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特許無効審判

2018-800080

1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTH含有骨粗鬆症治療/予防剤

審判番号
2018-800080
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2015-105265
登録番号
6150846
請求日
2018年06月22日
審決日
2024年03月25日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】沢井製薬 株式会社
  • 【請求人代理人】森本 純
  • 【被請求人】旭化成ファーマ 株式会社
  • 【被請求人代理人】細田 芳徳
  • 【被請求人代理人】亀ヶ谷 薫子
審判長/審判官
  • 審判長 松波 由美子
  • 審判官 齋藤 恵
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1113.121-ZAA(A61K) / P1113.536-ZAA(A61K) / P1113.537-ZAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法123条1項2号特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第148条第1項、特許法第134条の2第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第134条の2第3項、特許法第134条の2第6項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条、特許法第123条第1項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6150846号「1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTH含有骨粗鬆症治療/予防剤」の特許無効審判事件についてされた令和2年4月30日付審決に対し、知的財産高等裁判所において、審決を取り消す判決(令和2年(行ケ)第10071号、令和4年22月2日判決言渡)があり、当該判決はその後確定したので、更に審理のうえ、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6150846号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第6150846号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第6150846号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る発明についての出願(特願2015-105265号)は、平成22年9月8日(優先権主張 平成21年9月9日)を国際出願日とする特願2011-530844号の一部を、新たな特許出願として平成27年5月25日に出願されたものであって、平成29年6月2日にその発明について特許権の設定登録がされたものである。 これに対して、請求人は、平成30年6月22日、本件特許の請求項1及び2に係る発明の特許を無効とすることについて、特許無効審判請求を行った。本件特許無効審判手続の経緯は以下のとおりである(当審合議体による書面以外についての日付は、書面の受付日である。)。 1 一次審決までの主な手続の経緯 平成30年 6月22日 審判請求書(請求人) 同年 9月25日 審判事件答弁書(被請求人) 同年 10月15日 参加申請書(ニプロ株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請) 同年 11月 1日付け 参加許否の決定(ニプロ株式会社の参加を許可) 同年 11月 8日 参加申請書(テバファーマスーティカル株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請) 同年 11月 8日付け 審理事項通知書(請求人、ニプロ株式会社及び被請求人宛て) 同年 11月30日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 同年 12月 3日付け 参加許否の決定(テバファーマスーティカル株式会社の参加を許可)及び審理事項通知書(請求人、ニプロ株式会社、テバファーマスーティカル株式会社及び被請求人宛て) 同年 12月12日 口頭審理陳述要領書(請求人) 同年 12月14日 口頭審理陳述要領書(ニプロ株式会社) 同年 12月17日 口頭審理陳述要領書(テバファーマスーティカル株式会社) 同年 12月26日 口頭審理 平成31年 1月11日 上申書(請求人) 同年 1月15日 上申書(ニプロ株式会社) 同年 1月15日 上申書(テバファーマスーティカル株式会社) 同年 2月25日 上申書(被請求人) 同年 2月27日付け 審尋(請求人、ニプロ株式会社及びテバファーマスーティカル株式会社宛て) 同年 3月15日 上申書(請求人) 同年 3月18日 上申書(ニプロ株式会社) 同年 3月19日 上申書(テバファーマスーティカル株式会社) 同年 4月11日 参加申請取下書(テバファーマスーティカル株式会社) 令和1年 7月25日 参加申請取下書(ニプロ株式会社) 同年 8月 6日付け 審決の予告 同年 10月15日 訂正請求書(被請求人) 同年 同月17日 上申書(被請求人) 同年 11月28日 弁駁書(請求人) 同年 12月27日 上申書(被請求人) 同年 4月30日付け 審決(以下「一次審決」という。) 上記のとおり、平成31年4月11日に「テバファーマスーティカル株式会社」の参加申請が取り下げられ、令和1年7月25日に「ニプロ株式会社」の参加申請が取り下げられたため、これらについては「参加人」とはいわず、それぞれ、「テバファーマスーティカル株式会社」、「ニプロ株式会社」という。 2 一次審決 一次審決の結論は、 「 特許第6150846号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2について訂正することを認める。 特許第6150846号の請求項1及び2に係る発明についての審判請求は成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。」 というものであり、同審決は、令和2年5月12日に請求人に送達された。 3 審決取消訴訟 請求人は、一次審決の取消しを求めて、令和2年6月9日に知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 上記訴えは、知的財産高等裁判所において、令和2年(行ケ)第10071号事件として審理され、令和4年2月2日に、主文を 「1 特許庁が無効2018-800080号事件について令和2年4月30日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。」 とする判決(以下「取消判決」という。)の言渡しがあり、その後、同判決は確定した。 4 取消判決確定後の主な手続の経緯 令和4年 10月20日 訂正請求申立書(被請求人) 同年 11月18日付け 審理再開通知書(請求人及び被請求人宛て)及び訂正請求のための期間指定通知(被請求人宛て) 同年 12月 1日 訂正請求書(被請求人) 令和5年 1月24日 上申書(被請求人) 同年 3月31日 弁駁書(請求人) 同年 8月 7日 上申書(被請求人) 同年 11月10日付け 審決の予告 令和6年 1月12日 訂正請求書(被請求人) 同年 1月17日 上申書(被請求人) 第2 訂正請求について 被請求人が提出した令和1年10月15日受付の訂正請求書を、以下「本件第1訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求及び訂正を、以下それぞれ、「本件第1訂正請求」及び「本件第1訂正」という。また、令和4 年12月1日受付の訂正請求書を、以下「本件第2訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求及び訂正を、以下それぞれ、「本件第2訂正請求」及び「本件第2訂正」という。そして、令和6年1月12日受付の訂正請求書を、以下「本件第3訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求及び訂正を、以下それぞれ、「本件第3訂正請求」及び「本件第3訂正」という。 1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容 本件第3訂正は、本件特許の特許請求の範囲を、本件第3訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものであって、その内容は、以下の訂正事項1及び2のとおりのものである(下線部が訂正箇所である)。 なお、本件第3訂正前の請求項2は、請求項1の記載を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件第3訂正請求は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である請求項1、2についてされたものである。 また、本件第2訂正請求は、特許法134条の2第6項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とする、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤; (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である。」 と記載されているのを、 「1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とし、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤; (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。」 に訂正する。 訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項2についても、同様に訂正するものである。 2 訂正の適否の判断 (1) 訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2における、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者」を、「下記(1)~(4)の全ての条件を満た」すと限定し、(4)の条件を「(4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。」と特定するとともに、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2における、「投与される」を「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される」に限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2) 新規事項の追加の有無 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」ともいう。)においては、高リスク患者について、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者(ないし対象者)を「高リスク患者」として定義する。 (1)年齢が65歳以上である (2)既存骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である。」(【0068】)と定義されている。そして、本件明細書には、実施例2において、原発性骨粗鬆症と診断された男女の高リスク患者に対して、被験薬であるテリパラチド酢酸塩200単位を含む注射用凍結乾燥製剤または対照薬であるテリパラチド酢酸塩を実質的に含まないプラセボ製剤をそれぞれ生理的食塩水1mLで用時溶解して72週間にわたり週に1回の頻度で間欠的に皮下投与した試験を行ったことが記載され、当該試験の結果として、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害(【0124】)の骨粗鬆症患者である「Moderate Impairment(<50)」被験者について、被験薬投与群である「PTH200群」と対照薬投与群である「P群」の新規椎体骨折発生率(%)に加えて、投与24週後、投与48週後、投与72週後の新規椎体骨折発生率を示す【表25】が示されている(【0098】【表25】)。これらの記載によれば、実施例2において、被験薬であるテリパラチド酢酸塩200単位を含む製剤が、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minの中等度腎機能障害の上記(1)~(3)の条件を満たす高リスク骨粗鬆症患者に投与されたことが理解できる。 また、本件明細書には、実施例2における骨密度増加に関し、24週後、48週後、72週後の腰椎骨密度変化率(%)の表が示され(【0127】【表26】)、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害の骨粗鬆症患者である「Moderate Impairment(<50)」のうち、「PTH200群」の48週後の腰椎骨密度変化率(%)の平均値が4.9、標準偏差4.4であることが記載されている。そして、【0104】に、腰椎骨密度の測定は開始時と以降24週毎に実施したとの記載があることから、【表26】に記載の「48週後」、は「48週投与時点」の意味であると理解できる。 したがって、骨粗鬆症患者が、及び、訂正後の請求項1における「(1)~(4)の全ての条件を満た」し、(4)の条件が「クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである」こと、及び、「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対して、48週を超過して72週以上までの間投与される」ことは、本件明細書の記載から導き出せる事項である。 以上より、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (3) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記(1)から明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2における、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者」を、「下記(1)~(4)の全ての条件を満た」すと限定し、(4)の条件を「(4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。」と特定するとともに、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2における、「投与される」を「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される」に限定するものであるから、訂正前の請求項1及び2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 第3 本件第3訂正発明 上記第2のとおり、本件第3訂正が認められるから、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件第3訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(下線部は本件第3訂正による訂正箇所である)。 なお、以下、本件第3訂正後の請求項1及び2に係る発明を、それぞれ、「本件第3訂正発明1」及び「本件第3訂正発明2」ということがある。 【請求項1】 1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とし、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤; (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。 【請求項2】 PTH(1-34)又はその塩がヒトPTH(1-34)酢酸塩である、請求項1に記載の骨粗鬆症治療ないし予防剤。 第4 請求の趣旨、請求人の主張及び請求人が提出した証拠方法 請求人は、「特許第6150846号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の書証を提出し、本件特許が無効とされるべき理由として、以下に要約される無効理由1~3を主張している。 1 無効理由1(明確性要件) 本件特許発明1及び2に記載されている「200単位」に係るPTH1単位量については、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができない。 したがって、本件特許発明1及び2は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものであるから、これらの請求項に係る発明についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 2 無効理由2(実施可能要件) 本件特許発明1及び2に記載されている「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件特許発明を実施することができない。 したがって、本件特許発明1及び2については、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、これらの請求項に係る発明についての特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 3 無効理由3(進歩性) 本件特許発明1及び2は、甲第7号証に記載された発明及び技術常識に基づき(甲第7号証が主引例、技術常識を示す証拠として甲第8号証、甲第9号証、甲第11号証、甲第12号証、及び甲第30号証ないし甲第33号証)、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る発明についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 4 証拠方法 ・甲第1号証 特願2009-208039号の出願書類(平成21年9月9日特許出願) ・甲第2号証 再公表特許WO2011/030774号(2010年9月8日国際出願の再公表) ・甲第3号証 薬学図書館、Vol.31、No.4(1986年)p.200-219(1986年) ・甲第4号証 Endocrinology、Vol.85(1969年)p.801-810 ・甲第5号証 米国特許第4086196号明細書(1978年) ・甲第6号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1~12、p.20、p.24、p.52(平成26年4月18日) ・甲第7号証 Osteoporosis International、Vol.9(1999年)p.296-306 ・甲第8号証 「退行期骨粗鬆症の診断」、医学のあゆみ、Vol.152、No.5(1990年)p.288-290 ・甲第9号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(奥付は甲第35号証) ・甲第11号証 日本慢性腎臓病対策協議会「腎機能をチェックしましょう」(インターネットホームページ http://j-ckdi.jp/c kd/check.html)(平成30年5月16日出力) ・甲第12号証 山口徹 外編「今日の治療指針 私はこう治療している2009」(2009年1月1日)医学書院、p.1167-1175 ・甲第30号証 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2007年)ライフサイエンス出版株式会社、p.13、p.59-60 ・甲第31号証 厚生省医薬安全局審査管理課長「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて 医薬審第742号」(平成11年4月15日)表紙、p.4-8 ・甲第32号証の1 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのMEDICAL REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第32号証の2のホームページに掲載)p.62 ・甲第32号証の2 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEO teriparatide(rDNA origin) injectionの医薬承認情報」(アメリカ食品医薬品局(FDA)のインターネットホームページ https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2002/21-318_Forteo.cfm)(2004年3月24日) ・甲第33号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのSTATISTICAL REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第32号証の2のホームページに掲載)p.21(合議体注:甲第33号証は、甲第57号証のうちのp.21のみであるから、以下では「甲第33号証」の代わりに「甲第57号証」を証拠として用いる。) (以上、審判請求書に添付。甲第10号証及び甲第13号証~甲第18号証、甲第21号証~甲第29号証は欠番。甲第19号証、甲第20号証は、後に提出。) ・甲第35号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(甲第9号証と同じ) ・甲第36号証 World Health Organization「 WHO Expert Committee on Biological Standardization 26th Report」(1975年)p.9-11 ・甲第37号証 World Health Organization「 WHO Expert Committee on Biological Standardization 32nd Report」(1982年)p.28-29 ・甲第38号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 36th Report」(1987年)p.25-26 ・甲第39号証 Japanese Journal of Transfusion Medicine、Vol.44、No.4(1998年)p.465-472 ・甲第40号証 Endocrinology、Vol.99、No.2(1976年)p.429-436 ・甲第41号証 日本骨代謝学会雑誌 JJBM、Vol.3、No.1(1985年)p.29-37 ・甲第42号証 社団法人日本分析化学会 編「分析化学実験ハンドブック」(昭和62年)丸善株式会社、p.571-591 ・甲第43号証 臨床薬理 Jpn J Clin Pharmacol Ther、Vol.40、No.2(2009年3月)P.11S-12S ・甲第44号証 平田純生 編「腎不全と薬の使い方Q&A-腎不全時の薬物投与一覧-」(平成17年)株式会社じほう、p.245-252 ・甲第57号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのSTATISTICAL REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第32号証の2のホームページに掲載)p.1~23 (合議体注:甲第33号証は、甲第57号証のうちのp.21のみ) ・甲第58号証 桑島巌 監修「MRサポートシリーズ(1)エビデンス」(2003年)株式会社メディカルエデュケーション、p.24-25、p.44-45(合議体注:上記「(1)」は丸囲みの1) (以上、平成30年12月12日受付け口頭審理陳述要領書に添付。甲第34号証及び甲第45号証~甲第56号証は欠番。) ・甲第60号証 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2007年2月1日)ライフサイエンス出版株式会社、p.2-3 (以上、令和1年11月28日受付の弁駁書に添付。甲第59号証は欠番。) ・甲第19号証 Journal of Bone and Mineral Research,Vol.24,No.4(2009年)p.726-736 ・甲第20号証 Journal of Bone and Mineral Research,Vol.23,No.10(2008年)p.1591-1600 ・甲第61号証 令和2年(行ケ)第10069号判決(知的財産高等裁判所 令和3年12月9日判決言渡) ・甲第62号証 Archives of Internal Medicine,Vol.164,No.15(2004年)p.2024-2030 ・甲第63号証 「メルクマニュアル 第18版 日本語版」日経BP社(2006年)p.322-326 (以上、令和5年3月31日受付の弁駁書に添付。) 以下、「甲第1号証」~「甲第63号証」をそれぞれ「甲1」~「甲63」ということがある。 第5 被請求人の主張及び証拠方法 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がないと主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。 ・乙第1号証 社団法人日本生化学会編「生化学データブック I 縮刷版」(1981年)株式会社東京化学同人、p.1348-1349 ・乙第2号証 山科郁男 監修「レーニンジャーの新生化学〔上〕 第2版」廣川書店(平成10年)p.168-169 ・乙第3号証 厚生省医薬安全局審査管理課長「「臨床試験のための統計的原則」について 医薬審第1047号」(平成10年11月30日)表紙、目次、p.35-36 ・乙第8号証の1 「エルシトニン(R)注10単位の医薬品インタビューフォーム」(2011年2月改訂、1982年9月1日発売)表紙、p.9、p.11、p.25 ・乙第8号証の2 「カルシトラン(R)注10の医薬品インタビューフォーム」(2015年3月改訂、1990年5月25日発売)表紙、p.9、p.11、p.18 ・乙第8号証の3 「ダイドロネル(R)錠200の医薬品インタビューフォーム」(2013年9月改訂、1990年11月30日発売)表紙、p.7、p.24 ・乙第8号証の4 「ワンアルファ(R)錠0.25μg ワンアルファ(R)錠0.5μg ワンアルファ(R)錠1.0μg ワンアルファ(R)内用液0.5μg/mLの医薬品インタビューフォーム」(2014年10月改訂、内用液は1987年11月9日発売、錠剤は1988年7月21日発売)表紙、p.14、p.27 ・乙第8号証の5 「ロカルトロール(R)カプセル0.25 ロカルトロール(R)カプセル0.5の医薬品インタビューフォーム」(2015年4月改訂、1986年5月6日発売)表紙、p.1 ・乙第8号証の6 「グラケー(R)カプセル15mgの医薬品インタビューフォーム」(2014年4月改訂、1995年10月4日発売)表紙、p.9、p.30 ・乙第9号証 Journal of Bone and Mineral Metabolism、Vol.22(2004年)p.569-576 ・乙第10号証 知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10241号の判決書(平成28年11月28日判決言渡)p.1-9、p.63-65 ・乙第11号証 NPO法人日本腎臓病協会「腎機能をチェックしましょう 」(インターネットURL https://j-ka.or.jp/ckd/check.php)(平成30年8月10日出力) ・乙第21号証 異議2018-700232の異議の決定(平成30年5月30日付け)(特許第6198346号に対する異議の決定) ・乙第22号証 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」の「III 骨粗鬆症による骨折の危険因子」の第1ページ、「V 骨粗鬆症の治療 A.治療の目的と開始基準:骨折の危険因子をふまえて a.目標」のp.1-2(インターネットURL https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0046/G0000129/0001、https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0046/G0000129/0018、https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0046/G0000129/0022) ・乙第40号証 異議2017-701219の異議の決定(平成30年3月28日)(特許第6150846号に対する異議の決定) (以上、答弁書に添付。乙第4号証~乙第7号証、乙第12号証~乙第18号証、乙第20号証、乙第21号証及び乙第23号証~乙第39号証は欠番。乙第12号証、乙第13号証、乙第15号証、乙第16号証及び乙第19号証は後に提出。) ・乙第12号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1、p.12、p.20、p.62-64(平成26年4月18日) ・乙第12号証の2 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1、p.24(平成26年4月18日) ・乙第12号証の3 NIH Consensus Statement、Vol.17、No.1(2000年)p.1-5 ・乙第13号証 総括班長 祖父江逸郎「厚生省厚生科学研究費補助金 シルバーサイエンス研究 昭和63年度研究報告」(1989年)p.81-82 ・乙第15号証 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年9月改訂、2008年3月7日製造販売承認、2008年6月20日発売)表紙、p.5、p.7 ・乙第16号証 Bone and Mineral、Vol.3(1988年)p.193-199 ・乙第22号証の2 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2007年)ライフサイエンス出版株式会社、表紙、奥付 ・乙第41号証 大橋靖雄 外著「生存時間解析 SASによる生物統計」(1995年)財団法人東京大学出版会、p.32-35 (以上、平成30年11月28日受付の口頭審理陳述要領書に添付。) ・乙第9号証の2 医療法人財団健康院理事長 健康院クリニック院長 折茂肇「陳述書」(平成28年1月5日) ・乙第9号証の3 五反田リハビリテーション病院院長補佐 中村利孝「陳述書」(平成28年4月28日) ・乙第15号証の2 東洋醸造株式会社「一般的名称 酢酸テリパラチド、販売名 ヒトPTH(東洋)」の医薬品製造承認申請書(昭和60年4月22日)表紙、提出資料一覧表の表紙とp.1、提出資料のうちの「ヒトPTH(1-34)の概要」の表紙、中表紙、目次、p.1-3、p.18-21 ・乙第15号証の3 日本内分泌学会雑誌、Vol.60、No.3(1984年)p.159-170 ・乙第15号証の4 Endocrinol. Japon.、Vol.31、No.1(1984年)p.33-40 ・乙第15号証の5 Bone、Vol.16、No.4(1995年)p.477-484 ・乙第15号証の6 特開平5-70367号公報(平成5年3月23日) ・乙第15号証の7 WO93/05805(1993年4月1日国際公開) ・乙第15号証の8 Biopolymers、Vol.20(1981年)p.1823-1832 ・乙第15号証の9 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年)表紙、p.1-3 ・乙第15号証の9 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年)表紙、p.1-3 ・乙第42号証 Clinical Calcium、Vol.10、No.7(2000年)p.77-83 ・乙第43号証 黒川清 外「骨粗鬆症 正しい知識と予防法」(1995年)株式会社日本メディカルセンター、p.19-25 (以上、平成31年2月25日受付の上申書に添付。) ・乙第50号証 旭化成ファーマ株式会社 メディカル・アフェアーズ部 鵜澤豊暢「陳述書」(2019年10月7日) ・乙第51号証 各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局審査管理課長通知「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて」医薬審第742号(平成11年4月15日) ・乙第52号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 田中理砂「実験成績証明書A」(令和1年10月11日) ・乙第53号証 Arthritis & Rheumatism、Vol.50、No.12(2004)p.4028-4034 ・乙第54号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 田中理砂「実験成績証明書B」(令和1年10月9日) ・乙第61号証 旭化成ファーマ株式会社 医薬マーケティング本部 骨領域事業戦略部 中村泰朗「テリボンの開発に関する陳述書」(令和1年10月9日) ・乙第62号証 最高裁判所 平成30年(行ヒ)第69号の判決書(令和1年8月27日判決言渡)p.1-6 (以上、令和1年10月17日受付の上申書に添付。乙第44号証~乙第49号証及び乙第55号証~乙第60号証は欠番。) ・乙第67号証 「治験における品質マネジメントに関する基本的考え方について」、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長からの通達、令和元年7月5日 ・乙第68号証 「テリボン皮下注用56.μg」の承認申請資料、第2部(モジュール2)2.7.6 個々の試験のまとめ、2.7.6-163~2.7.6-176頁 https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100155/index.html ・乙第69号証 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」13~14頁、ライフサイエンス出版株式会社 ・乙第70号証 「脆弱性骨折患者に対する二次骨折予防─「再骨折予防手帳」の使い方」、山本智章、2~5頁、日本医事新報社 ・乙第71号証 「日本の骨粗鬆症指導に関する文献検討」、松井 宏樹 他、人間看護学研究16:49-55(2018) ・乙第72号証 第6回庄の原健康講座 「骨粗鬆症の話」~寝たきりにならないために~ (庄の原クリニックホームページより)https://www.oitagunshi-ishikai.jp/syonoharu-clinic/lecture/osteoporosis.pdf (令和5年8月7日受付の上申書に添付。乙第63号証~乙第66号証は欠番。) ・乙19 N Engl J Med、Vol.344、No.19(2001年)p.1434-1441 ・乙73 フォルテオ皮下注キット600μg 承認申請資料「2.7.6 個々の試験のまとめ」、表紙、目次(1~8枚まで)、p.374-377、2010年承認(令和5年9月22日出力) (令和6年1月17日受付の上申書に添付。) 以下、「乙第1号証」~「乙第73号証」をそれぞれ「乙1」~「乙73」ということがある。 第6 テバファーマスーティカル株式会社が提出した文献のうち、合議体が引用する文献 ・引用文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2006年)ライフサイエンス出版株式会社、iii-ix、p.9-12、p.22-83、p.93-102、p.110-113、p.120-141 (当該引用文献1は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第4号証として、平成30年12月14日受付の口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) ・引用文献2 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「販売名 フォルテオ皮下注カート600μg、同皮下注キット600μg」の審査報告書(平成22年4月6日、平成22年5月6日付け審議結果報告書に添付)p.1-106 (当該引用文献2は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第15号証の1として、平成30年12月14日受付の口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) ・引用文献3 Osteoporosis International、Vol.18(2007年)p.59-68 (当該引用文献3は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第15号証の1として、平成30年12月14日受付の口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) 第7 甲号証の記載事項 1 甲3 甲3-ア 「図7.PTHの標的細胞における作用機序 その作用はcAMPをセカンドメッセンジャーとして発現される。・・・ [図:0001415605000001.jpg] 」 (206頁図7) 2 甲4 甲4-ア 「酵素調製物 標準のPurina chowで、通常通りの飼育条件を保った、体重150-200gの雄のSDラットを、断頭で死亡させた。腎臓を素早く切除し、冷やした0.25Mスクロース中に入れ、外側の腎皮質を、可能な限り髄質を少なくするよう取り除き、切り離した。組織(500mg、2つの腎臓の腎皮質を表す)を、4mlの10%v/vジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する、Tris-HCl、0.05M、pH7.4に移し、モーター駆動のテフロン乳棒を用いて、ガラスチューブ中でホモジナイズした。2000×gで10分間ホモジネートを遠心分離することにより微粒子状フラクションを得て、沈殿物を4mlのTris-HCl-DMSO中に再懸濁し、再度遠心分離した。微粒子状酵素調製物をTris-HCl-DMSO中に懸濁して、約15mg/mlのタンパク質濃度とし、少量ずつ分注して液体窒素中で保存した。タンパク質濃度はLowryらの方法により決定した。」 (802頁右欄1行~22行) 甲4-イ 「in vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ 5μlの容量のペプチド調製物を反応混合物に加え、アデニルシクラーゼ懸濁液を添加することにより、反応を開始した。インキュベーションは、記載してある場合を除き、10分間行った。活性は、タンパク質mg当たり、生成した3’5’-AMPのμmoleとして、表された;生成した3’5’-AMPの量は、添加した放射活性のある基質の既知の比活性から計算した。 バイオアッセイは、用量反応曲線の線形部分の中で、3つの濃度の標準調製物と、未知の調製物により行った。各濃度で、4回の測定を行った。結果はGaddumの方法により解析し、全ての比較データは、並行性と線形性の基準を満たす副甲状腺ホルモンを示した。アッセイの傾きは、最小二乗法で計算した。副甲状腺ホルモンのラジオイムノアッセイは、以前報告された方法で行った。」 (803頁左欄28行~右欄18行) 甲4-ウ 「アデニルシクラーゼのアッセイ α-標識AT32Pから3’5’-cyclic AM32P(3’5’-AMP)の形成は、Krishnaらにより報告されているのと同様のアッセイに、KClとATPの再生系を加えて修正して測定した。反応混合物は以下のものを含む:総容量70μlにおいて示される、Tris-HCl、0.05M、pH7.4;MgCl2、4.5×10-3M;テオフィリン、9×10-3M;ウシ血清アルブミン、0.013%;KCl、3×10-2M;ピルビン酸キナーゼ、0.07mg/ml;ホスホエノールピルビン酸(PEP)、5.4×10-3M;α-32P-ATP、1.1×10-3M(比放射活性 約25cpm/μmole);約400μgの酵素懸濁液;そして、ホルモン、ポリペプチド、またはNaF。」 (802頁右欄23行~803頁左欄1行) 甲4-エ 「インキュベーションは、Dubnoff metabolic shaker中37℃で行い、Tris-HCl、0.05M、pH7.4中に、ATPを4×10-2M、3H-3’5’-AMPを1.25×10-2M(約3×104cpm)含有するキャリア溶液100μlを加える事により、反応を停止させた。」 (803頁左欄1行~7行) 甲4-オ 「使用したバイオアッセイの標準品は、我々の研究室で調製した、TCAフラクションの1ロットであり、National Institute for Medical Research、 Mill Hill、ロンドンのMedical Research Councilに提供し、ロット番号MRC67/342としてパッケージされ、流通している。副甲状腺抽出物USP(リリー)に対するin vivoのバイオアッセイをいくつか行った後、そのロットを265USP U/mgの活性のあるタンパク質と指定した(180USP U/vial)。」 (801頁右欄8行~16行) 甲4-カ 「副甲状腺腺腫から抽出し、TCA沈殿の段階まで精製した、ヒト副甲状腺ホルモンによってもアデニルシクラーゼの活性化が起こった。しかし、反応の傾きはウシのホルモンで得られたものの30%しかなく、効力を特定することは出来なかった。」 (806頁右欄24行~31行) 甲4-キ 「ラット腎臓からのアデニルシクラーゼの安定な調製による、in Vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ」 (801頁論文タイトル) 3 甲7 甲7-ア 「ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)の骨粗鬆症に対する間欠週1回投与の効果:3種類の投与量を用いた無作為化二重盲検前向き試験」 (296頁論文タイトル) 甲7-イ 「要約 骨粗鬆症治療における骨形成促進剤として見込まれるヒト副甲状腺ホルモンのアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の効果を試験するため、二重盲検方式で無作為に3群に割り付けた71施設の220人の骨粗鬆症患者で50単位(L群)、100単位(M群)又は200単位(H群)のhPTH(1-34)の週1回皮下注射を開始した。二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による腰椎骨密度(BMD)が48週間後にL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%増加し、L群と比べてM及びH群の応答が有意に高かった(p<0.05、マン・ホイットニーのU検定)。腰椎測定値の変動係数は1~2.5%に留まったため、3.6%及び8.1%の増加は有意であると思われた。X線写真測定法(radiogrammetry)によって測定した中手骨BMD及び皮質骨幅は有意に変化しなかった。各群で血清カルシウムが低下し、M及びH群で血清リンが低下した。H群で12週目に、M及びL群で24週目及び48週目に尿カルシウム/クレアチニンが低下した。48週目に各群で血清25(OH)ビタミンD及び1、25(OH)2ビタミンDが低下した(p<0.05)。H及びM群で4週目に血清骨型アルカリホスファターゼが増加し、H群では48週目に低下した。各群で尿ヒドロキシプロリン、ピリジノリン及びデオキシピリジノリンが有意に減少した。各群の30~40%で背部痛が改善された。試験期間中、重篤な有害作用は認められなかった。hPTH(1-34)の間欠週1回注射は骨粗鬆症において腰椎BMDを増加させたことから、骨粗鬆症治療における有用性が示唆される。」 (296頁左欄1行~右欄7行) 甲7-ウ 「緒言 閉経後及び退行期骨粗鬆症の治療は主に、エストロゲン、ビスホスホネート類及びカルシトニン類などの骨吸収抑制剤に頼っている。これらの薬剤の使用によって骨密度(BMD)が増加するため、骨折予防は飛躍的に進歩したことから、骨形成の刺激によって、骨吸収抑制剤の即効性の、時に一時的な効果が補完されることが考えられ、骨吸収抑制剤の骨形成促進作用の持続時間が長くなり、退行期骨粗鬆症、特に低回転型の疾患に対して注目すべき有効な治療となり得ることが期待される。副甲状腺ホルモン(PTH)は、特に間欠投与時に骨形成促進作用を有することが動物及びヒトで示されているが、骨が極めて高用量のPTHに持続的に曝露されることによって、原発性副甲状腺機能亢進症に見られるような線維性骨炎が発生しないか懸念された。100又は200単位のヒトPTHアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の単回皮下注射による予備試験では、血清リンの低下、血漿サイクリックAMPの上昇並びにカルシウム及びサイクリックAMPの尿中排泄量の増加など、有意な代謝効果が示された。100又は200単位の週1回注射は26週間後に腰椎BMDの有意な増加をもたらしたが、週1回5単位は効果がなかった。 したがって、本試験においては、220人の骨粗鬆症患者で週1回50、100又は200単位のhPTH(1-34)の効果に関する無作為前向き二重盲検多施設試験を実施した。主要エンドポイントは二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)によって評価した腰椎BMDであり、補助変数としてX線写真測定法による中手骨皮質骨BMD及び骨代謝回転の生化学マーカーを用いた。取り組むべき問題は、週1回投与するこれらの用量のhPTH(1-34)(過去に試験されたことのない低用量間欠レジメンに相当する)が骨粗鬆症治療に有効か否かであった。」 (296頁右欄10行~297頁左欄25行) 甲7-エ 「被験者 71施設が参加する多施設試験を計画した。この試験は、厚生省の支援下にある委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された45歳~95歳の220人の被験者で実施した。この方式では、骨粗鬆症を単に非外傷性脊椎骨折が存在する、又は脊椎骨折が2箇所に存在するものとして定義するのでなく、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義するものである。スコアの計が4より高い場合(骨粗鬆症として定義される)を本試験への組入れ基準とした。・・・X線写真上の骨減少は腰椎の側面X線像上での骨梁の粗鬆化、すなわち、(1)横走骨梁の欠損に起因する縦走骨梁の著明化、(2)縦走骨梁の粗化及び(3)縦走骨梁の減少が認められた場合とした。X線写真上の骨減少はBMDの若年成人平均値から20%又は2.5SDの減少に相当する。・・・X線写真上の骨減少度がグレード1~3又はBMDが若年成人の平均値から2.5SD未満の場合はスコア3とした。椎体骨折が1箇所の場合はスコア1、骨折が2箇所以上の場合はスコア2とした。大腿骨頸部骨折がある場合はスコア3とし、遠位橈骨骨折はスコア1とした。骨粗鬆症の診断を裏付ける因子に関して、正常な血清カルシウム、リン及びアルカリホスファターゼの値をスコア1とすることにより、骨軟化症、原発性副甲状腺機能亢進症及び腎性骨ジストロフィーなどの骨減少に係る骨粗鬆症以外の原因を除外し、一方でこれらのうちの1つ以上が異常であった場合にはスコア1を減じた。同様に、被験者が閉経前である場合にはスコア1を減じた。 2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している被験者、過敏症の既往がある被験者及び自覚症状の自己評価の信頼性が疑わしい被験者は除外した。・・・ 他の薬物の効果とhPTH(1-34)の効果を取り違えないように、試験開始3ヵ月前から試験期間を通して、骨代謝及び骨粗鬆症の経過に影響を及ぼす可能性のある薬剤は控えられた。こうした薬剤には、エストロゲン類、カルシトニン類、活性型ビタミンD、ビタミンK2、イプリフラボン、ビスホスホネート類及びアナボリックステロイド類が含まれた。」 (297頁左欄27行~右欄29行) 甲7-オ 「hPTH(1-34)(テリパラチド酢酸塩)の調製及び投与方法 旭化成工業によって合成されたhPTH(1-34)の純度及び生物学的効力について、国際標準ウシPTH(1-84)に対するラット腎皮質膜によるサイクリックAMP産生を利用してアッセイしたところ、3300単位/mgが得られた。各バイアルには50、100又は200単位のテリパラチド酢酸塩が含まれ、これは約15、30及び60μgのペプチドに相当した。・・・ 週1回100又は200単位のhPTH(1-34)を26週間投与したところ腰椎BMDが上昇した予備試験の結果に基づき、試験期間は48週間に設定した。この期間は、恒常的に骨折の危険性及び不安を抱える骨粗鬆症集団において、脱落率が過度とならずに、定期的に骨測定並びに血液及び尿試料採取を行う適切に管理された多施設試験を実施できる限界とも考えられた。Schwietert et al.がまた、ヒトにおける5μg/kg PTH(1-84)の投与の安全性に関しても報告している。」 (297頁右欄43行~298頁左欄24行) 甲7-カ 「自覚症状. 骨粗鬆症に起因する痛みを安静時自発痛と運動時痛に分類し、治療0、2、4、12、24及び48週間後又は試験終了時に以下のグレード評価スキームによって評価した。安静時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;かなり痛いが耐えられる痛み、及び4;重度の耐えられない痛みとしてグレード分けした。運動時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;動きを妨げるかなりの痛み、及び4;動くことが不可能な激痛としてグレード分けした。患者は自身の痛みの程度をアナログ尺度で自己評価した。」 (298頁左欄34行~44行) 甲7-キ 「骨所見. (a)腰椎BMDの測定. 治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時に腰椎(L2-4)の骨塩量、骨面積及びBMDをDXA(QDR(Hologic)、DPX(Lunar)又はXR(Norland))によって前後方向投影で測定した。参加施設数が多いため、十分な品質管理を維持することが困難であった。各施設でBMD測定がルーチン的に行われ、装置に付随する推奨に従い毎日ファントムを測定した結果、変動係数(CV)が1%~2.5%に維持された。 患者の年齢が高いため、圧迫骨折及び結果として起こる変化に加え、脊椎の退行性変化が脊椎BMDの前後方向測定において深刻な問題となった。このため、L2、L3又はL4に骨棘や圧迫変形などの脊椎の退行性変化を有する被験者は全て、薬物効果の根拠となるデータから除外した。このため、脊椎BMD測定における組み入れ前の脱落率が高くなった。 (b)中手骨BMDの測定. 治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時にファントムと共に手の前後方向X線写真で非利き手側第2中手骨のX線写真測定法を行った。試験完了後、71施設で撮影された全てのフィルムのコンピュータデジタル画像処理による測定がトーヨー検査センターで実施された。1人の観察者による同じフィルム上の中手骨BMDの10回連続測定(ΣGS/D)に基づくデジタル画像処理方法の精度により0.59のCVが得られ、3人の観察者による同じ手順から1.47のCVが得られた。同じ被験者から4枚の手のフィルムを撮影し、各々について測定を行ったところ、1.72のCVが得られた。 (c)椎体骨折評価. それぞれL3及びT8に焦点を絞った腰椎及び胸椎の側面X線像で、1人の放射線科医が椎体の圧迫骨折や変形を評価した。前縁高/後縁高比の25%以上の低下及び中央高/後縁高の20%以上の低下を有意な変形と定義した。」 (298頁左欄45行~右欄35行) 甲7-ク 「有害反応及び有害事象の調査. 試験中の有害事象を記録し、詳細を調査した。有害事象は、その経過、重症度、治療及び結果の総合的判定に基づき、(1)被験薬が原因である、(2)恐らく被験薬が原因である、(3)恐らく被験薬が原因ではない、及び(4)被験薬が原因ではないとしてグレード分けした。有害反応には暫定的に(1)~(3)を含めた。」 (298頁右欄下から5行~299頁左欄3行) 甲7-ケ 「結果 表1は、本試験への参加が認められた被験者の組入れ基準の詳細を要約する。 当初無作為二重盲検割り付けによって本試験に登録した220人の被験者(50単位群(L)に73人、100単位群(M)に75人及び200単位群(H)に72人]のうち、41人は骨粗鬆症の診断基準を満たさず、また、前治療薬のウォッシュアウトが不十分なため、不適格とした。 BMDの正確な測定を妨げる腰椎の退行性変化及び圧迫変形を有する患者、及び指定時間外に測定が行われた患者の除外が、更に64人の患者に上った。したがって腰椎BMDに対する効果の分析は115人の被験者:L群39人、M群38人及びH群38人(表2)で行った。61人の被験者は、副作用、中途での心変わりにより試験を拒絶、合併症の増悪等が理由で本試験を完了することができなかったが、最初の3か月以内に脱落しない限り、これらの被験者も分析群に含めた。 被験者の治療開始時の特徴を各グループで比較したものを表3に示した。3群とも被験者が一様に分布していることを確認した。」 (299頁左欄10行~300頁左欄3行) 甲7-コ 「 [図:0001415605000002.jpg] 」 (299頁表1) 甲7-サ 「 [図:0001415605000003.jpg] 」 (299頁表2) 甲7-シ 「 [図:0001415605000004.jpg] 」 (300頁表3) 甲7-ス 「自覚症状 主に背部痛からなる自覚症状は、L群で52人中21人の被験者(40% )、M群で60人中18人の被験者(30%)及びH群で47人中17人の 被験者(36%)が中等度以上の改善を示した。群間に有意な差はなかった (表4)。」 (300頁左欄4行~10行) 甲7-セ 「 [図:0001415605000005.jpg] 」 (300頁表4) 甲7-ソ 「骨測定 本試験の48週間における腰椎BMDの変化を図1に示す。腰椎BMDは、24及び48週間後に試験開始時のレベルと比較してL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%と用量依存的に増加した。この増加は24及び48週目にL群よりもM及びH群で高く、及び48週目にM群よりもH群で大きかった(p<0.05)。応答は、64歳以下及び65歳以上、体重49kg以下及び50kg以上、閉経後10年未満、10~20年及び20年超、椎骨骨折0、1及び2箇所以上の被験者サブ群間で同様であった。第2の中手骨(皮質骨からなる)のX線写真測定法による密度に有意な差は認められなかったことから、各群間で皮質骨及びX線写真上の骨減少の程度が維持されていることが示唆される。椎体骨折数はL群で3、M群で5及びH群で0発生した;各群間の差は有意でなかった。」 (300頁左欄11行~右欄末行) 甲7-タ 「 [図:0001415605000006.jpg] 図1.治療週数に対する腰椎BMD(平均値±SD)のパーセンテージ変化。 点線で結んだ白抜きの四角□:50単位PTHを投与した被験者(L群)のデータ、 実線で結んだ塗り潰しの丸●:100単位PTHを投与した被験者(M群)のデータ、 破線で結んだ白抜きの丸○:200単位PTHを投与した被験者(H群)のデータ a マン-ホイットニーのU検定によりL群の値とp<0.05で有意差あり b M群の値とp<0.05で有意差あり。 *マン-ホイットニーのU検定によりp<0.05で有意なベースライン値からの増加。」 (300頁図1) 甲7-チ 「生化学パラメータ 図2に示されるとおり、血清Caは2週目から低下し始め、4週目以降は基礎値よりも有意に低かった。血清Pもまた2週目から低下した。尿中Caは2週目から低下し、試験期間を通じて基礎レベル未満に留まり、及び尿中Pもまた低下した。血清25(OH)ビタミンD及び1、25(OH)2ビタミンDレベルは、図3に示されるとおり、各群で48週目にベースライン値からやや低下した。図4に示されるとおり、骨型アルカリホスファターゼは4週目にベースラインレベルよりも高く、H群においてのみ24及び48週目に低かった。尿ピリジノリン、デオキシピリジノリン及びヒドロキシプロリン排泄量は、図5に示されるとおり、L及びH群で24及び48週目にベースライン値から減少した。 表5に示されるとおり、各群で本試験の経過中に何らかの異常検査所見が現れたが、いずれも顕著でなく、又は持続性でなく、被験薬が原因因子であることを示すものではなかった。表6は、治療中に起こった有害反応を要約する。29症例で被験者が症状に起因して試験から脱落した。hPTH(1-34)の用量の増加と合致して有害反応の総数が増加したものの、重篤な有害事象は認められなかった。」 (301頁左欄1行~右欄4行) 甲7-ツ 「 [図:0001415605000007.jpg] 」 (303頁表5) 甲7-テ 「 [図:0001415605000008.jpg] 表6 被験者における治療期間中の有害反応 a 臨床検査異常を含む b 有害反応による脱落症例数」 (305頁表6) 甲7-ト 「考察 原発性副甲状腺機能亢進症における過剰量のPTHの持続的な分泌は、骨、特に皮質骨の顕著な欠損によって特徴付けられるが、組織形態測定では皮質骨が比較的良好に保存されていることが示される。PTHはまた、骨芽細胞活性及び骨形成も刺激し、骨に形成促進作用を及ぼし得る。 動物試験ではPTHの骨形成促進作用が高頻度で確認されており、骨の物理的特性の改善が報告されている。1つのN末端アミノ酸を取り除くと効果がほぼ消失したため、かかる骨形成促進作用はPTHの失われていないN末端部分に依存するものと思われる。 海綿骨の増加が一貫して報告された一方、皮質骨は反応が低かった。間欠投与はPTHの骨形成促進作用を生じさせるのに一層有効であるように思われた。これまで骨粗鬆症の治療には主にエストロゲン、カルシトニン及びビスホスホネートなどの骨吸収抑制剤が利用されており、骨吸収を刺激する骨形成促進剤は、特に低代謝回転型の骨粗鬆症において有用となり得る。フッ化物は、BMDの驚くべき増加を誘導するその作用にも関わらず、問題がないわけではない:フッ化物は骨折発生率を低下させることはできず、かつ骨疼痛などの副作用を生じる。PTHは依然として骨形成促進剤の良好な候補である。ヒトにおいては、PTHもまた、高用量で用いる場合にBMDを増加させるが、ヒトにおいて好ましい効果を生じる間欠投与方法は依然として未解決の問題である。Reeveらは、12人の骨粗鬆症患者で間欠用量のhPTH(1-34)(7日間投与及び21日間休薬を16サイクル繰り返す)を用いて多施設試験を行い、様々な実施施設で全身Caの僅かな増加が観察されたが、BMDの増加は有意でなかったと報告している。1日1回投与(これは持続注入と比べてなおも間欠的であり得る)は、より好ましい結果をもたらした。Reeveらは21人の患者に6~24ヵ月にわたって約250単位のhPTH(1-34)を1日1回投与して、重篤な有害作用のない、血清アルカリホスファターゼの15%上昇を伴う顕著な骨の付着成長を実証した。Lindsayらは3年間の無作為化対照試験を実施し、ホルモン補充療法を受けている17人の閉経後女性に1日1回の皮下注射によって25μg hPTH(1-34)を投与し、その結果を対照群であるホルモン補充療法単独を行った17人の閉経後女性と比較した。PTHの投与を受けた群では椎骨BMDが13.0%増加したが、対照群では有意な増加は示されなかった。他の試験では、PTHはエストロゲンとの併用が有効であった。 また、ビタミンD誘導体との併用によってPTHの効果を増強することも試みられた。400~500単位のhPTH(1-34)を0.25μgの1、25(OH)2ビタミンD3と併せて投与したとき、骨梁の増加が認められた。カルシトニンとの併用もまた用いられた。Heschらは720~750単位のhPTH(1-37)を8週間にわたって毎日、2~4日目、6~8日目及び8~10日目の間に1日1回の鼻腔内カルシトニン投与を4サイクル繰り返した。Hodsmanらもまた、1ヵ月間にわたる1日1回の800単位のPTH投与の後に2ヵ月間休止する反復サイクルによる治療の結果として、2年で腰椎BMDの8~10%の増加を達成した。 単位量当たりのhPTH(1-34)の生物学的活性は試験間で異なるように見える。例えば、Lindsayらの試験では、400単位(25μg)のhPTH(1-34)が用いられた。用いられた製剤が異なるため、hPTH(1-34)の用量に関して本試験の結果を他と比較することは難しいが、本試験における間欠週1回投与は明らかに、多くの先行試験と比べてhPTH(1-34)の総用量を抑えることができる。中手骨骨密度(ほとんどが皮質骨からなる)を減少させることなく腰椎BMD(主に海綿骨からなる)を48週間という比較的短期間で有意に用量依存的に増加させたことにより、hPTH(1-34)による骨粗鬆症治療はきわめて将来有望であると思われる。」 (301頁右欄5行~303頁右欄23行) 甲7-ナ 「 [図:0001415605000009.jpg] 図2 治療週に対する血清中のCa(左)とP(右)の値(平均値±SD) □:50単位のPTHを投与した被験者(L群)の値、 ●:100単位のPTHを投与した被験者(M群)の値、 ○:200単位のPTHを投与した被験者(H群)の値。 *マン・ホイットニーのU検定による危険率p<0.05で基準値に対して有意差あり。」 (301頁図2) 甲7-ニ 「収集データ ベースラインデータ。 年齢、性別、閉経時の年齢、身長、体重、入院・通院状況、一般的な治療歴、hPTH(1-34)免疫原性の皮内テストの結果、骨粗鬆症の診断スコア、病歴、骨粗鬆症合併症のために以前に受けた治療、試験期間中に服用した他の薬物、非処方箋のカルシウム調製物や乳製品の使用が記録された。」 (298頁左欄25行~33行) 4 甲8 甲8-ア 「 [図:0001415605000010.jpg] 」 (289頁表3) 5 甲9 甲9-ア 「 [図:0001415605000011.jpg] 」 (78頁表3) 6 甲19 甲19-ア 「要旨:重症骨粗鬆症のテリパラチド治療の中止後、治療をすべきかどうかは明らかになっていない。2年間の前向き無作為化コントール試験において、我々は、1年間のテリパラチドの後、3つのフォローアップ治療のBMDへの効果と臨床上の安全性を比較した(テリパラチドによる骨形成、ラロキシフェンによる骨吸収抑制、または、積極的な治療なし)。骨粗鬆症で最近脆弱性骨折の既往があった閉経後女性が、非盲検でテリパラチド(20μg/日)を12ヶ月間投与された後、テリパラチドを継続する群(n=305)、ラロキシフェン60mg/日に切り替える群(n=100)、2年目は何も積極的な治療を受けない群(n=102)にランダムに割り付けられた(3:1:1)。全患者はカルシウムとビタミンDの補充を受けた。部分的BMDにおけるベースラインから24ヶ月後の変化を混合モデルの反復測定を用いて解析した。2年間の連日のテリパラチド投与は腰椎BMDを10.7%有意に増加した。2年目にラロキシフェンを投与した患者は、1年目から腰椎BMDにさらなる変化はなく(ベースラインからの変化、7.9%)、一方、何も積極的な治療を受けない患者は、2年目に2.5%BMDが減少した(ベースラインからの変化、+3.8%)。股関節における、ベースラインから2年目のBMD増加は、テリパラチドで2.5%、ラロキシフェンで2.3%、積極的な治療なしで0.5%であった。;大腿骨頚部については、それぞれ3.5%、3.1%、そして1.3%の変化であった。本試験は骨折に対する有効性を評価するには不十分である。結論として、重症骨粗鬆症女性における2年間にわたるテリパラチド治療で、BMDは漸進的に増加した。テリパラチドの中止後、ラロキシフェンは腰椎BMDを維持し、股関節BMDを増加した。」 (726頁要旨欄) 甲19-イ 「材料と方法 研究仮説 複合的な第一の研究仮説は、2年間続けたテリパラチド投与か、1年間のテリパラチドに続いて1年間のラロキシフェンの投与か、いずれが、1年間のテリパラチドに続いて1年間何も積極的な治療を受けない場合(すなわち、カルシウムとビタミンDの補充のみ)に得られるBMD対して、優れたBMDの結果を生み出すのか、である。この報告に関連する第二の仮説は、1年間のテリパラチドの後、2年目のテリパラチドが、BMDに対して、ラロキシフェンよりも優れたBMDの結果を生み出すのかどうか、である。」 (727頁左欄41行~51行) 甲19-ウ 「被験者 EUROFORSは10の欧州の国の95施設で行われた。我々は、閉経後少なくとも2年経過した55歳以上の歩行可能な女性で、腰椎、股関節、又は大腿骨頚部でT-score<-2.5であり、過去3年以内に1以上の椎体または非椎体の脆弱性骨折の既往がある患者を組み入れた。適格な女性は、また、血清中のPTH、アルカリホスファターゼ、カルシウムのベースラインレベルが正常でなくてはならず、骨粗鬆症以外の重症または慢性的な障害を持っていないこと、とされた。腰椎L2-L4のうち少なくとも2つがBMDの評価が可能でなくてはならなかった。 我々は、骨粗鬆症を二次的に作り出す原因となることが知られている薬剤を摂取しているか、そのような疾患を持っている女性、または、テリパラチドまたはラロキシフェンでの治療に禁忌となっている女性は除外した。いずれの骨吸収抑制剤の使用歴があっても、制限やウォッシュアウト期間なしで許可されたが、これらの薬剤はベースラインの時点では中止しなければならなかった。参加女性は、(1)治療経験なし(すなわち、試験の参加前に何も骨粗鬆症治療薬を投与されたことがない);(2)骨吸収抑制剤で前治療がある(AR前治療あり);または(3)AR前治療で不十分な臨床的成果であった(不十分なAR反応患者)であり得た。」 (727頁左欄52行~右欄18行) 甲19-エ 「試験デザインと手順 試験は、2つのサブスタディと、ぞれぞれ12ヶ月間の2つの治療フェーズから構成された(図1)。この報告では、サブスタディ1のみの結果を示す。・・・登録のための適格性を調べる1ヶ月間のスクリーニング期間の後、全患者は、治療の最初の年を通じて、カルシウム(500mg/日)とビタミンD(400-800IU/日)の補充とともに、テリパラチド(20μg/日)を1日1回の皮下自己注射で投与された。12ヶ月後、すべての治療経験なしの参加者とAR前治療のある参加者は、2年目の間、テリパラチドを継続する群(治療群1)、ラロキシフェン60mg/日に切り替える群(治療群2)、2年目は何も積極的な治療を受けない群(治療群3)にランダムに割り付けられた(3:1:1)(サブスタディ1)。・・・ 試験の間、最も重要な結果の測定値である部位BMDは、ベースラインと、治療の6、12、18、24ヶ月目に、種々の密度計(Hologic、Lunar、または、Norland)を用いたDXAにより、腰椎(L1-L4)、股関節、大腿骨頚部について評価した。密度計は、相互校正され、すべてのBMDスキャンは、品質評価と解析のために、中央の読み取り担当者(バイオイメージングテクノロジーズ、ライデン、オランダ)に送付された。試験は、非盲検で遂行された;しかし、中央の読み取り担当者は、患者個人の治療群の割付について、盲検化された。」 (727頁右欄26行~728頁左欄10行) 甲19-オ 「治療期間のBMDの変化 腰椎BMDは、各治療群で全ての時点においてベースラインから有意に増加した。腰椎BMDの増加(ベースラインBMDの平均値のある患者について)は、ラロキシフェンに切り替えた女性と、積極的な治療なしの女性についてはベースラインから24ヶ月で、それぞれ7.9%と3.8%であったのに比べて、ランダム割付後テリパラチドの投与を続けた女性については、10.7%であった(図3A)。ベースラインから24ヶ月後の腰椎BMDにおける絶対的変化は、積極的な治療なし群と比べて、テリパラチド群で(治療群の差、0.051g/cm2;95%CI、0.039-0.062;p<0.001)、積極的な治療なし群と比べてラロキシフェン群で(治療群の差、0.030g/cm2;95%CI、0.017-0.044;p<0.001)、ラロキシフェン群に比べてテリパラチド群で有意に大きかった(治療群の差、0.020g/cm2;95%CI、0.009-0.031;p<0.001)。 治療2年目の間、腰椎BMDは、テリパラチド群において有意に増加し続け、ラロキシフェン群において有意な変化はなく、積極的な治療なしの群において有意に減少した(表2)。 股関節BMDは、テリパラチド群とラロキシフェン群において、ベースラインから18ヶ月目、24ヶ月目で、有意に増加した(図3B)。一方、積極的な治療なしの群においては、いずれのフォローアップ評価の時点においてもベースラインから有意な変化はなかった。ベースラインから24ヶ月目までの股関節BMDのパーセント変化(ベースラインBMDの平均値のある患者について)は、積極的な治療なしの群(0.5%)より、テリパラチド群(2.5%)とラロキシフェン群(2.4%)で大きかった(図3B)。ベースラインから24ヶ月目の股関節BMDにおける絶対的変化は、積極的な治療なしの群に対してテリパラチド群で大きく(治療群の差、0.014;95%CI、0.005-0.022;p=0.001)、積極的な治療なしの群に対してラロキシフェン群で有意に大きかった(治療群の差、0.013;95%CI、0.003-0.023;p=0.012;図3B);テリパラチド群とラロキシフェン群の差は統計学的に有意ではなかった(治療群の差、0.001;95%CI、-0.007から0.009;p=0.849)。股関節BMDの値は、テリパラチド群とラロキシフェン群では12ヶ月から24ヶ月で有意に増加したが、積極的な治療なしの群では有意な変化はなかった(表2)。 大腿骨頚部BMDは、3つすべての治療群でベースラインから18ヶ月目と24ヶ月目に有意に増加したが、ベースラインから24ヶ月目のパーセント変化は、テリパラチド群(3.5%)とラロキシフェン群(3.1%)で、積極的な治療なしの群より大きかった(1.3%;図3C)。ベースラインから24ヶ月目の大腿骨頚部BMDにおける絶対的変化は、積極的な治療なしの群に対してテリパラチド群で(治療群の差、0.014;95%CI、0.005-0.023;p=0.002)、積極的な治療なしの群に対してラロキシフェン群で有意に大きかったが(治療群の差、0.011;95%CI、0.000-0.022;p=0.044)、ラロキシフェン群に対してテリパラチド群は有意差がなかった(治療群の差、0.003;95%CI、-0.006-0.012;p=0.577)。大腿骨頚部BMDの値は、3つすべての治療群で12ヶ月から24ヶ月で有意に増加したが、テリパラチド群における増加量は、積極的な治療なしの群において得られた増加量より有意に大きかった(表2)。」 (729頁右欄10行~730頁右欄7行) 甲19-カ 「臨床的脆弱性骨折 2年の試験の間、サブスタディ1の評価可能な患者632名の内64名(10.1%)が、計77の臨床的骨折を被り、内56は脆弱性骨折と分類された(15が椎体、41が非椎体)。これらの骨折の内、16がランダム割付後に発生した:テリパラチド群で13(4.3%)(椎体4、前腕/手首3、下腿2、股関節1、その他3)、ラロキシフェン群で2(2.1%)(1が上腕骨、1が骨盤)、そして、治療薬なし群で1(1.0%)(下腿1)。グループ間の差は統計的に有意ではなかった。すべての評価可能なサブスタディ1の患者と、2年目にテリパラチド群にランダム割付された患者における、臨床的脆弱性骨折の縦断的な記述解析は、表3に示されている。」 (730頁右欄8~20行) 甲19-キ 「考察 本報告は、重症骨粗鬆症の閉経後女性において、テリパラチド一年間投与後の逐次的治療に対して3つの異なるアプローチ(骨形成、骨吸収抑制、そして、治療薬なし)の効果を直接比較した初めての無作為化コントロール試験である。本試験は、結果の変数として部分的BMDを用い、次の事を示すことにより治療効果の明確なヒエラルキーを確立するものである。(1)テリパラチドの2年目は腰椎と股関節いずれにおいても優位で漸進的なBMD増加を伴う。(2)テリパラチド投与一年の後に続くラロキシフェンによる治療は腰椎のBMD増加を維持し、股関節のBMDをさらに増加する。(3)カルシウムとビタミンDのみによる逐次的治療は、テリパラチドにより前もって増加した腰椎BMDを部分的に喪失することを伴う。」 (732頁右欄1行~733頁左欄4行) 甲19-ク 「我々の試験は骨折に対する効果を評価するためにデザインされておらず、適切に評価する検出力もない。予測通り、試験期間中の臨床的脆弱性骨折の全数は少なく、ランダムに割り付けられた2年目の治療の群間比較は、3つの逐次的治療の相対的な骨折抑制効果に関して導かれるどの結論も許可されるものではない。しかしながら、時間と共に骨折発生率が徐々に減少することは(表3)、興味深い記述的な発見であるが、確認のためのさらなる試験を必要とするであろう。テリパラチドによる2年間の治療は一般に安全で、良好な忍容性を示した。2年目の間、テリパラチドに関連する可能性のある有害事象(高カルシウム血症と腎石症)は、他の治療群と同等の発生率であった。ラロキシフェンの有名な副作用である、筋痙攣、顔面潮紅、そして、不眠は、ラロキシフェン群において他の治療群よりも、有意に多くの女性から報告された。(733頁右欄41行~57行) 甲19-ケ 「まとめると、24ヶ月に渡るテリパラチドによる治療において、腰椎の一部と股関節のBMDは漸進的に増加する。12ヶ月のテリパラチド治療に続いて、ラロキシフェンで12ヶ月治療するとき、股関節と大腿骨頚部のBMDは漸進的に増加し、腰椎BMDは2年目の間安定に維持される。我々の結果は、初めて3群の直接比較を用い、テリパラチドによる骨形成治療の追加の一年が、骨吸収抑制剤(ラロキシフェン)への切り替えよりも優れていること、同様に、カルシウムとビタミンDのみによるフォローアップ治療より勝ることを示すことにより、(BMDに関しての)治療効果のヒエラルキーを確立するものである。」 (734頁左欄40行~52行) 甲19-コ 「 [図:0001415605000012.jpg] 」 (731頁図3A) 甲19-サ 「 [図:0001415605000013.jpg] 」 (731頁図3B) 甲19-シ 「 「 [図:0001415605000014.jpg] 」 (731図3C) 甲19-ス 「図3 EUROFORSのサブスタディ1参加者におけるBMDの変化。ベースラインから治療6、12、18、24ヶ月後のBMD(g/cm2)における絶対的変化(A)が腰椎、(B)が股関節、および、(C)が大腿骨頸部(最大の解析対象集団)。棒グラフの頂点にある数字はベースラインからのBMD変化率。」 (731頁図3Cの説明) 甲19-セ 「 [図:0001415605000015.jpg] 表2.治療24ヶ月目におけるランダム割り付け(12ヶ月目)からのBMDの変化」 (732頁表2) 甲19-ソ 「 [図:0001415605000016.jpg] 表3 すべてのランダム割り付けされた集団と、治療群1(テリパラチドを2年間継続)における、6ヶ月毎の臨床的脆弱性骨折 *これらの数値はラロキシフェン治療群で生じた2の脆弱性骨折と、治療薬なし群で生じた1の脆弱性骨折を含む。」 (732頁表3) 7 甲20 甲20-ア 「要旨:骨吸収抑制剤(AR)の前治療は、テリパラチドヘの反応に影響を及ぼす可能性がある。我々は、24ヶ月間、テリパラチド投与を受けた骨粗鬆症の閉経後女性503名のサブグループにおいて、BMDの反応と安全性を調査した。患者はARの前治療に基づいて、3群に分類された:治療経験なし(n=84);前治療があり、治療反応が不十分であったエビデンスなし(n=134);前治療があり、AR投与に対して不十分な反応を示した(n=285)、不十分な反応については、治療中に、骨折、持続的に低いBMD、及び/または、明らかなBMDの喪失の発生により、あらかじめ定義された。ベースラインからのBMDの変化は混合モデルの反復測定を用いて解析した。腰椎BMDは3群すべてで、ベースラインから6、12、18、24ヶ月目に、有意に増加した。24ヶ月にわたる腰椎BMDの平均の増加は、治療経験なし(治療ナイーブ)群(0.095g/cm2;13.1%)において、AR前治療あり群(0.074g/cm2;10.2%;p<0.005)と不十分なAR反応患者(0.071g/cm2;9.8%;p<0.001)よりも、大きかった。股関節BMDは、同様の増加であり、それぞれ、3.8%、2.3%及び2.3%であった。不十分なAR反応患者における股関節BMDの早期の低下は、投与18ヶ月後までには逆転した。18ヶ月目と24ヶ月目の間におけるBMDの増加は、大きく有意なものであった。吐き気(13.3%)と関節痛(11.7%)は最も頻回に報告された有害事象であった。無症候性の高カルシウム血症は患者の5.0%で報告があった。24ヶ月のテリパラチド治療は、ARの使用歴がある患者およびない患者において、BMDの有意な増加に関与する。AR前治療はテリパラチドに対するBMDの反応をわずかに鈍くした。安全性は、現在処方されている添付文書と一致するものであった。」 (1591頁要旨部分) 甲20-イ 「序論 遺伝子組み換えヒトPTH(1-34)(テリパラチド)の連日の皮下注射による治療は、骨代謝速度、小柱骨の結合性、皮質骨厚を増加することにより新しい骨形成を導く。テリパラチドは骨の生体力学的特徴を改善し、骨粗鬆症の閉経後女性における椎体及び非椎体脆弱性骨折の割合を減少させる。 テリパラチドは通常、骨折のリスクの高い重症骨粗鬆症の閉経後女性と男性の治療として用いられる。テリパラチドはまた、骨粗鬆症治療用の他の薬剤、特にビスホスホネートに反応しなかったか、忍容性のなかった患者の代替治療でもある。故に、テリパラチドを投与されている多くの患者が、以前に骨吸収抑制剤(AR)を投与されたことがある。 重要な医学的疑問は、ARの前治療がテリパラチドに対する骨形成反応を変化させるかどうかである。卵巣切除ラットでは、アレンドロン酸(アレンドロネート)、エストロゲン、又はラロキシフェンに前もって長期間暴露されているにも関わらず、テリパラチドは新たに骨形成を導いた。しかしながら、いくつかの臨床試験で、AR、特にビスホスホネートによる前治療が、テリパラチドの骨形成効果に影響する可能性があることを示唆している。Kらは、平均28ヶ月間のアレンドロン酸(アレンドロネート)による連日の前治療が、腰椎のテリパラチドに対するBMDの早期の反応遅延と、股関節のBMDにおける早期の一時的減少を伴った事を報告した。しかしながら、エストロゲンまたはラロキシフェンを以前に服用したこと、または同時に服用したことによって、テリパラチドが導く腰椎または股関節BMDの増加が減じることはなかった。 Forsteoの欧州試験(EUROFORS)は、1年間のテリパラチド治療後、種々の逐次的治療レジメン(テリパラチドを含む)を調査するためにデザインされた、骨粗鬆症と確定診断された閉経後女性における、2年間の前向き無作為化試験であった。全患者は一年目の間、テリパラチドを投与され、一部が2年目の間テリパラチド投与を継続した。これらの前もって定めた解析は、2年間の連日テリパラチド投与を受けた患者に限定されている。加えて、我々は、18ヶ月と24ヶ月の治療の間で、何らかの違いが存在するかどうか解析を行った。我々は、AR前治療のない女性(治療経験なし(ナイーブ)群)、ARで前もって治療されていた女性(AR前治療あり群)、そして、AR前治療に対して不十分な反応であった女性(不十分なAR反応患者群)における、24ヶ月のテリパラチド連日投与に対するBMD反応を比較する、サブグループ解析も行った。AR前治療に対する不十分な反応の基準は、治療ガイドラインにおいて最も受け入れられている基準に従って、あらかじめ定義した(すなわち、長期の治療期間で脆弱性骨折が発生した、及び/または治療前のベースラインレベルを下回るBMDにおける有意な減少)。」 (1591頁左欄1行~1592頁左欄29行) 甲20-ウ 「材料と方法 試験設計 EUROFORSは、骨粗鬆症と確定診断された閉経後女性868名の、2年間の前向きコントロール無作為化非盲検臨床試験であった。試験は、2つのサブスタディ(1と2)と、2つの治療フェーズからなり、欧州の10カ国の95施設で行われた。患者の組み入れ適格性を判断する1ヶ月のスクリーニング期間後、両方のサブスタディの全患者は、治療一年目の間、テリパラチド(20μg/日)を一日一回自己注射で皮下投与された。12ヶ月目、サブスタディ1の患者は、テリパラチド群(20μg/日)、ラロキシフェン群(60mg/日)、あるいは積極的なAR治療なし(治療ナイーブ)の群にランダムに割り付けられた(3:1:1)。サブスタディ2は、もっぱら不十分なAR反応の患者(以下に定義する)のみを含み、試験を通してランダム割付されることなく、非盲検でテリパラチドを継続するオプションが与えられた。すべての患者は、試験を通して、カルシウム(500mg/日)とビタミンD(400-800IU/日)を補充投与された。これらの解析は、24ヶ月間連日テリパラチド注射を受けた患者からのデ-タを用いて行われた(すなわち、サブスタディ1でテリパラチド群にランダム割付された患者と、サブスタディ2の全患者は合わせられた)。 ・・・ 患者 参加者は、閉経後少なくとも2年であり、腰椎、股関節または大腿骨頚部のBMDのTスコアが-2.5以下であり、試験参加前の3年以内に少なくとも椎体又は非椎体の脆弱性骨折と1回以上診断された、55歳以上の歩行可能な女性であった。研究者の見解で、伴った外傷が、正常な骨であれば骨折は起こらなかったであろうという場合、骨折は、脆弱性骨折として定義した。加えて、参加者は、血清中のPTH、全アルカリホスファターゼ(トータルALP)、全カルシウムのベースラインのレベルが正常であり、骨粗鬆症以外の重症または慢性的に障害を持っていない必要があった。腰椎L2-L4のうち少なくとも2つがBMDの評価が可能でなくてはならなかった。 次の女性は除外された。閉経後骨粗鬆症の他に代謝性骨疾患の既往がある場合;骨格領域への放射線療法;明らかな腎または肝機能の障害;乳癌、子宮癌、その他エストロゲン依存性の癌;過去5年以内に何か他の癌;血栓塞栓性の疾患;重度の閉経後の主観的症状や愁訴;過去12ヶ月以内にコルチコステロイドの薬学的用量による全身治療;過去12ヶ月以内にフッ素化合物による全身の治療的な使用;過去6ヶ月以内に何か他の骨形成治療薬の使用。あらゆるAR(ビスホスホネート、ラロキシフェン、エストロゲンとエスロトロゲン/プログスチン療法、カルシトニン、ビタミンD類似体)の前使用は、単剤も併用も、制限やウォッシュアウト期間なしで許可されたが、これらの薬剤はベースライン時点では中止しなければならなかった。各患者の医学的既往と薬剤使用の詳細は、投与量、前のARの開始日と中止日、BMD評価歴の結果、正確な骨折歴を含めて、記録された。 患者は、試験組み入れ前のAR治療に基づき、3群に振り分けられた:(1群)治療経験がない(治療ナイーブ、すなわち、試験組み入れ前に何の骨粗鬆症治療も受けたことがない)(2群)骨吸収抑制剤による前治療がある(AR前治療あり)(3群)臨床的に不十分な結果となったAR前治療がある(不十分なAR反応患者)。次の基準の内1つ以上に当てはまる女性は、不十分なAR反応患者として分類された:(1)先に少なくとも12ヶ月間のAR治療の処方があったにもかかわらず、1つ以上の新規椎体または非椎体の脆弱性骨折が生じた;(2)少なくとも24ヶ月間のAR前治療歴の後、腰椎、股関節または大腿骨頚部BMDのTスコアが-3.0以下であった;および/または(3)前述の24ヶ月間に、AR治療薬の継続的な処方歴があったにもかかわらず、測定した骨部位のいずれか一つのBMDにおいて、2年間で3.5%を超える減少があった。以前AR治療を受けており、これらの基準のいずれにも当てはまらない、他の全女性は、2つめの群(AR治療歴あり)に割り付けられた。」 (1592頁左欄30行~右欄53行) 甲20-エ 「ベースラインからのBMD変化 腰椎BMDは、テリパラチド投与患者の各サブグループにおいて、すべてのフォローアップ時点で、AR前治療に関わらず、ベースラインから有意に増加した(図2A)。テリパラチド投与患者のすべての群において、ベースラインから24ヶ月後までの腰椎の%変化は、平均10.5%であった。ベースラインからの腰椎BMDの絶対的変化量(平均±SE)は、AR前治療あり(0.074±0.004g/cm2;10.2%;p=0.003)と、不十分なAR反応患者(0.071±0.003g/cm2;9.8%;p<0.001)のサブグループよりも、治療経験なし(治療ナイーブ)のサブグループ(0.095±0.006g/cm2;13.1%)で、有意に大きかった(図2A;表3)。 24ヶ月時点で、股関節BMDは患者のすべての3つのサブグループにおいて、ベースラインから有意に増加した(図2B);平均±SE変化は、治療経験なしサブグループにおいて、不十分なAR反応患者サブグループと比較して、有意に大きかった(0.026±0.004対0.016±0.002g/cm2;p<0.05)。股関節BMDのベースラインから24ヶ月後の変化率は、テリパラチドを投与されたすべての患者で2.6%であり、治療経験なし、AR前治療あり、不十分なAR反応患者のサブグループにおいては、それぞれ、3.8%、2.3%及び2.3%であった(図2B)。不十分なAR反応患者のサブグループにおいて、テリパラチド治療の最初の6ヶ月間に、股関節BMDは有意に減少したが、この減少は18ヶ月後までに逆転した:BMDのベースラインからの変化(平均±SE)は、6ヶ月、12ヶ月時点で、それぞれ、-0.009±0.002g/cm2(-1.3%)、-0.002±0.002g/cm2(-0.3%)であった(表3)。同様に、不十分なAR反応患者のサブグループにおいて、治療6ヶ月後、大腿骨頚部BMDは減少した(表3)。大腿骨頚部BMDの、治療経験なしと不十分なAR反応患者のサブグループの差は、12ヶ月後なお有意であった(それぞれ、0.014±0.004g/cm2;+2.2%対0.001±0.002g/cm2;+0.1%;p=0.008)。しかしながら、24ヶ月後、大腿骨頚部BMDは患者のすべての3つのサブグループにおいて、ベースラインから優に増加し(図2C)、変化の平均はこれら3つ前治療に関するサブグループを通して、有意差がなかった。大腿骨頚部BMDのベースラインから24ヶ月後の変化率は平均で、テリパラチドを投与されたすべての患者で3.9%であり、治療経験なし、AR前治療あり、不十分なAR反応患者のサブグループにおいては、それぞれ、4.8%、3.4%及び3.9%であった(図2C)。 腰椎、股関節、大腿骨頚部のBMD値の比較は、全グループの患者において、連日テリパラチド投与を受けた18ヶ月目と24ヶ月目で統計学的に有意な増加を示した(表3)。2つのAR前治療グループでは、股関節と大腿骨頚部のBMDにおける24ヶ月の増加が、治療18ヶ月後に見られたものと比べて、おおよそ2倍であった(表3)。」 (1595頁左欄8行~57行) 甲20-オ 「考察 本試験の結果は、骨粗鬆症で最近脆弱性骨折のあった閉経後女性において、24ヶ月のテリパラチドの治療が、AR治療の有無にかかわらず、BMDの有意な増加を伴うことを示した。BMDの増加は、過去に治療を経験していない患者で、最も大きかった。不十分なAR反応患者群における、股関節と大腿骨頚部のBMDの一時的な減少は、連日のテリパラチド治療18ヶ月後と24ヶ月後に逆転し、最後の6ヶ月間に最もBMDが増加した。 テリパラチドの枢要な登録試験(骨折予防試験[FPT])で計画されていた期間は36ヶ月であった・・・平均18±5ヶ月のテリパラチドの曝露期間という結果になり、FPTの集団における参加者の1%未満が24ヶ月目の受診に到達した。FPTが終了して以来、EUROFORSは、18ヶ月を超えるテリパラチド(20μg/日)による治療を調査した初めて完遂された試験である。ゆえに、重要な回答すべき研究の疑問は、3つすべての部位において、24ヶ月時点のBMDが、18ヶ月時点よりも統計学的に有意に高かったかどうかである。この2つの時点の間におけるBMDの絶対的な増加は、AR前治療を受けた患者群の股関節において特に著しく、18ヶ月と24ヶ月の間で、BMDの平均増加量は倍となった。股関節BMDが、最初の12ヶ月間より、治療期間の12から24ヶ月の間において、より顕著であったという発見は、アレンドロン酸(アレンドロネート)により治療された後、合成hPTH(1-34)40μgを連日投与された骨粗鬆症男性の試験において、Lらにより既に報告されている。」 (1597頁左欄10行~1598頁左欄13行) 甲20-カ 「結論として、24ヶ月間のテリパラチド治療は、ARの前治療がある患者とない患者において、腰椎、股関節、大腿骨頚部のBMDにおける有意な増加を伴う。AR前治療は、テリパラチドに対するBMDの反応をわずかに鈍くした。24ヶ月間の連日のテリパラチド治療は18ヶ月間の治療と比較して、BMDを有意に大きく増加させる結果となり、18ヶ月間の治療である既報の試験と一致する患者の安全性プロファイルであった。さらなる研究により、AR前治療の後に観察されたBMD変化が、テリパラチドの骨折抑制効果に影響するかどうか明らかにするべきである。」 (1598頁右欄45行~56行) 8 甲30 甲30-ア 「骨粗鬆症は、骨量の減少と骨質の劣化により骨強度が悪化して骨折のリスクが増加しやすいことが特徴的な骨疾患と定義される。・・・骨折は椎体、前腕骨遠位部、大腿骨頸部、上腕骨近位部、肋骨などの部位で生じやすい。・・・一方、最も頻度の高い骨折は椎体骨折であり、わが国では70歳代前半の25%、そして80歳以上の43%が椎体骨折を有しているという。しかも70歳以降では、その半数以上は複数個の骨折を有している。この骨折の特徴は、2/3以上は無症状であること、そして次々と周囲椎体の骨折連鎖を引き起こすことである。」 (13頁左欄1行~26行) 甲30-イ 「治療前後での骨折判定はどのように行うべきか ・・・ 既存骨折は、既存骨折のない症例に比して新たな骨折発生リスクが高いことから、既存骨折の有無別に分けて、それぞれにおいて、治療前後で新規骨折の発生を判定し、比較することが適切であろう。椎体骨折、非椎体骨折別に発生率への治療効果を評価する。」 (60頁右欄4行~15行) 9 甲31 甲31-ア 「3.骨粗鬆症用薬の臨床評価法 (1)骨強度の測定、骨折頻度の判定 ・・・ また、治療期間中に新規の骨折を起こした場合と、既存の骨折部位の変形の程度が増悪した場合とを、それぞれ区別して評価することも必要である。」 (5頁16行~34行) 10 甲32の1 甲32の1-ア 「以下の表で、半定量視覚評価グレードと椎体の高さ変化との関係を概説する。 [図:0001415605000017.jpg] ・・・ 注釈:エントリー基準にベースラインにおける1つの中等度(グレード2)または2つの軽度(グレード1)の非侵襲性椎体骨折、および少なくとも7つの評価可能な非骨折椎体(すなわち、グレード0)の存在が含まれることを想起することで分析方法論を要約することは有用である。新しい椎体骨折の基準を満たすためには、ベースライン時のグレード0からエンドポイント時のグレード1、2、または3に(少なくとも1つの椎体の)骨折状態が変化することが必要である。新しい中程度または重度の骨折(グレード0からグレード2または3への変化)を有する患者の人数および割合をそれぞれ分析した。グレード1から2、1から3、または2から3のような変化では増悪骨折と定義される・・・。」 (62頁4行~下から14行) 11 甲36 甲36-ア 「4.副甲状腺ホルモン 委員会は、ウシ副甲状腺ホルモンをヒトに投与する用途があることを記載した19番目の報告書中の要望事項に応じて収集された情報について述べた。・・・部分的に精製されたウシ副甲状腺ホルモンをある量準備し、共同アッセイを行った。製品は最近使用されているホルモンのバイオアッセイの方法のための国際参照品として適切であり、十分に安定という結果が示された。委員会は、それゆえ、その成分をバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際参照品として定めた。 この製品(従来、ナンバー67/342でコード化)は、すでにある国の局方品の効力とおおよそ数値的に同等の効力が割り当てられた製品として広く使用され、このことは受け入れられていた。これに基づいて、委員会は、バイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際単位を、国際参照品0.02765mgが示す活性として定義した。 この成分は特定のバイオアッセイ(例えば、腎アデニルシクラーゼアッセイ、ニワトリ静注高カルシウム血症アッセイ)において異常な結果をもたらすことが明らかとなったため、委員会は、国際参照品として適切に校正された、より高純度の有効な参照製品をそのようなアッセイで使用するように推奨した。」 (9頁33行~10頁20行) 12 甲37 甲37-ア 「27.バイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモン 委員会は1974年に規定したバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際参照品は、特定のin vitroバイオアッセイ系での使用に不適切となる不純物を含むことが示されてきたこと(WHO/BS81.1315)を述べた。」 (28頁26行~30行) 甲37-イ 「委員会は、また、国際参照品をin vivoおよびin vitro両方のバイオアッセイに適しており、かつ、in vivoおよびin vitroのバイオアッセイに適切な量で供給される製品に置換されるべきである、そしてその製品には大きく異なる量の材料が必要となる、と述べた。委員会は、この目的を達成するためウシの副甲状腺を十分な数得るには非常に費用が高く、様々な機関からサポートまたは協力を求める必要があろうと認識している。 委員会は、ロンドンの国立生物学的製剤研究所に、そのようなウシの副甲状腺を得て、それらから高度に精製されたウシ副甲状腺ホルモンを調製することを試みるように要求した。」 (28頁30行~29頁6行) 13 甲38 甲38-ア 「31.in vitroバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモン ・・・ 委員会は、82/632でコード化されたアンプルの研究対象の製品をin vitroバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際標準品と定め、共同研究の参加者間の同意により、国立生物学的製剤研究所が国際単位を定義することを認めた。」 (25頁下から4行~26頁9行) 14 甲40 甲40-ア 「腎皮質アデニルシクラーゼをin vitroで活性化するPTHの能力は、正確で信頼できるバイオアッセイの基礎を築いた。しかしながら、我々やその他によって、ある種の動物由来、特にラット由来の腎皮質細胞膜によりin vitroでウシPTHが急速に分解されることが示されている。ゆえに、この論文で我々が報告したヒトとウシのPTHにおける生物活性の差は、我々が使用した3種のアデニルシクラーゼ調製物による、ホルモンの分解および/または不活化における差に一因がある。」 (433頁右欄6行~434頁右欄10行) 甲40-イ 「我々の結果は、hPTHの生物活性を評価するためには、ラットの腎皮質細胞膜以外のアッセイ系を用いる必要があることを強調する。」 (429頁要旨欄の右欄7行~10行) 甲40-ウ 「ラットアデニルシクラーゼはヒトとウシのPTHの生物活性を評価するのにもっとも頻繁に使用されてきたが、我々の結果は酵素も他の種を使用する必要があることを表す。」 (432頁左欄下から10行~下から5行) 15 甲41 甲41-ア 「腎についてはBottiらがウシおよびラット皮質膜分画にPTHからN端断片とC端断片を生成する分解活性が存在することを見い出し、生成されるC端断片のN末端アミノ酸の位置を(表1)のごとく決定した。」 (31頁右欄7行~12行) 甲41-イ 「3.PTH(1-34)の分解機序 PTH(1-34)は代表的な活性型PTH断片であり、その分解機序についてはFujitaらのヒトPTH(1-34)とラット腎を用いた検討が詳しい。それによると・・・Aminopeptidaseによる切断が起こることが示されている(図4)。」 (33頁左欄2行~12行) 16 甲44 甲44-ア 「NOTE:GFRマーカー物質腎から尿中に排泄されやすい物質であれば、腎動脈から血液を糸球体で濾過して原尿を作り出す能力をクリアランス試験によって定量的に評価できる。そのためGFRを評価するマーカーとして、○1血漿蛋白と結合せず、○2糸球体基底膜を自由に通過し、○3尿細管で再吸収、分泌を受けず合成や分解もされない物質(イヌリン)が利用される。全身クリアランスが腎クリアランスに相当する物質で、さらに臨床的有用性・簡便さから、○4一定速度で常に産生される内因性物質で、○5測定が簡単な物質が望ましいため、臨床ではクレアチニンが用いられる。」(審決注:○の後ろにアラビア数字は、丸囲いの数字を表す。)」 (44頁) 甲44-イ 「Q-4 では、腎機能の低下によってどのように薬物の投与設計を行えばよいのでしょうか? A 腎不全では、水溶性薬物や水溶性の代謝物が蓄積しますので、腎機能に応じた適切な減量が必要になります。一般的に、薬物の腎クリアランスの変化はクレアチニンクリアランスCLCrの変化に比例することが認められています。このことは前述のように糸球体濾過値GFRが糸球体だけでなく腎臓全体の機能を表すことを意味しています。このことを利用したGlusti and Hayton法によって(1)消失半減期t2/1の延長の程度(あるいは消失速度定数Kelの低下の程度)によって投与間隔を設定することができます。あるいは(2)当該薬物の腎排泄の寄与率(薬物の尿中未変化体排泄率、あるいは総クリアランスにおける腎クリアランスの割合)と患者の腎機能(CLCr)から腎障害の程度に応じた至適投与量、あるいは至適投与間隔の設定をすることができます。」 (68頁) 17 甲57 甲57-ア 「GHAC試験(12/96から12/98) デザイン GHAC試験は、テリパラチド(PTH)が閉経後女性の新規椎体骨折の発生率(主要エンドポイント)を減少することを示すためにデザインされた第III相、多施設、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験である。 本試験は以下の4段階から構成されるように計画された。 1.Ca(~1000mg/日)とビタミンD(400~1200IU/日)を2週から6か月まで投与 2.CaとビタミンD投与に、プラセボを2週間注射 3.CaとビタミンD投与に、無作為化された注射治療を3年間 4.約2年間までの3段階目の任意の延長 本試験は23か月後に治験依頼者によって中止され、薬剤投与期間の中央値は約19か月であった。いずれの患者も3段階目が完了しなかった。 本試験の組み入れ基準は以下を含むものであった: ・30~85歳の閉経後女性である ・中等度の非外傷性椎体骨折を1つ以上または軽度の非外傷性椎体骨折を2つ以上有する ・7つ以上の評価可能な骨折していない椎体を有する プロトコルにおける、主要および副次目的を以下に記載する。 主要目的 ・プラセボと比較してPTHによる新規椎体骨折患者の割合の減少を示す。(このプロトコルは、PTH群(20μgおよび40μg)の組合せと各群について、別々にプラセボとの比較を示すことを意味する。)」 (5頁1行~22行) 甲57-イ 「プロトコルに定義されていない追加の効果測定 ・・・ 本件評価者は治験依頼者に増悪骨折についてデータを求めた。プロトコルは、既存の骨折がベースラインとエンドポイントで評価されると示しているが(これを説明するプロトコルの抜粋は20ページの上部を参照)、分析されていない。新規および増悪骨折患者の割合が他の骨粗鬆症治療薬について分析されており、それがこの申請に利用可能であったため、本件の評価者はこのエンドポイントの結果を求め、ここに提示した。」 (18頁1行~末行) 甲57-ウ 「新規椎体骨折および増悪椎体骨折 本試験では、新規および増悪椎体骨折はあらかじめ指定されたエンドポイントではなかったが、このセクションに記載されている他の変数と同様に、この変数についてもデータが収集された。この結果が他の骨粗鬆症薬で報告されてきたため、本件評価者はこれを検討することに決めた。 治験依頼者は表16に示す結果を提示した。「増悪骨折のみ」について、薬剤治療群は、有意に異なる。「新規及び増悪骨折」について、それぞれのPTHの用量はプラセボ群とは有意に異なる(p<0.01、ピアソンのカイ二乗検定)。 [図:0001415605000018.jpg] 」 (21頁13行~24行) 18 甲62 甲62-ア 「方法:この試験は、閉経後骨粗鬆症女性に平均18か月間テリパラチド(20または40μg)を1日1回投与した無作為化プラセボ対照試験、骨折抑制試験(FPT)のフォローアップ試験である。FPT終了時に残っていた女性の90%以上がフォローアップ試験を継続した(n=1262)」 (2024頁要旨欄6行~12行) 甲62-イ 「 [図:0001415605000019.jpg] 図3 テリパラチド(遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン)治療中および治療後の腰椎の骨密度(BMD)変化。・・・骨粗鬆症治療薬を全く使用しなかった女性(C)。 EPは骨折抑制試験の終了時点を示す。アスタリスクはP<.001、エラーバーは標準偏差を表す」 (2028頁図3C) 19 甲63 「合成副甲状腺ホルモン(PTH1-34;teriparatide)を平均20カ月間毎日注射すると、骨量が増し骨折が減少する。」 (326頁) 第8 乙号証の記載事項 以下の乙号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。 英語の乙号証については、日本語訳文を記載する。 なお文中に挿入されている参照文献番号については、特に必要のない限り省略して記載する。 1 乙1 乙1-ア 「d.活性測定 i)バイオアッセイ 1)in vitro法:一般にin vivoによる測定法より感度、再現性が高い。 (1)ラットアデニルシクラーゼ法2)3):PTHによるラットの腎皮質のアデニルシクラーゼの活性化を32Pで標識したATPを用いて測定。」 (1349頁右欄1行~7行) 乙1-イ 「1)・・・ 2)R.Marcus、G.D.Aurbach、Endocrinology、85、801(1969) 3)・・・」 (1349頁下欄の引用文献の箇所) 2 乙12 乙12-ア 「3)後期第II相試験・・・ 日本人退行期骨粗鬆症患者47・・・を対象に、本剤の至適用量を検討することを目的として、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。 用法・用量は、本剤50、100又は200単位を週1回皮下投与とされた。投与期間は48週とされた。 総投与症例220例(50単位/週群73例、100単位/週群75例、200単位/週群72例)全例が安全性解析対象集団とされた。・・・41例を除外した・・・ ・・・骨密度評価例数は、50単位/週群39例、100単位/週群38例、200単位/週群38例とされている。 開始時及び48週時に全椎体が計測できた症例について、治験期間中に新たに発生した椎体骨折数は、50単位/週群の2/62例(3.2%)で3個、100単位/週群の4/60例(6.7%)で5個、200単位/週群では0/48(0%)であった。」 (64頁11行~34行) 乙12-イ 「47 主な選択基準:厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)」で4点(ほぼ確実)以上の患者(合計5点以上:確実、合計4点:ほぼ確実、合計3点:疑いあり、合計2点以下:否定的・・・)」 (62頁下から4行~最下行) 3 乙13 乙13-ア 「 [図:0001415605000020.jpg] 」 (81頁表2) 4 乙15の2 乙15の2-ア 「 [図:0001415605000021.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書) 乙15の2-イ 「 [図:0001415605000022.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の表紙) 乙15の2-ウ 「 [図:0001415605000023.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の緒言) 乙15の2-エ 「 [図:0001415605000024.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の目次及び1) 乙15の2-オ 「 [図:0001415605000025.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の2~3) 乙15の2-カ 「 [図:0001415605000026.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の18~19) 乙15の2-キ 「 [図:0001415605000027.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の20頁~21頁) 5 乙15の4 乙15の4-ア 「ヒトPTH(1-34)は液相法で合成され、比活性が3,300国際単位/mg(ウシPTH(67/342WHO)を標準品としインビトロ ラット腎皮質細胞膜アデニルシクラーゼ法による、東洋醸造株式会社(日本))であった。・・・」 (34頁右欄4行~9行) 6 乙15の6 乙15の6-ア 「【0030】 ・・・ h-PTH(1-34)(比活性3,300単位/mg※;酢酸テリパラチド;東洋醸造社製)・・・」 乙15の6-イ 「【0036】*)酢酸テリパラチドの活性は、酢酸テリパラチド標準品を基準にしてラット腎皮質細胞膜を用いる生物学的測定法により測定し、酢酸テリパラチド単位で表示される。酢酸テリパラチド単位とは、上記に示した測定法によりウシ副甲状腺ホルモン(1-84)の標準品(WHOより提供された200国際単位/アンプル;WHO67/342)をもとにして酢酸テリパラチド標準品の相対活性をもとめたところ3300単位/mgであったことより、この酢酸テリパラチド標準品を3300酢酸テリパラチド単位/mgとして表したものである。」 乙15の6-ウ 「【0031】※PTH活性測定法を以下に説明する。 (ア)PTHレセプターの調製 SD系雄ラット(体重200~250g)を断頭、放血し、開腹後、腎を摘出し、その表面被膜を取り除き、腎皮質部分を切り取り、氷冷する。以下の操作はできるだけ低温(0-4℃)下で行う。上記の腎皮質部分を0.25Mシュクロースおよび1mM EDTA含有10mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)(以下A液と称す)中に浸し、テフロンペッスルを用いたガラス外套管で腎皮質をその湿重(g)の3倍容量(ml)のA液を加えてホモゲナイズする。このホモジネートを150×G、10分間遠心分離し、その上清をさらに2200×G、15分間遠心分離する。上清を捨て、沈殿物の上層の乳濁色の部分をA液に懸濁し、この懸濁液を25000×G、15分間遠心分離により洗浄し、再び懸濁して容器に分注し、-70℃で凍結して-20℃で保存する。 【0032】(イ)PTHとPTHレセプターの反応 被検品を2μg/mlと10μg/mlの濃度になるようにATP-Mg2mM、MgCl210mM、KCl60mM、GTP20μM、イソブチルメチルキサンチン1mM、クレアチンホスフェート8mMおよび牛血清アルブミン(BSA)0.2%含有100mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)(以下B液と称す)に溶かし、これを酢酸テリパラチド標準品*についても行う。 【0033】これら4つの溶液を50μlずつガラス試験管に分注し、各々8本ずつ用意する。試料は氷水中に保ち、ATPなど他の物質の分解を抑える。-20℃に保存したPTHレセプター調製品を室温で解凍し、A液にあらかじめ溶かしておいたクレアチンキナーゼを加え、さらにA液でクレアチンキナーゼ0.1mg/ml、PTHレセプター調製品蛋白量1.4mg/mlになるように調製し、氷冷中で保つ。上記の分注された試料溶液を37℃の恒温槽に数分間つけた後に、上記のPTHレセプタークレアチンキナーゼ液を50μlずつ加え、37℃で10分間インキュベートする。次いで、0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)100μlを加え、直ちに氷水中につけた後、速やかに試験管を沸騰水で1分間熱し、反応を停止させる。 【0034】(ウ)生成C-ATPの測定 上記の反応停止試料を蒸留水で10~30倍に希釈し、2000×G、15分間の遠心分離により除蛋白を行う。その上清のC-ATP量をRIAキット(ヤマサ醤油社製)で測定する。 【0035】(エ)PTH力値の測定 C-ATPの測定値をPM/mg PTHレセプター蛋白/分の単位に換算し、これを反応の値とし、標準品によって得られた値に対して被検品を平行線検定2×2点法を用いて検定する。」 7 乙16 乙16-ア 「ヒトPTH(1-34)は、東洋醸造株式会社により合成された。逆相HPLC分析でシングルピークを示し、ラットの腎皮質細胞膜アデニルシクラーゼ法[17]を用いて測定した場合、3300U/mgの生物学的活性を示した。」 (194頁下から14行~下から12行) 乙16-イ 「17 Marcus R、Aurbach GD.Bioassay ofparathyroid hormone in vitro with a stable preparation of adenyl cyclase from rat kidney.Endocrinology 1969;85:801-810」 (199頁下から16行~下から15行) 8 乙53 乙53-ア 「プラセボ群(n=448)においては、14名の患者が新規SQ3骨折を経験し、8名の患者が増悪SQ3骨折を経験した。なお、この中には1新規SQ3骨折と1増悪骨折を経験した患者が含まれる。20μg/日テリパラチド投与群(n=444)においては、新規SQ骨折を経験した患者はおらず、3名の患者が増悪SQ3骨折を経験した。40μg/日テリパラチド投与群(n=434)においては、3名の患者が新規SQ3骨折を経験し、4名の患者が増悪SQ3骨折を経験した。全般に、新規又は増悪SQ3椎体骨折は20μg/日テリパラチド投与群では3名(0.7%)、40μg/日テリパラチド投与群では7名(1.6%)生じることと比較して、プラセボ群においては21名(4.7%)も生じた(図3)。このように、プラセボと比較して、毎日テリパラチドを20μg又は40μg処置すると、新規又は増悪SQ3椎体骨折になるリスクが、各々86%(P<0.001)及び66%(P<0.001)と有意に減少した(図3)。」 (4032頁左欄8行~26行) 乙53-イ 「 [図:0001415605000028.jpg] 」 図の下の説明部分の訳文:骨折抑制試験における、無作為に割り付けられた20μg/日テリパラチド投与群(TPTD20)、40μg/日テリパラチド投与群(TPTD40)もしくはプラセボ投与群(Placebo)の、新規もしくは増悪SQ3骨折。RRR=骨折相対リスク減少 Percent of patients:患者のパーセント」 (4032頁図3及び図の下の説明部分) 第9 引用文献の記載事項 引用文献には、以下の事項が記載されている。 なお文中に挿入されている参照文献番号については、特に必要のない限り省略して記載する。 1 引用文献1 引用文献1-ア 「■副甲状腺ホルモン(PTH) ヒトPTH(1-34)(テリパラチド)皮下注射剤 骨形成促進薬としての効果が期待されているPTHは、海外において大規模臨床試験が実施され、すでに米国をはじめとする多くの国で許可されている。 ・・・骨粗鬆症患者を対象とした大規模臨床試験では、20μgのヒトPTH(1-34)の平均18ヶ月にわたる連日自己皮下注射により、新規椎体骨折の発生を対照群の14%から5%へと1/3近く低下させた。・・・以上の成績は、ヒトPTH(1-34)の連日皮下投与により、顕著な骨折率の減少が18ヶ月という短期間で得られることを示したものであり、骨形成の促進により、骨代謝回転が高まっても骨強度は増加することを臨床的に証明したものである。これらの成績をもとに、わが国でも、骨粗鬆症患者を対象としたヒトPTH(1-34)の連日自己皮下注射による臨床試験が進行中である。一方、これまでに週1回の皮下注射製剤の効果も検討されており、その第II相臨床試験の成績では、200単位(約60μg相当)週1回1年投与で、椎体骨密度を8.1%増加させることが示された。」 (99頁右欄1行~25行) 2 引用文献2 引用文献2-ア 「3)投与期間の上限・・・それまでに実施した臨床試験における投与期間を基に設定することとし、米国及び欧州では投与期間の上限を24ヵ月間として承認されている。国内においては、GHDB試験での18ヵ月間のデータより安全性が確認されることを前提に、投与期間の上限を18ヵ月間として承認申請を行い、その後18ヵ月時点のデータを提出した。なお、国内GHDB試験において24ヵ月間投与の使用経験を得るため、投与期間を24ヵ月間に延長して2009年9月に終了した。」 (96頁) 引用文献2-イ 「 [図:0001415605000029.jpg] 」 (98頁表50) 引用文献2-ウ 「 [図:0001415605000030.jpg] 」 (98頁表51) 3 引用文献3 引用文献3-ア 「骨粗鬆症と軽度または中等度の腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド」 (59頁、論文タイトル) 引用文献3-イ 「要旨 序論 骨粗鬆症と腎障害の両方は加齢に伴い罹患率が増加する。 方法 骨折予防試験(FracturePreventionTrial)のデータを用いて、骨粗鬆症と腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド[rhPTH(1-34)]の安全性と有効性を調査した。患者は血清クレアチニン濃度が2.0mg/dl以下で、血清中副甲状腺ホルモン(PTH)濃度が正常である必要があり、プラセボまたはテリパラチド20または40mcg/日の皮下投与を受ける群に無作為に割り付けられた。糸球体濾過率(GFR)はCockcroft-Gault式を用いて推定した。患者はベースライン評価により、骨密度(BMD)とI型プロコラーゲンのアミノ末端伸長ペプチド(PINP)の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、または中等度障害(GFR30-49ml/分)の腎機能の定義を用い、骨折の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)または障害あり(GFR<80ml/分)の腎機能の定義を用いた。 結果と考察 腎機能が正常な患者と比較して、腎障害を有する患者は、高齢で、より身長が低く、体重が軽く、閉経後の期間が長く、また、ベースラインの腰椎及び大腿骨頚部のBMDがより低かった。プラセボと比較して、テリパラチドは、PINPと腰椎及び大腿骨頚部のBMDを各腎機能サブグループにおいて有意に増加させ、腎機能不全によりこれらの増加が変わるというエビデンスは示されなかった(各サブグループによる治療の交互作用p>0.05)。同様に、正常または障害の腎機能を有する患者間で、テリパラチドの介入があった椎体及び非椎体骨折のリスク低下は同等であり、有意な差はなかった。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループの治療の割り当てを通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05)。プラセボに対して、テリパラチド20または40mcgを投与されたすべての腎機能カテゴリーの患者は、投与後4-6時間の血清カルシウムが10.6mg/dl(正常値の上限)を超える発生率は増加した;しかし、テリパラチド20mcg/日はいずれの腎機能カテゴリーにおいても、投与後4-6時間の血清カルシウムが11mg/dlを超える発生率を有意に増加させることはなかった。 テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中等度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。しかしながら、有害事象のデータからは、テリパラチドを投与された、正常、軽度、中等度の腎障害の患者において、痛風又は関節痛、あるいは腎石症イベントの発生率の増加を示唆されなかった。」 (59頁左欄1行~右欄下から3行) 引用文献3-ウ 「緒言 骨粗鬆症は低骨量、減少した骨強度、そして骨の脆弱性の慢性疾患である。米国だけでおよそ一千万人が罹患している。骨粗鬆症と、腎障害は両方とも、罹患率が加齢とともに増加する。大規模の疫学調査においては、骨粗鬆症の女性の85%が軽度から中等度の腎障害を有する。したがって、腎障害のある患者における骨粗鬆症治療薬の安全性と有効性に関する情報が必要とされている。 テリパラチドは閉経後骨粗鬆症女性において、腰椎と大腿骨頸部の骨密度(BMD)を増加させ、椎体および非椎体骨折のリスクを低下させる。骨粗鬆症女性において腎障害が通常の共存症であることを前提として、今回の解析は、加齢による軽度[糸球体濾過率(GFR)50-79ml/min]または中等度(GFR30-49ml/min)の腎障害のある女性における、テリパラチドに対する有害事象の発生、BMDと骨折低下反応を調査した。」 (60頁左欄1行~20行) 引用文献3-エ 「方法 試験参加者 骨折予防試験(FracturePreあり、観察期間の中央値は21ヶ月間であった。」 (60頁左欄21行~同欄末行) 引用文献3-オ 「血清中のクレアチニン、投与後4-6時間後のカルシウム、及び、尿酸血清サンプルは、ベースラインと、1ヶ月目(n=1、492)、3ヶ月目(n=1、498)、6ヶ月目(n=1、501)、12ヶ月目(n=1、397)、18ヶ月目(n=1、161)において、投与後およそ4-6時間後に採集した。スクリーニング時点で2.0mg/dlを超える血清クレアチニン濃度は除外基準とした。被験薬の最終投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dl(2.65mmlo/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、いずれかの訪問時において、11.0mg/dl(2.75mmol/l)を超える場合は、報告された。血清尿酸濃度が、いずれかの訪問時において、8.3mg/dl(0.50mmol/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、9.0mg/dl(0.54mmol/l)を超える場合は、いずれの訪問時においても報告された。 [図:0001415605000031.jpg] 糸球体濾過率 GFRはCockcroft-Gault式を用いて推定した: 腎機能は、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、中等度障害(GFR30-49ml/分)、または重度障害(GFR<30ml/分)と分類した。」 (61頁左欄27行~右欄2行) 引用文献3-カ 「統計解析 (中略) 各治療群における、ベースラインの腎機能状態が骨折リスクに及ぼす影響についても、モデルにおけるサプグループ(正常対腎機能障害)とロジスティック回帰を用いて評価した。イベントの数は限られていたため、骨折の解析においては、腎機能を正常(GFR>80ml/分)または障害あり(GFR<80ml/分)として定義した。重度腎機能障害(GFR<30ml/分)の女性は、この解析には含まれていない。すべての試験集団において、骨折リスクの低下は2つの投与量で同等だったため、テリパラチド投与群のデータを合わせた。投与後4-6時間後の血清カルシウム濃度(>10.6mg/dl又は>11.0mg/dl)と、血清尿酸濃度(>0.50mmol/l又は>0.54mmol/l)の発生率のための、各腎機能サブグループにおける治療群の比較においては、フィシャーの正確確率検定を実施した。」 (61頁右欄3行~44行) 引用文献3-キ 「有害事象の発生 正常、軽度または中等度の腎機能障害患者における、治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は表3に示されている。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中等度障害のベースラインの腎機能障害カテゴリーにおける治療群を通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05;表4)。 被験薬による治療の間、高カルシウム血症(投与後4-6時間)又は高尿酸血症が少なくとも1回発生した率へ及ぼす腎機能障害の影響は、表5に示されている。正常範囲(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ10.6と8.3mg/dl)を超える上昇と、少し高いレベルより大きい上昇(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ11.0と9mg/dl)のデータが示されている。テリパラチド20mcg/日を投与された患者では、すべての腎機能サブグループにおいて、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生が、プラセボに対して有意に増加した。テリパラチド投与患者では、正常腎機能患者に対して、中等度の腎障害患者において、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生率が、有意に大きかった。投与後4-6時間後の血清カルシウムが11mg/dlを超える状態の発生率が有意でなかったのは、中等度の腎障害患者の数が少なかったせいかもしれない。テリパラチド40mcg/日を投与された患者では、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超える上昇と、同様に11mg/dlを超える上昇が比較的より頻発しており、この高カルシウム血症の発生の増加は正常、軽度、および中等度の腎障害患者において、同等であった。 ・・・ 臨床的に有意な高カルシウム血症と高尿酸血症を評価するため、痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率を、各ベースラインの腎機能カテゴリー内の治療群間で比較した。痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率において有意な腎機能群間の差はなかった(表6)。」 (64頁右欄6行~65頁右欄16行) 引用文献3-ク 「表3 治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生率と相対リスクに及ぼす腎機能障害の影響 [図:0001415605000032.jpg] Renalfunctionsubgroup:腎機能サブグループ Placebo:プラセボ TPTD20:テリパラチド20μg/日 TPTD40:テリパラチド40μg/日 Normal:腎機能正常者 AE:有害事象 Renal-relatedAE:腎臓関連の有害事象 Mild impairment:腎機能軽度障害 Moderate impairment:腎機能中等度障害 Defined as the number of women having one or more AEs:1以上の有害事象が発生した女性数 RR compared with placebo:相対リスクはプラセボとの対比」 (65頁表3) 引用文献3-ケ 「 [図:0001415605000033.jpg] 」 (66頁表5) 引用文献3-コ 「 [図:0001415605000034.jpg] 」 (66頁表6) 引用文献3-サ 「結論として、軽度または中等度の腎障害があり内因性PTH濃度が正常で ある、テリパラチド投与患者において、有害事象の増加は観察されず、BM Dと骨折減少の反応は顕著で同等のものであることが観察された。ベースラ インの腎機能に関わらず、テリパラチド投与患者は、正常範囲の10.6m g/dlを超える投与後4-6時間後の血清カルシウムの発生率が増加した が、上昇した投与後4-6時間後の血清カルシウム測定値は、テリパラチド20mcg/日投与群において11mg/dl未満であることが一般的であった。テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中等度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。いずれの腎機能において、また被験薬群においても、痛風、関節痛、または腎石症のリスクを上昇するエビデンスはなかった。重度腎障害患者、急性または慢性の透析を受けている患者、腎移植を受けている患者、腎不全で内因性PTHが上昇している患者におけるテリパラチドの安全性と有効性に関するデータは、示されていない。」 (67頁右欄下から15行~68頁左欄6行) 引用文献3-シ 「 [図:0001415605000035.jpg] 」 (63頁図1左) 第10 当審の判断 事案に鑑み、無効理由3(進歩性欠如)から、判断する。 1 無効理由3(進歩性欠如)について (1) 優先権について ア 本件特許は、 (i)平成21年9月9日に優先権の基礎となる特許出願(特願2009-208039号(甲1))(以下「本件基礎出願」という。)がされ、 (ii)平成22年9月8日に本件基礎出願に基づく優先権を主張した国際特許出願(PCT/JP2010/065379)(以下「本件国際出願」という。)がされ、 (iii)本件国際出願が日本国に国内移行がされたもの(特願2011-530844号)の一部を平成27年5月25日に新たな特許出願としたものについて、特許権の設定登録がなされたものであり、 (iv)本件特許に係る出願は、適法に分割された出願であると認められるから、本件特許に係る出願の出願日は、本件国際出願の国際出願日である平成22年9月8日とみなされる。 イ 本件第3訂正発明1は、上記第3に記載のとおり、1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とし、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される、増悪椎体骨折抑制のための骨粗鬆症治療ないし予防剤の発明である。 (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。 ウ しかしながら、本件基礎出願の特許請求の範囲及び明細書には、「1回当たり200単位」のヒトPTH(1-34)の投与について、わずかに以下に示す記載があるだけで、具体的な実施例の記載などは全くない(同明細書に記載の唯一の実施例である「(実施例1)」は、5単位、100単位の投与結果を示すものである)。 「【請求項1】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。 ・・・ 【請求項8】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」 「【0014】 すなわち、本発明は、以下に関するものである。 〔1〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。 ・・・ 〔8〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」 「【0018】 本発明は、カルシウム(カルシウム剤)併用下で1回当たり100~200単位のPTHが週1回(以下、「週1回」を「隔週」と称することもある。)投与されることを特徴とする、PTHによる骨粗鬆症治療方法又は骨折抑制ないし予防方法を提供する。また、本発明は、カルシウム併用下で1回当たり100~200単位のPTHが隔週投与されることを特徴とする、PTHを有効成分とする骨粗鬆症治療剤又は骨折抑制ないし予防剤を提供する。さらに、本発明は、前記骨粗鬆症治療剤又は前記骨折抑制ないし予防剤の製造のためのPTHの使用を提供する。」 「【0032】 従って、本発明は、その投与量として、1回当たり100~200単位であることを特徴の一つとする。ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)。投与量として、好ましく1回当たり100又は200単位、最も好ましく1回当たり200単位が例示される。」 「【0045】 また、好ましくは、本剤は、骨粗鬆症治療剤及び骨折抑制/予防剤として、1回当たり100~200単位のヒトPTH(1-34)をカルシウムと併用して隔週で投与すべき旨を記載したパッケージに収容されるか、そのような旨を記載した添付文書とともにパッケージに収容された薬剤とすることができる。」 エ このように、本件基礎出願の特許請求の範囲及び明細書には、「200単位」のPTH(1-34)を本件第3訂正発明1における(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に対し投与することについて、試験条件や試験結果についてなんら具体的な記載がなされておらず、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与されることについても、なんら記載されていない。本件明細書の投与量「200単位」についての試験の記載(【0098】~【0134】、図2~5に係る「(実施例2)」の記載)は、国際出願(PCT/JP2010/065379)の明細書においてはじめて記載されたものである(甲2)。 したがって、「1回当たり200単位」の投与に係る本件第3訂正発明の構成については、本件基礎出願に基づく優先権主張の利益を享受することはできず、本件第3訂正発明の特許要件の判断の基準日は、上記「(実施例2)」の1回当たり200単位に係る試験結果が明細書に初めて記載された、本件国際出願の国際出願日である、平成22年9月8日(以下「本件基準日」という。)となる。 (2) 甲7に記載された発明 取消判決において認定されたとおり、甲7の記載によると、一次審決が認定するとおりの甲7発明を認定することができ、当該甲7発明における「厚生省による委員会の定める「退行性骨粗鬆症の診断基準(1989年)」である(以下、厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行性骨粗鬆症の診断基準(1989年)」を、「厚生省1989年診断基準」という。)。 (甲7発明) 「hPTH(1-34)酢酸塩の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)酢酸塩を有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤であって、厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者に対し、投与される、骨粗鬆症治療剤。」 (3) 本件第3訂正発明1について ア 対比 本件第3訂正発明1と甲7発明とを対比する。 甲7発明の「hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)を有効成分として含有する」は、本件第3訂正発明1にいう「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、」に相当し、甲7発明の「骨粗鬆症治療剤」は、本件第3訂正発明1の「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」に該当する。 また、甲7発明の「厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者」と、本件第3訂正発明1の 「下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者 (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。」 は、いずれも、骨粗鬆症患者のうちの「特定の骨粗鬆症患者」であることに変わりはない。 したがって、両者は、 「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、特定の骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1 特定の骨粗鬆症患者が、 本件第3訂正発明1では 「下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者 (1)年齢が65歳以上である (2)既存椎体骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである。」 であるのに対し、 甲7発明では、 「厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者」 である点。 ・相違点2 骨粗鬆症治療剤ないし予防剤が、本件第3訂正発明1では、「増悪椎体骨折抑制のための」ものであると特定されているのに対し、甲7発明では、そのような特定がない点。 ・相違点3 骨粗鬆症治療剤ないし予防剤が、本件第3訂正発明1では、「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される、」と特定されているのに対し、甲7発明では、そのような特定がない点。 イ 相違点1について (ア) 本件第3訂正発明1における(1)~(4)の条件の技術的意義 a 本件明細書には、本件第3訂正発明が、従来の骨粗鬆症薬であるPTHについて、安全性が高くかつ効能・効果の面で優れた骨粗鬆症治療ないし予防方法を提供すること及び安全性の高い骨折抑制ないし予防方法を提供することを課題とすること(【0012】)、骨粗鬆症における骨折の危険因子を多く持つ骨粗鬆症患者に対して本件第3訂正発明の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤を投与することが望ましいこと及び骨粗鬆症における骨折の危険因子としては、年齢、性、低骨密度、骨折既往、喫煙、アルコール飲酒、ステロイド使用、骨折家族歴、運動、転倒に関連する因子、骨代謝マーカー、体重、カルシウム摂取等が挙げられることが記載され、その上で、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者(ないし対象者)を「高リスク患者」として定義する。 (1)年齢が65歳以上である (2)既存骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である。」と記載され、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者が「高リスク患者」として定義されている(【0068】)。 また、本件明細書には、骨粗鬆症及び腎障害は加齢とともにその有病率が上昇するから、腎障害を有する骨粗鬆症患者に対して有効かつ安全な薬剤を提供することが重要であること(【0064】)、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minは、中等度腎機能障害と判断できること(【0066】)、クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minは、軽度腎機能障害と判断できることが記載されている。 そして、実施例1においては、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす高リスク患者について、PTHの週1回100単位投与群は同5単位投与群に比べ、有意に高い骨密度の増加、有意に低い新規椎体骨折発生及び有意に低い椎体以外の骨折発生が認められたこと、実施例2においては、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす高リスク患者について、PTHの週1回200単位投与群は対照薬(プラセボ)投与群に比べ、新規椎体多発骨折及び増悪骨折の抑制効果が認められ、血清カルシウムに関する安全性及び副作用発現率に関する安全性が、腎機能正常の骨粗鬆症患者群と軽度及び中等度の腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群で同等であったことが記載されている。 b 上記aによれば、本件第3訂正発明1における(1)~(3)の条件は、骨折の危険性の高まった骨粗鬆症において、骨折の危険因子を多く持つ骨粗鬆症患者に対して治療剤ないし予防剤を投与することが望ましいとの認識の下、当該危険因子を多く持つ骨粗鬆症患者を特定する条件として設定されたものといえる。これに対し、本件第3訂正発明1における(4)の条件は、腎障害を有する骨粗鬆症患者に対しても有効かつ安全な薬剤を提供することは重要であるとの認識の下、腎機能障害が軽度又は中等度であっても腎機能正常者と安全性が同等であるとの知見を踏まえ、設定されたものであると認められる。他方で、実施例2においても、上記【0068】に定義される(1)~(3)の全ての条件を満たし、軽度及び中等度の腎機能障害者を有する患者に対して、新規椎体骨折抑制効果及び骨密度増加効果が奏されるとの記載はあるが(本件明細書【0126】、【表25】、【0127】、【表26】)、本件第3訂正発明1における(4)の条件を加えたことによって骨折抑制効果が奏されるとの記載はない。したがって、本件第3訂正発明1における(1)~(3)の全ての条件と本件第3訂正発明1における(4)の条件とはその目的を異にする独立の条件であると理解できる。 (イ) 本件基準日(平成22年9月8日)における骨粗鬆症に関する技術常識について 取消判決が、無効理由3についての判断の前提として認定したとおり、本件基準日において、(i)骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患であり、その治療の目的は、骨折を予防し、QOL(quality of life)の維持改善を図ることである、(ii)骨粗鬆症は、加齢とともに発生が増加する、(iii)骨粗鬆症による骨折の複数の危険因子の中で、わが国では、低骨密度、既存骨折、年齢に関するエビデンスがある、(iv)骨粗鬆症の診断基準に関して、1990年当時、厚生省シルバーサイエンスプロジェクト「老人性骨粗鬆症の予防および治療に関する総合的研究班」により提唱された診断基準(1989年診断基準)があったが、1996年に診断基準が改訂され(1996年診断基準)、その後、2000年に更に改訂された(2000年診断基準)、(v)骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度が骨強度のほぼ70%を、骨質が残りの30%を説明することが当時の技術常識であったことが認められる。 (ウ) 本件基準日(平成22年9月8日)時点の骨粗鬆症と腎機能障害との関係に関する技術常識について 本件基準日(平成22年9月8日)時点の骨粗鬆症と腎機能障害との関係に関する技術常識として、(i)軽度又は中等度の腎機能障害者へのPTHの投与においては、腎機能正常者との間で薬物動態パラメータに有意差がないこと、(ii)引用文献3の試験は、骨粗鬆症と腎機能障害の罹患率はいずれも加齢とともに増加すること、及び、大規模な疫学研究では骨粗鬆症女性の85%が軽度から中等度の腎機能障害を有していたことに鑑み、加齢に関連した軽度又は中等度の腎機能障害を有する女性における、PTHによる有害事象の発生等を検討したものであること(59頁左欄1行~右欄32行、60頁左欄1行~20行目)、(iii)引用文献3の試験中に発生した腎臓に関連する有害事象の発生率は、腎機能正常、軽度障害、中等度障害のサブグループいずれでの治療の割り付けでも一貫していたこと、PTHにより誘導される平均GFRの変化は、ベースラインにおける腎機能の影響を受けなかったこと、テリパラチド20μg又は40μgの投与を受けた患者は全ての腎機能区分で、投与4ないし6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dl(正常上限値)を超える発生率がプラセボに対して増加したが(64頁右欄6行~65頁右欄16行、65頁右欄29行~67頁左欄15行)、同試験に先行する試験では、投与4ないし6時間後の血清カルシウムの上昇と有害事象との関連はなく、一時的なものであったこと(65頁右欄29行~67頁左欄15行)、(iv)引用文献3の試験において、軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が、PTHによる治療を受けた際に有害事象の増加は観察されなかったこと(67頁右欄39行~68頁左欄6行)が認められる。 (エ) 本件第3訂正発明1における(1)~(3)の条件についての容易想到性 a 本件第3訂正発明1と甲7発明とは、「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする」との用量の点において一致するが、その投与の対象となる骨粗鬆症患者の範囲を異にする。 b 甲7発明で投与対象とされた患者は、前記(2)のとおり、1989年診断基準で骨粗鬆症と診断された患者であるところ、より新しい基準を参酌しながらその患者を選別することは、当業者がごく普通に行うことであるから、甲7発明に接した当業者が、甲7発明のPTH200単位週1回投与の骨粗鬆症治療剤を投与する対象患者を選択するのであれば、1989年診断基準とともに、より新しい、1996年診断基準又は2000年診断基準を参酌するといえる。 そして、1996年診断基準で骨粗鬆症と診断される者は、(i)骨萎縮度I度以上又は骨密度値がYAMの80%以下の低骨量で非外傷性椎体骨折を有する者か、(ii)X線上椎体骨折を認めないが、骨萎縮度II度以上、又は、骨密度値がYAMの70%未満である者であり、2000年診断基準で骨粗鬆症と診断される者は、(iii)骨萎縮度II度以上又は骨密度がYAMの80%未満の低骨量で、軽微な外力による非外傷性椎体骨折等(脆弱性骨折)を有する者か、(iv)脆弱性骨折がないものの、骨萎縮度II度以上、又は、骨密度値がYAMの70%未満の者である(甲9及び引用文献1)。 本件第3訂正発明1における(2)の条件及び本件第3訂正発明1における(3)の条件は、上記(i)と同じであるから(既存の骨折」は「非外傷性骨折」を含む。)、当業者が甲7発明の200単位週1回投与の骨粗鬆症治療剤を投与する骨粗鬆症患者を本件第3訂正発明1における(2)の条件及び本件第3訂正発明1における(3)の条件で選別するのには何ら困難を要しない。 また、前記(イ)のとおり、骨粗鬆症は、加齢とともに発生が増加するとの技術常識があり、高齢者は加齢を重ねた者であるのは明らかであるところ、高齢者として65歳以上の者を選択するのは常識的なことである。したがって、これらを参酌し、骨粗鬆症による骨折の複数の危険因子として、低骨密度及び既存骨折に並んで年齢が掲げられていることに着目して投与する骨粗鬆症患者を65歳以上として、本件第3訂正発明1における(2)の条件及び本件第3訂正発明1における(3)の条件に加えて本件第3訂正発明1における(1)の条件のように設定することはごく自然な選択であって、何ら困難を要しない。 そうすると、甲7発明に接した当業者が、投与対象患者を、本件第3訂正発明1における(1)~(3)の全ての条件を満たす患者と特定することは、当業者に格別の困難を要することではない。 (オ) 本件第3訂正発明1における(4)の条件についての容易想到性 a 甲7発明は、腎機能障害者の中から重症の者を投与対象から除外しているところ、患者の中に重度の腎障害を有する者と腎機能が正常の者のみの両端しかいないということは不自然であるから、投与対象の患者には腎機能正常者のみならず、軽度又は中等度腎機能障害を有する者も含まれていることを当然の前提にしていると解される。そして、前記(ウ)のとおり、骨粗鬆症と腎機能障害の罹患率はいずれも加齢とともに増加することや、大規模な疫学研究では骨粗鬆症女性の85%が軽度から中等度の腎機能障害を有していたことが知られていたから、重度の腎機能障害患者を除くと明記された甲7の記載に接した当業者であれば、甲7発明の投与対象患者に軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が相当程度含まれていると認識することは明らかといえる。 さらに、前記(ウ)のとおり、骨粗鬆症治療薬についても腎機能障害を有する患者における安全性の確認が求められていたことは明らかであるから、甲7発明に接した当業者が、投与対象患者の腎機能に着目することは、当業者が当然に行うべきこととして格別なものではない。 b ここで、クレアチニンクリアランスは、糸球体濾過値を、クレアチニンをマーカーとして測定したものである(甲44)。また、販売名 フォルテオ皮下注カート600μg、同皮下注キット600μgの審査結果報告書においては、腎機能障害の程度を、クレアチニンクリアランスを指標として、この値に沿って、「80以上」、「50以上80未満」、「30以上50未満」及び「30未満」と区分している(引用文献2-イ、ウ)。 そうすると、甲7発明の投与対象患者の中から、腎機能障害の程度をクレアチニンクリアランスの値で表して、「クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/min」の者を「中等度腎機能障害者」としてその投与対象とすることは、当業者であれば何ら困難を要しないものである。 c 以上のとおりであるから、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の投与対象患者を、本件第3訂正発明1における(4)の条件を満たす者とすることは、当業者にとって格別困難を要することとはいえない。 ウ 相違点2の構成の容易想到性について (ア) 本件基準日(平成22年9月8日)時点の骨粗鬆症における椎体骨折に関する技術常識について 取消判決が、無効理由3についての判断の前提として認定したとおり、本件基準日時点において、(i)骨粗鬆症で最も頻度の高い骨折は椎体骨折であること、(ii)椎体骨折が起こると、椎体変形が生じるところ、このような椎体変形を評価する方法として、椎体のエックス線写真により、正常(grade0)、軽度変形(grade1)、中等度変形(grade2)、高度変形(grade3)に視覚的に分類する半定量的(SQ)評価法があること、(iii)新規椎体骨折を判定するには、基準となるエックス線写真とある期間経過後のエックス線写真を比較して行い、椎体形態がグレード1以上増加した場合、新規椎体骨折と判定すること、(iv)エックス線写真の経時的な変化に関して、最初の時点でGrade0であるか、Grade1又は2であるかにかかわらず、グレード1以上増加すれば、新規椎体骨折と判定すること、(v)このような新規椎体骨折を、最初の時点でGrade0であったか、Grade1又は2であったかによって更に二分し、前者を新規椎体骨折、後者を増悪椎体骨折として区別することが当時の技術常識であったことが認められる。 (イ) 増悪椎体骨折の抑制について a 本件第3訂正発明の増悪椎体骨折について 本件明細書には、新規椎体骨折及び増悪椎体骨折の区分に関し、Genantの判定基準に従い、Grade0からGrade1、Grade2又はGrade3への変化が認められた場合には新規椎体骨折とし、Grade1からGrade2若しくはGrade3、又は、Grade2からGrade3への変化が認められた場合には増悪椎体骨折とすることが記載され(【0047】、【0069】)、実際に、実施例2では、第4胸椎から第4腰椎までの正面、側面のX線撮影を行い、「Genantらの方法(非特許文献14)」を参考に、開始時と以降の時点のレントゲンフィルムを比較して、新規及び増悪椎体骨折が評価されている(【0108】)。 ここで、「非特許文献14」は、「J Bone Miner Res、8、1137-48、1993」であり(本件明細書【0011】【非特許文献14】)、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」中の参照文献97と同一のものである。 そうすると、本件明細書の記載に接した当業者は、本件明細書における「増悪椎体骨折」を、前記(ア)のとおり、新規椎体骨折と判定されるもののうち、最初の時点での椎体形態がGrade0ではないものを指すと理解するといえる。 b 容易想到性について 上記イ(ア)のとおり、骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患であること、骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明することが、本件基準日における技術常識であったから、当業者は、骨密度の増加は、骨折の予防に寄与すると理解する。このような理解は、甲7の「ここに挙げた薬剤を投与することによって骨密度(BMD)が増加するため、骨折予防は飛躍的に進歩した」(296頁右欄10行~297頁左欄25行)との記載とも合致するものである。 そして、甲7には、甲7発明の200単位週1回投与が、48週で腰椎骨密度を8.1%増大させたことが記載されているから(300頁左欄11行~右欄6行)、当業者であれば、そのような骨密度の増大は、椎体(椎体は、腰椎を含む。)の骨折予防に寄与すると理解し、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであるとの技術常識、及び、骨粗鬆症で最も頻度の高い骨折は椎体骨折であるとの技術常識を踏まえ、その用途を、投与対象の椎体骨折抑制のためのものとすることは、容易に想到し得たものといえる。そして、本件基準日において、乙53の記載によると、本件第3訂正発明と同一のPTH製剤であり、用量用法が異なる連日投与のフォルテオは、新規椎体骨折、増悪椎体骨折、及び、新規椎体骨折及び増悪椎体骨折(乙53の4029頁右欄16行~20行)について、プラセボ投与群に対して有意な骨折抑制効果を有することが知られていた(甲57の21頁13行~20行、表16、乙53の4032頁左欄8行~26行、図3)。そうであれば、甲7発明の治療剤についても、連日投与のPTH製剤と同様に、新規椎体骨折に対しても、増悪椎体骨折に対しても抑制効果を有すると予測し、これらのうちの増悪椎体骨折を抑制するためのものとしたことは、当業者が容易に想到し得たものである。 エ 相違点3について (ア) 本件基準日(平成22年9月8日)時点のPTH製剤の投与期間に関する技術常識等について 本件基準日時点のPTH製剤の投与期間に関する技術常識として、(i)PTH20μg又は40μg18か月間以上の連日投与により骨密度の増加と新規椎体骨折の発生の抑制を得られることが知られていたこと(甲19、甲20、甲63)、(ii)甲19の試験では、1年間のテリパラチド20μg連日投与後、2年目もテリパラチドの投与を続けた群(305例)では、2年目も腰椎骨密度の上昇が継続したのに対し、2年目にテリパラチドの投与をやめて、ラロキシフェン投与に切り替えた群(100例)では腰椎骨密度の変化はなく、2年目に積極的な治療を行わないでカルシウムとビタミンDの補充のみに切り替えた群(102例)では腰椎骨密度が減少したこと(726頁要旨欄、729頁右欄10行~730頁右欄7行、731頁図3A、732頁右欄1行~733頁左欄4行、733頁表2、734頁41行~57行)、(iii)甲20の試験では、2年間のテリパラチド20μg連日投与により、腰椎骨密度が継続して上昇したこと(1595頁図2)が当業者に知られていたものと認められる。 (イ) 「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与される」ことの技術的意義 本件第3訂正発明1は、投与期間を「48週を超過して72週以上までの間」とするものであるところ、これは、「までの間」として一定の期間内における投与を規定し、投与の開始を0週として、投与期間が「48週を超過」し、終期が投与開始から「72週以上」とするものと理解できる。 そして、本件明細書には、骨折発生を主要評価項目とした二重盲検比較臨床試験において、その効果が24週後又は26週後という早期から発現し、投与後48週を超えてからの新規椎体骨折は認められなかったことが記載された上で、投与期間として、24週以上、26週以上、48週以上、52週以上、72週以上や78週以上が例示され、最も好ましいものを78週以上としている(【0032】)。 また、実施例2として、高リスク患者に対して、被験薬(PTH200単位)又は対照薬(プラセボ)を、72週間にわたり週に1回の頻度で間欠的に皮下投与したところ(【0098】)、24週後、48週後、72週後の増悪椎体骨折発生率は、対照薬投与群では、いずれの時点でも2.3%であったが、被験薬投与群では、いずれの時点でも、0.4%であったこと(【表20】)が示されており、対照薬投与群及び被験薬投与群のいずれにおいても、24週以降に増悪椎体骨折の発生はなかったものと認められる。 さらに、半年毎の新規椎体骨折発生率は、対照薬投与群では、24週以下、24週を超えて48週以下、48週を超えて72週以下のいずれの区間でも約5%でほぼ一定であったが、被験薬投与群では、投与期間が長くなるにつれて区間ごとの発生率が低下しており、48週を超えてからの新規椎体骨折の発生はなかったこと(【0131】、【0132】、【表34】、【表35】)、カプラン-マイヤー推定法による72週後の椎体骨折(新規及び増悪)発生率が、被験薬投与群で3.5%、対照薬投与群で16.3%であること(【0133】)が記載されている。 これらの記載によると、本件第3訂正発明1は、遅くても48週を超えてからの新規椎体骨折の発生はなかったことを踏まえて、投与を継続する期間を「48週を超過して72週以上までの間」としたものと理解される。 本件明細書には、上記のほかに「48週」なる数値の技術的意義についての記載はないが、【表34】において、48週を超えて72週までの間に骨折発生がなかったということは、24週を超えて48週以下までの間に発生した最後の骨折以降に更なる骨折発生がなかったことを意味し、しかも、その骨折発生時期は不明であるものの、24週という相当長期の間に発生した骨折例数はわずか2例であること(本件明細書【表35】)に鑑みると、単に新規椎体骨折発生の有無にだけ着目するならば、その効果は24週を超えて48週以下の区間で既に奏していたとの評価もできる。また、72週を超える期間での骨折発生率は、本件明細書上不明である。 また、本件第3訂正発明1は、「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、」投与されるものであるところ、本件明細書には、上記実施例2の結果として、24週後、48週後、72週後及び最終時の腰椎骨密度変化率が、骨粗鬆症患者の腎機能によって、クレアチニンクリアランスが80以上である腎機能正常者、クレアチニンクリアランスが50以上80未満である軽度腎機能障害者、クレアチニンクリアランスが50未満である中等度腎機能障害者に分けて示され、腎機能正常の骨粗鬆症患者では、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)として、平均4.9、標準偏差4.4の数値が示されるとともに、「腎機能正常の骨粗鬆症患者、軽度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群、中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群いずれに対しても被験薬が腰椎骨密度増加効果を有することが明らかとなった。」との記載がある(【0127】、【表26】)ほかは、腰椎骨密度ないしその増加率についての記載はない。そして、本件明細書には、他に中等度腎機能障害者において、骨粗鬆症治療剤の投与対象を、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲である患者に対して投与することの技術的意義についての記載は見当らない。 そうすると、本件第3訂正発明の1における「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間」投与されるとの特定は、単にPTHが48週投与された時点で、腰椎骨密度が増加した患者に対して、72週以上継続して投与されることを、実施例2において、中等度腎機能障害の骨粗鬆症患者で得られた骨密度増加率の平均値及び標準偏差に基づき、表現したものであると認められる。 以上からすると、「48週を超過して72週以上までの間」、及び、「48週投与時点」の腰椎骨密度変化率(%)が「平均4.9、標準偏差4.4」のいずれの数値範囲についても、臨界的意義を認めることは困難であり、本件第3訂正発明1の「48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間」投与されるとの限定には格別の技術的意義を見いだすことができず、単に、適宜の区間についてPTHの投与継続につれて腰椎骨密度が増加し、骨折発生率が低下していることを示すためだけのものにすぎないと認められる。 (ウ) 容易想到性について 上記(ア)のとおり、本件基準日において、連日投与のPTH製剤に関し、48週を超えた投与により骨密度が上昇し、骨折発生が減少することが知られていた。 一方、甲7発明は、PTH200単位週1回投与により、48週までの間、腰椎BMDが継続的に増加し、48週後には8.1%有意に増加し(甲7の296頁左欄1行~右欄7行)、さらに、PTH200単位投与群であるH群では48週の投与期間中に椎体骨折が発生しなかったものである(甲7の300頁左欄11行~右欄6行)。そして、前記イ(イ)記載の技術常識によると、当業者であれば、そのような骨密度の増大は骨折の予防に寄与すると理解するといえるところ、甲7の試験は、48週までの投与についてのものであるが、その増加率に逓減傾向があるとしても、腰椎BMDが継続的に増加していることが見て取れ(甲7の図1)、48週を超えると、これが減少に転じるとする根拠は見当たらない。 また、腰椎骨密度の測定は、骨粗鬆症の診療において日常的に行われ(甲8、甲9)、治療効果を知るための指標の一つとされているのであって、骨粗鬆症治療剤を投与されている骨粗鬆症患者の骨密度増加作用を確認すべく、48週投与時点の腰椎骨密度を測定して腰椎骨密度変化率の平均値及び標準偏差を特定することは、当業者であれば、何ら困難を要しないことである。 以上からすると、連日投与のPTHに関して、48週を超えて、18か月間(76週)以上の投与がされ、それによる骨密度の上昇及び椎体骨折発生の減少が報告されていたことを踏まえ、甲7発明の骨粗鬆症治療剤においても、骨密度の上昇と増悪椎体骨折の抑制のために、48週投与時点の腰椎骨密度を測定し、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して、72週以上までの間投与するようにすることは、当業者として容易に想到することである。 オ 効果について 本件第3訂正発明1の構成に基づく骨折抑制効果(【0126】)についてみると、甲7には、骨密度の増加が骨折予防に寄与することが記載され(296頁右欄10行~297頁左欄25行)、その上で、甲7発明が48週で骨密度を8.1%増大させたことが開示されている(300頁左欄11行~右欄6行)。そして、前記イ(イ)のとおり、骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患で、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであり、骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとの技術常識があることから、当業者は、骨密度の増加は骨折の予防に寄与すると理解する。そうすると、甲7に接した当業者は、甲7発明が、骨折抑制効果を奏し、また、上記イ(オ)のとおり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minの骨粗鬆症患者にも有効であると理解するといえる。 したがって、本件第3訂正発明1の構成により奏される効果は、甲7発明から、当業者が予測する範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 カ 被請求人の主張について (ア) 被請求人の主張の概要 被請求人は、本件第3訂正発明1に対する無効理由3について、以下の主張をしている。 (i) 本件訂正発明で対象とする患者は、48週投与時点の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の範囲の骨粗鬆症患者であり、甲7発明の48週投与による「8.1%」と比較すると、非常に低い骨密度増加しか示さないローレスポンダーの骨粗鬆症患者である。したがって、200単位という高用量の投与継続に対し、高い副作用頻度を超えるベネフィットがあるとはいえず、むしろ阻害要因がある。(令和6年1月163日受付の上申書 15頁~16頁) (ii) 本件訂正発明は、「48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用」を有し、甲7発明の8.1%と比較して格別に低い骨密度増加であるが、それにも拘らず、48週を超過して72週以上までの間には増悪椎体骨折の発生はなく、48週を超過して投与を継続することで増悪椎体骨折の発生が完全に抑制されている。このような骨折抑制効果をもたらすことは、低い腰椎骨密度増加しか示さないローレスポンダーの患者で予測できたとはいえない。 本件訂正発明で48週を超過して72週まで投与しても、甲7発明の48週投与時点の副作用発現率と比較して格段に低い副作用発現率であり、治療継続性を保持しつつ長期にわたり治療を継続できるという本件訂正発明の効果は、48週の時点で既に42%の副作用発現率に達し、しかも48週が投与限界と理解されていた甲7発明からは予測することはできず、格別な効果である。 (令和5年1月23日受付の上申書 16頁~18頁) (イ) 被請求人の主張に対する判断 (i)の主張について 確かに、甲7には,PTH200単位週1回投与のH群の副作用発生率は42%であり、72人のうち16人(約22%)が副作用により脱落していて、副作用発生率及び副作用による脱落率は、50単位を投与したL群(副作用発生率19%)及び100単位を投与したM群(副作用発生率19%)のいずれと比べても高いことが記載されており(表6)、骨粗鬆症の治療は長期間にわたるため、臨床使用において患者の症状や治療継続意思に直接に影響する副作用が起こることは望ましくはないから(乙8の6、乙9、乙9の2、乙51甲69~甲71、甲96)、甲7の上記記載に接した当業者は、この点に限っていえば、200単位の投与よりも100単位の投与の方がより適当であると認識することが考えられる。 また、甲7には、「試験期間を48週間に設定した。この期間は、骨折の危険性と不安が常にある患者を対象として通常の骨測定、血液と尿の採取を行っても脱落率が過度とならずに、十分な制御下で多施設試験を実施できる限界であると思われた。」(297頁右欄43行~298頁左欄24行)と記載されている。 他方、甲7には、重篤な有害事象は認められないと記載されており(301頁左欄1行~右欄4行)、さらに、200単位の投与が腰椎骨密度を48週間後に8.1%増加させたこと、及び、その増加の程度は、100単位投与の3.6%、及び、50単位投与の0.6%のいずれよりも高いことが記載され、PTHは腰椎骨密度を48週という比較的短期間で用量に依存して増加させる極めて有望なものと評価されており(300頁左欄11行~右欄6行、301頁右欄5行~303頁23行)、有望とされた対象から、最も腰椎骨密度を増加させた200単位の投与のみが排除されているとは理解し難い。そして、前記イ(イ)のとおり、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであるところ、骨密度が低いことは、既存骨折、年齢とともに、わが国でエビデンスがある骨折危険因子であり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとの技術常識がある。 以上によれば、甲7に記載の臨床試験において、試験期間が48週に設定された直接の理由は臨床試験の管理上の問題を懸念したことによるものであることは明らかであり、しかも、試験期間の設定は当該試験の結果を知る前にされるものであることも併せ考えれば、甲7に記載された臨床試験の結果を見た当業者が、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を治療の場面で用いる際、48週を超えて投与することを阻害されるとはいえない。そして、甲7に接した当業者は、48週を超える200単位週1回投与が骨密度を増加させ、骨折を抑制する効果を奏すると当然に予測するのであり、たとえ、ローレスポンダーであったとしても、骨密度が増加している以上、48週を超えて投与することに阻害要因はない。 したがって、被告の上記(i)の主張は、採用することができない。 (ii)の主張について 既に主張(i)について述べたとおり、甲7には、重篤な有害事象は認められないと記載されており(301頁左欄1行~右欄4行)、甲7に記載の臨床試験において、試験期間が48週に設定された直接の理由は臨床試験の管理上の問題を懸念したことによるものであることは明らかであり、また、甲7には、200単位週1回のPTH(1-34)酢酸塩の投与が腰椎骨密度を48週間後に8.1%増加させたこと、及び、その増加の程度は、100単位投与の3.6%、及び、50単位投与の0.6%のいずれよりも高いことが記載され、PTHは腰椎骨密度を48週という比較的短期間で用量に依存して増加させる極めて有望なものと評価されていたのであるから、48週を超える投与において、増悪椎体骨折抑制効果が得られることは、甲7発明から当業者が予測し得た効果である。 したがって、被請求人の上記(ii)の主張は採用することができない。 キ 小括 以上のとおりであるから、本件第3訂正発明1は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 無効理由3についてのまとめ 以上のとおり、本件第3訂正発明1及び2は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件第3訂正発明1及び2に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 2 無効理由1(明確性要件)について (1)請求人の主張 請求人は、本件特許発明1及び2における投与量「200単位」に係るPTHの1単位量について、本件明細書の【0034】には、「ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)」と記載されているが、同明細書の記載及び非特許文献9である甲4(本件明細書の【0011】参照)の記載を斟酌しても、上記「200単位」にかかるPTH1単位量は具体的な特定を欠いていて、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができないから、本件特許発明1及び2は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨、主張する。 (2)判断 しかしながら、本件明細書の【0034】に甲4(非特許文献9)を引用して記載されているPTHの単位の測定法は、同じく甲4を引用している生化学データブック(乙1)にも示されるような、PTHの生物活性の測定法としてごく一般的なラットアデニルシクラーゼ法である。具体的には、PTHによるラット腎皮質のアデニルシクラーゼ酵素の活性化を、32Pで標識したATP(AT32P)を用いて測定するものである(乙1-ア、乙1-イ)。 PTHは、ラット腎皮質の受容体に結合し、その受容体と連関するアデニルシクラーゼ酵素を活性化させ、そのアデニルシクラーゼ酵素の反応によってATPからcAMP(「3’5’AMP」、「cyclic AMP」とも表記される)へと変換する(甲3-ア)。ラットアデニルシクラーゼ法は、AT32Pを用い、酵素反応によって生成したcAM32P(cAMPのPが32P放射標識体であるもの)を定量することにより、PTHの生物活性を測定する方法である。甲4では、ラット腎皮質をホモジナイズ、精製等して得られたアデニルシクラーゼ酵素調製物(調製法については甲4-ア)とAT32Pを添加した酵素反応用液に、測定目的のPTH試料と、生物活性既知の標準品をそれぞれ添加し、両者のcAM32P産生量を比較することにより(測定方法については甲4-イ、酵素反応用の反応混合物の組成については甲4-ウ、酵素反応のインキュベーション条件と反応中止条件については甲4-エ、標準品については甲4-オ)、PTH試料の生物活性の結果を得ている。 したがって、PTH試料として、本件第3訂正発明1及び2に記載のPTH(1-34)を用いたときにも、本件明細書で引用されている甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ結果を再現できる同等の方法を用いることにより、200単位のPTH(1-34)の量を当業者は特定できるから、本件特許発明1及び2は明確である。 (4)小括 以上のとおり、本件第3訂正後の請求項1及び2に記載の「200単位のPTH(1-34)」は明確であるから、本件第3訂正発明1及び2は特許を受けようとする発明が明確であり、請求人が主張する無効理由1には、理由がない。 3 無効理由2(実施可能要件)について 請求人は、上記無効理由1において述べた理由と同じ理由で、本件特許発明の「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件特許発明を実施することができない旨、主張する。 しかしながら、上記1の(2)~(4)において述べたとおり、「200単位のPTH(1-34)」は当業者が明確に理解できるものであり、また、甲4記載の「MRC67/342」が入手できないようなことがあった場合にも、例えば「ヒトPTH注(東洋)」や「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を標準品として用いることにより、200単位量のPTH(1-34)を測定することができるものである。 したがって当業者は、本件明細書の記載及び出願時の技術常識に基づき、本件第3訂正発明1及び2を実施することができるから、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件をみたすものであり、請求人が主張する無効理由2には、理由がない。 第11 むすび 以上のとおりであるから、本件第3訂正請求は適法であり、本件特許の特許請求の範囲を、本件第3訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。そして、請求人が主張する無効理由3(進歩性欠如)には理由があり、本件第3訂正後の請求項1及び2に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-800080

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