特許拒絶査定不服審判
2019-012026
太陽電池モジュール
- 審判番号
- 2019-012026
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-529034外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月11日
- 審決日
- 2020年05月08日
- 公報発行日
- 2020年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-529034「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月23日国際公開、WO2015/194147〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月12日(優先権主張平成26年6月18日)の出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成28年10月24日 :国内書面の提出
平成30年 2月 9日 :審査請求書の提出
平成31年 2月 6日付け:拒絶理由通知(同年2月12日発送)
同年 4月11日 :手続補正書・意見書の提出
令和元年 6月 4日付け:拒絶査定(同年6月11日送達。
以下「原査定」という。)
同年 9月11日 :審判請求書・手続補正書の提出
同年12月27日 :上申書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、令和元年9月11日付けの手続補正により補正された請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の太陽電池素子と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置された、ポリオレフィン系材料を含む表面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の裏面側に配置された裏面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置され、前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、
前記配線部材及び前記表面充填部材と接し、前記ポリオレフィン系材料よりも極性の高い、または、前記ポリオレフィン系材料よりも吸水性の高い高分子材料を含む中間部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記表面充填部材を挟むように配置された表面保護部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記裏面充填部材を挟むように配置された裏面保護部材とを備え、
前記中間部材は、前記配線部材の側面と前記表面充填部材とで挟まれており、
前記配線部材の上であって前記配線部材の上面を覆うように形成された光拡散部材をさらに備え、
前記光拡散部材と前記配線部材とは、前記中間部材を介して接着されている 太陽電池モジュール。」(なお、下線は、当審が付したものである。以下同じ。)。
第3 引用文献
1 原査定の拒絶の理由において、引用文献1として引用された特開2013-149863号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(1)「【請求項1】
導電性を有するインターコネクタを用いて複数の太陽電池素子を直列に接続してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池素子の受光面側に接着された前記インターコネクタの表面に樹脂系の接着材で接着された反射用部材を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。」
(2)「【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる太陽電池モジュールが備える太陽電池素子を受光面側から見た上面図である。図2は、図1に示す太陽電池素子を受光面の反対面側から見た下面図である。図3は、本発明の実施の形態にかかる太陽電池モジュールの一部の概略構成を示す斜視図である。図4は、図3に示すA-A線に沿った矢視断面図である。
【0012】
図1に示すように、太陽電池モジュールが備える太陽電池素子1は、半導体基板5の受光面側にリン拡散によって不純物層拡散層(図示せず)が形成されているとともにシリコン窒化膜よりなる反射防止膜4が形成されている。また、半導体基板5の受光面側には、長尺細長の細線電極3と、この細線電極3と導通する集電電極2が設けられている。細線電極3と集電電極2は、それぞれの底面部において不純物拡散層と電気的に接続されている。
【0013】
また、図2に示すように、太陽電池素子1の裏面(受光面と反対側の面)には、ほぼ全体にわたって裏面電極7が設けられるとともに集電電極2と略同一方向に裏面集電電極6が設けられている。
【0014】
また、図3に示すように、太陽電池素子1の裏面集電電極6と、隣接する太陽電池素子1の集電電極2とに導電性のインターコネクタ8をはんだ付けして、複数枚(例えば10枚)の太陽電池素子1を直列に接続したストリングス9が形成される。なお、インターコネクタ8は銅からなり、あらかじめSn-Ag-Cuのはんだを表面にコーティングしたものである。
【0015】
さらに、ストリングス9から導出したインターコネクタ8を出力リードフレーム10にはんだ付けすることで、複数本(例えば5本)のストリングス9が電気的に連結される。出力リードフレーム10は銅からなり、あらかじめSn-Ag-Cuのはんだ(図4に示すはんだ材13)を表面にコーティングしたものである。
【0016】
インターコネクタ8の上には反射用部材11が接着されている。図4に示すように、反射用部材11は、樹脂系の接着材14によって接着されている。以上により本実施の形態にかかる太陽電池モジュールの本体部12が得られる。なお、太陽電池モジュールの本体部12は、ガラス15とEVA等の透光性を有する封止材16と耐候性を有する裏面部材(図示せず)とによって封止される。」
(3)「【0023】
また、接着材14にはエポキシ系の樹脂接着材を用いたが、導電性接着材を用いれば、インターコネクタ8と反射用部材11との接続抵抗が低くなる。これにより、抵抗損失の減少による発電効率のより一層の向上を図ることができる。なお、反射用部材11は樹脂材に光沢めっきを形成したものでもよく、反射用部材11の長さは太陽電池素子1よりも長くてもよいし短くてもよい。また、反射用部材11の本数には特に制約はない。」
(4)図3は、以下のものである。
(5)図4は、以下のものである(図3におけるA-A断面)
2 引用文献に記載された発明
(1)上記1(1)の記載によれば、引用文献には、
「導電性を有するインターコネクタを用いて複数の太陽電池素子を直列に接続してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池素子の受光面側に接着された前記インターコネクタの表面に樹脂系の接着材で接着された反射用部材を備える、太陽電池モジュール。」が記載されているものと認められる。
(2)上記1(2)及び(3)の記載を踏まえて、図3及び図4を見ると、以下のことが理解できる。
ア 上記(1)の「インターコネクタ」は、
太陽電池素子の裏面集電電極と、隣接する太陽電池素子の集電電極とを電気的に接続する銅からなる配線部材であること。
以下、「配線部材」という。
イ 上記(1)の「太陽電池モジュール」は、
表面側に「ガラス」を、裏面側に「耐候性を有する裏面部材」を備え、
EVA等の透光性を有する封止材により封止されていること。
上記「ガラス」及び「耐候性を有する裏面部材」は、太陽電池モジュールの表面及び裏面を保護する部材であることは明らかであるから、以下、「表面保護ガラス板」及び「裏面保護部材」という。
ウ 上記(1)の「接着剤」は、エポキシ系の樹脂接着材であってもよいこと。
エ 上記(1)の「反射用部材」は、「配線部材」の上面の一部を覆うように「接着剤」により接着され、該「接着剤」は、「配線部材」の露出した上面から「反射用部材」の側面の間にわたって延在し、かつ、封止材と接触していること。
オ また、上記(1)の「反射用部材」は、樹脂材に光沢めっきを形成したものでもよいこと。
カ 上記検討からして、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複数の太陽電池素子を直列に接続した太陽電池モジュールであって、
表面保護ガラス板と、
裏面保護部材と、
EVA等の透光性を有する封止材と、
前記太陽電池素子の裏面集電電極と、隣接する太陽電池素子の集電電極とを電気的に接続する銅からなる配線部材と、
前記配線部材の上面の一部を覆うようにエポキシ系の樹脂接着材で接着された反射用部材と、を備え、
前記反射用部材は、樹脂材に光沢めっきを形成したものであり、
前記エポキシ系の樹脂接着材は、前記配線部材の露出した上面から前記反射用部材の側面の間にわたって延在し、かつ、前記封止材と接触している、太陽電池モジュール。」
第4 対比・判断
1 本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「複数の太陽電池素子」及び「太陽電池モジュール」は、それぞれ、本願発明の「複数の太陽電池素子」及び「太陽電池モジュール」に相当する。
(2)ア 引用文献には、封止材として「EVA」以外に特段明記されていないことから、引用発明の「EVA等の透光性を有する封止材」は、「複数の太陽電池素子」の表面側及び裏面側に位置するものと解される。
イ 本願発明の「ポリオレフィン系材料を含む表面充填部材」に関連して、本願明細書には、以下の記載がある。
「【0040】
表面充填部材60は、ポリオレフィン系の充填材を主成分としている。ここで、ポリオレフィン系の充填材とは、例えば、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、及びポリエチレンとポリプロピレンとの重合体などが挙げられる。」
「【0049】
…言い換えれば、ポリエチレンテレフタレートのSP値(10.7)は、ポリエチレンのSP値(7.9)よりも水のSP値(23.4)に近い。よって、ポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンよりも極性が高いと判定される。」
上記記載からして、
本願発明の「ポリオレフィン系材料を含む表面充填部材」は、「ポリエチレン(SP値:7.9)を含む表面充填材」を包含する。
ウ そうすると、本願発明と引用発明とは、「複数の太陽電池素子の表面側に配置された、樹脂材料を含む表面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の裏面側に配置された裏面充填部材とを備える」点で一致する。
(3)引用発明の「銅からなる配線部材」は、「太陽電池素子の裏面集電電極と、隣接する太陽電池素子の集電電極とを電気的に接続する」ものであるから、本願発明の「複数の太陽電池素子の表面側に配置され、前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材」に相当する。
(4)ア 引用発明の「エポキシ系の樹脂接着材」は、「配線部材の露出した上面から反射用部材の側面の間にわたって延在し、かつ、封止材と接触している」から、本願発明の「中間部材」に相当する。
イ また、引用発明の「エポキシ系の樹脂接着材」は、エポキシ樹脂(SP値:10程度)と硬化剤からなる組成物であるところ、該組成物のSP値が、飽和炭化水素骨格を有するポリエチレンのSP値(7.9)よりも大きいことは、当業者にとって明らかである。
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として提示した特開2014-83530号公報(【0015】)を参照。
また、必要ならば、下記の文献も参照。
特開2006-52341号公報(【0026】)
特開2004-119306号公報(【0018】)
特開平9-124768号公報(【0007】)
ウ そうすると、本願発明と引用発明とは、「配線部材及び表面充填部材と接し、ポリオレフィン系材料よりも極性の高い、または、ポリオレフィン系材料よりも吸水性の高い高分子材料を含む中間部材を備える」点で一致する。
(5)引用発明の「表面保護ガラス板」及び「裏面保護部材」は、それぞれ、本願発明の「表面保護部材」及び「裏面保護部材」に相当する。
(6)ここで、上記(1)ないし(5)を整理すると、本願発明と引用発明とは、
「複数の太陽電池素子と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置された、樹脂材料を含む表面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の裏面側に配置された裏面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置され、前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、
前記配線部材及び前記表面充填部材と接し、ポリオレフィン系材料よりも極性の高い、または、ポリオレフィン系材料よりも吸水性の高い高分子材料を含む中間部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記表面充填部材を挟むように配置された表面保護部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記裏面充填部材を挟むように配置された裏面保護部材とを備える、太陽電池モジュール。」である点で一致する。
(7)ア 本願発明の「光拡散部材」に関連して、本願明細書には、以下の記載がある。
「【0057】
[5.光拡散部材の変形例]
光拡散部材70は、図4、図5A及び図5Bに示されたような、上面及び側面が平坦な構造に限られない。光拡散部材70が有する光拡散構造よりも、より効果的に光拡散可能な構造を有していてもよい。」
「【0061】
金属層72には、複数の凹凸が形成されている。これにより、表面側から入射してきた光は、金属層72の表面で多方向に反射される。つまり、光拡散部材70Aは、光拡散及び光反射機能を有する。よって、タブ配線20により太陽電池素子11への入射を遮られた光を、太陽電池素子11へと再配光できるので、太陽電池モジュール全体の光電変換効率を向上させることが可能となる。」
「【0065】
図6に示された光拡散部材70Aにおいて、凹凸形状がない構成であってもよい。この場合には、金属層72の表面は鏡面加工されていることが好ましい。これにより、光反射機能を有することが可能となる。
図5Bは、以下のものである。
70…光拡散部材
図6は、以下のものである。
70A…光拡散部材
上記記載からして、
本願発明の「光拡散部材」は、上面に複数の凹凸を形成した光拡散機能及び光反射機能を有する光拡散部材70A(図6)のみならず、上面及び側面を平坦な構造とした光反射機能を有する光拡散部材70(図5B)をも、含むものと認められる。
イ 一方、引用発明の「反射用部材」は、引用文献の記載及び図面からして、上面及び側面は平坦な構造であると認められる。
ウ また、引用発明の「反射用部材」は、「配線部材の上面の一部を覆うようにエポキシ系の樹脂接着材で接着された反射用部材」であり、該「エポキシ系の樹脂接着材」は、配線部材の露出した上面から反射用部材の側面の間にわたって延在し、かつ、(受光面側の)封止材と接触している。
エ そうすると、本願発明と引用発明とは、「中間部材は、配線部材の外面と充填部材とで挟まれており、
前記配線部材の上であって前記配線部材の上面に形成された光拡散部材をさらに備え、
前記光拡散部材と前記配線部材とは、前記中間部材を介して接着されている」点で一致する。
(8)上記のことから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。
<一致点>
「複数の太陽電池素子と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置された、樹脂材料を含む表面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の裏面側に配置された裏面充填部材と、
前記複数の太陽電池素子の表面側に配置され、前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、
前記配線部材及び前記表面充填部材と接し、ポリオレフィン系材料よりも極性の高い、または、ポリオレフィン系材料よりも吸水性の高い高分子材料を含む中間部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記表面充填部材を挟むように配置された表面保護部材と、
前記複数の太陽電池素子とで前記裏面充填部材を挟むように配置された裏面保護部材とを備え、
前記中間部材は、前記配線部材の外面と前記表面充填部材とで挟まれており、
前記配線部材の上であって前記配線部材の上面に形成された光拡散部材をさらに備え、
前記光拡散部材と前記配線部材とは、前記中間部材を介して接着されている 太陽電池モジュール。」
(9)一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
樹脂材料に関して、
本願発明は、「ポリオレフィン系材料」であるのに対して、
引用発明は、EVAである点。
<相違点2>
光拡散部材に関して、
本願発明は、「配線部材の上面を覆うように形成された」ものであるのに対して、
引用発明は、配線部材の上面の一部を覆うように形成されたものである点。
<相違点3>
配線部材の外面に関して、
本願発明は、「側面」であるのに対して、
引用発明は、上面である点。
2 判断
(1)上記<相違点1>について検討する。
ア 太陽電池モジュールの封止材として、劣化した際に、酢酸ガスを発生させる可能性のあるEVAの代わりに、ポリエチレン等を用いることは、本願の優先日時点で周知である(以下「周知技術1」という。)。
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として提示した特開2014-86634号公報(【要約】)及び特開2014-103369号公報(【要約】)を参照。
また、必要ならば、下記の文献も参照。
特開2014-82251号公報(【0008】ないし【0027】)
特開2013-30659号公報(【0026】ないし【0034】)
特開2013-26562号公報(【要約】)
イ してみると、引用発明の「EVA等の透光性を有する封止材」を「ポリエチレンの封止材」に変更することは、当業者が上記周知技術1に基いて容易になし得たことである。
ウ 上記イのようにした引用発明は、「ポリオレフィン系材料を含む表面充填部材」を備えることになる。
エ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点1>係る本願発明の構成を備えることは、当業者が周知技術1に基いて容易になし得ることである。
(2)上記<相違点2>について検討する。
ア 引用発明の「反射用部材」は、「太陽電池素子」の表面で反射した光を再帰させるものであるところ、反射光をより広く再帰できるように、「反射用部材」を「配線部材」の上面の一端から他端までを覆うことは、適宜なし得た設計事項である。
イ 上記アのようにした引用発明は、「配線部材の上面を覆うように形成された光拡散部材」を備えることになる。
ウ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点2>に係る本願発明の構成を備えることは、当業者が容易になし得ることである。
(3)上記<相違点3>について検討する。
ア 引用発明の「光拡散部材」は、「エポキシ系の樹脂接着材」を用いて「銅からなる配線部材」の上面に接着することになるところ、該接着剤を「銅からなる配線部材」の側面にまで回り込ませることで、接着強度を向上させることは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
必要ならば、原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として提示した下記の文献を参照(以下「周知技術2」という。)。
国際公開第2014/002247号([0044])
国際公開第2012/105146号([0060]及び図6)
ちなみに、図6は、以下のものである。
12…配線材
16…接着剤
40…裏面電極
42…金属膜
43…突起電極。
イ 上記ウのようにした引用発明においては、
「エポキシ系の樹脂接着材(中間部材)」の内側には、「銅からなる配線部材」の側面が位置し、
「エポキシ系の樹脂接着材(中間部材)」の外側には、「(銅に対して接着力の弱い)ポリオレフィン系材料を含む表面充填部材」が位置することになる。
なお、ポリオレフィン樹脂が銅に対して接着力が弱いことについては、上記周知技術1で例示した特開2014-82251号公報の【0009】を参照。
【0009】には「しかしながら、この構成の太陽電池モジュールにおいては、Cuなどからなる配線部材との接触箇所における、オレフィン樹脂からなる封止材の接着力が低いという問題があった。」と記載されている。
ウ 以上のことから、引用発明において、上記<相違点3>に係る本願発明の構成を備えることは、当業者が周知技術2に基いて容易になし得ることである。
(4)効果
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術から予測し得る範囲内のものである。
3 審判請求書及び上申書における主張について
(1)請求人は、下記のように主張することから、この点について検討する。
審判請求書:
「『光拡散部材が配線部材の上面を覆う』構成であれば、配線部材およびその側面に配置された樹脂接着剤は、光拡散部材よりも横方向に突出する確率が低減されるので、入射光(直接入射光および反射光)が、配線部材およびその側面に配置された樹脂接着剤により遮られる確率は低くなる。」(第7頁後段)
上申書:
「本願請求項1では、光拡散部材は、配線部材の上面を覆うように形成されている、と記載しています。これは、本願の図5Aおよび図6の構成を表しており、光拡散部材が配線部材の上面全体を覆うように形成されていることを表しています。」(第2頁中段)
図6は、以下のものである(再掲)。
70A…光拡散部材
(2)判断
ア 請求人は、本願発明の「配線部材の上面を覆うように」とは、「光拡散部材」の幅が「配線部材」の幅を超えて、配線部材を覆い隠すことである旨主張するものと解される。
イ しかしながら、本願明細書には、「上面を覆う」ことについて明確な定義は記載されていない。
一般に、「覆う」とは、「露出するところがないように、全体にかぶせてしまう」又は「下の物が隠れるように上からかぶせる」との意味(広辞苑第四版)であるから、「配線部材の上面を覆うように」とは、
「(光拡散部材により)配線部材の上面が露出しないようにする」又は「「(光拡散部材により)配線部材の上面が隠れるようにする」ことと解される。
ウ よって、請求人の上記主張は、上記判断を左右するものではない。
4 まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-012026