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特許無効審判

2018-800076

骨粗鬆症治療剤ないし予防剤

審判番号
2018-800076
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-061092
登録番号
6274634
請求日
2018年06月12日
審決日
2019年12月11日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】沢井製薬 株式会社
  • 【請求人代理人】森本 純
  • 【被請求人】旭化成ファーマ 株式会社
  • 【被請求人代理人】細田 芳徳
  • 【被請求人代理人】亀ヶ谷 薫子
審判長/審判官
  • 審判長 關 政立
  • 審判官 田村 聖子
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1113.121-ZAA(A61K) / P1113.537-ZAA(A61K) / P1113.536-ZAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第29条第2項、特許法第148条第1項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第135条、特許法第126条第5項、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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上記当事者間の特許第6274634号発明「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6274634号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2]について訂正することを認める。 特許第6274634号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 特許第6274634号の請求項2についての審判請求を却下する。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第6274634号の請求項1及び2に係る発明についての出願(特願2017-061092号)は、平成22年9月8日(優先権主張 平成21年9月9日)を国際出願日とする特願2011-530844号の一部を平成27年5月25日に新たな特許出願とした特願2015-105265号の一部を、さらに平成28年4月18日に新たな特許出願とした特願2016-082589号の一部を、またさらに平成28年11月10日に新たな特許出願とした特願2016-219323号の一部を、その上さらに新たな特許出願として平成29年3月27日に出願されたものであって、平成30年1月19日にその発明について特許権の設定登録がなされたものである。 請求人は、平成30年6月12日付けで当該特許の請求項1及び2に係る発明について、特許無効審判請求を行った。本件特許無効審判手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 6月12日 審判請求書の提出(受付日) 同年 8月30日 答弁書の提出 同年 10月11日 審理事項通知書(請求人)(起案日) 同年 10月11日 審理事項通知書(被請求人)(起案日) 同年 10月11日 参加申請書(ニプロ株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請)の提出 同年 11月 1日 参加許否の決定(ニプロ株式会社の参加を許可) 同年 11月 5日 審理事項通知書(請求人)(起案日) 同年 11月 5日 審理事項通知書(ニプロ株式会社)(起案日) 同年 11月 5日 審理事項通知書(被請求人)(起案日) 同年 11月 8日 参加申請書(テバファーマスーティカル株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請)の提出 同年 11月13日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 同年 11月26日 口頭審理陳述要領書(ニプロ株式会社) 同年 11月27日 口頭審理陳述要領書(請求人)(受付日) 同年 12月 3日 参加許否の決定(テバファーマスーティカル株式会社の参加を許可)(起案日) 同年 12月11日 口頭審理陳述要領書(テバファーマスーティカル株式会社)(受付日) 同年 12月11日 口頭審理 同年 12月17日 上申書(請求人) 同年 12月18日 上申書(ニプロ株式会社) 平成31年 1月15日 上申書(被請求人) 同年 1月22日 審尋(請求人)(起案日) 同年 1月22日 審尋(ニプロ株式会社)(起案日) 同年 1月22日 審尋(テバファーマスーティカル株式会社)(起案日) 同年 2月 8日 上申書(請求人)(受付日) 同年 2月 8日 上申書(ニプロ株式会社) 同年 2月 8日 上申書(テバファーマスーティカル株式会社) 同年 4月11日 参加申請取下書(テバファーマスーティカル株式会社) 令和 1年 7月24日 参加申請取下書(ニプロ株式会社) 同年 8月 6日 審決の予告(起案日) 同年 10月11日 訂正請求書 同年 10月15日 上申書(被請求人) 上記のとおり、平成31年4月11日に「テバファーマスーティカル株式会社」の参加申請が取り下げられ、令和1年7月24日に「ニプロ株式会社」の参加申請が取り下げられたため、これらについては「参加人」とはいわず、それぞれ、「テバファーマスーティカル株式会社」、「ニプロ株式会社」という。 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容 被請求人が令和1年10月11日付け訂正請求書により請求する訂正は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものである。 その訂正の内容は、以下のとおりのものである(下線部が訂正箇所である)。 (1)訂正事項1 請求項1に「1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者を対象とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」と記載されているのを、 「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者を対象とする、骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項2を削除する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「PTH(1-34)」を概念的により下位の「ヒトPTH(1-34)」という態様に限定するものである。また、訂正前の請求項1に記載の「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」を「骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」とすることで、その用途を限定するものである。したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 訂正事項1の「ヒトPTH(1-34)」は、本件特許明細書の【0023】において、PTHの中でも好ましい例として記載され、実施例2において(本件特許明細書の【0098】以降)、ヒトPTH(1-34)の酢酸塩に該当する(本件特許明細書の【0022】)、テリパラチド酢酸塩が使用されている。また、「骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」は、本件特許明細書の【0126】、【0131】~【0132】、【0018】、訂正前の特許請求の範囲の請求項2などの記載に基づいて導き出される事項である。 したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無 上記アで述べたとおり、訂正事項1は、「PTH(1-34)」、「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」という発明特定事項について、それぞれ概念的により下位の「ヒトPTH(1-34)」、「骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」という態様に特定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項2に係る訂正は、請求項2を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 3 訂正請求についての結論 以上のとおり、本件訂正は、訂正の要件を全て満たすものであるから、これを認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、令和1年10月11日付け訂正請求書に添付の訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 当該訂正により、本件特許の請求項2に係る発明は、存在しないものとなった。 なお、以下、本件訂正後の請求項1に係る発明を、「本件特許発明1」又は「本件特許発明」ということがある。 「【請求項1】 1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者を対象とする、骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤; (1)年齢が65歳以上である (2)既存の骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minである腎機能障害を有する。 【請求項2】 (削除)」 第4 請求人の主張及び証拠方法 請求人は、「特許第6274634号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の書証を提出し、本件特許が無効とされるべき理由として、以下に要約される無効理由1~3を主張している。 1 無効理由1(明確性要件) 本件特許発明1及び2に記載されている「200単位」に係るPTH1単位量については、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができない。 したがって、本件特許発明1及び2は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものであるから、これらの請求項に係る発明についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 2 無効理由2(実施可能要件) 本件特許発明1及び2に記載されている「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件特許発明を実施することができない。 したがって、本件特許発明1及び2については、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、これらの請求項に係る発明についての特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 3 無効理由3(進歩性) 本件特許発明1及び2は、甲第7号証に記載された発明及び技術常識に基づき(甲第7号証が主引例、技術常識を示す証拠として甲第8号証ないし甲第18号証)、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る発明についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 4 証拠方法 ・甲第1号証 特願2009-208039号(平成21年9月9日特許出願) ・甲第2号証 WO2011/030774(2010年9月8日国際出願の再公表公報) ・甲第3号証 薬学図書館、Vol.31、No.4(1986年)p.200-219(1986年) ・甲第4号証 ROBERT MARCUS and G.D.AURBACH、Endocrinology、Vol.85(1969年)p.801-810 ・甲第5号証 米国特許第4086196号明細書(1978年) ・甲第6号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1~12、p.20、p.24、p.52(平成26年4月18日) ・甲第7号証 Osteoporosis International、Vol.9(1999年)p.296-306 ・甲第8号証 医学のあゆみ、Vol.152、No.5(1990年)p.288-290 ・甲第9号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(奥付は甲第35号証) ・甲第10号証 Osteoporosis International、Vol.18(2007年)p.59-68 ・甲第11号証 日本慢性腎臓病対策協議会「腎機能をチェックしましょう」(インターネットホームページ http://j-ckdi.jp/ckd/check.html)(平成30年5月16日出力) ・甲第12号証 山口徹 外編「今日の治療指針 私はこう治療している 2009」(2009年1月1日)医学書院、p.1167-1175 ・甲第13号証 厚生省薬務局新医薬品課長通知「「高齢者に使用される医薬品の臨床評価法に関するガイドライン」について 薬新薬第104号」」(平成5年12月2日) ・甲第14号証 日本小児腎臓病学会雑誌、Vo.19、No.2(2006年)p.47-59 ・甲第15号証の1 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「販売名 フォルテオ皮下注カート600μg、同皮下注キット600μg」の審査報告書(平成22年4月6日、平成22年5月6日付け審議結果報告書に添付) (合議体注:下記甲第15号証の2には、甲第15号証の1に係る審査報告書が2010年7月26日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページサイト上に掲載されたことが記載されている。したがって、甲第15号証の1の公知日は、2010年7月26日であると認める。) ・甲第15号証の2 独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの、甲15の1の承認情報掲載のお知らせ(2010年7月26日) ・甲第16号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOTM teriparatide(rDNA origin) injection 750 mcg/3mL 米国添付文書」(2002年) ・甲第17号証の1 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのCLINICAL PHARMACOLOGY and BIOPHARMACEUTICS REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第17号証の2のホームページに掲載) ・甲第17号証の2 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEO teriparatide(rDNA origin) injectionの医薬承認情報」(アメリカ食品医薬品局(FDA)のインターネットホームページ https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2002/21-318_Forteo.cfm)(2004年3月24日) ・甲第18号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのMEDICAL REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第17号証の2のホームページに掲載) (以上、審判請求書に添付。) ・甲第34号証 沢井製薬株式会社 柳慎一郎「報告書」(平成30年11月16日) ・甲第35号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(甲第9号証と同じ) ・甲第36号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 26th Report」(1975年)p.9-11 ・甲第37号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 32nd Report」(1982年)p.28-29 ・甲第38号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 36th Report」(1987年)p.25-26 ・甲第39号証 Japanese Journal of Transfusion Medicine、Vol.44、No.4(1998年)p.465-472 ・甲第40号証 Endocrinology、Vol.99、No.2(1976年)p.429-436 ・甲第41号証 日本骨代謝学会雑誌 JJBM、Vol.3、No.1(1985年)p.29-37 ・甲第42号証 社団法人日本分析化学会 編「分析化学実験ハンドブック」(昭和62年)丸善株式会社、p.571-591 ・甲第43号証 臨床薬理 Jpn J Clin Pharmacol Ther、Vol.40、No.2(2009年3月)P.11S-12S ・甲第44号証 平田純生 編「腎不全と薬の使い方Q&A-腎不全時の薬物投与一覧-」(平成17年)株式会社じほう、p.44、p.61、p.65-78、p.245-252 ・甲第45号証 「イーケプラ(R)錠250mg イーケプラ(R)錠500mg イーケプラ(R)ドライシロップ50%の医薬品インタビューフォーム」(2018年9月改訂、シロップは2013年8月29日発売、錠剤は2010年9月17日発売) (合議体注:「(R)」は、丸囲いのRである。以下同じ) ・甲第46号証 医薬品医療機器総合機構理事長「ゾメタ注射液4mgの審査結果通知書 薬機発第525号」(平成16年6月28日)p.1-27 ・甲第47号証 社団法人日本生化学会編「生化学データブック I」(1979年)株式会社東京化学同人、p.1348-1351 (以上、平成30年11月27日受付け口頭審理陳述要領書に添付。) 以下、「甲第1号証」ないし「甲第47号証」をそれぞれ「甲1」ないし「甲47」ということがある。 第5 被請求人の主張及び証拠方法 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がないと主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。 ・乙第1号証 社団法人日本生化学会編「生化学データブック I 縮刷版」(1981年)株式会社東京化学同人、p.1348-1349 ・乙第2号証 山科郁男 監修「レーニンジャーの新生化学〔上〕 第2版」廣川書店(平成10年)p.168-169 ・乙第3号証 厚生省医薬安全局審査管理課長「「臨床試験のための統計的原則」について 医薬審第1047号」(平成10年11月30日)表紙、目次、p.35-36 ・乙第4号証 異議2017-700591の異議の決定(平成29年9月27日)(特許第6043008号に対する異議の決定) ・乙第5号証の1 「ゾメタ(R)点滴静注4mg/5mLの添付文書」(2016年5月改訂、2005年1月販売開始) ・乙第5号証の2 「ガバペン(R)錠200mg ガバペン(R)錠300mg ガバペン(R)錠400mgの添付文書」(2016年4月改訂、2006年9月販売開始) ・乙第5号証の3 「イーケプラ(R)錠250mg イーケプラ(R)錠500mgの添付文書」(2016年5月改訂、2010年9月販売開始) ・乙第5号証の4(1) 「ザイザル(R)錠5mgの添付文書」(2017年2月改訂、2010年12月販売開始) ・乙第5号証の4(2) 「XYZAL(R)5mg錠の添付文書」(2008年1月)p.1、p.2、p.9 ・乙第6号証 日本イーライリリー株式会社「フォルテオ皮下注キット600μg フォルテオ皮下注カート600μg 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要」(発行日不明)表紙、p.217-218 ・乙第7号証 日本チバガイギー株式会社「ゾメタ(R)注射液 4mg(ゾレドロン酸水和物)に関する資料」(発行日不明)表紙、目次-1-目次-3、p.ヘ-33 ・乙第8号証の1 「エルシトニン(R)注10単位の医薬品インタビューフォーム」(2011年2月改訂、1982年9月1日発売)表紙、p.9、p.11、p.25 ・乙第8号証の2 「カルシトラン(R)注10の医薬品インタビューフォーム」(2015年3月改訂、1990年5月25日発売)表紙、p.9、p.11、p.18 ・乙第8号証の3 「ダイドロネル(R)錠200の医薬品インタビューフォーム」(2013年9月改訂、1990年11月30日発売)表紙、p.7、p.24 ・乙第8号証の4 「ワンアルファ(R)錠0.25μg ワンアルファ(R)錠0.5μg ワンアルファ(R)錠1.0μg ワンアルファ(R)内用液0.5μg/mLの医薬品インタビューフォーム」(2014年10月改訂、内用液は1987年11月9日発売、錠剤は1988年7月21日発売)表紙、p.14、p.27 ・乙第8号証の5 「ロカルトロール(R)カプセル0.25 ロカルトロール(R)カプセル0.5の医薬品インタビューフォーム」(2015年4月改訂、1986年5月6日発売)表紙、p.1 ・乙第8号証の6 「グラケー(R)カプセル15mgの医薬品インタビューフォーム」(2014年4月改訂、1995年10月4日発売)表紙、p.9、p.30 ・乙第9号証 Journal of Bone and Mineral Metabolism、Vol.22(2004年)p.569-576 ・乙第10号証 知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10241号の判決書(平成28年11月28日判決言渡)p.1-9、p.63-65 ・乙第11号証 NPO法人日本腎臓病協会「腎機能をチェックしましょう」(インターネットホームページ https://j-ka.or.jp/ckd/check.php)(平成30年8月10日出力) (以上、答弁書に添付。) ・乙第10号証の2 知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10241号の判決書(平成28年11月28日判決言渡)p.1、p.71 ・乙第12号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1、p.12、p.20、p.62-64(平成26年4月18日) ・乙第13号証 総括班長 祖父江逸郎「厚生省厚生科学研究費補助金 シルバーサイエンス研究 昭和63年度研究報告」(1989年)p.81-82 ・乙第14号証 日本イーライリリー株式会社「フォルテオ(R)皮下注キット600μgの医薬品インタビューフォーム」の表紙(2014年7月改訂、2010年7月23日製造販売承認、2010年10月1日発売) ・乙第15号証 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年9月改訂、2008年3月7日製造販売承認、2008年6月20日発売)表紙、p.5、p.7 ・乙第16号証 Bone and Mineral、Vol.3(1988年)p.193-199 (以上、平成30年11月13日付け口頭審理陳述要領書に添付。) ・乙第5号証の5 「ザルティア(R)錠2.5mg ザルティア(R)錠5mgの添付文書」(2018年8月改訂、2014年4月販売開始) ・乙第5号証の6 「クレストール(R)錠2.5mg クレストール(R)錠5mg クレストール(R)OD錠2.5mg クレストール(R)OD錠5mgの添付文書」(2018年10月改訂、錠剤2005年4月販売開始、OD錠2016年6月販売開始) ・乙第5号証の7 「ベシケア(R)錠2.5mg ベシケア(R)錠5mgの添付文書」(2016年6月改訂、2006年6月販売開始) ・乙第9号証の2 医療法人財団健康院理事長 健康院クリニック院長 折茂肇「陳述書」(平成28年1月5日) ・乙第9号証の3 五反田リハビリテーション病院院長補佐 中村利孝「陳述書」(平成28年4月28日) ・乙第15号証の2 東洋醸造株式会社「一般的名称 酢酸テリパラチド、販売名 ヒトPTH(東洋)」の医薬品製造承認申請書(昭和60年4月22日)表紙、提出資料一覧表の表紙とp.1、提出資料のうちの「ヒトPTH(1-34)の概要」の表紙、中表紙、目次、p.1-3、p.18-21 ・乙第15号証の3 日本内分泌学会雑誌、Vol.60、No.3(1984年)p.159-170 ・乙第15号証の4 Endocrinol. Japon.、Vol.31、No.1(1984年)p.33-40 ・乙第15号証の5 Bone、Vol.16、No.4(1995年)p.477-484 ・乙第15号証の6 特開平5-70367号公報(平成5年3月23日) ・乙第15号証の7 WO93/05805(1993年4月1日国際公開) ・乙第15号証の8 Biopolymers、Vol.20(1981年)p.1823-1832 ・乙第15号証の9 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年9月改訂、2008年3月7日製造販売承認、2008年6月20日発売)表紙、p.1-3 ・乙第17号証 日本透析医学会雑誌、Vol.39、No.10(2006年)p.1435-1439 ・乙第18号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 山路太一朗「実験成績証明書」(平成30年10月25日) ・乙第19号証 The New England Journal of Medicine、Vol.344、No.19(2001年)p.1434-1441 ・乙第20号証 厚生省薬務局審査課長通知「致命的でない疾患に対し長期間の投与が想定される新医薬品の治験段階において安全性を評価するために必要な症例数と投与期間について 薬審第592号」(平成7年5月24日) ・乙第24号証 日本腎臓学会編「CKD診療ガイド 2009」(2009年4月20日改訂第2版第2刷)目次、p.83 (以上、平成31年1月15日付け上申書に添付。) ・乙第50号証 旭化成ファーマ株式会社 メディカル・アフェアーズ部 鵜澤豊暢「陳述書」(2019年10月7日) ・乙第51号証 各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局審査管理課長通知「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて」 医薬審第742号(平成11年4月15日) ・乙第60号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 田中理砂「実験成績証明書G」(令和1年10月11日) ・乙第61号証 旭化成ファーマ株式会社 医薬マーケティング本部 骨領域事業戦略部 中村泰朗「テリボンの開発に関する陳述書」(令和1年10月9日) (以上、令和1年10月15日付け上申書に添付。) 以下、「乙第1号証」ないし「乙第61号証」をそれぞれ「乙1」ないし「乙61」ということがある。 第6 ニプロ株式会社が提出した文献のうち、合議体が引用する文献 ・引用文献A 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2006年)ライフサイエンス出版株式会社、p.33-35、p.50-52 (当該引用文献Aは、ニプロ株式会社が丙第2号証として、平成30年11月26日付け口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) ・引用文献B Clinical Calcium、Vol.17、No.1(2007年)p.56-62 (当該引用文献Bは、ニプロ株式会社が丙第4号証として、平成30年11月26日付け口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) 第7 テバファーマスーティカル株式会社が提出した文献のうち、合議体が引用する文献 ・引用文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2006年)ライフサイエンス出版株式会社、iii-ix、p.9-12、p.22-83、p.93-102、p.110-113、p.120-141 (当該引用文献1は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第4号証として、平成30年12月11日受付け口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) 第8 甲号証の記載事項 以下の甲号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。 英語の甲号証(甲4、甲7、甲10、甲16、甲17の1、甲18、甲36、甲37、甲38、甲40)については、日本語訳文を記載する。 なお文中に挿入されている参照文献番号については、特に必要のない限り省略して記載する。 1 甲3 甲3記載事項-ア 「図7.PTHの標的細胞における作用機序 その作用はcAMPをセカンドメッセンジャーとして発現される。・・・ [図:0001385459000001.jpg] 」 (p.206図7) 2 甲4 甲4記載事項-ア 「酵素調製物 標準のPurina chowで、通常通りの飼育条件を保った、体重150-200gの雄のSDラットを、断頭で死亡させた。腎臓を素早く切除し、冷やした0.25Mスクロース中に入れ、外側の腎皮質を、可能な限り髄質を少なくするよう取り除き、切り離した。組織(500mg、2つの腎臓の腎皮質を表す)を、4mlの10%v/vジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する、Tris-HCl、0.05M、pH7.4に移し、モーター駆動のテフロン乳棒を用いて、ガラスチューブ中でホモジナイズした。2000×gで10分間ホモジネートを遠心分離することにより微粒子状フラクションを得て、沈殿物を4mlのTris-HCl-DMSO中に再懸濁し、再度遠心分離した。微粒子状酵素調製物をTris-HCl-DMSO中に懸濁して、約15mg/mlのタンパク質濃度とし、少量ずつ分注して液体窒素中で保存した。タンパク質濃度はLowryらの方法により決定した。」 (p.802右欄第1~22行) 甲4記載事項-イ 「in vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ 5μlの容量のペプチド調製物を反応混合物に加え、アデニルシクラーゼ懸濁液を添加することにより、反応を開始した。インキュベーションは、記載してある場合を除き、10分間行った。活性は、タンパク質mg当たり、生成した3’5’-AMPのμμmoleとして、表された;生成した3’5’-AMPの量は、添加した放射活性のある基質の既知の比活性から計算した。 バイオアッセイは、用量反応曲線の線形部分の中で、3つの濃度の標準調製物と、未知の調製物により行った。各濃度で、4回の測定を行った。結果はGaddumの方法により解析し、全ての比較データは、並行性と線形性の基準を満たす副甲状腺ホルモンを示した。アッセイの傾きは、最小二乗法で計算した。副甲状腺ホルモンのラジオイムノアッセイは、以前報告された方法で行った。」 (p.803左欄第28行~同ページ右欄第18行) 甲4記載事項-ウ 「アデニルシクラーゼのアッセイ α-標識AT32Pから3’5’-cyclic AM32P(3’5’-AMP)の形成は、Krishnaらにより報告されているのと同様のアッセイに、KClとATPの再生系を加えて修正して測定した。反応混合物は以下のものを含む:総容量70μlにおいて示される、Tris-HCl、0.05M、pH7.4;MgCl2、4.5×10-3M;テオフィリン、9×10-3M;ウシ血清アルブミン、0.013%;KCl、3×10-2M;ピルビン酸キナーゼ、0.07mg/ml;ホスホエノールピルビン酸(PEP)、5.4×10-3M;α-32P-ATP、1.1×10-3M(比放射活性 約25cpm/μμmole);約400μgの酵素懸濁液;そして、ホルモン、ポリペプチド、またはNaF。」 (p.802右欄第23行~p.803左欄第1行) 甲4記載事項-エ 「インキュベーションは、Dubnoff metabolic shaker中37℃で行い、Tris-HCl、0.05M、pH7.4中に、ATPを4×10-2M、3H-3’5’-AMPを1.25×10-2M(約3×104cpm)含有するキャリア溶液100μlを加える事により、反応を停止させた。」 (p.803左欄第1~7行) 甲4記載事項-オ 「使用したバイオアッセイの標準品は、我々の研究室で調製した、TCAフラクションの1ロットであり、National Institute for Medical Research、 Mill Hill、ロンドンのMedical Research Councilに提供し、ロット番号MRC67/342としてパッケージされ、流通している。副甲状腺抽出物USP(リリー)に対するin vivoのバイオアッセイをいくつか行った後、そのロットを265USP U/mgの活性のあるタンパク質と指定した(180USP U/vial)。」 (p.801右欄第8~16行) 甲4記載事項-カ 「副甲状腺腺腫から抽出し、TCA沈殿の段階まで精製した、ヒト副甲状腺ホルモンによってもアデニルシクラーゼの活性化が起こった。しかし、反応の傾きはウシのホルモンで得られたものの30%しかなく、効力を特定することは出来なかった。」 (p.806右欄第24~31行) 甲4記載事項-キ 「ラット腎臓からのアデニルシクラーゼの安定な調製による、in Vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ」 (p.801論文タイトル) 3 甲7 甲7記載事項-ア 「ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)の骨粗鬆症に対する間欠週1回投与の効果:3種類の投与量を用いた無作為化二重盲検前向き試験」 (p.296論文タイトル) 甲7記載事項-イ 「要約 骨粗鬆症治療における骨形成促進剤として見込まれるヒト副甲状腺ホルモンのアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の効果を試験するため、二重盲検方式で無作為に3群に割り付けた71施設の220人の骨粗鬆症患者で50単位(L群)、100単位(M群)又は200単位(H群)のhPTH(1-34)の週1回皮下注射を開始した。二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による腰椎骨密度(BMD)が48週間後にL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%増加し、L群と比べてM及びH群の応答が有意に高かった(p<0.05、マン・ホイットニーのU検定)。腰椎測定値の変動係数は1~2.5%に留まったため、3.6%及び8.1%の増加は有意であると思われた。X線写真測定法(radiogrammetry)によって測定した中手骨BMD及び皮質骨幅は有意に変化しなかった。各群で血清カルシウムが低下し、M及びH群で血清リンが低下した。H群で12週目に、M及びL群で24週目及び48週目に尿カルシウム/クレアチニンが低下した。48週目に各群で血清25(OH)ビタミンD及び1、25(OH)2ビタミンDが低下した(p<0.05)。H及びM群で4週目に血清骨型アルカリホスファターゼが増加し、H群では48週目に低下した。各群で尿ヒドロキシプロリン、ピリジノリン及びデオキシピリジノリンが有意に減少した。各群の30~40%で背部痛が改善された。試験期間中、重篤な有害作用は認められなかった。hPTH(1-34)の間欠週1回注射は骨粗鬆症において腰椎BMDを増加させたことから、骨粗鬆症治療における有用性が示唆される。」 (p.296左欄第1行~右欄第7行) 甲7記載事項-ウ 「緒言 閉経後及び退行期骨粗鬆症の治療は主に、エストロゲン、ビスホスホネート類及びカルシトニン類などの骨吸収抑制剤に頼っている。これらの薬剤の使用によって骨密度(BMD)が増加するため、骨折予防は飛躍的に進歩したことから、骨形成の刺激によって、骨吸収抑制剤の即効性の、時に一時的な効果が補完されることが考えられ、骨吸収抑制剤の骨形成促進作用の持続時間が長くなり、退行期骨粗鬆症、特に低回転型の疾患に対して注目すべき有効な治療となり得ることが期待される。副甲状腺ホルモン(PTH)は、特に間欠投与時に骨形成促進作用を有することが動物及びヒトで示されているが、骨が極めて高用量のPTHに持続的に曝露されることによって、原発性副甲状腺機能亢進症に見られるような線維性骨炎が発生しないか懸念された。100又は200単位のヒトPTHアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の単回皮下注射による予備試験では、血清リンの低下、血漿サイクリックAMPの上昇並びにカルシウム及びサイクリックAMPの尿中排泄量の増加など、有意な代謝効果が示された。100又は200単位の週1回注射は26週間後に腰椎BMDの有意な増加をもたらしたが、週1回5単位は効果がなかった。 したがって、本試験においては、220人の骨粗鬆症患者で週1回50、100又は200単位のhPTH(1-34)の効果に関する無作為前向き二重盲検多施設試験を実施した。主要エンドポイントは二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)によって評価した腰椎BMDであり、補助変数としてX線写真測定法による中手骨皮質骨BMD及び骨代謝回転の生化学マーカーを用いた。取り組むべき問題は、週1回投与するこれらの用量のhPTH(1-34)(過去に試験されたことのない低用量間欠レジメンに相当する)が骨粗鬆症治療に有効か否かであった。」 (p.296右欄第10行~p.297左欄第25行) 甲7記載事項-エ 「被験者 71施設が参加する多施設試験を計画した。この試験は、厚生省の支援下にある委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された45歳~95歳の220人の被験者で実施した。この方式では、骨粗鬆症を単に非外傷性脊椎骨折が存在する、又は脊椎骨折が2箇所に存在するものとして定義するのでなく、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義するものである。スコアの計が4より高い場合(骨粗鬆症として定義される)を本試験への組入れ基準とした。・・・X線写真上の骨減少は腰椎の側面X線像上での骨梁の粗鬆化、すなわち、(1)横走骨梁の欠損に起因する縦走骨梁の著明化、(2)縦走骨梁の粗化及び(3)縦走骨梁の減少が認められた場合とした。X線写真上の骨減少はBMDの若年成人平均値から20%又は2.5SDの減少に相当する。・・・X線写真上の骨減少度がグレード1~3又はBMDが若年成人の平均値から2.5SD未満の場合はスコア3とした。椎体骨折が1箇所の場合はスコア1、骨折が2箇所以上の場合はスコア2とした。大腿骨頸部骨折がある場合はスコア3とし、遠位橈骨骨折はスコア1とした。骨粗鬆症の診断を裏付ける因子に関して、正常な血清カルシウム、リン及びアルカリホスファターゼの値をスコア1とすることにより、骨軟化症、原発性副甲状腺機能亢進症及び腎性骨ジストロフィーなどの骨減少に係る骨粗鬆症以外の原因を除外し、一方でこれらのうちの1つ以上が異常であった場合にはスコア1を減じた。同様に、被験者が閉経前である場合にはスコア1を減じた。 2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している被験者、過敏症の既往がある被験者及び自覚症状の自己評価の信頼性が疑わしい被験者は除外した。・・・ 他の薬物の効果とhPTH(1-34)の効果を取り違えないように、試験開始3ヵ月前から試験期間を通して、骨代謝及び骨粗鬆症の経過に影響を及ぼす可能性のある薬剤は控えられた。こうした薬剤には、エストロゲン類、カルシトニン類、活性型ビタミンD、ビタミンK2、イプリフラボン、ビスホスホネート類及びアナボリックステロイド類が含まれた。」 (p.297左欄第27行~右欄第29行) 甲7記載事項-オ 「hPTH(1-34)(テリパラチド酢酸塩)の調製及び投与方法 旭化成工業によって合成されたhPTH(1-34)の純度及び生物学的効力について、国際標準ウシPTH(1-84)に対するラット腎皮質膜によるサイクリックAMP産生を利用してアッセイしたところ、3300単位/mgが得られた。各バイアルには50、100又は200単位のテリパラチド酢酸塩が含まれ、これは約15、30及び60μgのペプチドに相当した。・・・ 週1回100又は200単位のhPTH(1-34)を26週間投与したところ腰椎BMDが上昇した予備試験の結果に基づき、試験期間は48週間に設定した。この期間は、恒常的に骨折の危険性及び不安を抱える骨粗鬆症集団において、脱落率が過度とならずに、定期的に骨測定並びに血液及び尿試料採取を行う適切に管理された多施設試験を実施できる限界とも考えられた。Schwietert et al.がまた、ヒトにおける5μg/kg PTH (1-84)の投与の安全性に関しても報告している。」 (p.297右欄第43行~p.298左欄第24行) 甲7記載事項-カ 「自覚症状. 骨粗鬆症に起因する痛みを安静時自発痛と運動時痛に分類し、治療0、2、4、12、24及び48週間後又は試験終了時に以下のグレード評価スキームによって評価した。安静時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;かなり痛いが耐えられる痛み、及び4;重度の耐えられない痛みとしてグレード分けした。運動時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;動きを妨げるかなりの痛み、及び4;動くことが不可能な激痛としてグレード分けした。患者は自身の痛みの程度をアナログ尺度で自己評価した。」 (p.298左欄第34~44行) 甲7記載事項-キ 「骨所見. (a)腰椎BMDの測定. 治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時に腰椎(L2-4)の骨塩量、骨面積及びBMDをDXA(QDR(Hologic)、DPX(Lunar)又はXR(Norland))によって前後方向投影で測定した。参加施設数が多いため、十分な品質管理を維持することが困難であった。各施設でBMD測定がルーチン的に行われ、装置に付随する推奨に従い毎日ファントムを測定した結果、変動係数(CV)が1%~2.5%に維持された。 患者の年齢が高いため、圧迫骨折及び結果として起こる変化に加え、脊椎の退行性変化が脊椎BMDの前後方向測定において深刻な問題となった。このため、L2、L3又はL4に骨棘や圧迫変形などの脊椎の退行性変化を有する被験者は全て、薬物効果の根拠となるデータから除外した。このため、脊椎BMD測定における組み入れ前の脱落率が高くなった。 (b)中手骨BMDの測定. 治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時にファントムと共に手の前後方向X線写真で非利き手側第2中手骨のX線写真測定法を行った。試験完了後、71施設で撮影された全てのフィルムのコンピュータデジタル画像処理による測定がトーヨー検査センターで実施された。1人の観察者による同じフィルム上の中手骨BMDの10回連続測定(ΣGS/D)に基づくデジタル画像処理方法の精度により0.59のCVが得られ、3人の観察者による同じ手順から1.47のCVが得られた。同じ被験者から4枚の手のフィルムを撮影し、各々について測定を行ったところ、1.72のCVが得られた。 (c)椎体骨折評価. それぞれL3及びT8に焦点を絞った腰椎及び胸椎の側面X線像で、1人の放射線科医が椎体の圧迫骨折や変形を評価した。前縁高/後縁高比の25%以上の低下及び中央高/後縁高の20%以上の低下を有意な変形と定義した。」 (p.298左欄第45行~右欄第35行) 甲7記載事項-ク 「有害反応及び有害事象の調査. 試験中の有害事象を記録し、詳細を調査した。有害事象は、その経過、重症度、治療及び結果の総合的判定に基づき、(1)被験薬が原因である、(2)恐らく被験薬が原因である、(3)恐らく被験薬が原因ではない、及び(4)被験薬が原因ではないとしてグレード分けした。有害反応には暫定的に(1)~(3)を含めた。」 (p.298右欄下から第5行~p.299左欄第3行) 甲7記載事項-ケ 「結果 表1は、本試験への参加が認められた被験者の組入れ基準の詳細を要約する。 当初無作為二重盲検割り付けによって本試験に登録した220人の被験者[50単位群(L)に73人、100単位群(M)に75人及び200単位群(H)に72人]のうち、41人は骨粗鬆症の診断基準を満たさず、また、前治療薬のウォッシュアウトが不十分なため、不適格とした。 BMDの正確な測定を妨げる腰椎の退行性変化及び圧迫変形を有する患者、及び指定時間外に測定が行われた患者の除外が、更に64人の患者に上った。したがって腰椎BMDに対する効果の分析は115人の被験者:L群39人、M群38人及びH群38人(表2)で行った。61人の被験者は、副作用、中途での心変わりにより試験を拒絶、合併症の増悪等が理由で本試験を完了することができなかったが、最初の3か月以内に脱落しない限り、これらの被験者も分析群に含めた。 被験者の治療開始時の特徴を各グループで比較したものを表3に示した。3群とも被験者が一様に分布していることを確認した。」 (p.299左欄第10行~p.300左欄第3行) 甲7記載事項-コ 「 [図:0001385459000002.jpg] 」 (p.299の表1) 甲7記載事項-サ 「 [図:0001385459000003.jpg] 」 (p.299の表2) 甲7記載事項-シ 「 [図:0001385459000004.jpg] 」 (p.300の表3) 甲7記載事項-ス 「自覚症状 主に背部痛からなる自覚症状は、L群で52人中21人の被験者(40%)、M群で60人中18人の被験者(30%)及びH群で47人中17人の被験者(36%)が中等度以上の改善を示した。群間に有意な差はなかった(表4)。」 (p.300左欄第4~10行) 甲7記載事項-セ 「 [図:0001385459000005.jpg] 」 (p.300の表4) 甲7記載事項-ソ 「骨測定 本試験の48週間における腰椎BMDの変化を図1に示す。腰椎BMDは、24及び48週間後に試験開始時のレベルと比較してL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%と用量依存的に増加した。この増加は24及び48週目にL群よりもM及びH群で高く、及び48週目にM群よりもH群で大きかった(p<0.05)。応答は、64歳以下及び65歳以上、体重49kg以下及び50kg以上、閉経後10年未満、10~20年及び20年超、椎骨骨折0、1及び2箇所以上の被験者サブ群間で同様であった。第2の中手骨(皮質骨からなる)のX線写真測定法による密度に有意な差は認められなかったことから、各群間で皮質骨及びX線写真上の骨減少の程度が維持されていることが示唆される。椎体骨折数はL群で3、M群で5及びH群で0発生した;各群間の差は有意でなかった。」 (p.300左欄第11行~右欄末行) 甲7記載事項-タ 「 [図:0001385459000006.jpg] 図1.治療週数に対する腰椎BMD(平均値±SD)のパーセンテージ変化。点線で結んだ白抜きの四角□:50単位PTHを投与した被験者(L群)のデータ、 実線で結んだ塗り潰しの丸●:100単位PTHを投与した被験者(M群)のデータ、 破線で結んだ白抜きの丸○:200単位PTHを投与した被験者(H群)のデータ a マン-ホイットニーのU検定によりL群の値とp <0.05で有意差あり b M群の値とp <0.05で有意差あり。 *マン-ホイットニーのU検定によりp<0.05で有意なベースライン値からの増加。」 (p.300の図1) 甲7記載事項-チ 「生化学パラメータ 図2に示されるとおり、血清Caは2週目から低下し始め、4週目以降は基礎値よりも有意に低かった。血清Pもまた2週目から低下した。尿中Caは2週目から低下し、試験期間を通じて基礎レベル未満に留まり、及び尿中Pもまた低下した。血清25(OH)ビタミンD及び1、25(OH)2ビタミンDレベルは、図3に示されるとおり、各群で48週目にベースライン値からやや低下した。図4に示されるとおり、骨型アルカリホスファターゼは4週目にベースラインレベルよりも高く、H群においてのみ24及び48週目に低かった。尿ピリジノリン、デオキシピリジノリン及びヒドロキシプロリン排泄量は、図5に示されるとおり、L及びH群で24及び48週目にベースライン値から減少した。 表5に示されるとおり、各群で本試験の経過中に何らかの異常検査所見が現れたが、いずれも顕著でなく、又は持続性でなく、被験薬が原因因子であることを示すものではなかった。表6は、治療中に起こった有害反応を要約する。29症例で被験者が症状に起因して試験から脱落した。hPTH(1-34)の用量の増加と合致して有害反応の総数が増加したものの、重篤な有害事象は認められなかった。」 (p.301左欄第1行~右欄第4行) 甲7記載事項-ツ 「 [図:0001385459000007.jpg] 」 (p.303の表5) 甲7記載事項-テ 「表6 被験者における治療期間中の有害反応 [図:0001385459000008.jpg] a 臨床検査異常を含む b 有害反応による脱落症例数」 (p.305の表6) 甲7記載事項-ト 「考察 原発性副甲状腺機能亢進症における過剰量のPTHの持続的な分泌は、骨、特に皮質骨の顕著な欠損によって特徴付けられるが、組織形態測定では皮質骨が比較的良好に保存されていることが示される。PTHはまた、骨芽細胞活性及び骨形成も刺激し、骨に形成促進作用を及ぼし得る。 動物試験ではPTHの骨形成促進作用が高頻度で確認されており、骨の物理的特性の改善が報告されている。1つのN末端アミノ酸を取り除くと効果がほぼ消失したため、かかる骨形成促進作用はPTHの失われていないN末端部分に依存するものと思われる。 海綿骨の増加が一貫して報告された一方、皮質骨は反応が低かった。間欠投与はPTHの骨形成促進作用を生じさせるのに一層有効であるように思われた。これまで骨粗鬆症の治療には主にエストロゲン、カルシトニン及びビスホスホネートなどの骨吸収抑制剤が利用されており、骨吸収を刺激する骨形成促進剤は、特に低代謝回転型の骨粗鬆症において有用となり得る。フッ化物は、BMDの驚くべき増加を誘導するその作用にも関わらず、問題がないわけではない:フッ化物は骨折発生率を低下させることはできず、かつ骨疼痛などの副作用を生じる。PTHは依然として骨形成促進剤の良好な候補である。ヒトにおいては、PTHもまた、高用量で用いる場合にBMDを増加させるが、ヒトにおいて好ましい効果を生じる間欠投与方法は依然として未解決の問題である。Reeveらは、12人の骨粗鬆症患者で間欠用量のhPTH(1-34)(7日間投与及び21日間休薬を16サイクル繰り返す)を用いて多施設試験を行い、様々な実施施設で全身Caの僅かな増加が観察されたが、BMDの増加は有意でなかったと報告している。1日1回投与(これは持続注入と比べてなおも間欠的であり得る)は、より好ましい結果をもたらした。Reeveらは21人の患者に6~24ヵ月にわたって約250単位のhPTH(1-34)を1日1回投与して、重篤な有害作用のない、血清アルカリホスファターゼの15%上昇を伴う顕著な骨の付着成長を実証した。Lindsayらは3年間の無作為化対照試験を実施し、ホルモン補充療法を受けている17人の閉経後女性に1日1回の皮下注射によって25μg hPTH(1-34)を投与し、その結果を対照群であるホルモン補充療法単独を行った17人の閉経後女性と比較した。PTHの投与を受けた群では椎骨BMDが13.0%増加したが、対照群では有意な増加は示されなかった。他の試験では、PTHはエストロゲンとの併用が有効であった。 また、ビタミンD誘導体との併用によってPTHの効果を増強することも試みられた。400~500単位のhPTH(1-34)を0.25μgの1、25(OH)2ビタミンD3と併せて投与したとき、骨梁の増加が認められた。カルシトニンとの併用もまた用いられた。Heschらは720~750単位のhPTH(1-37)を8週間にわたって毎日、2~4日目、6~8日目及び8~10日目の間に1日1回の鼻腔内カルシトニン投与を4サイクル繰り返した。Hodsmanらもまた、1ヵ月間にわたる1日1回の800単位のPTH投与の後に2ヵ月間休止する反復サイクルによる治療の結果として、2年で腰椎BMDの8~10%の増加を達成した。 単位量当たりのhPTH(1-34)の生物学的活性は試験間で異なるように見える。例えば、Lindsayらの試験では、400単位(25μg)のhPTH(1-34)が用いられた。用いられた製剤が異なるため、hPTH(1-34)の用量に関して本試験の結果を他と比較することは難しいが、本試験における間欠週1回投与は明らかに、多くの先行試験と比べてhPTH(1-34)の総用量を抑えることができる。中手骨骨密度(ほとんどが皮質骨からなる)を減少させることなく腰椎BMD(主に海綿骨からなる)を48週間という比較的短期間で有意に用量依存的に増加させたことにより、hPTH(1-34)による骨粗鬆症治療はきわめて将来有望であると思われる。」 (p.301右欄第5行~p.303右欄第23行) 甲7記載事項-ナ 「 [図:0001385459000009.jpg] 図2 治療週に対する血清中のCa(左)とP(右)の値(平均値±SD)。 □:50単位のPTHを投与した被験者(L群)の値、 ●:100単位のPTHを投与した被験者(M群)の値、 ○:200単位のPTHを投与した被験者(H群)の値。 *マン・ホイットニーのU検定による危険率p<0.05で基準値に対して有意差あり。」 (p.301の図2) 4 甲8 甲8記載事項-ア 「 [図:0001385459000010.jpg] 」 (p.289表3) 5 甲9 甲9記載事項-ア 「 [図:0001385459000011.jpg] 」 (p.78表3) 6 甲10 甲10記載事項-ア 「緒言 骨粗鬆症は低骨量、減少した骨強度、そして骨の脆弱性の慢性疾患である。 米国だけでおよそ一千万人が罹患している。骨粗鬆症と、腎障害は両方とも、罹患率が加齢とともに増加する。大規模の疫学調査においては、骨粗鬆症の女性の85%が軽度から中程度の腎障害を有する。したがって、腎障害のある患者における骨粗鬆症治療薬の安全性と有効性に関する情報が必要とされている。 テリパラチドは閉経後骨粗鬆症女性において、腰椎と大腿骨頸部の骨密度(BMD)を増加させ、椎体および非椎体骨折のリスクを低下させる。骨粗鬆症女性において腎障害が通常の共存症であることを前提として、今回の解析は、加齢による軽度[糸球体濾過率(GFR)50-79ml/min]または中程度(GFR30-49ml/min)の腎障害のある女性における、テリパラチドに対する有害事象の発生、BMDと骨折低下反応を調査した。」 (p.60左欄第1~20行) 甲10記載事項-イ 「糸球体濾過率 GFRはCockcroft-Gault式を用いて推定した: [図:0001385459000012.jpg] 腎機能は、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、中程度障害(GFR30-49ml/分)、または重度障害(GFR<30ml/分)と分類した。」 (p.61左欄下から第7行~末行) 甲10記載事項-ウ 「骨粗鬆症と軽度または中程度の腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド」 (p.59論文タイトル) 甲10記載事項-エ 「要旨 序論 骨粗鬆症と腎障害の両方は加齢に伴い罹患率が増加する。 方法 骨折予防試験(Fracture Prevention Trial)のデータを用いて、骨粗鬆症と腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド[rhPTH(1-34)]の安全性と有効性を調査した。患者は血清クレアチニン濃度が2.0mg/dl以下で、血清中副甲状腺ホルモン(PTH)濃度が正常である必要があり、プラセボまたはテリパラチド20または40mcg/日の皮下投与を受ける群に無作為に割り付けられた。糸球体濾過率(GFR)はCockcroft-Gault式を用いて推定した。患者はベースライン評価により、骨密度(BMD)とI型プロコラーゲンのアミノ末端伸長ペプチド(PINP)の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、または中程度障害(GFR30-49ml/分)の腎機能の定義を用い、骨折の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)または障害あり(GFR<80ml/分)の腎機能の定義を用いた。 結果と考察 腎機能が正常な患者と比較して、腎障害を有する患者は、高齢で、より身長が低く、体重が軽く、閉経後の期間が長く、また、ベースラインの腰椎及び大腿骨頚部のBMDがより低かった。プラセボと比較して、テリパラチドは、PINPと腰椎及び大腿骨頚部のBMDを各腎機能サブグループにおいて有意に増加させ、腎機能不全によりこれらの増加が変わるというエビデンスは示されなかった(各サブグループによる治療の交互作用p>0.05)。同様に、正常または障害の腎機能を有する患者間で、テリパラチドの介入があった椎体及び非椎体骨折のリスク低下は同等であり、有意な差はなかった。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中程度障害の腎機能サブグループの治療の割り当てを通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中程度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05)。プラセボに対して、テリパラチド20または40mcgを投与されたすべての腎機能カテゴリーの患者は、投与後4-6時間の血清カルシウムが10.6mg/dl(正常値の上限)を超える発生率は増加した;しかし、テリパラチド20mcg/日はいずれの腎機能カテゴリーにおいても、投与後4-6時間の血清カルシウムが11mg/dlを超える発生率を有意に増加させることはなかった。 テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中程度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。しかしながら、有害事象のデータからは、テリパラチドを投与された、正常、軽度、中程度の腎障害の患者において、痛風又は関節痛、あるいは腎石症イベントの発生率の増加を示唆されなかった。」 (p.59左欄第1行~右欄下から第3行) 甲10記載事項-オ 「方法 試験参加者 骨折予防試験(Fracture Prevention Trial)の方法と結果は既に発表されている。概略、この二重盲検試験では、42歳から82歳の年齢で、1637名の歩行可能な閉経後女性が、連日のカルシウム(1000mg)とビタミンD(400-1200IU)の補充とともに、プラセボ(n=544)、テリパラチド20mcg/日(n=541)、または、テリパラチド40mcg/日(n=552)を連日皮下注射で自己投与を受けるよう無作為に割り付けられた。試験への組み入れは、ベースラインにおいて、血清クレアチンが2mg/dl以下であり、他の検査値が正常か異常でも臨床的に有意ではないことが必要であり、特定の要件としては、血清カルシウム、血清内因性副甲状腺ホルモン(PTH)、及び尿中カルシウムが正常範囲内であること、そして、血清25-ヒドロキシビタミンDが正常下限値から正常上限値の3倍までの間にあることが必要であった。現在または最近(無作為割付前一年以内)、骨代謝に影響を及ぼす疾患、例えば、副甲状腺機能亢進症や甲状腺機能亢進症のようなものの既往がある患者は除外された。副甲状腺ホルモン亢進症であることの診断は研究者の裁量でなされ、一方、甲状腺機能が正常であることは甲状腺刺激ホルモンの通常のスクリーニングによって、あるいは、研究者の意見における臨床検査値と試験内科医によって甲状腺機能が正常であることが十分確認されていることを組み合わせて、診断された。テリパラチドへの曝露期間の中央値は19ヶ月であり、観察期間の中央値は21ヶ月間であった。」 (p.60左欄第21行~同欄末行) 甲10記載事項-カ 「血清中のクレアチニン、投与後4-6時間後のカルシウム、及び、尿酸 血清サンプルは、ベースラインと、1ヶ月目(n=1、492)、3ヶ月目(n=1、498)、6ヶ月目(n=1、501)、12ヶ月目(n=1、397)、18ヶ月目(n=1、161)において、投与後およそ4-6時間後に採集した。スクリーニング時点で2.0mg/dlを超える血清クレアチニン濃度は除外基準とした。被験薬の最終投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dl(2.65mmlo/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、いずれかの訪問時において、11.0mg/dl(2.75mmol/l)を超える場合は、報告された。血清尿酸濃度が、いずれかの訪問時において、8.3mg/dl(0.50mmol/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、9.0mg/dl(0.54mmol/l)を超える場合は、いずれの訪問時においても報告された。」 (p.61左欄第27~38行) 甲10記載事項-キ 「有害事象の発生 正常、軽度または中程度の腎機能障害患者における、治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は表3に示されている。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中程度障害のベースラインの腎機能障害カテゴリーにおける治療群を通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中程度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05;表4)。 被験薬による治療の間、高カルシウム血症(投与後4-6時間)又は高尿酸血症が少なくとも1回発生した率へ及ぼす腎機能障害の影響は、表5に示されている。正常範囲(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ10.6と8.3mg/dl)を超える上昇と、少し高いレベルより大きい上昇(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ11.0と9mg/dl)のデータが示されている。テリパラチド20mcg/日を投与された患者では、すべての腎機能サブグループにおいて、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生が、プラセボに対して有意に増加した。テリパラチド投与患者では、正常腎機能患者に対して、中程度の腎障害患者において、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生率が、有意に大きかった。投与後4-6時間後の血清カルシウムが11mg/dlを超える状態の発生率が有意でなかったのは、中程度の腎障害患者の数が少なかったせいかもしれない。テリパラチド40mcg/日を投与された患者では、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超える上昇と、同様に11mg/dlを超える上昇が比較的より頻発しており、この高カルシウム血症の発生の増加は正常、軽度、および中程度の腎障害患者において、同等であった。 ・・・ 臨床的に有意な高カルシウム血症と高尿酸血症を評価するため、痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率を、各ベースラインの腎機能カテゴリー内の治療群間で比較した。痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率において有意な腎機能群間の差はなかった(表6)。」 (p.64右欄第6行~p.65右欄第16行) 甲10記載事項-ク 「表3 治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生率と相対リスクに及ぼす腎機能障害の影響 [図:0001385459000013.jpg] 」 (p.65表3) Renal function subgroup:腎機能サブグループ Placebo:プラセボ TPTD20:テリパラチド20μg/日 TPTD40:テリパラチド40μg/日 Normal:腎機能正常者 AE:有害事象 Renal-related AE:腎臓関連の有害事象 Mild impairment:腎機能軽度障害 Moderate impairment:腎機能中程度障害 Defined as the number of women having one or more AEs:1以上の有害事象が発生した女性数 RR compared with placebo:相対リスクはプラセボとの対比 甲10記載事項-ケ 「 [図:0001385459000014.jpg] 」 (p.66表5の上部表) 甲10記載事項-コ 「 [図:0001385459000015.jpg] 」 (p.66表6) 甲10記載事項-サ 「結論として、軽度または中程度の腎障害があり内因性PTH濃度が正常である、テリパラチド投与患者において、有害事象の増加は観察されず、BMDと骨折減少の反応は顕著で同等のものであることが観察された。ベースラインの腎機能に関わらず、テリパラチド投与患者は、正常範囲の10.6mg/dlを超える投与後4-6時間後の血清カルシウムの発生率が増加したが、上昇した投与後4-6時間後の血清カルシウム測定値は、テリパラチド20mcg/日投与群において11mg/dl未満であることが一般的であった。テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中程度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。いずれの腎機能において、また被験薬群においても、痛風、関節痛、または腎石症のリスクを上昇するエビデンスはなかった。重度腎障害患者、急性または慢性の透析を受けている患者、腎移植を受けている患者、腎不全で内因性PTHが上昇している患者におけるテリパラチドの安全性と有効性に関するデータは、示されていない。」(p.67右欄下から第15行目~p.68左欄第6行) 7 甲12 甲12記載事項-ア 「血清クレアチニン[Cr] [保] serum creatinine 基準値 男性:0.65~1.09mg/dL 女性:0.46~0.82mg/dL ●0.65(女性0.46)mg/dL以下(基準下限以下) [高頻度]妊娠、糖尿病の初期、長期臥床 ●1.09(女性0.82)から2mg/dL(軽度上昇) [高頻度・可能性]心不全、糸球体腎炎、間質性腎炎 ●2mg/dL以上(中等度・高度上昇) [高頻度]腎不全」 (p.1173左欄下から第11行~最下行) 甲12記載事項-イ 「クレアチニンクリアランス[Ccr] [保] <<内因性クレアチニンクリアランス>> creatinine clearance 基準値91~130mL/分 ■Ccrの低値 ●腎機能軽度低下 71~90mL/分 ●腎機能中等度低下 51~70mL/分 ●腎機能高度低下 31~50mL/分 ●腎不全 11~30mL/分 ●尿毒症期 10mL/分以下~透析前 (日本腎臓学会編:腎疾患の生活指導・食事療法ガイドラインより) [高頻度・可能性](1)糸球体病変.(2)間質尿細管疾患.(3)腎血管性病変.」 (p.1173右欄下から第7行~p.1174左欄第7行) 甲12記載事項-ウ 「血中尿素窒素[BUN] blood urea nitrogen 基準値 9~21mg/dL ●9mg/dL以下(基準下限以下) [高頻度・可能性]肝不全、低蛋白食、妊娠 ●21~30mg/dL(軽度上昇) [高頻度・可能性]高蛋白食、絶食、腎機能障害 ●30~60mg/dL(中等度上昇) [高頻度・可能性]腎機能障害、消化管出血、脱水 ●60mg/dL以上(高度上昇) [高頻度]腎不全 [可能性]心不全、高度血管内脱水」 (p.1174右欄第1~11行) 8 甲14 甲14記載事項-ア 「薬物の薬理効果および有害反応の発現強度は、体内の薬物量によって決定される。実際には、薬物は循環血液により組織中の作用部位に運ばれて作用および毒性を発現するが、一般的に血液中の薬物濃度は組織中の濃度と平衡関係にあるため、血中濃度が薬物治療の客観的な指標として用いられている。しかし、生体に投与された薬物は消化管などの投与部位から吸収された後、組織中へ分布され、また、肝臓での代謝、腎臓からの排泄により消失することから血中の薬物濃度は経時的に変化する。この体内薬物量、すなわち血中濃度の時間的推移(体内動態)を速度論的(薬物速度論的)に解析する学問分野が薬物動態学である。一方、体内に入った薬物が生体にどのような影響(薬理効果、有害作用)を及ぼすかを解析する学問を薬力学という。しかし、薬理効果や有害作用の強度は、生体内、すなわち作用部位での薬物量(濃度)によって変動することから、薬物の体内動態はその薬物の薬理効果を決定付ける最も重要な因子である。」 (p.47左欄下から第7行~右欄第10行) 甲14記載事項-イ 「半減期は血中濃度がいかなる濃度であっても、その濃度が1/2に低下するまでに必要な時間であるとともに、生体から薬物が消失するまでに必要なおよその時間を推察するためにも有益なパラメータであり、生体内の薬物量(濃度)は半減期の3倍の時間で12.5%に、5倍の時間で3.1%に減少する。」 (p.50右欄第12~17行) 甲14記載事項-ウ 「薬物療法を行う上で、薬物を単回で投与することはまれであり、通常、薬物は繰り返して投与される。一定量の薬物を一定時間ごとに繰り返して投与する場合、前回までに投与した薬物が体内に存在することが問題となり、薬物が体内に残存している間に次の薬物投与を行う場合には、投与回数が増えることにより体内に蓄積する薬物量が増加する。」 (p.51右欄第6~12行) 9 甲15の1 甲15の1記載事項-ア 「本薬のラットにおける消失半減期が11~24分(10~1000μg/kg単回皮下投与時)と短く、吸収された本薬は急速にアミノ酸に分解された後にタンパク質生合成に利用されると考えられることから、本薬の正確な分布状態、代謝物、物質収支に関する有益な情報は得られないと考え、検討は行わなかった(「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」(平成12年2月22日付 医薬審第326号))」 (p.25第5~9行) 甲15の1記載事項-イ 「「3)特別な患者集団における薬物動態及び薬力学 (1)腎機能障害を有する被験者における薬物動態及び薬力学の検討(・・・GHAW試験・・・) 外国人男女を対象に、本剤投与による血清中カルシウム濃度及び尿中カルシウム濃度の変化に対する慢性腎障害の影響を検討することを主目的として、無作為化単盲検クロスオーバー試験が実施された。 用法・用量は、・・・本剤40μgを単回皮下投与及びプラセボ又はフロセミド(CCR≧90mL/min:20mg、55~75mL/min:40mg、31~54mL/min:60mg、10~30mL/min:100mg)を単回静脈内投与とされた。 治験薬が投与された26例(健康被験者9例、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者12例、重度腎機能障害を有する被験者5例)全例が薬物動態、薬力学及び安全性解析対象とされた。 薬物動態について、本剤+プラセボ投与では、本剤のCmax(平均値(変動係数);健康被験者、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者、重度腎機能障害を有する被験者の順、以下同様)は241.8(38.0%)、219.9(40.5%)及び249.2(25.1%)pg/mL、AUC0-tは358.7(50.5%)、316.7(49.2%)及び719.9(87.8%)pg・hr/mL、t1/2は60.7(37.1%)、61.6(58.0%)及び87.4(49.0%)分、本剤+フロセミド投与では、本剤のCmaxは203.8(37.0%)、237.6(59.5%)及び206.2(33.0%)pg/mL、AUC0-tは284.7(35.8%)、337.2(67.4%)及び391.6(46.3%)pg・hr/mL、t1/2 は75.7(41.5%)、79.4(91.4%)及び155.0(54.4%)分であった。 薬力学について、腎機能障害を有する被験者では健康被験者と比較して、血清中カルシウムイオン濃度、尿中カルシウム排泄速度及び血清中1、25-(OH)2 ビタミンD 濃度は低下し、血清中総カルシウム濃度は同程度であった。本剤+フロセミド投与では本剤+プラセボ投与と比較して、血清中総カルシウム濃度及び尿中カルシウム排泄速度は上昇し、血清中カルシウムイオン濃度は同程度であった。 安全性について、有害事象は健康被験者6例、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者3例、重度腎機能障害を有する被験者1例に認められた。死亡、その他の重篤な有害事象及び試験中止に至った有害事象は認められなかった。」 (p.42第4~29行) 甲15の1記載事項-ウ 「(2)腎機能障害患者への投与について 機構は、腎機能障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときの曝露量及び安全性について説明を求めた。申請者は、以下のように回答した。GHAW試験において、軽度又は中等度の腎機能障害を有する外国人被験者の曝露量は、腎機能が正常な外国人被験者と同程度であったことから、軽度又は中等度の腎障害を有する日本人患者においても、腎機能が正常な日本人患者と曝露量及び安全性に大きな違いはないと考える。一方、重度の腎機能障害を有する外国人被験者のAUC0-tは、腎機能が正常な外国人被験者の約1.73 倍であったこと、腎機能が正常な日本人及び外国人被験者の本剤20μg投与時のAUC0-tの幾何平均比(日本人/外国人)が約1.69であったこと(GHCO試験)から、重度の腎障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときのAUC0-tは、腎機能が正常な日本人患者に約35μg投与時又は腎機能が正常な外国人患者に約58μg投与時のAUC0-tに相当すると考えられる。GHCS試験において、日本人患者に本剤10~40μgを6か月まで反復投与したとき、試験を中止した患者の割合及び因果関係を否定できない有害事象の発現頻度は40μg群において高かったものの、忍容性は概ね良好であり、有害事象の重症度も概ね軽度又は中等度であった。GHCO試験において、本剤40μg及び60μg投与時には低用量投与時に比べて有害事象の発現件数が多かったものの、重症度はすべて軽度及び中等度であったこと、また、本剤投与後の血清カルシウム濃度の上昇は最大でもプラセボ投与時より5%の上昇であり、臨床的に問題とならないと考えられた。以上より、重度の腎機能障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときの本薬血清中濃度は、安全性及び忍容性が確認された本薬血清中濃度の範囲内であると考えられるが、GHAW試験において腎機能障害により本薬の消失に遅延が認められているため、添付文書において、腎機能障害を有する患者には慎重に投与する必要がある旨を記載することとしている。 機構は、腎は本薬の消失に関与する主な臓器であり、本薬の消失の遅延により本剤投与後の血清カルシウムの上昇が持続し、腎機能がさらに低下する可能性も完全には否定できないこと等、薬物動態及び薬力学的観点から、腎機能障害を有する患者には慎重に投与する必要があると考える(「4.臨床に関する資料(iii)有効性及び安全性試験成績の概要<審査の概略>(7)特別な患者集団について 1)腎機能障害患者」の項を参照)。」 (p.46第3~28行) 甲15の1記載事項-エ 「iv)肝機能、腎機能、心機能の影響 ・・・PTH(1-34)の分解には、肝細胞や他の組織中のタンパク分解酵素のほか、クッパー細胞やその他のマクロファージ等いくつもの因子が関わっていると思われる・・・。また、PTH(1-34)は腎、肝、肺等で分解されることが報告されている・・・。したがって、本剤は生体内の様々な組織において様々な因子により分解されると考えられることから、肝機能障害により本剤の薬物動態に大きな影響は生じないと考え、肝機能障害の有無が本剤の薬物動態に及ぼす影響については検討しなかった。・・・ 腎機能が正常な被験者と軽度及び中等度の腎機能障害を有する被験者におけるCmax及びAUCは同程度であった。一方、重度の腎機能障害を有する被験者においては、腎機能が正常な被験者と比較しAUCが73%増加した。」 (p.74第5~17行) 甲15の1記載事項-オ 「(1)臨床薬物動態及び臨床薬力学試験 1)健康成人における薬物動態及び薬力学 (1)第I相単回投与試験(・・・GHCO試験・・・) 健康高齢日本人女性及び外国人女性を対象に、本剤単回皮下投与時の日本人女性における安全性及び忍容性を検討することを主目的として、無作為化プラセボ対照単盲検用量漸増試験が実施された。 用法・用量は、各被験者に1週間の間隔でプラセボ、本剤10μg(日本人のみ)、20μg及び60μgを単回並びに40μgを2回皮下投与とされた。また、初回投与2週間前から最終投与終了までカルシウム(1000mg/日)及びビタミンD(400IU/日)が1日2回経口投与された。 治験薬が投与された33例全例(日本人18例、外国人15例)が薬物動態及び安全性解析対象とされた。 本剤皮下投与時の薬物動態パラメータは、表3のとおりであった。日本人及び外国人のいずれにおいてもCmaxは用量に比例して上昇し、AUC0-tは用量比以上に上昇した。20μg皮下投与時のCmax及びAUC0-tの幾何平均比(日本人/外国人)とその90%信頼区間は、1.37[1.10、1.71]及び1.69[1.28、2.22]であり、体重補正すると1.04[0.85、1.27]及び1.28[0.99、1.65]であった。 [図:0001385459000016.jpg] 安全性について、本剤との因果関係が否定できない有害事象は、日本人で本剤皮下投与時(10、20、40(1回目)、40(2回目)、60μgの順)に3例3件、3例3件、10例10件、7例9件及び13例13件、外国人で本剤皮下投与時(20、40(1 回目)、40(2回目)、60μgの順)に8例9件、18例20件、11例11件及び20例21件認められ、用量の増加に伴い発現頻度が上昇傾向を示した。最も高頻度に発現した事象は頭痛であった。起立性低血圧が日本人2例に4件、外国人2例に2件発現した。日本人及び外国人のいずれにおいても、本剤皮下投与後ではプラセボ投与後と比較して仰臥位及び立位脈拍数並びに血清中総カルシウム濃度が上昇し、血清中リン濃度が低下した。死亡、その他の重篤な有害事象及び有害事象による中止例は認められなかった。」 (p.37下から第6行~p.38下から第9行) 甲15の1記載事項-カ 「副甲状腺ホルモン(以下、「PTH」)は、骨及び腎臓におけるカルシウム及びリン酸代謝の主な調節因子であり、1日1回投与により骨形成促進作用を発揮することが知られている。フォルテオ注カート600μg及びフォルテオ注キット600μg(以下、「本剤」)の有効成分であるテリパラチド(遺伝子組換え)は、ヒトPTH(以下、「hPTH」)の1~34番目のアミノ酸に相当する遺伝子組換えペプチド(以下、「rhPTH(1-34)」又は「本薬」)でありイーライリリー・アンド・カンパニーにより開発された薬剤である。」 (p.3下から第9行~下から第4行) 10 甲16 甲16記載事項-ア 「腎不全―11人の軽度または中等度の腎不全患者[クレアチニンクリアランス(CrCl)30~72mL/min]にテリパラチドを単回投与した場合の薬物動態の差は認められなかった。5名の重度の腎不全患者(CrCl<30mL/min)において、テリパラチドのAUCおよびT1/2はそれぞれ73%および77%増加した。テリパラチドの最大血清濃度は増加しなかった。透析中の慢性腎不全患者では試験が行われていない(使用上の注意参照)。」 (p.2下から第3行~p.3第3行) 甲16記載事項-イ 「作用機序 84個のアミノ酸からなる内因性の副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨と腎臓におけるカルシウムおよびリン酸代謝の主要な調節因子である。PTHの生理学的作用は骨代謝の調節、カルシウムおよびリン酸の腎尿細管再吸収、および腸のカルシウム吸収を含む。PTHおよびテリパラチドの生物学的作用は特異的な高親和性細胞表面受容体への結合を通して媒介される。テリパラチドおよびPTHのN末端から34個のアミノ酸はこれらの受容体に同じ親和性で結合し、骨および腎臓に対して同じ生理学的作用を有する。テリパラチドは骨や他の組織に蓄積するとは考えられていない。」 (p.2第2~9行) 甲16記載事項-ウ 「血清カルシウム濃度 テリパラチド20μgを1日1回投与すると、血清カルシウム濃度は投与後、約2時間で上がり始めて、4~6時間で一時的な最大濃度(中央値は0.4mg/dL)に達する。血清カルシウム濃度は投与後、約6時間で減少し始め、投与後16~24時間までにベースラインに戻る。」 (p.3第25~30行) 11 甲17の1 甲17の1記載事項-ア 「腎臓 健康な被験者と軽度から重度の腎不全患者を対象とした多施設、一重盲検、無作為化、クロスオーバー第1相試験であるLC-GHAW試験では慢性腎機能障害がテリパラチドに及ぼす影響が評価された。試験デザインとして2つの治療群に分けた:治療群A:テリパラチドを40μg皮下投与+プラセボ、合計25人(男性14人、女性11人)と治療群B:テリパラチドを40μg皮下投与+フロセミド20-100mg静脈内投与、合計26人(男性15人、女性11人)。A群B群それぞれの治療群の下に3つの異なるグループがある:グループ1:慢性腎不全患者(CRI)群(CrCl≧90mL/min)の性別と年齢に大体一致する健康な被験者:試験グループ2:症状が安定した軽度から中程度のCRI患者(31-75mL/minのCrCl):試験グループ3:症状が安定した重度のCRI患者(CrCl<30mL/min)。 軽度から中程度腎不全患者(31-75mL/minのCrCl、N=10)と健康な被験者(N=8)には、どの薬物動態パラメーターにおいても有意な差はなかった。重度の腎不全患者と健康な被験者のCmax、AUC0-t、T1/2に統計学的に有意な違いはなかったが、T1/2、AUC0-tはそれぞれ77%と73%増加した。・・・ AUC0-tとクレアチニンクリアランスに相関関係がある。次の図に記載したようにクレアチニンクリアランスが減少すると、AUC0-tが増加する(p=0.027.、白丸=治療群A、黒丸=治療群B)。しかしながら、治験依頼者は腎不全患者のために特別な投薬量を検討する必要はないと結論づけた。」 (p.11本文の第11行~p.12第4行) 12 甲18 甲18記載事項-ア 「慢性腎不全 治験依頼者は腎機能が正常な被験者とCLCrが72から13ml/min(軽度から重度の腎不全患者)の患者に40μgを単回投与したときの血清ならびに尿中カルシウム反応を調べた。いずれの群もLY333334に対する有意な血清カルシウム反応がなく、高カルシウム血症も見られなかった。LY333334によるイオン化カルシウム反応は腎不全患者において有意に少なかった。腎のカルシウム排泄は増加しなかった。本試験の結果は腎不全患者においてLY333334の40μg投与が高カルシウム血症や高カルシウム尿症を発生するリスクを上昇させないことを示唆する。LY333334の長期間の有効性は重度の腎不全患者では試験されていないが、軽度から中程度の腎不全患者は第3相試験に含まれている。」 (p.41下から第8行~p.42第5行) 甲18記載事項-イ 「LY333334は腹壁または太腿に皮下投与後すぐに吸収された。投与後およそ30分で最高血清濃度に到達し、3時間後までに定量出来ないレベルまで減少する。全身クリアランスは肝血漿流量よりも大きい約94L/hrだった。これは肝クリアランスと肝臓外クリアランスを示唆している。 皮下注射後の消失半減期はおよそ1時間だった。静脈内注射後の薬物の半減期は約5分だった。これは排泄速度が吸収速度よりも約15倍速いモデルに一致し、分子の全身への分布速度はより遅い吸収速度によって決定される。1日用量を複数回投与しても薬物の蓄積に関する証拠はなかった。 解説: 肝クリアランスに関連するデータは、一般的に複数の解剖学的部位でのタンパク質分解切断の結果として血漿から除去される多くのペプチドおよびタンパク質の典型そのものである。そのようなクリアランスは通常、一次速度論に従う。繰り返し連日投与でも薬物が蓄積しないことおよび皮下投与後と静脈内投与後の薬物動態の両方とも、他のタンパク質について公表された知見に基づくと、驚くべきことではない。」 (p.30第16~33行) 甲18記載事項-ウ 「薬物の一般名と提案された商品名:フォルテオTM[テリパラチド注射用(rDNA由来)、遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)、LY333334 ・・・ 要約:治験依頼者は閉経後骨粗鬆症と男性骨粗鬆症の治療に用いる骨特異的同化剤としてテリパラチド[遺伝子組換えヒトPTH(1-34)、LY333334]を開発した。」 (p.3第18~32行) 13 甲36 甲36記載事項-ア 「4.副甲状腺ホルモン 委員会は、ウシ副甲状腺ホルモンをヒトに投与する用途があることを記載した19番目の報告書中の要望事項に応じて収集された情報について述べた。・・・部分的に精製されたウシ副甲状腺ホルモンをある量準備し、共同アッセイを行った。製品は最近使用されているホルモンのバイオアッセイの方法のための国際参照品として適切であり、十分に安定という結果が示された。委員会は、それゆえ、その成分をバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際参照品として定めた。 この製品(従来、ナンバー67/342でコード化)は、すでにある国の局方品の効力とおおよそ数値的に同等の効力が割り当てられた製品として広く使用され、このことは受け入れられていた。これに基づいて、委員会は、バイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際単位を、国際参照品0.02765mgが示す活性として定義した。 この成分は特定のバイオアッセイ(例えば、腎アデニルシクラーゼアッセイ、ニワトリ静注高カルシウム血症アッセイ)において異常な結果をもたらすことが明らかとなったため、委員会は、国際参照品として適切に校正された、より高純度の有効な参照製品をそのようなアッセイで使用するように推奨した。」 (p.9第33行~p.10第20行) 14 甲37 甲37記載事項-ア 「27.バイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモン 委員会は1974年に規定したバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際参照品は、特定のin vitroバイオアッセイ系での使用に不適切となる不純物を含むことが示されてきたこと(WHO/BS81.1315)を述べた。」 (p.28第26~30行) 甲37記載事項-イ 「委員会は、また、国際参照品をin vivoおよびin vitro両方のバイオアッセイに適しており、かつ、in vivoおよびin vitroのバイオアッセイに適切な量で供給される製品に置換されるべきである、そしてその製品には大きく異なる量の材料が必要となる、と述べた。委員会は、この目的を達成するためウシの副甲状腺を十分な数得るには非常に費用が高く、様々な機関からサポートまたは協力を求める必要があろうと認識している。 委員会は、ロンドンの国立生物学的製剤研究所に、そのようなウシの副甲状腺を得て、それらから高度に精製されたウシ副甲状腺ホルモンを調製することを試みるように要求した。」 (p.28第30~p.29第6行) 15 甲38 甲38記載事項-ア 「31.in vitroバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモン ・・・ 委員会は、82/632でコード化されたアンプルの研究対象の製品をin vitroバイオアッセイ用ウシ副甲状腺ホルモンの国際標準品と定め、共同研究の参加者間の同意により、国立生物学的製剤研究所が国際単位を定義することを認めた。」 (p.25下から4行~p.26第9行) 16 甲40 甲40記載事項-ア 「腎皮質アデニルシクラーゼをin vitroで活性化するPTHの能力は、正確で信頼できるバイオアッセイの基礎を築いた。しかしながら、我々やその他によって、ある種の動物由来、特にラット由来の腎皮質細胞膜によりin vitroでウシPTHが急速に分解されることが示されている。ゆえに、この論文で我々が報告したヒトとウシのPTHにおける生物活性の差は、我々が使用した3種のアデニルシクラーゼ調製物による、ホルモンの分解および/または不活化における差に一因がある。」 (p.433右欄第6行~p.434右欄10行) 甲40記載事項-イ 「我々の結果は、hPTHの生物活性を評価するためには、ラットの腎皮質細胞膜以外のアッセイ系を用いる必要があることを強調する。」 (p.429要旨欄の右欄第7~10行) 甲40記載事項-ウ 「ラットアデニルシクラーゼはヒトとウシのPTHの生物活性を評価するのにもっとも頻繁に使用されてきたが、我々の結果は酵素も他の種を使用する必要があることを表す。」 (p.432左欄下から第10行~下から第5行) 17 甲41 甲41記載事項-ア 「腎についてはBottiらがウシおよびラット皮質膜分画にPTHからN端断片とC端断片を生成する分解活性が存在することを見い出し、生成されるC端断片のN末端アミノ酸の位置を(表1)のごとく決定した。」 (p.31右欄第7~12行) 甲41記載事項-イ 「3.PTH(1-34)の分解機序 PTH(1-34)は代表的な活性型PTH断片であり、その分解機序についてはFujitaらのヒトPTH(1-34)とラット腎を用いた検討が詳しい。それによると・・・Aminopeptidaseによる切断が起こることが示されている(図4)。」 (p.33左欄第2~12行) 18 甲43 甲43記載事項-ア 「医学研究を始める際には研究計画書を作成する。このときには研究対象とする疾患を、まず規定するが、患者集団全体(いわゆる想定する母集団(population))が研究対象となるわけではない。臨床試験では患者の適格基準と除外基準を設定して、研究対象集団を定義する。通常は腎臓や肝臓に重篤な疾患を持つ患者や、妊婦、極端な高齢者は安全性あるいは評価が困難であるという理由で除かれることになる。」 (p.11S右欄第12~19行) 19 甲44 甲44記載事項-ア 「慢性腎不全はネフロンが徐々に破壊され、数が減ってくるために腎臓の機能が低下する病態です。一般的に腎機能が30~50%程度に低下した状態を腎機能障害renal insufficiencyと呼び、30%以下に低下した状態を腎不全renal failureと呼びますが、これは血清クレアチニン濃度でいうとほぼ2mg/dL以上といえます。」 (p.249下から第6行~下から第3行) 甲44記載事項-イ 「腎臓の機能が低下することを総称して「腎障害」と言いますが、厳密に言うと、腎臓の機能が低下し始めた初期段階を「腎機能障害」と言い、この段階では症状はすぐに現れるとは限りません。腎機能が30%以下に低下することを「腎不全」と言いますから、具体的には、クレアチニンクリアランスが30mL/min以下と規定することができます(健常者のクレアチニンクリアランスを100mL/minとした場合)。・・・(図4)。」 (p.250下から第12行~下から第6行) 甲44記載事項-ウ 「 [図:0001385459000017.jpg] 」 (p.251図4) 合議体注:グラフ横軸の「CCr」は「クレアチニンクリアランス」の略 甲44記載事項-エ 「保存期腎不全患者の薬物投与設計 腎不全で減量すべき薬物 当然のことですが腎不全患者だからといってすべての薬物の投与量を減量する必要はありません。・・・全身クリアランスに対する腎クリアランスの寄与の大きい薬物は減量を考慮する必要があります。そのような腎排泄型の薬物は血中消失半減期が延長してきますので、その延長の程度に応じて、投与間隔を延長させ、そして有効血中濃度内に入るように1回の投与量を設定するのが最も簡単な投与設計法と思われます。・・・ 添付文書によるとCa拮抗薬のニフェジピンは24時間以内の尿中排泄率が70~80%と書かれていますが、ほとんどが薬理学的活性がない代謝物として尿中に排泄されるため、腎不全患者でも減量する必要はありません。減量すべき薬物は尿中未変化体(または活性体)排泄率の高い薬物です。・・・・」 (p.65第2~14行) 甲44記載事項-オ 「1「尿中排泄率」の意義 Point! 尿中未変化体排泄率と尿中回収率は厳密に区別する必要がある。 Q-1 腎排泄型の薬物は減量する必要があると聞きました。添付文書をみるとテオフィリンの尿中排泄率は90%なのに、ほとんどの書物では「腎不全患者では減量する必要がない」となっているのはなぜなのでしょうか? A テオフィリンの尿中排泄率は確かに90%ですが、活性を持たない代謝物がほとんどで、活性を有する未変化体の尿中排泄率は10%にすぎませんから減量する必要はありません。この場合、尿中排泄率と言うよりも尿中回収率と表現すべきでしょう。腎不全患者で減量すべき薬物は活性体(ほとんどの場合、未変化体)尿中排泄率の高い薬物です。もう1つ添付文書に書かれてある尿中排泄率で注意すべきことがあります。たとえば尿中未変化体排泄率50%(24時間)、75%(72時間)と書かれていることがあります。この薬物の場合、24時間で尿中への排泄が完了していないため、腎排泄の寄与が過小評価されてしまいます。そのため、できるだけ長い時間経過した75%の方が、より投与設計に有用なパラメーターになります。」 (p.65第18行~p.66第12行) 20 甲47 甲47記載事項-ア 「PTHの循環血中の半減期は正常人ではN端PTHが5.5分、C端PTHが数時間、腎不全患者であればN端PTHの平均半減期は8分。」 (p.1350右欄第23~26行) 第9 乙号証の記載事項 以下の乙号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。 英語の乙号証(乙9、乙15の4、乙16)については、日本語訳文を記載する。 なお文中に挿入されている参照文献番号については、特に必要のない限り省略して記載する。 1 乙1 乙1記載事項-ア 「d.活性測定 i)バイオアッセイ 1)in vitro法:一般にin vivoによる測定法より感度、再現性が高い。 (1)ラットアデニルシクラーゼ法2)3):PTHによるラットの腎皮質のアデニルシクラーゼの活性化を32Pで標識したATPを用いて測定。」 (p.1349右欄第1~7行) 乙1記載事項-イ 「1)・・・ 2)R.Marcus、G.D.Aurbach、Endocrinology、85、801(1969) 3)・・・」 (p.1349下欄の引用文献の箇所) 2 乙5の5 乙5の5記載事項-ア 「【用法・用量】 通常、成人には1日1回タダラフィルとして5mgを経口投与する。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 1. 中等度の腎障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があること及び投与経験が限られていることから、患者の状態を観察しながら1日1回2.5mgから投与を開始するなども考慮すること。[「薬物動態」の項参照]」 (p.1右欄第7~13行) 乙5の5記載事項-イ 「3. 吸収・代謝・排泄(外国人での成績) 健康成人6例に14C-タダラフィル100mgを単回経口投与したときの、投与後312時間までの放射能回収率は糞便中60.5%、尿中36.1%であった。糞便中には主にメチルカテコール体、カテコール体、尿中には主にメチルカテコールグルクロン酸抱合体及びカテコールグルクロン酸抱合体が認められた。血漿中には主にタダラフィル未変化体及びメチルカテコールグルクロン酸抱合体が認められた。血漿中のメチルカテコール体はメチルカテコールグルクロン酸抱合体の10%未満であった。 (p.3右欄第1~7行) 乙5の5記載事項-ウ 「【薬物動態】 1.血漿中濃度 (1)単回投与 日本人健康成人36例にタダラフィル5、10、20、40mgを単回経口投与したときのタダラフィルの血漿中濃度は、投与0.5~4時間(Tmaxの中央値、3時間)の間にピークに達した後、消失した。消失半減期は約14~15時間であった。 ・・・ 2.血漿蛋白結合率 タダラフィルの血漿蛋白結合率は94%(in vitro、平衡透析法)であり、主にアルブミン及びα1酸性糖蛋白と結合する。」 (p.3左欄第27行~末行) 3 乙5の6 乙5の6記載事項-ア 「【用法・用量】 通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 1.クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m2未満の患者に投与する場合には、2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)」 (p.1右欄下から第27行~下から第16行) 乙5の6記載事項-イ 「6.代謝・排泄(外国人データ) 健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、放射能は主に糞中に排泄され(90.2%)、尿中放射能排泄率は10.4%であった。また、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、それぞれ投与量の4.9%及び76.8%であった。更に、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった。ヒト血漿中にはN-脱メチル体及び5S-ラクトン体が検出されたが、HMG-CoA還元酵素阻害活性体濃度はロスバスタチン濃度と同様の推移を示し、血漿中におけるHMG-CoA還元酵素阻害活性に対する代謝物の寄与はわずかであると考えられた。」 (p.4左欄下から第4行~右欄第6行) 乙5の6記載事項-ウ 「10.蛋白結合率(in vitro) ヒト血漿中におけるロスバスタチンの蛋白結合率は89.0%(日本人)~88.0%(外国人)であり、主結合蛋白はアルブミンであった」 (p.4右欄下から第3行~末行) 乙5の6記載事項-エ 「【薬物動態】 1.血中濃度 (1)単回投与後の血漿中濃度 健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウムを5mgの用量で空腹時に単回経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度は投与後5時間にCmaxを示し、消失半減期(t1/2)は20.2±7.8時間であった。」 (p.3右欄第4~10行) 4 乙5の7 乙5の7記載事項-ア 「【用法・用量】 通常、成人にはコハク酸ソリフェナシンとして5mgを1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は10mgまでとする。 〈用法・用量に関連する使用上の注意〉 (1)中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)への投与は1日1回2.5mgから開始し、慎重に投与する。投与量の上限は1日1回5mgまでとする。軽度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)への投与は1日1回5mgから開始し、増量に際しては副作用発現に留意し、患者の状態を十分に観察しながら慎重に行うこと。[肝機能障害患者では血中濃度が上昇すると予想される。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)] (2)重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)への投与は1日1回2.5mgから開始し、慎重に投与する。投与量の上限は1日1回5mgまでとする。軽度及び中等度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min以上かつ80mL/min以下)への投与は1日1回5mgから開始し、増量に際しては副作用発現に留意し、患者の状態を十分に観察しながら慎重に行うこと。[腎機能障害患者では血中濃度が上昇すると予想される。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)]」 (p.1右欄第13~38行) 乙5の7記載事項-イ 「(5)排泄(外国人データ) 14C標識体10mgを単回経口投与した後、投与量の69.2%の放射活性が尿中に、22.5%が糞中に回収された。尿中では投与量の15%未満が未変化体として排泄され、17.8%がN-酸化体、8.9%が4R-水酸化-N-酸化体、そして8.3%が4R-水酸化体としてそれぞれ排泄された。」 (p.4左欄第14~19行) 乙5の7記載事項-ウ 「(3)分布 静脈内投与時の定常状態における分布容積は600Lであった。(外国人データ)血漿蛋白結合率は96%であり、主結合蛋白はα1-酸性糖蛋白質であった。」 (p.3右欄下から4行~末行) 乙5の7記載事項-エ 「【薬物動態】 1.健康成人 (1)血中濃度 1)単回投与 健康成人男性に本剤を絶食下単回経口投与したときのCmax及びAUCは、投与量にほぼ比例して上昇した。Tmax、t1/2及びCL/Fの平均値は各用量間でほぼ一定であった。 [図:0001385459000018.jpg] 」 (p.3右欄第16~35行) 5 乙6 乙6記載事項-ア 「・・・外国における臨床推奨用量の設定根拠 外国におけるテリパラチドの推奨用量はプラセボ対照二重盲検比較試験であるGHAC試験及びGHAJ試験の結果より設定された。 GHAC試験において、プラセボ及びテリパラチド20μg、40μgを1日1回19か月間(中央値)投与した際の有効性及び安全性を検討した結果、主要評価項目である新規椎体骨折において、テリパラチドのプラセボに対する優越性が認められた。・・・ 安全性については、GHAC試験及びGHAJ試験おいて各投与群間の有害事象の発現率は同程度であり、認められた有害事象の重症度は、概して軽度又は中等度であった・・・。しかしながら、高カルシウム血症については20μg群に比較して40μg群において発現率が高く、血清カルシウムの上昇の程度も大きかった・・・。また、GHAC試験において血清カルシウムの上昇に関連する被験者の中止の割合も20μg群に比較して40μg群で多かった・・・。 以上の結果より、椎体及び非椎体の骨折発生抑制については20μg群及び40μg群で類似しており、安全性に関しては40μg群において高カルシウム血症の発現及び血清カルシウムの上昇に関連する中止率が高かったことから、外国において20μgを臨床推奨用量として設定された。」 (p.217第17行~p.218第2行) 6 乙9 乙9記載事項-ア 「1年に亘って毎週50、100、又は200単位を投与する、多施設臨床試験が行われた。LMBDの用量依存的な増加が認められ、一方で200単位の使用によって非常に頻繁に副作用が認められ、一般的な臨床使用においては100単位が適当であることが示された。」 (p.570左欄第25~31行) 7 乙9の2 乙9の2記載事項-ア 「上記論文における安全性の評価では、L群、M群で19%に、H群で42%に副作用が認められています。H群で認められたもっとも頻度の高い副作用はNausea(悪心)であり、20.8%の患者にも認められています。さらに、H群では22%の患者が副作用により臨床試験から脱落しています。骨粗鬆症は生活習慣病であり治療は長期間にわたりますので、患者の症状や治療継続意思に直接に影響する副作用が起きる治療は望ましくありません。・・・200単位/週は副作用発現頻度が高いことから、100単位/週が実臨床での治療薬としてふさわしい・・・このような考え方は、私のみならず、骨粗鬆症の治療に携わっている多くの臨床医も、おそらく同様のお考えであろうかと思います。」 (p.4第5~19行) 8 乙9の3 乙9の3記載事項-ア 「上記論文の安全性の評価結果として、L群、M群で19%に、H群で42%の患者に副作用が発現しています。H群での発現率は、当時の他剤の治験成績を踏まえても高いものと考えられます。そのうち、最も高い頻度で認められた副作用はNausea(悪心)であり、H群では20.8%の患者に発生しています。重篤な副作用ではなかったものの、H群では22%の患者が副作用により臨床試験から脱落しています。従ってnauseaが治療の継続へ悪影響をもたらしていることが推察されます。 骨粗鬆症の治療は長期にわたりますので、副作用による治療からの脱落は望ましいものと考えられず、H群を適正用量とすることは難しいものと考えます。 三木先生の論文中においても100単位/週が、実地医療に適切である旨が記載されていますが、上記の考え方に基づくものと思います。 私は、長年、骨粗鬆症の専門医として治療を行ってきましたが、H群の用量についての上記の見解は、当時、専門医にとって、共通の認識であったと信じます。」 (p.2末行~p.3第11行) 9 乙12 乙12記載事項-ア 「3)後期第II相試験・・・ 日本人退行期骨粗鬆症患者47・・・を対象に、本剤の至適用量を検討することを目的として、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。 用法・用量は、本剤50、100又は200単位を週1回皮下投与とされた。投与期間は48週とされた。 総投与症例220例(50単位/週群73例、100単位/週群75例、200単位/週群72例)全例が安全性解析対象集団とされた。・・・41例を除外した・・・ ・・・骨密度評価例数は、50単位/週群39例、100単位/週群38例、200単位/週群38例とされている。 開始時及び48週時に全椎体が計測できた症例について、治験期間中に新たに発生した椎体骨折数は、50単位/週群の2/62例(3.2%)で3個、100単位/週群の4/60例(6.7%)で5個、200単位/週群では0/48(0%)であった。」 (p.64第11~34行) 乙12記載事項-イ 「47 主な選択基準:厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)」で4点(ほぼ確実)以上の患者(合計5点以上:確実、合計4点:ほぼ確実、合計3点:疑いあり、合計2点以下:否定的・・・) (p.62下から第4行~最下行) 10 乙13 乙13記載事項-ア 「 [図:0001385459000019.jpg] 」 (p.81表2) 11 乙15の2 乙15の2記載事項-ア 「 [図:0001385459000020.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書) 乙15の2記載事項-イ 「 [図:0001385459000021.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の表紙) 乙15の2記載事項-ウ 「 [図:0001385459000022.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の緒言) 乙15の2記載事項-エ 「 [図:0001385459000023.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料の目次及びp.1) 乙15の2記載事項-オ 「 [図:0001385459000024.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料のp.2~3) 乙15の2記載事項-カ 「 [図:0001385459000025.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料のp.18~19) 乙15の2記載事項-キ 「 [図:0001385459000026.jpg] 」 (医薬品製造承認申請書の添付資料のp.20~21) 12 乙15の4 乙15の4記載事項-ア 「ヒトPTH(1-34)は液相法で合成され、比活性が3、300国際単位/mg(ウシPTH(67/342WHO)を標準品としインビトロ ラット腎皮質細胞膜アデニルシクラーゼ法による、東洋醸造株式会社(日本))であった。・・・」 (p.34右欄第4~9行) 13 乙15の6 乙15の6記載事項-ア 「【0030】 ・・・ h-PTH(1-34)(比活性3、300単位/mg※;酢酸テリパラチド;東洋醸造社製)・・・ 」 (p.7【0030】) 乙15の6記載事項-イ 「【0036】*)酢酸テリパラチドの活性は、酢酸テリパラチド標準品を基準にしてラット腎皮質細胞膜を用いる生物学的測定法により測定し、酢酸テリパラチド単位で表示される。酢酸テリパラチド単位とは、上記に示した測定法によりウシ副甲状腺ホルモン(1-84)の標準品(WHOより提供された200国際単位/アンプル;WHO67/342)をもとにして酢酸テリパラチド標準品の相対活性をもとめたところ3300単位/mgであったことより、この酢酸テリパラチド標準品を3300酢酸テリパラチド単位/mgとして表したものである。」 (p.8【0036】) 乙15の6記載事項-ウ 「【0031】※PTH活性測定法を以下に説明する。 (ア)PTHレセプターの調製 SD系雄ラット(体重200~250g)を断頭、放血し、開腹後、腎を摘出し、その表面被膜を取り除き、腎皮質部分を切り取り、氷冷する。以下の操作はできるだけ低温(0-4℃)下で行う。上記の腎皮質部分を0.25Mシュクロースおよび1mM EDTA含有10mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)(以下A液と称す)中に浸し、テフロンペッスルを用いたガラス外套管で腎皮質をその湿重(g)の3倍容量(ml)のA液を加えてホモゲナイズする。このホモジネートを150×G、10分間遠心分離し、その上清をさらに2200×G、15分間遠心分離する。上清を捨て、沈殿物の上層の乳濁色の部分をA液に懸濁し、この懸濁液を25000×G、15分間遠心分離により洗浄し、再び懸濁して容器に分注し、-70℃で凍結して-20℃で保存する。 【0032】(イ)PTHとPTHレセプターの反応 被検品を2μg/mlと10μg/mlの濃度になるようにATP-Mg2mM、MgCl210mM、KCl60mM、GTP20μM、イソブチルメチルキサンチン1mM、クレアチンホスフェート8mMおよび牛血清アルブミン(BSA)0.2%含有100mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)(以下B液と称す)に溶かし、これを酢酸テリパラチド標準品*についても行う 【0033】これら4つの溶液を50μlずつガラス試験管に分注し、各々8本ずつ用意する。試料は氷水中に保ち、ATPなど他の物質の分解を抑える。-20℃に保存したPTHレセプター調製品を室温で解凍し、A液にあらかじめ溶かしておいたクレアチンキナーゼを加え、さらにA液でクレアチンキナーゼ0.1mg/ml、PTHレセプター調製品蛋白量1.4mg/mlになるように調製し、氷冷中で保つ。上記の分注された試料溶液を37℃の恒温槽に数分間つけた後に、上記のPTHレセプタークレアチンキナーゼ液を50μlずつ加え、37℃で10分間インキュベートする。次いで、0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)100μlを加え、直ちに氷水中につけた後、速やかに試験管を沸騰水で1分間熱し、反応を停止させる。 【0034】(ウ)生成C-ATPの測定 上記の反応停止試料を蒸留水で10~30倍に希釈し、2000×G、15分間の遠心分離により除蛋白を行う。その上清のC-ATP量をRIAキット(ヤマサ醤油社製)で測定する。 【0035】(エ)PTH力値の測定 C-ATPの測定値をPM/mg PTHレセプター蛋白/分の単位に換算し、これを反応の値とし、標準品によって得られた値に大して被検品を平行線検定2×2点法を用いて検定する。」 (p.8~9【0031】~【0035】) 14 乙16 乙16記載事項-ア 「ヒトPTH(1-34)は、東洋醸造株式会社により合成された。逆相HPLC分析でシングルピークを示し、ラットの腎皮質細胞膜アデニルシクラーゼ法[17]を用いて測定した場合、3300U/mgの生物学的活性を示した。」 (p.194下から第14行~下から12行) 乙16記載事項-イ 「17 Marcus R、Aurbach GD.Bioassay ofparathyroid hormone in vitro with a stable preparation of adenyl cyclase from rat kidney.Endocrinology 1969;85:801-810」 (p.199下から第16行~下から第15行) 15 乙18 乙18記載事項-ア 「 [図:0001385459000027.jpg] [図:0001385459000028.jpg] 」 16 乙60 乙60記載事項-ア 「 [図:0001385459000029.jpg] [図:0001385459000030.jpg] 」 第10 引用文献の記載事項 以下の引用文献には、以下の事項が記載されている。 なお文中に挿入されている参照文献番号については、特に必要のない限り省略して記載する。 1 引用文献A 引用文献A記載事項-ア 「III 骨粗鬆症による骨折の危険因子 RQ 骨粗鬆症による骨折の危険因子は 骨折の危険因子は、「骨密度低下」「骨質低下」「外力(転倒など)」に影響を与える因子である。骨折高リスク者を判定するには、骨密度測定に加えて、「骨質」「外力」に関連する危険因子を評価する必要があり、骨密度とは独立した骨折危険因子が何であるかを知っておくことがポイントとなる。 年齢、性 椎体骨折、大腿骨頸部骨折発生率は女性で高く、男女とも年齢とともに指数関数的に増加する。女性、高齢は骨粗鬆症による骨折の重要な危険因子である。年齢は骨密度とは独立した骨折危険因子で、同じ骨密度を示していても年齢が高いほど骨折リスクは高い(レベルI)。 低骨密度 低骨密度は骨折を強く予測する。 ・・・(レベルI)。 骨折既往 男女とも部位にかかわらず既存骨折があると将来の骨折リスクは約2倍になる。特に、既存椎体骨折があると将来の椎体骨折は約4倍に高まる(レベルI)。」 (p.34冒頭のタイトル、p.34左欄第1~28行) 2 引用文献B 引用文献B記載事項-ア 「さらに藤田らの報告15)では、PTH週1回投与でも、腰椎骨密度の増加は用量依存的かつ非常に強力であり、強力な既存薬であるアレンドロネートやリセドロネートの国内データの効果を上回り、海外のPTH連日投与の効果と比較しても遜色のない骨量増加作用がPTHの週1回皮下投与でも認められることが明らかになった。 本2重盲検試験の成績は、週1回投与の方がむしろ効率がよく、骨吸収を亢進させることなく骨形成を促進していることを示しており、少なくとも骨密度に対する効果の点では、PTHは必ずしも連日投与する必要がないことを示唆している。」 (p.59右欄下から第2行~p.60左欄第10行 引用文献B記載事項-イ 「 [図:0001385459000031.jpg] 」 (p.60図3) 引用文献B記載事項-ウ 「これらの点を踏まえると、本邦における週1回投与の週当たりの投与量は、海外の投与量よりも少なくてすむことから、安全性に関してより配慮された用法と言えるかも知れない。・・・骨量に対して連日投与と同程度の効果が期待できる週1回投与は、効果、安全性、コンプライアンスに配慮して、骨形成促進作用を期待した骨粗鬆症治療を行う場合の、貴重な選択肢になる可能性があると考えられる。」 (p.60右欄第8~19行) 引用文献B記載事項-エ 「また、トータルの投与量という点で、安全性に考慮した用法である週1回投与でも、質の高い試験で十分な骨量増加作用が証明できていることや、本用法では骨吸収に対してむしろ抑制的に作用すること、PTHは骨質に対し有用である可能性が高いことから、週1回投与においても骨折抑制効果が十分期待できると考える。」 (p.61左欄第13~20行) 引用文献B記載事項-オ 「15)Fujita T,Inoue T,Morii H,et al:Effect of intermittent weekly dose of human parathyroid hormone (1-34) on osteoporosis:a randomized double-masked prospective study using three dose levels.Osteoporos Int 9:296-306,1999.」 (p.62右欄第4~9行) (合議体注:ここで挙げられている「15)文献」は甲7と同じ文献である。) 3 引用文献1 引用文献1記載事項-ア 「(9)現在開発中の薬物」 (p.99表題) 引用文献1記載事項-イ 「■副甲状腺ホルモン(PTH) ヒトPTH(1-34)(テリパラチド)皮下注射剤 骨形成促進薬としての効果が期待されているPTHは、海外において大規模臨床試験が実施され、すでに米国をはじめとする多くの国で許可されている。 ・・・骨粗鬆症患者を対象とした大規模臨床試験では、20μgのヒトPTH(1-34)の平均18ヶ月にわたる連日自己皮下注射により、新規椎体骨折の発生を対照群の14%から5%へと1/3近く低下させた。・・・以上の成績は、ヒトPTH(1-34)の連日皮下投与により、顕著な骨折率の減少が18ヶ月という短期間で得られることを示したものであり、骨形成の促進により、骨代謝回転が高まっても骨強度は増加することを臨床的に証明したものである。これらの成績をもとに、わが国でも、骨粗鬆症患者を対象としたヒトPTH(1-34)の連日自己皮下注射による臨床試験が進行中である。一方、これまでに週1回の皮下注射製剤の効果も検討されており、その第II相臨床試験の成績では、200単位(約60μg相当)週1回1年投与で、椎体骨密度を8.1%増加させることが示された。」 (p.99右欄第1~25行) 第11 当審の判断 本件特許の請求項2に記載された発明は、上記訂正により削除されたため、その請求項に対して請求人がした審判の請求は、不適法な請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により、これを却下する。 1 無効理由1(明確性要件)について (1)請求人の主張 請求人は、本件特許発明1に記載の投与量「200単位」に係るPTHの1単位量について、本件特許明細書の【0034】には、「ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)」と記載されているが、同明細書の記載及び非特許文献9である甲4(本件特許明細書の【0011】参照)の記載を斟酌しても、上記「200単位」にかかるPTH1単位量は具体的な特定を欠いていて、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができないから、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨、主張する。 (2)判断 しかしながら、本件特許明細書の【0034】に甲4(非特許文献9)を引用して記載されているPTHの単位の測定法は、同じく甲4を引用している生化学データブック(乙1)にも示されるような、PTHの生物活性の測定法としてごく一般的なラットアデニルシクラーゼ法である。具体的には、PTHによるラット腎皮質のアデニルシクラーゼ酵素の活性化を、32Pで標識したATP(AT32P)を用いて測定するものである(乙1記載事項-ア、乙1記載事項-イ)。 PTHは、ラット腎皮質の受容体に結合し、その受容体と連関するアデニルシクラーゼ酵素を活性化させ、そのアデニルシクラーゼ酵素の反応によってATPからcAMP(「3’5’AMP」、「cyclic AMP」とも表記される)へと変換する(甲3記載事項-ア)。ラットアデニルシクラーゼ法は、AT32Pを用い、酵素反応によって生成したcAM32P(cAMPのPが32P放射標識体であるもの)を定量することにより、PTHの生物活性を測定する方法である。甲4では、ラット腎皮質をホモジナイズ、精製等して得られたアデニルシクラーゼ酵素調製物(調製法については甲4記載事項-ア)とAT32Pを添加した酵素反応用液に、測定目的のPTH試料と、生物活性既知の標準品をそれぞれ添加し、両者のcAM32P産生量を比較することにより(測定方法については甲4記載事項-イ、酵素反応用の反応混合物の組成については甲4記載事項-ウ、酵素反応のインキュベーション条件と反応中止条件については甲4記載事項-エ、標準品については甲4記載事項-オ)、PTH試料の生物活性の結果を得ている。 したがって、PTH試料として、本件特許発明1に記載のヒトPTH(1-34)を用いたときにも、本件特許明細書で引用されている甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ結果を再現できる同等の方法を用いることにより、200単位のヒトPTH(1-34)の量を当業者は特定できるから、本件特許発明1は明確である。 (3)さらなる請求人の主張について ア ラットの個体差、酵素の純度について試験間の差を平準化する指標が甲4に記載されていないことから、本件特許発明が不明確であるとする請求人の主張について 請求人は、甲4には、ラットの個体差、酵素の純度について試験間の差を平準化する指標が定められていないため、再現性及び普遍性をもって「200単位」のPTH(1-34)を測定・確認できないから、不明確である旨主張する。 しかしながら、甲4記載の方法は、1試験内においては、同じラット、同じ酵素調製物を用いて、生物活性既知の標準品と、測定対象の試料に等しく適用され、標準品によって産生されたcAMP量との比較によって試料の生物活性を求める、という相対的な評価法を採用しており、試験間のラットや酵素調製物の相違による測定値への影響が生じにくい方法である。 そしてまた、請求人が指摘する点は、バイオアッセイ(生物を用いた試験)におけるごく通常の問題であるところ、当業者は、そのようなバイオアッセイにおける試験間の差の平準化や測定結果の再現性担保のために当業者が通常工夫する実験手法や統計学的手法を適用して、甲4記載の方法を行い、測定結果の統計学的な評価も行うものであるから、バイオアッセイを行う当業者にとっては、甲4記載の方法で測定された200単位のヒトPTH(1-34)の量は明確である。 したがって、請求人の主張は採用できない。 イ 甲4記載の標準品「MRC67/342」がラットアデニルシクラーゼ法を阻害する不純物を含んでいたこと、及び、ラット腎皮質細胞膜がウシPTHを分解することから、本件特許発明が不明確であるとする請求人の主張について また請求人は、甲36、甲37を挙げて、甲4記載の方法において標準品として用いられる「MRC67/342」がラットアデニルシクラーゼ法を阻害する不純物を含んでいたこと(甲36記載事項-ア、甲37記載事項-ア)及び、甲40、甲41を挙げて、ラット腎皮質細胞膜によってウシPTHが急速に分解されることから(甲40記載事項-ア、甲41記載事項-ア)、ウシPTHであるMRC67/342を標準品として用いる甲4記載の方法では、再現性及び普遍性をもって「200単位」のPTH(1-34)を測定・確認することができず、不明確である旨を主張する。 しかしながら、これらの請求人が挙げる甲36、37、40、41のいずれにも甲4記載の方法によりPTHの生物活性を測定できないなどとは記載されておらず、むしろ上述のとおり、甲4記載の方法は、生化学データブック(乙1)にも引用されるような、生化学分野における汎用の方法である。そして本件では、甲4記載の方法によりPTH(1-34)の生物活性を測定して本件特許発明のPTH(1-34)の200単位を定めることができる旨が特許明細書に明記されているのであるから、本件特許発明1に記載の200単位のヒトPTH(1-34)は、甲4記載の方法で測定されたものであり、明確である。 したがって、請求人の主張は採用できない。 ウ ヒトPTHがラット腎皮質細胞膜で分解されることから、本件特許発明が不明確であるとする請求人の主張について 請求人は甲4を挙げて、ラット腎皮質由来の酵素調製物を使用してPTHの生物学的活性を測定するラットアデニルシクラーゼ法においては、ヒトPTHの場合、十分な用量反応曲線が得られず、生物活性を測定することが困難であり(甲4記載事項-カ)、また、甲40及び甲41を挙げて、ヒトPTH(1-34)がラット腎由来のアミノペプチターゼ等により分解され(甲41記載事項-イ)、ラットアデニルシクラーゼ法では他の種由来の酵素を使用することが提案されているから(甲40記載事項-イ~ウ)、甲4記載のラットアデニルシクラーゼ法は、ヒトPTHの生物学的活性には適用できないものであり、本件特許発明の「単位」は明確性要件に違反するものである旨を主張する。 しかしながら、甲4において述べられているものは、ただ一試料のヒトPTHにおいて、アデニルシクラーゼの活性化は起こったものの、反応の傾きがウシのPTHで得られたものの30%しかなく、効力を特定できなかったという現象があったことを示すに留まり、ヒトPTH一般を測定できないことを示すものなどではなく、また、甲40において、他の種由来の酵素を使用することが提案されてはいるものの、他方、これらの甲号証のいずれにも、ラット腎皮質由来のアデニルシクラーゼを用いる甲4記載の方法によってはヒトPTHの生物活性の測定が不可能であることなどは記載されていない。甲4記載の方法は、むしろ上述のとおり、ヒトPTHを含むPTHの生物活性を測定する汎用の方法であり、また、本件特許発明のヒトPTH(1-34)も当該方法で200単位を定められることが本件特許明細書に明記されているのであるから、本件特許発明1に記載の200単位のヒトPTH(1-34)は、甲4記載の方法で測定されたものであり、明確である。 したがって、請求人の主張は採用できない。 エ 甲4記載の標準品の入手困難性から、本件特許発明が不明確であるとする請求人の主張について (a)請求人は、甲4で標準品として用いられたウシ副甲状腺ホルモン「MRC67/342」が新しい国際標準品に置き換えられたため(甲36記載事項-ア、甲37記載事項-イ、甲38記載事項-ア)、「MRC67/342」に基づく測定は、本件特許の出願当時に現実に行うことができないか、少なくとも困難になっていたから、本件特許発明は明確性要件を満たしていない旨も主張する。 しかしながら、そのようなことがあった場合には、「以前に、「MRC67/342」を標準品として甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ測定結果を再現できる同等の方法で生物活性を測定したもの」を「代替の標準品」として測定を行うことにより、「MRC67/342」を標準品として測定を行った場合と同等の結果を再現することができると認められる。 (b)この点、甲4を文献6)として挙げる(乙15の2記載事項-キ右欄の「文献6)」)、東洋醸造株式会社の「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」の昭和60年4月22日付けの医薬品製造承認申請書の添付資料「ヒトPTH(1-34)の概要」には(乙15の2記載事項-ア~キ)、同社が、1981年に厚生省特定疾患ホルモン受容体異常症調査研究班偽性副甲状腺機能低下症分科会の依頼を受けて、液相法で合成した、副甲状腺ホルモン負荷試験(Ellsworth-Howard試験)用のヒトPTH(1-34)が(乙15の2記載事項-ウ~オ)、1-84ウシPTHを標準物質として平行線検定を行うと、「比活性3300単位/mg、100単位(30μg)」であったことが記載されている(乙15の2記載事項-オ)。なお、この医薬品の一般的名称は「酢酸テリパラチド」であって酢酸塩であることが明らかであるから、この乙15の2に記載の「ヒトPTH(1-34)」も、正確には「ヒトPTH(1-34)酢酸塩」である。当該添付資料「ヒトPTH(1-34)の概要」には、文献6)(甲4)の参照元を表す「6)」の記載はないが、文献5)の参照元を示す「5)」の記載位置と文献7)の参照元を示す「7)」の記載位置との関係(乙15の2記載事項-エ~オ)、及び、文献6)(甲4)の論文タイトルが、「ラット腎臓からのアデニルシクラーゼの安定な調製による、in Vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ」であることを考慮すると(甲4記載事項-キ)、当該文献6)(甲4)の参照元の記載位置は、上記添付資料p.2「II-2」第一段落の、「ラット腎皮質の膜成分を用いたin Vitroの活性測定方法とその結果について言及する箇所」(乙15の2記載事項-オ左欄下から第7行~下から第3行)であると認められる。 そうすると、乙15の2の、東洋醸造株式会社が製造し、厚生大臣に医薬品製造承認申請を行った、「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」は、甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ測定結果を再現できる同等の方法で生物活性を測定した結果、ヒトPTH(1-34)酢酸塩として比活性3300単位/mg、100単位(30μg)の値を得たものであると認められる。 乙15の2には、標準品として用いた1-84ウシPTHのコードについては記載がないが、乙15の4に、液相法により合成した、東洋醸造株式会社製のhPTH(1-34)が3300単位/mgであり、そのアッセイがウシPTH(67/342 WHO)を標準品としてラット腎皮質アデニルシクラーゼ法で行われたものであることが記載されている(乙15の4記載事項-ア)。ここで、PTHの標準品はWHOの専門家委員会で決定されコード化されているものであり(甲36~38)、当該「ウシPTH(67/342 WHO)」は、「MRC67/342」と同義である。 そうすると、乙15の2の東洋醸造株式会社製の「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」は、ウシPTHであるMRC67/342を標準品として甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ測定結果を再現できる同等の方法で生物活性を測定済みの医薬品、すなわち、上記(a)で述べた「代替の標準品」となり得るものの一つであると認められる。 そして、この「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」は、「ヒトPTH注(東洋)」として1987年に販売開始され、1992年の企業合併により「ヒトPTH注(旭化成)」と名称変更されて、2008年6月に「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」とさらに名称変更されて、比活性が3300単位/mg、100単位のものとして、30年以上の長きにわたり販売され、現在も販売されている医薬品であるから、「MRC67/342」が入手できないようなことがあった場合には、例えば「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を標準品として用いることにより、「MRC67/342」を標準品として用いた場合と同等の結果を再現できると認められる。 なお上記の「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」から「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」までの販売名変遷の事実は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ掲載の2018年8月改訂第4版「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」の医薬品インタビューフォームp.29第3~11行の以下の記載から確認した。 「10.製造販売承認年月日及び承認番号 製造販売承認年月日:2008年6月20日 ・・・ (販売名変更前の「ヒトPTH注(東洋)」(1992年1月1日より「ヒトPTH注(旭化成)」)は1987年3月31日に製造が承認され、承認番号は・・・であった。) 11.薬価基準収載年月日 2008年6月20日 (販売名変更前の「ヒトPTH注(東洋)」は1987年5月28日に薬価基準収載された。その後、企業合併による名称変更により「ヒトPTH注(旭化成)」として1992年1月1日に再収載された。)」 (c)請求人はさらに、乙15の6及び乙15の7を示して、「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」をMRC67/342に代わる標準品として用いても、本件特許の200単位を定量することはできない旨、主張している(乙15の6と乙15の7の内容は同じであるから、以下では乙15の6について述べる)。 具体的には請求人は、「乙15の6には、東洋醸造社製の酢酸テリパラチドhPTH(1-34)の比活性が「3、300単位/mg」であることが記載されているが(乙15の6記載事項-ア)、これは、甲4記載の標準品とは異なる「酢酸テリパラチド標準品」を標準品として用い(乙15の6記載事項-イ)、甲4記載の方法とは異なる「PTH活性測定法」(乙15の6記載事項-ウ)により測定したものである。標準品や測定法が異なれば測定結果に影響を与えるから、乙15の2の甲4記載の方法により行ったとする測定結果と、乙15の6記載の方法により行った測定結果が3300単位/mgと一致することは現実的には考え難く、さらに乙15の2では、cAMP生成量の測定を、甲4記載の方法とは異なり、乙15の6記載の方法と一致するヤマサ醤油(株)社製キットを用いたRadioimmunoassayにより測定していることも併せ考慮すると、結局、乙15の2に記載のラットアデニルシクラーゼ法も、甲4記載の方法ではなく、乙15の6記載の方法により行われ、「3300単位/mg」の測定結果を得たものにちがいない。 したがって、「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を、MRC67/342に代わる代替の標準品としたところで、本件特許の200単位を定量することはできない」旨、主張している。 この点確かに、甲4記載の方法と、乙15の6記載の方法を細かくみていくと、ラット体重、腎皮質をホモジナイズする溶液の組成、遠心分離条件、酵素調製物の酵素濃度、酵素反応用液の組成、反応中止条件、cAMP生成量の測定方法等が異なるが、他方で、 (i)両方法は、ラットの腎皮質をホモジナイズ後、遠心分離により精製して得られたアデニルシクラーゼ酵素調製物(なお乙15の6では、アデニルシクラーゼの酵素調製は「PTHレセプターの調製」と記載されている)とATPを添加した酵素反応用液に、測定目的の試料と生物活性既知の標準品をそれぞれ添加し、両者のcAMP産生量を比較することにより、試料の生物活性の結果を得るという酵素反応の本質である主要部分において何ら異なるものではなく、加えて、 (ii)いずれの方法も、生物活性既知の標準品に対しても等しく適用し、その標準品によって産生されたcAMP産生量との比較によって試料の生物活性を求める、という相対的な評価法を採用しており、方法の相違による測定値への影響が相対評価を採ることにより相当程度吸収されると認められること、及び、 (iii)乙15の6のhPTH(1-34)(酢酸テリパラチド;東洋醸造社製)は、「酢酸テリパラチド標準品」を標準品として測定されているところ(乙15の6記載事項-イの第一文)、その「酢酸テリパラチド標準品」は、WHO67/342(「MRC67/342」)を標準品として3300単位/mgの生物活性の値を得たものであるから(乙15の6記載事項-イの第二文)、当該「酢酸テリパラチド標準品」を標準品として測定した乙15の6のhPTH(1-34)も、結局、間接的にMRC67/342を標準品として生物活性を測定したものであること、 の(i)~(iii)の点をふまえると、両者の測定法によって得られた比活性の値が同じであることが技術的に不合理であるとまではいえない。 したがって、請求人の主張する点は、上記(b)に示した、乙15の2の東洋醸造株式会社製の「販売名 ヒトPTH(東洋)、一般的名称 酢酸テリパラチド」が、MRC67/342を標準品として甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ測定結果を再現できる同等の方法で生物活性を測定済みの医薬品であるとの認定を覆すものではない。 (d)よって、「MRC67/342」が入手できないようなことがあった場合には、例えば「ヒトPTH注(東洋)」や「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を標準品として用いることにより、「MRC67/342」を標準品として用いた場合と同等の結果を再現できるから、請求人の上記主張は採用できない。 オ ウシPTHとヒトPTHはアミノ酸配列を異にしており、構造的及び立体配的な相違があり、生物学的活性の相違があることから、本件特許発明が不明確であるとする請求人の主張について 請求人は、ウシPTHとヒトPTHはアミノ酸配列を異にしており、構造的及び立体配座的な相違があって生物学的活性が相違するが、そのような生物学的活性が異なるホルモン間における単位の換算方法等の規定もなく、また、ウシPTHの生物学的活性の単位を、ヒトPTHの生物学的活性の単位に当然に転用するという技術常識などもないから、本件特許発明では、ウシPTH以外のPTHについて単位が規定されておらず、明確性要件に違反する旨、主張する。 しかしながら、本件特許明細書では、本件特許発明のPTH(1-34)として、ヒトPTH(1-34)であるテリパラチド酢酸塩を用いることが記載されており(本件特許明細書の【0022】や実施例)、そのヒトPTH(1-34)の単位の測定法として甲4を引用したラットアデニルシクラーゼ法が明記されているのであるから(本件特許明細書の【0034】)、本件特許発明1に記載の「200単位のヒトPTH(1-34)」は、当該方法により定めることができる200単位量のヒトPTH(1-34)を意味していることは明らかであり、明確である。 したがって、請求人のこの主張も採用できない。 (4)小括 以上のとおり、本件特許の請求項1に記載の「200単位のヒトPTH(1-34)」は明確であるから、本件特許発明1は特許を受けようとする発明が明確であり、請求人が主張する無効理由1には、理由がない。 2 無効理由2(実施可能要件)について 請求人は、上記無効理由1において述べた理由と同じ理由で、本件特許発明に記載の「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件特許発明を実施することができない旨、主張する。 しかしながら、上記1の(2)~(4)において述べたとおり、「200単位のヒトPTH(1-34)」は当業者が明確に理解できるものであり、また、甲4記載の「MRC67/342」が入手できないようなことがあった場合にも、例えば「ヒトPTH注(東洋)」や「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を標準品として用いることにより、本件特許発明に記載の200単位量のヒトPTH(1-34)を測定することができるものである。 したがって当業者は、本件特許明細書の記載及び出願時の技術常識に基づき、本件特許発明1を実施することができるから、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件をみたすものであり、請求人が主張する無効理由2には、理由がない。 3 無効理由3(進歩性:甲7主発明及び技術常識)について (1)優先権主張の効果の享受が認められるか否かについて ア 本件特許は、 (i)平成21年9月9日に優先権の基礎となる特許出願がなされ(特願2009-208039号(甲1))、 (ii)平成22年9月8日に同出願を基礎として優先権を主張した国際出願がなされ(PCT/JP2010/065379)、 (iii)同国際出願が日本国に国内移行がなされたものを原出願として(特願2011-530844号)、平成27年5月25日に分割出願がなされ(特願2015-105265号)、 (iv)これに対し、平成28年4月18日に分割出願がなされ(特願2016-082589号)、 (v)これに対し、平成28年11月10日に分割出願がなされ(特願2016-219323号)、 (vi)さらに、これに対し、平成29年3月27日に分割出願されたものについて特許権設定登録がなされたものである。 イ そして本件特許発明1は、上記第3に記載のとおり、週1回当たりのヒトPTH(1-34)又はその塩の投与量を「200単位」とする骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、 条件(1)年齢が65歳以上である 条件(2)既存の骨折がある 条件(3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である 条件(4)クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minである腎機能障害を有する、 の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者を対象とする発明である。 ウ しかしながら、本件特許が優先権主張の基礎とする特願2009-208039号(甲1)の特許請求の範囲及び明細書には、「200単位」のヒトPTH(1-34)の投与についてわずかに以下に示す記載があるだけで、具体的な実施例の記載などは全くない(同明細書に記載の唯一の実施例である「(実施例1)」は、5単位、100単位の投与結果を示すものである)。 「【請求項1】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。 ・・・ 【請求項8】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」 「【0014】 すなわち、本発明は、以下に関するものである。 〔1〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。 ・・・ 〔8〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」 「【0018】 本発明は、カルシウム(カルシウム剤)併用下で1回当たり100~200単位のPTHが週1回(以下、「週1回」を「隔週」と称することもある。)投与されることを特徴とする、PTHによる骨粗鬆症治療方法又は骨折抑制ないし予防方法を提供する。また、本発明は、カルシウム併用下で1回当たり100~200単位のPTHが隔週投与されることを特徴とする、PTHを有効成分とする骨粗鬆症治療剤又は骨折抑制ないし予防剤を提供する。さらに、本発明は、前記骨粗鬆症治療剤又は前記骨折抑制ないし予防剤の製造のためのPTHの使用を提供する。」 「【0032】 従って、本発明は、その投与量として、1回当たり100~200単位であることを特徴の一つとする。ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)。投与量として、好ましく1回当たり100又は200単位、最も好ましく1回当たり200単位が例示される。」 「【0045】 また、好ましくは、本剤は、骨粗鬆症治療剤及び骨折抑制/予防剤として、1回当たり100~200単位のヒトPTH(1-34)をカルシウムと併用して隔週で投与すべき旨を記載したパッケージに収容されるか、そのような旨を記載した添付文書とともにパッケージに収容された薬剤とすることができる。」 エ このように、本件特許が優先権主張の基礎とする特許出願の特許請求の範囲及び明細書には、「200単位」のヒトPTH(1-34)を条件(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に対し投与することについて、試験条件や試験結果についてなんら具体的な記載がなされていない。本件特許明細書の投与量「200単位」についての試験の記載(【0098】~【0134】、図2~5に係る「(実施例2)」の記載)は、同出願を基礎として優先権を主張した国際出願(PCT/JP2010/065379)の明細書においてはじめて記載されたものである(甲2)。 したがって、「200単位」の投与に係る本件特許発明については、上記特願2009-208039号の出願がなされた平成21年9月9日についての優先権主張の効果を享受することはできず、「本件特許発明の特許要件判断の基準日」は、上記「(実施例2)」の200単位に係る試験結果が明細書にはじめて記載された、上記国際出願(PCT/JP2010/065379)の出願日である平成22年9月8日と認める。 (2)甲7に記載された発明の認定 ア 甲7は、3種類の投与量を用いた無作為化二重盲検前向き試験による、ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)の骨粗鬆症に対する間欠毎週投与の効果に関する文献である(甲7記載事項-ア)。そして、hPTH(1-34)の骨粗鬆症治療に対する効果を検討するために、骨粗鬆症患者220名を対象として、無作為に二重盲検下にて3群に割り付け、hPTH(1-34)の50単位(L群)、100単位(M群)又は200単位(H群)を、毎週皮下注射し、骨形成促進剤としての可能性について検討したことが記載され(甲7記載事項-イ)、前記試験は、厚生省による委員会が提唱した診断基準、すなわち、複数の因子をスコア化してスコアの計が4より高い場合を骨粗鬆症と定義する診断基準において骨粗鬆症とされた、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している被験者を含まない、年齢範囲が45歳から95歳の被検者220人を対象として実施したことが記載されている(甲7記載事項-エ)。 また、腰椎BMDに及ぼす効果の分析は、被検者115人で実施し、内訳は、L群で39名、M群で38名及びH群で38名であったことが記載され(甲7記載事項-ケ、甲7記載事項-サ)、腰椎BMDは、試験開始時と比較して、治療後24週と48週目に用量依存的に増加し、腰椎BMDは、L、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%増加し(甲7記載事項-ソ~タ)、さらに、主として背部痛からなる自覚症状は、群間に有意な差は認められなかったもののH群で被検者47人中17人(36%)に中等度以上の改善がみられたこと(甲7記載事項-ス~セ)、第2中手骨の骨密度には有意な差は認められなかったこと、群間に有意な差は認められなかったもののH群での椎体骨折の発生は0人だったことが記載され(甲7記載事項-ソ)、有害反応の総数は、hPTH(1-34)の用量が増加するのに合致して増加したものの、重篤な有害事象は認められなかったことが記載されている(甲7記載事項-チ、甲7記載事項-テ)。 さらに、hPTH(1-34)の週1回の間欠投与が、中手骨の骨密度を減少させることなく、腰椎BMDを、48週という比較的短期間で有意に用量依存的に増加させたことから、hPTH(1-34)による骨粗鬆症治療は極めて将来有望であると思われると記載されている(甲7記載事項-ト)。 イ これらを総合すれば、甲7には、厚生省による委員会が提唱した、複数の因子をスコア化してスコアの計が4より高い場合を骨粗鬆症と定義する診断基準において骨粗鬆症とされた、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している被験者を含まない、年齢範囲が45歳から95歳の被検者に対し、hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射したところ、被検者の腰椎骨密度(BMD)を8.1%増加させる一方、第2中手骨の骨密度は変化させず、椎体骨折の発生もなかったことが記載されていると認められ、甲7には、甲7の200単位投与の骨形成促進剤としての治療効果が記載されているといえる。また、甲7には、甲7の200単位投与の有害反応はあったものの、重篤な有害事象は認められず、hPTH(1-34)による骨粗鬆症治療は極めて将来有望であると思われることが記載されていると認められ、甲7には、hPTH(1-34)200単位の週1回の間欠投与によって骨粗鬆症を治療することを示唆する記載があると認められる。 ウ なお被請求人は、 (a)甲7記載の試験は、乙12のp.64(平成23年8月2日医薬食品局審査管理課作成の審議結果報告書のp.44)に記載された、日本人退行期骨粗鬆症患者を対象とする「後期第II相試験」に該当し、 (b)甲7記載の試験の被験者の選択基準も、乙12の脚注47に示される「厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)」で4点(ほぼ確実)以上の患者」である(乙12記載事項-イ)旨、説明している。 (i)上記(a)の点について 乙12に記載の後期第II相試験におけるhPTH(1-34)の投与単位毎の割り付け(50単位:73例、100単位:75例、200単位:72例)や除外数(41例)が甲7記載の試験と一致していること(甲7記載事項-ケ、乙12記載事項-ア)、骨密度(BMD)分析対象数(50単位:39例、100単位38例、200単位:38例)も一致していること(甲7記載事項-ケ、乙12記載事項-ア)、新規椎体骨折の発生数(50単位:3個、100単位:5個、200単位:0個)も一致していること(甲7記載事項-ソ、乙12記載事項-ア)などから、甲7記載の試験が乙12に記載の「後期第II相試験」に該当するものであることが認められる。 (ii)上記(b)の点について 乙12の脚注47に記載の「厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)」」であるとして、被請求人が挙げる乙13には、「退行期骨粗鬆症の診断基準」として、骨量の減少がある場合スコア3、脊椎(椎骨)骨折が1箇所の場合スコア1、2箇所以上の場合スコア2、大腿骨頸部骨折のある場合スコア3、橈骨骨折がある場合スコア1、正常な血清カルシウム、リン及びアルカリホスファターゼ値の場合スコア1などであることが記載されており、その診断基準は甲7に示されている診断基準と概ね一致している(乙13記載事項-ア、甲7記載事項-エ)。そうすると、上述(i)で示したとおり、甲7記載の試験が乙12に記載の後期第II相試験に該当すると認められることも併せ考慮すると、甲7記載の試験の被験者の選択基準が、乙12の脚注47に示される者、すなわち「厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める『退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)』で4点(ほぼ確実)以上の患者」である旨の被請求人の説明を信頼することができる。 したがって、甲7に記載の、「厚生省の支援下にある委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された・・・複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義するものである。スコアの計が4より高い場合(骨粗鬆症として定義される)を本試験への組入れ基準とした。」(甲7記載事項-エ)の試験組み入れ基準は、上記乙12の脚注47の記載より(乙12記載事項-イ)、実際には、「スコアの計が4より高い場合」ではなく、「スコアの計が4以上の場合」を意味すると解される。 エ 以上によれば、甲7には、 「hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)を有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤であって、厚生省による委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被検者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者に投与される、骨粗鬆症治療剤。」 が記載されていることが認められる(以下、括弧内を「甲7発明」という。)。 (3)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲7発明とを対比する。 甲7発明の「hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)を有効成分として含有する」は、本件特許発明1にいう「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、」に該当し、甲7発明の「骨粗鬆症治療剤」は、本件特許発明1の「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」に該当する。 また、甲7発明の「厚生省による委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被検者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者」も、また、 本件特許発明1の「下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者 (1)年齢が65歳以上である (2)既存の骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minである腎機能障害を有する」も、 いずれも骨粗鬆症患者のうちの「特定の骨粗鬆症患者」であることに変わりはない。 したがって、両者は、 「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、特定の骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1 特定の骨粗鬆症患者が、 本件特許発明1では 「下記(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者 (1)年齢が65歳以上である (2)既存の骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である (4)クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minである腎機能障害を有する」であるのに対し、 甲7発明では、 「厚生省による委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被検者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者」 である点 ・相違点2 骨粗鬆症治療剤ないし予防剤が、本件特許発明1では、「骨折抑制のための」ものであることが特定されているのに対し、甲7発明では、そのような特定がない点 イ 相違点1についての検討 (a)甲7には、本件特許発明1の投与対象である条件(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与することについての記載はない。 しかしながら、条件(1)に係る年齢も、条件(2)に係る既存骨折の有無も、また、条件(3)に係る骨密度の若年成人平均値との比較及び骨萎縮度も、いずれも、甲8記載事項-ア及び甲9記載事項-アに示されるとおり、骨粗鬆症の診断基準の要素として本件特許発明の特許要件判断の基準日前から採用されていたものであり、65歳以上の高齢者であること、既存の骨折があること、骨密度が若年成人平均値の80%未満であること、骨萎縮度I度以上あることのいずれも、骨粗鬆症の程度の重篤さやリスクの高さを示す指標であるから、これらの三つの条件をすべて満たす者は、骨粗鬆症に罹患している者の中でも、特に重篤な病態の者であることが認められる。そうすると、そのような既存の診断基準において示される要素で特定して、重篤な病態の骨粗鬆症患者に、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を用いることは当業者が通常に行うことといえる。 具体的には、椎体骨折、大腿部頚部骨折発生率は年齢とともに指数関数的に増加し、高齢であることは骨粗鬆症による骨折の重要な危険因子であり、年齢は骨密度とは独立した、骨粗鬆症による骨折危険因子であることは、本件特許発明の特許要件判断の基準日以前から技術常識であったところ(引用文献A記載事項-アの「年齢、性」の項)、「65歳」とは、高齢者の医療の確保に関する法律において「高齢者」とされる年齢であるから(同法32条)、当該高齢者である65歳以上の骨粗鬆症患者は、若い者と比較して一般に骨折の危険性が高い者、すなわち骨粗鬆症の程度が重篤でありリスクの高い者である。また条件(2)について、既存骨折の存在は、甲8記載事項-アでも、甲9記載事項-アでも、骨粗鬆症の診断基準において主要な指標であり(甲8では、既存骨折があると個数や部位に応じてスコア1~3が計上され、甲9では、脆弱性骨折があると原発性骨粗鬆症と診断される)、加えて引用文献Aには、既存骨折があると将来の骨折リスクが部位に応じて約2~4倍になることが記載されているから(引用文献A記載事項-アの「骨折既往」の項)、既存骨折を有する骨粗鬆症患者は、一般に骨粗鬆症の程度が重篤であり、骨折リスクの高い者である。条件(3)についても、骨密度の若年成人平均値が80%未満である者は、骨密度が減少していて異常であり、また、骨萎縮度がI度以上である者は、脊椎X線像での骨粗鬆化の疑いがある者であるから(甲9記載事項-ア)、当該条件に該当する骨粗鬆症患者も、一般に骨粗鬆症の程度が重篤であり、低骨密度は骨折を強く予測するものであるから(引用文献A記載事項-アの「低骨密度」の項)、そのような低骨密度者も骨折リスクの高い者である。 要するに、条件(1)~(3)は、骨粗鬆症患者の中でも、高齢者であって、既に骨折の経験があり、骨密度が減少していて異常であり、及び/又は、脊椎X線像で骨粗鬆化の疑いのある所見があって正常とはいえない者であり、特にこのような条件を全て満たす者は、他の骨粗鬆症患者よりも、重篤な病態であり、骨折のリスクがより増大している者であるといえる。 そして甲7発明の骨粗鬆症治療剤は、投与により、48週という比較的短期間で腰椎骨密度(BMD)を8.1%も増加させた治療剤であるところ(甲7記載事項-ソ~タ)、骨密度の増加は骨折予防に寄与するものであり(甲7記載事項-ウの第二文)、また中手骨骨密度を減少させることなく腰椎BMDを比較的短期間で用量依存的に増加したことにより、きわめて将来有望であると期待される骨粗鬆症治療剤であるから(甲7記載事項-トの最終文)、そのような甲7発明の骨粗鬆症治療剤を、上記の重篤な病態であり、骨折のリスクがより増大している骨粗鬆症患者に用いることに、当業者の格別の創意を要したものとはいえない。 実際引用文献Bでも、当該甲7の報告を受けて、「藤田らの報告15)では、PTH週1回投与でも、腰椎骨密度の増加は用量依存的かつ非常に強力であり、強力な既存薬であるアレンドロネートやリセドロネートの国内データの効果を上回り、海外のPTH連日投与の効果と比較しても遜色のない骨量増加作用がPTHの週1回皮下投与でも認められることが明らかになった。本2重盲検試験の成績は、週1回投与の方がむしろ効率がよく、骨吸収を亢進させることなく骨形成を促進していることを示しており、少なくとも骨密度に対する効果の点では、PTHは必ずしも連日投与する必要がないことを示唆している。」(引用文献B記載事項-ア~イ、引用文献B記載事項-オ)とか、「本邦における週1回投与の週当たりの投与量は、海外の投与量よりも少なくてすむことから、安全性に関してより配慮された用法と言えるかも知れない。・・・骨量に対して連日投与と同程度の効果が期待できる週1回投与は、効果、安全性、コンプライアンスに配慮して、骨形成促進作用を期待した骨粗鬆症治療を行う場合の、貴重な選択肢になる可能性があると考えられる。」(引用文献B記載事項-ウ)、また「トータルの投与量という点で、安全性に考慮した用法である週1回投与でも、質の高い試験で十分な骨量増加作用が証明できていることや、本用法では骨吸収に対してむしろ抑制的に作用すること、PTHは骨質に対し有用である可能性が高いことから、週1回投与においても骨折抑制効果が十分期待できると考える。」(引用文献B記載事項-エ)との報告がなされている。そうするとなおさら、そのような高い効果が見込まれる優れた甲7発明の骨粗鬆症治療剤を、上記の重篤な病態であり、骨折のリスクがより増大している骨粗鬆症患者に用いることは当業者が当然に行うことであるといえる。 (b)また条件(4)について、甲7発明では、「2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者」は、その投与対象から除外されているが、この「2mg/dlより高い血清クレアチニン」とは、検査において「中等度・高度上昇」と評価される検査値であり(甲12記載事項-ア)、腎不全や尿毒症などの「重篤な腎疾患を有する者」を意味するものである(本件特許明細書【0100】の項目(15)、甲12記載事項-ア、甲44記載事項-ア、甲44記載事項-ウ(上部グラフ縦軸の血清クレアチニン濃度が2mg/dL以上の者は概ね第4期(尿毒症期)、第3期(腎機能不全期)の者である))。 また、「30mg/dlより高いBUN」も上記「2mg/dlより高い血清クレアチニン」の評価と同様、検査において「中等度上昇」、「高度上昇」と評価される検査値であるから(甲12記載事項-ウ)、同程度の「重篤な腎疾患を有する者」を排除するための指標と認められる。 したがって甲7発明の骨粗鬆症治療剤は、そのような重篤な腎疾患者は投与対象に含めていない。しかしながら、本件特許明細書の【0064】には、「女性の骨粗鬆症患者の85%は軽度~中程度の腎障害を有しているという大規模な疫学研究報告もある(非特許文献32)」と記載されており、当該非特許文献32は2007年刊行の甲10であるところ(本件特許明細書【0011】の【非特許文献32】、甲10記載事項-ア)、この「女性の骨粗鬆症患者の85%は軽度~中程度の腎障害を有している」ということは、本件特許発明の特許要件判断の基準日以前からの技術常識であったと認められる。加えて甲10では、「骨粗鬆症と、腎障害は両方とも、罹患率が加齢とともに増加する」とされており(甲10記載事項-ア)、高齢者である骨粗鬆症患者においては、腎障害を有する者も増加することが認められるところ、骨粗鬆症治療剤の投与対象から、女性の骨粗鬆症患者の85%をも占める軽度~中程度の腎障害の骨粗鬆症患者を排除することなどを当業者が望むはずもなく、したがって、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の投与対象から、腎機能障害の程度が軽度の者を排除せず、含めておくことに対する困難性などを認めることはできない。 甲7でも、重篤な腎疾患者ではない腎機能障害の程度が軽度の者への投与を禁じておらず、また、そのような軽度の腎機能障害を有する者への投与を阻害する事由はみあたらない。上記(2)ウに示したとおり、甲7記載の試験は、医薬食品局審査管理課作成の審議結果報告書に報告された「後期第II相の臨床試験」であるから、この重篤な腎疾患者の除外は、そのような臨床試験であることに伴う除外であると認められる。すなわち、臨床試験計画書について説明する甲43に、「臨床試験では・・・通常は腎臓や肝臓に重篤な疾患を持つ患者・・・は安全性あるいは評価が困難であるという理由で除かれることになる。」との記載があるように(甲43記載事項-ア)、臨床試験である甲7記載の試験においても、重篤な腎疾患者は除かれたのである。実際、本件特許発明に係る腎機能障害を有する者を含めた試験を行うに際してさえも(実施例2)、「血清クレアチニン値が2mg/dL以上」の重篤な腎疾患者については除外されている(本件特許明細書【0100】の項目(15))。したがって、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の投与対象から、重篤な腎疾患者が除かれていることが、重篤な腎疾患者ではない腎機能障害の程度が軽度の者に用いることの阻害事由には当たらない。 そうすると、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者において、条件(4)に係る、軽度の腎機能障害を有する者(本件特許明細書【0066】)に対しても含めて甲7発明の骨粗鬆症治療剤を投与することに対する困難性はない。 (c)本件特許発明では、腎機能障害の程度を「軽度」と表すのではなく、そのクレアチニンクリアランス値「50以上80未満ml/min」で表しているが、このクレアチニンクリアランス値は、腎機能障害の程度を表現する一般的な診断基準にすぎない。例えば甲10では、軽度腎障害を「糸球体濾過率(GFR)50-79ml/min」、中程度腎障害を「GFR30-49ml/min」と分類しているが(甲10記載事項-ア等)、この「GFR」は、Cockcroft-Gault式により算出される「クレアチニンクリアランス」であると説明されているから(甲10記載事項-イ)、結局、甲10で「GFR」として示されている「ml/min」とは、「クレアチニンクリアランス」の「ml/min」に対応するものとして記載されていることが認められる。したがって、上記「女性の骨粗鬆症患者の85%は軽度~中程度の腎障害を有している」との記載における「軽度」、「中程度」の腎障害も、それぞれ、「クレアチニンクリアランス50-79ml/min」、「クレアチニンクリアランス30-49ml/min」を意味するものであり、これらの値は、本件特許における「クレアチニンクリアランスが80ml/min以上を腎機能正常、50以上80未満ml/minを軽度腎機能障害、30以上50未満ml/minを中等度腎機能障害と判定」(本件特許明細書【0066】)の定義に対応するものである(甲10定義の数値範囲を、「未満」の語を用いて表現すると本件特許明細書の定義となる)。 したがって、軽度の腎機能障害を有する者を表現するに際し、このような一般的な診断基準に即したクレアチニンクリアランス値「50以上80未満ml/min」を用いて表記することにも困難性はない。 (d)以上のとおりであるから、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を上記条件(1)~(4)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者に投与することは当業者が容易に為し得たことであり、格別のことであるとは認められない。 ウ 相違点2についての検討 甲7発明の骨粗鬆症治療剤については、「骨折抑制のため」のものであることの特定はない。 しかしながら、上記イに記載のとおり、甲7発明の骨粗鬆症治療剤は、投与により、48週という比較的短期間で腰椎骨密度(BMD)を8.1%も増加させた治療剤であるところ(甲7記載事項-ソ~タ)、骨密度の増加は骨折予防に寄与するものであり(甲7記載事項-ウの第二文)、また中手骨骨密度を減少させることなく腰椎BMDを比較的短期間で用量依存的に増加したことにより、きわめて将来有望であると期待される骨粗鬆症治療剤であるから(甲7記載事項-トの最終文)、重篤化により骨折リスクが高まる疾病である(引用文献A記載事項-ア)骨粗鬆症治療において、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を骨折抑制のために用いることに、当業者の格別の創意を要したものとはいえない。 そして上記イにも記載のとおり、引用文献Bには、当該甲7を受けて、「PTH週1回投与でも、腰椎骨密度の増加は用量依存的かつ非常に強力であり、強力な既存薬であるアレンドロネートやリセドロネートの国内データの効果を上回り、海外のPTH連日投与の効果と比較しても遜色のない骨量増加作用がPTHの週1回皮下投与でも認められることが明らかになった。本2重盲検試験の成績は、週1回投与の方がむしろ効率がよく、骨吸収を亢進させることなく骨形成を促進していることを示しており、少なくとも骨密度に対する効果の点では、PTHは必ずしも連日投与する必要がないことを示唆している。」(引用文献B記載事項-ア~イ、引用文献B記載事項-オ)とか、「トータルの投与量という点で、安全性に考慮した用法である週1回投与でも、質の高い試験で十分な骨量増加作用が証明できていることや、本用法では骨吸収に対してむしろ抑制的に作用すること、PTHは骨質に対し有用である可能性が高いことから、週1回投与においても骨折抑制効果が十分期待できると考える。」(引用文献B記載事項-エ)との報告がなされており、当該引用文献Bの記載をみても、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を、骨折抑制のために用いることは当業者が当然に行うことであるといえる。 エ 効果についての検討 (a)本件特許明細書には、 ・上記条件(1)~(4)を満たす骨粗鬆症患者と、 ・条件(1)~(3)は満たすが、腎機能の程度が異なる骨粗鬆症患者に対し、 hPTH(1-34)酢酸塩200単位週1回投与を72週間行った被験薬投与群の試験結果が、プラセボ群(hPTH(1-34)酢酸塩を含まない製剤を週1回72週間投与)との対比において示され(【0123】~【0130】、【0098】、【0080】)、血清カルシウム値については、腎機能正常者群(クレアチニンクリアランス値が80ml/min以上)、軽度腎機能障害者群、中等度腎機能障害者群の間において有意差がなく全ての腎機能者群に対して被験薬が同等であると説明され(【0128】)、副作用発現率についても、どの腎機能者群に対しても被験薬は対照薬の約2倍の発現率を示し、全ての腎機能者群に対して被験薬が同等であったと説明されている(【0129】~【0130】)。 また条件(1)~(3)を満たす骨粗鬆症患者において、いずれの腎機能者群においても、hPTH(1-34)投与群がプラセボ投与群よりも新規椎体骨折発生抑制効果と、腰椎骨密度増加効果が高かったことが本件特許明細書に説明されており(【0126】~【0127】)、さらに被請求人は、乙18に係る実験成績証明書を示して、本件特許発明の前提となる条件(1)~(3)の3条件すべてを充足する3条件充足患者は、条件(1)~(3)の非3条件充足患者よりも、骨折抑制効果が顕著であるという予測外の効果を奏する旨、及び、乙60に係る実験成績証明書Gを示して、条件(1)~(4)の4条件すべてを充足する4条件充足患者は、条件(1)~(4)の非4条件充足患者よりも、骨折抑制効果が顕著であるという予測外の効果を奏する旨を主張している。 しかしながら、これらの被請求人が主張する効果は、以下に示すとおりの理由で格別のものであるとは認められない。 (b)腎機能障害の程度が異なっても副作用発現率と血清カルシウム値が同等である点について (i)被請求人は、「本件特許発明は、腎機能が正常な患者に対する投与と比較して、意外にも、有効性のみならず副作用発現率に関する安全性が同等であることから、本件特許発明には、4条件充足患者に対して、用法・用量の調節が必要でない、という技術的意義がある。一方、甲7発明(200単位)の副作用発現率が、42%(甲7の表6)であり、PTH50単位、100単位の19%と比較しても、約2倍以上に高い。そのため、このような甲7に接した当業者は、腎機能に障害がある患者を投与対象とする場合には、200単位という高用量は耐え難く、副作用が生じやすくなるであろうことを合理的に推認するものであり、200単位の投与量を100単位に減量するとか、同じ投与量であっても投与間隔を変更して投与するなど、用法・用量の調節が必要であると判断するのが、技術常識に従ったものである。したがって、そのような用法・用量の調節の不要な本件特許発明は、予測できない顕著な効果を奏するものというべきである」旨、主張する。 しかしながら、hPTH(1-34)は、腎臓以外に、肝臓や肺等の生体内の様々な組織において分解されることが報告されている薬剤である(甲15の1記載事項-エ、カ)。また甲47には、「PTHの循環血中の半減期は正常人ではN端PTHが5.5分、C端PTHが数時間、腎不全患者であればN端PTHの平均半減期は8分。」との記載があり(甲47記載事項-ア)、hPTH(1-34)は、N端34個のアミノ酸から構成されるN端PTHであるところ、その循環血中の半減期は正常人、腎不全患者共に5.5分、8分と極めて短時間である。そしてhPTH(1-34)は、分解されてアミノ酸になるものであるから(甲15の1記載事項-ア、カ)、腎不全患者よりも障害の程度がより軽い軽度や中等度の腎機能障害者においても、循環血中で極めて短時間でアミノ酸に分解されるものであることが推認される。 そして、腎機能との関係で減量すべき薬剤について、甲44には、「当然のことですが腎不全患者だからといってすべての薬物の投与量を減量する必要はありません。・・・全身クリアランスに対する腎クリアランスの寄与の大きい薬物は減量を考慮する必要があります。そのような腎排泄型の薬物は血中消失半減期が延長してきますので、その延長の程度に応じて、投与間隔を延長させ、そして有効血中濃度内に入るように1回の投与量を設定するのが最も簡単な投与設計法と思われます。・・・添付文書によるとCa拮抗薬のニフェジピンは24時間以内の尿中排泄率が70~80%と書かれていますが、ほとんどが薬理学的活性がない代謝物として尿中に排泄されるため、腎不全患者でも減量する必要はありません。減量すべき薬物は尿中未変化体(または活性体)排泄率の高い薬物です。」(甲44記載事項-エ)なる記載、及び、「1「尿中排泄率」の意義・・・尿中未変化体排泄率と尿中回収率は厳密に区別する必要がある。 Q-1 腎排泄型の薬物は減量する必要があると聞きました。添付文書をみるとテオフィリンの尿中排泄率は90%なのに、ほとんどの書物では「腎不全患者では減量する必要がない」となっているのはなぜなのでしょうか? A テオフィリンの尿中排泄率は確かに90%ですが、活性を持たない代謝物がほとんどで、活性を有する未変化体の尿中排泄率は10%にすぎませんから減量する必要はありません。この場合、尿中排泄率と言うよりも尿中回収率と表現すべきでしょう。腎不全患者で減量すべき薬物は活性体(ほとんどの場合、未変化体)尿中排泄率の高い薬物です。」(甲44記載事項-オ)なる記載があり、これらの記載から、腎不全患者で用法・用量の調節をすべき薬物は、「薬物の活性体の尿中排泄率が高い薬物」であることが認められる。 この点、hPTH(1-34)は、上述のとおり、腎臓以外に、肝臓や肺等の生体内の様々な組織において分解されるものであり(甲15の1記載事項-エ、カ)、加えて、軽度や中等度の腎機能障害者においても、腎排泄に至る前の循環血中において、極めて短時間で不活性体であるアミノ酸に分解されるものであるから(甲47記載事項-ア、甲15の1記載事項-ア、カ)、そのような「薬物の活性体の尿中排泄率が高い薬物」には該当せず、腎不全患者であっても用法・用量の調節が必要な薬物には当たらないと解される。 そうであれば、腎不全患者よりも腎機能障害の程度が軽い、軽度の腎機能障害者への投与においては、なおさら用法・用量を調節する必要性はないと当業者は認識し得たと解されるから、軽度の腎機能障害者への投与に際して甲7発明の用法・用量の調節が不要であったという被請求人が主張する点を顕著な効果と認めることはできない。 なお被請求人は、この点について、ザルティア錠(有効成分はタダラフィル)、クレストール錠(有効成分はロスバスタチン)、ベシケア錠(コソク酸ソリフェナシン)の添付文書を示し、活性体の尿中排泄率が低くても腎機能障害者において調節が必要な薬物があった旨を、主張している(乙5の5記載事項-ア~イ、乙5の6記載事項-ア~イ、乙5の7記載事項-ア~イ)。 しかしながら、これらの薬物は血中内のα1-酸性糖タンパク質やアルブミンなどへの蛋白結合率が極めて高いため(乙5の5記載事項-ウ、乙5の6記載事項-ウ、乙5の7記載事項-ウ)、消失半減期(t1/2)が格段に長いものであるから(ザルティア錠約14~15時間(乙5の5記載事項-ウ)、クレストール錠20.2±7.8時間(乙5の6記載事項-エ)、ベシケア錠38.03~40.28時間(乙5の7記載事項-エ))、血中で蛋白と結合することなどなく、極めて短時間で不活性体のアミノ酸に分解されてしまうhPTH(1-34)とはその性質が異なる薬物である。すなわち、これらの血中で蛋白と結合する例外的な薬物が存在しても、上記のとおり腎排泄に至る前の循環血中で極めて短時間でアミノ酸に分解されてしまうhPTH(1-34)について、上述の「腎不全患者で減量すべき薬物は活性体(ほとんどの場合、未変化体)の尿中排泄率の高い薬物である」という一般的な知見に基づき、用法・用量を維持したまま腎機能障害者にも用い、やはり用法・用量の調節が不要であったことを確認することに、困難性や予測外の効果を認めることはできない。 (ii)薬物動態が薬物の薬理効果や有害作用の発現強度を決定付ける最も重要な因子であるところ(甲14記載事項-ア)、イーライリリー社のhPTH(1-34)40μgを腎機能障害者に単回皮下投与したとき(GHAW試験)、薬物動態の主要なパラメータである消失半減期が、重度腎機能障害者では87.4分であったものの、軽度~中等度腎機能障害者では61.6分、腎機能正常者では60.7分であったことが報告され(甲15の1記載事項-イ、カ)、軽度~中等度腎機能障害の消失半減期は腎機能正常者の半減期とほぼ同じであったことが認められる。(なお甲18記載事項-イ~ウに、hPTH(1-34)(LY333334)は「皮下注射後の消失半減期はおよそ1時間だった。静脈内注射後の薬物の半減期は約5分だった。」との記載があるとおり、上記(i)で述べた甲47に記載の半減期は、薬物が皮下から循環血に移行した後の、腎排泄にいたる前の循環血中でのhPTH(1-34)の分解しやすさを表す半減期であり、「消失半減期」とは、皮下注射したときの生体からの薬物が消失する半減期に係る薬物動態パラメータを意味する。)そして、甲15の1及び甲17の1では、当該GHAW試験の評価として、軽度又は中等度の腎機能障害と腎機能が正常な被験者には、いずれの薬物動態パラメータにおいても有意差はなく、曝露量及び安全性に大きな違いはなかった旨の報告がされている(甲15の1記載事項-ウ~エ、カ、甲17の1記載事項-ア)。また甲16でも、テリパラチドを単回投与した場合、重度の腎不全患者(CrCl<30mLmin)ではAUC及び半減期が増加したが、軽度または中等度の腎不全患者[クレアチニンクリアランス30~72mL/min]では薬物動態の差が認められなかったと報告されている(甲16記載事項-ア)。そうすると、軽度や中等度の腎機能障害者へのhPTH(1-34)の投与においては、腎機能正常者との間で薬物動態パラメータに有意差がなく、安全性に大きな違いがないということが、本件特許発明の特許要件判断の基準日当時の当業者の技術常識であったことが認められる。 (iii)本件特許発明を投与したときの血清カルシウムの平均値は、腎機能正常者群、軽度腎機能障害者群、中等度腎機能障害者群の間において有意差がなく、いずれにおいても、投与初期時の9.5~9.6mg/dLから、投与期間を経るにつれて9.3~9.4mg/dLに緩やかに減少し、血清カルシウムに関して安全であったことが認められる(本件特許明細書【0128】)。しかしながら、このhPTH(1-34)200単位を投与したときの血清カルシウム値の漸減傾向は、既に甲7において示されていたものである(甲7記載事項-ナ)。 甲7でも同様に、投与初期時の9.3mg/dl程度から、投与期間を経るにつれて9.1mg/dl程度に緩やかに減少したことが示されており(甲7記載事項-ナ図2左列)、加えて「血清Caは2週目から低下し始め、4週目以降は基礎値よりも有意に低かった。」と説明されている(甲7記載事項-チ)。そうすると、このような甲7の記載に接した当業者にとって、上述のとおり、薬物動態パラメータや安全性について、軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者との間で大きな違いがないことが知られていたhPTH(1-34)を有効成分とする甲7発明の骨粗鬆症治療剤を用いたときに、軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者のいずれもが、甲7と同様の血清カルシウム値の推移を示し、血清カルシウムに関する安全性が同等であったことが予測外の効果であったとは認められない。 なお被請求人は、甲10のhPTH(1-34)毎日20μg投与もしくは毎日40μg投与のイーライリリー社のフォルテオに係る長期投与の臨床試験結果を示して、高カルシウム血症の発生率が用量依存的に増加し、かつ11.0mg/dlを超える高カルシウム血症は、腎障害者と正常者とを対比した場合、腎障害者の方が数値的に高い傾向が読み取れ、血清カルシウム濃度の上昇や高カルシウム血症を理由に投与量の調節が必要になったり脱落者が発生しており、その割合は用量依存的であったこと、また、長期投与試験において、血清カルシウムの増加が複数の患者で認められ、かつその割合は毎日20μg投与から40μg投与に用量を増やすことで上昇したこと、これらをふまえて結局、フォルテオにおいては、毎日20μg投与の製剤が承認されることとなったから(乙6記載事項-ア)、本件特許発明における血清カルシウムに係る効果が当業者に予測し得なかった旨、主張する。 しかしながら、甲10の表5では、20μg/日投与の場合に、投与後4~6時間の血清カルシウム値が10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生割合が、腎機能正常者と比較して中程度腎機能障害者において有意に高かったことは示されているものの(甲10記載事項-キ、甲10記載事項-ケ)、その傾向はより投与量の大きい40μg/日投与の場合には現れていない(甲10記載事項-キ、甲10記載事項-ケ)。また投与後4~6時間の血清カルシウム値が11mg/dlを超える者の割合も、腎機能正常、軽度機能障害、中程度機能障害の間において有意差がなかったことが示されており(甲10記載事項-キ、甲10記載事項-ケ)、高用量である40μg/日投与においては、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超える上昇と、11mg/dlを超える上昇が比較的より頻発したものの、この高カルシウム血症の発生の増加は正常、軽度、および中程度の腎障害患者において、同等であった(甲10記載事項-キ)というのであるから、これらの甲10の記載に接しても、高カルシウム血症のリスクが、腎機能正常者と、軽度~中程度の腎機能障害者との間に有意差があるとは当業者は思い至らなかったと解される。 またそもそも、当該フォルテオは毎日投与の薬剤であるが、甲7発明及び本件特許発明は1週間に1回200単位(フォルテオに換算すると60.6μg;なおこの換算は、フォルテオと甲7発明のhPTH(1-34)が同じ比活性約3300テリパラチド酢酸塩単位/mgであることを前提として算出したものである。医薬である両者が同程度の比活性を有することについて当事者間に争いはない。)を投与するものであり、投与間隔が7倍も異なる。 この点、フォルテオ20μgを1日1回投与すると、血清カルシウム濃度は投与後、約6時間で減少し始め、投与後16~24時間までにベースラインに戻ると報告されており(甲16記載事項-ウ)、1日1回投与のフォルテオは、1週間に1回投与の甲7発明や本件特許発明と比較して、血清カルシウム濃度がベースラインに戻るまでに要する時間と投与間隔が近接していることが認められる。また、消失半減期とは、生体から薬物が消失するまでに必要な時間を推察するために有益なパラメータであり、生体内の薬物量は消失半減期の3倍の時間で12.5%に、5倍の時間で3.1%に減少し(甲14記載事項-イ)、時間の経過によって指数関数的に減少して消失するものであるから、hPTH(1-34)皮下注の軽度~中等度腎機能障害者及び腎機能正常者の消失半減期は上述のとおり60分程度であり、1週間に1回の投与では、毎日投与の場合と比較して、前回投与分の薬物の影響が格段に低いことが認められる(甲14記載事項-ウ)。 そうすると、1回の投与量が約1.5倍の約60μgであっても(腎機能正常者へ60μg投与したときの半減期は0.806(0.484~1.36)時間(甲15の1記載事項-オ~カ、GHCO試験))、毎日投与の薬剤であるフォルテオにおける事象が、1週間1回の投与の場合にも同様に発生するとは当業者は認識し得なかったと認められる。 したがって、甲10等の報告によっても、1週間に1回の投与である本件特許発明が、同じ1週間に1回の投与である甲7発明と同様の血清カルシウム値の推移を示したことが当業者に予測外の効果であるとは認められない。 (iv)本件特許明細書には、本件特許発明を投与したときの副作用の具体的な症状や、症状毎の件数については説明されていないが、発現率については、腎機能正常者群、軽度腎機能障害者群、中等度腎機能障害者群のいずれにおいても、被験薬は対照薬の約2倍の発現率であって同等であり、それぞれの被験薬による副作用発現率は44.9%(腎機能正常者)、45.0%(軽度腎機能障害者群)、36.8%(中等度腎機能障害者群)であったことが記載されている(本件特許明細書【0130】)。 他方甲7においても、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の有害反応の発現率は42.0%であったことが記載されており(甲7記載事項-テ(表6))、その発現頻度は、上記の本件特許発明の腎機能正常者、軽度や中等度の腎機能障害者における発現頻度と大きな差はない。加えて甲7では、「各群で本試験の経過中に何らかの異常検査所見が現れたが、いずれも顕著でなく、又は持続性でなく、被験薬が原因因子であることを示すものではなかった。」(甲7記載事項-チ)、「hPTH(1-34)の用量の増加と合致して有害反応の総数が増加したものの、重篤な有害事象は認められなかった。」(甲7記載事項-チ)と説明されており、甲7発明の骨粗鬆症治療剤において重篤な有害事象は発生しなかったことが認められる。 そうすると、このような甲7の記載に接した当業者にとって、上述のとおり、薬物動態パラメータや安全性について軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者との間で大きな違いがないことが知られていたhPTH(1-34)を有効成分とする甲7発明の骨粗鬆症治療剤を用いたときに、軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者のいずれもが、甲7発明と同様の副作用発現率であったことが予測外の効果であったとは認められない。 なお被請求人は、「本件特許発明は、200単位という高用量であるにもかかわらず、4条件充足患者に投与した場合に、腎機能が正常な3条件充足患者に対する投与と比較して、意外にも、有効性のみならず副作用発現率等に関する安全性が同等であることから、本件特許発明には、4条件充足患者に対して、用法・用量の調節が必要でない、という技術的意義がある。この点は、甲7発明(200単位)の副作用発現率が、42%(甲7の表6)であり、出願当時、承認されていた骨粗鬆症治療薬の副作用(一般に数%程度、答弁書35ページ掲載の下記表参照)と比較して桁外れに高く、50単位、100単位の19%と比較しても、約2倍以上に高いことからみて、全く予想外のことである」旨、主張している。 [図:0001385459000032.jpg] しかしながら上述のとおり、hPTH(1-34)は、薬物動態パラメータや安全性について軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者との間で大きな違いがないことが知られていた成分なのであるから、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の適用においても、両者が同等であることが当業者に予測外の効果であるとは認められない。 被請求人が挙げるカルシトニン、ビスホスホネート、活性型ビタミンD3、ビタミンK2などは、hPTH(1-34)とは作用や効果の異なる従来型の薬剤に係るものであり、またhPTH(1-34)50単位、100単位の投与は、200単位を投与する甲7発明とは異なる用量に係るものであるから、それらの副作用と比較して甲7発明の副作用が高かったとしても、上述のとおり、hPTH(1-34)の薬物動態パラメータや安全性が軽度や中等度の腎機能障害者と正常者との間で大きな違いがないことが知られていた、高い薬理効果の見込まれる甲7発明を、軽度の腎機能障害者へ投与することを当業者が躊躇するとはいえない。そして、実際に軽度の腎機能障害者に甲7発明を投与し、腎機能正常者とやはり同等の安全性であることを確認したことが、予測外の効果であるともいえない。 (c)腎機能障害の程度によらずプラセボ投与よりも新規椎体骨折発生抑制効果と、腰椎骨密度増加効果に優れている点について プラセボ投与とは、hPTH(1-34)を実質的に含まない製剤を投与したことを意味するところ(本件特許明細書【0098】)、甲7発明の骨粗鬆症治療剤は、上記(2)で述べたとおり、hPTH(1-34)200単位を含み、1週間1回の投与により、比較的短期間で腰椎骨密度(BMD)を8.1%増加させた治療剤であって(甲7記載事項-ソ~タ)、骨密度の増加は骨折予防に寄与するものであり(甲7記載事項-ウの第二文)、きわめて将来有望な骨粗鬆症治療剤であったのだから(甲7記載事項-トの最終文)、そのような甲7発明の骨粗鬆症治療剤を重篤な骨粗鬆症患者に投与したときに、プラセボ投与と比較して新規の椎体骨折発生が抑制され、また、プラセボ投与と比較して腰椎骨密度が増加することは、当業者が当然に予測し得た事項である。 (d)実験成績証明書(乙18)及び実験成績証明書G(乙60)に基づく被請求人の主張について 被請求人は、原発性骨粗鬆症患者であって、(1)年齢が65歳以上である、(2)既存の骨折がある、(3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、及び/又は、骨萎縮度が萎縮度I度以上であるという条件(1)~(3)の全てを満たす3条件充足患者にヒトPTH(1-34)の200単位の投与をすることにより奏される効果と、前記(1)~(3)の条件のうち、条件(2)又は(3)の少なくとも1つを満たさない者にヒトPTH(1-34)の200単位の投与をすることにより奏される効果の対比として、乙18(腎機能障害の程度について記載はない)の実験成績証明書を提出し、非3条件充足患者においてPTH投与群ではコントロール群(プラセボ投与群)よりも骨折の発生が抑制されたものの有意差は認められず、他方、3条件充足患者においてはPTH投与群ではプラセボ投与群よりも骨折の発生が有意に抑制されているから、4条件充足性の前提となる3条件の充足において、骨折の発生抑制という観点から、それ自体も格別の技術的意義を有するものであり、加えて、乙60(腎機能障害に係る条件(4)を満たす者)の実験成績証明書も提出し、軽度の腎機能障害を有する患者においても、非4条件充足患者においてPTH投与群ではコントロール群(プラセボ投与群)よりも骨折の発生が抑制されたものの有意差は認められず、他方、4条件充足患者においてはPTH投与群でプラセボ投与群よりも骨折の発生が有意に抑制されているから、4条件充足患者でプラセボ投与群との対比で優れた骨折発生抑制効果を発揮するという、当業者に予測外の顕著な効果を奏するものである旨、主張している。 しかしながら、乙18の実験成績証明書において対象とされた患者については、腎機能についての条件(4)の充足・非充足が不明であり、乙18の結果から、条件(1)~(4)の全てを充足する者を対象とする本件特許発明が、当業者に予測外の格別の効果を奏するものとは認められない。 乙60の実験成績証明書Gには、「条件(1)及び(4)は満たすが、条件(2)又は(3)の少なくとも1つを満たさない非4条件充足患者ではプラセボ群よりも骨折の発生は抑制されたが、4条件充足患者においてはPTH投与群ではプラセボ群よりも骨折の発生が有意に抑制された。」旨の記載がされている。 しかしながら、当該実験成績証明書Gの結果を、本件特許明細書の【0132】に骨折抑制効果を確認する指標として記載されている「プラセボに対する相対リスク減少率(Relative Risk Reduction;RRR)」を用いて算出すると、当該プラセボに対する相対リスク減少率RRRは、非4条件充足患者の方が高い値となることが認められる。すなわち、このRRR(%)は、「(1-(被験薬投与群における骨折率/プラセボ群における骨折率))×100」によって算出される値であり、この値が大きいほどプラセボ群と比較して優れた骨折抑制効果を奏することを意味する。これを実験成績証明書Gの結果にあてはめると、4条件充足患者のプラセボに対するRRRは「約72%」((1-(3.6/12.7))×100)であり、他方、非4条件充足患者のプラセボに対するRRRは「約81%」((1-(1.6/8.3))×100)であって、「プラセボ群に対するhPTH(1-34)投与群の骨折リスク減少の効果は、非4条件充足患者の方が高い」というものであるから、結局、実験成績証明書Gは、被請求人が主張する効果とは反対の結果が示されているものである。 したがって、実験成績証明書Gの結果を考慮しても、4条件充足患者が、非4条件充足患者と比較して、プラセボ群に対するhPTH(1-34)投与群の骨折リスク減少効果が高いとは認められず、被請求人の上記主張を採用することはできない。 (e)よって、上記(a)~(d)に示した理由により、本件特許発明の奏する効果を、当業者に予測外の格別のものであると認めることはできない。 オ さらなる被請求人の主張について (a)動機付けが不存在である旨の主張について 被請求人は、甲7の記載からでは、条件(1)~(4)の全てを充足する本件発明の患者群を甲7発明の患者群から取り出して認識することはできないし、また、甲7の著者である折茂肇医師や、陳述書作成当時五反田リハビリテーション病院院長補佐であった中村利孝医師なども200単位/週はその副作用の発現率の高さから100単位/週が一般的な実臨床において適切であるとの見解を示しているから(乙9記載事項-ア、乙9の2記載事項-ア、乙9の3記載事項-ア)、200単位という高用量の薬剤を甲7発明の開示から開発しようとする動機付けがなく、ましてや、さらに副作用が増加する可能性が高い腎機能障害患者に投与しようとも思わない旨、主張する。 しかしながら、上記イにおいて述べたとおり、甲7の記載から、甲7発明が、200単位のhPTH(1-34)を1週間に1回投与することにより、比較的短期間で腰痛骨密度(BMD)を8.1%も用量依存的に増加させる治療剤であり、きわめて将来有望であると期待される骨粗鬆症治療剤であることは明確に読み取れる。なお実際、引用文献1「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」にも、現在開発中の骨粗鬆症の薬物治療として、ヒトPTH(1-23)が骨形成促進薬として効果が期待されている薬剤として挙げられ、その中で、連日20μg皮下投与のものと共に、「週1回の皮下注射製剤の効果も検討されており、その第II相臨床試験の成績では、200単位(約60μg相当)週1回1年投与で、椎体骨密度を8.1%増加させることが示された。」との記載があり、週1回200単位を投与する骨粗鬆症治療剤が、その高い椎体骨密度増加の効果により、特に期待されていたことが示されている(引用文献1記載事項-ア~イ)。 そして、条件(1)~(3)を全て満たす患者は重篤な骨粗鬆症疾患の患者であるから、そのような者に対してこそ、高い骨密度上昇効果を示す甲7発明の骨粗鬆症治療剤が必要とされることは当業者に自明なことであるし、女性の骨粗鬆症患者の85%もの者が軽度~中程度の腎機能障害を有している状況において、そのような腎機能障害の程度が軽度の者を投与対象から除外することは考え難いのであるから、(1)~(4)の条件を全て満たす患者を甲7発明の投与対象に含めることは、当業者が通常に行うことである。 そして上述のとおり(エ(b))、本件特許発明の特許要件判断の基準日において、当業者は、hPTH(1-34)が、軽度や中等度の腎機能障害者と腎機能正常者との間で薬物動態パラメータに有意差がなく、安全性についても大きな違いがないことを認識し得たのであるから、甲7発明を軽度や中等度の腎機能障害者に投与したときに、正常者よりも副作用が増加するとは思わないと解される。 したがって、甲7発明と同等の副作用発現率である本件特許発明を想到することに対する困難性は認められず、被請求人の上記主張を採用することはできない。 (b)甲7、引用文献B、引用文献1の記載についての被請求人の主張について 被請求人は、甲7、引用文献B、引用文献1のいずれにも、200単位週1回の骨折抑制効果についての具体的なデータは示されておらず、本件特許発明により3条件充足患者に対する顕著な骨折抑制効果を示すまではその効果を予測することはできなかった旨、主張する。 しかしながら、甲7発明の骨粗鬆症治療剤は、投与により、48週という比較的短期間で腰椎骨密度(BMD)を8.1%も増加させた治療剤であるところ(甲7記載事項-ソ~タ)、骨密度の増加は骨折予防に寄与するものであり(甲7記載事項-ウの第二文)、また中手骨骨密度を減少させることなく腰椎BMDを比較的短期間で用量依存的に増加したことにより、きわめて将来有望であると期待される骨粗鬆症治療剤であるから(甲7記載事項-トの最終文)、重篤化により骨折リスクが高まる疾病である(引用文献A記載事項-ア)骨粗鬆症治療において、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を骨折抑制のために用いることに、当業者の格別の創意を要したものとはいえないことは、上記ウに記載のとおりである。 そして、上記エの(d)において示したとおり、本件特許発明に係る、4条件充足患者が、非4条件充足患者と比較して、プラセボ群に対するhPTH(1-34)投与群の骨折リスク減少効果が高いとは認められないのであるから、被請求人の上記主張についても採用することはできない。 カ 本件特許発明1についての結論 よって、本件特許発明1は、甲7発明、及び、本件特許発明の特許要件判断の基準日当時当時の技術常識(甲8~10、甲12、甲14、甲15の1、甲16、甲17の1、甲18、甲43、甲44、甲47、引用文献A、引用文献B、引用文献1)から、当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有しない。 (4)小括 以上のとおり、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 第12 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求書に係る訂正請求は適法であり、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項違反に基づく同法第123条第1項第2号によって無効とされるべきものである(無効理由3)。 本件特許の請求項2に記載された発明は、訂正により削除されたため、その請求項に対して請求人がした審判の請求は、不適法な請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により、これを却下する。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担するものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-800076

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