特許拒絶査定不服審判
2024-005698
照明装置
- 審判番号
- 2024-005698
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-157553
- 請求日
- 2024年04月05日
- 審決日
- 2025年08月25日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 【請求人】三菱電機照明株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 倉橋 紀夫
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 稲垣 彰彦
- 分類
- P18 .121-WZ (F21V)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-157553号「照明装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年3月31日出願公開、特開2022-51206号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月18日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和5年12月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 1月29日提出:意見書、手続補正書
同年 2月 8日付け:拒絶査定
同年 4月 5日提出:審判請求書
令和7年 3月27日付け:当審における拒絶理由通知書
同年 5月 9日提出:意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1~11に係る発明は、令和7年5月9日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
光源と、
第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、前記第1面に前記光源が設けられた基板と、
スイッチング素子のオンオフにより前記光源を点灯させる点灯回路と、
金属から形成され、前記第2面と面接触する筐体と、
前記点灯回路と前記筐体との間に電気的に接続されるコンデンサと、
を備え、
前記筐体はアース端子と電気的に接続され、
前記コンデンサと前記点灯回路は前記基板に設けられ、
前記コンデンサは、前記光源のカソードと前記筐体との間、前記点灯回路の回路グラウンドと前記筐体との間、および、外部から前記点灯回路に電力を供給する給電部と前記点灯回路とを繋ぐ電源ラインと前記筐体との間の何れかに接続されることを特徴とする照明装置。」
第3 当審における拒絶の理由
当審において通知した令和7年3月27日付けの拒絶の理由の概要は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献については引用文献等一覧参照)
・請求項 1~3
・引用文献 1~4
・請求項 4~6
・引用文献 1~5
・請求項 7
・引用文献 1~6
・請求項 8、11
・引用文献 1~7
・請求項 9~10
・引用文献 1~5、7
<<引用文献等一覧>>
1.特開2019-30079号公報
2.特開2020-119740号公報
3.特開2018-185901号公報
4.特開2011-171238号公報
5.特開2016-21358号公報
6.特開2008-130438号公報
7.特開2010-178571号公報
第4 当審の判断
1 引用文献1
(1)記載事項
当審における拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2019-30079号公報;平成31年2月21日公開)には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。
「【0011】
(直流給電装置)
直流給電装置2は、直流電源2aと、正極出力端子4aと負極出力端子4bとを含む出力端子部4と、給電側接地端子PEと、を備える。正極出力端子4aは、直流電源2aの正極に接続する。負極出力端子4bは、直流電源2aの負極に接続する。直流給電装置2は、太陽光発電システム、または直流給電バッテリシステムを含む。直流給電装置2が太陽光発電システムである場合、直流電源2aは太陽電池およびパワーコンディショナなどを含む。直流給電装置2が直流給電バッテリシステムである場合、直流電源2aは蓄電池などを含む。給電側接地端子PEは、接地電位に接続されている。」
「【0013】
(LED照明器具)
LED照明器具10は、金属筐体12と、金属筐体12に設けられた入力コネクタ部8と、金属筐体12に設けられた器具接地端子CN3と、スイッチング電源回路部11と、LED光源部14と、コンデンサC3Aと、を備える。」
「【0014】
入力コネクタ部8は、正極入力コネクタCN1および負極入力コネクタCN2を備える。正極入力コネクタCN1は正極出力端子4aに接続されている。負極入力コネクタCN2は、負極出力端子4bに接続されている。直流給電装置2が出力した直流電圧が、正極入力コネクタCN1および負極入力コネクタCN2に入力される。」
「【0015】
器具接地端子CN3は、金属筐体12に設けられている。器具接地端子CN3が接地電位に接続されることで、金属筐体12が接地される。器具接地端子CN3と給電側接地端子PEとがそれぞれ接地されることで、器具接地端子CN3と給電側接地端子PEとが互いに電気的に接続される。」
「【0016】
LED光源部14およびスイッチング電源回路部11は、金属筐体12の内部に収容されている。LED光源部14は、半導体発光素子によって構成されている。半導体発光素子は、無機半導体LEDであってもよく、有機半導体発光素子でもよい。有機半導体発光素子は、OLEDまたは有機ELとも称される。LED光源部14は、金属筐体12に設けられた開口部から露出することで、金属筐体12の外側にLED照明光を放出する。」
「【0017】
スイッチング電源回路部11は、正極入力配線11aと、負極入力配線11bと、ダイオードD1、D2と、コンデンサC1、C2、C4と、MOSFETQ1と、制御IC17と、コイルL1と、抵抗R1、R3と、比較器OP1と、を備えている。」
「【0019】
正極入力配線11aは、ダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、コンデンサC1の一端とMOSFETQ1のドレインの接続点に接続されている。MOSFETQ1のソースは、ダイオードD2のカソードとコイルL1の一端との接続点に接続されている。コイルL1の他端には、コンデンサC2の一端が接続される。コンデンサC2と並列にLED光源部14が接続されている。コンデンサC2の他端には、抵抗R1の一端が接続されている。ダイオードD2のアノードおよび抵抗R1の他端は、回路グランドに接続されている。コンデンサC1の他端はおよび負極入力配線11bは、コンデンサC3Aに接続されている。」
「【0020】
MOSFETQ1、ダイオードD2、およびコイルL1は、バックコンバータ回路を構成している。ダイオードD1を介して供給された直流電圧がコンデンサC1に充電され、このコンデンサC1からバックコンバータ回路へと電圧が入力される。」
「【0022】
抵抗R1とLED光源部14との接続点は、比較器OP1のマイナス端子に接続されている。比較器OP1のプラス端子には定電圧源Vrefが印加される。比較器OP1の出力端子は、制御IC17のオン時間検出端子detに接続されている。」
「【0023】
バックコンバータ回路は、定電流制御によりLED光源部14を点灯させる。MOSFETQ1がオンしたときに、直流電源2aおよびコンデンサC1からコイルL1を介して、コンデンサC2とLED光源部14との並列回路に対して、高周波電流が供給される。コンデンサC2は、コイルL1から得られる高周波電流を平滑する。平滑された高周波電流が、LED光源部14に供給される。MOSFETQ1がオフすると、MOSFETQ1がオンしているときに蓄えられたコイルL1のエネルギーが放出される。このエネルギー放出は、コンデンサC2とLED光源部14との並列回路、およびダイオードD2を通じて行われる。MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、コンデンサC2およびLED光源部14に定電流制御された直流電流が供給される。」
「【0024】
LED光源部14に流れる電流は、抵抗R1で電圧に変換される。抵抗R1で変換された電圧は、比較器OP1のマイナス端子で検出され、定電圧源Vrefの定電圧と比較される。比較器OP1での比較結果が制御IC17のオン時間検出端子detに入力される。これにより、抵抗R1に発生した電圧に応じてMOSFETQ1のスイッチング動作が制御される。抵抗R1で変換された電圧と定電圧源Vrefの定電圧との大小に応じて、比較器OP1は出力電圧を変化させる。制御IC17は、比較器OP1の出力電圧に応じて、抵抗R1で変換された電圧と定電圧源Vrefの定電圧との差を小さくするようにMOSFETQ1のオン時間を制御する。これにより、LED光源部14を一定にする定電流制御が実現される。コイルL1の二次巻き線電圧は、制御IC17のzcd端子で検出される。zcd端子の電圧に基づいて、制御IC17は、MOSFETQ1がオフしてコイルL1からエネルギーを放出したことを検出して、再びMOSFETQ1をオンさせる。これはいわゆる臨界モード動作である。」
「【0025】
図1に示すように、LED光源部14とLED照明器具10の金属筐体12には、第一浮遊容量C100がある。スイッチング電源回路部11と金属筐体12間には、第二浮遊容量C101がある。第一浮遊容量C100および第二浮遊容量C101によりノイズが伝達されることが、LED照明器具10のノイズ問題要因であると考えられる。ノイズは、直流給電装置2ではなくLED照明器具10に戻すことが好ましい。そこで、実施の形態では、負極入力配線11bと器具接地端子CN3との間にコンデンサC3Aを接続することにより、ノイズを抑制することにする。図1に示す実施の形態では、コンデンサC3Aの一端は、負極入力配線11bに接続されている。コンデンサC3Aの他端は、器具接地端子CN3に接続されている。コンデンサC3Aを接続すると、第一浮遊容量C100および第二浮遊容量C101を介して金属筐体12に伝わったノイズを、スイッチング電源回路部11に戻せるという利点がある。」
【図1】には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001427521000001.jpg]
」
(2)認定事項
ア 段落【0016】の「LED光源部14およびスイッチング電源回路部11は、金属筐体12の内部に収容されている。」との記載、及び、【図1】において「LED光源部14」、「スイッチング電源回路部11」及び「コンデンサC3A」が「金属筐体12」を表す枠内に描画されていることを踏まえると、「LED光源部14、スイッチング電源回路部11及びコンデンサC3Aは、金属筐体12の内部に収容されている」ものと認められる。
イ 段落【0023】の記載から、バックコンバータ回路は、MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、LED光源部14に定電流制御された直流電流を供給し、定電流制御によりLED光源部14を点灯させると認められる。
そして、段落【0020】の記載から、MOSFETQ1、ダイオードD2及びコイルL1がバックコンバータ回路を構成しており、さらに、段落【0017】の記載から、スイッチング電源回路部11は、バックコンバータ回路を含むと認められる。
したがって、スイッチング電源回路部11は、MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、LED光源部14に定電流制御された直流電流を供給し、定電流制御によりLED光源部14を点灯させると認められる。
以上の認定事項及び段落【0013】の記載を踏まえると、LED照明器具10は、「MOSFETQ1を備え、MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、LED光源部14に定電流制御された直流電流が供給され、定電流制御によりLED光源部14を点灯させるスイッチング電源回路部11」を備えると認められる。
ウ 段落【0022】、【0024】の記載から、比較器OP1は、そのプラス端子に接続された定電圧源Vrefの定電圧と、そのマイナス端子に接続された抵抗R1で変換された電圧とを比較し、抵抗R1で変換された電圧と定電圧源Vrefの定電圧との大小に応じて出力電圧を変化させるものである。
また、段落【0019】に「抵抗R1の他端は、回路グランドに接続されている。」との記載があり、比較器OP1のマイナス端子に入力される抵抗R1で変換された電圧は、回路グランドからの電圧であることが理解できるから、当該抵抗R1で変換された電圧と比較される、比較器OP1のプラス端子に接続された定電圧源Vrefの基準電位(低電位側の電位)も回路グランドの電位と等しいと認められる。
そして、【図1】から、定電圧源Vrefの基準電位側に負極入力配線11bが直接接続されていることが看て取れ、負極入力配線11bの電位も回路グランドの電位と等しいといえるから、負極入力配線11bはスイッチング電源回路部11の回路グランドであるといえる。さらに、段落【0025】の記載を踏まえると、「コンデンサC3Aは、スイッチング電源回路部11の回路グランドである負極入力配線11bと金属筐体12との間に接続される」と認められる。
(3)引用発明
引用文献1の記載事項及び認定事項の内容を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内には、根拠箇所を示した。以下同様。)。
「LED光源部14と(段落【0013】)、
MOSFETQ1を備え、前記MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、前記LED光源部14に定電流制御された直流電流が供給され、前記定電流制御により前記LED光源部14を点灯させるスイッチング電源回路部11と(認定事項イ)、
金属筐体12と(段落【0013】)、
一端は前記スイッチング電源回路部11が備える負極入力配線11bに接続され、他端は前記金属筐体12に設けられている器具接地端子CN3に接続されているコンデンサC3Aと(段落【0015】、【0017】、【0025】)、
を備え、
前記金属筐体12に設けられている前記器具接地端子CN3が接地電位に接続されることで、前記金属筐体12が接地され(段落【0015】)、
前記LED光源部14、前記スイッチング電源回路部11及び前記コンデンサC3Aは、前記金属筐体12の内部に収容されており(認定事項ア)、
前記コンデンサC3Aは、前記スイッチング電源回路部11の回路グランドである前記負極入力配線11bと前記金属筐体12との間に接続されるLED照明器具10(認定事項ウ)。」
2 引用文献2
(1)記載事項
当審における拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2020-119740号公報;令和2年8月6日公開)には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
照明装置10は、天井などの被設置面に設置される長尺な器具本体11、およびこの器具本体11の下面側に対して着脱可能に取り付けられる長尺な光源部12を備えている。」
「【0012】
光源部12は、光源ユニット14、この光源ユニット14を取り付けるシャーシ15、および光源ユニット14を覆ってシャーシ15に取り付けられるカバー16を備えている。」
「【0013】
そして、光源ユニット14は、基板20、この基板20の一面20aに実装された発光素子(半導体発光素子)21、および基板20の他面20bに実装された電源回路22を構成する複数の電源回路部品23を備えている。」
「【0017】
電源回路部品23には、面実装形部品が用いられている。電源回路部品23は、電源回路22の上述した各回路を構成するために、外部電源を入力するコネクタ24、整流器25、各種のスイッチング素子26、各種のトランス27、および制御部などが含まれている。電源回路22は、これら電源回路部品23を一組として備えている。コネクタ24は、基板20の一端部で、基板20の長手方向の外側から器具本体11側からの電源ケーブルが接続される。」
「【0022】
また、シャーシ15は、金属製で、長尺に設けられている。シャーシ15は、下面部30、この下面部30の幅方向の両側から立ち上げられた側面部31、側面部31の上端から外側に屈曲された屈曲部32を備えている。」
「【0025】
下面部30の接触部33と各取付面部34との間の2箇所には、基板20との間に電源回路部品23をそれぞれ収容する囲み部35が設けられている。各囲み部35は、下面部30から立ち上がる両側の囲み側面部36、およびこれら両側の囲み側面部36の上端間に設けられる囲み上面部37を有する断面略コ字形に形成されている。囲み部35の内側には、電源回路部品23を収容する収容部38が形成されている。囲み上面部37の下面には、一部の電源回路部品23が熱伝導部材28を介して熱的に接続されるように構成されている。」
「【0029】
そして、光源部12を組み立てるには、一体的に構成された光源ユニット14を、電源回路部品23がシャーシ15との間に配置されるように、シャーシ15に取り付ける。このとき、基板20の他面20bの幅方向の両側に実装されている各電源回路部品23をシャーシ15の各囲み部35の収容部38に挿入し、基板20の他面20bをシャーシ15の下面部30に当接させ、爪を用いた係止構造やねじ止めなどの取付構造により基板20をシャーシ15に取り付ける。」
「【0039】
基板20の一面20aの発光素子21が実装された位置に対応した基板20の他面20bの位置に、シャーシ15の接触部33が接触するため、発光素子21の熱がシャーシ15に効率よく伝わり、発光素子21の温度上昇を抑制できる。」
「【0041】
また、長尺状の基板20に電源回路部品23を表面実装した場合、基板20のたわみなどで電源回路部品23や発光素子21などの部品がとれてしまう虞がある。例えば、電源回路基板を別に備えている照明装置の場合、電源回路基板の長さが最低限のものにできるため、電源回路基板のたわみは少ない。本実施形態では、発光素子21を実装する長尺状の基板20に電源回路部品23も実装するため、長尺状の基板20が長手方向でたわみやすい。」
【図1】には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001427521000002.jpg]
」
【図2】には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001427521000003.jpg]
」
(2)引用文献2技術事項
引用文献2の記載事項の内容を総合すると、引用文献2には以下の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「照明装置10において(段落【0011】)、
発光素子21と(段落【0013】)、
電源回路22の各回路を構成するために、各種のスイッチング素子26が含まれている電源回路部品23と(段落【0017】)、
一面20aに発光素子21が実装され、他面20bに電源回路22を構成する複数の電源回路部品23が実装された長尺状の基板20と(段落【0013】、【0041】)、
金属製で、基板20の他面20bを下面部30に当接させる、長尺に設けられているシャーシ15と(段落【0022】、【0029】)、
を備え(段落【0011】~【0013】)、
基板20の一面20eの発光素子21が実装された位置に対応した基板20の他面20bの位置に、シャーシ15の接触部33が接触するため、発光素子21の熱がシャーシ15に効率よく伝わり、発光素子21の温度上昇を抑制できること(段落【0039】)。」
3 引用文献3
(1)記載事項
当審における拒絶の理由で引用された引用文献3(特開2018-185901号公報;平成30年11月22日公開)には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
[実施形態1]
図1(A)は、本実施形態のLED光源ユニットの構成の一例を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示すLED光源ユニットの分解斜視図である。図1(A)および(B)に示すように、本実施形態のLED光源ユニットは、LED実装基板110、取付部材120、およびカバー部材130を含む。LED実装基板110は、LED111、電解コンデンサ112、および電源部品113が実装された基板であり、一方の表面(実装面、図1(B)においては、下面)に、LED111が実装されている。取付部材120は、本体部200の被取付部201に対する取付部材120であり、被取付部201に対向する面(図1(B)においては、上面)側に、被取付部201への接続部121を有する。なお、図1(A)および(B)における本体部200は、本例のLED光源ユニットの構成部材ではなく、本例のLED光源ユニットの使用の際に、本例のLED光源ユニットが取付けられるものである。本実施形態のLED光源ユニットでは、取付部材120の、被取付部201に対向する面(図1(B)においては、上面)とは反対の面(図1(B)においては、下面)側に、LED実装基板110が、LED111の実装面とは反対の面(図1(B)においては、上面)側が対向するように配置される。カバー部材130は、LED実装基板110を覆う状態で配置される。LED実装基板に実装された電源部品113は、取付部材120とカバー部材130との間の空間に収容されている。」
「【0013】
(LED実装基板)
前述のとおり、LED実装基板110は、LED111、電解コンデンサ112、および電源部品113が実装された基板であり、実装面にLED111が実装されている。本実施形態のLED光源ユニットは、LED111と、電源部品113とが、一枚の基板110に実装されているので、異なる基板に実装するよりも構成部材数を減らすことができ、安価に製造可能である。また、本実施形態のLED光源ユニットによれば、ユニット内部において、LEDおよび電源部品を収納する別個の独立したスペースを必要としないため、小型化できる。」
「【0014】
図1(B)においては、LED実装基板110の実装面に、13個のLED111が実装されている例を示したが、本実施形態において、LED111の数は、これに限定されず、必要に応じて増減させてよい。各LED111は、例えば、配線等の電源接続手段により、電解コンデンサ112および電源部品113と接続されている。」
「【0015】
電源部品113は、例えば、抵抗器、ダイオード、ICチップ、小型コンデンサ等で構成され、後述の接続用端子114を介して外部の交流電源(例えば、100Vの商用電源等)と接続可能とされており、前記交流電源の出力を整流し、脈流波形を出力する。電解コンデンサ112は、電源部品113から出力された前記脈流波形を、直流になるように平滑化した上で、LED111に供給し、LED111を駆動する。」
「【0017】
電源部品113は、LED実装基板110に実装され、且つ、取付部材120とカバー部材130との間の空間に収容されてさえいれば、その配置箇所に特に制限はなく、例えば、図1(B)に示すように、LED実装基板110の実装面に配置してもよい。」
「【0018】
例えば、図1(B)に示すように、LED実装基板110には、さらに、接続用端子114が実装されていてもよい。接続用端子114は、前記交流電源からの電源線の接続部分として機能する。接続用端子114は、例えば、前記電源線が一度接続されたら外せない構成であってもよいし、リリースボタンを押すことにより、接続された前記電源線を外せる構成であってもよい。接続用端子114の配置箇所は、特に制限されず、例えば、図1(B)に示すように、LED実装基板110の実装面とは反対の面(図1(B)においては、上面)に配置してもよい。」
「【0019】
(取付部材)
前述のとおり、取付部材120は、本体部200の被取付部201に対する取付部材120であり、被取付部201に対向する面側に、被取付部への接続部121を有する。取付部材120は、例えば、図1(B)に示すように、LED実装基板110の実装面とは反対の面に配置された接続用端子114との衝突を避けることを目的とした貫通穴を有してもよい。」
「【0020】
取付部材120は、例えば、ヒートシンクであってもよい。取付部材120がヒートシンクであれば、LED実装基板110に実装されたLED111および電源部品113で発生した熱を、効率よく放熱することができる。例えば、取付部材120を、アルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、鉄およびその合金、銅およびその合金、チタンおよびその合金等を用いて形成すれば、ヒートシンクとして機能させ得る。また、例えば、取付部材120を、熱伝導性フィラーを含有させた樹脂で形成することでも、ヒートシンクとして機能させ得る。前記樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメタクリル酸メチル等があげられる。取付部材120は、例えば、板状である。」
「【0021】
本実施形態のLED光源ユニットにおいて、例えば、LED実装基板110は、取付部材120に固定化されていてもよい。LED実装基板110が取付部材120に固定化されていれば、LED実装基板110に実装されたLED111および電源部品113で発生した熱を、より効率よく放熱することができる。」
【図1】(B)には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001427521000004.jpg]
」
(2)引用文献3技術事項
引用文献3の記載事項の内容を総合すると、引用文献3には以下の技術事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「LED光源ユニットにおいて(段落【0011】)、
LED111と(段落【0011】)、
抵抗器、ダイオード、ICチップ、小型コンデンサ等で構成される電源部品113と(段落【0015】)、
LED111、電解コンデンサ112、および電源部品113が実装され、実装面にLED111が実装されているLED実装基板110と(段落【0011】)、
アルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、鉄およびその合金、銅およびその合金、チタンおよびその合金等を用いて形成され、下面側に、LED実装基板110が、LED111の実装面とは反対の面側が対向するように配置され、LED実装基板110に固定化されている取付部材120と(段落【0011】、【0020】、【0021】)、
を含み(段落【0011】)、
LED実装基板110に実装されたLED111および電源部品113で発生した熱を、より効率よく放熱することができること(段落【0021】)。」
4 引用文献4
当審における拒絶の理由で引用された引用文献4(特開2011-171238号公報;平成23年9月1日公開)には、以下の事項が記載されている。
「【0012】
このLED照明器具では、図2に示すように、LED照明器具の器具筐体7内に、LED発光部2と点灯回路部4が内蔵されている。器具筐体7は下端開放された金属製の円筒体よりなり、下端開放部は光拡散板8で覆われている。この光拡散板8に対向するように、LED発光部2が配置されている。このLED発光部2は、LED実装基板21上にLED2a~2dを実装している。制御回路IC3の内部スイッチング素子Q1であるMOSFETのドレインーソース間電圧、ドレインーソース間電流及びダイオードD1を実装している。41は電源回路基板であり、点灯回路部4の電子部品を実装している。LED発光部2は、器具筐体7内において放熱板71に接触するように設置されており、LED2a~2dの発生する熱を器具筐体7内に逃がすようになっている。またLED発光部2と点灯回路部4は、この放熱板71に設けられた穴を介して、リード線5で接続されている。放熱板71はアルミ板や銅版のような金属板であり、放熱効果と点灯回路部4への光遮断効果とを併せ持つように構成されている。放熱板71は器具筐体7に電気的に接続されて接地されるが、リード線5のプラス側ならびにマイナス側とは電気的に分離された非給電部となっている。器具筐体7は天井9に埋め込まれており、断熱施工が行われるような天井に取り付けられると、点灯後の時間が経過するにつれて、LED発光部2の温度が上昇して行くことになるが、本実施の形態では、点灯回路部4は大電流の流れるパワー素子はGaNで構成されているため、低抵抗で消費電力が少なく、発熱量も大幅に低減される。」
「【0031】
(実施の形態2)
次に実施の形態2のLED照明器具について図10を参照しつつ説明する。本実施の形態では、図1に示した実施の形態1のLED照明器具において、LED発光部2と点灯回路部4を同一の基板21上に搭載したことを特徴とする。
これは、点灯回路部4において発熱を伴うパワー素子をGaN半導体で構成しているため、点灯回路部自体からの発熱を大幅に抑制することができるため、LED発光部2と点灯回路部4を同一基板上に形成することができ、LED発光部2に供給される電流パスも大幅に短縮することができ、更なる電力損失を抑制することができる。
この構成によれば、実施の形態1で説明した効果に加えて、
(1)基板の第1の面にLED発光部2を搭載するとともに、第2の面に点灯回路部4を搭載することができるため、LED照明器具の薄型化をはかることが出来る。
(2)点灯回路専用の基板が不要である。またLED発光部2と点灯回路部4を接続するリード線5も不要である。器具筐体7を小型化出来る。よって、LED照明器具材料費および組み立て工数を低減出来る。」
【図10】には、以下の内容が示されている。
「
[図:0001427521000005.jpg]
」
5 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「LED光源部14」は本願発明の「光源」に相当する。
イ 引用発明の「MOSFETQ1」は本願発明の「スイッチング素子」に相当し、引用発明の「MOSFETQ1を備え、前記MOSFETQ1のスイッチング動作が行われることで、前記LED光源部14に定電流制御された直流電流が供給され、前記定電流制御により前記LED光源部14を点灯させるスイッチング電源回路部11」は、「MOSFETQ1」のスイッチング動作によるオンオフにより「LED光源部14を点灯させる」ことは明らかであるので、本願発明の「スイッチング素子のオンオフにより前記光源を点灯させる点灯回路」に相当する。
ウ 引用発明の「金属筐体12」は、当然、金属から形成される筐体であることは明らかであるので、本願発明の「金属から形成され、前記第2面と面接触する筐体」と、「金属から形成される筐体」において共通する。
エ 引用発明の「一端は前記スイッチング電源回路部11が備える負極入力配線11bに接続され、他端は前記金属筐体12に設けられている器具接地端子CN3に接続されているコンデンサC3A」は、「コンデンサC3A」が「前記スイッチング電源回路部11」と「前記金属筐体12」との間に電気的に接続されていることは明らかであるので、本願発明の「前記点灯回路と前記筐体との間に電気的に接続されるコンデンサ」に相当する。
オ 引用発明の「前記金属筐体12に設けられている前記器具接地端子CN3が接地電位に接続されることで、前記金属筐体12が接地され」る態様は、電気回路において、「接地電位に接続される」、「接地され」ることがともに「アース端子と電気的に接続され」ることを意味することは明らかであるので、本願発明の「前記筐体はアース端子と電気的に接続され」る態様に相当する。
カ 引用発明の「スイッチング電源回路部11の回路グランド」は、本願発明の「点灯回路の回路グラウンド」に相当し、引用発明の「前記コンデンサC3Aは、前記スイッチング電源回路部11の回路グランドである前記負極入力配線11bと前記金属筐体12との間に接続される」態様は、本願発明の「前記コンデンサは、」「前記点灯回路の回路グラウンドと前記筐体との間」「に接続される」態様に相当する。
キ 以上の限りにおいて、引用発明の「LED照明器具10」は、本願発明の「照明装置」に相当する。
ク そうすると、本願発明と引用発明とは、
「光源と、
スイッチング素子のオンオフにより前記光源を点灯させる点灯回路と、
金属から形成される筐体と、
前記点灯回路と前記筐体との間に電気的に接続されるコンデンサと、
を備え、
前記筐体はアース端子と電気的に接続され、
前記コンデンサは、前記点灯回路の回路グラウンドと前記筐体との間に接続される照明装置。」
の点において一致し、以下の点において相違すると認められる。
〔相違点〕
光源、点灯回路、筐体及びコンデンサの配置に関し、本願発明では、「第1面と前記第1面と反対側の面である第2面を有し、前記第1面に前記光源が設けられた基板」を備え、筐体が「前記第2面と面接触」し、「前記コンデンサと前記点灯回路は前記基板に設けられ」るのに対して、引用発明では、「LED光源部14、スイッチング電源回路部11及びコンデンサC3Aは、金属筐体12の内部に収容されている」ものの、その具体的構成が特定されていない点。
(2)判断
電装部品を基板上に実装することは技術常識であり、引用発明も当然基板を備えるものといえる。
照明装置において基板の温度上昇を抑制すること(引用文献2の段落【0039】又は引用文献3の段落【0021】を参照。)は、周知な課題であり、引用発明も当然内在している。
そして、光源、点灯回路及び筐体を備える照明装置において、第1面と第1面と反対側の面である第2面を有し、第1面に光源が設けられた基板と、第2面と面接触する筐体と、を備え、点灯回路が基板に設けられることにより、基板の温度上昇を抑制を図ることは、周知の技術事項である(例えば、引用文献2技術事項の「基板20」、「発光素子21」、「シャーシ15」及び「電源回路22」、及び、引用文献3技術事項の「LED実装基板110」、「LED111」、「取付部材120」及び「電源部品113」を参照。以下「周知技術」という。)。
したがって、引用発明において上記周知な課題を解決するために周知技術を採用して、引用発明が当然備えている基板を、第1面と第1面と反対側の面である第2面を有するものとし、第1面にLED光源部14を設け、第2面を金属筐体12と面接触させて、スイッチング電源回路部11を基板に設けることは、当業者が容易になし得たことである。
また、照明装置において、電装部品の集約による小型化、低コスト化(引用文献4の段落【0031】を参照。)は、極めて周知な課題であり、引用発明にも当然内在している。
そして、引用文献3技術事項が、「抵抗器、ダイオード、ICチップ、小型コンデンサ等で構成される電源部品113」の他に「電解コンデンサ112」を「実装面にLED111が実装されているLED実装基板110」に実装しているように、コンデンサを含む様々な電装部品を同じ基板上に設けることにより電装部品の集約による小型化、低コスト化を図ることは、照明装置においても技術常識である。
したがって、引用発明において上記極めて周知な課題を解決するために技術常識を採用して、引用発明が当然備えている基板に、さらにコンデンサC3Aをも実装することは、当業者が容易になし得たことである。
以上により、引用発明において、周知技術及び技術常識を採用することで、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)効果についての検討
本願発明が奏する効果は、引用発明、周知技術及び技術常識から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、令和7年5月9日提出の意見書(以下単に「意見書」という。)において、
「ここで、引用文献3の「電源部品113」は、「交流電源の出力を整流し、脈流波形を出力する」ための部品であり、「電解コンデンサ112」は、「電源部品113から出力された脈流波形を、直流になるように平滑化した上で、LED111に供給」するための部品です(段落0015)。つまり、引用文献3の電源部品113および電界コンデンサ112は、引用文献1におけるスイッチング電源回路11の部品またはコンデンサC2(段落0023)に該当します。
つまり、引用文献3の発明を引用文献1の発明に適用した場合、引用文献1のスイッチング電源回路11の部品およびコンデンサC2が、光源と同じ基板に設けられることになります。しかし、引用文献1のコンデンサCA3のような、ノイズ抑制用のコンデンサが光源と同じ基板に設けられることは、引用文献1-3に記載も示唆もされておらず、当業者が容易に想到できたことではありません。」
と主張している。
しかしながら、上記(2)で「引用文献3技術事項が、「抵抗器、ダイオード、ICチップ、小型コンデンサ等で構成される電源部品113」の他に「電解コンデンサ112」を「実装面にLED111が実装されているLED実装基板110」に実装しているように、コンデンサを含む様々な電装部品を同じ基板上に設けることにより電装部品の集約による小型化、低コスト化を図ることは、照明装置においても技術常識である」と示したように、引用文献3は、コンデンサを含む様々な電装部品を同じ基板上に設けることにより電装部品の集約による小型化、低コスト化を図ることが照明装置においても技術常識であることを裏付ける証拠の一例として示したものにすぎず、当該証拠が、引用文献3技術事項の「電解コンデンサ112」の機能、作用によらないことは明らかである。
また、引用発明のコンデンサC2を含むスイッチング電源回路11とLED光源部14を同じ基板に設け、さらに同じ基板にコンデンサC3Aを設けて電装部品の集約による小型化、低コスト化を図ることに阻害要因があるとも認められない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
イ また、請求人は意見書において、
「しかし、本願請求項1による「図1、5、6、7に示されるような点灯回路または光源の様々な位置にコンデンサが接続され得る場合にも、点灯回路と筐体との間に容易にコンデンサを接続できる」という効果は、引用文献の記載も示唆もされておらず、当業者が予測し得る範囲のものとは言えません。本願明細書の段落0043、0047等に記載されているように、ノイズ成分によってコンデンサの接続する最適な位置は異なります。請求項1に係る発明によれば、状況に応じて、点灯回路と筐体との間の最適な位置に、容易にコンデンサを接続することができます。」
と主張している。
しかしながら、本願発明におけるコンデンサについては、「前記点灯回路と前記筐体との間に電気的に接続され」、「前記基板に設けられ、」「前記光源のカソードと前記筐体との間、前記点灯回路の回路グラウンドと前記筐体との間、および、外部から前記点灯回路に電力を供給する給電部と前記点灯回路とを繋ぐ電源ラインと前記筐体との間の何れかに接続される」とのみ特定されており、基板上におけるコンデンサの位置や、コンデンサと点灯回路、光源及び筐体との位置関係について特定されていないから、「点灯回路と筐体との間の最適な位置に、容易にコンデンサを接続すること」という効果を奏するための発明特定事項が不足している。
仮に、「光源」「コンデンサ」「点灯回路」が同じ「基板」に設けられることだけでそのような効果を奏するものとしても、上記(2)で示したとおり、「光源」「コンデンサ」「点灯回路」を同じ「基板」に設けることは、引用発明において周知技術及び技術常識を採用して当業者が容易になし得たことであり、上記(3)で示したとおり、それによる効果が格別顕著なものであるとは認められない。
したがって、請求人の上記主張も採用することはできない。
(5)小括
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-005698