意匠拒絶査定不服審判
2019-009425
音声入出力型情報端末
- 審判番号
- 2019-009425
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-009605外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1652563
- 請求日
- 2019年07月12日
- 審決日
- 2019年12月19日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .121-WY (H7-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2018- 9605「音声入出力型情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)4月27日の意匠登録出願であって,平成31年1月28日付けの拒絶理由の通知に対し,同年3月13日に意見書が提出されたが,同年4月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年8月26日に手続補正書(審判請求書の【請求の理由】欄)及び手続補正書(願書の【意匠に係る物品】欄)が提出されたものである。
第2 本願意匠
本願は,意匠法第14条第1項の規定により,秘密にすることを請求する期間を3年とした,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「音声入出力型情報端末」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「一点鎖線で囲んだ部分(背面右上方向からの参考斜視図及び正面右下方向からの参考斜視図において薄墨で着色した部分)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠
原審の平成31年1月28日付けの拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は,プロジェクタ付き音声入出力型情報端末の,略円筒形の本体部の半周以上を占める円周曲面について意匠登録を受けようとするものですが,本願意匠が属するプロジェクタ及び音声入出力型情報端末の分野においては,本体部の形状を略円筒形とし,半周以上を占める円周曲面を有することは,例えば下記の意匠1~3(プロジェクタ,特に意匠1はスピーカー付き),意匠4及び5(音声入出力型情報端末)においてみられるとおり,本願出願前からごく一般的に見受けられるものです。
そうすると,プロジェクタ付き音声入出力型情報端末の本体部を,当該物品分野において本願出願前からごく一般的に見受けられる略円筒形とし,その半周以上を占める円周曲面について意匠登録を受けようとするにすぎない本願意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものです。
意匠1:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1145606号の意匠
意匠2:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1526846号の意匠
意匠3:
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年3月13日に受け入れた,Signs & Displays 2015年3月10日3号 第40頁所載
照明付き映像投影機の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA27001047号)
意匠4:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1552869号の意匠
意匠5:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1562625号の意匠」
第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について,すなわち,本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)であれば,容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討し,判断する。
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,時刻,気象情報等の様々な情報を提供し,スケジュール管理,音楽再生,カメラでの撮影録画等の機能を有し,各種センサーによってユーザの存在及び位置等を認識し,ユーザの音声による指示に基づいて情報提供するだけではなく,ユーザ同士の会話等に基づいて自律的にそれに応じた情報を提供することも可能な「音声入出力型情報端末」である。
(2)本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能については,音声入出力型情報端末の本体部分(以下「本体部」という。)において,周側面部分を構成する筐体として用いられる部分であり,配設されたカメラ及び各種センサーの周囲を覆いつつ,本体部の内部に設けられた電子機器等を保護する機能を有する部分である。
また,本願部分の位置,大きさ及び範囲は,本体部周側面部分の背面側約1/4の部分を除いた部分を,その位置,大きさ及び範囲としたものである。
(3)本願部分の形態
ア 本願部分の全体の態様は,略円筒形状の本体部と,その背面側下方部分に設けられた左側面視略L字状の支柱及びこれらを支える円板状の台座部分で構成された音声入出力型情報端末における,本体部周側面部分の前面側及び左右側面側の約3/4の部分であって,
イ 本願部分の具体的な形態は,本体部の周側面部分の前面側及び左右側面側の約3/4の部分において,その前面側上端部分に略小円形状の上部センサー配置用の切り欠き部(以下「上部切り欠き部」という。)を形成し,前面側中央やや下方部分に略隅丸横長長方形状のカメラ配置用の切り欠き部(以下「カメラ切り欠き部」という。)を形成し,カメラ切り欠き部の下方部分に略隅丸正方形状の下部センサー配置用の切り欠き部(以下「下部切り欠き部」という。)を等間隔に3個,横一列に配したものである。
2 原審の拒絶の理由における引用意匠
(1)意匠1
意匠1は,日本国特許庁が平成14年(2002年)7月2日に発行した意匠公報,意匠登録第1145606号に記載された「スピーカー付ビデオプロジェクター」の意匠であって,その形態は,正面側及び背面側の外周角部を面取りした,略横向き円筒形状とし,その周側面部分の中央やや正面寄りの左右側面部分に略円形状のスピーカー部を1つずつ配し,その下方部分に略楕円孔を形成し,ここから下端部を隅丸とした略三角形状の脚部を突設し,周側面後端部の上面部分にSDカード用の小スリットを1つ形成し,周側面背面側の底面部分に大スリットを4条形成し,正面部を略擂り鉢状となるように形成したものである。
(2)意匠2
意匠2は,日本国特許庁が平成27年(2015年)6月22日に発行した意匠公報,意匠登録第1526846号に記載された「プロジェクター」の意匠であって,その形態は,肉厚な円板の下方部外周角部を面取りした形態の取付け部の底面中央部分に,円錐台形状の中空な枠体部を配し,その枠体部内部から略メガネレンチ状の支持部を可動自在に突設させ,その支持部の正面側に,その内部に円筒部を配した略隅丸直角三角形状の切り欠き部を形成した形態の略円筒形状の本体前方部を設け,支持部の背面側に,周側面にスリットを設け,上部の一部を切り欠いた形態の略円筒形状の本体後方部を設けたものである。
(3)意匠3
意匠3は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年3月13日に受け入れた,株式会社マスコミ文化協会が発行した内国雑誌「Signs & Displays」(2015年3月10日3号)の第40頁に所載の「照明付き映像投影機」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA27001047号)であって,その形態は,略横長直方体状の本体部の右側面中央部分から支柱を1本立設し,その上端部に,正面側に略円形状のレンズ部を設け,背面側の下部の一部を切り欠いた略円筒形状の映像投影部を配設したものである。
(4)意匠4
意匠4は,日本国特許庁が平成28年(2016年)6月27日に発行した意匠公報,意匠登録第1552869号に記載された「音声入出力型電子計算機」の意匠であって,その形態は,略横長円筒形状の周側面左側部分に略円形孔を縦横等間隔な配置態様で一面に形成し,右側面の中央部分に小円形部分を1つ,その上下に模様を配した円形部分を1つずつ配し,左側面の左半分の部分に略半円形状の部分を形成したものである。
(5)意匠5
意匠5は,日本国特許庁が平成28年(2016年)11月7日に発行した意匠公報,意匠登録第15626259号に記載された「音声入出力型電子計算機」の意匠であって,その形態は,正面側上端部を一部切り欠いた略縦長円筒形状の周側面の正面側上方部分に,模様を施した円形部分を1つ設け,背面側下方部分に,二重の略長円形状の部分を形成し,その内部の上下端部に円形部分を配し,その間に小円形部分とコネクター接続部分を形成し,上面部切り欠き部分に,小円形部分を横一列に5つ配し,底面部中央部分に二重円の部分を形成し,その内部に二重の円形部分を設けたものである。
3 本願意匠の創作容易性の判断
本願意匠は,意匠に係る物品を「音声入出力型情報端末」とするものであり,その本体部周側面部分の前面側及び左右側面側の部分から,上部センサー用の上部切り欠き部,カメラ配置用のカメラ切り欠き部,及び下部センサー配置用の下部切り欠き部を除いた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であるところ,部分全体を略円筒形状とし,その周側面部分の前面側及び左右側面側の部分を範囲とした形態は,意匠1ないし5で示したように公然知られた形態であるといえる。
しかしながら,当業者が本願意匠を創作する際には,物品の機能を発揮するうえで重要なカメラや各種センサーの具体的な配置等について考慮するものであるところ,本願部分に見られるような周側面部分の前面側及び左右側面側の部分に,その前面側上端部分に上部切り欠き部,その前面側中央やや下方部分にカメラ切り欠き部,及びカメラ切り欠き部の下方部分に3つの下部切り欠き部を形成した形態は,引用している意匠1ないし5には見当たらず,本願意匠の出願前に公然知られたものであるとはいえないものである。
そうすると,本願部分の形態は,カメラでの撮影録画等の機能を発揮し,各種センサーによってユーザの存在及び位置等を認識するために,独自の着想によって周側面部分の前面側及び左右側面側の部分の形態を創出したといえるものであり,当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたとはいえないものである。
第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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