特許拒絶査定不服審判
2020-017702
自動二輪車の速度を自動的に調整するための方法
- 審判番号
- 2020-017702
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-548525外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月24日
- 審決日
- 2022年02月08日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
- 【請求人代理人】大場 玲児
- 【請求人代理人】高橋 始
- 分類
- P18 .121-WZ (B60W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-548525号「自動二輪車の速度を自動的に調整するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月21日国際公開、WO2018/108436、令和2年1月16日国内公表、特表2020-500784号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年12月14日 ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、令和2年9月1日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和2年12月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、令和3年6月30日付けで当審により拒絶理由が通知され、令和3年11月30日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲に係る発明は、令和3年11月30日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
前方を走行する他車(2)および/または側方を走行する他車(2)に対する自動二輪車(1)の縦方向間隔および横方向間隔に依存して前記自動二輪車(1)の速度を自動的に調整するための方法において、前記自動二輪車(1)と前記他車(2)との間で維持すべき最小横方向間隔(b)を、前記他車(2)の車両タイプに依存して決定し、
前記最小横方向間隔(b)は、前記他車(2)の幅がより狭い場合により大きく、前記他車(2)の幅がより広い場合により小さくし、
前記他車(2)が乗用車である場合には、もっとも小さな前記最小横方向間隔(b)が0.80m~1.50mの値範囲内にあり、前記他車(2)が自動二輪車である場合には、もっとも大きな前記最小横方向間隔(b)が1.60m~2.50mの値範囲内にあり、
前記他車(2)が前記自動二輪車(1)の前記最小横方向間隔(b)内にある場合、指定された最小縦方向間隔が維持されるように前記自動二輪車の速度が自動的に制限される、
ことを特徴とする、方法。」
第3 令和3年6月30日付け拒絶理由
令和3年6月30日付けで当審により通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
本件出願の請求項1~10に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等
1.特開2010-70061号公報
2.特開2014-89691号公報
第4 当審の判断
1.引用文献1の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1記載事項
令和3年6月30日付け拒絶理由に引用し、本願の優先日前に頒布された引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行を支援する車両走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行支援を行うものとして、例えば特開2007-253745号公報に記載されるように、自車両が走行している道路及び道路の境界部を検出する道路境界検出部と、自車両の前方の道路上に存在する障害物を検出する障害物検出部と、道路の延びる方向と自車両の進行方向が成す姿勢角度、道路上における自車両の位置及び自車両の速度を検出する自車両情報検出部と、自車両情報検出部で検出した自車両情報に基づいて道路上で障害物を回避するための操作量を算出する回避操作量算出部を備えるものが知られている。
【特許文献1】特開2007-253745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、オートバイや自転車などの二輪車は、他の障害物に比べて走行時の挙動が不安定でありその予測をすることも困難である。例えば、路面が凍結している場合などは転倒しやすく、また、自転車ではこぎ始めや上り坂道の走行中などに大きな駆動力が必要とされるため車体がふらついて転倒する可能性がある。
【0004】
二輪車とすれ違う場合、あるいは二輪車を追い越す場面においては、走行支援を行う際に上述のような挙動の不安定性を考慮した横車間距離を確保する必要がある。一方、障害物との接触を考慮して必要以上の横車間距離を確保するような走行支援を行った場合、例えば、道幅が狭くて設定された横車間距離を確保できない道路を走行している際に、二輪車を追い越すような運転制御ができない。このような場合は、設定された横車間距離を確保できるようになるまでの間、二輪車と同じ速度で追従するような制御をしなくてはならず、走行時間が増大してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、走行中の障害物を回避する際に、十分な安全性を確保すると共に、適切な走行支援を行うことができる車両走行支援装置を提供することを目的とする。」
イ 「【0023】
二輪車判定部13は、撮像部3から入力された画像情報と障害物検出部12から入力された情報に基づき、障害物検出部12で検出された障害物が、オートバイや自転車などの二輪車であるか否かを判定する機能を有している。二輪車判定部13では、検出された車両前方の障害物の画像情報を更に画像処理することによって、二輪車の特徴に基づいて当該障害物が二輪車であるか否かを判定する。また、二輪車判定部13は、判定結果を自車両進路算出部14と、二輪車情報取得部16と、物体領域設定部17と、横車間距離算出部18と、回避判定部19とへ出力する機能を有している。
【0024】
二輪車情報取得部16は、撮像部3から入力された画像情報に基づいて、検出した自車両前方の二輪車のふらつき幅や、障害物の高さ(すなわち二輪車の運転者の頭の頂部の高さ)を取得すると共に、二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、及び二輪車の走行速度などを取得する機能を有している。二輪車情報取得部16は、具体的には、撮像部3から入力された画像情報を画像処理して、上述の情報を算出することによって各情報を取得する。二輪車のふらつき幅と高さについての詳細な説明は後述する。この二輪車情報取得部16は、取得した二輪車情報を自車両進路算出部14と、物体領域設定部17と、横車間距離算出部18とに出力する機能を有している。
【0025】
自車両進路算出部14は、二輪車判定部13によって自車両前方の障害物が二輪車であると判定された場合に、車速センサ6から入力された自車両車速情報、加速度センサ7から入力された自車両加速度情報、操舵角センサ8から入力された操舵角及び操舵方向に関する情報、二輪車情報取得部16から入力された二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、二輪車の走行速度、及び撮像部3から入力された画像情報や、GPS装置4から入力された自車両の位置情報や自車両周辺の地図情報に基づいて、障害物として検出された前方の二輪車を回避する場合における自車両の予想進路を地図上で算出する機能を有している。
【0026】
自車両進路算出部14は、具体的には、前方からの二輪車とすれ違う際や前方の二輪車を追い越す際に、自車両が複数の車線を有している道路を走行している場合は、他の走行車両との関係で車線変更して二輪車を回避するような進路を算出し、あるいは、片側一車線の道路を走行している場合は、道路の中央線からはみ出ないように二輪車を回避するような進路を算出する。自車両進路算出部14は、自車両速度情報、自車両加速度情報、操舵角及び操舵方向に関する情報のみならず、自車両の二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、二輪車の走行速度も考慮して予想進路を算出することができる。自車両進路算出部14は、算出した予想進路を横車間距離算出部18、運転制御部21へ出力する機能を有している。
【0027】
物体領域設定部17は、二輪車情報取得部16から入力された二輪車情報に基づいて、当該二輪車についての物体領域を算出する機能を有している。物体領域は、自車両が二輪車を追い越し又はすれ違う際に、安全性を確保するため進入を回避すべき領域である。物体領域の自車両側の車幅方向の距離を安全領域Sとする。また、物体領域設定部17は、算出した物体領域を回避判定部19へ出力する機能を有している。
【0028】
ここで、二輪車の物体領域の幅、すなわち安全距離Sについて、図2を参照して説明する。図2は、二輪車の安全距離を示す図であり、車両と二輪車を正面から見た図である。二輪車のふらつき幅とは、例えば、自転車のこぎ始めや上り坂道の走行中などにおいて生じる車体の左右のふらつきの大きさであり、図2に示すように、Δxで示される。このふらつき幅Δxは、撮像部3から入力された画像情報に基づいて算出することができる。本実施形態では、二輪車は中心線から幅方向に均等にふらつくものとし、ふらつき幅Δxが得られた場合、その振幅はΔx/2で与えられるものとする。また、障害物の高さ、すなわち地面から二輪車の運転手Dの頭の頂点までの高さをhとすると、二輪車が車両M側に転倒した場合は、障害物の端部、すなわち運転手の頭の頂点は、転倒位置から幅方向へhの位置に配置されることなる。
【0029】
車両Mが二輪車の横を通過する際に二輪車が転倒しても、二輪車の運転手Dが車両Mに接触しないようにするために、二輪車の中心線と車両Mの端部との間で確保すべき距離を安全距離Sとすると、この安全距離Sは、少なくとも、二輪車がふらつき幅の車両M側の端部位置で転倒した場合における二輪車の運転手Dの頭の頂点と、転倒前の二輪車の中心線との間の距離であるΔx/2+hよりも大きくなければならない。このように、障害物として検出された二輪車の安全距離の最小値は、S=Δx/2+hと示される。なお、Sは、安全率を考慮してS=Δx/2+hよりも大きい値を任意に設定することができる。
【0030】
図1へ戻り、横車間距離算出部18は、自車両進路算出部14から入力された自車両の予想進路と二輪車情報取得部16から入力された二輪車の走行位置に基づいて、予想進路を通過する場合における、二輪車の中心線と自車両の二輪車側の端部との間の横車間距離SDを算出する機能を有している。この横車間距離SDは、自車両が予想進路を通過して二輪車と隣接する位置に来た場合における横車間距離によって与えられる(図2参照)。横車間距離算出部18は、算出した横車間距離SDを回避判定部19へ出力する機能を有している。
【0031】
回避判定部19は、物体領域設定部17から入力された物体領域Aの幅(安全距離S)と、横車間距離算出部18から入力された横車間距離SDとに基づいて、自車両が物体領域Aへ進入しないように二輪車の追い越しやすれ違いができるか否かを判定する機能を有している。回避判定部19は、具体的には、自車両が予想進路を通過して二輪車に隣接した場合における横車間距離SDと、安全距離Sとを比較し、横車間距離SDが安全距離Sよりも大きい場合は、安全に二輪車を回避可能と判定する。この回避判定部19は、判定結果を運転制御部21へ出力する機能を有している。
【0032】
運転制御部21は、回避判定部19から入力された判定結果に基づいて、自車両進路算出部14から入力された予想進路を通過するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する機能を有している。運転制御部21は、例えば、二輪車を追い越す場合において、物体領域Aへの進入を回避しながら二輪車を追い越す(回避)することができると判定された場合は、予想進路を通過するように制御信号を出力し、物体領域Aへの進入を回避しながら二輪車を追い越すことができないと判定された場合は、二輪車を回避することなく、二輪車と同じ速度で走行するように制御信号を出力する。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る車両走行支援装置1の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る車両走行支援装置1における車両走行支援処理を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態においては、自車両が自動運転モードに設定されている状態で片側一車線の道路を走行しているときに、前方の二輪車を追い越す場合の制御について説明する。この処理は、ECU2において、自動運転を行っている間、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0035】
図3に示すように、車両走行支援装置1は、障害物の検出処理から処理を開始する(S10)。S10の処理は、障害物検出部12で実行され、撮像部3から入力された画像情報を画像処理することによって、車両前方に存在する障害物を検出する処理である。S10の処理が終了すると、二輪車判定処理へ移行する(S12)。
【0036】
S12の処理は、二輪車判定部13で実行され、S10で検出された障害物がオートバイや自転車などの二輪車であるか否かを判定する処理である。S12において、検出された障害物が二輪車ではないと判定されると、図3の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。なお、このとき、通常の障害物回避処理を行ってもよい。一方、S12において、検出された障害物が二輪車であると判定されると、二輪車情報取得処理へ移行する(S14)。
【0037】
S14の処理は、二輪車情報取得部16で実行され、撮像部3から入力された画像情報に基づいて、検出した自車両前方の二輪車のふらつき幅や、障害物の高さを取得すると共に、二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、及び二輪車の走行速度などを取得する処理である。S14の処理が終了すると、自車両進路算出処理へ移行する(S16)。
【0038】
S16の処理は、自車両進路算出部14で実行され、車速センサ6から入力された自車両車速情報、加速度センサ7から入力された自車両加速度情報、操舵角センサ8から入力された操舵角及び操舵方向に関する情報、二輪車情報取得部16から入力された二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、二輪車の走行速度、及び撮像部3から入力された画像情報や、GPS装置4から入力された自車両の位置情報や自車両周辺の地図情報に基づいて、障害物として検出された前方の二輪車を回避する場合における自車両の予想進路を地図上で算出する処理である。
【0039】
図4は、二輪車を回避するための予想経路Lを示す図である。S16の処理では、図4に示すように、片側一車線の道路内で二輪車Bを回避するように、予想進路Lを算出する。この予想進路Lは、回避時に中央線Cを超えないような進路とされており、本実施形態では、対向車線を走行する車両との接触を回避するための安全性を考慮し、自車両が二輪車と横並びになったときに、中央線Cから所定間隔を確保できるような経路とする。S16の処理が終了すると、物体領域設定処理へ移行する(S18)。
【0040】
S18の処理は、物体領域設定部17で実行され、S14で取得した二輪車情報に基づいて、障害物として検出された二輪車についての物体領域Aを算出する処理である。本実施形態では、物体領域Aの幅として、二輪車Bの安全距離の最小値を設定するものとする。すなわち、図4に示すように、二輪車Bのふらつき幅をΔxとし、障害物の高さをhとした場合、物体領域Aの自車両側の幅である安全距離Sは、ふらつき幅の半分の距離と障害物の高さhとを加算し、S=Δx/2+hで与えられる。なお、本実施形態において、物体領域Aは、二輪車Bの幅方向にのみ設定されるものとする。S18の処理が終了すると、横車間距離算出処理へ移行する(S20)。
【0041】
S20の処理は、横車間距離算出部18で実行され、S16で算出した自車両の予想進路LとS14で取得した二輪車の走行位置に基づいて、横車間距離SDを算出する処理である。
【0042】
図5及び図6は、物体領域Aの幅(安全距離S)と横車間距離SDとの関係を示す図である。横車間距離SDは、図5及び図6に示されるように、自車両が予想進路Lを通過して、二輪車と自車両が横並びになったときの、二輪車の中心線と自車両の二輪車側の端部との間の距離で与えられる。S20の処理が終了すると、回避判定処理へ移行する(S22)。
【0043】
S22の処理は、回避判定部19で実行され、S18で算出した物体領域Aの幅である安全距離Sと、S20で算出した横車間距離SDとに基づいて、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができるか否かを判定する処理である。
【0044】
このS22の処理では、図5に示すように、横車間距離SDが安全距離S以上である場合は、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができると判定される。また、図6に示すように、横車間距離SDが安全距離Sよりも小さい場合は、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができないと判定される。
【0045】
S22の処理において、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができると判定された場合は、追越制御処理へ移行する(S24)。S24の処理は、運転制御部21で実行され、前方の二輪車を回避するように運転制御を行う処理である。具体的には、S16で算出した予想進路Lを通過するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する処理である。S24の処理が終了すると、図3の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0046】
一方、S22の処理において、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができないと判定された場合は、追従制御処理へ移行する(S26)。S26の処理は、運転制御部21で実行され、前方の二輪車に追従するように運転制御を行う処理である。具体的には、二輪車と同じ速度で走行するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する処理である。S26の処理が終了すると、図3の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。」
ウ 「【0053】
また、本実施形態では、ふらつき幅Δxの半分の距離と障害物の高さhを単に加算した値を安全距離Sとしたが、これに更に所定距離を加算させたり、所定の安全係数を掛けあわせることによって、更に大きな安全距離を設定してもよい。あるいはふらつき幅を加算させず、障害物の高さhのみに基づいて安全距離を設定してもよい。」
エ 「【図2】
[図:0001385662000001.jpg]
」
オ 「【図3】
[図:0001385662000002.jpg]
」
カ 「【図4】
[図:0001385662000003.jpg]
」
キ 「【図5】
[図:0001385662000004.jpg]
」
ク 「【図6】
[図:0001385662000005.jpg]
」
(2)引用発明
上記事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「S10で、撮像部3から入力された画像情報を画像処理することによって、車両前方に存在する障害物を検出し、
S12で、S10で検出された障害物がオートバイなどの二輪車であるか否かを判定し、検出された障害物が二輪車ではないと判定されると、通常の障害物回避処理を行い、検出された障害物が二輪車であると判定されると、S14へ移行し、
S14で、撮像部3から入力された画像情報に基づいて、検出した自車両前方の二輪車のふらつき幅や、障害物の高さを取得すると共に、二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、及び二輪車の走行速度などを取得し、
S16で、車速センサ6から入力された自車両車速情報、加速度センサ7から入力された自車両加速度情報、操舵角センサ8から入力された操舵角及び操舵方向に関する情報、二輪車情報取得部16から入力された二輪車の走行位置、二輪車の進行方向、二輪車の走行速度、及び撮像部3から入力された画像情報や、GPS装置4から入力された自車両の位置情報や自車両周辺の地図情報に基づいて、障害物として検出された前方の二輪車を回避する場合における自車両の予想進路を地図上で算出し、
S18で、S14で取得した二輪車情報に基づいて、障害物として検出された二輪車についての物体領域Aを算出し、二輪車Bのふらつき幅をΔxとし、障害物の高さをhとした場合、物体領域Aの自車両側の幅である安全距離Sを、S=Δx/2+hとし、
S20で、S16で算出した自車両の予想進路LとS14で取得した二輪車の走行位置に基づいて、横車間距離SDを算出し、
S24で、S22において自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができると判定された場合は、追越制御処理へ移行し、一方、S22において、自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができないと判定された場合は、前方の二輪車に追従するように運転制御、具体的には、二輪車と同じ速度で走行するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する、
車両走行支援方法。」
2.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「検出された障害物」は、その機能及び作用から、本願発明の「前方を走行する他車(2)および/または側方を走行する他車(2)」に相当する。また、引用発明の「自車両」と本願発明の「自動二輪車(1)」とは、「自車両」の限りで一致する。
(2)引用発明の「自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができないと判定された場合は、前方の二輪車に追従するように運転制御、具体的には、二輪車と同じ速度で走行するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する」態様は、自車両とオートバイが物体領域Aの自車両側の幅である安全距離S内にある場合、オートバイと同じ速度で、オートバイとの間隔を一定とするように走行駆動部9を制御することであるから、引用発明の当該態様と、本願発明の「前記他車(2)が前記自動二輪車(1)の前記最小横方向間隔(b)内にある場合、指定された最小縦方向間隔が維持されるように前記自動二輪車の速度が自動的に制限される」態様とは、「前記他車(2)が前記自車両の前記最小横方向間隔(b)内にある場合、指定された最小縦方向間隔が維持されるように前記自車両の速度が自動的に制限される」態様の限りで一致する。
(3)引用発明の「車両走行支援方法」は、「自車両が物体領域Aに進入しないように二輪車を回避することができないと判定された場合は、前方の二輪車に追従するように運転制御、具体的には、二輪車と同じ速度で走行するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力する」ものであるから、引用発明の「車両走行支援方法」と、本願発明の「前方を走行する他車(2)および/または側方を走行する他車(2)に対する自動二輪車(1)の縦方向間隔および横方向間隔に依存して前記自動二輪車(1)の速度を自動的に調整するための方法」とは、「前方を走行する他車(2)および/または側方を走行する他車(2)に対する自車両の縦方向間隔および横方向間隔に依存して前記自車両の速度を自動的に調整するための方法」の限りで一致する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「前方を走行する他車および/または側方を走行する他車に対する自車両の縦方向間隔および横方向間隔に依存して前記自車両の速度を自動的に調整するための方法において、
前記他車が前記自車両の前記最小横方向間隔内にある場合、指定された最小縦方向間隔が維持されるように前記自車両の速度が自動的に制限される、
方法。」
<相違点1>
自車両について、本願発明は、「自動二輪車」であるのに対して、引用発明は、自車両である点。
<相違点2>
本願発明は、「前記自動二輪車(1)と前記他車(2)との間で維持すべき最小横方向間隔(b)を、前記他車(2)の車両タイプに依存して決定し、
前記最小横方向間隔(b)は、前記他車(2)の幅がより狭い場合により大きく、前記他車(2)の幅がより広い場合により小さくし、
前記他車(2)が乗用車である場合には、もっとも小さな前記最小横方向間隔(b)が0.80m~1.50mの値範囲内にあり、前記他車(2)が自動二輪車である場合には、もっとも大きな前記最小横方向間隔(b)が1.60m~2.50mの値範囲内にあ」るのに対して、引用発明は、検出された障害物が二輪車ではないと判定されると、通常の障害物回避処理を行うところ、障害物が乗用車である場合について具体的に特定されておらず、安全距離Sの範囲が不明である点。
3.当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1について>
車両として、自動二輪車は例を挙げるまでもなく周知であって、自動二輪車において、自律走行や走行支援を行うことは周知である(例えば、引用文献2の【0020】参照。)。
したがって、引用発明の車両走行支援方法を、自動二輪車に適用することで、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
<相違点2について>
引用文献2には、「識別した各物体について、演算装置は、それぞれの物体の特性に基づき、先に推定した長さ方向の1つ以上の位置において、前記時間の経過中、車両とそれぞれの物体との間で維持すべき、車両との、それぞれの横方向距離を推定するよう構成することができる。演算装置は経験則を組み込むよう構成することができ、例えば、人の行動を模倣してそれぞれの横方向距離を定めることができるよう構成することができる。例えば、高速度で走る大きなトラックや乗用車が車両の側方に隣接してきたとき、演算装置は、低速度で走る乗用車が車両の側方に隣接してきたときの所定の横方向距離より大きな横方向距離を定めることができる。同様に、オートバイ、自転車、歩行者が通過するときは大きな横方向距離を定めることができる。また、演算装置は、動的な物体に対しては静止物体に対してよりも大きな横方向距離を定めることができる。演算装置は、車両が現在走っているレーンの形式(例えば、多人数乗車車両レーン)、道路の状態、等を、それぞれの横方向距離を定めるために、考慮に入れるよう構成することができる。」(【0018】)と記載されており、「オートバイが通過するときは低速度で走る乗用車が通過するときの横方向距離より大きな横方向距離を定めること」(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
そして、引用文献2の【0016】にも記載されているように、道路上を走る自車両の障害物として、乗用車は当然に想定されるから、引用発明の「検出された障害物が二輪車ではないと判定される」ことの中で、乗用車と判定されることとすることは、通常の創作能力の範囲内のものであって、その際の「通常の障害物回避処理」として、二輪車への障害物回避処理に倣って、自車両が物体領域Aに進入しないように乗用車を回避することができると判定された場合は、追越制御処理へ移行し、一方、自車両が物体領域Aに進入しないように乗用車を回避することができないと判定された場合は、前方の乗用車に追従するように運転制御、具体的には、乗用車と同じ速度で走行するように、走行駆動部9及び制動部11に制御信号を出力することは、当業者が容易に想到し得たことである。
さらに、二輪車の物体領域Aを乗用車の物体領域Aより大きく定めることは引用文献2記載事項が示していることであって、そのようなものは、自車両と二輪車との間で維持すべき物体領域Aを、車両のタイプに依存して決定し、物体領域Aは、二輪車、すなわち幅のより狭い場合により大きく、乗用車、すなわち幅がより広い場合により小さくすると表現できる。
そして、具体的に物体領域Aを決定する場合、二輪車の物体領域Aは、物体領域Aの自車両側の幅である安全距離SがS=Δx/2+hであって、引用文献1の【0053】の「更に所定距離を加算させたり、所定の安全係数を掛けあわせることによって、更に大きな安全距離を設定してもよい。あるいはふらつき幅を加算させず、障害物の高さhのみに基づいて安全距離を設定してもよい。」との記載を参酌し、通常の障害物の高さh、すなわち、地面から二輪車の運転手の頭の頂点までの高さ(引用文献1の【0028】)を考慮すると、二輪車の自車両側の端から自車両の二輪車側の端までの横方向間隔(安全距離Sから二輪車の巾の半分を引いたもの)を1.60m~2.50mの範囲とすることは通常の範囲である。また、乗用車において転倒のおそれがないことは技術常識であるから、乗用車の自車両側の端から自車両の乗用車側の端までの横方向間を0.80m~1.50m程度とすることは常識の範囲である。
したがって、引用発明において、引用文献2の記載事項を参照して、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
<本願発明の奏する効果について>
そして、本願発明の奏する効果は、引用発明、周知の事項及び引用文献2の記載事項から、当業者が想到し得る範囲のものであって、格別なものでない。
4.小括
ゆえに、本願発明は、引用発明、周知の事項及び引用文献2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 まとめ
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願の特許請求の範囲に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-017702