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特許無効審判

2018-800077

骨粗鬆症治療剤ないし予防剤

審判番号
2018-800077
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-061091
登録番号
6275900
請求日
2018年06月12日
審決日
2023年12月25日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】沢井製薬 株式会社
  • 【請求人代理人】森本 純
  • 【被請求人】旭化成ファーマ 株式会社
  • 【被請求人代理人】細田 芳徳
  • 【被請求人代理人】亀ヶ谷 薫子
審判長/審判官
  • 審判長 松波 由美子
  • 審判官 齋藤 恵
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1113.536-ZAA(A61K) / P1113.537-ZAA(A61K) / P1113.121-ZAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第181条第2項、特許法第148条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第134条の2第3項、特許法第134条の2第6項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6275900号「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」の特許無効審判事件についてされた令和2年10月9日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において、請求項1に係る部分の審決を取り消す判決(令和2年(行ケ)第10132号、令和3年8月31日判決言渡)があり、当該判決はその後確定したので、特許法第181条第2項の規定により、請求項2~4に係る部分の審決を取り消して、一群の請求項1~4について更に審理のうえ、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6275900号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第6275900号の請求項1、3及び4に係る発明についての特許を無効とする。 特許第6275900号の請求項2についての審判請求を却下する。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6275900号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る発明についての出願(特願2017-61091号)は、平成22年9月8日(優先権主張 平成21年9月9日)を国際出願日とする特願2011-530844号の一部を平成27年5月25日に新たな特許出願とした特願2015-105265号の一部を、さらに平成28年4月18日に新たな特許出願とした特願2016-082589号の一部を、またさらに平成28年11月10日に新たな特許出願とした特願2016-219323号の一部を、その上さらに新たな特許出願として平成29年3月27日出願されたものであって、平成30年1月19日に特許権の設定登録がなされたものである。 これに対して、請求人は、平成30年6月12日付けで本件特許の請求項1~4に係る発明の特許を無効にすることについて、特許無効審判の請求を行った。本件特許無効審判事件の手続の経緯は、以下のとおりである(当審合議体による書面以外についての日付は、書面の受付日である。)。 1 一次審決までの主な手続の経緯 平成30年 6月12日 審判請求書(請求人) 同年 9月 3日 審判事件答弁書(被請求人) 同年10月11日付け 審理事項通知書(請求人及び被請求人宛て) 同年 同月15日 参加申請書(ニプロ株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請) 同年11月 1日付け 参加許否の決定(ニプロ株式会社の参加を許可) 同年 同月 5日付け 審理事項通知書(請求人、ニプロ株式会社及び被請求人宛て) 同年 同月 8日 参加申請書(テバファーマスーティカル株式会社、特許法第148条第1項の規定により請求人側に参加することを申請) 同年 同月14日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 同年 同月27日 口頭審理陳述要領書(請求人) 同年 同月28日 口頭審理陳述要領書(ニプロ株式会社) 同年12月 3日付け 参加許否の決定(テバファーマスーティカル株式会社の参加を許可) 同年 同月11日 口頭審理陳述要領書(テバファーマスーティカル株式会社) 同年 同月11日 口頭審理 同年 同月18日 上申書(請求人) 同年 同月19日 上申書(ニプロ株式会社) 平成31年 1月17日 上申書(被請求人) 同年 同月22日付け 審尋(請求人、ニプロ株式会社及びテバファーマスーティカル株式会社宛て) 同年 2月 8日 上申書(請求人及びテバファーマスーティカル株式会社) 同年 同月12日 上申書(ニプロ株式会社) 同年 4月11日 参加申請取下書(テバファーマスーティカル株式会社) 令和 1年 7月25日 参加申請取下書(ニプロ株式会社) 同年 8月 6日付け 審決の予告 同年10月15日 訂正請求書(被請求人) 同年 同月17日 上申書(被請求人) 同年11月28日 弁駁書(請求人) 同年12月27日 上申書(被請求人) 令和 2年 3月31日付け 審決の予告 同年 6月 5日 訂正請求書及び上申書(被請求人) 同年 7月16日 弁駁書(請求人) 同年 8月17日 上申書(被請求人) 同年10月 9日付け 審決(以下「一次審決」という。) 2 一次審決 一次審決の結論は、 「特許第6275900号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~4]について訂正することを認める。 特許第6275900号の請求項1に係る発明についての審判請求は成り立たない。 特許第6275900号の請求項2~4についての審判請求を却下する。 審判費用は請求人の負担とする。」 というものであり、同審決は、令和2年10月20日に請求人に送達された。 3 審決取消訴訟 請求人は、一次審決の取消しを求めて、令和2年11月9日に知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 上記訴えは、知的財産高等裁判所において、令和2年(行ケ)第10132号事件として審理され、令和3年8月31日に、主文を「1 特許庁が無効2018-800077号事件について令和2年10月9日にした審決のうち、特許第6275900号の請求項1に係る部分を取り消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。」とする判決(以下「取消判決」という。)の言渡しがあり、その後、同判決は確定した。 4 取消判決確定後の主な手続の経緯 令和 4年 3月 9日 訂正請求申立書(被請求人) 同年 5月16日付け 審理再開通知書(請求人及び被請求人宛て) 同年 同月20日付け 訂正請求のための期間指定通知(被請求人宛て) 同年 6月 6日 訂正請求書及び上申書(被請求人) 同年 7月 8日 上申書(被請求人) 同年 8月 8日 弁駁書(請求人) 同年11月17日 上申書(被請求人) 令和 5年 4月21日付け 審決の予告 同年 6月27日 訂正請求書(被請求人) 同年 9月26日 上申書(被請求人) 上記2のとおり、一次審決は、訂正請求(後記「本件第2訂正請求」)がされた本件特許の一群の請求項1~4についての審決であって、上記3のとおり、一次審決のうち、請求項1に係る部分を取り消した取消判決が確定したので、特許法第181条第2項の規定により、審理を行うに際し、本件特許の請求項1と一群の請求項を構成するその他の請求項である請求項2~4についての一次審決を取り消して、一群の請求項1~4について更に審理した。 また、上記1のとおり、平成31年4月11日に「テバファーマスーティカル株式会社」の参加申請が取り下げられ、令和1年7月25日に「ニプロ株式会社」の参加申請が取り下げられたため、これらについては「参加人」とはいわず、それぞれ、「テバファーマスーティカル株式会社」、「ニプロ株式会社」という。 第2 訂正請求について 被請求人が提出した令和1年10月15日受付の訂正請求書を、以下「本件第1訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件第1訂正請求」という。また、令和2年6月5日受付の訂正請求書を、以下「本件第2訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件第2訂正請求」という。また、令和4年6月6日受付の訂正請求書を、以下「本件第3訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件第3訂正請求」という。そして、令和5年6月27日受付の訂正請求書を、以下「本件第4訂正請求書」といい、当該訂正請求書による訂正の請求及び訂正を、以下それぞれ、「本件第4訂正請求」及び「本件第4訂正」という。 1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容 本件第4訂正は、本件特許の特許請求の範囲を、本件第4訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求めるものであって、その内容は、以下の訂正事項1~4のとおりのものである(下線部が訂正箇所である。)。 なお、本件第4訂正前の請求項2~4は、請求項1の記載を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件第4訂正請求は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である請求項1~4についてされたものである。 また、本件第1訂正請求~本件第3訂正請求は、特許法134条の2第6項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、クレアチニンクリアランスが30以上80未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を対象とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 と記載されているのを、 「1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回、48週を超過して72週以上までの間投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を対象とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 に訂正する。 (審決注:訂正事項1は、請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正するものである。) (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤である、請求項1又は2に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」と記載されているのを、 「骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、前記骨粗鬆症患者が既存の椎体骨折を有する、請求項1に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 に訂正する。 (審決注:訂正事項3は、請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正するものである。) (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記投与が皮下注射投与である、請求項1~3のいずれか1項に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 と記載されているのを、 「前記投与が皮下注射投与であり、48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する、請求項1又は3に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」 に訂正する。 2 訂正の適否の判断 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1について、投与期間を「48週を超過して72週以上までの間」と特定し、さらに限定するものである。また、対象となる骨粗鬆症患者について、「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり」と特定し、さらに限定するとともに、クレアチニンクリアランスが30以上80未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を、クレアチニンクリアランスが「50未満ml/min」である患者に、さらに限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、「本発明は、1回当たり100~200単位のPTHが隔週投与されることを特徴とする、PTHを有効成分とする骨粗鬆症治療ないし予防剤又は骨折抑制ないし予防剤を提供する。」(【0018】)との記載があり、【0032】に、「投与期間として、24週以上、48週以上、・・・を例示することができ」と記載されていることに加え、実施例2において、原発性骨粗鬆症と診断された男女の高リスク患者に対して被験薬であるテリパラチド酢酸塩200単位を含む注射用凍結乾燥製剤または対照薬であるテリパラチド酢酸塩を実質的に含まないプラセボ製剤をそれぞれ生理的食塩水1mLで用時溶解して72週間にわたり週に1回の頻度で間欠的に皮下投与した試験を行ったことが記載されている(【0098】)。 したがって、投与期間を「48週を超過して72週以上までの間」とすることは、本件明細書の記載から導き出せる事項である。 また、本件明細書には、実施例2における患者群の背景因子の分布を示す表において、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害(【0124】)を表す「Moderate impairment(<50)」の被験薬投与群「PTH200群」の患者のBMI(kg/m2)は、平均値21.28、標準偏差3.28であったことが記載されている(【0125】【表24】)。 したがって、対象となる骨粗鬆症患者を、「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内」であり、クレアチニンクリアランスが30以上「50未満ml/min」である腎機能障害を有する骨粗鬆症患者とすることも、本件明細書の記載から導き出せる事項である。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アから明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1において、投与期間について「48週を超過して72週以上までの間」と特定し、さらに限定するものである。また、対象となる骨粗鬆症患者について、「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり」と特定し、さらに限定するとともに、クレアチニンクリアランスが30以上80未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を、クレアチニンクリアランスが「50未満ml/min」である患者に、さらに限定することによって、特許請求の範囲を減縮するものであり、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2~4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2は、請求項2を削除するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、訂正前の請求項2及び請求項2を引用する訂正前の請求項3、4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3) 訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、請求項3及び請求項3を引用する請求項4において、骨粗鬆症患者が「既存の椎体骨折を有する」という態様に特定し、更に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 上記(1)イのとおり、本件明細書には、実施例2として、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者に対し、テリパラチド酢酸塩200単位を含む注射用凍結乾燥製剤または対照薬であるテリパラチド酢酸塩を実質的に含まないプラセボ製剤をそれぞれ生理的食塩水1mLで用時溶解して72週間にわたり週に1回の頻度で間欠的に皮下投与した試験を行ったことが記載されている(【0098】【0125】【表24】)。高リスク患者について、本件明細書には、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者(ないし対象者)を「高リスク患者」として定義する。 (1)年齢が65歳以上である (2)既存骨折がある (3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である。」(【0068】)と定義されているところ、本件明細書における骨折は、椎体骨折及び非椎体骨折のいずれをも含むものであり(【0045】)、高リスク患者を定義する上記の記載に続けて、【0069】には、「本発明でいう椎体骨折数は、例えば、Genantらの方法(非特許文献14)により容易に計測可能である。椎体以外の部位の骨折は、例えば、レントゲンフィルムを用いて容易に確認され得る。」と記載されている。このことは、【0079】【表1】に高リスク患者の要件として、年齢、既存の椎体骨折、骨密度あるいは骨萎縮度の点から定義されていることや、実施例2の臨床試験において、高リスク患者が対象とされ(【0098】)、増悪椎体骨折が評価されていること(【0118】【表20】)などとも符合する。 そうすると、対象とする骨粗鬆症患者が「既存の椎体骨折を有する」ことは、本件明細書の記載から導き出せる事項である。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3は、対象とする「骨粗鬆症患者が既存の椎体骨折を有する」と特定し、訂正前の請求項3及び請求項3を引用する請求項4を限定するものであるから、訂正前の請求項3及び請求項3を引用する請求項4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (4) 訂正事項4について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は、請求項4における骨粗鬆症治療剤ないし予防剤を「48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する」ものに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の追加の有無 上記(1)イのとおり、本件明細書中、実施例2の結果を示す【0127】【表26】には、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害「Moderate impairment(<50)」である「PTH200群」の「48週後の腰椎骨密度変化率(%)の平均値が4.9、標準偏差が4.4」であることが記載されており、訂正事項4は、本件明細書の記載に基づいて導き出せる事項である。 したがって、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤が「48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する」ことは、本件明細書の記載から導き出せる事項である。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4は、請求項4に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤を「48週後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用」を有するものに限定するものであるから、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (5) 独立特許要件について なお、本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項1~4について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する要件(「独立特許要件」)は課されない。 3 訂正請求についての結論 以上のとおり、本件第4訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、本件第4訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件第4訂正発明 上記第2のとおり、本件第4訂正が認められるから、本件特許の請求項1~4に係る発明は、本件第4訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(下線部は本件第4訂正による訂正箇所である)。 なお、以下、本件第4訂正後の請求項1~4に係る発明を、その請求項に付された番号にしたがって、「本件第4訂正発明1」のように記載することがある。また、これらをまとめて「本件第4訂正発明」ということがある。 【請求項1】 1回当たり200単位のPTH(1-34)又はその塩が週1回、48週を超過して72週以上までの間投与されることを特徴とする、PTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を対象とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、前記骨粗鬆症患者が既存の椎体骨折を有する、請求項1に記載の骨粗症治療剤ないし予防剤。 【請求項4】 前記投与が皮下注射投与であり、48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する、請求項1又は3に記載の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。 第4 請求の趣旨、請求人の主張及び請求人が提出した証拠方法 請求人は、「特許第6275900号の請求項1~4に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、本件特許が無効とされるべき理由として、審判請求書において下記1~3に要約される無効理由1~3を主張し、証拠方法として下記4の書証を提出している。 1 無効理由1(明確性要件違反) 本件特許の請求項1~4の発明(以下それぞれ、請求項の番号によって「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」ということがある。)における「200単位」に係るPTH1単位量については、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができない。 したがって、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 2 無効理由2(実施可能要件違反) 本件発明における「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件発明を実施することができない。 したがって、本件発明については、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。 3 無効理由3(進歩性欠如) 本件発明は、甲第7号証に記載された発明及び技術常識に基いて(甲第7号証が主引例、技術常識を示す証拠として甲第8号証~甲第18号証)、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 4 証拠方法 ・甲第1号証 特願2009-208039号の願書、特許請求の範囲、明細書及び図面(平成21年9月9日特許出願) ・甲第2号証 再公表特許WO2011/030774号(2010年9月8日国際出願の再公表特許) ・甲第3号証 薬学図書館、Vol.31、No.4(1986年)p.200-219 ・甲第4号証 Endocrinology、Vol.85(1969年)p.801-810 ・甲第5号証 米国特許第4086196号明細書(1978年) ・甲第6号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1~12、p.20、p.24、p.52(平成26年4月18日) ・甲第7号証 Osteoporosis International、Vol.9(1999年)p.296-306 ・甲第10号証 Osteoporosis International、Vol.18(2007年)p.59-68 ・甲第11号証 日本慢性腎臓病対策協議会「腎機能をチェックしましょう」(インターネットURL: http://j-ckdi.jp/ckd/check.html)(平成30年5月16日出力) ・甲第12号証 山口徹 外編「今日の治療指針 私はこう治療している 2009」(2009年1月1日)医学書院、p.1167-1175 ・甲第13号証 厚生省薬務局新医薬品課長通知「「高齢者に使用される医薬品の臨床評価法に関するガイドライン」について 薬新薬第104号」(平成5年12月2日) ・甲第14号証 日本小児腎臓病学会雑誌、Vo.19、No.2(2006年)p.47-59 ・甲第15号証の1 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「販売名 フォルテオ皮下注カート600μg、同皮下注キット600μg」の審査報告書(平成22年4月6日、平成22年5月6日付け審議結果報告書に添付)(当審注:下記甲第15号証の2には、甲第15号証の1に係る審査報告書が2010年7月26日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイト上に掲載されたことが記載されているから、甲第15号証の1の公知日は、2010年7月26日であると認める。) ・甲第15号証の2 独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの、甲15の1の承認情報掲載のお知らせ(2010年7月26日) ・甲第16号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOTM teriparatide(rDNA origin) injection 750 mcg/3mL 米国添付文書」(2002年) ・甲第17号証の1 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのCLINICAL PHARMACOLOGY and BIOPHARMACEUTICS REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第17号証の2のウェブページに掲載) ・甲第17号証の2 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEO teriparatide(rDNA origin) injectionの医薬承認情報」(アメリカ食品医薬品局(FDA)のインターネットURL: https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2002/21-318_Forteo.cfm)(2004年3月24日) ・甲第18号証 イーライリリー・アンド・カンパニー「FORTEOのMEDICAL REVIEW(S)」(2004年3月24日に甲第17号証の2のウェブページに掲載) (以上、審判請求書に添付。甲第8号証~甲第9号証は欠番(後に提出)。) ・甲第34号証 沢井製薬株式会社 柳慎一郎「報告書」(平成30年11月16日) ・甲第35号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(甲第9号証と同じ) ・甲第36号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 26th Report」(1975年)p.9-11 ・甲第37号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 32nd Report」(1982年)p.28-29 ・甲第38号証 World Health Organization「WHO Expert Committee on Biological Standardization 36th Report」(1987年)p.25-26 ・甲第39号証 Japanese Journal of Transfusion Medicine、Vol.44、No.4(1998年)p.465-472 ・甲第40号証 Endocrinology、Vol.99、No.2(1976年)p.429-436 ・甲第41号証 日本骨代謝学会雑誌 JJBM、Vol.3、No.1(1985年)p.29-37 ・甲第42号証 社団法人日本分析化学会 編「分析化学実験ハンドブック」(昭和62年)丸善株式会社、p.571-591 ・甲第43号証 臨床薬理 Jpn J Clin Pharmacol Ther、Vol.40、No.2(2009年3月)P.11S-12S ・甲第44号証 平田純生 編「腎不全と薬の使い方Q&A-腎不全時の薬物投与一覧-」(平成17年)株式会社じほう、p.44、p.61、p.65-78、p.245-252 ・甲第45号証 「イーケプラ(R)錠250mg イーケプラ(R)錠500mg イーケプラ(R)ドライシロップ50%の医薬品インタビューフォーム」(2018年9月改訂、シロップは2013年8月29日発売、錠剤は2010年9月17日発売)(当審注:「(R)」は、丸囲いのRである。以下同じ) ・甲第46号証 医薬品医療機器総合機構理事長「ゾメタ注射液4mgの審査結果通知書 薬機発第525号」(平成16年6月28日)p.1-27・甲第47号証 社団法人日本生化学会編「生化学データブック I」(1979年)株式会社東京化学同人、p.1348-1351 (以上、平成30年11月27日受付の口頭審理陳述要領書に添付。甲第19号証~甲第33号証は欠番。) ・甲第8号証 医学のあゆみ、Vol.152、No.5(1990年)p.288-290 ・甲第9号証 「原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)」日本骨代謝学会雑誌、Vol.18、No.3(2001年)p.76-82(奥付は甲第35号証) ・甲第60号証 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2007年2月1日)ライフサイエンス出版株式会社、p.2-3 (以上、令和1年11月28日受付の弁駁書に添付。甲第48号証~甲第59号証は欠番。) ・甲第61号証 Osteoporosis Japan、Vol.21、No.1(2013年)p.25-32 ・甲第62号証 山崎 力 外編「全体像がひと晩でわかる!臨床研究 いろはにほ」(2015年4月27日)ライフサイエンス出版株式会社、p.58-61 ・甲第63号証 厚生労働省医薬局審査管理課長「「臨床試験における対照群の選択とそれに関する諸問題」について 医薬審発第136号」(平成13年2月27日) ・甲第64号証 Alejandro Jadad 著、舟喜光一 外訳「ランダム化比較試験 100のquestionsに学ぶ」(平成16年6月30日)株式会社じほう、p.34-37 ・甲第65号証 「テリボン(R)皮下注用56.5μgの添付文書」(2018年1月改訂、2013年12月販売開始) ・甲第66号証の1 「エルシトニン(R)注10単位の添付文書」(2018年8月改訂、1982年9月販売開始)・甲第66号証の2 「エルシトニン(R)注20Sの添付文書」(2018年8月改訂、1993年11月販売開始) ・甲第66号証の3 「エルシトニン(R)注20Sディスポの添付文書」(2018年8月改訂、2004年8月販売開始) ・甲第66号証の4 「エルシトニン(R)注40単位の添付文書」(2018年8月改訂、2006年6月販売開始) ・甲第67号証 折笠秀樹 著「臨床研究デザイン 医学研究における統計入門」(1996年5月10日)真興交易(株)医書出版部、p.9-18 (以上、令和2年7月16日受付の弁駁書に添付。) ・甲第68号証 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室「平成16年国民健康・栄養調査結果の概要(抜粋)」(2006年)栄養学雑誌Vol.64、No.3、p.195-203 ・甲第69号証 「肥満と肥満症」(平成23年)日本内科学会雑誌Vol.100、No.4、p.897-902 (以上、令和4年8月8日受付の弁駁書に添付。) 以下、甲号証については、その番号によって「甲1」などということがある。 第5 答弁の趣旨、被請求人の主張及び被請求人が提出した証拠方法 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がないと主張し、証拠方法として以下の書証を提出している。 ・乙第1号証 社団法人日本生化学会編「生化学データブック I 縮刷版」(1981年)株式会社東京化学同人、p.1348-1349 ・乙第2号証 山科郁男 監修「レーニンジャーの新生化学〔上〕 第2版」廣川書店(平成10年)p.168-169 ・乙第4号証 異議2017-700591の異議の決定(平成29年9月27日)(特許第6275900号に対する異議の決定) ・乙第5号証の1 「ゾメタ(R)点滴静注4mg/5mLの添付文書」(2016年5月改訂、2005年1月販売開始) ・乙第5号証の2 「ガバペン(R)錠200mg ガバペン(R)錠300mg ガバペン(R)錠400mgの添付文書」(2016年4月改訂、2006年9月販売開始) ・乙第5号証の3 「イーケプラ(R)錠250mg イーケプラ(R)錠500mgの添付文書」(2016年5月改訂、2010年9月販売開始) ・乙第5号証の4(1) 「ザイザル(R)錠5mgの添付文書」(2017年2月改訂、2010年12月販売開始) ・乙第5号証の4(2) 「XYZAL(R)5mg錠の添付文書」(2008年1月)p.1、p.2、p.9 ・乙第6号証 日本イーライリリー株式会社「フォルテオ皮下注キット600μg フォルテオ皮下注カート600μg 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要」(発行日不明)表紙、p.217-218 ・乙第7号証 日本チバガイギー株式会社「ゾメタ(R)注射液4mg(ゾレドロン酸水和物)に関する資料」(発行日不明)表紙、目次-1-目次-3、p.ヘ-33 ・乙第8号証の1 「エルシトニン(R)注10単位の医薬品インタビューフォーム」(2011年2月改訂、1982年9月1日発売)表紙、p.9、p.11、p.25・乙第8号証の2 「カルシトラン(R)注10の医薬品インタビューフォーム」(2015年3月改訂、1990年5月25日発売)表紙、p.9、p.11、p.18 ・乙第8号証の3 「ダイドロネル(R)錠200の医薬品インタビューフォーム」(2013年9月改訂、1990年11月30日発売)表紙、p.7、p.24 ・乙第8号証の4 「ワンアルファ(R)錠0.25μg ワンアルファ(R)錠0.5μg ワンアルファ(R)錠1.0μg ワンアルファ(R)内用液0.5μg/mLの医薬品インタビューフォーム」(2014年10月改訂、内用液は1987年11月9日発売、錠剤は1988年7月21日発売)表紙、p.14、p.27 ・乙第8号証の5 「ロカルトロール(R)カプセル0.25 ロカルトロール(R)カプセル0.5の医薬品インタビューフォーム」(2015年4月改訂、1986年5月6日発売)表紙、p.1 ・乙第8号証の6 「グラケー(R)カプセル15mgの医薬品インタビューフォーム」(2014年4月改訂、1995年10月4日発売)表紙、p.9、p.30 ・乙第9号証 Journal of Bone and Mineral Metabolism、Vol.22(2004年)p.569-576 ・乙第10号証 知的財産高等裁判所 平成27年(行ケ)第10241号の判決書(平成28年11月28日判決言渡)p.1-9、p.63-65 ・乙第11号証 NPO法人日本腎臓病協会「腎機能をチェックしましょう」(インターネットURL: https://j-ka.or.jp/ckd/check.php)(平成30年8月10日出力) (以上、審判事件答弁書に添付。乙第3号証は欠番。) ・乙第12号証 特願2011-530844号の審査過程において特許庁に提出された意見書p.1、p.12、p.20、p.62-64(平成26年4月18日) ・乙第13号証 総括班長 祖父江逸郎「厚生省厚生科学研究費補助金 シルバーサイエンス研究 昭和63年度研究報告」(1989年)p.81-82 ・乙第14号証 日本イーライリリー株式会社「フォルテオ(R)皮下注キット600μgの医薬品インタビューフォーム」の表紙(2014年7月改訂、2010年7月23日製造販売承認、2010年10月1日発売) ・乙第15号証 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年9月改訂、2008年3月7日製造販売承認、2008年6月20日発売)表紙、p.5、p.7 ・乙第16号証 Bone and Mineral、Vol.3(1988年)p.193-199 (以上、平成30年11月14日受付の口頭審理陳述要領書に添付。) ・乙第5号証の5 「ザルティア(R)錠2.5mg ザルティア(R)錠5mgの添付文書」(2018年8月改訂、2014年4月販売開始) ・乙第5号証の6 「クレストール(R)錠2.5mg クレストール(R)錠5mg クレストール(R)OD錠2.5mg クレストール(R)OD錠5mgの添付文書」(2018年10月改訂、錠剤2005年4月販売開始、OD錠2016年6月販売開始) ・乙第5号証の7 「ベシケア(R)錠2.5mg ベシケア(R)錠5mgの添付文書」(2016年6月改訂、2006年6月販売開始) ・乙第9号証の2 医療法人財団健康院理事長 健康院クリニック院長 折茂肇「陳述書」(平成28年1月5日) ・乙第9号証の3 五反田リハビリテーション病院院長補佐 中村利孝「陳述書」(平成28年4月28日) ・乙第15号証の2 東洋醸造株式会社「一般的名称 酢酸テリパラチド、販売名 ヒトPTH(東洋)」の医薬品製造承認申請書(昭和60年4月22日)表紙、提出資料一覧表の表紙とp.1、提出資料のうちの「ヒトPTH(1-34)の概要」の表紙、中表紙、目次、p.1-3、p.18-21 ・乙第15号証の3 日本内分泌学会雑誌、Vol.60、No.3(1984年)p.159-170・乙第15号証の4 Endocrinol. Japon.、Vol.31、No.1(1984年)p.33-40 ・乙第15号証の5 Bone、Vol.16、No.4(1995年)p.477-484 ・乙第15号証の6 特開平5-70367号公報(平成5年3月23日) ・乙第15号証の7 WO93/05805(1993年4月1日国際公開) ・乙第15号証の8 Biopolymers、Vol.20(1981年)p.1823-1832 ・乙第15号証の9 旭化成ファーマ株式会社「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」の医薬品インタビューフォーム」(2008年9月改訂、2008年3月7日製造販売承認、2008年6月20日発売)表紙、p.1-3 ・乙第17号証 日本透析医学会雑誌、Vol.39、No.10(2006年)p.1435-1439・乙第19号証 The New England Journal of Medicine、Vol.344、No.19(2001年)p.1434-1441 ・乙第20号証 厚生省薬務局審査課長通知「致命的でない疾患に対し長期間の投与が想定される新医薬品の治験段階において安全性を評価するために必要な症例数と投与期間について 薬審第592号」(平成7年5月24日) ・乙第24号証 日本腎臓学会編「CKD診療ガイド 2009」(2009年4月20日改訂第2版第2刷)目次、p.83 (以上、平成31年1月17日受付の上申書に添付。乙第18号証、乙第21号証~乙第23号証は欠番。) ・乙第50号証 旭化成ファーマ株式会社 メディカル・アフェアーズ部 鵜澤豊暢「陳述書」(2019年10月7日) ・乙第51号証 各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局審査管理課長通知「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインについて」 医薬審第742号(平成11年4月15日) ・乙第59号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 田中理砂「実験成績証明書F」(令和1年10月11日) ・乙第61号証 旭化成ファーマ株式会社 医薬マーケティング本部 骨領域事業戦略部 中村泰朗「テリボンの開発に関する陳述書」(令和1年10月9日) (以上、令和1年10月17日受付の上申書に添付。乙第25号証~乙第49号証、乙第52号証~乙第58号証、乙第60号証は欠番(乙第58号証は後に提出)。) ・乙第63号証 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「テリボン皮下注用56.5μgの再審査報告書」(平成30年11月8日) (以上、令和1年12月27日受付の上申書に添付。乙第62号証は欠番。) ・乙第58号証 旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター データサイエンス部 田中理砂「実験成績証明書E」(令和1年10月11日) (以上、令和2年6月5日受付の上申書に添付。) ・乙第65号証 加藤隆一 著「臨床薬物動態学(改訂第4版)」(2009年)(株)南江堂、332頁~335頁 (以上、令和4年7月8日受付の上申書に添付。乙第64号証は欠番。) ・乙67 「治験における品質マネジメントに関する基本的考え方について」、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長からの通達、令和元年7月5日 ・乙68 「テリボン皮下注用56.5μg」承認申請資料、第2部(モジュール2)2.7.6 個々の試験のまとめ、2.7.6-163~2.7.6-176https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100155/index.html(令和5年1月23日出力) ・乙69 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2007年2月1日)ライフサイエンス出版株式会社、p.13~14 ・乙70 山本智章「脆弱性骨折患者に対する二次骨折予防─「再骨折予防手帳」の使い方」(2021年)日本医事新報社、p.2~5 ・乙71 松井 宏樹 他「日本の骨粗鬆症指導に関する文献検討」、人間看護学研究、Vol.16(2018年)p.49-55 ・乙72 第6回庄の原健康講座 「骨粗鬆症の話」~寝たきりにならないために~(庄の原クリニックホームページhttps://www.oitagunshi-ishikai.jp/syonoharu-clinic/lecture/osteoporosis.pdf(令和5年1月23日出力) ・乙73 フォルテオ皮下注キット600μg 承認申請資料「22.7.6 個々の試験のまとめ」、表紙、目次(1~8枚まで)、p.374~377、2010年承認(令和5年9月22日出力) (以上、令和5年9月26日受付の上申書に添付。) 以下、乙号証については、その番号によって、「乙1」などということがある。 第6 テバファーマスーティカル株式会社が提出した文献のうち、当審において引用する文献 ・引用文献1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編、折茂肇 代表「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」(2006年)ライフサイエンス出版株式会社、iii-ix、p.9-12、p.22-83、p.93-102、p.110-113、p.120-141 (当該引用文献1は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第4号証として、平成30年12月11日受付の口頭審理陳述要領書に添付して提出したものである。) ・引用文献2 CLINICAL CALCIUM,Vol.2007,No.1(2007年)p.48-71 (当該引用文献2は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第1号証の2号証として、平成31年2月8日受付の上申書に添付して提出したものである。) ・引用文献3 Medical Science Digest,Vol.30,No.3(2004年)p.23-33 (当該引用文献3は、テバファーマスーティカル株式会社が丁第22号証として、平成31年2月8日受付の上申書に添付して提出したものである。) 第7 甲号証の記載事項 請求人が提出した甲号証には、以下の記載がある。外国語で記載された甲号証については、当審合議体による日本語訳文で摘記する。 なお、文中に挿入されている参照文献番号は、特に必要のない限り省略する。 1 甲3 甲3-ア 「生体内のカルシウム代謝に関しては主として取り込み口として小腸、貯蔵所として骨、排出口として腎の三つの臓器が関与している。カルシウムの恒常性は3種類のカルシウム調節ホルモン、すなわち、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone、PTH)、カルチトニン(calcitonine、CT)、および活性型ビタミンD(一種のステロイドホルモン1,25-dihydroxyvitamineD3-1,25(OH)2D3)が小腸、骨、および、腎臓を標的器官として相互に作用することにより維持されており、血液中のカルシウムレベルは9.5~10.5mg/100mlと恒常的な値に保たれている。」 (200頁左欄9行~22行) 甲3-イ 「図7.PTHの標的細胞における作用機序 その作用はcAMPをセカンドメッセンジャーとして発現される。・・・ [図:0001415604000001.jpg] 」 (206頁図7) 2 甲4 甲4-ア 「酵素調製物。 標準のPurina chowで、通常通りの飼育条件を保った、体重150-200gの雄のSDラットを、断頭で死亡させた。腎臓を素早く切除し、冷やした0.25Mスクロース中に入れ、外側の腎皮質を、可能な限り髄質を少なくするよう取り除き、切り離した。組織(500mg、2つの腎臓の腎皮質を表す)を、4mlの10%v/vジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する、Tris-HCl、0.05M、pH7.4に移し、モーター駆動のテフロン乳棒を用いて、ガラスチューブ中でホモジナイズした。2000×gで10分間ホモジネートを遠心分離することにより微粒子状フラクションを得て、沈殿物を4mlのTris-HCl-DMSO中に再懸濁し、再度遠心分離した。微粒子状酵素調製物をTris-HCl-DMSO中に懸濁して、約15mg/mlのタンパク質濃度とし、少量ずつ分注して液体窒素中で保存した。タンパク質濃度はLowryらの方法により決定した。」 (802頁右欄1行~22行) 甲4-イ 「in vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ。 5μlの容量のペプチド調製物を反応混合物に加え、アデニルシクラーゼ懸濁液を添加することにより、反応を開始した。インキュベーションは、記載してある場合を除き、10分間行った。活性は、タンパク質mg当たり、生成した3’,5’-AMPのμmoleとして、表された;生成した3’,5’-AMPの量は、添加した放射活性のある基質の既知の比活性から計算した。 バイオアッセイは、用量反応曲線の線形部分の中で、3つの濃度の標準調製物と、未知の調製物により行った。各濃度で、4回の測定を行った。結果はGaddumの方法により解析し、全ての比較データは、並行性と線形性の基準を満たす副甲状腺ホルモンを示した。アッセイの傾きは、最小二乗法で計算した。副甲状腺ホルモンのラジオイムノアッセイは、以前報告された方法で行った。」 (803頁左欄28行~同頁右欄18行) 甲4-ウ 「アデニルシクラーゼのアッセイ。 α-標識AT32Pから3’,5’-cyclic AM32P(3’,5’-AMP)の形成は、Krishnaらにより報告されているのと同様のアッセイに、KClとATPの再生系を加えて修正して測定した。反応混合物は以下のものを含む:総容量70μlにおいて示される、Tris-HCl、0.05M、pH7.4;MgCl2、4.5×10-3M;テオフィリン、9×10-3M;ウシ血清アルブミン、0.013%;KCl、3×10-2M;ピルビン酸キナーゼ、0.07mg/ml;ホスホエノールピルビン酸(PEP)、5.4×10-3M;α-32P-ATP、1.1×10-3M(比放射活性 約25cpm/μmole);約400μgの酵素懸濁液;そして、ホルモン、ポリペプチド、またはNaF。」 (802頁右欄23行~803頁左欄1行) 甲4-エ 「インキュベーションは、Dubnoff metabolic shaker中37℃で行い、Tris-HCl、0.05M、pH7.4中に、ATPを4×10-2M、3H-3’,5’-AMPを1.25×10-2M(約3×104cpm)含有するキャリア溶液100μlを加える事により、反応を停止させた。」 (803頁左欄1行~7行) 甲4-オ 「使用したバイオアッセイの標準品は、我々の研究室で調製した、TCAフラクションの1ロットであり、National Institute for Medical Research、Mill Hill、ロンドンのMedical Research Councilに提供し、ロット番号MRC67/342としてパッケージされ、流通している。副甲状腺抽出物USP(リリー)に対するin vivoのバイオアッセイをいくつか行った後、そのロットを265USPU/mgの活性のあるタンパク質と指定した(180USPU/vial)。」 (801頁右欄8行~16行) 甲4-カ 「副甲状腺腺腫から抽出し、TCA沈殿の段階まで精製した、ヒト副甲状腺ホルモンによってもアデニルシクラーゼの活性化が起こった。しかし、反応の傾きはウシのホルモンで得られたものの30%しかなく、効力を特定することは出来なかった。」 (806頁右欄24行~31行) 甲4-キ 「ラット腎臓からのアデニルシクラーゼの安定な調製による、in Vitroの副甲状腺ホルモンのバイオアッセイ」 (801頁論文タイトル) 3 甲7 甲7-ア 「ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)の骨粗鬆症に対する間欠週1回投与の効果:3種類の投与量を用いた無作為化二重盲検前向き試験」 (296頁論文タイトル) 甲7-イ 「要約。 骨粗鬆症治療における骨形成促進剤として見込まれるヒト副甲状腺ホルモンのアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の効果を試験するため、二重盲検方式で無作為に3群に割り付けた71施設の220人の骨粗鬆症患者で50単位(L群)、100単位(M群)又は200単位(H群)のhPTH(1-34)の週1回皮下注射を開始した。二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による腰椎骨密度(BMD)が48週間後にL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%増加し、L群と比べてM及びH群の応答が有意に高かった(p<0.05、マン・ホイットニーのU検定)。腰椎測定値の変動係数は1~2.5%に留まったため、3.6%及び8.1%の増加は有意であると思われた。X線写真測定法(radiogrammetry)によって測定した中手骨BMD及び皮質骨幅は有意に変化しなかった。各群で血清カルシウムが低下し、M及びH群で血清リンが低下した。H群で12週目に、M及びL群で24週目及び48週目に尿カルシウム/クレアチニンが低下した。48週目に各群で血清25(OH)ビタミンD及び1,25(OH)2ビタミンDが低下した(p<0.05)。H及びM群で4週目に血清骨型アルカリホスファターゼが増加し、H群では48週目に低下した。各群で尿ヒドロキシプロリン、ピリジノリン及びデオキシピリジノリンが有意に減少した。各群の30~40%で背部痛が改善された。試験期間中、重篤な有害作用は認められなかった。hPTH(1-34)の間欠週1回注射は骨粗鬆症において腰椎BMDを増加させたことから、骨粗鬆症治療における有用性が示唆される。」 (296頁左欄1行~右欄7行) 甲7-ウ 「緒言 閉経後及び退行期骨粗鬆症の治療は主に、エストロゲン、ビスホスホネート類及びカルシトニン類などの骨吸収抑制剤に頼っている。これらの薬剤の使用によって骨密度(BMD)が増加するため、骨折予防は飛躍的に進歩したことから、骨形成の刺激によって、骨吸収抑制剤の即効性の、時に一時的な効果が補完されることが考えられ、骨吸収抑制剤の骨形成促進作用の持続時間が長くなり、退行期骨粗鬆症、特に低回転型の疾患に対して注目すべき有効な治療となり得ることが期待される。副甲状腺ホルモン(PTH)は、特に間欠投与時に骨形成促進作用を有することが動物及びヒトで示されているが、骨が極めて高用量のPTHに持続的に曝露されることによって、原発性副甲状腺機能亢進症に見られるような線維性骨炎が発生しないか懸念された。100又は200単位のヒトPTHアミノ末端ペプチド1-34(hPTH(1-34))の単回皮下注射による予備試験では、血清リンの低下、血漿サイクリックAMPの上昇並びにカルシウム及びサイクリックAMPの尿中排泄量の増加など、有意な代謝効果が示された。100又は200単位の週1回注射は26週間後に腰椎BMDの有意な増加をもたらしたが、週1回5単位は効果がなかった。 したがって、本試験においては、220人の骨粗鬆症患者で週1回50、100又は200単位のhPTH(1-34)の効果に関する無作為前向き二重盲検多施設試験を実施した。主要エンドポイントは二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)によって評価した腰椎BMDであり、補助変数としてX線写真測定法による中手骨皮質骨BMD及び骨代謝回転の生化学マーカーを用いた。取り組むべき問題は、週1回投与するこれらの用量のhPTH(1-34)(過去に試験されたことのない低用量間欠レジメンに相当する)が骨粗鬆症治療に有効か否かであった。」 (296頁右欄10行~297頁左欄25行) 甲7-エ 「被験者71施設が参加する多施設試験を計画した。この試験は、厚生省の支援下にある委員会が提唱した診断基準で骨粗鬆症と定義された45歳~95歳の220人の被験者で実施した。この方式では、骨粗鬆症を単に非外傷性脊椎骨折が存在する、又は脊椎骨折が2箇所に存在するものとして定義するのでなく、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義するものである。スコアの計が4より高い場合(骨粗鬆症として定義される)を本試験への組入れ基準とした。・・・X線写真上の骨減少は腰椎の側面X線像上での骨梁の粗鬆化、すなわち、(1)横走骨梁の欠損に起因する縦走骨梁の著明化、(2)縦走骨梁の粗化及び(3)縦走骨梁の減少が認められた場合とした。X線写真上の骨減少はBMDの若年成人平均値から20%又は2.5SDの減少に相当する。・・・X線写真上の骨減少度がグレード1~3又はBMDが若年成人の平均値から2.5SD未満の場合はスコア3とした。椎体骨折が1箇所の場合はスコア1、骨折が2箇所以上の場合はスコア2とした。大腿骨頸部骨折がある場合はスコア3とし、遠位橈骨骨折はスコア1とした。骨粗鬆症の診断を裏付ける因子に関して、正常な血清カルシウム、リン及びアルカリホスファターゼの値をスコア1とすることにより、骨軟化症、原発性副甲状腺機能亢進症及び腎性骨ジストロフィーなどの骨減少に係る骨粗鬆症以外の原因を除外し、一方でこれらのうちの1つ以上が異常であった場合にはスコア1を減じた。同様に、被験者が閉経前である場合にはスコア1を減じた。 2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している被験者、過敏症の既往がある被験者及び自覚症状の自己評価の信頼性が疑わしい被験者は除外した。・・・ 他の薬物の効果とhPTH(1-34)の効果を取り違えないように、試験開始3ヵ月前から試験期間を通して、骨代謝及び骨粗鬆症の経過に影響を及ぼす可能性のある薬剤は控えられた。こうした薬剤には、エストロゲン類、カルシトニン類、活性型ビタミンD、ビタミンK2、イプリフラボン、ビスホスホネート類及びアナボリックステロイド類が含まれた。」 (297頁左欄27行~右欄29行) 甲7-オ 「hPTH(1-34)(テリパラチド酢酸塩)の調製及び投与方法旭化成工業によって合成されたhPTH(1-34)の純度及び生物学的効力について、国際標準ウシPTH(1-84)に対するラット腎皮質膜によるサイクリックAMP産生を利用してアッセイしたところ、3300単位/mgが得られた。各バイアルには50、100又は200単位のテリパラチド酢酸塩が含まれ、これは約15、30及び60μgのペプチドに相当した。・・・バイアルの内容物を使用直前に1mlの生理食塩水に溶解し、週1回、48週間にわたって皮下注射した。 ・・・ 週1回100又は200単位のhPTH(1-34)を26週間投与したところ腰椎BMDが上昇した予備試験の結果に基づき、試験期間は48週間に設定した。この期間は、恒常的に骨折の危険性及び不安を抱える骨粗鬆症集団において、脱落率が過度とならずに、定期的に骨測定並びに血液及び尿試料採取を行う適切に管理された多施設試験を実施できる限界とも考えられた。Schwietert et al.がまた、ヒトにおける5μg/kgPTH(1-84)の投与の安全性に関しても報告している。」 (297頁右欄43行~298頁左欄24行) 甲7-カ 「収集されたデータベースラインデータ。 年齢、性別、閉経時年齢、身長、体重、入院又は外来通院状態、一般病歴、hPTH(1-84)抗原性に関する皮内テストの結果、骨粗鬆症の診断スコア、既往歴、骨粗鬆症に対する治療歴及びその合併症、試験期間中に服用する被験薬以外の薬物、一般用カルシウム製品及び乳製品の使用を記録した。 自覚症状。 骨粗鬆症に起因する痛みを安静時自発痛と運動時痛に分類し、治療0、2、4、12、24及び48週間後又は試験終了時に以下のグレード評価スキームによって評価した。安静時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;かなり痛いが耐えられる痛み、及び4;重度の耐えられない痛みとしてグレード分けした。運動時痛は、1;痛みなし、2;中等度の痛み、3;動きを妨げるかなりの痛み、及び4;動くことが不可能な激痛としてグレード分けした。患者は自身の痛みの程度をアナログ尺度で自己評価した。 骨所見。 (a)腰椎BMDの測定。治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時に腰椎(L2-4)の骨塩量、骨面積及びBMDをDXA(QDR(Hologic)、DPX(Lunar)又はXR(Norland)によって前後方向投影で測定した。参加施設数が多いため、十分な品質管理を維持することが困難であった。各施設でBMD測定がルーチン的に行われ、装置に付随する推奨に従い毎日ファントムを測定した結果、変動係数(CV)が1%~2.5%に維持された。 患者の年齢が高いため、圧迫骨折及び結果として起こる変化に加え、脊椎の退行性変化が脊椎BMDの前後方向測定において深刻な問題となった。このため、L2、L3又はL4に骨棘や圧迫変形などの脊椎の退行性変化を有する被験者は全て、薬物効果の根拠となるデータから除外した。このため、脊椎BMD測定における組み入れ前の脱落率が高くなった。 (b)中手骨BMDの測定。 治療0、12、24及び48週間後又は試験終了時にファントムと共に手の前後方向X線写真で非利き手側第2中手骨のX線写真測定法を行った。試験完了後、71施設で撮影された全てのフィルムのコンピュータデジタル画像処理による測定がトーヨー検査センターで実施された。1人の観察者による同じフィルム上の中手骨BMDの10回連続測定(ΣGS/D)に基づくデジタル画像処理方法の精度により0.59のCVが得られ、3人の観察者による同じ手順から1.47のCVが得られた。同じ被験者から4枚の手のフィルムを撮影し、各々について測定を行ったところ、1.72のCVが得られた。 (c)椎体骨折評価。 それぞれL3及びT8に焦点を絞った腰椎及び胸椎の側面X線像で、1人の放射線科医が椎体の圧迫骨折や変形を評価した。前縁高/後縁高比の25%以上の低下及び中央高/後縁高の20%以上の低下を有意な変形と定義した。 生化学パラメータ。 治療前及び治療2、4、12、24及び48週間後又は試験終了時に、日本最大の商業的臨床検査所であるスペシアルレファレンスラボラトリーにより、カルシウム(Ca)、リン(P)、25(OH)ビタミンD(競合タンパク質結合分析による)、1,25(OH)2ビタミンD(ラジオレセプターアッセイによる)、オステオカルシン、中間部PTH(ラジオイムノアッセイによる)、血清中の全及び骨型アルカリホスファターゼ及びアルブミン並びに尿中のCa、P、ヒドロキシプロリン、ピリジノリン、デオキシピリジノリン(HPLCによる)及びクレアチニンが測定された。治療0、12、24、36及び48週間後又は試験終了時に各施設で血球計算(RBC、WBC及び白血球分画、ヘマトクリット、ヘモグロビン及び血小板数)、血清生化学検査(GOT、GPT、A/G、BUN、クレアチニン、総コレステロール、CPK、Na、K、Cl及びグルコース)及び検尿(潜血、タンパク、糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン及びpH)を行った。 有害反応及び有害事象の調査。 試験中の有害事象を記録し、詳細を調査した。有害事象は、その経過、重症度、治療及び結果の総合的判定に基づき、(1)被験薬が原因である、(2)恐らく被験薬が原因である、(3)恐らく被験薬が原因ではない、及び(4)被験薬が原因ではないとしてグレード分けした。有害反応には暫定的に(1)~(3)を含めた。」 (298頁左欄25行~299頁左欄3行) 甲7-キ 「結果 表1は、本試験への参加が認められた被験者の組入れ基準の詳細を要約する。 当初無作為二重盲検割り付けによって本試験に登録した220人の被験者[50単位群(L)に73人、100単位群(M)に75人及び200単位群(H)に72人]のうち、41人は骨粗鬆症の診断基準を満たさず、また、前治療薬のウォッシュアウトが不十分なため、不適格とした。 BMDの正確な測定を妨げる腰椎の退行性変化及び圧迫変形を有する患者、及び指定時間外に測定が行われた患者の除外が、更に64人の患者に上った。したがって腰椎BMDに対する効果の分析は115人の被験者:L群39人、M群38人及びH群38人(表2)で行った。61人の被験者は、副作用、中途での心変わりにより試験を拒絶、合併症の増悪等が理由で本試験を完了することができなかったが、最初の3か月以内に脱落しない限り、これらの被験者も分析群に含めた。 被験者の治療開始時の特徴を各グループで比較したものを表3に示した。3群とも被験者が一様に分布していることを確認した。」 (299頁左欄10行~300頁左欄3行) 甲7-ク 「 [図:0001415604000002.jpg] 」 (299頁表1) 甲7-ケ 「 [図:0001415604000003.jpg] 」 (299頁表2) 甲7-コ 「 [図:0001415604000004.jpg] 」 (300頁表3) 甲7-サ 「自覚症状主に背部痛からなる自覚症状は、L群で52人中21人の被験者(40%)、M群で60人中18人の被験者(30%)及びH群で47人中17人の被験者(36%)が中等度以上の改善を示した。群間に有意な差はなかった(表4)。」 (300頁左欄4行~10行) 甲7-シ 「 [図:0001415604000005.jpg] 」 (300頁表4) 甲7-ス 「骨測定本試験の48週間における腰椎BMDの変化を図1に示す。腰椎BMDは、24及び48週間後に試験開始時のレベルと比較してL、M及びH群でそれぞれ0.6%、3.6%及び8.1%と用量依存的に増加した。この増加は24及び48週目にL群よりもM及びH群で高く、及び48週目にM群よりもH群で大きかった(p<0.05)。応答は、64歳以下及び65歳以上、体重49kg以下及び50kg以上、閉経後10年未満、10~20年及び20年超、椎骨骨折0、1及び2箇所以上の被験者サブ群間で同様であった。第2の中手骨(皮質骨からなる)のX線写真測定法による密度に有意な差は認められなかったことから、各群間で皮質骨及びX線写真上の骨減少の程度が維持されていることが示唆される。椎体骨折数はL群で3、M群で5及びH群で0発生した;各群間の差は有意でなかった。」 (300頁左欄11行~右欄末行) 甲7-セ 「 [図:0001415604000006.jpg] 図1.治療週数に対する腰椎BMD(平均値±SD)のパーセンテージ変化。点線で結んだ白抜きの四角□:50単位PTHを投与した被験者(L群)のデータ、実線で結んだ塗り潰しの丸●:100単位PTHを投与した被験者(M群)のデータ、破線で結んだ白抜きの丸○:200単位PTHを投与した被験者(H群)のデータ aマン-ホイットニーのU検定によりL群の値とp<0.05で有意差あり bM群の値とp<0.05で有意差あり。*マン-ホイットニーのU検定によりp<0.05で有意なベースライン値からの増加。」 (300頁図1) 甲7-ソ 「生化学パラメータ 図2に示されるとおり、血清Caは2週目から低下し始め、4週目以降は基礎値よりも有意に低かった。血清Pもまた2週目から低下した。尿中Caは2週目から低下し、試験期間を通じて基礎レベル未満に留まり、及び尿中Pもまた低下した。血清25(OH)ビタミンD及び1,25(OH)2ビタミンDレベルは、図3に示されるとおり、各群で48週目にベースライン値からやや低下した。図4に示されるとおり、骨型アルカリホスファターゼは4週目にベースラインレベルよりも高く、H群においてのみ24及び48週目に低かった。尿ピリジノリン、デオキシピリジノリン及びヒドロキシプロリン排泄量は、図5に示されるとおり、L及びH群で24及び48週目にベースライン値から減少した。 表5に示されるとおり、各群で本試験の経過中に何らかの異常検査所見が現れたが、いずれも顕著でなく、又は持続性でなく、被験薬が原因因子であることを示すものではなかった。表6は、治療中に起こった有害反応を要約する。29症例で被験者が症状に起因して試験から脱落した。hPTH(1-34)の用量の増加と合致して有害反応の総数が増加したものの、重篤な有害事象は認められなかった。」 (301頁左欄1行~右欄4行) 甲7-タ 「 [図:0001415604000007.jpg] 」(303頁表5) 甲7-チ 「表6 被験者における治療期間中の有害反応 [図:0001415604000008.jpg] a 臨床検査異常を含む。 b 有害反応による脱落症例数。」 (305頁表6) 甲7-ツ 「考察 原発性副甲状腺機能亢進症における過剰量のPTHの持続的な分泌は、骨、特に皮質骨の顕著な欠損によって特徴付けられるが、組織形態測定では皮質骨が比較的良好に保存されていることが示される。PTHはまた、骨芽細胞活性及び骨形成も刺激し、骨に形成促進作用を及ぼし得る。 動物試験ではPTHの骨形成促進作用が高頻度で確認されており、骨の物理的特性の改善が報告されている。1つのN末端アミノ酸を取り除くと効果がほぼ消失したため、かかる骨形成促進作用はPTHの失われていないN末端部分に依存するものと思われる。 海綿骨の増加が一貫して報告された一方、皮質骨は反応が低かった。間欠投与はPTHの骨形成促進作用を生じさせるのに一層有効であるように思われた。これまで骨粗鬆症の治療には主にエストロゲン、カルシトニン及びビスホスホネートなどの骨吸収抑制剤が利用されており、骨吸収を刺激する骨形成促進剤は、特に低代謝回転型の骨粗鬆症において有用となり得る。フッ化物は、BMDの驚くべき増加を誘導するその作用にも関わらず、問題がないわけではない:フッ化物は骨折発生率を低下させることはできず、かつ骨疼痛などの副作用を生じる。PTHは依然として骨形成促進剤の良好な候補である。ヒトにおいては、PTHもまた、高用量で用いる場合にBMDを増加させるが、ヒトにおいて好ましい効果を生じる間欠投与方法は依然として未解決の問題である。Reeveらは、12人の骨粗鬆症患者で間欠用量のhPTH(1-34)(7日間投与及び21日間休薬を16サイクル繰り返す)を用いて多施設試験を行い、様々な実施施設で全身Caの僅かな増加が観察されたが、BMDの増加は有意でなかったと報告している。1日1回投与(これは持続注入と比べてなおも間欠的であり得る)は、より好ましい結果をもたらした。Reeveらは21人の患者に6~24ヵ月にわたって約250単位のhPTH(1-34)を1日1回投与して、重篤な有害作用のない、血清アルカリホスファターゼの15%上昇を伴う顕著な骨の付着成長を実証した。Lindsayらは3年間の無作為化対照試験を実施し、ホルモン補充療法を受けている17人の閉経後女性に1日1回の皮下注射によって25μghPTH(1-34)を投与し、その結果を対照群であるホルモン補充療法単独を行った17人の閉経後女性と比較した。PTHの投与を受けた群では椎骨BMDが13.0%増加したが、対照群では有意な増加は示されなかった。他の試験では、PTHはエストロゲンとの併用が有効であった。 また、ビタミンD誘導体との併用によってPTHの効果を増強することも試みられた。400~500単位のhPTH(1-34)を0.25μgの1,25(OH)2ビタミンD3と併せて投与したとき、骨梁の増加が認められた。カルシトニンとの併用もまた用いられた。Heschらは720~750単位のhPTH(1-37)を8週間にわたって毎日、2~4日目、6~8日目及び8~10日目の間に1日1回の鼻腔内カルシトニン投与を4サイクル繰り返した。Hodsmanらもまた、1ヵ月間にわたる1日1回の800単位のPTH投与の後に2ヵ月間休止する反復サイクルによる治療の結果として、2年で腰椎BMDの8~10%の増加を達成した。 単位量当たりのhPTH(1-34)の生物学的活性は試験間で異なるように見える。例えば、Lindsayらの試験では、400単位(25μg)のhPTH(1-34)が用いられた。用いられた製剤が異なるため、hPTH(1-34)の用量に関して本試験の結果を他と比較することは難しいが、本試験における間欠週1回投与は明らかに、多くの先行試験と比べてhPTH(1-34)の総用量を抑えることができる。中手骨骨密度(ほとんどが皮質骨からなる)を減少させることなく腰椎BMD(主に海綿骨からなる)を48週間という比較的短期間で有意に用量依存的に増加させたことにより、hPTH(1-34)による骨粗鬆症治療はきわめて将来有望であると思われる。」 (301頁右欄5行~303右欄23行) 甲7-テ 「 [図:0001415604000009.jpg] 図2.治療週に対する血清中のCa(左)とP(右)の値(平均値±SD)。白抜きの四角、□:50単位のPTHを投与した被験者(L群)の値、黒塗りの丸、●:100単位のPTHを投与した被験者(M群)の値、白抜きの丸、○:200単位のPTHを投与した被験者(H群)の値。 *マン・ホイットニーのU検定による危険率p<0.05で基準値に対して有意差あり。」 (301頁図2) 甲8-イ 「骨粗鬆症の骨病変は通常胸椎および腰椎に認められるので、退行期骨粗鬆症の診断にさいしてまず必要なことは、胸椎および腰椎の側面X線写真撮影を行うことである。ついでこの胸椎および腰椎の側面X線写真を用いて骨密度の減少あるいは圧迫骨折の有無をチェックする。・・・胸椎・腰椎の骨密度の減少を判定する方法としては慈恵大の方式が一般に用いられている。 骨粗鬆症ではまず椎体の密度が減少するために椎体のX線透過度が増大し、ついで縦の骨梁がめだつようになり、さらに進行すると上下面が陥没し・・・ついには椎体が崩れて圧迫骨折の像を呈するに至る。慈恵大方式では、このような骨X線像を基にして骨粗鬆症の程度をI~III度に分類している。・・・最近、厚生省骨粗鬆症研究班では、これをより簡略化したものとして表2に示すような骨萎縮度の基準を提唱しており、今後はこの方法が広く用いられることが期待される。」 (288頁右欄7行~289頁左欄17行) 甲8-ウ 「表2骨萎縮度の基準 [図:0001415604000010.jpg] 」 (289頁) 甲8-エ 「1988年度から、厚生省シルバーサイエンスプロジェクトとして「老人性骨粗鬆症の予防および治療法に関する総合的研究班」(班長:折茂肇)が結成されたが、この研究班ではこのような立場から本症において認められる自・他覚所見をスコア化し、そのスコアに応じて、○1(合議体注:丸数字の1を表す。以下、同様に、○に続けてアラビア数字を記載されているのは、丸数字を表す。)確実、○2ほぼ確実、○3疑いあり、○4否定的、の4つに分類する診断基準を提唱している(表3)」 (290頁左欄20行~26行) 甲8-オ 「 [図:0001415604000011.jpg] 」 (289頁表3) 5 甲9 甲9-ア 「表1 原発性骨粗鬆症の診断基準(1996年度改訂版) [図:0001415604000012.jpg] 」 (77頁表1) 甲9-イ 「 [図:0001415604000013.jpg] 」 (78頁表3) 6 甲10 甲10-ア 「骨粗鬆症と軽度または中等度の腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド」 (59頁論文タイトル) 甲10-イ 「要旨序論 骨粗鬆症と腎障害の両方は加齢に伴い罹患率が増加する。 方法 骨折予防試験(Fracture Prevention Trial)のデータを用いて、骨粗鬆症と腎障害を有する閉経後女性におけるテリパラチド[rhPTH(1-34)]の安全性と有効性を調査した。患者は血清クレアチニン濃度が2.0mg/dl以下で、血清中副甲状腺ホルモン(PTH)濃度が正常である必要があり、プラセボまたはテリパラチド20または40mcg/日の皮下投与を受ける群に無作為に割り付けられた。糸球体濾過率(GFR)はCockcroft-Gault式を用いて推定した。患者はベースライン評価により、骨密度(BMD)とI型プロコラーゲンのアミノ末端伸長ペプチド(PINP)の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、または中等度障害(GFR30-49ml/分)の腎機能の定義を用い、骨折の解析においては、正常(GFR≧80ml/分)または障害あり(GFR<80ml/分)の腎機能の定義を用いた。 結果と考察 腎機能が正常な患者と比較して、腎障害を有する患者は、高齢で、より身長が低く、体重が軽く、閉経後の期間が長く、また、ベースラインの腰椎及び大腿骨頚部のBMDがより低かった。プラセボと比較して、テリパラチドは、PINPと腰椎及び大腿骨頚部のBMDを各腎機能サブグループにおいて有意に増加させ、腎機能不全によりこれらの増加が変わるというエビデンスは示されなかった(各サブグループによる治療の交互作用p>0.05)。同様に、正常または障害の腎機能を有する患者間で、テリパラチドの介入があった椎体及び非椎体骨折のリスク低下は同等であり、有意な差はなかった。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループの治療の割り当てを通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05)。プラセボに対して、テリパラチド20または40mcgを投与されたすべての腎機能カテゴリーの患者は、投与後4-6時間の血清カルシウムが10.6mg/dl(正常値の上限)を超える発生率は増加した;しかし、テリパラチド20mcg/日はいずれの腎機能カテゴリーにおいても、投与後4-6時間の血清カルシウムが11mg/dlを超える発生率を有意に増加させることはなかった。 テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中等度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。しかしながら、有害事象のデータからは、テリパラチドを投与された、正常、軽度、中等度の腎障害の患者において、痛風又は関節痛、あるいは腎石症イベントの発生率の増加を示唆されなかった。」 (59頁左欄1行~右欄下から3行) 甲10-ウ 「緒言 骨粗鬆症は低骨量、減少した骨強度、そして骨の脆弱性の慢性疾患である。米国だけでおよそ一千万人が罹患している。骨粗鬆症と、腎障害は両方とも、罹患率が加齢とともに増加する。大規模の疫学調査においては、骨粗鬆症の女性の85%が軽度から中等度の腎障害を有する。したがって、腎障害のある患者における骨粗鬆症治療薬の安全性と有効性に関する情報が必要とされている。 テリパラチドは閉経後骨粗鬆症女性において、腰椎と大腿骨頸部の骨密度(BMD)を増加させ、椎体および非椎体骨折のリスクを低下させる。骨粗鬆症女性において腎障害が通常の共存症であることを前提として、今回の解析は、加齢による軽度[糸球体濾過率(GFR)50-79ml/min]または中等度(GFR30-49ml/min)の腎障害のある女性における、テリパラチドに対する有害事象の発生、BMDと骨折低下反応を調査した。」 (60頁左欄1行~20行) 甲10-エ 「方法試験参加者骨折予防試験(Fracture Prevention Trial)の方法と結果は既に発表されている。概略、この二重盲検試験では、42歳から82歳の年齢で、1637名の歩行可能な閉経後女性が、連日のカルシウム(1000mg)とビタミンD(400-1200IU)の補充とともに、プラセボ(n=544)、テリパラチド20mcg/日(n=541)、または、テリパラチド40mcg/日(n=552)を連日皮下注射で自己投与を受けるよう無作為に割り付けられた。試験への組み入れは、ベースラインにおいて、血清クレアチニンが2mg/dl以下であり、他の検査値が正常か異常でも臨床的に有意ではないことが必要であり、特定の要件としては、血清カルシウム、血清内因性副甲状腺ホルモン(PTH)、及び尿中カルシウムが正常範囲内であること、そして、血清25-ヒドロキシビタミンDが正常下限値から正常上限値の3倍までの間にあることが必要であった。現在または最近(無作為割付前一年以内)、骨代謝に影響を及ぼす疾患、例えば、副甲状腺機能亢進症や甲状腺機能亢進症のようなものの既往がある患者は除外された。副甲状腺ホルモン亢進症であることの診断は研究者の裁量でなされ、一方、甲状腺機能が正常であることは甲状腺刺激ホルモンの通常のスクリーニングによって、あるいは、研究者の意見における臨床検査値と試験内科医によって甲状腺機能が正常であることが十分確認されていることを組み合わせて、診断された。テリパラチドへの曝露期間の中央値は19ヶ月であり、観察期間の中央値は21ヶ月間であった。」 (60頁左欄21行~同欄末行) 甲10-オ 「血清中のクレアチニン、投与後4-6時間後のカルシウム、及び、尿酸 血清サンプルは、ベースラインと、1ヶ月目(n=1、492)、3ヶ月目(n=1、498)、6ヶ月目(n=1、501)、12ヶ月目(n=1、397)、18ヶ月目(n=1、161)において、投与後およそ4-6時間後に採集した。スクリーニング時点で2.0mg/dlを超える血清クレアチニン濃度は除外基準とした。被験薬の最終投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dl(2.65mmlo/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、いずれかの訪問時において、11.0mg/dl(2.75mmol/l)を超える場合は、報告された。血清尿酸濃度が、いずれかの訪問時において、8.3mg/dl(0.50mmol/l、正常値の上限)を超える場合、同様に、9.0mg/dl(0.54mmol/l)を超える場合は、いずれの訪問時においても報告された。 [図:0001415604000014.jpg] 糸球体濾過率 GFRはCockcroft-Gault式を用いて推定した:腎機能は、正常(GFR≧80ml/分)、軽度障害(GFR50-79ml/分)、中等度障害(GFR30-49ml/分)、または重度障害(GFR<30ml/分)と分類した。」 (61頁左欄27行~右欄2行) 甲10-カ 「統計解析(中略) 各治療群における、ベースラインの腎機能状態が骨折リスクに及ぼす影響についても、モデルにおけるサブグループ(正常対腎機能障害)とロジスティック回帰を用いて評価した。イベントの数は限られていたため、骨折の解析においては、腎機能を正常(GFR80ml/分)または障害あり(GFR<80ml/分)として定義した。重度腎機能障害(GFR<30ml/分)の女性は、この解析には含まれていない。すべての試験集団において、骨折リスクの低下は2つの投与量で同等だったため、テリパラチド投与群のデータを合わせた。投与後4-6時間後の血清カルシウム濃度(>10.6mg/dl又は>11.0mg/dl)と、血清尿酸濃度(>0.50mmol/l又は>0.54mmol/l)の発生率のための、各腎機能サブグループにおける治療群の比較においては、フィシャーの正確確率検定を実施した。」 (61頁右欄3行~44行) 甲10-キ 「有害事象の発生正常、軽度または中等度の腎機能障害患者における、治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は表3に示されている。治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生は、正常、軽度障害、中等度障害のベースラインの腎機能障害カテゴリーにおける治療群を通して一貫していた。テリパラチドによる平均GFRにおける変化は、ベースラインの腎機能によって影響を受けなかった(正常、軽度障害、中等度障害の腎機能サブグループにおいて、腎機能による治療の交互作用p>0.05;表4)。 被験薬による治療の間、高カルシウム血症(投与後4-6時間)又は高尿酸血症が少なくとも1回発生した率へ及ぼす腎機能障害の影響は、表5に示されている。正常範囲(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ10.6と8.3mg/dl)を超える上昇と、少し高いレベルより大きい上昇(血清中のカルシウムと尿酸、それぞれ11.0と9mg/dl)のデータが示されている。テリパラチド20mcg/日を投与された患者では、すべての腎機能サブグループにおいて、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生が、プラセボに対して有意に増加した。テリパラチド投与患者では、正常腎機能患者に対して、中等度の腎障害患者において、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超えるが11mg/dlは超えない状態の発生率が、有意に大きかった。投与後4-6時間後の血清カルシウムが11mg/dlを超える状態の発生率が有意でなかったのは、中等度の腎障害患者の数が少なかったせいかもしれない。テリパラチド40mcg/日を投与された患者では、投与後4-6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dlを超える上昇と、同様に11mg/dlを超える上昇が比較的より頻発しており、この高カルシウム血症の発生の増加は正常、軽度、および中等度の腎障害患者において、同等であった。 ・・・臨床的に有意な高カルシウム血症と高尿酸血症を評価するため、痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率を、各ベースラインの腎機能カテゴリー内の治療群間で比較した。痛風又は関節痛、あるいは腎石症の発生率において有意な腎機能群間の差はなかった(表6)。」 (64頁右欄6行~65頁右欄16行) 甲10-ク 「表3 治療により発現した腎臓関連の有害事象の発生率と相対リスクに及ぼす腎機能障害の影響 [図:0001415604000015.jpg] Renal function subgroup:腎機能サブグループPlacebo:プラセボ TPTD20:テリパラチド20μg/日 TPTD40:テリパラチド40μg/日 Normal:腎機能正常者 AE:有害事象 Renal-relatedAE:腎臓関連の有害事象 Mild impairment:腎機能軽度障害 Moderate impairment:腎機能中等度障害 Defined as the number of women having one or more AEs:1以上の有害事象が発生した女性数 RR compared with placebo:相対リスクはプラセボとの対比」 (65頁表3) 甲10-ケ 「 [図:0001415604000016.jpg] 」(66頁表5) 甲10-コ 「 [図:0001415604000017.jpg] 」 (66頁表6) 甲10-サ 「結論として、軽度または中等度の腎障害があり内因性PTH濃度が正常である、テリパラチド投与患者において、有害事象の増加は観察されず、BMDと骨折減少の反応は顕著で同等のものであることが観察された。ベースラインの腎機能に関わらず、テリパラチド投与患者は、正常範囲の10.6mg/dlを超える投与後4-6時間後の血清カルシウムの発生率が増加したが、上昇した投与後4-6時間後の血清カルシウム測定値は、テリパラチド20mcg/日投与群において11mg/dl未満であることが一般的であった。テリパラチド治療は、尿酸値上昇の発生率の増加と関連があり、中等度腎障害患者、テリパラチド40mcg/日を投与された患者において最も発生率が高かった。いずれの腎機能において、また被験薬群においても、痛風、関節痛、または腎石症のリスクを上昇するエビデンスはなかった。重度腎障害患者、急性または慢性の透析を受けている患者、腎移植を受けている患者、腎不全で内因性PTHが上昇している患者におけるテリパラチドの安全性と有効性に関するデータは、示されていない。」 (67頁右欄下から15行~68頁左欄6行) 甲10-シ 「 [図:0001415604000018.jpg] 」 (63頁図1左) 7 甲14 甲14-ア 「薬物の薬理効果および有害反応の発現強度は、体内の薬物量によって決定される。実際には、薬物は循環血液により組織中の作用部位に運ばれて作用および毒性を発現するが、一般的に血液中の薬物濃度は組織中の濃度と平衡関係にあるため、血中濃度が薬物治療の客観的な指標として用いられている。しかし、生体に投与された薬物は消化管などの投与部位から吸収された後、組織中へ分布され、また、肝臓での代謝、腎臓からの排泄により消失することから血中の薬物濃度は経時的に変化する。この体内薬物量、すなわち血中濃度の時間的推移(体内動態)を速度論的(薬物速度論的)に解析する学問分野が薬物動態学である。一方、体内に入った薬物が生体にどのような影響(薬理効果、有害作用)を及ぼすかを解析する学問を薬力学という。しかし、薬理効果や有害作用の強度は、生体内、すなわち作用部位での薬物量(濃度)によって変動することから、薬物の体内動態はその薬物の薬理効果を決定付ける最も重要な因子である。」 (47頁左欄下から7行~右欄10行) 8 甲15の1 甲15の1-ア 「本薬のラットにおける消失半減期が11~24分(10~1000μg/kg単回皮下投与時)と短く、吸収された本薬は急速にアミノ酸に分解された後にタンパク質生合成に利用されると考えられることから、本薬の正確な分布状態、代謝物、物質収支に関する有益な情報は得られないと考え、検討は行わなかった(「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」(平成12年2月22日付医薬審第326号)」(25頁5行~9行) 甲15の1-イ「3)特別な患者集団における薬物動態及び薬力学1○腎機能障害を有する被験者における薬物動態及び薬力学の検討(・・・GHAW試験・・・) 外国人男女を対象に、本剤投与による血清中カルシウム濃度及び尿中カルシウム濃度の変化に対する慢性腎障害の影響を検討することを主目的として、無作為化単盲検クロスオーバー試験が実施された。 用法・用量は、・・・本剤40μgを単回皮下投与及びプラセボ又はフロセミド(CCR≧90mL/min:20mg、55~75mL/min:40mg、31~54mL/min:60mg、10~30mL/min:100mg)を単回静脈内投与とされた。 治験薬が投与された26例(健康被験者9例、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者12例、重度腎機能障害を有する被験者5例)全例が薬物動態、薬力学及び安全性解析対象とされた。 薬物動態について、本剤+プラセボ投与では、本剤のCmax(平均値(変動係数);健康被験者、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者、重度腎機能障害を有する被験者の順、以下同様)は241.8(38.0%)、219.9(40.5%)及び249.2(25.1%)pg/mL、AUC0-tは358.7(50.5%)、316.7(49.2%)及び719.9(87.8%)pg・hr/mL、t1/2は60.7(37.1%)、61.6(58.0%)及び87.4(49.0%)分、本剤+フロセミド投与では、本剤のCmaxは203.8(37.0%)、237.6(59.5%)及び206.2(33.0%)pg/mL、AUC0-tは284.7(35.8%)、337.2(67.4%)及び391.6(46.3%)pg・hr/mL、t1/2は75.7(41.5%)、79.4(91.4%)及び155.0(54.4%)分であった。 薬力学について、腎機能障害を有する被験者では健康被験者と比較して、血清中カルシウムイオン濃度、尿中カルシウム排泄速度及び血清中1,25-(OH)2ビタミンD濃度は低下し、血清中総カルシウム濃度は同程度であった。本剤+フロセミド投与では本剤+プラセボ投与と比較して、血清中総カルシウム濃度及び尿中カルシウム排泄速度は上昇し、血清中カルシウムイオン濃度は同程度であった。 安全性について、有害事象は健康被験者6例、軽度~中等度腎機能障害を有する被験者3例、重度腎機能障害を有する被験者1例に認められた。死亡、その他の重篤な有害事象及び試験中止に至った有害事象は認められなかった。」 (42頁4行~29行) 甲15の1-ウ 「(2)腎機能障害患者への投与について 機構は、腎機能障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときの曝露量及び安全性について説明を求めた。申請者は、以下のように回答した。GHAW試験において、軽度又は中等度の腎機能障害を有する外国人被験者の曝露量は、腎機能が正常な外国人被験者と同程度であったことから、軽度又は中等度の腎障害を有する日本人患者においても、腎機能が正常な日本人患者と曝露量及び安全性に大きな違いはないと考える。一方、重度の腎機能障害を有する外国人被験者のAUC0-tは、腎機能が正常な外国人被験者の約1.73倍であったこと、腎機能が正常な日本人及び外国人被験者の本剤20μg投与時のAUC0-tの幾何平均比(日本人/外国人)が約1.69であったこと(GHCO試験)から、重度の腎障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときのAUC0-tは、腎機能が正常な日本人患者に約35μg投与時又は腎機能が正常な外国人患者に約58μg投与時のAUC0-tに相当すると考えられる。GHCS試験において、日本人患者に本剤10~40μgを6か月まで反復投与したとき、試験を中止した患者の割合及び因果関係を否定できない有害事象の発現頻度は40μg群において高かったものの、忍容性は概ね良好であり、有害事象の重症度も概ね軽度又は中等度であった。GHCO試験において、本剤40μg及び60μg投与時には低用量投与時に比べて有害事象の発現件数が多かったものの、重症度はすべて軽度及び中等度であったこと、また、本剤投与後の血清カルシウム濃度の上昇は最大でもプラセボ投与時より5%の上昇であり、臨床的に問題とならないと考えられた。以上より、重度の腎機能障害を有する日本人患者に本剤20μgを投与したときの本薬血清中濃度は、安全性及び忍容性が確認された本薬血清中濃度の範囲内であると考えられるが、GHAW試験において腎機能障害により本薬の消失に遅延が認められているため、添付文書において、腎機能障害を有する患者には慎重に投与する必要がある旨を記載することとしている。 機構は、腎は本薬の消失に関与する主な臓器であり、本薬の消失の遅延により本剤投与後の血清カルシウムの上昇が持続し、腎機能がさらに低下する可能性も完全には否定できないこと等、薬物動態及び薬力学的観点から、腎機能障害を有する患者には慎重に投与する必要があると考える(「4.臨床に関する資料(iii)有効性及び安全性試験成績の概要<審査の概略>(7)特別な患者集団について1)腎機能障害患者」の項を参照)。」 (46頁3行~28行) 甲15の1-エ 「iv)肝機能、腎機能、心機能の影響・・・PTH(1-34)の分解には、肝細胞や他の組織中のタンパク分解酵素のほか、クッパー細胞やその他のマクロファージ等いくつもの因子が関わっていると思われる・・・。また、PTH(1-34)は腎、肝、肺等で分解されることが報告されている・・・。したがって、本剤は生体内の様々な組織において様々な因子により分解されると考えられることから、肝機能障害により本剤の薬物動態に大きな影響は生じないと考え、肝機能障害の有無が本剤の薬物動態に及ぼす影響については検討しなかった。・・・腎機能が正常な被験者と軽度及び中等度の腎機能障害を有する被験者におけるCmax及びAUCは同程度であった。一方、重度の腎機能障害を有する被験者においては、腎機能が正常な被験者と比較しAUCが73%増加した。」 (74頁5行~17行) 甲15の1-オ 「(1)臨床薬物動態及び臨床薬力学試験1)健康成人における薬物動態及び薬力学1○第I相単回投与試験(・・・GHCO試験・・・) 健康高齢日本人女性及び外国人女性を対象に、本剤単回皮下投与時の日本人女性における安全性及び忍容性を検討することを主目的として、無作為化プラセボ対照単盲検用量漸増試験が実施された。 用法・用量は、各被験者に1週間の間隔でプラセボ、本剤10μg(日本人のみ)、20μg及び60μgを単回並びに40μgを2回皮下投与とされた。また、初回投与2週間前から最終投与終了までカルシウム(1000mg/日)及びビタミンD(400IU/日)が1日2回経口投与された。治験薬が投与された33例全例(日本人18例、外国人15例)が薬物動態及び安全性解析対象とされた。 本剤皮下投与時の薬物動態パラメータは、表3のとおりであった。日本人及び外国人のいずれにおいてもCmaxは用量に比例して上昇し、AUC0-tは用量比以上に上昇した。20μg皮下投与時のCmax及びAUC0-tの幾何平均比(日本人/外国人)とその90%信頼区間は、1.37[1.10、1.71]及び1.69[1.28、2.22]であり、体重補正すると1.04[0.85、1.27]及び1.28[0.99、1.65]であった。 [図:0001415604000019.jpg] 安全性について、本剤との因果関係が否定できない有害事象は、日本人で本剤皮下投与時(10、20、40(1回目)、40(2回目)、60μgの順)に3例3件、3例3件、10例10件、7例9件及び13例13件、外国人で本剤皮下投与時(20、40(1回目)、40(2回目)、60μgの順)に8例9件、18例20件、11例11件及び20例21件認められ、用量の増加に伴い発現頻度が上昇傾向を示した。最も高頻度に発現した事象は頭痛であった。起立性低血圧が日本人2例に4件、外国人2例に2件発現した。日本人及び外国人のいずれにおいても、本剤皮下投与後ではプラセボ投与後と比較して仰臥位及び立位脈拍数並びに血清中総カルシウム濃度が上昇し、血清中リン濃度が低下した。死亡、その他の重篤な有害事象及び有害事象による中止例は認められなかった。」 (37頁下から6行~38頁下から9行) 甲15の1-カ 「副甲状腺ホルモン(以下、「PTH」)は、骨及び腎臓におけるカルシウム及びリン酸代謝の主な調節因子であり、1日1回投与により骨形成促進作用を発揮することが知られている。フォルテオ注カート600μg及びフォルテオ注キット600μg(以下、「本剤」)の有効成分であるテリパラチド(遺伝子組換え)は、ヒトPTH(以下、「hPTH」)の1~34番目のアミノ酸に相当する遺伝子組換えペプチド(以下、「rhPTH(1-34)」又は「本薬」)でありイーライリリー・アンド・カンパニーにより開発された薬剤である。」(3頁下から9行~下から4行) 甲15の1-キ「GHAC試験では、表50に示したように、CCRが30mL/min未満の本剤20μg及び40μg群の各1例でCCRの低下(それぞれ-0.7mL/min及び-0.2mL/min)を認めたものの、CCRが30mL/min以上50mL/min未満及び50mL/min以上80mL/min未満では本剤群もプラセボ群もCCRの低下は認められず、またCCRが80mL/min以上の群に関しても本剤群ではCCRの低下はなく、むしろプラセボ群でCCRが低下していた(-3.0±16.8mL/min)。特にCCRが30mL/min以上50mL/min未満の群に関しては、GHDB試験で示されたようなCCRの低下量及びプラセボ群との低下量の差は認められなかった。 [図:0001415604000020.jpg] GHAJ試験では、表50に示したように、CCRが30mL/min未満の本本剤20μg群の1例で-4.1mL/minとCCRの低下を認めたが、CCRが30mL/min以上50mL/min未満及び50mL/min以上80mL/min未満では本剤群及びプラセボ群でCCRの低下は認められず、GHAC試験と同様、CCRが80mL/min以上ではプラセボ群の方がCCRは低下した(-0.5±9.7mL/min)。なお、CCRが30mL/min以上50mL/min未満の群に関しては、例数が少なかった。国内GHDB試験の結果ではCCRの低下が示され、その要因の1つとして加齢の可能性が推測されたが、GHAC試験及びGHAJ試験ではCCRの低下は示されなかった。これらの試験結果から、少なくともCCRの変化と本剤投与との間に明確な関連性は認められず、本剤投与により腎機能が悪化することはないと考えられる。ただし、重度の腎機能障害を有する患者では、本剤の消失遅延が認められたことから、本剤を重度の腎機能障害を有する患者に投与する場合は慎重に投与すべきと考え、添付文書において注意喚起を行う予定である。」 [図:0001415604000021.jpg] 」 (98頁1行~下から6行) 9 甲16 甲16-ア 「腎不全―11人の軽度または中等度の腎不全患者[クレアチニンクリアランス(CrCl)30~72mL/min]にテリパラチドを単回投与した場合の薬物動態の差は認められなかった。5名の重度の腎不全患者(CrCl<30mL/min)において、テリパラチドのAUCおよびT1/2はそれぞれ73%および77%増加した。テリパラチドの最大血清濃度は増加しなかった。透析中の慢性腎不全患者では試験が行われていない(使用上の注意を参照)。」 (2頁下から3行~3頁3行) 10 甲17の1 甲17の1-ア 「腎臓 健康な被験者と軽度から重度の腎不全患者を対象とした多施設、一重盲検、無作為化、クロスオーバー第1相試験であるLC-GHAW試験では慢性腎機能障害がテリパラチドに及ぼす影響が評価された。試験デザインとして2つの治療群に分けた:治療群A:テリパラチドを40μg皮下投与+プラセボ、合計25人(男性14人、女性11人)と治療群B:テリパラチドを40μg皮下投与+フロセミド20-100mg静脈内投与、合計26人(男性15人、女性11人)。A群B群それぞれの治療群の下に3つの異なるグループがある:グループ1:慢性腎不全患者(CRI)群(CrCl≧90mL/min)の性別と年齢に大体一致する健康な被験者:試験グループ2:症状が安定した軽度から中等度のCRI患者(31-75mL/minのCrCl):試験グループ3:症状が安定した重度のCRI患者(CrCl<30mL/min)。 軽度から中等度腎不全患者(31-75mL/minのCrCl、N=10)と健康な被験者(N=8)には、どの薬物動態パラメータにおいても有意な差はなかった。重度の腎不全患者と健康な被験者のCmax、AUC0-t、T1/2に統計学的に有意な違いはなかったが、T1/2、AUC0-tはそれぞれ77%と73%増加した。・・・ AUC0-tとクレアチニンクリアランスに相関関係がある。次の図に記載したようにクレアチニンクリアランスが減少すると、AUC0-tが増加する(p=0.027、白丸=治療群A、黒丸=治療群B)。しかしながら、治験依頼者は腎不全患者のために特別な投薬量を検討する必要はないと結論づけた。」 (11頁本文11行~12頁4行) 11 甲18 甲18-ア 「薬物の一般名と提案された商品名:フォルテオTM[テリパラチド注射用(rDNA由来)、遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモン(1-34)、LY333334・・・要約:治験依頼者は閉経後骨粗鬆症と男性骨粗鬆症の治療に用いる骨特異的同化剤としてテリパラチド[遺伝子組換えヒトPTH(1-34)、LY333334]を開発した。」 (3頁18行~32行) 甲18-イ 「治験依頼者は40μgのペプチド(フロセミドの併用の有無)を軽度から重度の腎不全患者に単回投与後の分布を評価することでLY333334の薬物動態に対する腎不全の影響も調べた。これらの患者で観察された薬物動態パラメータは健常被験者に同じ量のLY333334を投与した薬物動態パラメータと比較された。治験依頼者は軽度から中等度の腎不全患者と通常被験者の間にあらゆる薬物動態パラメータに有意な差がないという知見を得た。Cmax、AUC0-3、AUC0-tは健康人とクレアチニンクリアランス≦30mL/minの患者(重度の腎不全)に違いはなかった。しかしながら、重度の腎不全患者は、AUC0-∞において健康被験者に対して統計学的に有意な増加(約89%高い、P<0.02)を示した。数名の患者は時間曲線の最終部分でLY333334の濃度を持続していたため、治験依頼者は対数変換を使ってこのパラメータ(AUC0-∞)を再度分析した。これにより分散の不均一性が生じた。対数変換データの再分析によって通常被験者と重度の腎不全患者のあらゆる薬物動態パラメータに統計学的に有意な違いはないことが明らかになった。」 (33頁下から7行~最終行) 甲18-ウ 「慢性腎不全 治験依頼者は腎機能が正常な被験者とCLCrが72から13ml/min(軽度から重度の腎不全患者)の患者に40μgを単回投与したときの血清ならびに尿中カルシウム反応を調べた。いずれの群もLY333334に対する有意な血清カルシウム反応がなく、高カルシウム血症も見られなかった。LY333334によるイオン化カルシウム反応は腎不全患者において有意に少なかった。腎のカルシウム排泄は増加しなかった。本試験の結果は腎不全患者においてLY333334の40μg投与が高カルシウム血症や高カルシウム尿症を発生するリスクを上昇させないことを示唆する。LY333334の長期間の有効性は重度の腎不全患者では試験されていないが、軽度から中等度の腎不全患者は第3相試験に含まれている。」 (41頁下から8行~42頁5行) 12 甲44 甲44-ア 「NOTE:GFRマーカー物質 腎から尿中に排泄されやすい物質であれば、腎動脈から血液を糸球体で濾過して原尿を作り出す能力をクリアランス試験によって定量的に評価できる。そのためGFRを評価するマーカーとして、○1血漿蛋白と結合せず、○2糸球体基底膜を自由に通過し、○3尿細管で再吸収、分泌を受けず合成や分解もされない物質(イヌリン)が利用される。全身クリアランスが腎クリアランスに相当する物質で、さらに臨床的有用性・簡便さから、○4一定速度で常に産生される内因性物質で、○5測定が簡単な物質が望ましいため、臨床ではクレアチニンが用いられる。」(審決注:○の後ろにアラビア数字は、丸囲いの数字を表す。) (44頁) 甲44-イ 「Q-4 では、腎機能の低下によってどのように薬物の投与設計を行えばよいのでしょうか? A 腎不全では、水溶性薬物や水溶性の代謝物が蓄積しますので、腎機能に応じた適切な減量が必要になります。一般的に、薬物の腎クリアランスの変化はクレアチニンクリアランスCLCrの変化に比例することが認められています。このことは前述のように糸球体濾過値GFRが糸球体だけでなく腎臓全体の機能を表すことを意味しています。このことを利用したGlusti and Hayton法によって(1)消失半減期t2/1の延長の程度(あるいは消失速度定数Kelの低下の程度)によって投与間隔を設定することができます。あるいは(2)当該薬物の腎排泄の寄与率(薬物の尿中未変化体排泄率、あるいは総クリアランスにおける腎クリアランスの割合)と患者の腎機能(CLCr)から腎障害の程度に応じた至適投与量、あるいは至適投与間隔の設定をすることができます。」 (68頁) 13 甲60 甲60-ア 「NIHコンセンサス会議では、骨粗鬆症の定義を「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患・・・」に修正した。さらに、「骨強度」は骨密度と骨質の二つの要因からなり、BMDは骨強度のほぼ70%を説明するとした。残りの30%の説明要因を“骨質”という用語に集約し、その内容には、構造、骨代謝回転、微細損傷の集積、骨組織のミネラル化などをあげた。」 (2頁右欄27行~36行) 第8 乙号証の記載事項 被請求人が提出した乙号証には以下の記載がある。外国語で記載された乙号証については、当審合議体による日本語訳文で摘記する。 なお、文中に挿入されている参照文献番号は、特に必要のない限り省略する。 1 乙1 乙1-ア 「d.活性測定 i)バイオアッセイ 1)in vitro法:一般にin vivoによる測定法より感度、再現性が高い。 (1)ラットアデニルシクラーゼ法2)3):PTHによるラットの腎皮質のアデニルシクラーゼの活性化を32Pで標識したATPを用いて測定。」 (1349頁右欄1行~7行) 乙1-イ 「1)・・・ 2)R.Marcus、G.D.Aurbach、Endocrinology、85、801(1969) 3)・・・」 (1349頁下欄の引用文献の箇所) 2 乙12 乙12-ア 「3)後期第II相試験・・・ 日本人退行期骨粗鬆症患者47・・・を対象に、本剤の至適用量を検討することを目的として、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。用法・用量は、本剤50、100又は200単位を週1回皮下投与とされた。投与期間は48週とされた。 総投与症例220例(50単位/週群73例、100単位/週群75例、200単位/週群72例)全例が安全性解析対象集団とされた。・・・41例を除外した・・・ ・・・骨密度評価例数は、50単位/週群39例、100単位/週群38例、200単位/週群38例とされている。 開始時及び48週時に全椎体が計測できた症例について、治験期間中に新たに発生した椎体骨折数は、50単位/週群の2/62例(3.2%)で3個、100単位/週群の4/60例(6.7%)で5個、200単位/週群では0/48(0%)であった。」 (64頁11行~34行) 乙12-イ 「47主な選択基準:厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行期骨粗鬆症の診断基準(1989年)」で4点(ほぼ確実)以上の患者(合計5点以上:確実、合計4点:ほぼ確実、合計3点:疑いあり、合計2点以下:否定的・・・)」 (62頁下から4行~最下行) 3 乙13 乙13-ア 「 [図:0001415604000022.jpg] 」 (81頁表2) 第9 引用文献の記載事項 引用文献には、次の事項が記載されている。 なお、文中に挿入されている参照文献番号は、特に必要のない限り省略する。 1 引用文献1 引用文献1-ア 「骨量測定方法の進歩と普及を背景に、1991年の国際骨粗鬆症会議において、骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の破綻によって特徴づけられる疾患であり、骨の脆弱性亢進と骨折危険率の増大に結びつく疾患と定義された。この定義に従った診断基準がわが国でも整備され、1996年の日本骨代謝学会診断基準をもとに、2000年に改訂版が作成されて今日に至っている(表21)。」 (31頁左欄3行~10行) 引用文献1-イ 「表21 原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版)低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず、骨評価の結果が下記の条件を満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断する。 [図:0001415604000023.jpg] 」 (31頁) 引用文献1-ウ 「III 骨粗鬆症による骨折の危険因子・・・骨折の危険因子は、「骨密度低下」「骨質低下」「外力(転倒など)」に影響を与える因子である。骨折高リスク者を判定するには、骨密度測定に加えて、「骨質」「外力」に関連する危険因子を評価する必要があり、骨密度とは独立した骨折危険因子が何であるかを知っておくことがポイントとなる。年齢、性・・・低骨密度・・・骨折既往・・・・・・」 (34頁)。 引用文献1-エ 「表22 骨折の危険因子・・・(メタアナリシス、システマティック・レビューによる結果〔エビデンスレベルI〕のみ表示) [図:0001415604000024.jpg] 」 (35頁) 引用文献1-オ 「現在、骨粗鬆症治療開始は骨密度を基準に行われているが、同じ骨密度を示していても年齢が高いほど、表22の危険因子*をもつほど、骨折リスクは高くなる。骨密度、年齢、危険因子を総合的に考慮に入れることで、骨折リスクの高い人をより効果的に判別できる。」 (35頁) 引用文献1-カ 「表30 骨粗鬆症治療についての基本的な考え方1.骨粗鬆症治療は骨折危険性を抑制し、QOLの維持改善をはかることを目的とする。2.脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準は、骨粗鬆症診断基準とは別に定める。3.わが国では骨折危険因子として、低骨密度、既存骨折、年齢に関するエビデンスがあり、WHOのメタアナリシスでは過度のアルコール摂取(1日2単位以上)、現在の喫煙、大腿骨頸部骨折の家族歴が確定している。4.骨粗鬆症の薬物治療開始は上記の骨折危険因子を考慮して決定する。」 (53頁) 2 引用文献2 引用文献2-ア 「臨床試験 1.骨折に対する効果 テリパラチドの間欠投与により、新規椎体骨折および新規非椎体骨折発生率の著明な抑制効果が示されている。 既存骨折を有する1,637例の閉経後骨粗鬆症女性を対象とした大規模臨床試験では、プラセボ、テリパラチド20μgまたは40μgが約19カ月間(中央値)1日1回皮下投与され、テリパラチド投与群における新規椎体骨折の発生率は、プラセボ投与群に比し有意に低かった(表1)。従来報告されてきた種々の骨吸収抑制剤による新規椎体骨折の相対危険抑制率が3~4年間で50%以下であることを考えると、その効果はより高いものであると推測される。 また、テリパラチド投与群における脆弱性非椎体骨折の発生率は、プラセボ投与群に比し有意に低く、プラセボ投与群を基準にした脆弱性非椎体骨折の相対危険抑制率は、20μg投与群で53%、40μg投与群で54%であり、比較的短期間で脆弱性非椎体骨折の危険性を低減する効果が示された(図1)。」 (49頁右欄20行~50頁左欄5行) 3 引用文献3 引用文献3-ア 「 テリパラチドは、内因性のヒト副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の遺伝子組換えヒトN-末端フラグメント[PTH(1-34)]であり、骨にアナボリックに作用し骨形成を促す初めての骨粗鬆症治療薬である。テリパラチドを1日1回皮下注射すると、骨の新規形成が促進され、喪失した骨構造が回復方向に転じる。閉経後骨粗鬆症患者にテリパラチド(20μg/日)を投与することにより、骨形成マーカーは速やかに上昇し、新規椎体骨折の発生リスクを65%、脆弱性非椎体骨折の発生リスクを53%有意に低下させた。テリパラチドは、試験終了時点で腰椎骨密度を10%増加させ、大腿骨頸部骨密度も3%増加させた。テリパラチドは骨粗鬆症を適応症として承認され、ヨーロッパではFORSTEO、米国ではFORTEO(審決注:Eは、Eの上にダッシュ)の名称で販売されている。投与期間は18から24カ月であり、年齢または性別による用量調整の必要はない。」 (23頁左欄要約の項) 第10 当審の判断 事案に鑑み、無効理由3(進歩性欠如)から判断する。 1 無効理由3(進歩性欠如)について (1) 優先権について ア 本件特許は、(i)平成21年9月9日に優先権の基礎となる特許出願(特願2009-208039号(甲1))(以下「本件基礎出願」という。)がされ、(ii)平成22年9月8日に本件基礎出願に基づく優先権を主張した国際特許出願(PCT/JP2010/065379)(以下「本件国際出願」という。)がされ、(iii)本件国際出願が日本国に国内移行がされたもの(特願2011-530844号)の一部が、平成27年5月25日に新たな特許出願(特願2015-105265号、以下「分割第1世代出願」という。)とされ、(iv)さらに、分割第1世代出願の一部が、平成28年4月18日に新たな特許出願(特願2016-082589号、以下「分割第2世代出願」という。)とされたものについて、(v)またさらに、分割第2世代出願の一部が、平成28年11月10日に新たな特許出願(特願2016―219323号、以下「分割第3世代出願」という。)とされ、(vi)その上さらに、分割第3世代出願の一部を、平成28年11月10日に新たな特許出願としたものについて、特許権の設定登録がなされたものであり、分割第1世代出願、分割第2世代出願、分割第3世代出願及び本件特許に係る出願は、いずれも適法に分割された出願であると認められるから、本件特許に係る出願の出願日は、本件国際出願の国際出願日である平成22年9月8日とみなされる。 イ 本件第4訂正発明は、上記第3に記載のとおり、週1回当たりのヒトPTH(1-34)又はその塩の投与量を「1回当たり200単位」とし、48週を超過して72週以上までの間投与されることを特徴とする、骨折抑制のための骨粗鬆症治療剤ないし予防剤であって、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者を対象とする発明である。 ウ しかしながら、本件基礎出願の特許請求の範囲及び明細書には、「1回当たり200単位」のヒトPTH(1-34)の投与について、わずかに以下に示す記載があるだけで、具体的な実施例の記載などは全くない(同明細書に記載の唯一の実施例である「(実施例1)」は、5単位、100単位の投与結果を示すものである)。「【請求項1】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。・・・【請求項8】 カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」「【0014】 すなわち、本発明は、以下に関するものである。〔1〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤。・・・〔8〕カルシウム剤と併用され、かつ、1回当たり100~200単位のPTHが週1回投与されることを特徴とする、PTHを有効成分として含有する骨折抑制ないし予防剤。」「【0018】 本発明は、カルシウム(カルシウム剤)併用下で1回当たり100~200単位のPTHが週1回(以下、「週1回」を「隔週」と称することもある。)投与されることを特徴とする、PTHによる骨粗鬆症治療方法又は骨折抑制ないし予防方法を提供する。また、本発明は、カルシウム併用下で1回当たり100~200単位のPTHが隔週投与されることを特徴とする、PTHを有効成分とする骨粗鬆症治療剤又は骨折抑制ないし予防剤を提供する。さらに、本発明は、前記骨粗鬆症治療剤又は前記骨折抑制ないし予防剤の製造のためのPTHの使用を提供する。」「【0032】 従って、本発明は、その投与量として、1回当たり100~200単位であることを特徴の一つとする。ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)。投与量として、好ましく1回当たり100又は200単位、最も好ましく1回当たり200単位が例示される。」「【0045】 また、好ましくは、本剤は、骨粗鬆症治療剤及び骨折抑制/予防剤として、1回当たり100~200単位のヒトPTH(1-34)をカルシウムと併用して隔週で投与すべき旨を記載したパッケージに収容されるか、そのような旨を記載した添付文書とともにパッケージに収容された薬剤とすることができる。」 エ このように、本件基礎出願の特許請求の範囲及び明細書には、「1回当たり200単位」のヒトPTH(1-34)を本件第4訂正発明におけるBMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者に対し、48週を超過して72週以上までの間投与することについて、試験条件や試験結果について、何ら具体的な記載がなされていない。 本件明細書における投与量「1回当たり200単位」についての試験の記載(【0098】~【0134】、図2~5に係る「(実施例2)」の記載)は、本件基礎出願に基づく優先権を主張した本件国際出願の明細書において、初めて記載されたものである(甲2)。 したがって、「1回当たり200単位」の投与に係る本件第4訂正発明の構成については、本件基礎出願に基づく優先権主張の利益を享受することはできず、本件第4訂正発明の特許要件の判断の基準日は、上記「(実施例2)」の1回当たり200単位に係る試験結果が明細書に初めて記載された、本件国際出願の国際出願日である、平成22年9月8日(以下「本件基準日」という。)となる。 (2) 甲7に記載された発明 取消判決において認定されたとおり、甲7の記載によると、一次審決が認定するとおりの甲7発明を認定することができ、当該甲7発明における「厚生省による委員会が提唱した1989年診断基準」とは、厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行性骨粗鬆症の診断基準(1989年)」である(以下、厚生省シルバーサイエンス骨粗鬆症研究班の定める「退行性骨粗鬆症の診断基準(1989年)」を、「厚生省1989年診断基準」という。)。 (甲7発明) 「hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)を有効成分として含有する骨粗鬆症治療剤であって、厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者に投与される、骨粗鬆症治療剤。」 (3) 本件第4訂正発明1について ア 対比 本件第4訂正発明1と甲7発明とを対比する。 甲7発明の「hPTH(1-34)の200単位を毎週皮下注射する、hPTH(1-34)を有効成分として含有する」は、本件第4訂正発明1にいう「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、」に相当し、甲7発明の「骨粗鬆症治療剤」は、本件第4訂正発明1の「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」に相当する。 また、甲7発明の「厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者」も、また、本件第4訂正発明1の「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者」も、いずれも骨粗鬆症患者のうちの「特定の骨粗鬆症患者」であることに変わりはない。 したがって、両者は、「1回当たり200単位のヒトPTH(1-34)又はその塩が週1回投与されることを特徴とする、ヒトPTH(1-34)又はその塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症治療ないし予防剤であって、特定の骨粗鬆症患者に投与されることを特徴とする、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1 特定の骨粗鬆症患者が、本件第4訂正発明1では「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者」であるのに対し、甲7発明では、「厚生省1989年診断基準で骨粗鬆症と定義された、年齢範囲が45歳から95歳の被験者のうち、複数の因子をスコア化することによって評価して骨粗鬆症を定義し、スコアの合計が4以上の場合の患者であって、2mg/dlより高い血清クレアチニン又は30mg/dlより高いBUNによって示される腎機能が低下している患者は除外された患者」である点。 ・相違点2 本件第4訂正発明1では、骨粗鬆症治療剤ないし予防剤が、「48週を超過して72週以上までの間投与されることを特徴とする、」ことが特定されているのに対し、甲7発明では、そのような特定がない点。 イ 相違点1についての検討 (ア) 本件第4訂正発明1における「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する」の技術的意義 a 本件明細書には、本件第4訂正発明が、従来の骨粗鬆症薬であるPTHについて、安全性が高くかつ効能・効果の面で優れた骨粗鬆症治療ないし予防方法を提供すること及び安全性の高い骨折抑制ないし予防方法を提供することを課題とすること(【0012】)が記載されている。同明細書には、骨粗鬆症における骨折の危険因子を多く持つ骨粗鬆症患者に対して本件第4訂正発明の骨粗鬆症治療剤ないし予防剤を投与することが望ましいこと及び骨粗鬆症における骨折の危険因子としては、年齢、性、低骨密度、骨折既往、喫煙、アルコール飲酒、ステロイド使用、骨折家族歴、運動、転倒に関連する因子、骨代謝マーカー、体重、カルシウム摂取等が挙げられることが記載され、その上で、「下記(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者(ないし対象者)を「高リスク患者」として定義する。(1)年齢が65歳以上である(2)既存骨折がある(3)骨密度が若年成人平均値の80%未満である、および/または、骨萎縮度が萎縮度I度以上である。」と記載され、(1)~(3)の全ての条件を満たす骨粗鬆症患者を「高リスク患者」として定義することが記載されている(【0068】)。 本件明細書には、また、骨粗鬆症及び腎障害は加齢とともにその有病率が上昇するから、腎障害を有する骨粗鬆症患者に対して有効かつ安全な薬剤を提供することが重要であること(【0064】)、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minは、中等度腎機能障害と判断できること(【0066】)、クレアチニンクリアランスが50以上80未満ml/minは、軽度腎機能障害と判断できることが記載されている。 そして、実施例1においては、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす高リスク患者について、PTHの週1回100単位投与群は同5単位投与群に比べ、有意に高い骨密度の増加、有意に低い新規椎体骨折発生及び有意に低い椎体以外の骨折発生が認められたこと、実施例2においては、上記(1)~(3)の全ての条件を満たす高リスク患者について、PTHの週1回200単位投与群は対照薬(プラセボ)投与群に比べ、新規椎体多発骨折及び増悪骨折の抑制効果が認められ、血清カルシウムに関する安全性及び副作用発現率に関する安全性が、腎機能正常の骨粗鬆症患者群と軽度及び中等度の腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群で同等であったことが記載されている。また、本件明細書には、実施例2の各患者群における背景因子として、年齢、身長、体重、BMI、閉経後年数、登録時既存椎体骨折数、投与前既存椎体骨折数、投与前の腰椎骨密度、投与前の大腿骨頸部骨密度、投与前の大腿骨近位部total骨密度が示され、クレアチニンクリアランス30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害を有する患者では、被験薬投与群のBMI(kg/m2)が、平均値21.28、標準偏差3.28であったことが記載されている(【0123】~【0125】、【0126】【表24】)。 b 上記aによれば、本件第4訂正発明1における「クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する」との条件は、腎障害を有する骨粗鬆症患者に対しても有効かつ安全な薬剤を提供することは重要であるとの認識の下、腎機能障害が軽度又は中等度であっても腎機能正常者と安全性が同等であるとの知見を踏まえ、軽度又は中等度の腎機能障害を持つ患者の中から中等度腎機能障害を有する患者を取り出し、当該患者を投与対象とできることとして設定されたものであると認められる。また、本件第4訂正発明1における「BMI(kg/m2)が21.28±3.28」との条件は、単に、実施例2において、クレアチニンクリアランス30以上50未満ml/minである中等度腎機能障害を有する患者の被験薬投与群では、背景因子のひとつであるBMI(kg/m2)が、平均値21.28、標準偏差3.28であったことに基づき、設定されたものであると認められる。 本件明細書には、中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者におけるBMIと骨粗鬆症治療剤の効果や副作用との関係について説明する記載はなく、また、中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者をBMIによって分類して、骨粗鬆症治療剤の効果や副作用を比較したことは記載されていない。そして、本件明細書には、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲であるとの条件を加えたことによって、治療効果が奏されるとの記載はなく、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有するとの条件を満たすことによって、腎機能正常の骨粗鬆症患者と同等の安全性がもたらされるとの効果を奏するとの記載もない。 以上からすると、本件明細書には、本件第4訂正発明1におけるBMI(kg/m2)の「21.28±3.28」、クレアチニンクリアランスの「30以上50未満ml/min」という数値の臨界的意義の記載はなく、本件第4訂正発明1において対象とする骨粗鬆症患者を「BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する」とすることの技術的意義を見いだすことはできない。 (イ) 本件基準日(平成22年9月8日)における骨粗鬆症に関する技術常識について 取消判決が、進歩性についての取消事由の判断に際して認定したとおり、本件基準日において、(i)骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患であり、その治療の目的は、骨折を予防し、QOLの維持改善を図ることである、(ii)骨粗鬆症は、加齢とともに発生が増加する、(iii)骨粗鬆症による骨折の複数の危険因子の中で、わが国では、低骨密度、既存骨折、年齢に関するエビデンスがある、(iv)骨粗鬆症の診断基準に関して、1990年当時、厚生省シルバーサイエンスプロジェクト「老人性骨粗鬆症の予防および治療に関する総合的研究班」により提唱された診断基準(1989年診断基準。甲8、乙13)があったが、1996年に診断基準が整備され(甲9、35。以下、この診断基準を「1996年診断基準」という。)、その後、2000年に改訂版が作成された(引用文献1)。以下、この基準を「2000年診断基準」という。)、(v)骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度が骨強度のほぼ70%を、骨質が残りの30%を説明することが当時の技術常識であったことが認められる。 (ウ) 本件基準日(平成22年9月8日)時点の骨粗鬆症と腎機能障害との関係に関する技術常識について (i)軽度又は中等度の腎機能障害者へのPTHの投与においては、腎機能正常者との間で薬物動態パラメータに有意差がないこと(甲10、甲14、甲15の1、甲16、甲17の1、甲18)、(ii)甲10文献の試験は、骨粗鬆症と腎機能障害の罹患率はいずれも加齢とともに増加すること、及び、大規模な疫学研究では骨粗鬆症女性の85%が軽度から中等度の腎機能障害を有していたことに鑑み、加齢に関連した軽度又は中等度の腎機能障害を有する女性における、PTHによる有害事象の発生等を検討したものであること(59頁左欄1行~右欄32行、60頁左欄1行~20行)、(iii)甲10文献の試験中に発生した腎臓に関連する有害事象の発生率は、腎機能正常、軽度障害、中等度障害のサブグループいずれでの治療の割り付けでも一貫していたこと、PTHにより誘導される平均GFRの変化は、ベースラインにおける腎機能の影響を受けなかったこと、テリパラチド20μg又は40μgの投与を受けた患者は全ての腎機能区分で、投与4~6時間後の血清カルシウムが10.6mg/dl(正常上限値)を超える発生率がプラセボに対して増加したが(64頁右欄6行~65頁右欄16行、65頁右欄29行~67頁左欄15行)、同試験に先行する試験では、投与4~6時間後の血清カルシウムの上昇と有害事象との関連はなく、一時的なものであったこと(65頁右欄29行~67頁左欄15行)、(iv)甲10文献の試験において、軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が、PTHによる治療を受けた際に有害事象の増加は観察されなかったこと(67頁右欄39行~68頁左欄6行)が認められる。 (エ)容易想到性について a 甲7発明は、腎機能障害者の中から重症の者を投与対象から除外しているところ、患者の中に重度の腎障害を有する者と腎機能が正常の者のみの両端しかいないということは不自然であるから、投与対象の患者には腎機能正常者のみならず、軽度又は中等度腎機能障害を有する者も含まれていることを当然の前提にしていると解される。そして、前記(ウ)のとおり、骨粗鬆症と腎機能障害の罹患率はいずれも加齢とともに増加することや、大規模な疫学研究では骨粗鬆症女性の85%が軽度から中等度の腎機能障害を有していたことが知られていたから、重度の腎機能障害患者を除くと明記された甲7文献の記載に接した当業者であれば、甲7発明の投与対象患者に軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が相当程度含まれていると認識することは明らかといえる。 甲7には、骨密度の増加が骨折予防に寄与することが記載され(296頁右欄10行~297頁左欄25行)、その上で、甲7発明が48週で骨密度を8.1%増大させたことが開示されている(300頁左欄11行~右欄6行)。そして、前記イ(イ)のとおり、骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患で、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであり、骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとの技術常識があることから、当業者は、骨密度の増加は骨折の予防に寄与すると理解する。そうすると、甲7に接した当業者は、甲7発明が、骨折抑制効果を奏し、クレアチニンクリアランスの「30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者にも有効であると理解するといえる。 さらに、前記(ウ)のとおり、骨粗鬆症治療薬についても腎機能障害を有する患者における安全性の確認が求められていたことは明らかであるから、甲7発明に接した当業者が、投与対象患者の腎機能に着目することは、当業者が当然に行うべきこととして格別なものではない。 b ここで、クレアチニンクリアランスは、糸球体濾過値(GFR)を、クレアチニンをマーカーとして測定したものであるところ(甲44の44頁、68頁)、甲10-イのとおり、甲10文献では、「中等度」の腎機能障害を有する患者は、「GFR30~49ml/分」の患者であると定義され、クレアチニンクリアランスが30-49ml/分である患者を、中等度機能障害を有する患者としている(甲10-オ、甲10-ク、甲10-ケ)。また、審議結果報告書(甲15の1)においては、腎機能障害の程度を、クレアチニンクリアランスを指標として、この値に沿って、「80以上」、「50以上80未満」、「30以上50未満」及び「30未満」と区分している(98頁表50、51)。 そして、前記(ウ)のとおり、腎機能正常者と腎機能の障害が軽度又は中等度である者との間でPTH製剤の投与によって発生する有害事象の発生割合には差がなかったことが知られていたと認められる。 そうすると、甲7発明の投与対象患者の中から、腎機能障害の程度をクレアチニンクリアランスの値で表して、「30以上50未満ml/min」の者を「中等度」としてその投与対象とすることは、当業者であれば何ら困難を要しないものである。 c また、BMIは、肥満の診断のために日常診療などの現場で用いられる体格指数であり、18.5以上、25未満が普通体重とされている(甲69)。本件第4訂正発明1における対象患者のBMI(kg/m2)の「21.28±3.28」は、その大部分が普通体重と重複する範囲のBMIであり、骨粗鬆症患者、あるいは、中等度腎機能障害を有する患者の体重は、普通体重の範囲内でなくなるとの技術常識の存在も認められない。 したがって、甲7発明の骨粗鬆症治療剤の投与対象患者を、BMI(kg/m2)が21.28±3.28の範囲内であり、クレアチニンクリアランスが30以上50未満ml/minである腎機能障害を有する骨粗鬆症患者とすることにも、当業者は何ら困難を要しないものである。 ウ 相違点2についての検討 (ア)本件第4訂正発明1における「48週を超過して72週以上までの間」投与されることの技術的意義 本件第4訂正発明1は、投与期間を「48週を超過して72週以上までの間」とするものであるところ、これは、「までの間」として一定の期間内における投与を規定し、その始期(投与自体の開始は0週からである。)を「48週を超過」と、同終期を「72週以上」とするものと理解できる。 そして、本件明細書には、骨折発生を主要評価項目とした二重盲検比較臨床試験において、その効果が24週後又は26週後という早期から発現し、投与後48週を超えてからの新規椎体骨折は認められなかったことが記載された上で、投与期間として、24週以上、26週以上、48週以上、52週以上、72週以上や78週以上が例示され、最も好ましいものを78週以上としている(【0032】)。 また、実施例2として、高リスク患者に対して、被験薬(PTH200単位)又は対照薬(プラセボ)を、72週間にわたり週に1回の頻度で間欠的に皮下投与したところ(【0098】)、半年毎の新規椎体骨折発生率は、対照薬投与群では、24週以下、24週を超えて48週以下、48週を超えて72週以下のいずれの区間でも約5%でほぼ一定であったが、被験薬投与群では、投与期間が長くなるにつれて区間ごとの発生率が低下しており、48週を超えてからの新規椎体骨折の発生はなかったこと(【0131】、【0132】、【表34】、【表35】)、カプラン-マイヤー推定法による72週後の椎体骨折(新規及び増悪)発生率が、被験薬投与群で3.5%、対照薬投与群で16.3%であること(【0133】)が記載されている。 これらの記載によると、本件第4訂正発明1は、遅くても48週を超えてからの新規椎体骨折の発生はなかったことを踏まえて、始期を「48週を超過」とし、試験期間が72週であったことを踏まえて、少なくとも72週までの継続した投与を要するとの趣旨で終期を「72週以上まで」(72週が含まれる。)としたものと理解される。 本件明細書には、上記のほかに「48週」なる数値の技術的意義についての記載はないが、【表34】において、48週を超えて72週までの間に骨折発生がなかったということは、24週を超えて48週以下までの間に発生した最後の骨折以降に更なる骨折発生がなかったことを意味し、しかも、その骨折発生時期は不明であるものの、24週という相当長期の間に発生した骨折例数はわずか2例であること(本件明細書【表35】)に鑑みると、単に新規椎体骨折発生の有無にだけ着目するならば、その効果は24週を超えて48週以下の区間で既に奏していたとの評価もできる。また、72週を超える期間での骨折発生率は、本件明細書上不明である。 以上からすると、「48週」「72週以上」に臨界的意義を認めることは困難であり、本件第4訂正発明1の「48週を超過して72週以上までの間」との特定の時期をもって始期及び終期とする限定には格別の技術的意義を見いだすことができず、単に、適宜の区間についてPTHの投与継続につれて骨折発生率が低下していることを示すためだけのものにすぎないと認められる。 (イ) 本件基準日(平成22年9月8日)時点のPTH製剤の投与期間に関する技術常識等について 本件基準日時点のPTH製剤の投与期間に関する技術常識として、(i)海外では既に投与期間の上限を24か月とするPTH20μg連日投与の製剤が認可されていたこと(甲15の1、引用文献3)、(ii)骨粗鬆症の治療薬に関する総説である引用文献2に記載されるとおり、19ヶ月間のPTH20μg又は40μg連日投与により骨密度の増加と新規椎体骨折の発生の抑制を得られることが当業者に知られていたものと認められる。 (ウ) 容易想到性について 上記(イ)のとおり、本件基準日において、連日投与のPTH製剤に関し、48週を超えた投与により骨密度が上昇し、骨折発生が減少することが知られていた。 一方、甲7発明は、PTH200単位週1回投与により、48週までの間、腰椎BMDが継続的に増加し、48週後には8.1%有意に増加し(甲7の296頁左欄1行~右欄7行)、さらに、PTH200単位投与群であるH群では48週の投与期間中に椎体骨折が発生しなかったものである(甲7の300頁11行~右欄6行)。そして、前記イ(イ)記載の技術常識によると、当業者であれば、そのような骨密度の増大は骨折の予防に寄与すると理解するといえるところ、甲7の試験は、48週までの投与についてのものであるが、その増加率に逓減傾向があるとしても、腰椎BMDが継続的に増加していることが見て取れ(甲7の図1)、48週を超えると、これが減少に転じるとする根拠は見当たらない。 以上からすると、連日投与のPTHに関して、48週を超えて、18か月間(76週)以上の投与がされ、それによる骨密度の上昇及び椎体骨折発生の減少が報告されていたことを踏まえ、甲7発明の骨粗鬆症治療剤においても、骨密度の上昇と骨折の抑制のために48週を超過して72週以上までの間投与するようにすることは、当業者として容易に想到することといえ、これにより本件第4訂正発明1に至るものといえる。 エ 効果について 本件第4訂正発明1の構成に基づく骨折抑制効果(【0126】)についてみると、甲7には、骨密度の増加が骨折予防に寄与することが記載され(296頁右欄10行~297頁左欄25行)、その上で、甲7発明は、48週で骨密度を8.1%有意に増大し、48週を超えても腰椎BMDが継続的に増加することが見込まれるものであり、甲7には、試験の結果を示す事実として、200単位投与群では、48週間の投与において椎体骨折が発生しなかったことが示されている(300頁左欄11行ないし右欄6行)。また、前記イ(イ)のとおり、骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大した骨疾患で、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであり、骨強度は骨密度と骨質の2つの要因からなり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとの技術常識があることから、当業者は、甲7発明による骨密度の増加は骨折の予防に寄与すると理解し、投与期間が48週を超えても、骨折抑制の効果が継続すると考えるのが自然である。 したがって、本件第4訂正発明1の効果は、甲7発明から、当業者が予測する範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 オ 被請求人の主張について 被請求人は、本件第4訂正発明に対する無効理由3について、以下の主張をしている。 (ア) 被請求人の主張の概要 (i) 本件第4訂正発明1で対象とする患者は、腎臓に中等度という重度の腎機能障害に比較的近いほどの障害をもち、しかもBMIが肥満者ほどに高くないことから薬物の全身曝露の状態が長く続くことが懸念され、薬物のクリアランスが低下して副作用の発生が危惧され易い患者であるが、そのような患者に対して、副作用頻度がさらに高くなり脱落率が一段と高くなることが合理的に推測できるにもかかわらず、「48週を超過して72週以上までの間」投与を継続することは、当業者が行なうことではなく、安全性の観点から動機付けられないというべきである。 (令和5年9月26日受付の上申書4頁~7頁、15頁)。 (ii) 甲7の臨床試験における試験計画は、予備研究の結果に基づき試験期間が48週間に設定されたこと、予備研究は週1回100又は200単位のhPTH(1-34)を26週間投与したものであることが記載されている。投与期間を48週間と設定したことについては、「恒常的に骨折のリスク及び不安を抱える骨粗鬆症集団において、高過ぎるドロップアウト率を被ることなく定期的に骨測定並びに血液及び尿試料採取を行う適切に管理された多施設試験の継続期間の限界とも考えられた」と記載され、48週間が骨折の危険性と不安が常にある患者に対し、脱落率が過度とならない範囲で実施できる限界であったことが読み取れる。甲7における試験期間の設定経緯からみて、48週を超過してまで投与する動機付けは甲7の開示から生じるとはいえない。 (令和5年9月26日受付の上申書7頁~11頁)。 (iii) 骨粗鬆症の治療には、継続して治療できることが重要である。しかし、本件訂正発明1で対象とする患者は、腎臓に中等度という重度の腎機能障害に近いほどの障害をもち、しかもBMIが肥満者ほどの高さではないことから薬物の全身曝露の状態が長く続くことが懸念され、薬物のクリアランスが低下して副作用の発生が危惧され易い患者であるから、48週の時点で既に42%という異常に高い副作用が発現し、しかも副作用による脱落率が22%という高いものであることから、そのような患者に対して「48週を超過して72週以上までの間」投与を継続することが、治療継続性の観点から望まれることとは到底いえない。 (令和5年9月26日受付の上申書11頁~14頁)。 (iv) 予備研究よりも副作用発現率及び脱落率がさらに高い甲7の開示から、200単位のPTH(1-34)又はその塩を週1回、実施可能な限界である48週を超過して投与する動機付けは生じるとはいえないし、むしろ阻害されるものであるところ、対象となる患者が、腎臓に中等度という重度の腎機能障害に比較的近いほどの障害をもち、しかもBMIが肥満者ほどの高さではないことから薬物の全身曝露の状態が長く続くことが懸念され、薬物のクリアランスが低下して副作用の発生が危惧され易い患者であれば、なおさら阻害事由が存在する。 (令和5年9月26日受付の上申書15頁) (v) 甲7では、48週が治療限界と判断されていたため、48週を超過して投与した場合の治療継続性は不明である。しかし、48週の時点で200単位群は既に42%の副作用発現率で、脱落率が33%という高値であり、しかも前記したように、副作用のほぼ半数が治療継続性に関係する悪心、嘔吐であったことが、甲7の表6の記載から理解される。そうすると、200単位を48週を超過して投与し、治療を継続することは患者にとって大きな負担であり、脱落率がさらに増加して治療継続性を確保できないであろうことは合理的に容易に推論される。してみると、前記構成により200単位であっても、72週まで治療ができたこと、すなわち治療継続性が認められたことは、前記構成からは全く予測できることではない。 (令和5年9月26日受付の上申書22頁) (イ) 被請求人の主張に対する判断 (i)の主張について 被請求人は、本件第4訂正発明1の対象患者は、BMIが肥満者ほどに高くないことから薬物の全身曝露の状態が長く続くことが懸念され、薬物のクリアランスが低下して副作用の発生が危惧され易い患者であると主張する。被請求人が、当該主張の根拠とする乙65には、肥満者においては著しい体重の増加に伴う分布容積、肝・腎などの機能及び血流量の変化が薬物動態に影響を与えるものと考えられると記載され、主として、腎から未変化体のまま排泄される薬物の全身クリアランス及び腎クリアランスの亢進は、正常体重者に比べて腎血流量が増加していることが原因として考えられることが記載されている(332頁21行~25行、335頁表XV-15)。しかしながら、肥満者では、正常体重者に比べて腎血流量の増加により、水溶性薬物の全身クリアランス及び腎クリアランスが亢進しているからといって、BMIが普通の範囲である正常体重者の腎血流量は低下しているということはできず、被請求人が主張するように、BMIが普通の範囲である正常体重者では、薬物の全身クリアランスが低下して、副作用の発生が危惧され易いとはいえない。 甲7に接した当業者は、中等度腎機能障害を有する患者に48週を超過して投与を継続することが、安全性の観点から妨げられるとは考えない。 したがって、被請求人の主張は、根拠を欠くものであり、妥当なものでない。 (ii)の主張について 確かに、甲7には、PTH200単位週1回投与のH群の副作用発生率は42%であり、72人のうち16人(約22%)が副作用により脱落していて、副作用発生率及び副作用による脱落率は、50単位を投与したL群(副作用発生率19%)及び100単位を投与したM群(副作用発生率19%)のいずれと比べても高いことが記載されており(表6)、骨粗鬆症の治療は長期間にわたるため、臨床使用において患者の症状や治療継続意思に直接に影響する副作用が起こることは望ましくはないから、甲7の上記記載に接した当業者は、この点に限っていえば、200単位の投与よりも100単位の投与の方がより適当であると認識することが考えられる。 しかしながら、他方、甲7には、重篤な有害事象は認められないと記載されており(301頁左欄1行~右欄4行)、さらに、200単位の投与が腰椎骨密度を48週間後に8.1%増加させたこと、及び、その増加の程度は、100単位投与の3.6%、及び、50単位投与の0.6%のいずれよりも高いことが記載され、PTHは腰椎骨密度を48週という比較的短期間で用量に依存して増加させる極めて有望なものと評価されており(300頁左欄11行~右欄6行、301頁右欄5行~303頁23行)、有望とされた対象から、最も腰椎骨密度を増加させた200単位の投与のみが排除されているとは理解し難い。そして、前記イ(イ)のとおり、骨粗鬆症の治療の目的は骨折を予防することであるところ、骨密度が低いことは、既存骨折、年齢とともに、わが国でエビデンスがある骨折危険因子であり、骨密度は骨強度のほぼ70%を説明するとの技術常識がある。 以上によれば、甲7に接した当業者は、200単位週1回投与と100単位週1回投与とを対比した場合に、副作用の面と効果の面を総合考慮して、いずれを選択するか判断するものと考えられ、200単位週1回投与がその選択が排除されるほど劣位したものと見られるとはいえず、これを選択することもまた十分に動機付けられているといえる。 被請求人は、甲7の臨床試験に先立ち行われた予備試験では副作用発現率と脱落率がともに高いことから、当業者は甲7の試験は28週が許容限界とされ、48週以上の投与が不可能であると理解する旨を主張する。 しかしながら、甲7には、「試験期間を48週間に設定した。この期間は、骨折の危険性と不安が常にある患者を対象として通常の骨測定、血液と尿の採取を行っても脱落率が過度とならずに、十分な制御下で多施設試験を実施できる限界であると思われた。」(297頁右欄43行~298頁左欄24行)と記載されているのであるから、甲7に記載の臨床試験において、試験期間が48週に設定された直接の理由は臨床試験の管理上の問題を懸念したことによるものであることは明らかであり、しかも、試験期間の設定は当該試験の結果を知る前にされるものであることも併せ考えれば、甲7に記載された臨床試験の結果を見た当業者が、甲7発明の骨粗鬆症治療剤を治療の場面で用いる際、48週を超えて投与することを阻害されるとはいえない。 (iii)の主張について 被請求人は、腎機能正常者と腎機能の障害が軽度又は中等度である者との間でPTH製剤の投与によって発生する有害事象の発生割合には差がなかったことが記載されている甲10は、その表1に示されるように、もっぱら22~28程度という高いBMIの肥満者、すなわち体重増加に伴い腎血流量が増大し、PTHの全身暴露量が低い患者での比較結果であるから、甲10の結果が本件訂正発明1で対象とする患者に適用できないと主張する。 被請求人が甲10の表1からBMIが22~28程度であるとする根拠は定かでないが、試みに、甲10の表1(62頁)において、GFR 30~49ml/minの中等度腎障害を有し、最大用量である40mcgが投与された患者群における身長と体重の平均値からBMIを計算すると、23.3kg/m2(55.0kg/(1.536m×1.536m))である。これは普通体重の範囲内であるから(甲69の897頁右欄4行~6行)、甲10に記載されている中等度腎障害を有する骨粗鬆症患者についての結果が、特に薬物クリアランスが亢進しているような著しい体重増加のある肥満者についてのものであるとはいえない。 そして、前記(ii)のとおり、甲7発明の投与対象患者に軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が相当程度含まれていると認識することは明らかであるところ、甲7には、重篤な有害作用は認められなかったと記載されているのであるから(296頁左欄1行~右欄7行)、甲7に接した当業者は、甲7発明が中等度腎機能障害を有する患者に対して、治療の継続性が妨げられるような副作用があるとは考えない。 甲7は臨床試験についての論文であり、臨床試験においては、厳密に、定められたプロトコールのとおり被験薬が投与される必要があるのに対し、臨床上の治療においては、副作用の発現を勘案しながら継続性が保たれるように考慮して治療を行うという違いがあるにもかかわらず、両者の継続性を区別せずに論じている点からも、被請求人の主張は、妥当なものではない。 (iv)の主張について 本件訂正発明1で対象とする患者が、BMIが普通の範囲である正常体重者であることによって、特に全身クリアランスが低下して、副作用の発生が危惧され易い患者であるとはえず、甲7に接した当業者は、中等度腎機能障害を有する患者に対して、48週を超過して投与を継続することが、安全性の観点から妨げられるとは考えないことは、既に(i)の主張について述べたとおりであり、仮に、甲7における副作用発現率及び脱落率が予備研究よりも高いとしても、甲7に接した当業者は、本件第4訂正発明1の構成に到達することに対する阻害事由があるとは考えない。 (v)の主張について 甲7に接した当業者は、中等度腎機能障害を有する患者に対して、48週を超過して投与を継続することが、安全性の観点から妨げられるとは考えないことは、既に(i)の主張について述べたとおりである。また、甲7は臨床試験についての論文であり、臨床試験においては、厳密に、定められたプロトコールのとおり被験薬が投与される必要があるのに対し、臨床上の治療においては、副作用の発現を勘案しながら継続性が保たれるように考慮して治療を行うという違いがあることは、上記(iii)の主張について述べたとおりであり、甲7において、ドロップアウトした患者が一定数いたことが、直ちに、甲7発明による臨床上の治療継続性を否定することにはならない。そして、本件明細書の記載を検討しても、本件第4訂正発明1は、甲7発明と同じ200単位週1回投与を行うということのほかに、本件第4訂正発明1の対象患者における治療継続性を高めるための手段が講じられたものであることは記載されていない。 したがって、本件第4訂正発明1が、72週まで投与できたことは、甲7発明から、当業者が予測する範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 カ 小括 以上のとおりであるから、本件第4訂正発明1は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件第4訂正発明3について ア 対比 本件第4訂正発明3は、本件第4訂正発明1をさらに限定した発明であるから、本件第4訂正発明3と甲7発明を対比すると、両者の一致点及び相違点は、上記(3)アの一致点並びに相違点1及び2と同様の一致点及び相違点に加えて、以下の相違点において相違する。 ・相違点3 本件第4訂正発明3は、対象とする「骨粗鬆症患者が既存の椎体骨折を有する」ことが特定されているのに対し、甲7発明においては、当該事項は特定されていない点。 イ 相違点についての判断 (ア) 相違点1及び2について 上記(3)で本件第4訂正発明1について検討したとおり、甲7発明を相違点1及び2に係る構成を備えるものとすることについては、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 (イ) 相違点3について 甲7発明で投与対象とされた患者は、前記1(2)のとおり、1989年診断基準で骨粗鬆症と診断された患者であるところ、甲7発明に接した当業者が、甲7発明のPTH200単位週1回投与の骨粗鬆症治療剤を投与する対象患者を選択するのであれば、より新しい基準を参酌しながらその患者を選別することは、当業者がごく普通に行うことであるから、1989年診断基準とともに、より新しい、1996年診断基準又は2000年診断基準を参酌するといえる。 そして、、1996年診断基準で骨粗鬆症と診断される者は、(i)骨萎縮度I度以上又は骨密度値がYAMの80%以下の低骨量で非外傷性椎体骨折を有する者か、(ii)X線上椎体骨折を認めないが、骨萎縮度II度以上、又は、骨密度値がYAMの70%未満である者であり、2000年診断基準で骨粗鬆症と診断される者は、(iii)骨萎縮度II度以上又は骨密度がYAMの80%未満の低骨量で、軽微な外力による非外傷性椎体骨折等(脆弱性骨折)を有する者か、(iv)脆弱性骨折がないものの、骨萎縮度II度以上、又は、骨密度値がYAMの70%未満の者である。 、「既存の椎体骨折」は上記(i)における「非外傷性椎体骨折」を含むものであることからすれば、当業者が甲7発明の200単位週1回投与の骨粗鬆症治療剤を投与する骨粗鬆症患者を既存の椎体骨折を有するとの条件で選別するのには何ら困難を要しない。 したがって、甲7発明の骨粗鬆症治療剤が対象とする骨粗鬆症患者を、既存の椎体骨折を有する者とすることも、当業者が容易になし得たことである。 ウ 効果について 本件第4訂正発明3の構成に基づく骨折抑制効果(【0126】)についてみても、上記(3)エのとおり、当業者は、甲7発明による骨密度の増加は骨折の予防に寄与すると理解し、投与期間が48週を超えても、骨折抑制の効果が継続すると考えるのが自然であるから、本件第4訂正発明3の効果は、甲7発明から、当業者が予測する範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 エ 被請求人の主張について (ア) 被請求人の主張の概要 本件第4訂正発明3の対象患者は、既存椎体骨折があることから、骨折の危険性が約4倍も高く、治療の継続性が特に重要となる。したがって、このような患者に対して、脱落率が高くなり、治療の継続性が困難となる200単位週1回の投与を48週を超過して投与することは、治療継続性の観点で適切でなく、より一層の強い阻害要因が存在する。 (令和5年9月26日受付の上申書16頁~18頁)。 (イ) 被請求人の主張に対する判断 前記(3)オにおいて、(ii)の主張について述べたとおり、甲7発明の投与対象患者に軽度又は中等度の腎機能障害を有する患者が相当程度含まれていると当業者が認識することは、明らかであるところ、甲7には、重篤な有害作用は認められなかったと記載されているのであるから(296頁左欄1行~右欄7行)、甲7に接した当業者は、甲7発明が中等度腎機能障害を有する患者に対して、治療の継続性が妨げられるような副作用があるとは考えない。 甲7は臨床試験についての論文であり、臨床試験においては、厳密に、定められたプロトコールのとおり被験薬が投与される必要があるのに対し、臨床上の治療においては、副作用の発現を勘案しながら継続性が保たれるように考慮して治療を行うという違いがあり、甲7において、一定数のドロップアウトがあったことが直ちに、甲7発明の臨床上の治療に対する継続性がないものであるとはいえず、本件第4訂正発明3の構成に至る阻害要因があるとはいえない。 オ 小括 したがって、本件第4訂正発明3は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 本件第4訂正発明4について ア 対比 本件第4訂正発明4は、本件第4訂正発明1又は3について、投与が皮下注射投与であり、48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する、との特定事項によって、さらに限定して特定した発明である。 本件第4訂正発明4と甲7発明を対比すると、両者の一致点及び相違点は、上記(3)アの一致点並びに相違点1及び2と同様の一致点及び相違点に加えて、以下の相違点において相違する。 ・相違点4 本件第4訂正発明4は、投与が皮下注射投与であり、48週投与後の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有すると特定されているのに対し、甲7発明においては、当該事項は特定されていない点。 イ 相違点についての判断 (ア) 相違点1及び2について 上記(3)で本件第4訂正発明1について検討したとおり、甲7発明を相違点1及び2に係る構成を備えるものとすることについては、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 (イ) 相違点4について a 甲7には、PTHが皮下注射されたことが記載されているから(甲7-オ)、本件第4訂正発明4と甲7発明とは、相違点4のうち、皮下注射投与であるかどうかにおいて実質的に相違するものではない。 b 48週投与時の腰椎骨密度変化率について、本件明細書には、実施例2において、中等度腎機能障害を有する患者群での48週投与時における腰椎骨密度変化率の平均値及び標準偏差として、本件第4訂正発明4における腰椎骨密度変化率の平均値及び標準偏差と同じ値が得られたことが記載されているが、「(H-3)各患者群に対する被験薬の有効性(骨密度増加) 腎機能正常の骨粗鬆症患者群、軽度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群、中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群いずれに対しても被験薬が腰椎骨密度増加効果を有することが明らかとなった。」(【0127】)と記載されるほかは、中等度腎機能障害を有する骨粗鬆症患者群における腰椎骨密度変化率についての記載はない。そうすると、本件第4訂正発明4の医薬は、上記(3)ウのとおり、新規椎体骨折発生の有無にだけ着目するならば、その効果は24週を超えて48週以下の区間で既に奏していたとの評価もできるものであるところ、腰椎骨密度についても、48週投与時までに骨密度増加作用が発揮されたことを、実施例2の中等度腎機能障害を有する患者群について得た48週投与時の腰椎骨密度変化率の平均値及び標準偏差で特定したものであるといえる。 以上からすると、48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が「平均4.9、標準偏差4.4」の骨密度増加作用についても、臨界的意義を認めることは困難であり、本件第4訂正発明4の「48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する」とする限定には格別の技術的意義を見いだすことができず、単に、投与開始から適宜の時点についてPTHの投与継続につれて腰椎骨密度が増加していることを示すためだけのものにすぎないと認められる。 c 腰椎骨密度の測定は、骨粗鬆症の診療において日常的に行われ(甲8、甲9)、治療効果を知るための指標の一つとされているのであって、骨粗鬆症治療剤を投与されている骨粗鬆症患者の骨密度増加作用を確認すべく、48週投与時に腰椎骨密度を測定して腰椎骨密度変化率の平均値及び標準偏差を特定することは、当業者であれば、何ら困難を要しないことである。 以上からすると、連日投与のPTHに関して48週を超えての投与がされ、それによる骨密度の上昇が報告されていたことを踏まえ、甲7発明の骨粗鬆症治療剤においても、48週投与時の腰椎骨密度を測定することにより得られた腰椎骨密度変化率を本件第4訂正発明4におけるように特定することは、当業者として容易に想到することといえ、これにより本件第4訂正発明4に至るものといえる。 ウ 効果について 本件第4訂正発明4の構成に基づく骨折抑制効果(【0126】)についてみても、上記(3)エのとおり、当業者は、甲7発明による骨密度の増加は骨折の予防に寄与すると理解し、投与期間が48週を超えても、骨折抑制の効果が継続すると考えるのが自然であるから、本件第4訂正発明4の効果は、甲7発明から、当業者が予測する範囲内のものであり、格別顕著なものとはいえない。 エ 被請求人の主張について (ア) 被請求人の主張の概要 被請求人は、本件第4訂正発明4に対する無効理由3について、以下の主張をしている。 (i) 本件訂正発明4で特定する48週投与時点の腰椎骨密度変化率を考慮に入れると、48週を超過して投与することは、リスクに見合うベネフィット、あるいはリスクを超えるベネフィットがあるとはいえないので、この観点からも動機づけられず、むしろ阻害要因があるというべきである。また、48週投与以降の新規椎体骨折の骨折発生率は0%であり、甲7発明に比べて低い腰椎骨密度変化率で奏された効果として予想外のことである。 (令和5年9月26日受付の上申書18頁~21頁)。 (ii) 本件訂正発明4は、「48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用」を有し、甲7発明の8.1%と比較して低い骨密度増加作用であるが、それにも拘らず、本件明細書の表35に示されているように、「48週<≦72週」の欄でP群の新規椎体骨折の骨折発生率は5.3%であるところ、PTH200群の新規椎体骨折の骨折発生率は0%、換言すれば、実質的に完全に新規椎体骨折を抑制している。このような骨折抑制効果をもたらすことは、低い腰椎骨密度増加作用からみて予測できたとはいえない。特に、本件訂正発明4の腰椎骨密度変化率(4.9%)は、甲7に記載のM群の3.6%にかなり近接しているところ、腰椎骨密度変化率が3.6%の場合に、6.7%もの椎体骨折が生じていることから、腰椎骨密度変化率が僅かに増加して4.9%となった程度では、M群と同様に骨折が発生する危険性は相当にあることが合理的に推論される。したがって、そのような合理的な推論に反して、4.9%のように腰椎骨密度変化率の低い治療剤が48週投与以降、72週までの新規椎体骨折の発生を0%、換言すれば、実質的に完全に新規椎体骨折を抑制するという抑制効果を奏することは、甲7記載からみて全く予測はできない。 したがって、48週投与以降、72週までの新規椎体骨折の発生率が0%、換言すれば、実質的に完全に新規椎体骨折を抑制するという骨折抑制効果は、「特定のBMIと特定クレアチニンクリアランスを有する骨粗鬆症患者に対し、48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有する骨粗鬆症治療剤又は予防剤を48週を超過して72週以上までの間投与」するという構成から当業者が予測することができなかったものであり、また、骨折の危険性が相当にあると合理的に推論され得たことからみて、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものである。 (令和5年5月22日受付の上申書22頁~23頁)。 (イ) 被請求人の主張に対する判断 (i)の主張について 前記イ(イ)のとおり、「48週以上投与され、48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有し、48週投与以降、72週までの新規椎体骨折を抑制する」とする限定には格別の技術的意義を見いだすことはできない。 この点をさておいても、前記(3)ウ(ウ)のとおり、甲7発明において、同等の骨折抑制の効果が48週を超過してもある程度継続すると考えるのが自然であるところ、試験の結果を示す事実にすぎないとはいえ、甲7発明でも、48週間の投与において椎体骨折が発生していなかったことに鑑みると、本件第4訂正発明4において、48週を超えて72週までの区間での骨折発生数は0件であり、骨折発生率が0%であったとしても、その骨折抑制効果が当業者にとって意外なものとまではいえず、予測し得る範囲内のものであるといえる。 したがって、被請求人の(i)の主張は採用できない。 (ii)の主張について 被請求人が、骨折が6.7%も発生していると指摘する甲7のM群は、甲7発明の認定の基礎にしたH群との対比において低用量である100単位群であり(甲7-キ)、そのPTHの投与量は、甲7発明や本件第4訂正発明4における投与量の半分にすぎない。そして投与量が少なければ、その効果が低減することは当業者の技術常識である。したがって、甲7のM群よりも、骨折抑制効果が高いからといって、本件第4訂正発明4の骨折抑制効果が予想外に高いものであるとはいえない。 前記イ(イ)のとおり、本件第4訂正発明4の「48週以上投与され、48週投与時の腰椎骨密度変化率(%)が平均4.9、標準偏差4.4の骨密度増加作用を有し、48週投与以降、72週までの新規椎体骨折を抑制する」とする限定には格別の技術的意義を見いだすことができず、甲7発明でも、48週間の投与において椎体骨折が発生していなかったことに鑑みると、本件第4訂正発明4において、48週を超えて72週までの区間での骨折発生数は0件であり、骨折発生率が0%であったとしても、その骨折抑制効果が当業者にとって意外なものとまではいえず、予測し得る範囲内のものであるといえることは、上記(i)の主張についてのとおりである。 したがって、被請求人の(ii)の主張は採用できない。 エ 小括 したがって、本件第4訂正発明4は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6) 無効理由3についてのまとめ 以上のとおり、本件第4訂正発明1、3及び4は、甲7発明並びに甲7の記載及び本件基準日における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件第4訂正発明1、3及び4に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 2 無効理由1(明確性要件)について (1) 請求人の主張 請求人は、本件発明における投与量「200単位」に係るPTHの1単位量について、本件明細書の【0034】には、「ここでPTHの1単位量は、自体公知の活性測定方法により測定可能である(非特許文献9)」と記載されているが、同明細書の記載及び非特許文献9である甲4(本件明細書の【0011】参照)の記載を斟酌しても、上記「200単位」にかかるPTH1単位量は具体的な特定を欠いていて、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に把握することができないから、本件発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨、主張する。 (2) 判断 本件明細書の【0034】に甲4(非特許文献9)を引用して記載されているPTHの単位の測定法は、同じく甲4を引用している生化学データブック(乙1)にも示されるような、PTHの生物活性の測定法としてごく一般的なラットアデニルシクラーゼ法である。具体的には、PTHによるラット腎皮質のアデニルシクラーゼ酵素の活性化を、32Pで標識したATP(AT32P)を用いて測定するものである(乙1-ア、乙1-イ)。 PTHは、ラット腎皮質の受容体に結合し、その受容体と連関するアデニルシクラーゼ酵素を活性化させ、そのアデニルシクラーゼ酵素の反応によってATPからcAMP(「3’5’AMP」、「cyclic AMP」とも表記される)へと変換する(甲3-ア)。ラットアデニルシクラーゼ法は、AT32Pを用い、酵素反応によって生成したcAM32P(cAMPのPが32P放射標識体であるもの)を定量することにより、PTHの生物活性を測定する方法である。甲4では、ラット腎皮質をホモジナイズ、精製等して得られたアデニルシクラーゼ酵素調製物(調製法については甲4-ア)とAT32Pを添加した酵素反応用液に、測定目的のPTH試料と、生物活性既知の標準品をそれぞれ添加し、両者のcAM32P産生量を比較することにより(測定方法については甲4-イ、酵素反応用の反応混合物の組成については甲4-ウ、酵素反応のインキュベーション条件と反応中止条件については甲4-エ、標準品については甲4-オ)、PTH試料の生物活性の結果を得ている。 したがって、PTH試料として、本件第4訂正発明1におけるヒトPTH(1-34)を用いたときにも、本件明細書で引用されている甲4記載の方法、もしくは同方法と同じ結果を再現できる同等の方法を用いることにより、200単位のヒトPTH(1-34)の量を当業者は特定できる。 したがって、本件第4訂正発明1、3及び4は明確であるから、請求人が主張する無効理由1には、理由がない。 3 無効理由2(実施可能要件)について 請求人は、上記無効理由1において述べた理由と同じ理由で、本件発明における「200単位」に係るPTH1単位量については、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、その具体的な特定を欠いているため、当業者は、本件発明を実施することができない旨、主張する。 しかしながら、上記2の(2)において述べたとおり、「200単位のヒトPTH(1-34)」は当業者が明確に理解できるものであり、また、甲4記載の「MRC67/342」が入手できないようなことがあった場合にも、例えば「ヒトPTH注(東洋)」や「テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」」を標準品として用いることにより、本件第4訂正発明1における200単位量のヒトPTH(1-34)を測定することができるものである。 したがって、当業者は、本件明細書の記載及び出願時の技術常識に基づき、本件第4訂正発明1、3及び4を実施することができるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件をみたすものであり、請求人が主張する無効理由2には、理由がない。 第11 むすび 以上のとおりであるから、本件第4訂正請求は適法であり、本件特許の特許請求の範囲を、本件第4訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを認める。そして、請求人が主張する無効理由3(進歩性欠如)には理由があり、本件第4訂正後の請求項1、3及び4に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 本件第4訂正により請求項2は削除されたので、請求項2についての審判請求は不適法な請求であり、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下する。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-800077

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