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特許拒絶査定不服審判

2019-011217

単一単品の既設管更生部材と単一単品の配管部材

審判番号
2019-011217
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-009886外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年08月27日
審決日
2020年11月20日
公報発行日
2021年03月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (F16L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-  9886「単一単品の既設管更生部材と単一単品の配管部材」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日出願公開、特開2015-129577〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年1月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年11月10日付け:拒絶理由通知書 平成29年12月 7日  :意見書および手続補正書 平成30年 5月 8日付け:拒絶理由通知書 平成30年 5月20日  :意見書および手続補正書 平成30年10月30日付け:拒絶理由通知書 平成30年12月 8日  :意見書および手続補正書 令和 1年 5月30日付け:拒絶査定 令和 1年 8月27日  :審判請求書 令和 2年 6月24日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 8月11日  :意見書及び手続補正書 令和 2年10月 1日  :上申書 第2 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和2年8月11日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載によれば、その請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、(令和2年8月11日提出の手続補正書に記載された事項により特定される)以下の通りのものである。 「曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返し可能な製造方法により製造されて、さらに、断面的ならびに外観的にも一切の分割線の現れることがない全体が単一単品の部材であり、片端の始点を含む直管部に始まり、次に曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返されて部材の終点に至る全体が単一単品の部材であり、尚且つ、複数の直管部と曲り部の肉厚な部位を含む複数の曲り部により構成され、その全てが融着や接着ならびに肉厚な補強部を貼り付ける等のあらゆる接合や接着手段を用いることなく部材の端から端に至る全体が単一構造の単品である形態を有して製造成形された部材であり、尚且つ、複数の曲り部の管自体の肉厚が、複数の直管部の肉厚より厚くなっている全体が樹脂類の単一単品の既設管更生部材であって、部材の始点より終点に至る部材軸心の経路が、交差する複数の座標平面上を渡りながら辿る全体が合成樹脂製の単一単品の既設管更生部材。」 第3 拒絶の理由 令和2年6月24日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、本願の請求項1に係る発明についての特許法第29条第2項の拒絶の理由は概略以下のとおりである。 本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開平9-309144号公報 引用文献2.特開2002-113523号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3.特開平8-267566号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4.特開2006-266397号公報 第4 引用文献 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 1a)「【0007】 【発明の実施の形態】 〔第一の実施の形態〕以下、図1~図6に基づいて本発明の第一の実施の形態に係る樹脂管の成形方法について説明する。ここで、図1は本実施の形態において使用される樹脂管の成形装置の全体模式図、図2は樹脂管の成形装置のローラ部分の正面図、図3~図5は樹脂管の成形装置の要部模式図、図6は樹脂管の成形装置の全体外形図である。前記樹脂管の成形装置10は、図6に示されるように、樹脂管wの押出成形機12と、その押出成形機12にナイロン樹脂ペレットを供給するホッパー16、及び前記押出成形機12から押し出された半溶融状態の樹脂管wを曲げ成形するサイジング機14とから構成されている。 【0008】前記押出成形機12の先端には樹脂管wを成形するためのダイ12dが設けられており、そのダイ12dには樹脂を射出するためのノズル12nが上下左右から接続されている。なお、図1、図3~図5には上下方向のノズル12nのみが表示されており、左右方向のノズル12nは省略されている。さらに、前記ダイ12dの中央にはそのダイ12dから押し出された樹脂管wの潰れ防止を図るための球状ローラ13が装着されている。前記球状ローラ13は、ダイ12dと同軸に位置決めされたシャフト13sと、そのシャフト13sの先端に取付けられた第1球体13r及び第2球体13tから構成されており、前記第1球体13rと第2球体13tとが自由継ぎ手13jによって連結されている。そして、前記シャフト13sと第1球体13r及び第2球体13tが回転機構(図示されていない)により軸心回りに回転できるようになっている。 【0009】また、前記押出成形機12の出側には球状ローラ13の第1球体13rを挟む位置にサイジング機14の第1ローラ14uと第2ローラ14dとが位置決めされている。前記第1ローラ14u及び第2ローラ14dは軸心回りに回転しながら、図2(A)に示されるように、互いの成形面14a,14bで樹脂管wを挟むことによりその樹脂管wの外周面を連続的に成形する構造であり、回転制御装置(図示されていない)により回転速度を個別に制御できるようになっている。また、前記第1ローラ14u及び第2ローラ14dは位置決め装置(図示されていない)の働きにより樹脂管wを成形しながらその樹脂管wの回りを約180 °回動できるようになっている。 【0010】このため、例えば、前記位置決め装置により第1ローラ14u、第2ローラ14dを上下方向に位置決めし(図2(A)参照)、回転制御装置により第1ローラ14uの回転数を第2ローラ14dの回転数よりも遅く設定すれば、樹脂管wを上方向に曲げることができるようになる。また、位置決め装置により第1ローラ14u、第2ローラ14dを左右に位置決めし、回転制御装置により第1ローラ14uの回転数を第2ローラ14dの回転数よりも遅く設定すれば、樹脂管wを左方向に曲げることができる。さらに、第1ローラ14uと第2ローラ14dとの回転数差を大きくすれば曲げ半径を小さく、逆に、回転数差を小さくすれば曲げ半径を大きくすることができる。即ち、回転制御装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dの回転数を制御し、位置決め装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dの傾きを一体で制御することにより、樹脂管wを三次元的に曲げることができるようになる。」 1b)「【0013】次に、前記樹脂管の成形装置10の動作を説明しながら本実施の形態に係る樹脂管の成形方法の説明を行う。先ず、パイプサポート15のNC制御ロボット15rにより管支持部15sが所定位置に位置決めされ、外側冷風リング17a及び内側冷風リング17bにブロアー18から冷風が供給される。次に、前記回転制御装置によって第1ローラ14u及び第2ローラ14dが駆動されるとともに、前記位置決め装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dの傾きが調整される。この状態で、前記押出成形機12が動作することにより樹脂管wが押し出し成形される。ここで、前記押出成形機12はダイ12dに対して上下左右のノズル12nから樹脂を射出する構造のため、各々のノズル12nから射出された樹脂は、図1(B)に示されるように、混じり合うことはなく、前記ダイ12dから押し出されるまでの間に互いに接着される。 【0014】前記押出成形機12から押し出された樹脂管wは軸心回りに回転する球状ローラ13の第1球体13r、第2球体13tによって潰れ防止が図られるとともに、第1ローラ14uと第2ローラ14dとによって外周面が成形される。そして、樹脂管wの先端がパイプサポート15の管支持部15sまで到達すると、NC制御ロボット15rが作動してその管支持部15sが樹脂管wの成長に伴って移動する。このため、前記樹脂管wの成形部分にその樹脂管wの重量に起因した応力が加わることがなく、樹脂管wが座屈することがない。さらに、回転数制御装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dとの回転数が個別に制御され、さらに、位置決め装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dの傾きが一体で制御されることにより、前記樹脂管wは予め決められた方向に曲げ成形される。 【0015】ここで、樹脂管wの先端部がパイプサポート15に支持された状態でその樹脂管wは内側冷風リング17b及び外側冷風リング17aによって内外から冷却されるため、曲げ成形された樹脂管wは速やかに硬化する。このようにして、所定形状に成形されて硬化した樹脂管wは切断機により先端から予め決められた寸法で切断され、その切断された樹脂管w、即ち、製品がパイプサポート15によって予め決められた位置まで運搬される。 【0016】このように、上記した手順が繰り返し実行されることにより、押出成形機12から連続的に押し出された樹脂管wは連続的に所定形状の製品に成形される。また、回転数制御装置、位置決め装置により第1ローラ14uと第2ローラ14dの回転数や傾きを制御して前記樹脂管wの曲げ半径や曲げ方向を自由に変えることができるため、多種類の製品を成形できるようになる。」 1c)「【0018】さらに、樹脂管を上方向に曲げる場合に、図4に示されるように、下側のノズル12nの射出圧力を高くして射出流速を速くし、上側のノズル12nの射出圧力を低くして射出流速を遅くすることにより、樹脂管の曲がり部分の肉厚をほぼ均一にすることができる。なお、図5に示されるように、下側のノズル12nの樹脂量を多くし、上側のノズル12nの樹脂量を少なくすることにより、樹脂管の曲がり部分の肉厚をほぼ均一にすることもできる。また、本実施の形態では樹脂管wを冷風により冷却する方法を示したが、霧状の冷水により冷却することも可能であることは言うまでもない。」 1d)「【図1】 」 1e)「【図5】 」 また、上記1d)の図1の記載から、樹脂管wは複数の曲がり部を有していると認められる。 (2)引用発明 上記(1)の内容を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「樹脂管wであって、押出成形機12から連続的に押し出された樹脂管wの曲げ半径や曲げ方向を自由に変えながら連続的に所定形状の多種類の製品に成形され、複数の曲がり部分を有しており、前記押出成形機12の先端には樹脂管wを成形するためのダイ12dが設けられており、そのダイ12dには樹脂を射出するためのノズル12nが上下左右から接続されており、前記樹脂管wを上方向に曲げる場合に、下側のノズル12nの樹脂量を多くし、上側のノズル12nの樹脂量を少なくすることにより、樹脂管wの曲がり部分の肉厚をほぼ均一にすることもできる樹脂管w」 2 引用文献2の記載事項 「【0008】 【発明の実施の形態】本発明で製造対象とする曲り条材は、金属条材を曲げ加工して製造しうるものであれば、条材断面形状、材質等任意であり、代表例としては、丸形鋼管、角形鋼管等の鋼管、H形鋼、I形鋼、L形鋼等の形鋼を挙げることができる。 【0009】前記したように、本発明は、金属条材をアーム用クランプと中間クランプで把持した状態で、先ず、その金属条材に増肉加工を施し、次いで増肉領域に曲げ加工を施すものである。ここで、増肉加工による増肉率としては、増肉領域に曲げ加工を施して得た曲り領域に所望の肉厚を確保できるように定めればよく、例えば、曲げ加工により曲げ外周側に生じる減肉率にほぼ等しく設定することが好ましい。このような増肉率を採用すると、増肉加工後に曲げ加工を施して得た曲り領域の最も肉厚の薄い部分(曲げ外周側)の肉厚が、増肉加工を施す前の金属条材の肉厚にほぼ等しくなっており、このため、得られた曲り条材では、曲り領域の最小肉厚が曲り領域の両端に続く直線部の肉厚にほぼ等しくなり、従って、曲り条材の全長に亘って強度をほぼ一定とすることができる。また、曲げ加工により曲げ外周側に生じる減肉率は、曲げ半径及び中立軸線からの距離によって異なるが、多くの場合は5~15%程度であり、このため、その減肉を補うための増肉率としては、5~15%程度でよく、この程度の増肉加工は容易に実施可能である。 【0010】また、増肉加工による増肉率を、曲げ外周側減肉率補償分よりも大きくとることも好ましく、これにより曲げ外周側の肉厚が直線部より大きい、曲り部が補強された曲り条材を得ることができる。」 3 引用文献3の記載事項 3a)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、上下水道管、送電用ケーブル保護管等の配管の曲り部分に使用されるプラスチックベンド管の製造方法に関する。」 3b)「【0010】 【作用】本発明のプラスチックベンド管の製造方法は、両端部の外周面と内周面の断面が略同じ中心を有する円形で略均一な肉厚になされ、中央部の外周面と内周面の断面が異なる中心を有する円形で一方が反対側より厚肉になされたプラスチック直管を形成する工程と、前記プラスチック直管の中央部の厚肉部分をプラスチックベンド管の背肉部分として曲げ加工する工程とを包含している。 【0011】この曲げ加工の際、プラスチックベンド管の背肉部分となるプラスチック直管の中央部の厚肉部分は、両側から引っ張られて薄肉化され、同様に、プラスチックベンド管の腹肉部分となるプラスチック直管の中央部の薄肉部分は、両側から圧縮されて厚肉化され、背肉部分と腹肉部分との肉厚をほぼ等しくすることができ、所定の規格内に収めることができる。 【0012】一方、上記曲げ加工の際、プラスチック直管の両端部の背肉部分と腹肉部分は、それぞれ片側から引っ張られるか圧縮されるだけなので、中央部に較べて肉厚の変化が小さく、しかも両端部はもともと均一な肉厚になされているので、ほぼ均一な肉厚とすることができる。上記の結果、本発明のプラスチックベンド管の製造方法は、両端部と中央部の肉厚がほぼ均一にすることができる。 【0013】また、曲げ加工に使用する金型の両端部をRをつけないで直状になし、中央部だけRを付けた型面とし、この金型の両端部に前記プラスチック直管の肉厚が均一になされた両端部を設置し、Rを付けた金型の中央部に前記プラスチック直管の厚肉部分をプラスチックベンド管の背肉部分となるように設置して曲げ加工する。すると、プラスチック直管の両端部には曲げの力がかからないので、均一な肉厚に維持され、中央部は厚肉部分が減肉され、薄肉部分は増肉され、背肉部分と腹肉部分の肉厚が均一化される。この結果、両端部と中央部が一層均一な肉厚のプラスチックベンド管を得ることができる。」 4 引用文献4の記載事項 4a)「【請求項3】 請求項1または2記載の配管部品において、各ベンド部を補強のために直管の肉厚より厚くしテーパ部で直管に連結するようにした配管部品。」 4b)「【0009】 本発明による配管部品の実施態様は、請求項1または2記載の配管部品において、各部品の直管部の長さは回避すべき障害物の断面を円としたときに前記中間直管の長さは前記円の直径程度の長さであり他の直管部は前記円の半径程度の長さとしてある。 本発明によるさらに他の配管部品実施態様は、前記配管部品実施態様において、前記障害物をマンホールとしたものであり、その他の交差する配管等の障害物も予定している。 本発明によるさらに他の配管部品実施態様は、前記請求項1または2記載の配管部品において、配管部品の管の中心は同一平面内にあるように構成してある。前記標準的な構成のほか、配管部品の中心が同一平面内以外に平行面および交差平面上にある構成も種々形成し得る。これにより、多岐にわたる回避配管の形成に対処し得る配管部品を供給できる。」 4c)「【0012】 以下図面等を参照して本発明による装置の実施の形態を説明する。図1は、本発明による配管部品とそれを用いた施工方法の原理を説明するための概略図である。 同図(A)は、中間直管MSと3個の直管Sを3つのベンドbで一体に設けた配管部品である。α,β,γはベンドの角度ベンド角を示している。中間直管MSとベンド角βで接続される直管Sとこの直管Sにベンド角βで接続される他の直管Sは乙字部を形成している。 同図(B)は、中間直管MSと4個の直管Sを4つのベンドbで一体に設けた配管部品である。中間直管MSを共通にして2つの乙字部が設けられていると考えられる。」 4d)「【0014】 図2は図1の(B)に示した形式に属する4ベンドの配管部品100の斜視図である。この4つのベントを備える配管部品100は2つの乙字部を持つものである。 中間直管101,ベンド102,104,106,108および直管部材103,105,107,109から構成されている。101,102,103,104,105が一方の乙字部、101,106,107,108,109が他方の乙字部を構成している。」 4e)「【0017】 本発明による配管部品は工場で量産される。ベンドの形状を他の直管部分に比較して厚くして補強した配管部品を利用できる。図4を参照して詳しく説明する。同図(A)は、補強された2つのベンドをもつ乙字部を示しており、同図(B)は補強部の一つを拡大して示した図である。 管の内径は当初の内径を保ち、曲げの部分の外側に盛り補強部Reを設け、Aに示す部分Juで緩やかに直管部に連結するように構成されている。補強部と直管部の連結部に段ができるとその段が作業性を損なうおそれがあるのでテーパで連結する。図4(B)の二点鎖線は通常の管の厚みを仮想的に示している。前記加工は管材を折り曲げる機械と樹脂塗布装置を用いて連続的に製造される。また当該部分を型で製造することもできる。 図4(B)において、ベンドの補強の例を示したが、補強する必要がない場合も当然考えられる。この場合には、(B)の断面において、直管の肉厚を保持した状態でベンド部を形成したものを利用することができる。図中の二点鎖線で示す外形を保つものがこれにあたる。 【産業上の利用可能性】 【0018】 本発明による配管部品は、樹脂管製造工場や変形加工工場で大量に生産できるので、樹脂材料加工の分野で利用できる。 このようにして生産された配管部品は、施工の現場で利用され、施工の時間を大幅に短縮できるから、土木工事の分野で利用できる。」 4f)「【図1】 」 4g)「【図2】 」 4h)「【図4】 」 第5 対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「押出成形機12から連続的に押し出された樹脂管wの曲げ半径や曲げ方向を自由に変えながら連続的に所定形状の多種類の製品に成形され」ることは、押し出された樹脂管wを任意の方向に連続的に曲げることが可能であることを意味しており、曲げ管と直管の繰り返しを任意の数有する樹脂管が成型できると解されることから、本願発明の「曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返し可能な製造方法により製造され」ることに相当する。 また、引用発明の「押出成形機12から連続的に押し出された樹脂管wの曲げ半径や曲げ方向を自由に変えながら連続的に所定形状の多種類の製品に成形され」ることは、連続的に押し出された樹脂管を曲げていることから、曲げがされた樹脂管に分割線は形成されないものと解されることから、引用発明の樹脂管は、本願発明の「断面的ならびに外観的にも一切の分割線の現れることがない全体が単一単品の部材」の構成を有するものである。 さらに、引用発明は、「複数の曲がり部分」を有し、かつ「樹脂管wの曲がり部分の肉厚」があることから、本願発明の「曲り部の肉厚な部位を含む複数の曲り部」の構成を有している。 さらに、引用発明の「押出成形機12から連続的に押し出された樹脂管wの曲げ半径や曲げ方向を自由に変えながら連続的に所定形状の多種類の製品に成形され」ることは、融着や接着、接合、補強部の貼り付けなどの手段を用いずに樹脂管を成型しているから、本願発明の「その全てが融着や接着ならびに肉厚な補強部を貼り付ける等のあらゆる接合や接着手段を用いることなく部材の端から端に至る全体が単一構造の単品である形態を有して製造成形され」る構成を有している。 さらに、引用発明の「前記押出成形機12の先端には樹脂管wを成形するためのダイ12dが設けられており、そのダイ12dには樹脂を射出するためのノズル12nが上下左右から接続されており、前記樹脂管を上方向に曲げる場合に、下側のノズル12nの樹脂量を多くし、上側のノズル12nの樹脂量を少なくすること」は、樹脂管の曲り部の内側と外側の樹脂量を変えることにより、樹脂管の厚みを調整するものであり、また、上記第4 引用文献の1(1)1e)にある図5(A)には、曲げ前の樹脂管の断面において、下側の管厚みが上側よりも厚いものが開示されているから、本願発明の「複数の曲り部の管自体の肉厚が、複数の直管部の肉厚より厚くなっている」構成と、「複数の曲り部の管自体の肉厚が調整されている」限りにおいて一致している。 さらに、引用発明は、「樹脂管」に関する発明であり、ここでいう「樹脂」は「合成樹脂」を含むものと解され、当該樹脂管は単一の部材から構成されるのはその製造方法から明らかであるから、本願発明の「全体が樹脂類の単一単品の既設管構成部材」および「全体が合成樹脂製の単一単品の既設管構成部材」とは、「全体が合成樹脂製の単一単品の樹脂管」である限りにおいて一致している。 そうすると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返し可能な製造方法により製造されて、さらに、断面的ならびに外観的にも一切の分割線の現れることがない全体が単一単品の部材であり、尚且つ、曲り部の肉厚な部位を含む複数の曲り部により構成され、その全てが融着や接着ならびに肉厚な補強部を貼り付ける等のあらゆる接合や接着手段を用いることなく部材の端から端に至る全体が単一構造の単品である形態を有して製造成形された部材であり、尚且つ、複数の曲り部の管自体の肉厚が調整されている全体が合成樹脂製の単一単品の樹脂管。」 [相違点1] 複数の曲り部の管自体の肉厚が調整されている点に関して、本願発明は、曲り部の肉厚が直管部より厚くなっているのに対し、引用発明は、曲り部の管自体の肉厚を、樹脂量を変えることにより調整はしているものの、直管部よりも曲り部の肉厚が厚いかは不明な点。 [相違点2] 全体が合成樹脂製の単一単品の樹脂管である点に関して、本願発明は、片端の始点を含む直管部に始まり、次に曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返されて部材の終点に至り、部材の始点より終点に至る部材軸心の経路が、交差する複数の座標平面上を渡りながら辿る既設管更生部材であるのに対し、引用発明の樹脂管はそのような形状を採っているのか、また、既設管更正部材であるかがが不明な点。 2 判断 (1)相違点1について 上記相違点1について検討する。 引用文献2には、曲げ加工を施す際に予め増肉加工をしておくこと、さらに、増肉加工による増肉率を、曲げ外周側減肉率補償分よりも大きくとることで曲げ外周側の肉厚が直線部より大きい、曲り部が補強された曲り条材を得ることが記載されている(上記第4 2を参照。)。 引用文献3には、プラスチックベンド管の曲げ加工が施される箇所を厚肉にしておく点が記載されている(上記第4 3の3b)を参照。)。 引用文献4には、ベンド部の肉厚を直管部よりも厚くする点が記載されており(上記第4 4の4a)および4e)を参照。)、また、図4(B)にも図示されている(上記第4 4の4h)を参照。)。 これら引用文献2ないし4の記載を総合すると、管の技術分野において、曲り部の肉厚を調整して他の箇所よりも厚くすることは本願出願前周知の技術的事項であったと認められる。 そして、引用発明は射出する樹脂量により曲り部の肉厚を調整するものであるから、引用発明においても上記周知の技術的事項に倣って、曲り部の樹脂量を増やすことにより曲り部の肉厚を直管部より厚くすることに何ら困難性は認められない。 したがって、相違点1にかかる本願発明の構成は、引用発明及び本願出願前周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 (2)相違点2について 上記相違点2について検討する。 引用文献4には、中間直管101、ベンド102、104、106、108及び直管部材103、105、107、109からなる配管部材100が記載されており(上記第4 4の4d)を参照。)、このものは片側の始点が直管から始まって、ベンドと直管が繰り返す技術的事項を開示しているものと認められる。 また、引用文献4の段落【0009】には、「配管部品の中心が同一平面内以外に平行面及び交差平面上にある構成も種々形成し得る。」とあり(上記第4 4の4b)を参照。)、当該記載は、本願発明の「部材の始点より終点に至る部材軸心の経路が、交差する複数の座標平面上を渡りながら辿る」構成に相当する技術的事項を開示しているものと認められる。 さらに、引用文献4は、配管部材が、土木工事の施工現場で利用できる点を開示しており(上記第4 4の4e)を参照。)、既設配管の置き換えにも利用できるのは明らかである。 そして、引用発明により得られる樹脂管を、上記引用文献4記載の技術的事項に倣って、片端の始点を含む直管部に始まり、次に曲り部と直管部の組合せが自然数の最大まで繰り返されて部材の終点に至り、部材の始点より終点に至る部材軸心の経路が、交差する複数の座標平面上を渡りながら辿る形状とすると共に、使用用途を既設配管の置き換えとすることに何ら困難性は認められない。 したがって、相違点2にかかる本願発明の構成は、引用発明及び引用文献4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。 3 効果 本願発明の効果も、引用発明、本願出願前周知の技術的事項、及び引用文献4記載の技術的事項から予測できる範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。 4 審判請求人の主張 審判請求人は、令和2年8月11日提出の意見書、及び令和2年10月1日提出の上申書で、本願発明と引用文献との差異について以下のように主張している。 「引用文献1において、押し出し製造によるものですが、内外の速度を変えて曲がり部を製造しますが、曲がりの内側と外側の肉厚を略均一に出来る程度の製造法であり、本事件のような曲がり部の肉盛り部の製造は不可能で有ることは審査官殿もご存じで有ります。 引用文献2において、少なくとも超長尺にしても素管を準備する必要があり、自然数の最大にするには接続が必須となり、必ず分割線が1本あるいは複数本数存在せざるを得ない。 引用文献3も引用文献2と同じです。 引用文献4および5は、部分的に各部を創りそれらを接続する製造法であり、分割線が複数本現れる事は引用文献2と同様です。 分割線に注目すれば全てが解決します。なぜこの分割線について最初に考慮しないのでしょうか? 全体が一連に製造されることが理解出来ます。 請求項に列記した全てを満足する特定事項より、押し出し製造で有ることも必然的に理解されるべき事です。」 しかしながら、引用発明は、ノズルから射出される樹脂量を変えることにより曲り部の肉厚を調整できるものであり、樹脂量を調整することにより管の肉厚は略均一のみならず自由に調整可能であることは、当業者であれば容易に理解できるものである。また、引用発明は、その製造方法からみて、樹脂管に分割線は現れない点で本願発明と一致している。 そして、引用発明により樹脂管を作成するにあたり、肉厚や形状を、本願出願前周知の技術的事項や引用文献記載の技術的事項に倣って設定することも、当業者であれば適宜なしえることである。 よって、審判請求人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明と、本願出願前周知の技術的事項、及び引用文献4記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討をするまでもなく本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-011217

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