用文献の記載事項等 (1-1)引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、本願の出願前に頒布された特開2015-18612号(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (1a)「【0001】 本発明は、照明装置に関する。 ・・・ 【0036】 以下、本実施の形態における照明装置1の各構成部材について詳細に説明する。 ・・・ 【0050】 以下、波長選択吸収部材20(第1の波長選択吸収部材21及び第2の波長選択吸収部材22)の具体的な構成について、図4~図7を用いて説明する。図4~図7は、本実施の形態における照明装置の4つの具体例の構成を示す図である。 【0051】 図4~図7に示される第1の波長選択吸収部材21及び第2の波長選択吸収部材22は、いずれも、波長選択吸収色素が添加された色素添加フィルタであって、光透過性樹脂20bと、当該光透過性樹脂20bに含有された波長選択吸収色素20aとによって構成されている。 【0052】 なお、図4~図7に示すように、波長選択吸収部材20は、光源ユニットLUに対向して配置される。光源ユニットLUは、基板30と、基板30の上に配置された第1のLED光源11及び第2のLED光源12とによって構成される。また、第1の波長選択吸収部材21は、第1のLED光源11の光出射側に配置され、第2の波長選択吸収部材22は、第2のLED光源12の光出射側に配置される。 ・・・ 【0058】 以下、第1の波長選択吸収部材21及び第2の波長選択吸収部材22を構成する波長選択吸収色素20a及び光透過性樹脂20bについて詳細に説明する。 【0059】 <波長選択吸収色素> 波長選択吸収色素とは、可視光の一部を選択的に吸収する性質を有する色素のことである。波長選択吸収色素としては、特定波長として570nm~600nm又は570nm~780nmの波長の光を選択的に吸収する性質を持つものを用いることができる。具体的には、テトラアザポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、オクタエチルポルフィリン、フタロシアニン、シアニン、アゾ、ピロメテン、スクアリリウム、キサンテン、ジオキサン、オキソノール等の有機化合物を主体とする色素が挙げられる。また、ネオジムイオン等の希土類金属イオンを含有する有機化合物を主体とする色素も挙げられる。 ・・・ 【0070】 [照明装置の具体例] 次に、照明装置(照明器具)の具体的な応用例として、シーリングライト100について説明する。図12は、本発明の実施の形態に係るシーリングライトを斜め下方から見たときの分解斜視図である。 【0071】 図12に示すように、シーリングライト100は、4つの光源ユニット110と、波長選択吸収部材120と、本体130と、カバー140と、電源(不図示)とを備える。以下、シーリングライト100の各構成部材について詳細に説明する。 ・・・ 【0072】 [光源ユニット] 各光源ユニット110は、図13に示すように、基板30と、基板30の上に配置された複数のLED光源10とによって構成される。複数のLED光源10は、例えば、内側と外側の2列の素子列となるように配列することができる。また、LED光源10の各々は、B-Yタイプの白色LED光源であり、上述のように、発光色が低色温度(2700K)である複数の第1のLED光源11と、発光色が高色温度(6500K)である複数の第2のLED光源12とによって構成されている。 ・・・ 【0078】 [波長選択吸収部材] 図12に示すように、波長選択吸収部材120は、円環状に構成されており、円環状に配置された4つの光源ユニット110の光出射側に配置される。波長選択吸収部材120の構造としては、図4~図7に示す構造とすることができる。図12では、図6に示す構造を用いた例を示している。 ・・・ 【0081】 [カバー] 図12に示すように、カバー140は、光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられる。本実施の形態におけるカバー140は、照明装置全体を均一に発光させるために、カバー140の材料の一部又は全部に光拡散粒子が分散された拡散カバーである。カバー140は、例えば、乳白色の樹脂製のカバーとすることができる。」 (1b)引用文献1には、以下の図が示されている。 引用文献1には、摘示(1a)(1b)のとおり「照明装置」に関する技術について開示されているところ(段落【0001】)、照明装置の具体例としての「シーリングライト100」の構成について(段落【0070】)、以下の事項が認定できる。 ・シーリングライト100は、4つの光源ユニット110と、波長選択吸収部材120と、本体130と、カバー140と、電源とを備えること(段落【0071】) ・各光源ユニット110は、基板30と、基板30の上に配置された複数のLED光源10とによって構成されること(段落【0072】) ・波長選択吸収部材120は、円環状に構成されており、円環状に配置された4つの光源ユニット110の光出射側に配置されること(段落【0078】) ・カバー140は、光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられるとともに、照明装置全体を均一に発光させるために、カバー140の材料の一部又は全部に光拡散粒子が分散された拡散カバーであること(段落【0081】) また、引用文献1の段落【0078】には、「波長選択吸収部材120の構造としては、図4~図7に示す構造とすることができる。」と記載されているところ、かかる図4~図7に示す構造を説明する段落【0051】及び【0059】の記載を考慮すると、波長選択吸収部材120は、波長選択吸収色素が添加された色素添加フィルタとして構成され、波長選択吸収色素は、可視光の一部を選択的に吸収する性質を有する色素のことであり、特定波長として570nm~600nm又は570nm~780nmの波長の光を選択的に吸収する性質を持つものとして特定することができる。 以上によれば、引用文献1には、 「シーリングライト100であって、 シーリングライト100は、4つの光源ユニット110と、波長選択吸収部材120と、本体130と、カバー140と、電源とを備え、 各光源ユニット110は、基板30と、基板30の上に配置された複数のLED光源10とによって構成され、 波長選択吸収部材120は、円環状に構成されており、円環状に配置された4つの光源ユニット110の光出射側に配置され、 カバー140は、光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられるとともに、照明装置全体を均一に発光させるために、カバー140の材料の一部又は全部に光拡散粒子が分散された拡散カバーであり、 波長選択吸収部材120は、波長選択吸収色素が添加された色素添加フィルタとして構成され、波長選択吸収色素は、可視光の一部を選択的に吸収する性質を有する色素のことであり、特定波長として570nm~600nm又は570nm~780nmの波長の光を選択的に吸収する性質を持つ、 シーリングライト100。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (1-2)引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用文献2として示され、本願の出願前に頒布された2011-119248号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0001】 本発明は、発光装置及び照明装置及び色変換器に関するものである。本発明は、特に、発光ダイオード(LED;Light・Emitting・Diode)を用いた照明器具や表示器具に適用可能な発光装置に関するものである。 ・・・ 【0041】 色変換部材15は、有機系等の着色色素材料を樹脂に混合したカラーフィルタでもよいし、蛍光体を樹脂材料等でバインドしたものでもよい。前者の場合、色変換部材15はLEDパッケージ11が放射する光の波長領域の一部を制限して発光色を変える。一方、後者の場合、色変換部材15はLEDパッケージ11が放射する光により蛍光体が励起されて当該光の波長とは異なる波長の光を発することを利用して発光色を変える。 ・・・ 【0107】 図10(a)、(b)に示すように、発光装置10は、図1や図4に示したものと同様に複数のLEDパッケージ11がライン状(略直線状)に実装され、導電パターン22が形成された基板12と、色変換部材15と、実施の形態11と同様の本体側リフレクタ101とを備える。また、本実施の形態では、発光装置10が、色変換部材15の出射面56側に取り付けられるドーム状(凸状)の透光性カバー105を備える。透光性カバー105は、色変換部材15の出射面56を覆い、発光装置10の出光面側に湾曲している。透光性カバー105としては、例えば乳白カバー等の光拡散性カバーを用いることができる。透光性カバー105を湾曲形状とすることで頂点内側付近では色変換部材15との間に一定の空間ができるため、色変換部材15から出射される光を透光性カバー105内で十分に拡散させることができる。したがって、色変換部材15の表面でLEDパッケージ11の配置に応じて生ずる発光強度分布の不均一性(発光強度の高低差)を抑えることができ、例えば蛍光灯のような柔らかい配光特性を得ることができる。」 (2b)引用文献2には、以下の図が示されている。 (1-3)引用文献3 当審で新たに引用する、本願の出願前に頒布された特開2013-98152号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (3a) 「【0001】 本発明は、発光ダイオード素子(LED)と蛍光体が用いられた照明装置に関する。 ・・・ 【0020】 ここで、樹脂カバー50は、発光素子60が発した光を透過、拡散させる材料で構成される。これは、例えば特許文献1に記載されているものと同様である。ただし、図2に示されるように、樹脂カバー50のアーチ状の内面全面には、薄膜状のカットフィルタ70が設置されている。カットフィルタ70は、波長が500nm以下の波長の光を遮断するように設定される。 ・・・ 【0045】 また、上記の例では、カットフィルタが樹脂カバーの内面に沿って設けられた構成としたが、発光素子の周囲にカットフィルタが設置される限りにおいて、この設定は任意である。例えば、同等のフィルタ特性をもつ樹脂カバーを使用することもできる。あるいは、樹脂カバーの外側周囲にカットフィルタを設けることもできる。この場合には、熱収縮性の材料でカットフィルタを構成すれば、直管状の構造の周囲に容易かつ強固にカットフィルタを設けることができる。前記の通り、SSE蛍光体を用いた場合には、カットフィルタの特性に対する要求は緩和されるため、こうした各種の構成が実現できる。」 (3b)引用文献3には、以下の図が示されている。 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「LED光源10」は、本願補正発明の「光源」に相当する。 イ 引用発明の「カバー140」は、「照明装置全体を均一に発光させるために、カバー140の材料の一部又は全部に光拡散粒子が分散された拡散カバー」として構成されるものであるから、透光性を有する基材からなること、及びLED光源10からの光を光拡散粒子によって拡散させることが技術的に明らかである。 したがって、引用発明の「カバー140」は、上記アをも踏まえると、本願補正発明の「透光性を有する基材からなり、前記光源からの光を拡散させる光学部材」に相当するものといえる。 ウ 引用発明は、「各光源ユニット110は、基板30と、基板30の上に配置された複数のLED光源10とによって構成され、波長選択吸収部材120は、円環状に構成されており、円環状に配置された4つの光源ユニット110の光出射側に配置され、カバー140は、光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられる」ものであるから、上記波長選択吸収部材120が、上記LED光源10と上記カバー140との間に配置されることが明らかである(図12にもそのように示されている。)。 また、引用発明の「波長選択吸収部材120」は、「波長選択吸収色素が添加された色素添加フィルタとして構成され、波長選択吸収色素は、可視光の一部を選択的に吸収する性質を有する色素のことであり、特定波長として570nm~600nm又は570nm~780nmの波長の光を選択的に吸収する性質を持つ」ものであるから、特定の波長の光を吸収する色素を含む色素添加フィルタとして構成されることも明らかである。 したがって、引用発明の「波長選択吸収部材120」は、上記ア、イをも踏まえると、本願補正発明の「前記光源と前記光学部材との間に配置された、特定の波長の光を吸収する色素を含むフィルタ素子」に相当するものといえる。 エ 引用発明は、「カバー140は、光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられる」ものであるところ、図12に示されているとおり、上記波長選択吸収部材120及び上記カバー140の間に他の光学部材は配置されていないから、かかる「波長選択吸収部材120」及び「カバー140」の配設構成は、本願補正発明の「前記フィルタ素子及び前記光学部材の間に他の光学部材が配置されず」という構成に相当するものといえる(なお、上記「配置されず」とは、「配置されない」と同義である。)。 オ 引用発明の「シーリングライト100」は、本願補正発明の「照明装置」に相当する。 以上によれば、本願補正発明と引用発明とは、 「光源と、 透光性を有する基材からなり、前記光源からの光を拡散させる光学部材と、 前記光源と前記光学部材との間に配置された、特定の波長の光を吸収する色素を含むフィルタ素子とを備え、 前記フィルタ素子及び前記光学部材の間に他の光学部材が配置されない、 照明装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> 本願補正発明は、「前記フィルタ素子は、前記光学部材と間隔をあけて配置され」るものであり、「前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い」ものであるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 ア 引用発明の「波長選択吸収部材120」は、「4つの光源ユニット110の光出射側に配置され」るものであるところ、引用文献1の段落【0078】には、「波長選択吸収部材120の構造としては、図4~図7に示す構造とすることができる。」と記載されている。 そこで、引用文献1の図4~図7に示された波長選択吸収部材の構造を検討するに、引用文献1の段落【0052】には、「図4~図7に示すように、波長選択吸収部材20は、光源ユニットLUに対向して配置される。」と記載されているから、引用発明の「波長選択吸収部材120」は、「光源ユニット110」に対向して配置すれば足りるものと理解できる。そして、そのような対向した配置の態様について、図4~図7には、波長選択吸収部材20を光源ユニットLUと間隔をあけて配置することが図示されているから、かかる図示内容に照らして、引用発明の光源(LED光源10)とフィルタ素子(波長選択吸収部材120)とを、間隔をあけて対向配置することは当然予定されている、ということができる。 イ また、引用発明の「カバー140」は、「光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられるとともに、照明装置全体を均一に発光させるために、カバー140の材料の一部又は全部に光拡散粒子が分散された拡散カバーであ」るところ、引用文献2(摘示(2a)(2b))には、LEDパッケージ11と透光性カバー105との間に、着色色素材料を樹脂に混合したカラーフィルタからなる色変換部材15を備えた発光装置10において、透光性カバー105と色変換部材15との間に一定の空間をあけて、色変換部材15から出射される光を透光性カバー105内で十分に拡散させ発光強度分布の不均一性(発光強度の高低差)を抑えることが記載されているように、均一発光する照明装置(発光装置10)を構成するために、フィルタ素子(色変換部材15)と光学部材(透光性カバー105)との間に一定の間隔をあけることは、かかる技術分野の周知技術というべきである。 してみると、「照明装置全体を均一に発光させる」ことを企図した引用発明において、「光源ユニット110及び波長選択吸収部材120を覆うように本体130に取り付けられる」「カバー140」の配設態様として、上記周知技術を参考として、光学部材(カバー140)をフィルタ素子(波長選択吸収部材120)と間隔をあけて配置する動機付けは充分存在する。 ウ そして、引用文献3(摘示(3a)(3b))には、発光素子60と樹脂カバー50との間に、500nm以下の波長の光を遮断するカットフィルタ70を備えた発光装置10が記載されているところ、上記カットフィルタ70の設置の態様として、「発光素子の周囲にカットフィルタが設置される限りにおいて、この設定は任意である。」(段落【0045】)とも明記されているように、光源(発光素子60)、フィルタ素子(カットフィルタ70)及び光学部材(樹脂カバー50)の設置間隔といった配設態様は、当業者が、かかる技術分野の技術常識を踏まえて、技術の具体的適用に伴う設計事項として任意に設定する事項というべきであるから、引用発明において、光源(発光素子60)の光軸上において、光源とフィルタ素子(カットフィルタ70)の間隔を、フィルタ素子(カットフィルタ70)と光学部材(透光性カバー105)の間隔よりも広いものとして構成することは、当業者が技術の具体的適用に伴う設計事項として適宜設定し得るものといえる。 エ そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、上記周知技術及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 オ 請求人は、令和1年10月2日付けの審判請求書(「3.(b)」の項)で、本件補正発明の「前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い」という構成は、引用文献1~6について記載も示唆もされていないから、本件補正発明は、引用文献1~6に基いて容易になし得たものではない、旨主張する。 しかし、上記ア~ウで述べたとおり、引用発明において、光源(LED光源10)とフィルタ素子(波長選択吸収部材120)とを間隔をあけて対向配置することは予定されており、また、光学部材(カバー140)をフィルタ素子(波長選択吸収部材120)と間隔をあけて配置する動機付けも存在し、さらに、かかる技術分野の技術常識に照らせば、光源とフィルタ素子(カットフィルタ70)の間隔を、フィルタ素子(カットフィルタ70)と光学部材(透光性カバー105)の間隔よりも広いものとして構成することも、当業者が適宜設定する設計事項というべきであるから、請求人の上記主張は採用できない。 オ まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、上記周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易になし得たものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成31年4月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項(周知技術)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 当審の判断 本願発明は、上記「第2 1(1)補正前の請求項1」に記載されたとおりのものであり、本願補正発明から、上記相違点に係る「前記光源の光軸上において、前記光源と前記フィルタ素子の間隔は、前記フィルタ素子と前記光学部材の間隔よりも広い」とする事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2 2-2(3)」で述べたとおり、引用発明、上記周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、上記周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、上記周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易になし得たものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-013111

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