2019-007056
遊技機
- 審判番号
- 2019-007056
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-097269外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年05月30日
- 審決日
- 2020年01月06日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三共
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯の概要
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本願は、平成26年5月9日(優先権主張平成25年5月10日)の出願であって、平成30年1月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年2月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月5日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年9月4日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月26日付け(送達日:平成31年3月5日)で、平成30年9月4日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和1年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和1年5月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年5月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成30年2月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】所定の遊技を行う遊技機であって、制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータと、遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段と、続きを表示(全13行)前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、前記リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段と、を備え、前記リセット手段は、予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段を含み、前記経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段を備え、前記遊技制御用マイクロコンピュータは、前記電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段と、少なくとも前記電力供給停止時処理を実行した後に前記遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段と、前記電力供給停止時処理の実行に伴い前記リセット設定手段により前記経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段を含む、ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和1年5月30日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】所定の遊技を行う遊技機であって、制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータと、遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段と、続きを表示(全14行)前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、前記リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段と、を備え、前記リセット手段は、予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段を含み、前記経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段を備え、前記遊技制御用マイクロコンピュータは、前記電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段と、少なくとも前記電力供給停止時処理を実行した後に前記遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段と、前記電力供給停止時処理の実行に伴い前記リセット設定手段により前記経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段と、所定の記憶領域に値が異なる複数のデータを所定順序で書き込むことにより、前記経過時リセット手段により計測された前記監視時間を初期化させる計測初期化手段と、を含む、ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。
2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「リセット手段」により「計測」される「監視時間」に関して、「所定の記憶領域に値が異なる複数のデータを所定順序で書き込むことにより、前記経過時リセット手段により計測された前記監視時間を初期化させる計測初期化手段」との構成を付加することにより限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0011】、【0138】、【0444】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Gは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、B 制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータと、C 遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段と、D 前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、続きを表示(全13行)E 前記リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段と、を備え、F 前記リセット手段は、予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段を含み、G 前記経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段を備え、H 前記遊技制御用マイクロコンピュータは、I 前記電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段と、J 少なくとも前記電力供給停止時処理を実行した後に前記遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段と、K 前記電力供給停止時処理の実行に伴い前記リセット設定手段により前記経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段と、L 所定の記憶領域に値が異なる複数のデータを所定順序で書き込むことにより、前記経過時リセット手段により計測された前記監視時間を初期化させる計測初期化手段と、を含む、M ことを特徴とする遊技機。」
(2)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の優先権主張の日前である平成24年12月13日に頒布された刊行物である特開2012-245039号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
ア 記載事項
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(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、遊技を統括的に制御する遊技制御装置と、遊技者に賞価値を付与する制御を行う賞価値付与制御装置と、それらの電源を供給する電源供給装置とを備えた遊技機に関する。」
(イ)「【0035】図3は、本発明を適用した一実施形態の遊技機の制御系統を説明するためのブロック図である。遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技用マイコン101(遊技用マイクロコンピュータ)、入力I/F(Interface)105、出力I/F(Interface)106及びリセット回路108を備える。上記遊技用マイコン101は、CPU102、ROM(Read Only Memory)103及びRAM(Random Access Memory)104を備える。CPU102は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技制御を司る。ROM103は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ等)を記憶している。RAM104は、遊技制御時にCPUの作業領域を提供するワークエリアとして利用される。【0036】遊技制御装置100には、遊技用マイコン101の外付け回路としてリセット回路109(第1リセット信号出力手段)が設けられており、リセット回路109は、電源装置から供給される電源のうちDC5Vを監視して当該DC5V電源電圧が所定の値以下になったことを検出するとリセット信号を遊技用マイコン101のRST端子に対して出力する。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。図3には、図示を省略したが遊技用マイコン101には内部バスにつながる周辺回路としてシリアル送受信回路、暗号化送受信回路(暗号通信手段)、乱数生成回路が備えられており(図4参照)、遊技制御装置100の遊技用マイコン101と、払出制御装置210の遊技用マイコン211との間で相互認証のための通信を行う(図5参照)。また、遊技制御装置100は外部情報端子108に接続されており、遊技機10に関する情報を、外部情報端子108を介して、遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に出力する。・・・【0038】遊技制御装置100に入力された上記各種検出装置からの検出信号は、入力I/F105を介してCPU102に入力され、CPU102はこれらの信号に基づいて大当り抽選等、種々の処理を行う。また、CPU102は、出力I/F106を介して、普図表示器53、特図表示器52、51、普電SOL(ソレノイド)90、大入賞口SOL(ソレノイド)38、払出制御装置210及び演出制御装置150に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。」
(ウ)「【0053】図4は、上記遊技制御装置100(払出制御装置210)を構成する遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン:アミューズチップ:遊技用演算処理装置)101(211)のより具体的な構成を示すブロック図である。この遊技用マイクロコンピュータ600は、CPUコア601、ROM602、RAM604などを有し、乱数生成回路608、シリアル送受信回路631、暗号化送受信回路632、リセット割込制御回路(ウォッチドッグタイマWDTを含む)610、クロックジェネレータ(カウンタクロックタイマCTCを含む)609などをその内部バス(CPUバス)につながる周辺回路として内蔵するワンチップマイコンとして構成される。」
(エ)「【0063】ブートブロック613は、ブートプログラムを格納するROMを備え、遊技用マイクロコンピュータ600のシステムリセット時にこのブートプログラムが立ち上がって、所定の簡易チェックを行う。そして、ブートROMが正常であれば、プロテクト設定処理を実行した後、遊技プログラムの所定アドレス(CPU601のアドレス空間内における所定アドレス(一般に当該アドレス空間の先頭番地0000h))に処理を渡す。」
(オ)「【0091】次に、図7から図13までの図面を参照しつつ、遊技制御装置100側の処理、すなわち遊技用マイコン101のCPU102(図4、図5のCPUコア601)が実行する処理について説明する。【0092】〔メイン処理〕先ず、メイン処理について説明する。メイン処理は、電源が投入されたとき(停電から復旧したとき、システムリセットによりリスタートしたときを含む。)に、CPUコア601がブートブロック613に記憶されたブートプログラムをロードして実行し、各周辺回路がCPUコア601の制御下に入った後、ユーザープログラムROM602に記憶された遊技プログラムが読み込まれてCPUコア601が当該プログラムを実行することで開始される。このメイン処理は、繰り返し実行されるループ処理を含む。ループ処理のいずれかにおいて、タイマ割込み処理を実行可能とし、そのタイマ割込み処理において遊技者にゲームを行なわせるためである。【0093】メイン処理においては、図7に示すように、まず、割込み禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS4)を行う。」
(カ)「【0111】上記ステップS36のCTC起動処理の後は、乱数生成回路を起動設定する処理を行う(ステップS37)。具体的には、乱数生成回路608内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)へ乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)の設定などがCPUコア601によって行われる。それから、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1~n)の値を、対応する各種初期値乱数(大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図の当たりを決定する乱数(当り乱数))の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブしてから(ステップS38)、割込みを許可する(ステップS41)。本実施形態で使用するCPU600内の乱数生成回路608においては、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変わるように構成されているため、この値を各種初期値乱数の初期値(スタート値)とすることで、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことができ、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。・・・【0113】上記ステップS42の初期値乱数更新処理の後、電源装置160から入力されている停電検出信号を入力ポートを介して読み込んでチェックする回数(2回以上)を設定し(ステップS43)、停電検出信号がONであるかの判定を行う(ステップS44)。停電が発生していない場合(ステップS44;No)は、初期値乱数更新処理(ステップS42)に戻る。すなわち、停電が発生していない場合には、初期値乱数更新処理と停電検出信号のチェック(ループ処理)を繰り返し行う。初期値乱数更新処理(ステップS42)の前に割り込みを許可する(ステップS41)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると割込み処理が優先して実行されるようになり、タイマ割込みが初期値乱数更新処理によって待たされることで割込み処理が圧迫されるのを回避することができる。・・・【0115】また、停電検出信号が発生した場合(ステップS44;Yes)は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS45)を行い、発射停止を設定する処理(発射許可信号をOFFにする)を行い(ステップS46)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS47)を行う。その後、ステップS44の判定結果に基いてRAMの停電検査領域に停電発生フラグを立てて、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS48)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS49)。さらに、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS50)、チェックサムをセーブする処理(ステップS51)を行った後、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ。このように、停電復旧検査領域にチェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判断することができる。ステップS45からステップS52までの一連の処理が、電源供給装置から供給される供給電圧が所定電圧まで低下した場合に、前記電源供給装置から出力される停電検出信号を実行開始条件とし、停電が発生したことを示す停電フラグ(停電確認情報)を前記メモリに保存して電源断まで待機する電源断処理に該当する。」
(キ)「【0185】さらに、電源装置160には、停電検出回路169が備えられており、DC32Vを監視し、所定の電圧(停電検出電圧)にまで下がったときに停電検出信号(図20の(f))を発生させて各装置(遊技制御装置100、払出制御装置210、演出制御装置150)に送っている。具体的に言うと停電検出信号(図20の(f))は、停電を検出するまでの間はONの信号であり、DC32V(図20の(b))が17.2V~19.5Vの停電検出電圧まで降下したとき(時刻t2)に停電を検出しOFFの信号を出力し、その後DC32Vの電圧が17.2V~19.5Vに回復するまでOFFの信号を出し続ける(図20の(f))。AC24V入力において電源断となる時刻t1から停電検出がされる時刻t2までは、AC-DCコンバータの特性に応じた所定の遅延が生じる。・・・【0187】ここで、停電検出とリセットとの関係を電源供給の観点から整理する。遊技制御装置100の場合には、停電発生(図8のステップS31;Yesまたは図9のステップS44でYes)の場合、電源断処理(ステップS45-S52)を実行して電源が断たれるのを待つ。払出制御装置210の場合には、停電発生(図15のステップS1515;Yes)の場合、電源断処理(ステップS1516-1520)を実行して電源が断たれるのを待つ。これらの電源断処理を実行するのに必要な電源はバックアップ電源161によって各装置に供給される。電源装置160は、停電検出回路169が停電を検出すると各装置への電源供給をバックアップ電源161からの供給へと切り替える。バックアップ電源161は前述したように大容量の電解コンデンサによって構成されており、各装置が電源断処理を実行可能な電力を供給することとともに、停電の間、各装置内のRAMに記憶した内容を保持するための電力をも供給可能であるように設計されている。しかし、RAMに必要なデータをバックアップするための電源断処理を完了した後、電源が断たれるのを待つまでの時間も各装置には通電状態を維持したままであるので、RAMの内容を保持するのに必要な電力にくらべると大きい電力を消費する。【0188】そこで、電源断処理を完了するのに十分な時間が経過した後にリセット信号を遅滞なく発生することが望まれる。図20に示すタイムチャートでは、停電検出信号が時刻t2において発生し、それを開始条件として電源断処理が各装置(遊技制御装置100と払出制御装置210)で行なわれて、それぞれのRAMにデータを保持する処理が終わって間もない時刻t5においてリセット信号が発生してCPUコア601にリセットをかける。リセット(システムリセット)は、CPUコア601及びその周辺回路の電源を強制的に切った後に、電源を投入し直す(再投入する)ことを意味する。したがって、CPUコア601は、自身のチップ内及び基板内の回路への電源供給を停止して、再びシステムを起動しなおそうとする。このとき、ブートブロック613に格納されたブートプログラムにしたがってブート処理を実行するが、電源装置160のバックアップ電源161からの電源供給ではなく、本来のAC24VからAC-DCコンバータ及びDC-DCコンバータを介して供給される電源供給を要求する。その電源供給がないとCPUコア601は、ブート処理を完了できないため起動しない。このタイミングでバックアップ電源161が電源供給をする対象はRAMのみへと切り替わる。地震、雷、火災などの理由で電源供給が断たれた場合には、それらの事情が復旧するまでの間、バックアップ電源によりRAM内のデータは正常に保持されて、次の電源投入の際には、正常に停電復旧がなされて本来の電源供給に戻る。」
(ク)「【0195】発明3の実施例1にあっては、この目的を達成すべく、遊技制御装置のメイン処理及びタイマ割込み処理に変更を加えて、ウォッチドッグタイマ(WDT)を用いて強制的にシステムリセットをかけるものである。図22は、発明3の実施例1における遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャート3枚のうちの2枚目である(発明3の実施例1)。上述した実施形態1における遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャート(図7,8,9)と大部分が同一であり、異なるのは、図8のステップS35の「発射許可設定」とステップS36の「CTCを起動」の間に、ステップS351の「WDT起動」を挿入したことである。すなわち、相互認証が完了し(ステップS33;Yes)、通信エラーの発生がなく(ステップS34;No)、発射許可を設定して(ステップS35)、メイン処理としてはゲームを開始する準備が整ったところで、ウォッチドッグタイマ(WDT)を起動して(ステップS351)、その後CTCを起動する(ステップS36)。ウォッチドッグタイマ(WDT)は所定の時間の経過をカウントして当該時間が経過すると強制的にCPUを停止して、再起動するものである。ウォッチドッグタイマ(WDT)は、前述したように遊技用マイコン(アミューズチップ)600内のリセット割込制御回路610内に設けられた回路である。【0196】図23は、発明3の実施例1における遊技制御装置のタイマ割込み処理を示すフローチャートである。メイン処理のステップS36でCTCの起動をするので、その後タイマ割込み処理が所定周期で実行される。実施形態1におけるタイマ割込み処理(図10)と大部分が同一であり、異なるのは図10のステップS61の「レジスタを退避」とステップS62の「入力処理」との間にステップS611の「WDTクリア」を挿入したことである。このWDTクリアは、前述のウォッチドッグタイマを初期化すること、つまりセットしなおすことをいう。このWDTクリアをしなければ、例えばゲーム中にシステムがリセットされてしまい、遊技者の利益を損ねてしまう。それに対し、停電が発生して電源断処理が開始されたときは割込みを禁止するので(図9のステップS45)、その後はWDTクリアが働かず、所定の時間経過後、CPUの停止及び再起動がなされる。したがって、WDTの時間設定は、電源断処理でRAMへのバックアップ処理を実行完了するのに必要な時間を考慮して設定される。」
(ケ)「【0197】[発明3の実施例2]図24は、発明3の実施例2における遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャート3枚のうちの3枚目である(発明3の実施例2)。実施例1と同様にウォッチドッグタイマ(WDT)を用いて同じ課題を解決するものである。上述した実施形態1における遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャート(図7,8,9)と大部分が同一であり、異なる点は、図9のステップS45の「割込みを禁止」とステップ46の「発射停止を設定」との間に「WDT起動」を挿入した点にある。実施例2にあっては、電源断処理の途中においてウォッチドッグタイマ(WDT)を起動して、一連のRAMへの保存処理が完了したタイミングを見定めてCPUの停止を図ることとしたものである。【0198】図24に示すウォッチドッグタイマ(WDT)を用いた電源断処理は、上述した実施形態1又は実施形態2と組み合わせて実行することもできる。また、上述した発明1又は発明2と組み合わせることも可能である。停電が発生したと判定されると(図24のステップS44;Yes又は図8のステップS31;Yes)、割込みを禁止する(ステップS45)。これにより特図ゲーム処理などのタイマ割込み処理がなされなくなる。このタイミングでウォッチドッグタイマ(WDT)を起動する(ステップS451)。ウォッチドッグタイマ(WDT)は、図4に示すアミューズチップ600の内部バスに接続された周辺回路の一つであるリセット割込制御回路610内に設けられた回路であって、所定のリセットタイマにより計時を開始し、該リセットタイマがタイムアップしたことに基づいて遊技用マイクロコンピュータにリセット信号を出力する第2リセット信号出力手段に該当する。【0199】図3を参照しつつ前述したように、遊技制御装置100及び払出制御装置210には、それぞれ基板上の回路であってアミューズチップの外付け回路としてリセット回路109、219がそれぞれ設けられており、このリセット回路が電源供給装置から供給される供給電圧の監視を行い、電源供給装置から供給される供給電圧が、前記停電検出信号の検出電圧よりも低い所定電圧まで低下した場合に、リセット信号を遊技用マイクロコンピュータに出力する第1リセット信号出力手段に該当する。【0200】本実施例にあっては、この第1リセット信号出力手段がリセット信号を出力しない場合であっても、確実にリセットを行うために、電源断処理の割込禁止(ステップS45)の次のタイミングでWDTを起動するものである。このウォッチドッグタイマ(WDT)が計時する時間の長さは、ステップS46からステップS52までの電源断処理の残りのステップを確実に実行する時間であるので、比較的短い時間である。例えば、特図変動表示ゲームの変動表示を規定する変動時間値のうちから適当な長さの時間を選択して設定することができる。」
上記アの記載事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用例1には、電源断処理にウォッチドッグタイマ(WDT)を用いた態様の「発明3の実施例2」を中心に、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~mは、本件補正発明のA~Mに対応させて付与した。)。
「a 遊技機10であって(【0035】、【0053】)、b 遊技用マイクロコンピュータ600は、ブートプログラムを実行することで各周辺回路がその制御下に入った後、遊技プログラムを実行することで開始されるメイン処理において、割込み禁止処理(ステップS1)、割込みベクタ設定処理(ステップS2)、スタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込みモード設定処理(ステップS4)を順次行い、その後、割込みを許可し(ステップS41)、停電が発生していない場合に、初期値乱数更新処理と停電検出信号のチェック(S42~S44のループ処理)を繰り返し行い、初期値乱数更新処理(ステップS42)の前に割り込みを許可する(ステップS41)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると、そのタイマ割込み処理において遊技者にゲームを行なわせるための割込み処理を優先して実行するCPUコア601を有し(【0053】、【0091】~【0093】、【0111】、【0113】)、c 電源供給装置から供給される供給電圧を監視し、停電検出電圧にまで下がったときに停電検出信号を発生する停電検出回路169(【0115】、【0185】、【0201】)と、d 遊技制御装置100に設けられ、遊技用マイクロコンピュータ600に対してリセット信号を出力することで、制御システム全体をリセットさせるリセット回路109(第1リセット信号出力手段)(【0036】、【0199】)と、続きを表示(全19行)第1リセット信号出力手段がリセット信号を出力しない場合であっても確実にリセットを行うために、リセット割込制御回路610内に設けられた回路であって、所定のリセットタイマにより計時を開始し、該リセットタイマがタイムアップしたことに基づいて遊技用マイクロコンピュータにリセット信号を出力することで、強制的にシステムリセットをかけるウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット信号出力手段)(【0195】、【0198】、【0200】)と、を備え、e CPUコア601は、遊技用マイクロコンピュータ600のシステムリセット時にブートプログラムを立ち上げて、所定の簡易チェックを行い(【0063】、【0188】)、f ウォッチドッグタイマ(WDT)は、リセット割込制御回路610内に設けられた回路であって、電源断処理の割込禁止(ステップS45)の次のタイミングで起動されることにより計時を開始し、ステップS46からステップS52までの電源断処理の残りのステップを確実に実行する時間の長さを計時し、タイマがタイムアップしたことに基づいて遊技用マイクロコンピュータ600にリセット信号を出力し(【0198】、【0200】)、g、k CPUコア601は、停電が発生したことを示す停電フラグをメモリに保存して電源断まで待機する、メイン処理の電源断処理(ステップS45~S52)において、停電が発生したと判定されると(ステップS44;Yes)、割込みを禁止し(ステップS45)、割込禁止(ステップS45)の次のタイミングでWDTを起動し(【0091】~【0092】、【0115】、【0187】、【0197】~【0198】、【0200】)、h CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600(【0053】)は、i~j メイン処理において、電源供給装置から供給される供給電圧が停電検出電圧にまで下がって、停電検出回路169より発生される停電検出信号を実行開始条件として実行される電源断処理として、順次行われる、発射停止を設定する処理(ステップS46)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS47)、停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS48)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS49)処理、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS50)、チェックサムをセーブする処理(ステップS51)、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)と、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ処理とを含む(【0115】、【0185】、【0201】)、m 遊技機10。」
(3)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された、本願の優先権主張の日前である平成25年2月7日に頒布された刊行物である特開2013-27437号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア 記載事項
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(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」
(イ)「【0085】<主制御部の基本回路の構成例>次に、図6を用いて、主制御部300の基本回路302の構成例について説明する。同図は、マイクロプロセッサ3000を用いた場合の基本回路302の一構成例を示す図である。【0086】図6に示すマイクロプロセッサ3000には、本発明にいう電気的制御手段の一例に相当し、図4に示す基本回路302の機能と、図4に示す乱数生成回路318の機能を有するものである。なお、図6では、図4に示す構成に対応する部分を、図4で用いた符号と同じ符号を付して説明する。【0087】図6に示すマイクロプロセッサ3000には、CPU304、ROM(内蔵ROM)306、RAM(内蔵RAM)308、外部バス制御回路3101、パラレル入力ポート3102、アドレスデコード回路3103、タイマ回路311、カウンタ回路312、リセット制御回路314に加え、割込み制御回路3100、クロック回路3200、乱数生成回路318が備えられており、これら全てが内部バス3300を介して互いに接続されている。内蔵ROM306は、記憶部の一例に相当する。」
(ウ)「【0096】また、リセット制御回路314は、ウォッチドッグタイマ(WDT)3141(復帰指示手段の一例に相当)、および指定エリア外走行禁止回路3142を備えている。WDT3141がタイムアウトになった場合や、CPU304が所定の範囲以外のアドレスを参照(指定エリア外走行)した場合には、リセット制御回路314は、マイクロプロセッサ3000の内部の回路に対してシステムリセット信号およびユーザリセット信号のいずれかを出力する。なお、システムリセット信号およびユーザリセット信号のどちらを出力するかは、ROM306内のプログラム管理エリア(詳細は後述)の設定に従う。また、マイクロプロセッサ3000の外部にある周辺制御回路に対しては、リセット出力端子(XRSTO端子)からリセット信号が出力される。【0097】マイクロプロセッサ3000では、設定によって上記のシステムリセットか、あるいはユーザリセットと称する処理のいずれかを実行させることができる。なお、ユーザリセットでは、各回路が必要に応じて初期化される。このユーザリセットについては後述する。」
(エ)「【0105】<リセット処理>次に、図8を用いて、システムリセットの流れについて説明する。同図は、システムリセットの流れを示す図である。【0106】続きを表示(全12行)上述したように、システムリセット信号がリセット制御回路314のXSRST端子から入力されると、システムリセットと称する処理が実行される。・・・【0108】システムリセット信号がリセット制御回路314に入力されると、リセット制御回路314からシステムリセット信号がマイクロプロセッサ3000内の回路に送信される。このことにより、CPU304は、後述する主制御メイン処理や主制御部タイマ割込み処理といった遊技に関する遊技処理の実行を中止し、CPU304を含む全ての内部回路が初期化され、セキュリティモードに移行し、その後ユーザモードに移行する。図8に示す動作モードには、システムリセット信号の後にセキュリティモードに移行し、その後ユーザモードに移行することが示されている。なお、この際、リセット制御回路314のXRSTO端子からはLレベルの信号が出力される。【0109】ここで、ユーザモードとは、ROM306に記憶されたプログラムに従ってCPU304が処理を実行するモードである。より具体的には、メモリマップの0000H番地から命令が読み出され処理が開始される。一方、セキュリティモードとは、ユーザモードに移行する前のモードであり、ユーザモードにおいてROM306に記憶されたプログラムに従ってCPU304を正常に動作させるためのセキュリティチェック処理が行われるモードである。【0110】セキュリティチェック処理では、ROM306のチェックや、内蔵レジスタのチェック等が実行される。なお、ここで異常がある場合、CPU304の動作は停止される。」
(オ)「【0125】一方、ステップSH01で、ユーザリセット動作を実行する場合に進むステップSH11では、第2内部回路初期化処理が実行される。この第2内部回路初期化処理は、CPU304のコアや、乱数生成回路318を制御するレジスタを除く内蔵レジスタ(タイマ回路311、カウンタ回路312、パラレル入力ポート3102、RAM308アクセスプロテクトレジスタ、割込み制御回路3100)の値を初期化する。すなわち、この第2内部回路初期化処理では、乱数生成回路318を制御するレジスタの値はリセット前の状態が維持される。この第2内部回路初期化処理が終了すると、ユーザモードに移行し、CPU304は、メモリマップの0000H番地から処理を開始する。本実施形態では、主制御部300のメイン処理が開始されることになる。」
(カ)「【0547】図47に示す第3内部情報レジスタの1ビット目は、WDT3141がタイムアウトした場合に、ユーザリセット動作を行わせるか、あるいはシステムリセット動作を行わせるかを設定するためのビットである。ユーザリセット動作を行わせる場合には「0」を設定し、システムリセット動作を行わせる場合には「1」を設定する。」
イ 認定事項
(ア) 【図9】リセットの流れを示すフローチャートである。
【図9】には、システムリセット処理では、セキュリティチェック処理が実行されるが、ユーザリセット処理では、セキュリティチェック処理が実行されないことが図示されている。
上記アの記載事項、上記イの認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用例2には、次の技術事項(以下「引用例2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「マイクロプロセッサ3000を備え(【0085】)、マイクロプロセッサ3000は、ウォッチドッグタイマ(WDT)3141を有するリセット制御回路314を備え(【0087】、【0096】)、マイクロプロセッサ3000は、設定によってシステムリセット処理か、あるいはユーザリセット処理のいずれかを実行させることができ(【0097】)、システムリセット処理では、システムリセット信号がリセット制御回路314のXSRST端子から入力されると、セキュリティモードに移行してROM306のチェック等を行う、セキュリティチェック処理が実行され(【0106】、【0108】~【0109】)、ユーザリセット処理では、内部回路初期化処理が実行されるが、セキュリティチェック処理は実行されず(【0125】、【図9】)、WDT3141がタイムアウトした場合に、ユーザリセット動作を行わせる場合には「0」を設定し、システムリセット動作を行わせる場合には「1」を設定する(【0547】)遊技台(【0001】)。」
(4)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明における「遊技機10」は、遊技を行うことは明らかであるから、本件補正発明における「所定の遊技を行う遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成aの「遊技機10」は、本件補正発明における構成Aの「所定の遊技を行う遊技機」に相当する。
(b)
引用発明における「ブートプログラムを実行することで各周辺回路がその制御下に入」れる処理と、「遊技プログラムを実行することで開始されるメイン処理」における「割込み禁止処理(ステップS1)、割込みベクタ設定処理(ステップS2)、スタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込みモード設定処理(ステップS4)」及び「停電が発生していない場合」の「初期値乱数更新処理と停電検出信号のチェック(S42~S44のループ処理)」とは、本件補正発明における「制御プログラムに従って」「実行」される「所定の初期設定処理」に相当する。
そして、引用発明における「遊技プログラムを実行することで開始されるメイン処理において」「初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると」「優先して実行」される「そのタイマ割込み処理において遊技者にゲームを行なわせるための割込み処理」は、本件補正発明における「制御プログラムに従って」「実行」される「遊技の進行を制御する遊技制御処理」に相当する。
したがって、引用発明における構成bの「ブートプログラムを実行することで各周辺回路がその制御下に入った後、遊技プログラムを実行することで開始されるメイン処理において、割込み禁止処理(ステップS1)、割込みベクタ設定処理(ステップS2)、スタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込みモード設定処理(ステップS4)を順次行い、その後、割込みを許可し(ステップS41)、停電が発生していない場合に、初期値乱数更新処理と停電検出信号のチェック(S42~S44のループ処理)を繰り返し行い、初期値乱数更新処理(ステップS42)の前に割り込みを許可する(ステップS41)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると、そのタイマ割込み処理において遊技者にゲームを行なわせるための割込み処理を優先して実行するCPUコア601を有」する「遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における構成Bの「制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
(c)
引用発明における「電源供給装置から供給される供給電圧を監視」することは、本件補正発明における「遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視」することに相当する。
そして、引用発明における「停電検出電圧にまで下がったとき」は、本件補正発明における「遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立した」ときに相当する。
また、引用発明における「停電検出信号を発生する」ことは、本件補正発明における「検出信号を出力する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成cの「電源供給装置から供給される供給電圧を監視し、停電検出電圧にまで下がったときに停電検出信号を発生する停電検出回路169」は、本件補正発明における構成Cの「遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段」に相当する。
(d)
引用発明における構成dの「制御システム全体をリセットさせるリセット回路109(第1リセット信号出力手段)」、及び、「システムリセットをかける」「ウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット信号出力手段)」は、本件補正発明における構成Dの「遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段」に相当する。
(e)
引用発明は、構成dを備えることから、「遊技用マイクロコンピュータ600のシステムリセット」は、「リセット回路109(第1リセット信号出力手段)」、又は、「ウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット信号出力手段)」により「リセット信号」が「出力」されることを契機に行われるものである。
そして、引用発明における「ブートプログラムを立ち上げて、所定の簡易チェックを行」うことは、本件補正発明における「セキュリティチェックを実行させる」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成eの「遊技用マイクロコンピュータ600のシステムリセット時にブートプログラムを立ち上げて、所定の簡易チェックを行」う「CPUコア601」と、本件補正発明における構成Eの「リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段」とは、「リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行可能な手段」を備えることで共通する。
(f)
上記(d)より、引用発明における「ウォッチドッグタイマ(WDT)」は、本件補正発明における「リセット手段」に相当する。
そして、引用発明における「ステップS46からステップS52までの電源断処理の残りのステップを確実に実行する時間の長さを計時」することは、本件補正発明における「予め定められた監視時間を計測」することに相当する。
また、引用発明における「タイマがタイムアップしたことに基づ」くことは、本件補正発明における「該監視時間が経過したことが計測されたとき」に相当する。
また、引用発明において「遊技用マイクロコンピュータ600にリセット信号を出力」することは、構成dによると、「システムリセットをかける」ことであるから、本件補正発明における「遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする」ことに相当する。
したがって、引用発明において、「リセット信号出力手段」としてのリセット回路109(第1リセット信号出力手段)と、ウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット信号出力手段)のうち、構成fの「リセット割込制御回路610内に設けられた回路であって、電源断処理の割込禁止(ステップS45)の次のタイミングで起動されることにより計時を開始し、ステップS46からステップS52までの電源断処理の残りのステップを確実に実行する時間の長さを計時し、タイマがタイムアップしたことに基づいて遊技用マイクロコンピュータ600にリセット信号を出力」する「ウォッチドッグタイマ(WDT)」は、本件補正発明における構成Fの「リセット手段」に含まれる「予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段」に相当する。
(g)
上記(f)より、引用発明における「ウォッチドッグタイマ(WDT)」は、本件補正発明における「経過時リセット手段」に相当する。
ここで、本件補正発明の構成Gの「経過時リセット手段の動作」に関して、本願明細書には、【0135】に「また、WDT制御回路533は、図7(B)に示すような遊技制御用マイクロコンピュータ100が備える内蔵レジスタのうち、WDTスタートレジスタWST(アドレスFE23H)に所定のWDT起動制御コードが設定されることにより、ユーザプログラムの実行によるソフトウェアで、ウォッチドッグタイマ520を起動してリセット動作を有効化すること、またはウォッチドッグタイマ520を停止してリセット動作を無効化することを、切替可能に制御する。」と記載され、【0136】に「図13(A)および(B)に示す例において、WDTスタートレジスタWSTに「CCH」がCPU505によって書き込まれたときに、ウォッチドッグタイマ520を起動してタイムアウト時間の経過によるリセット動作を有効化する。一方、WDTスタートレジスタWSTに「33H」がCPU505によって書き込まれたときには、ウォッチドッグタイマ520を停止してタイムアウト時間の経過によるリセット動作を無効化する。このように、WDT起動制御コードとなる「CCH」の値を示すデータがWDTスタートレジスタWSTに書き込まれることにより、ウォッチドッグタイマ520が起動する。一方、WDT停止制御コードとなる「33H」の値を示すデータがWDTスタートレジスタWSTに書き込まれることにより、ウォッチドッグタイマ520が停止する。」と記載されている。
これらの記載からみて、本件補正発明の構成Gの「経過時リセット手段の動作を有効化」するとは、ウォッチドッグタイマ520を起動することであり、同様に、「経過時リセット手段の動作を」「無効化する」とは、ウォッチドッグタイマ520を停止することである。また、本件補正発明の構成Gの「有効化」「する設定を行う」ことは、WDT起動制御コードの値をWDTスタートレジスタWSTに書き込むことであり、同様に、「無効化する設定を行う」ことは、WDT停止制御コードの値をWDTスタートレジスタWSTに書き込むことである。
そうすると、引用発明における「停電が発生したと判定されると」、「WDTを起動」することは、本件補正発明における「経過時リセット手段の動作を有効化」することに相当する。
また、引用発明は、「停電が発生したことを示す停電フラグをメモリに保存」することで、「WDTを起動」するものであるから、引用発明における「停電が発生したことを示す停電フラグをメモリに保存」することは、本件補正発明における「経過時リセット手段の動作を有効化」「する設定を行う」ことに相当する。
そして、引用発明の構成g、kより、引用発明の「停電フラグ」は、「電源断処理(ステップS45~S52)」の実行中に設定されるものであるから、「電源断処理(ステップS45~S52)」の実行中でない期間に設定されないものである。そうすると、引用発明において、「電源断処理(ステップS45~S52)」の実行中でない期間は、「停電フラグ」が設定されず、かつ、「WDT」も「起動」されないことになる。したがって、引用発明において、「電源断処理(ステップS45~S52)」の実行中でなく、かつ、「停電フラグ」が設定されないことは、本件補正発明における「経過時リセット手段の動作を」「無効化する設定を行う」ことに相当する。
よって、引用発明における「停電が発生したことを示す停電フラグをメモリに保存して電源断まで待機する、メイン処理の電源断処理(ステップS45~S52)において、停電が発生したと判定されると(ステップS44;Yes)、割込みを禁止し(ステップS45)、割込禁止(ステップS45)の次のタイミングでWDTを起動」する「CPUコア601」は、本件補正発明における「経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段」としての機能を有するものである。
(h~i)
上記(b)より、引用発明における「CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における「遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
そして、上記(c)より引用発明における「停電検出回路169」は、本件補正発明における「電源監視手段」に相当することから、引用発明における「停電検出回路169より発生される停電検出信号」は、本件補正発明における「電源監視手段からの検出信号」に相当する。
また、引用発明における「発射停止を設定する処理(ステップS46)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS47)、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS48)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS49)処理、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS50)、チェックサムをセーブする処理(ステップS51)、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)」は、本件補正発明における「電力供給停止時処理」に相当する。
したがって、引用発明における構成h、i~jの「メイン処理において、電源供給装置から供給される供給電圧が停電検出電圧にまで下がって、停電検出回路169より発生される停電検出信号を実行開始条件として」、「順次行われる」、「発射停止を設定する処理(ステップS46)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS47)、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS48)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS49)処理、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS50)、チェックサムをセーブする処理(ステップS51)、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)」を含む「電源断処理」を実行する「CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における構成H~Iの「電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段」を含む「遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
(h、j)
引用発明における「RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS52)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ処理」は、ステップS46~ステップS52までの各処理の実行後の処理であるから、本件補正発明における「電力供給停止時処理を実行した後に遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる」処理に相当する。
したがって、引用発明における構成h、i~jの「メイン処理において、電源供給装置から供給される供給電圧が停電検出電圧にまで下がって、停電検出回路169より発生される停電検出信号を実行開始条件として」、「遊技機の電源が遮断されるのを待つ処理」を含む「電源断処理」を「実行」する「CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における構成H、Jの「少なくとも電力供給停止時処理を実行した後に遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段」を含む「遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
(k)
上記(h~i)より、引用発明における「メイン処理」の「電源断処理」を実行する「CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における「電力供給停止時処理手段」を含む「遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
そして、上記(g)より、引用発明における「WDTを起動」することは、本件補正発明における「経過時リセット手段の動作を有効化」「する設定を行う」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成g、kの「メイン処理の電源断処理(ステップS45-S52)において、停電が発生したと判定されると(ステップS44;Yes)、割込みを禁止し(ステップS45)、割込禁止(ステップS45)の次のタイミングでWDTを起動」する「CPUコア601を有する遊技用マイクロコンピュータ600」は、本件補正発明における構成Kの「電力供給停止時処理の実行に伴いリセット設定手段により経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段」を含む「遊技制御用マイクロコンピュータ」に相当する。
上記(a)~(k)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、B 制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータと、C 遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段と、D 前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、続きを表示(全12行)E’前記リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行可能な手段と、を備え、F 前記リセット手段は、予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段を含み、G 前記経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段を備え、H 前記遊技制御用マイクロコンピュータは、I 前記電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段と、J 少なくとも前記電力供給停止時処理を実行した後に前記遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段と、K 前記電力供給停止時処理の実行に伴い前記リセット設定手段により前記経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段と、を含む、M 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1](構成E)
リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行可能な手段に関し、本件補正発明は、セキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段であるのに対して、引用発明は、設定手段を備えるか否か不明である点。
[相違点2](構成L)
本件補正発明は、所定の記憶領域に値が異なる複数のデータを所定順序で書き込むことにより、経過時リセット手段により計測された監視時間を初期化させる計測初期化手段を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。
(5)当審判合議体の判断
ア 相違点1について
引用発明は、構成dより、リセット回路109(第1リセット信号出力手段)、又は、ウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット出力手段)からリセット信号が出力されることに基づいて、システムリセットを行うものである。
また、引用発明は、構成eにより、「遊技用マイクロコンピュータ600のシステムリセット時にブートプログラムを立ち上げて」、セキュリティチェックを行うものである。
一方、引用例2に記載された技術事項の「ユーザリセット動作を行わせる場合には「0」を設定し、システムリセット動作を行わせる場合には「1」を設定する」ことは、「1」が設定された場合、「システムリセット処理」により、「セキュリティチェック処理が実行され」、「0」が設定された場合、「ユーザリセット処理」により、「セキュリティチェック処理は実行され」ないことから、引用例2に記載された技術事項において、「1」、「0」を設定することで、セキュリティチェック処理の実行の有無を設定しているといえる。
そうすると、引用例2に記載された技術事項の「ユーザリセット動作を行わせる場合には「0」を設定し、システムリセット動作を行わせる場合には「1」を設定する」構成は、本件補正発明における構成Eの「リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段」に相当する。
そして、引用発明と引用例2に記載された技術事項とは、複数種類のリセット手段を備えることで共通する。
また、引用発明は、システムリセット時にブートプログラムを立ち上げてセキュリティチェックを実行するものであるが、システムリセット時にセキュリティチェックを行うか否かは、人為的な不正の行われる程度や、ハード面での異常の発生する程度等を考慮して、リセットの種類と行われるタイミングに応じて、当業者が適宜決定し得る事項である。
これらのことからみて、引用発明における2種類のシステムリセット手段である、リセット回路109(第1リセット信号出力手段)とウォッチドッグタイマ(WDT)(第2リセット信号出力手段)に、引用例2に記載された技術事項を適用して、セキュリティチェックを実行するか否かを「1」又は「0」を書き込むことによって設定し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
イ 相違点2について
遊技機の技術分野において、ノイズ等により誤って計測時間が初期化されてしまうことを防止するために、値の異なる複数のデータを所定順序で書き込まなければリセット手段が計測した時間を初期化しないようにすることは、本願の優先権主張の日前に周知の技術事項である(例えば、特開2009-142304号公報の【0003】に「ウォッチドッグタイマとは、起動後または、その初期化が行われた後の経過時間を計測し、計測時間が所定の基準時間を超えるとCPUをリセットするタイマである。」と記載され、【0072】に「本実施例では、このように同じ設定データが2回書き込まれた時にウォッチドッグタイマを設定・起動できる構成とすることにより、ノイズ等の影響で異常な設定がなされることを回避できる。
上述の例では、同じ設定データを2回繰り返して設定する方法をとったが、2回にわたってコントロールレジスタ156に入力するデータは、相互に関連があり、参照することによって、設定データの正誤を判断できるデータであればよい。例えば、1回目のデータのビットを反転させたデータ(FFHとの排他的論理和)を2回目のデータに用いる方法などが考えられる。」と記載され、
特開2003-102939号公報の【0117】に「ウオッチドッグタイマの設定では、WDTモードレジスタに所定の値(例えば87H)を設定することで、設定したタイムアウト時間内にリスタート出来ない場合に、ユーザーリセットが発生するようにする。このユーザーリセットが発生すると、処理が0000Hに移行する。つまり、図9の電源投入処理が起動される。」と記載され、【0140】に「リスタートでは、WDTクリアレジスタに例えば、「55H」「AAH」「33H」の順にコントロールワードが書き込まれて、ウオッチドッグタイマがクリアされ、リスタートされます。」と記載され、
特開2007-190095号公報の【0248】に「ウォッチドッグタイマ60は、内蔵されているWDTクリアレジスタ(WCL)62に所定のデータが設定されることにより、ウォッチドッグタイマ60のカウントクリアおよびリスタートを実行する。具体的には、WDTクリアレジスタ62に「$55」がCPU56によって書き込まれ、次いで「$AA」がCPU56によって書き込まれ、次いで「$33」がCPU56によって書き込まれる。「$33」が書き込まれた後にWDT制御回路63がクリアおよびリスタートを実行する。」と記載され、
特開2007-244666号公報の【0112】に「ステップS50に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリアされる。」と記載され、
特開2007-215953号公報の【0148】に「ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリアされる。」と記載されている(以下「周知の技術事項」という。))。
そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、ウォッチドックタイマを用いたリセット手段を備えた遊技機である点で共通する。
また、遊技機の技術分野において、ノイズ等による遊技機の誤動作を防止することは、当業者における自明の課題である。
したがって、引用発明におけるウォッチドッグタイマ(WDT)に上記周知の技術事項を適用して、値の異なる複数のデータを所定順序で書き込むことによってリセット手段が計測した時間を初期化するようにして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
ウ 請求人の主張について
請求人は、令和1年5月30日付け審判請求書において、
「(3-4)本願発明と引用例との対比・・・したがいまして、引用文献1-3は、いずれも上記特徴Eを開示及び示唆するものではありません。また、本願発明は、特徴Eを有することにより、電力供給が瞬停するときにノイズ等が発生したとしても誤って監視時間が初期化されることが防止され、遊技機を適切に復旧させることができるという効果が期待されます。以上のことから、引用文献1-3を組み合わせても本願発明の特徴Eを容易に想到できるものではなく、特徴Eを有する本願発明は、進歩性を有するものであると思料いたします。」と主張する。
そこで、請求人の上記主張について検討する。
まず、請求人の上記主張における本願発明の「特徴E」は、本件補正発明の構成Lに対応するものである。
そうすると、上記「イ 相違点2について」において検討したように、「特徴E」は、本件の優先権主張の日前に周知の技術事項であって、上記相違点2に係る構成(構成L)は、引用発明に上記周知の技術事項を適用することにより得られる構成である。
そして、請求人が主張する「電力供給が瞬停するときにノイズ等が発生したとしても誤って監視時間が初期化されることが防止され」るという効果についてみても、上記周知技術により奏される作用効果から導かれるものであって、格別なものではない。
したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。
エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用例2に記載された技術事項、及び、上記周知の技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術事項、及び、上記周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(6)まとめ
上記(1)~(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、平成30年2月9日付け手続補正書の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、B 制御プログラムに従って所定の初期設定処理を実行した後、遊技の進行を制御する遊技制御処理を実行する遊技制御用マイクロコンピュータと、C 遊技機で用いられる所定の電源の状態を監視して、遊技機への電力の供給停止にかかわる検出条件が成立したことに基づいて検出信号を出力する電源監視手段と、D 前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、続きを表示(全12行)E 前記リセット手段によるリセットが発生したときにセキュリティチェックを実行させるかを設定する設定手段と、を備え、F 前記リセット手段は、予め定められた監視時間を計測して、該監視時間が経過したことが計測されたときに、前記遊技制御用マイクロコンピュータをリセットする経過時リセット手段を含み、G 前記経過時リセット手段の動作を有効化または無効化する設定を行うリセット設定手段を備え、H 前記遊技制御用マイクロコンピュータは、I 前記電源監視手段からの検出信号に応じて電力供給停止時処理を実行する電力供給停止時処理手段と、J 少なくとも前記電力供給停止時処理を実行した後に前記遊技制御処理を実行しない待機状態に移行させる待機状態移行手段と、K 前記電力供給停止時処理の実行に伴い前記リセット設定手段により前記経過時リセット手段の動作を有効化する電断時制御手段を含む、M ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1、3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2012-245039号公報
3.特開2013-27437号公報
3 引用例に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された引用例1の記載事項、引用発明の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(2)引用例1」に記載したとおりであり、また、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された引用例2の記載事項、引用例2に記載された技術事項の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(3)引用例2」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由] 2 2-2(1)」で検討した本件補正発明から、構成Lの限定を省略したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、前記「第2[理由] 2 2-2(4)対比」における認定と同様に、[相違点1](構成E)において相違し、その余の点において一致する。
そして、相違点1についての判断は、前記「第2[理由] 2 2-2(5)当審判合議体の判断 ア 相違点1について」において検討したとおりである。
したがって、本願発明は、引用発明、及び、引用例2に記載された技術事項に基いて当業者が容易になし得たものである。
5 むすび
上記1~4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-007056