2019-003711
積層型キャパシタ
- 審判番号
- 2019-003711
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-144018外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年03月19日
- 審決日
- 2020年09月18日
- 公報発行日
- 2021年03月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】龍華国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月25日(パリ条約による優先権主張 2017年4月4日、韓国、2017年4月25日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 平成31年3月19日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成31年3月19日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、本件補正前における特許請求の範囲の請求項1及び請求項15について、
「【請求項1】複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第3及び第4面には、前記第1及び第2内部電極の一端部がそれぞれ露出するよう、上下に配置された誘電体層の間に複数の第1及び第2溝部が形成される本体と、前記第1及び第2溝部内に配置され、前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される金属間化合物と、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部及びベース樹脂を含む導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性連結部と接触する第1電極層と、を含む、積層型キャパシタ。」
「【請求項15】複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第1及び第2内部電極の一端部が前記第3及び第4面からそれぞれ露出する本体と、前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される、ニッケルまたは銅およびスズが反応して形成された金属間化合物と、前記本体の第1及び第2面にそれぞれ形成される水分の浸透防止膜と、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部及びベース樹脂を含む導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性連結部と接触する第1電極層と、を含む、積層型キャパシタ。」
とあったところを、
「【請求項1】複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第3及び第4面には、前記第1及び第2内部電極の一端部がそれぞれ露出するよう、上下に配置された誘電体層の間に複数の第1及び第2溝部が形成される本体と、前記第1及び第2溝部内に配置され、前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される金属間化合物と、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部、ベース樹脂及び酸化膜除去剤を含む導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性連結部と接触する第1電極層と、を含む、積層型キャパシタ。」
「【請求項15】複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第1及び第2内部電極の一端部が前記第3及び第4面からそれぞれ露出する本体と、前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される、ニッケルまたは銅およびスズが反応して形成された金属間化合物と、前記本体の第1及び第2面にそれぞれ形成される水分の浸透防止膜と、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、少なくとも一部が前記水分の浸透防止膜の上に形成され、複数の金属粒子、前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部及びベース樹脂を含む導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置され、前記導電性連結部と接触する、銅めっき層である第1電極層と、を含む、積層型キャパシタ。」
とすることを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
本件補正における請求項1、15に係る発明について検討する。
請求項1について本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「導電性樹脂層」について、「酸化膜除去剤を含む」と限定をするものである。
請求項15について本件補正は、本件補正前の請求項15に記載した発明を特定するために必要な事項である「導電性樹脂層」について、「少なくとも一部が前記水分の浸透防止膜の上に形成され」との限定を付加し、「第1電極層」について「銅めっき層である」との限定を付加するものである。
上記補正は、いずれも、本件補正前の請求項1、15に記載された発明を特定するために必要な事項に限定を付加するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項15に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。
2 引用文献及びその記載事項
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(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2004/053901号(2004年6月24日公開、以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。
a 「積層セラミック電子部品の一例である、積層セラミックコンデンサを図1に示す。ここで積層セラミックコンデンサ1の、セラミック誘電体2と内部電極3とを交互に積層したセラミック複合体の内部電極取り出し面に形成された外部電極4は、一般に焼成型導電ペースト又は熱硬化性導電ペーストを用い、以下のような方法により形成される。」(第1頁第10-14行)
b 「〔導電ペーストの調製〕実施例及び比較例で使用した導電ペーストの組成は、以下の表1のとおりである。表1において、球状銀粉末Aは平均粒子寸法0.3μm、純度99.5%以上;球状銀粉末Bは平均粒子寸法0.5μm、純度99.5%以上;リンペン状銀粉末Cは平均粒子寸法12μm、純度99%以上;リンペン状銀粉末Dは平均粒子寸法5μm、純度99%以上(以上銀粉末A~Dはナミックス(株)製)のもの、また錫粉末は、球状粉末で平均粒子寸法4μm、純度99%以上のものを使用した。またレゾール型フェノール樹脂は数平均分子量3000、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は数平均分子量900のものを使用した。表1に示す組成に基づいて、粉末、樹脂、添加剤、溶剤等を配合し、ロールミルにより均一になるまで混練した後、さらに溶剤としてブチルカルビトールを加えペースト粘度が20Pa・s/25℃になるように調整した。続きを表示(全11行)〔積層セラミックコンデンサ試料の作成〕比較例1(比較コンデンサ:焼成型電極の作成)表1に示した組成を有する導電ペーストA(焼成型)を、チップ積層コンデンサのセラミック複合体(2125タイプ、B特性、Ni内部電極、理論容量100nF)の内部電極取り出し面に、焼成後の厚さが50μm程度になるように均一に浸漬塗布し、150℃で10分間乾燥した後、大気中で650℃、10分間、その前後に所定温度までの昇温と徐冷に要する時間を含めて約60分間加熱することにより焼成し、外部電極を形成した。続いてワット浴でNiメッキを行い、次いで電気メッキによりSnメッキを行い、チップ積層コンデンサを得た。比較例2(比較コンデンサ:熱硬化性電極の作成)表1に示した導電ペーストB(熱硬化性)を、前出のチップ積層コンデンサのセラミック複合体の内部電極取り出し面に、硬化後の厚さが40~80μmになるように浸漬塗布し、150℃で10分間乾燥した後、大気中のベルト炉で300℃、10分の硬化を行い外部電極を形成した。続いてワット浴でNiメッキを行い、次いで電気メッキによりSnメッキを行い、チップ積層コンデンサを得た。実施例1(熱硬化性電極の作成)表1に示した導電ペーストC(熱硬化性)を、比較例2の条件で塗布、乾燥、硬化、メッキを行い、チップ積層コンデンサを得た。」(第9頁第3行-第10頁第18行)
上記記載及び図面から、引用文献1には次の技術的事項が記載されている。
・図1及び上記aの記載より、外部電極4を、直方体のセラミック複合体の一方及び他方の端面に形成した積層セラミックコンデンサ1が見て取れる。また、セラミック複合体は、複数のセラミック誘電体2と複数の内部電極3とが交互に積層していることが見て取れる。
・上記bの実施例1は、比較例2の条件で塗布、乾燥、硬化、メッキを行うものである。よって、当該実施例1には、セラミック複合体の内部電極取り出し面に、熱硬化性導電ペーストCを、浸漬塗布し、300℃、10分の硬化を行い外部電極4を形成し、続いてNiメッキを行ったことが記載されているといえる。
・さらに、上記bの実施例1は、比較例2と外部電極を構成する導電ペーストのみが異なるチップ積層コンデンサであるところ、比較例2の記載を参照すると「前出のチップ積層コンデンサ」と記載されているので、比較例1に記載された「Ni内部電極」を用いているものである。よって、当該実施例1には、「Ni内部電極」を用いることが記載されているといえる。
・上記表1には、熱硬化性導電ペーストCが、球状銀粉末、リンペン状銀粉末、錫粉末、レゾール型フェノール樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂を含んでいることが記載されている。
したがって、図1記載の積層セラミックコンデンサ1における外部電極4を、実施例1の方法で作成する技術に着目すると、上記記載より引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「外部電極4を、直方体のセラミック複合体の一方及び他方の端面に形成した積層セラミックコンデンサ1であって、セラミック複合体は、複数のセラミック誘電体2と複数のNi内部電極3を交互に積層してなり、セラミック複合体の内部電極取り出し面に、熱硬化性導電ペーストCを浸漬塗布し、300℃、10分の硬化を行い外部電極4を形成し、続いてNiメッキを行い、熱硬化性導電ペーストCは、球状銀粉末、リンペン状銀粉末、錫粉末、レゾール型フェノール樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂を含んでいる、積層セラミックコンデンサ1。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2001-44069号(平成13年2月16日公開、以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0002】【従来の技術】積層コンデンサなどの積層セラミック電子部品では、セラミック焼結体内において、複数の内部電極がセラミック層を介して厚み方向に重なり合うように配置されている。この種の積層セラミック電子部品では、近年、小型化が強く求められている。」
「【0005】上記先行技術に記載の方法では、先ず複数の内部電極51がセラミック層を介して重なり合うように配置されたセラミック焼結体52を用意する。このセラミック焼結体52の外表面を酸化物ガラスでコーティングし、ガラスコート層53を形成する。【0006】次に、セラミック焼結体52の端面52a,52bに内部電極51を露出させるために、研磨する。しかる後、図9に示すように、端面52a,52bを覆うように外部電極54,55を形成する。」
ここで、図9より、外部電極54,55の一部がガラスコート層53の上に形成されていることが見て取れる。
上記記載より引用文献2には、次の技術が記載されている。
「積層コンデンサにおいて、セラミック焼結体の外表面にガラスコート層を形成し、外部電極の一部がガラスコート層の上に重なるように形成する」技術。
3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「セラミック誘電体2」、「内部電極3」、「一方及び他方の端面」、「積層セラミックコンデンサ1」は、それぞれ、本願補正発明の「誘電体層」、「第1及び第2内部電極」、「第3及び第4面」、「積層型キャパシタ」に相当する。
(2)引用発明は「複数のセラミック誘電体2と複数のNi内部電極3を交互に積層して」いる。そして、積層セラミックコンデンサにおいて、複数の内部電極は、一方及び他方の外部電極と交互に接続するのであるから、引用発明の「複数のNi内部電極3」は、交互に配置されているといえる。
そうすると、引用発明の「セラミック複合体」が「複数のセラミック誘電体2と複数のNi内部電極3を交互に積層して」いることは、本願補正発明の「本体」が「複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含」んでいることに相当する。
そして、引用発明の「セラミック複合体」は「直方体」であるから、6つの面を含んでおり、本願補正発明の「本体」が「互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んで」いることに相当する。
また、引用発明は「セラミック複合体の内部電極取り出し面に」「外部電極4を形成し」ているので、「内部電極3」は、「セラミック複合体の一方及び他方の端面」に露出しているから、本願補正発明の「前記第1及び第2内部電極の一端部が前記第3及び第4面からそれぞれ露出する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「セラミック複合体」は、本願補正発明の「複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第1及び第2内部電極の一端部が前記第3及び第4面からそれぞれ露出する本体」に相当する。
(3)引用発明の「セラミック複合体の一方及び他方の端面に形成した」「外部電極4」及び「Niメッキ」は、本願補正発明の「前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極」に相当する。
(4)上記(2)及び(3)を踏まえると、引用発明の「セラミック複合体」に「外部電極4」及び「Niメッキ」を形成した「積層セラミックコンデンサ1」は、本願補正発明の「本体と、」「第1及び第2外部電極と、を含」む「積層型キャパシタ」に相当する。
但し、本願補正発明は、「前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される、ニッケルまたは銅およびスズが反応して形成された金属間化合物」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
さらに、本願補正発明は、「前記本体の第1及び第2面にそれぞれ形成される水分の浸透防止膜」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(5)引用発明の「セラミック複合体の内部電極取り出し面に、熱硬化性導電ペーストCを浸漬塗布し、300℃、10分の硬化を行い」「形成」した「外部電極4」は、「熱硬化性導電ペーストCは、球状銀粉末、リンペン状銀粉末、錫粉末、レゾール型フェノール樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂を含んでいる」ので、本願補正発明の「前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、複数の金属粒子及びベース樹脂を含む導電性樹脂層」に相当する。
但し、本願補正発明は、「導電性樹脂層」が「少なくとも一部が前記水分の浸透防止膜の上に形成され」るのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
さらに、本願補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(6)引用発明の「外部電極4を形成し、続いて」行われた「Niメッキ」は、本願補正発明の「前記導電性樹脂層上に配置された第1電極層」である点で共通する。
但し、本願補正発明は、「第1電極層」が「前記導電性連結部と接触する」のに対して、引用発明は、そのような特定がない。
さらに、第1電極層が、本願補正発明は「銅めっき層」であるのに対して、引用発明は「Niメッキ」である点で相違する。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「複数の誘電体層と前記複数の誘電体層を介して交互に配置される複数の第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結され且つ前記第3及び第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面を含んでおり、前記第1及び第2内部電極の一端部が前記第3及び第4面からそれぞれ露出する本体と、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、複数の金属粒子及びベース樹脂を含む導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置される第1電極層と、を含む、積層型キャパシタ。」
(相違点1)
本願補正発明は、「前記第1及び第2内部電極の一端部とそれぞれ接続される、ニッケルまたは銅およびスズが反応して形成された金属間化合物」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(相違点2)
本願補正発明は、「前記本体の第1及び第2面にそれぞれ形成される水分の浸透防止膜」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(相違点3)
本願補正発明は、「導電性樹脂層」が「少なくとも一部が前記水分の浸透防止膜の上に形成され」るのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(相違点4)
本願補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記複数の金属粒子を取り囲んで前記金属間化合物と接触する導電性連結部」を含むのに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(相違点5)
本願補正発明は、「第1電極層」が「前記導電性連結部と接触する」のに対して、引用発明は、そのような特定がない。
(相違点6)
第1電極層が、本願補正発明は「銅めっき層」であるのに対して、引用発明は「Niメッキ」である。
4 判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1、4,5について
本願明細書には「【0067】 ここで、第1及び第2内部電極121、122はニッケル(Ni)を含むことができ、この場合、金属間化合物150はニッケル-スズ(Ni-Sn)を含むことができる。」及び「【0090】 金属間化合物を形成するためには、一定の温度で溶けて溶液状態で存在するスズ/ビスマス粒子が本体の溝部及び金属粒子の周りに流れ込まなければならない・・・」と記載されていることから、本願補正発明における「金属間化合物」は、第1及び第2内部電極121、122のニッケルと溶液状態で存在するスズが反応して形成されたものと解される。
一方、引用発明は、「錫粉末」を含む「熱硬化性導電ペーストC」を「300℃、10分の硬化を行い外部電極4を形成し」ている。ここで、錫の融点は232℃であるから、硬化の過程で錫が溶解していると認められ、溶解した錫が銀粉末を取り囲み、かつ、Ni内部電極及び外部電極4と接触することは明らかである。
そうすると、引用発明において、溶解した錫がNi内部電極と接触しているので、錫がNi内部電極と反応して、本願補正発明でいう「金属間化合物」を形成していることは明らかである。
したがって、上記相違点1、4、5は、実質的な相違点ではない。
(2)相違点2、3について
積層コンデンサにおいて、セラミック焼結体の外表面にガラスコート層を形成し、外部電極を、一部がガラスコート層の上に重なるように形成することは周知技術である(上記「2 (2)」)。
そして、ガラスコート層が水分の浸透防止作用を有することは技術常識であるから、引用発明の「積層セラミックコンデンサ」においても、上記周知技術を適用し、上記相違点2、3に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)相違点6について
一般に、メッキの材料に何を用いるかは所望のコストや導電性等を考慮して当業者が適宜選択すべき事項であるところ、例えば、国際公開第2016/121575号の段落[0092]に記載されているとおり、Cuメッキは周知慣用の材料であるので、引用発明のメッキの材料としてCuを採用することは当業者が適宜設計し得たことである。
(4)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年10月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~27に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項15に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1 本件補正」の本件補正前の「請求項15」として記載したとおりのものである。
2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由] 2 引用文献及びその記載事項」に記載したとおりである。
3 対比、判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「第2[理由] 1 本件補正」で検討した「導電性樹脂層」について、「少なくとも一部が前記水分の浸透防止膜の上に形成され」とする限定、及び、「第1電極層」について「銅めっき層である」とする限定を削除するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2[理由] 4 判断」に示したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項15に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-003711