特許拒絶査定不服審判
2022-004077
照明具及び照明装置
- 審判番号
- 2022-004077
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-145301外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月17日
- 審決日
- 2023年02月13日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 【請求人】三菱電機照明株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-145301「照明具及び照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月21日出願公開、特開2019- 29124〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 4月13日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 6月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 8月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 3年10月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 1月21日付け:令和3年10月27日の手続補正について
の補正の却下の決定、拒絶査定
令和 4年 3月17日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年3月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年3月17日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
令和4年3月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は補正箇所を示す。)。
「長手形状の支持部材と、
前記支持部材の一方の面の側に配置された発光モジュールと、
前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置された配置部品と
を備え、
前記支持部材は、
前記配置部品の取り付けのための孔であって、長手方向に沿って形成された孔である複数の取り付け用孔が形成されており、
前記発光モジュールは、
複数の前記取り付け用孔を塞ぐように配置され、
複数の前記取り付け用孔は、
前記一方の面が前記他方の面に向かって窪むことで前記一方の面に形成されている窪み孔である非貫通孔と、
前記一方の面から前記他方の面に貫通する貫通孔であって切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である貫通孔との、
少なくともいずれかであり、
前記窪み孔は、前記他方の面に向かって切れ目なく窪んでいる照明具。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和3年10月27日にされた手続補正は却下されたところ、令和3年6月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「長手形状の支持部材と、
前記支持部材の一方の面の側に配置された発光モジュールと、
前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置された配置部品と
を備え、
前記支持部材は、
前記配置部品の取り付けのための孔であって、長手方向に沿って形成された孔である複数の取り付け用孔が形成されており、
前記発光モジュールは、
複数の前記取り付け用孔を塞ぐように配置され、
複数の前記取り付け用孔は、
前記一方の面が前記他方の面に向かって窪むことで前記一方の面に形成されている窪み孔である非貫通孔と、前記一方の面から前記他方の面に貫通する貫通孔であって切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である貫通孔との、少なくともいずれかである照明具。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「窪み孔」について、「前記窪み孔は、前記他方の面に向かって切れ目なく窪んでいる」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献、引用文献の記載、引用発明等
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開2017-91959号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。
a 記載事項
「【0010】
実施の形態1.
・・・
以下では、光源モジュールの配置状態を検出する貫通孔を貫通孔Hと記す。貫通孔Hはそのバリエーションに応じて、貫通孔H1、貫通孔H2等のように記す場合がある。
以下の実施の形態1では、フレームに形成された貫通孔Hと、フレームに配置された光源モジュールとの配置関係に関して、実施例1~実施例5の5つの実施例を説明する。貫通孔Hの態様として(正方形を含む)長方形を例示しているが、これに限らず、多角形、(楕円形を含む)円形、星形など、さまざまな形を選択することができる。実施例1から実施例5のそれぞれのフレームを、フレーム110-1~110-5と記す。
また、実施例6として、フレームから切り起こして形成した突部によってできた貫通孔を、貫通孔Hとして用いる例を説明する。
・・・
【0011】
(実施例1)
<***構成の説明***>
図1~図12を参照して、実施の形態1における実施例1の照明装置10を説明する。
【0012】
図1は、照明装置10の斜視図である。
図2は、照明装置10の内部を示す図であり、図1のA-A断面図である。
図3は、照明装置10を光源ユニット100と照明器具200とに分解した分割斜視図である。
図4は、光源ユニット100を取付側から見た斜視図である。
図5は、光源ユニット100の分解斜視図であり、フレーム110-1,LEDモジュール120,カバー130を示しており、電源装置140、取付具150等は省略している。
図5には貫通孔H1、H2を示した。光源ユニット100の長手方向にそろって並ぶ貫通孔Hを、それそれぞれ貫通孔H1、H2と表記している。
図6は、光源ユニット100の5面図である。
図7は、光源ユニット100の端部を示す部分拡大図である。
図7に示すように、カバー130で光源モジュールがおおわれている光源ユニット100の完成状態において、取付側から貫通孔H1、H2を介して光源モジュールの配置状態を確認できる。このためカバー130を取り除いて確認する等の手間がいらない。
図8は、フレーム110-1及びLEDモジュール120を示す図であり、照射側を示す図である。
図9は、フレーム110-1及びLEDモジュール120を示す図であり、取付側を示す図である。
図10は、図8のA-A断面図である。
【0013】
<照明装置10>
実施の形態1の照明装置10は、天井や壁などの取付部に取り付けられる照明装置であり、長手方向に延びた長尺状の照明装置である。
照明装置10は、長手方向に複数連結して用いられる場合がある。
照明装置10は、光源ユニット100(灯具と呼ぶ場合がある)と、光源ユニット100を着脱可能に取り付ける照明器具200とを有する。
【0014】
<光源ユニット100>
図4、図5等に示すように、
光源ユニット100は、
プレート110-1、LEDモジュール120、カバー130、電源装置140、2つの取付具150を有する。
【0015】
<フレーム110-1>
図5に示すように、フレーム110-1は長手方向に延びた板状であり、発光素子120aが実装された基板120bが取り付けられる基板取付面部111aを有する。基板取付面部111aには貫通孔Hが形成されている。また、フレーム110-1は、短手方向の端部に、基板取付面部111aから立ち上がる立上部112を備える。立上部112の先端は図10のようにカール形状のカール部112cが形成されている。
【0016】
フレーム110-1は、長尺状の平板である平面部111と、平面部111の短手方向の両端が折り曲げられて形成される立上部112とを有し、短手方向に切る断面が略コ字形状である。
【0017】
<LEDモジュール120>
基板取付面部111aには、LEDである発光素子120aが実装された基板120bを備えるLEDモジュール120が取り付けられる。また、図4のように、基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111dには、LEDモジュール120に電力を供給する電源装置140と、2つの取付具150とが取り付けられる。」
「【0028】
LEDモジュール120の基準配置は、LEDモジュール120の短手方向の中心C2とフレーム110-1の短手方向の中心C1とが一致して重なった状態である。この状態で、LEDモジュール120(基板120b)の短手方向の両端部は、貫通孔H1及び貫通孔H2の最外縁の直上に位置し、貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-1の照射側に載置されたLEDモジュール120によって、完全に閉塞されている。灯具の基準構造体であるフレーム110-1にLEDモジュール120が基準配置された状態では、発光素子(LED)が良好に配置されており(良好配置の状態)、良好な灯具である。」
「【0082】
(実施例6)
図22を参照して実施例6を説明する。
図22は、実施例6における光源ユニット100の部分拡大斜視図である。
【0083】
図22(a)はフレーム110-6からL字形状の突部115を切り起こした状態を示し、図22(b)はフレーム110-6から山型形状の突部116を切り起こした状態を示している。
【0084】
実施例1~5では、フレームに貫通孔Hを形成して、基板120bの配置を確認している。実施例6では、フレームの一部を取付側に切り起こすことによって形成された貫通孔を、基板120bの配置確認用の貫通孔Hとして用いる。実施例6では、実施例1と組み合わせた二つの例として図22(a)(b)を示している。切り起こされた突部115,116は、フレームの取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられる。フレーム110-6は、フレーム110-6以外の構造体が取り付けられることによって剛性が増すので,灯具の強度が向上する。」
b 図面
図3
「
[図:0001396858000001.jpg]
」
図4
「
[図:0001396858000002.jpg]
」
図5
「
[図:0001396858000003.jpg]
」
図6
「
[図:0001396858000004.jpg]
」
図8
「
[図:0001396858000005.jpg]
」
図9
「
[図:0001396858000006.jpg]
」
図10
「
[図:0001396858000007.jpg]
」
図22
「
[図:0001396858000008.jpg]
」
(イ)認定事項
a 段落【0010】の「以下の実施の形態1では、フレームに形成された貫通孔Hと、フレームに配置された光源モジュールとの配置関係に関して、実施例1~実施例5の5つの実施例を説明する。・・・実施例1から実施例5のそれぞれのフレームを、フレーム110-1~110-5と記す。また、実施例6として、フレームから切り起こして形成した突部によってできた貫通孔を、貫通孔Hとして用いる例を説明する。」という記載、段落【0082】の「図22は、実施例6における光源ユニット100の部分拡大斜視図である。」という記載、段落【0083】の「図22(b)はフレーム110-6から山型形状の突部116を切り起こした状態を示している。」という記載、及び段落【0084】の「実施例6では、フレームの一部を取付側に切り起こすことによって形成された貫通孔を、基板120bの配置確認用の貫通孔Hとして用いる。実施例6では、実施例1と組み合わせた二つの例として図22(a)(b)を示している。」という記載より、実施例1及び実施例6は、ともに実施の形態1に係る実施例であり、実施例6の光源ユニット100におけるフレーム110-6以外の構成は、実施例1と同様と認められる。
このことから、引用文献1の実施例6について、以下のb~gの事項を認定することができる。
b 段落【0014】の「光源ユニット100は、プレート110-1、LEDモジュール120、カバー130、電源装置140、2つの取付具150を有する。」という記載より、フレーム110-6、LEDモジュール120を有する光源ユニット100を認定することができる。
c 段落【0015】の「フレーム110-1は長手方向に延びた板状であり、発光素子120aが実装された基板120bが取り付けられる基板取付面部111aを有する。」という記載、及び段落【0017】の「基板取付面部111aには、LEDである発光素子120aが実装された基板120bを備えるLEDモジュール120が取り付けられる。・・・基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111d」という記載より、フレーム110-6は長手方向に延びた板状であり、LEDモジュール120が取り付けられる基板取付面部111aと、基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111dとを有する構成を認定することができる。
d 上記c、段落【0012】の「図8は、フレーム110-1及びLEDモジュール120を示す図であり、照射側を示す図である。図9は、フレーム110-1及びLEDモジュール120を示す図であり、取付側を示す図である。」という記載、及び図4、8~10より、基板取付面部111aの側はLEDモジュール120が配置された照射側であり、装置取付面部111dの側は取付側である構成を認定することができる。
e 段落【0010】の「貫通孔Hはそのバリエーションに応じて、貫通孔H1、貫通孔H2等のように記す場合がある。」という記載、段落【0083】の「図22(b)はフレーム110-6から山型形状の突部116を切り起こした状態を示している。」という記載、段落【0084】の「実施例6では、フレームの一部を取付側に切り起こすことによって形成された貫通孔を、基板120bの配置確認用の貫通孔Hとして用いる。実施例6では、実施例1と組み合わせた二つの例として図22(a)(b)を示している。切り起こされた突部115,116は、フレームの取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられる。」という記載、及び図22(b)より、フレーム110-6の一部を取付側に切り起こすことによって貫通孔H1及び貫通孔H2を形成し、切り起こされた山型形状の突部116は、フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられる構成を認定することができる。
また、実施例6の光源ユニット100は、バネ取付金具、電源装置、配線固定具などを有するものと認められる。
f 段落【0010】の「貫通孔Hはそのバリエーションに応じて、貫通孔H1、貫通孔H2等のように記す場合がある。・・・貫通孔Hの態様として(正方形を含む)長方形を例示している」という記載、及び図5、9、22(b)より、長方形の貫通孔H1及び貫通孔H2の長辺がフレーム110-6の長手方向を向くものであること、すなわち貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の長手方向に沿って形成される構成を認定することができる。
g 段落【0028】の「貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-1の照射側に載置されたLEDモジュール120によって、完全に閉塞されている。」という記載より、貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の照射側に載置されたLEDモジュール120によって、完全に閉塞されている構成を認定することができる。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、実施の形態1の実施例6に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「フレーム110-6、LEDモジュール120、を有し、
バネ取付金具、電源装置、配線固定具などを有し、
フレーム110-6は長手方向に延びた板状であり、LEDモジュール120が取り付けられる基板取付面部111aと、基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111dとを有し、基板取付面部111aの側はLEDモジュール120が配置された照射側であり、装置取付面部111dの側は取付側であり、
フレーム110-6の一部を取付側に切り起こすことによって貫通孔H1及び貫通孔H2を形成し、切り起こされた山型形状の突部116は、フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられ、
貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の長手方向に沿って形成され、
貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の照射側に載置されたLEDモジュール120によって、完全に閉塞されている、
光源ユニット100。」
イ 引用文献3
(ア)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用された特開2006-116198号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a 記載事項
「【0019】
筐体(2)の下部を形成する底板(21)の上面には、金属板製のベースプレート(11)が固定されている。ベースプレート(11)には、主に図3に示すように、ホッパーユニット(6)を固定するための前後方向を向く左右1対のレール(11a)(11a)と、筐体(2)の左側部を形成する左側板(22)の近傍にあって、電源ボックス(10)の下部を固定するための前側係止部(11b)及び後側係止部(11c)とが一体的に設けられている。」
「【0022】
後側係止部(11c)は、前側係止部(11b)の後方にあって、ベースプレート(11)の一部を上方へ突出させて、前後方向が開口するブリッジ加工(ワークをブリッジ状に切り絞る加工)またはルーバー加工により形成されるとともに、電源ボックス(10)の後面下部に設けられた後述の突起片(10a)が前方から嵌合可能とし、また、その前端に、電源ボックス(10)の後面下部を後方へ向けて当接可能としている。」
b 図面
図5
「
[図:0001396858000009.jpg]
」
図6
「
[図:0001396858000010.jpg]
」
(イ)引用文献3技術事項
上記(ア)から、引用文献3には次の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献3技術事項>
「ベースプレート(11)には、電源ボックス(10)の下部を固定するための後側係止部(11c)が一体的に設けられ、後側係止部(11c)は、ベースプレート(11)の一部を上方へ突出させて、前後方向が開口するブリッジ加工(ワークをブリッジ状に切り絞る加工)により形成されること。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「LEDモジュール120」、「光源ユニット100」は、本件補正発明の「発光モジュール」、「照明具」に、それぞれ相当する。
引用発明の「フレーム110-6」は、LEDモジュール120が取り付けられるものであるから、本件補正発明の「支持部材」に相当する。
引用発明の「バネ取付金具、電源装置、配線固定具など」は、フレーム110-6の取付側に配置される部品であるから、本件補正発明の「配置部品」に相当する。
イ 引用発明は、「フレーム110-6の一部を取付側に切り起こすことによって貫通孔H1及び貫通孔H2を形成し、切り起こされた山型形状の突部116は、フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられ」るものであるから、山型形状の突部116を切り起こすことによって形成された貫通孔H1及び貫通孔H2は、バネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに寄与するものといえる。
このことと、上記アより、引用発明の「貫通孔H1及び貫通孔H2」は、本件補正発明の「複数の取り付け用孔」に相当する。
ウ 引用発明の、「フレーム110-6」の「基板取付面部111aの側」及び「照射側」は、LEDモジュール120が配置された側であるから、本件補正発明の「一方の面の側」に相当する。
また、引用発明の「基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111d」という構成を踏まえると、「装置取付面部111dの側」及び「取付側」は、「基板取付面部111aの側」及び「照射側」の裏面の側であるから、本件補正発明の「他方の面の側」に相当する。
そして、上記ア~ウの相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
エ 引用発明の「フレーム110-6」「を有し、」「フレーム110-6は長手方向に延びた板状であ」る構成は、本件補正発明の「長手形状の支持部材」「を備え」る構成に相当する。
オ 引用発明の「LEDモジュール120、を有し、」「フレーム110-6は」「LEDモジュール120が取り付けられる基板取付面部111a」「を有し、基板取付面部111aの側はLEDモジュール120が配置された照射側であ」る構成は、本件補正発明の「前記支持部材の一方の面の側に配置された発光モジュール」「を備え」る構成に相当する。
カ 引用発明の「バネ取付金具、電源装置、配線固定具などを有し、」「フレーム110-6は」「基板取付面部111aの裏面である装置取付面部111d」「を有し、」「装置取付面部111dの側は取付側であり、」「フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具など」という構成は、本件補正発明の「前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置された配置部品」「を備え」る構成に相当する。
キ 引用発明の「フレーム110-6の一部を取付側に切り起こすことによって貫通孔H1及び貫通孔H2を形成し、切り起こされた山型形状の突部116は、フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられ、貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の長手方向に沿って形成され」る構成は、本件補正発明の「前記支持部材は、前記配置部品の取り付けのための孔であって、長手方向に沿って形成された孔である複数の取り付け用孔が形成されており」という構成に相当する。
ク 引用発明の「貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の照射側に載置されたLEDモジュール120によって、完全に閉塞されている」という構成は、本件補正発明の「前記発光モジュールは、複数の前記取り付け用孔を塞ぐように配置され」る構成に相当する。
ケ 本件補正発明の「複数の前記取り付け用孔は、前記一方の面が前記他方の面に向かって窪むことで前記一方の面に形成されている窪み孔である非貫通孔と、前記一方の面から前記他方の面に貫通する貫通孔であって切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である貫通孔との、少なくともいずれかであり、前記窪み孔は、前記他方の面に向かって切れ目なく窪んでいる」という構成(以下「構成A」ともいう。)は、複数の取り付け用孔が、非貫通孔と貫通孔との、少なくともいずれかであれば足りるものであるから、「複数の取り付け用孔が貫通孔であって、窪み孔である非貫通孔ではない」構成を包含している。
このことは、本件明細書の「複数の取り付け用孔970は、第1面部231が窪むことで第1面部231に形成されている窪み孔と、第1面部231から第2面部232に貫通する貫通孔との、少なくともいずれかである。」(段落【0058】)という記載、「以上、本発明の実施の形態1について説明したが、実施の形態1のうち、1つを部分的に実施しても構わないし、複数の部分を組み合わせて実施してもよい。」(段落【0064】)という記載にも整合する。
そうすると、引用発明の「フレーム110-6の一部を取付側に切り起こすことによって貫通孔H1及び貫通孔H2を形成し、切り起こされた山型形状の突部116は、フレーム110-6の取付側に配置されるバネ取付金具、電源装置、配線固定具などの取付けに用いられ」る構成と、本件補正発明の構成Aとは、「複数の前記取り付け用孔は、前記一方の面から前記他方の面に貫通する貫通孔であ」る構成において共通する。
コ 上記ア~ケより、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「長手形状の支持部材と、
前記支持部材の一方の面の側に配置された発光モジュールと、
前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置された配置部品と
を備え、
前記支持部材は、
前記配置部品の取り付けのための孔であって、長手方向に沿って形成された孔である複数の取り付け用孔が形成されており、
前記発光モジュールは、
複数の前記取り付け用孔を塞ぐように配置され、
複数の前記取り付け用孔は、
前記一方の面から前記他方の面に貫通する貫通孔である照明具。」
<相違点>
本件補正発明の貫通孔は、「切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である」のに対し、引用発明の貫通孔H1及び貫通孔H2は、フレーム110-6の一部を切り起こして形成されるものの、切りしぼり加工によって形成されている切りしぼり孔であることは特定されていない点。
(4)判断
ア 上記相違点について検討する。
まず、上記引用文献3技術事項と本件補正発明との相当関係について検討する。
引用文献3技術事項の「ベースプレート(11)」は、電源ボックス(10)を固定するものであるから、本件補正発明の「支持部材」に相当し、引用文献3技術事項の「電源ボックス(10)」は、ベースプレート(11)に固定される、すなわち配置されるものであるから、本件補正発明の「配置部品」に相当する。
引用文献3技術事項の「後側係止部(11c)」は、ベースプレート(11)に一体的に設けられ、電源ボックス(10)の下部を固定するものであり、ベースプレート(11)の一部を上方へ突出させて、前後方向が開口する、すなわち貫通する孔であるから、本件補正発明の「貫通孔」である「取り付け用孔」に相当する。
また、引用文献3技術事項の「後側係止部(11c)は、ベースプレート(11)の一部を上方へ突出させて、前後方向が開口するブリッジ加工(ワークをブリッジ状に切り絞る加工)により形成される」という構成は、後側係止部(11c)の開口が、ワークをブリッジ状に切り絞る加工により形成されるものであるから、本件補正発明の、貫通孔が「切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である」という構成に相当する。
そうすると、引用文献3技術事項は、本件補正発明の文言を用いると、「支持部材には、配置部材の取り付けのための取り付け用孔が形成されており、取り付け用孔は、切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔である貫通孔である」という事項、すなわち、上記相違点に係る本件補正発明の構成を開示するものである。
そして、引用発明と引用文献3技術事項とは、いずれも支持部材に配置部品を取り付けるための貫通孔が形成されるものであって、しかも引用発明の貫通孔H1及び貫通孔H2と、引用文献3技術事項の後側係止部(11c)とは、山型形状(引用文献3技術事項においては、ブリッジ状)の突部を形成することにより設けられる点で共通する。
よって、引用発明に引用文献3技術事項を適用し、貫通孔H1及び貫通孔H2を切りしぼり加工により形成されている切りしぼり孔として、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
イ 効果について
本件補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献3技術事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。
ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献3技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
エ 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年3月17日に提出された審判請求書の3-2.(1)において、
「(1-3)新請求項1と引用文献との対比
一方、引用文献1~3には、新請求項1の特徴である「他方の面に向かって切れ目なく窪んでいる窪み孔」について、何ら記載がされていない。」
「(1-4)新請求項1の進歩性
上記1-3に記載したように、新請求項1の特徴はいずれの引用文献にも記載がないから、新請求項1に記載の発明は、引用文献から容易に発明されたものではないし、引用文献の組合せから容易に発明されたものではない。」
と主張する。
しかしながら、上記(3)ケで説示したとおり、本件補正発明は、「複数の取り付け用孔が貫通孔であって、窪み孔である非貫通孔ではない」構成を包含するものであり、複数の取り付け用孔が貫通孔である構成についての進歩性の判断は、上記アで説示したとおりである。
よって、上記審判請求人の主張は採用できない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記「第2」のとおり却下されたので、本願の請求項1~6に係る発明は、令和3年6月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
1.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2017-91959号公報
2.実願平3-104771号(実開平5-46011号)のCD-ROM
3.特開2006-116198号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、3に記載された事項、引用発明等は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、窪み孔について、「前記他方の面に向かって切れ目なく窪んでいる」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明は、上記第2[理由]2(3)で検討したとおり、引用発明及び引用文献3技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献3技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004077