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特許拒絶査定不服審判

2019-006586

GPSに基づき学習される制御イベントの予測

審判番号
2019-006586
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-527216外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年05月21日
審決日
2020年01月20日
公報発行日
2020年07月31日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B60W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

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特願2017-527216「GPSに基づき学習される制御イベントの予測」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月26日国際公開、WO2016/081331、平成30年2月15日国内公表、特表2018-504303〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)11月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年11月19日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成30年7月26日付け(発送日:平成30年7月30日)で拒絶理由が通知され、平成30年10月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成31年1月23日付け(発送日:平成31年2月4日)で拒絶査定がされ、これに対して令和元年5月21日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成30年10月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 既知の経路を定期的に走行する車両のためにイベントを識別および予測する方法であって、 前記既知の経路沿いの前記車両の特定のロケーションを、グローバルポジショニング信号に基づき特定するステップと、 前記既知の経路沿いのイベントを、前記車両に設けられたセンサによって検出するステップと、 前記グローバルポジショニング信号に基づき特定された前記車両の特定のロケーションに関するイベントを、整合突合せおよび記憶するステップと、 同じ特定のロケーションで同じイベントが繰り返し検出されたことに基づき、特定のイベントロケーションを学習するステップと、 前記特定のイベントロケーションに関するイベントに基づき、前記車両のために予測アクションを決定および記憶するステップと、 前記車両が、前記イベントロケーションから所定の時間および予め定められた距離のうち少なくとも一方のところにあるときに、制御信号を供給して前記予測アクションの実行を開始するステップと、 を含み、 前記イベントロケーションは、ルックアップ仮想テーブルに記憶され、前記ルックアップ仮想テーブルには、前記イベントロケーションが緯度及び経度として記憶され、さらに当該イベントロケーションに対する標高が記憶されている、方法。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1ないし5及び7ないし20に対して:引用文献等1及び2 ・請求項6に対して:引用文献等1ないし3 引用文献等一覧 1.特開2009-29343号公報 2.特開2008-51642号公報 3.特開2007-303842号公報 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-29343号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、下線は理解の一助とするために当審で付与したものである。以下同様。 (1)「【0005】 本発明の目的はドライバの運転操作性を損なうことなくドライバが危険な運転操作を行おうとした場合には適切な安全運転支援を行うことによりドライバの安全性を確保する安全運転支援方法、車載端末装置等を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、予防安全装置の作動/非作動または予防安全装置が作動するきっかけとなるセンサ値が予め設定された閾値を上回ったか否かを判断し、予防安全装置が作動した場合またはセンサ値が閾値を上回った場合には坂道、非舗装道路、カーブ、駐車場、交差点の何れかの組合せで表現される走行場所と絶対時間、降雪情報、降雨情報、外気温情報で表現される走行環境と車両速度で表現される車両状態を記憶し、車両が前記走行場所を前記走行環境下と前記車両状態で走行しようとした場合にはドライバへの警告通知あるいは車両減速制御を行う。 【0007】 すなわち、本発明においては、上記の目的を達成するため、車両の安全運転支援を行う搭載装置による安全運転支援方法であって、搭載装置は少なくとも制御部と記憶部とを有し、この制御部は、車両に搭載された予防安全装置が作動した時、或いは予防安全装置が作動しそうになった時の走行場所、走行環境、車両状態を記憶部に記憶させ、車両が再度、記憶された走行場所と同一の走行場所を、記憶された走行環境及び車両状態と同一の走行環境、車両状態で走行しようとした場合に安全運転支援を行う安全運転支援方法を提供する。」 (2)「【0015】 車載端末110はブレーキECU120が保持している車輪速センサ121のセンサ情報とヨーレートセンサ122のセンサ情報とブレーキ圧センサのセンサ情報とABS作動フラグとTCS作動フラグとVDC作動フラグを車載ネットワーク100を介して取得することができる。またプリクラッシュECU130からプリクラッシュ作動フラグを車載ネットワーク100を介して同様に取得することができる。また車載端末110はECM140から車載ネットワーク100を介して車両速度情報を取得することができる。車載端末110はGPS(Global Positioning System)111と接続されておりGPS111から絶対時間を収集することができる。また車載端末110は水滴センサ112と接続されており水滴センサ112から降雨情報を収集することができる。また車載端末110は降雪センサ113と接続されており降雪センサ113から降雪情報を収集することができる。また車載端末110は外気温センサ114と接続されており外気温センサ114から外気温を収集することができる。また車載端末110はカーナビゲーション装置115と接続されており、カーナビゲーション装置115から走行場所を取得することができる。 【0016】 車載端末110はブレーキECU120とプリクラッシュECUとECMからABS作動フラグ、TCS作動フラグ、VDC作動フラグ、プリクラッシュ作動フラグを確認しこれら各フラグがオンだった場合、またはスリップ率、ヨーレート、ブレーキ圧が予め設定された閾値を越えていた場合にはその時の環境情報として絶対時間と降雨情報と降雪情報と外気温情報を記憶し、またその時の走行場所として坂道か非舗装道路かカーブか駐車場か交差点か或いはこれら何れかの組合せを記憶し、またその時の車両状態として車両速度情報を記憶する。車載端末110は走行場所と走行環境と車両状態を常時収集しており、これら各々の情報が記憶した走行場所と環境情報と車両状態に一致する場合にブレーキECU120に減速制御を指示するデータを車載ネットワーク100を介して送信する。或いはカーナビゲーション装置115を介してドライバに警告を発する。 【0017】 尚、図1では車両に搭載される装置としての車載端末110はカーナビゲーション装置と別体として図示しているが車載端末110はカーナビゲーション装置115そのものであってもよい。よって、車載端末装置とは、カーナビゲーション装置をも含む装置の総称と言える。この場合、GPS111はカーナビゲーション装置115に付属のものでよい。また水滴センサ112、降雪センサ113、外気温センサ114はカーナビゲーション装置115に直接接続されてもよい。またこれら各センサがBCM(Body Control Management)に接続されている場合には(図示せず)、車載ネットワーク100を介してセンサ情報を取得してもよい。」 (3)「【0020】 予防安全装置作動状態判断部205は、車両情報収集部201が収集したABS作動フラグ、TCS作動フラグ、車輪速センサ情報、車両速度、VDC作動フラグ、ヨーレートセンサ情報、プリクラッシュ作動フラグ、ブレーキ圧センサに基づいてABSまたはTCSまたはVDCまたはプリクラッシュシートベルト(以上を総称して予防安全装置と記す)が作動したか否か、或いは各センサ情報が予め設定された閾値を超えたか否かを判断する。予防安全装置が作動したと判断した場合、或いは各センサ情報が予め設定された閾値を越えたと判断した場合には予防安全装置の作動を予防安全装置作動条件記憶部206に通知する。 【0021】 走行環境収集部202は、GPS111、水滴センサ112、降雪センサ113、外気温センサ114から車両の走行環境に関係する情報を収集する。これは予防安全装置が作動した時の走行環境をより詳細に記憶しておくためである。水滴センサ112からは降雨情報を判断するが、例えばワイパーのオン/オフ情報で代用してもよい。またカーナビゲーション装置115が携帯通信を利用して天候情報を保持しているのであればその情報を用いてもよい。走行場所収集部203はカーナビゲーション装置115から走行場所を収集する。走行場所は例えば坂道、非舗装道路、カーブ、駐車場、交差点或いはこれらの組合せによって表現される。 【0022】 予防安全装置作動条件記憶部206は、予防安全装置作動状態判断部205から予防安全装置の作動を通知されたタイミングで走行場所収集部203が収集した走行場所と走行環境収集部202が収集した走行環境と予防安全装置作動状態判断部205が作動と判断した予防安全装置の種別と車両状態収集部204が収集した車両状態を不揮発性記憶装置に記憶する。安全運転支援部207は走行環境収集部202が収集した走行環境が予防安全装置作動条件記憶部206が記憶している走行環境と一致し且つ走行場所収集部203が収集した走行場所が予防安全装置作動条件記憶部206が記憶している走行場所と一致し且つ車両状態収集部204が収集している車両状態が予防安全装置作動条件記憶部206が記憶している車両状態と一致している場合にブレーキECU120への減速制御またはカーナビゲーション装置115が有する表示部(図示せず)への警告表示を行う。」 (4)「【0025】 「図4は本実施例において車載端末110が予防安全装置作動条件を不揮発性記憶装置に記憶するまでの処理フローの一例を示す図である。予防安全装置作動状態判断部205は予防安全装置が作動したか否かを車両情報収集部201が収集したABS作動フラグ、TCS作動フラグ、VDC作動フラグ、プリクラッシュ作動フラグなどの、予防安全装置の作動情報から判断する(ステップ401)。 【0026】 これら何れの作動フラグもオフの場合、次にスリップ率、ヨーレート、ブレーキ圧が予め設定された閾値より大きいか否かを判断する。図4はABSの作動状態判断例であり、この例では(車両速度-車輪速)/車両速度で求められるスリップ率が例えば10%を越えているか否かを判断している(ステップ402)。ABSの場合、スリップ率が20%を超えると不安定領域に突入しスリップが発生しやすくなることが分かっている(ボッシュ自動車ハンドブック 日本語第2版 山海堂)。しかし実際にはスリップ率が20%を越えてABSが作動する事は稀である。そこで、スリップ率が安定領域にあっても不安定領域に突入する迄の段階で閾値を設定しておくことによりABSが作動しなくてもスリップが発生しそうか否かを判断する。 【0027】 ステップ401でYESの場合、或いはステップ402でYESの場合には予防安全装置作動条件記憶部206が、走行場所収集部203が収集した坂道、非舗装道路、カーブ、駐車場、交差点の何れかの組合せによって表現される走行場所を取得し(ステップ403)、走行環境収集部202が収集した絶対時間、降雪情報、降雨情報を取得し(ステップ404)、車両状態収集部204が収集した車両速度を取得し(ステップ405)、不揮発性記憶装置に予防安全装置作動条件テーブルとして記憶する(ステップ406)。」 (5)「【0035】 図7は、本実施例の図2に示した安全運転支援部207が予防安全装置作動条件テーブル500に基づいて安全運転支援を実行するまでの処理フローである。安全運転支援部207は走行環境収集部202が収集した走行環境情報と予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行環境とを比較し条件が一致するか否かを判断する(ステップ701)。どの条件も一致しない場合には処理を終了する。 【0036】 条件が一致する場合には走行場所収集部203が収集する走行場所と予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行場所とを比較し条件が一致するか否かを判断する(ステップ702)。この時安全運転支援部207はカーナビゲーション装置115のルート案内に基づいて1km先までの走行場所に対して予防安全装置作動条件テーブル500と比較していくのが好ましい。これは条件が一致していた場合の安全運転支援処理に余裕をもたせるためである。走行場所収集部203が収集した走行場所が予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されてない場合には処理を終了する。 【0037】 次に車両状態収集部204が収集した車両状態と予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている車両状態とを比較し条件が一致するか否かを判断する(ステップ703)。条件が一致しない場合には処理を終了する。条件が一致する場合には記憶装置上に記憶された安全運転支援条件テーブルに基づいて処理を実行する(ステップ704)。 【0038】 図8は本実施例における安全運転支援条件テーブルの構成例である。安全運転支援条件テーブル800は装置種別801と処理内容802から構成される。 【0039】 図8において#1にはABSが作動した時の処理内容が記載されており車両減速処理を行うことによって安全運転支援を行うことがわかる。ABSは路面摩擦係数が低下している時の坂道等での頻繁なブレーキング操作により車輪速が車両速度より十分速く、スリップ率が上昇した結果作動することが考えられる。そこで例えば非舗装道路の坂道に進入する十分手前から車両を減速させることによって坂道を安全に走行可能な安全運転支援処理を行っていく。ここで車両減速処理は例えば車載端末110からブレーキECU120に対して車載ネットワークを介してブレーキ圧の増大といった処理を行うことで車両を減速させる。また図1には示されてないが、AT(Automatic Transmission)ECUに対してシフト位置をドライブポジションからセカンドポジションに変化させるといった処理を行うことで車両を減速させてもよい。 【0040】 #2にはTCSが作動した時の処理内容が記載されておりドライバへの警告指示を行うことにより安全運転支援を行う。TCSは停車から発進時の過程においてドライバの急加速操作が原因となって車輪が空転した結果作動することが考えられる。そこで例えばイグニッションオン時に「類似した環境下でTCSが作動したことがあります。アクセルペダルはゆっくり踏んで下さい」といった警告を音声でドライバに通知することで安全運転支援処理を行っていく。 【0041】 #3にはVDCが作動した時の処理内容が記載されており車両減速処理を行うことによって安全運転支援を行うことがわかる。VDCはカーブ手前で車両速度を十分に落とすことが出来ず、ヨーレートが増大した結果作動することが考えられる。そこで例えばカーブに進入する十分手前から車両を減速させることによってカーブを安全に走行可能な安全運転支援処理を行っていく。 【0042】 #4にはプリクラッシュシートベルトが作動した時の処理内容が記載されており車両減速処理を行うことによって安全運転支援を行うことがわかる。プリクラッシュシートベルトは交差点での車両衝突回避のためのドライバの急ブレーキ操作により、ブレーキ圧が増大した結果作動することが考えられる。そこで例えば交差点に進入する十分手前から車両を減速させることによって交差点を安全に走行可能な安全運転支援処理を行っていく。」 上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 〔引用発明〕 「安全運転支援方法であって、 車両の特定の走行場所を、カーナビゲーション装置115から取得し、 予防安全装置が作動した時、或いは前記予防安全装置が作動しそうになった時を、前記車両に設けられたセンサによって検出し、 前記予防安全装置が作動した時、或いは前記予防安全装置が作動しそうになった時の前記予防安全装置の種別と走行場所、走行環境、車両状態を、予防安全作動条件テーブルとして記憶し、 前記予防安全装置の種別に対応する処理内容が安全運転支援条件テーブルに記憶されており、 走行環境が予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行環境と一致し且つ1km先までの走行場所が前記予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行場所と一致し且つ車両状態が前記予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている車両状態と一致する場合に前記安全運転支援条件テーブルに基づいて前記処理内容を実行すること、 を含み、 前記走行場所は、坂道、非舗装道路、カーブ、駐車場、交差点或いはこれらの組合せによって表現され記憶されている、方法。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-51642号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (1)「【0005】 本発明は上記点に鑑み、ドライバーの危険行為を検出してその検出位置を記録し、自車両がその検出位置に近づいたときに警告を発する技術において、検出位置の記録および警告を行うための装置に対する負荷を軽減することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するための本発明の特徴は、車両に搭載される警告システムが、(A)安全基準を超える自車両の危険運転を検出し、その検出したことを示す検出信号を出力する検出装置と、(B)検出装置に接続されるインターフェース装置と、(C)インターフェース装置に接続され、自車両の現在位置を繰り返し特定し、検出装置が出力した検出信号を、インターフェース装置を介して取得し、検出信号を取得することに基づいて、危険運転のあったときの車両の危険位置情報を記録する取得装置と、を備え、取得装置は、特定した現在位置に、過去に記録した危険位置情報の示す位置が、近いことに基づいて、ユーザに警告することである。」 (2)「【0021】 以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る、警告システムの概略構成を、ブロック図で示す。この警告システムは、車両に搭載され、車両用ナビゲーション装置1、ドライブレコーダ2、加速度センサ(図中ではGセンサと記す)3、各種センサ4、および監視カメラ5を含む。 【0022】 車両用ナビゲーション装置1は、入力された目的地までの経路を案内する装置である。ドライブレコーダ2は、車両の危険な運転があったときに、その危険運転時における撮影画像等を記録する装置である。加速度センサ3は、自車両の前後、上下、および左右への加速度を定期的に(例えば10ミリ秒毎に)検出し、その都度検出した結果の信号をドライブレコーダ2に出力する装置である。各種センサ4は、ヨーレートセンサ、車速センサ等、車両の危険運転を検出するために補助的に用いられるセンサ群であり、ドライブレコーダ2に各種検出信号を出力する。監視カメラ5は、定期的に(例えば1秒または0.1秒毎に)車両の前方等の車両周囲を撮影し、その撮影結果の信号をドライブレコーダ2に出力する装置である。 【0023】 以下詳述する通り、車両用ナビゲーション装置1は、繰り返し定期的に自車位置を特定し、ドライブレコーダ2は、この自車位置の情報を繰り返し定期的に取得し、さらに、自車両の危険運転を検出したときに、取得した最新の自車位置情報を、危険地点データとして、車両用ナビゲーション装置1に出力する。そして車両用ナビゲーション装置1は、この危険地点データの示す位置に自車両が近づいたとき、ドライバーに対して警告を発する。 【0024】 図2に、車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を、ブロック図で示す。車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、インターフェース15、RAM16、ROM17、地図データ取得部18、および制御回路19を有している。 【0025】 位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。」 (3)「【0048】 ここで、図4に示すように、タイミング800およびその後の期間(例えば1秒間)において危険運転があった場合を考える。この場合、タイミング540におけるEスケジュール処理において、制御回路25は、危険運転の発生を検出し、タイミング530で取得した位置情報を含む危険地点データをインターフェース15に出力する(信号810参照)。 【0049】 またインターフェース15は、プログラム100の実行において、危険地点データを受信したと判定すると(ステップ110参照)、続いて、受信した危険地点データをRAM21の危険地点データ用の領域に記録する(ステップ130、信号820参照)。 【0050】 また、制御回路19は、タイミング410、425、440、465に実行されるBスケジュール処理のために、図7に示すプログラム300を実行する。そして、このプログラム300の実行において、まず、ドライブレコーダ2からの受信データを参照するため、RAM21の危険地点データ用の領域の内容を読み出す(ステップ310参照)。そして、その読み出した内容が、前回の内容と異なっているか否か(すなわち新しいか否か)によって、新たな危険地点データがあるか否かを判定する(ステップ320参照)。新たな危険地点がない場合は、その後Bスケジュール処理を終了する。 【0051】 図4のタイミング440においては、ステップ310で危険地点データ用の領域を読み出し(信号830参照)、その内容に基づいて、新たな危険地点データがあると判定し、その判定に基づいて、続いて、当該危険地点データ中の位置データ(以下、新規位置データという)と、地図データ取得部18のハードディスク中のすべての警告地点データ中の位置データ(以下、過去位置データという)とを比較し、新規位置データと同じ位置を示す過去位置データがあるか否かを判定する(ステップ330参照)。 【0052】 ここで、同じ位置であるか否かは、比較対象の2つの位置の間の距離間隔が、基準距離間隔(例えば10メートル)以内であるか否かに基づいて判定する。 【0053】 そして、新規位置データと同じ位置を示す過去位置データがない場合、当該新規位置データと、1回を示す回数データとを含む新たな警告地点データ(危険位置情報の一例に相当する)を、地図データ取得部18のハードディスクに記録し(ステップ340、信号840参照)、その後Bスケジュール処理を終了する。 【0054】 また、新規位置データと同じ位置を示す過去位置データがある場合、当該過去位置データと共に警告地点データに含まれる回数データの値を、1回分だけ増加させ(ステップ350、信号840参照)、その後Bスケジュール処理を終了する。 【0055】 以上のように、車両用ナビゲーション装置1は、繰り返し現在位置を特定して位置データとしてRAM21に記録し、ドライブレコーダ2はRAM21に記録された最新の位置データをインターフェース15を介して繰り返し取得する。そして、最新の位置データを取得した直後に、危険運転の有無を判定し、危険運転があれば、当該最新の位置データを危険地点データに含めて車両用ナビゲーション装置1に出力する。そして、車両用ナビゲーション装置1は、受信した危険地点データ中の位置を、その位置毎の受信回数と共に、警告データとして、長期保存可能な記憶媒体としてのハードディスクに記録する。 【0056】 また、制御回路19は、タイミング415、430、445、460に実行されるCスケジュール処理において、Aスケジュール処理によってRAM21に記録された最新の現在位置に基づいて、自車両が危険運転の恐れのある位置に近づいているか否かを判定し、近づいているときは、続いて、画像表示装置12およびスピーカ14に、安全運転を促す警告のための画像および音声を、それぞれ出力させる。また、自車両が危険運転のあった位置に近づいていないときは、その後Cスケジュール処理を終了する。 【0057】 ここで、危険運転の恐れのある位置とは、地図データ取得部18のハードディスク中の警告地点データのうち、回数データが警告基準回数以上となっているものが示す位置である。このような警告によって、ユーザの安全運転の意識が高まり、危険な運転の発生を未然に防ぐことができる。」 上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献2には次の事項が記載されている(以下「引用文献2記載事項」という。)。 〔引用文献2記載事項〕 「車両の位置をGPSにより特定し、危険運転の発生を検出し、危険運転が発生したと判定すると、その位置データを含む危険地点データを記録し、同じ位置で危険運転が基準回数以上発生した場合、その位置を危険運転の恐れのある位置とし、車両が危険運転の恐れのある位置に近づいたときにドライバーに対して警告を発すること。」 第5 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「予防安全装置が作動した時、或いは前記予防安全装置が作動しそうになった時」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明の「イベント」に相当し、同様に、「処理内容」は「予測アクション」に相当する。 そして、上記相当関係と技術的意義を踏まえると、引用発明における「安全運転支援方法」は「車両のためにイベントを識別および予測する方法」に相当し、同様に、「予防安全装置が作動した時、或いは前記予防安全装置が作動しそうになった時の前記予防安全装置の種別と走行場所、走行環境、車両状態を、予防安全作動条件テーブルとして記憶し」は「車両の特定のロケーションに関するイベントを、整合突合せおよび記憶するステップ」に相当する。 本願発明の「ロケーション」に関して、本願の明細書段落【0018】の「GPSモジュール30からグローバルポジショニング信号を受信し、既知の経路またはルートに沿って進行中の車両34に関するロケーション座標を特定する。」との記載を参酌すると、「ロケーション」は座標の形態で表現できるような「位置」の意味であると解される。 一方、引用発明の「走行場所」に関して、引用文献1の段落【0015】には「カーナビゲーション装置115から走行場所を取得することができる。」、段落【0016】には「またその時の走行場所として坂道か非舗装道路かカーブか駐車場か交差点か或いはこれら何れかの組合せを記憶し、」との記載があり、カーナビゲーション装置が、坂道か非舗装道路かカーブか駐車場か交差点かを認識するに当たり、先ず、座標の形態で表現できるような「位置」情報を取得し、地図情報を参照する等して、当該「位置」が、坂道か非舗装道路かカーブか駐車場か交差点かを認識することは技術常識であるから、引用発明における「車両の特定の走行場所を、カーナビゲーション装置115から取得し」は本願発明における「車両の特定のロケーション」を「特定する」という事項を含んでいる。 そうすると、引用発明の「車両の特定の走行場所を、カーナビゲーション装置115から取得し」と本願発明の「車両の特定のロケーションを、グローバルポジショニング信号に基づき特定するステップ」とは、「車両の特定のロケーションを特定するステップ」という限りにおいて一致している。 引用発明の「前記予防安全装置の種別に対応する処理内容が安全運転支援条件テーブルに記憶されており」と本願発明の「前記特定のイベントロケーションに関するイベントに基づき、前記車両のために予測アクションを決定および記憶するステップ」とは、「イベントに基づく予測アクションが記憶され」という限りにおいて一致している。 引用発明の「走行環境が予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行環境と一致し且つ1km先までの走行場所が前記予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている走行場所と一致し且つ車両状態が前記予防安全装置作動条件テーブル500に記憶されている車両状態と一致する場合には前記安全運転支援条件テーブルに基づいて前記処理内容を実行すること」と本願発明の「前記イベントロケーションから所定の時間および予め定められた距離のうち少なくとも一方のところにあるときに、制御信号を供給して前記予測アクションの実行を開始するステップ」とは、「前記イベントロケーションから予め定められた距離のところにあることを条件の一つとして、前記予測アクションの実行を開始するステップ」という限りにおいて一致している。 よって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 〔一致点〕 「車両のためにイベントを識別および予測する方法であって、 前記車両の特定のロケーションを特定するステップと、 イベントを、前記車両に設けられたセンサによって検出するステップと、 特定された前記車両の特定のロケーションに関するイベントを、整合突合せおよび記憶するステップと、 イベントに基づく予測アクションが記憶され、 前記ロケーションから予め定められた距離のところにあることを条件の一つとして、前記予測アクションの実行を開始するステップと、を含む方法。」 〔相違点1〕 本願発明においては「既知の経路を定期的に走行する」車両のためにイベントを識別および予測する方法であって、「既知の経路沿いの」前記車両の特定のロケーションを特定し、「既知の経路沿いの」イベントを検出するものであるのに対して、引用発明においては「既知の経路を定期的に走行する」及び「既知の経路沿いの」という事項が特定されていない点。 〔相違点2〕 「車両の特定のロケーションを特定する」に関して、本願発明においては「グローバルポジショニング信号に基づき」特定するのに対して、引用発明においては、車両の特定の走行場所を、カーナビゲーション装置115から取得する点。 〔相違点3〕 本願発明においては「同じ特定のロケーションで同じイベントが繰り返し検出されたことに基づき、特定のイベントロケーションを学習するステップ」を備えているのに対して、引用発明においては、かかる事項を備えていない点。 〔相違点4〕 本願発明においては「特定のイベントロケーションに関するイベントに基づき、前記車両のために予測アクションを決定および記憶するステップ」を備えているのに対して、引用発明においては、予防安全装置の種別に対応する処理内容が安全運転支援条件テーブルに記憶されている点。 〔相違点5〕 本願発明においては「イベントロケーションは、ルックアップ仮想テーブルに記憶され、前記ルックアップ仮想テーブルには、前記イベントロケーションが緯度及び経度として記憶され、さらに当該イベントロケーションに対する標高が記憶されている」のに対して、引用発明においては、走行場所は、坂道、非舗装道路、カーブ、駐車場、交差点或いはこれらの組合せによって表現され記憶されている点。 上記相違点1について検討する。 既知の経路を定期的に走行する車両は、通勤に使用する車両、路線バスなど、文献を挙げるまでもなく周知である。 引用発明を、そのような周知の車両を対象として実施することは、当業者が容易になし得たことである。 上記相違点2について検討する。 引用発明において、車両の特定の走行場所を、カーナビゲーション装置115から取得するにあたり、カーナビゲーション装置が、座標の形態で表現できるような「位置」情報を取得していることは、上記のとおり技術常識である。そして、カーナビゲーション装置がグローバルポジショニングシステムを用いて「位置」情報を取得することは、例示するまでもなく本願優先日前に周知の技術である(以下「周知技術1」という。)。また、引用文献1には、車両がグローバルポジショニングシステムを備えていることが記載されている(段落【0015】を参照。)。 そうすると、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に周知技術1を参酌することにより、当業者が容易に想到できたことである。 上記相違点3について検討する。 引用文献2記載事項は上記のとおり「車両の位置をGPSにより特定し、危険運転の発生を検出し、危険運転が発生したと判定すると、その位置データを含む危険地点データ記録し、同じ位置で危険運転が基準回数以上発生した場合、その位置を危険運転の恐れのある位置とし、車両が危険運転の恐れのある位置に近づいたときにドライバーに対して警告を発すること。」というものである。 引用文献2記載事項における「同じ位置で危険運転が基準回数以上発生した場合、その位置を危険運転の恐れのある位置とし」は、その技術的意義からみて、本願発明の「同じ特定のロケーションで同じイベントが繰り返し検出されたことに基づき、特定のイベントロケーションを学習する」ことに相当するといえる。 また、引用発明と引用文献2記載事項とは、運転者が危険な運転を行うことを防止するという、共通の課題を有するものである(引用文献1の段落【0005】、引用文献2の段落【0005】及び【0057】を参照。)。 そうすると、引用発明において引用文献2記載事項を参酌し、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。 上記相違点4について検討する。 引用発明においては、予防安全装置の種別に対応する処理内容が安全運転支援条件テーブルに記憶されているのであるが、これに代えて、特定のイベントロケーションに関するイベントに基づき、予測アクションを決定および記憶するステップを設けることは、当業者が適宜なし得たことである。 そうすると、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に基いて、当業者が容易になし得たものである。 上記相違点5について検討する。 引用発明においては、車両の特定の走行場所をカーナビゲーション装置115から取得するにあたり、カーナビゲーション装置が、座標の形態で表現できるような「位置」情報を取得していることは、上記のとおり技術常識である。 そして、引用発明は、車両に搭載された予防安全装置が作動した時、或いは予防安全装置が作動しそうになった時の走行場所、走行環境、車両状態を記憶部に記憶させ、車両が再度、記憶された走行場所と同一の走行場所を、記憶された走行環境及び車両状態と同一の走行環境、車両状態で走行しようとした場合に安全運転支援を行うものであるが(段落【0007】を参照。)、予防安全装置が作動した時、或いは予防安全装置が作動しそうになった時の「位置」が、同一の走行場所であることは自明である。 また、引用文献2記載事項は「車両の位置をGPSにより特定し、危険運転の発生を検出し、危険運転が発生したと判定すると、その位置データを含む危険地点データ記録し、同じ位置で危険運転が基準回数以上発生した場合、その位置を危険運転の恐れのある位置とし、車両が危険運転の恐れのある位置に近づいたときにドライバーに対して警告を発すること。」というもの、すなわち、「位置」と「危険運転の発生」を対応付けておくものである。 これらを踏まえると、引用発明において、走行場所として「位置」を含めることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、「位置」情報を、緯度、経度及び標高で特定することは、本願優先日前に周知の技術である(以下「周知技術2」という。例えば、特開2013-32784号公報の段落【0027】を参照。)。 また、記憶手段としてルックアップ仮想テーブルは例示するまでもなく周知である。 そうすると、上記相違点5に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明において、周知技術2を参酌することにより、当業者が容易に想到できたものである。 そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、周知技術1及び周知技術2から予測し得ない格別な効果を奏するものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-006586

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