特許拒絶査定不服審判
2019-010566
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)のためのスモールフォームファクタ磁気シールド
- 審判番号
- 2019-010566
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-101618外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年08月08日
- 審決日
- 2020年06月05日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .561-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-101618「磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)のためのスモールフォームファクタ磁気シールド」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日出願公開、特開2017-143312〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年1月31日(パリ条約による優先権主張 2013年2月8日、米国、2013年2月26日、米国)を国際出願日とする出願である特願2015-556179号の一部を平成29年5月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 3月 6日付け:拒絶理由通知
平成30年 5月16日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 8月29日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知
平成30年12月 3日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 4月12日付け:平成30年12月 3日付けの手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
令和 1年 8月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 1年12月17日 :上申書の提出
第2 令和1年8月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和1年8月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1及び請求項28について、本件補正前に、
「【請求項1】
基板と、
コンポーネントと、
前記コンポーネントを囲む少なくとも1つの金属および誘電体層と、
少なくとも部分的に前記コンポーネントの周りに配置された複数のビアとを含み、
前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが、強磁性材料を含む、ダイ。」
「【請求項28】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板に結合されたダイと、
前記ダイを囲む金属及び誘電体層からなる型と、
少なくとも部分的に前記ダイの外周の周りに配置された複数のビアとを含み、前記複数のビアが少なくとも前記型の中に形成され、前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが強磁性材料を含む、ダイパッケージ。」
とあったところを、
「【請求項1】
基板と、
コンポーネントと、
前記コンポーネントを囲む少なくとも1つの金属および誘電体層と、
少なくとも部分的に前記コンポーネントの周りに配置された複数のビアとを含み、
前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが、強磁性材料を含み、
前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、
前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、
前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された、ダイ。」
「【請求項28】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板に結合され、コンポーネントを含むダイと、
前記ダイを囲む型と、
少なくとも部分的に前記ダイの外周の周りに配置された複数のビアとを含み、前記複数のビアが少なくとも前記型の中に形成され、前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが強磁性材料を含み、
前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、
前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、
前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された、ダイパッケージ。」
とする補正を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
2 補正の適否
(1)請求項1に係る補正について
ア 請求項1についての本件補正(以下、「本件補正1」という。)は、
本件補正前の請求項1に記載した「コンポーネント」及び「ダイ」について、「前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された、ダイ」と補正するものである。
イ 当初明細書等に記載された事項
請求人が補正の根拠とした明細書の段落【0054】には「図5に示されるように、ビア508は、MRAMセルアレイ506を横方向に囲む。図5の例では、ビア508は、ダイ500の境界に位置する。いくつかの実装形態では、ビア508は、MRAMセルアレイ506からの各MRAMセル(またはMRAMセルのセット)の周りに位置し得る。いくつかの実装形態では、ビア508は、ダイ500のMRAMセルアレイ506のための側面磁気シールドを提供する。」と記載されているが、本件補正1に係る事項は記載されていない。
また、MRAMセルアレイは、通常、微細なMRAMセルが1個のダイの中に64Mbit(約6千400万個)以上存在することを考慮すると(例えば、特開2012-14787号(【0081】)等参照)、請求人が補正の根拠とした図5は、大きく簡略化した概念図であり、MRAMセルアレイにおける多数のMRAMセル(例えば、64Mbit以上の「MRAMセル」。)とビアとの位置関係を正確に表したものではなく、図5の記載から、セルの配置とビアの配置との関係を特定することはできないので、本件補正1に係る事項が記載されているとはいえない。
さらに、段落【0074】及び図9Aに記載された、ダイ900に強磁性ビア910となる空隙908を形成する工程において、「いくつかの空隙908がダイ900に形成される。空隙908は、ダイ900の金属層、誘電体層、および/または基板902を横断し得る。・・・いくつかの実装形態では、空隙908は、ダイ900のMRAMセルアレイ906を囲むように形成され得る。いくつかの実装形態では、空隙908は、ダイ900の境界に形成される。」と記載されているものの、セルの配置と強磁性ビア910となる空隙908の配置との関係は述べられていないので、本件補正1に係る事項が記載されているとはいえない。
そして、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の他の部分にも、本件補正1に係る事項は記載も示唆もされていない。
ウ したがって、本件補正1により補正された「前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
よって、本件補正1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(2)請求項28に係る補正について
ア 請求項28についての本件補正(以下、「本件補正2」という。)は、
本件補正前の請求項28に記載した「ダイ」について、「コンポーネントを含むダイ」とし、「ダイパッケージ」について、「前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された、ダイパッケージ」とする補正を含むものである。
イ 当初明細書等に記載された事項
明細書において「ダイパッケージ」と「ビア」について記載されている段落【0088】には「図11に示されるように、ビア1108は、ダイ1102を横方向に囲む。図11の例では、ビア1108は、ダイパッケージ1100の境界に位置する。しかしながら、ビア1108は異なる位置に位置してよい。いくつかの実装形態では、ビア1108は、ダイ1102のMRAMセルアレイ1104のための側面磁気シールドを提供する。」と記載されているが、本件補正2に係る事項は記載されていない。
また、図11には、MRAMセルが示されておらず、セルの配置とビアの配置との関係は読み取れないので、本件補正2に係る事項が記載されているとはいえない。
さらに、段落【0103】及び図13Bに記載された、型1308に強磁性ビア1312となる空隙1310を形成する工程において、「いくつかの空隙1310が型1308に形成される。いくつかの実装形態では、空隙1310は型1310とパッケージング基板1300とを横断し得る。・・・いくつかの実装形態では、空隙1310は、ダイ1304のMRAMセルアレイ1306を囲むように形成され得る。いくつかの実装形態では、空隙1310は、ダイパッケージの境界(たとえば、型および/または基板の境界)に形成される。」と記載されているものの、セルの配置と強磁性ビア1312となる空隙1310の配置との関係は述べられていないので、本件補正2に係る事項が記載されているとはいえない。
そして、当初明細書等の他の部分にも、本件補正2に係る事項は記載も示唆もされていない。
ウ したがって、本件補正2により追加された「前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
よって、本件補正2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
なお、請求人は、審判請求書において「また、『前記コンポーネントが、マトリックス状に配置された複数のセルのアレイを含み、前記セルの長辺と平行な方向に配列された前記セルの中心及び、前記セルの短辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置され、前記セルの短辺と平行な方向に配列された前記セルの前記短辺及び、前記セルの長辺と対向する前記ビアの中心が、1つの直線上に配置された、』との補正は、請求項1の補正の根拠を援用いたします。」(〔3〕補正 (10)請求項28)と主張しているが、請求項1に係る発明は「ダイ」に関するものであり、請求項28に係る発明は「ダイパッケージ」に関するものなので、請求項1の補正の根拠を援用することはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-47に係る発明は、平成30年5月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1―47に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1 本件補正」の本件補正前の「請求項1」として記載したもので、次のとおりである(再掲載)。
「【請求項1】
基板と、
コンポーネントと、
前記コンポーネントを囲む少なくとも1つの金属および誘電体層と、
少なくとも部分的に前記コンポーネントの周りに配置された複数のビアとを含み、
前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが、強磁性材料を含む、ダイ。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-47に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1-8に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.特開2008-306094号公報
引用文献2.米国特許出願公開第2006/0229683号明細書
引用文献3.国際公開第2012/011210号
引用文献4.米国特許出願公開第2008/0073747号明細書
引用文献5.特表2007-507108号公報
引用文献6.特開2004-200185号公報
引用文献7.特開2010-245106号公報
引用文献8.米国特許第6350951号明細書
なお、請求項1に係る発明は、引用文献1及び7に基づいて容易であるとされた。
3 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1には、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。
「【0001】
本発明は磁気メモリに関し、より詳細には強磁性トンネル接合や巨大磁気抵抗効果素子などの磁気抵抗効果素子を有するセルを集積したメモリにおいて、記録の書き込み動作や保持に影響を与える外部からの磁場を防ぐ磁気シールドに関する。」
「【0023】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明するプロセスは、ウェハで実施される。すなわち、ウェハに同一のチップが多数形成されている状態で、それぞれのチップに対して以下の実施の形態は行われる。ウェハは、本発明によるプロセスと、その他の所定のプロセスが終了した後、チップに切断される。
(第一の実施の形態)
図6、図7は、本発明の第一の実施の形態を説明するための模式図である。図6は、上面から見た図であり、図7は、断面図である。なお、説明の都合上、図面におけるメモリアレイや磁気シールドなどの寸法や大きさの比は、実際の装置とは異なる。
【0024】
誘電体層103、例えば酸化シリコンや、窒化シリコンと酸化シリコンの積層膜によってウェハ100上のメモリアレイ101とその他の素子102が被覆されている。この誘電体層103に磁気シールドとして、連続した強磁性体105が、メモリアレイ101の周囲を囲むように設けられている。」
「【0026】
第一の実施の形態に示す構造は、以下の工程で形成される。まず、図8(a)に示すように、ウェハ100上に形成したメモリアレイ101とその他の素子102を酸化シリコンなどの誘電体層103で被覆する。誘電体層103は、例えば化学気相成長法(CVD法)によって形成される。次に、図8(c)に示すように、磁気シールドとなる強磁性体を形成するための溝106を、誘電体層103に形成する。溝106の形成は、例えばフォトレジストをマスクとした反応性エッチングで行う。
【0027】
そして、次に、図8(c)に示すように、前の工程で形成した溝106に磁気シールドとなる強磁性体105を埋め込む。強磁性体105の埋め込みは、例えば、スパッタ法などで行うことができる。Ni-Fe合金などの金属磁性体を用いる場合には、溝の埋め込みは、めっきによって行うことができる。溝の内部を埋め込まずに、溝の内壁表面に強磁性体の膜を形成することでも磁気遮蔽効果を得ることができるが、埋め込んだ方が強磁性体の体積が大きくなるので、溝の内壁表面に強磁性体膜を形成した場合と比べて、より大きな効果が期待できる。」
「【0029】
・・・
(第二の実施の形態)
図10は第二の実施の形態を説明する模式図で、上方から見た図である。磁気シールドは、独立した複数の強磁性体105Aから構成されている。磁気シールドを構成する強磁性体105Aの各々は、上方から見たとき、メモリアレイを囲む方向の長さがメモリアレイを囲む方向と直交する方向よりも長い。」
イ 上記記載から、引用文献1には、次の事項が記載されている。
・引用文献1記載の技術は、磁気メモリのチップに関するものである(【0001】、【0023】)。
・図7より、誘電体層103が、メモリアレイ101を囲んでいることが見て取れるので、【0023】及び【0024】から、誘電体層103によって、ウェハ100上のメモリアレイ101が囲むように被覆され、誘電体層103に強磁性体105が、メモリアレイ101の周囲を囲むように設けられたチップが読み取れる。
・強磁性体105は、溝106を誘電体層103に形成し、溝106に磁気シールドとなる強磁性体105を埋め込んだものである(【0026】、【0027】)。
・図10より、強磁性体105は、上方から見ると複数の長方形状であることが見て取れるので、【0029】から、強磁性体105は、上方から見ると独立した複数の長方形状であることが読み取れる。
したがって、第二の実施の形態に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「誘電体層103によって、ウェハ100上のメモリアレイ101が囲むように被覆され、
誘電体層103に強磁性体105が、メモリアレイ101の周囲を囲むように設けられた磁気メモリのチップであって、
強磁性体105は、溝106を誘電体層103に形成し、溝106に磁気シールドとなる強磁性体105を埋め込んだもので、上方から見ると独立した複数の長方形状である、
磁気メモリのチップ。」
(2)引用文献7
引用文献7には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、磁気記憶装置に関し、特にリードフレーム部材を有する磁気記憶装置に関する。」
「【0060】
図11を参照して、磁気記憶素子MMがその後のプロセスによってダメージを受けないように、磁気記憶素子MMを覆うように保護膜20が形成される。その保護膜20を覆うように層間絶縁膜17上にたとえばCVD法によりさらに層間絶縁膜21が形成される。メモリセル領域MRでは、その層間絶縁膜21および保護膜20に所定の写真製版およびエッチングを施すことにより、記録層3の表面を露出するコンタクトホール21aが形成される。また周辺回路領域RRでは、その層間絶縁膜21および層間絶縁膜17に所定の写真製版およびエッチングを施すことにより、配線層16の表面に達するコンタクトホール21bが形成される。これらのコンタクトホール21a、21b内を充填するように層間絶縁膜21上にたとえば銅層(図示せず)が形成される。その銅層にたとえばCMP処理等を施すことによって層間絶縁膜21の上面上に位置する銅層が除去され、コンタクトホール21a、21b内の各々に銅層が残存されて接続部材23が形成される。
【0061】
その層間絶縁膜21を覆うように層間絶縁膜21上にたとえばCVD法によりさらに層間絶縁膜24が形成される。その層間絶縁膜24に所定の写真製版およびエッチングを施すことにより、メモリセル領域MRでは層間絶縁膜24にビット線を形成するための開口部が形成され、周辺回路領域RRでは層間絶縁膜24に開口部24aが形成される。これらの開口部内を充填するように層間絶縁膜24上にたとえば銅層(図示せず)が形成される。その銅層に、たとえばCMP処理等を施すことによって層間絶縁膜24の上面上に位置する銅層が除去され、ビット線用の開口部内に銅層が残存されてビット線BLが形成され、開口部24a内には銅層が残存されて配線層25が形成される。」
上記より、引用文献7には「磁気記憶装置において、メモリセル領域MR及び周辺回路領域RRを、層間絶縁膜及び金属配線層(ビット線BL、配線層25)で覆う」技術が記載されている。
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「ウェハ100」、「誘電体層103」は、それぞれ、本願発明の「基板」、「誘電体層」に相当する。
(2)本願の明細書に「コンポーネントは、いくつかの磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルを含むMRAMセルアレイである。」(【0015】)と記載されていることから、引用発明の「磁気メモリのチップ」における「メモリアレイ101」は、本願発明の「コンポーネント」に相当する。
(3)引用発明の「誘電体層103」は、「メモリアレイ101」を囲むように被覆しているので、本願発明とは「前記コンポーネントを囲む少なくとも1つの層」を含むものである点で共通する。
ただし、コンポーネントを囲む層が、本願発明は、「金属および誘電体層」であるのに対して、引用発明は、「誘電体層103」である点で相違する。
(4)引用発明の「強磁性体105」は、「溝106を誘電体層103に形成し、溝106に」「埋め込んだもので、上方から見ると独立した複数の長方形状である」ので柱状であり、「誘電体層103」に形成されたビアといえるものである。
そして、引用発明の「強磁性体105」は、「メモリアレイ101の周囲を囲むように設けられた」ものであるから、引用発明の「チップ」に「強磁性体105」が設けられることは、本願発明の「ダイ」が「少なくとも部分的に前記コンポーネントの周りに配置された複数のビアとを含み、前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが、強磁性材料を含む」ことに相当する。
(5)引用発明の「磁気メモリのチップ」は、「ウェハ100」、「メモリアレイ101」、「誘電体層103」及び「強磁性体105」を含むものなので、本願発明の「ダイ」に相当する。
すると本願発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「基板と、
コンポーネントと、
前記コンポーネントを囲む少なくとも1つの層と、
少なくとも部分的に前記コンポーネントの周りに配置された複数のビアとを含み、
前記複数のビアのうち少なくとも1つのビアが、強磁性材料を含む、ダイ。」
(相違点)
コンポーネントを囲む層が、本願発明は、「金属および誘電体層」であるのに対して、引用発明は、「誘電体層103」である点。
5 判断
上記相違点について検討する。
引用文献7には、磁気記憶装置において、メモリセル領域MR及び周辺回路領域RRを、層間絶縁膜及び金属配線層で覆う技術が記載されている(上記「3 (2)」)。
ここで、引用発明は「磁気メモリのチップ」に関するものであるから、引用発明においても上記技術を適用し、「メモリアレイ101」を囲む「誘電体層103」に金属配線層を設けて、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献7に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論の通り審決する。
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2019-010566