意匠拒絶査定不服審判
2019-012073
包装用箱
- 審判番号
- 2019-012073
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-018014外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月12日
- 審決日
- 2020年03月03日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (F4-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018-18014「包装用箱」拒絶査定不服審判事件について,
次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)8月17日の意匠登録出願であって,平成31年1月23日付けの拒絶理由の通知に対し,同年3月20日に意見書が提出されたが,令和1年(2019年)6月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分に薄赤色を施した。赤色の一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分との境界のみを示すものである。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1340968号
(意匠に係る物品,包装用箱)の意匠
第4 当審の判断
1 本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用箱」である。
(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,直方体における,前面の中央約4分の1の横幅の下辺に沿った帯状部分であり,その部分は物品の高さの約5分の1の位置,大きさ及び範囲であって,包装用箱における,前面の中央約4分の1の横幅で,下端から物品の高さの約5分の1の帯状部分の用途及び機能を有している。
(3)本願部分の形態
本願部分の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(形状,模様又は色彩の結合を,以下「形態」という。)は,
ア.本願部分のうち下端の約8分の1の縦幅に,明度を落とさない黄色を施し(請求書でいうところの「ハイライト部」),
イ.そこから上へと急激に黒色に変化するようにメリハリをつけたグラデーションとなっている。
2 引用意匠
引用意匠は,上記「第3」の意匠公報の記載の内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用箱」である。
(2)引用部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,直方体における,前面の中央約4分の1の横幅の下辺に沿った帯状部分であり,その部分は物品の高さの約5分の1の位置,大きさ及び範囲であって,包装用箱における,前面の中央約4分の1の横幅で,下端から物品の高さの約5分の1の帯状部分の用途及び機能を有している。
(3)引用部分の形態
引用部分の形態は,下端が極めて明度の高い灰色とし,そこから上へと徐々になだらかに黒色に変化するグラデーションとしている。
3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
両意匠共に,意匠に係る物品は「包装用箱」である。
(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
両部分共に,直方体における,前面の中央約4分の1の横幅の下辺に沿った帯状部分であり,その部分は物品の高さの約5分の1の位置,大きさ及び範囲であって,包装用箱における,前面の中央約4分の1の横幅で,下端から物品の高さの約5分の1の帯状部分の用途及び機能を有している。
(3)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
グラデーションにつき,明調子の下端から,上へと黒色に変化する点で共通する。
イ.相違点について
(ア)グラデーションの色相につき,本願部分は,黄色から黒色へ変化するのに対して,引用部分は,極めて明度の高い灰色から黒色へ変化する点。
(イ)グラデーションの明度の変化につき,本願部分は,本願部分のうち下端の約8分の1幅に,明度を落とさない黄色から急激に黒色に変化するのに対して,引用部分は,極めて明度の高い灰色から上へと徐々になだらかに黒色に変化する点。
4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用箱」であるから,一致している。
(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
両部分共に,直方体における,前面の中央約4分の1の横幅の下辺に沿った帯状部分で,その部分は物品の高さの約5分の1の位置,大きさ及び範囲であるから,位置,大きさ及び範囲は一致し,両部分共に,用途及び機能が一致している。
(3)両部分における形態の評価
ア.共通点について
共通点は,グラデーションの基礎を成すものであるから,一定程度の共通感を生むものといえるが,この態様は,本願の出願前からこの種物品分野においてありふれた形態であり,両部分のみの共通点とはいえず,両部分の形態の類否判断に与える影響は小さい。
イ.相違点について
相違点(ア)については,黄色と無彩色である灰色では,別異の印象を与えるものであるから,両部分の形態の類否判断に与える影響は一定程度認められる。
相違点(イ)については,引用部分の明度の変化はありふれたものと認められるところ,本願部分は,約8分の1幅を置いてから急激に黒色に変化する態様が,ほかでは見られず,本願部分の特徴といえ,その相違によって,両部分において,別異の印象を与えるものであるから,両部分の形態の類否判断に与える影響は大きい。
(4)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が一致しているが,上記のとおり本願部分と引用部分の形態は類似するとは認められないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。
5 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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