特許異議申立
2018-700988
抽気冷却装置並びにこれを用いた塩素バイパスシステム及びセメントキルン抽気ガスの処理方法
- 審判番号
- 2018-700988
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-193240
- 登録番号
- 特許第6338496号(P6338496)
- 請求日
- 2018年12月05日
- 審決日
- 2019年07月12日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】太平洋セメント株式会社
- 【権利者代理人】中井 潤
- 【異議申立人】松永 健太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 豊永 茂弘
- 審判官 小川 進
- 審判官 櫛引 明佳
- 分類
- P1652.113-XA (C04B) / P1652.121-XA (C04B) / P1652.851-XA (C04B) / P1652.853-XA (C04B) / P1652.856-XA (C04B) / P1652.857-XA (C04B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6338496号発明「抽気冷却装置並びにこれを用いた塩素バイパスシステム及びセメントキルン抽気ガスの処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6338496号の明細書、特許請求の範囲を、平成31年 4月10日付けの手続補正書(方式)によって補正された平成31年3月12日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。
本件特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6338496号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成26年9月24日になされ、平成30年5月18日に特許権の設定登録がされ、同年6月6日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許の請求項1~7に係る特許のうちの、請求項1に係る特許に対し、特許異議申立人 松永健太郎(以下「異議申立人」という。)より、平成30年12月5日付けで特許異議の申立てがなされ、平成31年1月29日付けで特許権者に取消理由が通知され、その取消理由通知の指定期間内である同年3月12日付けで特許権者より意見書及び訂正請求書が提出され、その訂正請求書に対し、同年4月3日付けで特許権者に手続補正指令書(方式)が通知され、その手続補正指令書(方式)の指定期間内である同年同月10日付けで特許権者より、前記訂正請求書についての手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
平成31年4月10日付けの手続補正書(方式)によって補正された、同年3月12日付けの訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)に記載された請求の趣旨、及び、訂正の内容は、それぞれ以下のとおりのものであり、訂正の適否につき、以下のとおり判断する。
1. 訂正請求の趣旨
本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。
2.訂正の内容(当審注:訂正箇所には下線を付した。)
(1) 訂正事項1
請求項1を削除する。
(2) 訂正事項2
請求項2に、「前記分級部は」、「特徴とする請求項1に記載の抽気冷却装置。」とあるのを、それぞれ、
「セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気部と、該抽気ガスを粗粉と、微粉を含むガスとに分離する分級部と、該微粉を含むガスのみを冷却する冷却部とを備え、前記分級部は、」、「特徴とする抽気冷却装置。」に訂正する。
(3) 訂正事項3
請求項3に「請求項1又は2に記載の抽気冷却装置。」とあるのを、
「請求項2に記載の抽気冷却装置。」に訂正し、その結果として、間接的に請求項2を引用する請求項4、5も訂正する。
(4) 訂正事項4
請求項6に「請求項1又は2に記載の抽気冷却装置を用いて」とあるのを、「請求項2に記載の抽気冷却装置を用いて」に訂正し、その結果として、間接的に請求項2を引用する請求項7も訂正する。
(5) 訂正事項5
明細書の【0007】を削除する。
(6) 訂正事項6
明細書の【0008】を削除する。
(7) 訂正事項7
明細書の【0009】に、「上記の抽気冷却装置において」、「流入口とを備えることができる」、「これにより、遠心力のみで」とあるのを、それぞれ、
「上記目的を達成するため、本発明は、抽気冷却装置であって、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気部と、該抽気ガスを粗粉と、微粉を含むガスとに分離する分級部と、該微粉を含むガスのみを冷却する冷却部とを備え」、「流入口とを備えることを特徴する」、「本発明によれば、分級部で抽気ガスを粗粉と、微粉を含むガスとに分離し、冷却部で微粉を含むガスのみを冷却するため、抽気ガス中の原料ダスト濃度が上昇した場合でも、塩素化合物が粗粉ダストの表面に析出することがなく、循環塩素量の上昇を回避し、塩素バイパスダストの塩素濃度が低下して塩素の除去効率が低下することを防止することができる。また、燃焼ガスの抽気、分級、及び冷却を同一の装置で行うことができるため、装置コストを低減することができ、冷却風量を低く抑えることで運転コストの低減にも繋がる。また、遠心力のみで」に訂正する。
(8) 訂正事項8
明細書の【0059】を削除する。
3. 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、特許請求の
範囲の拡張・変更の存否、及び、独立特許要件
(1) 訂正事項1
訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2) 訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1の記載を引用して記載されていたところ、その請求項1に記載されていた、「セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気部と、該抽気ガスを粗粉と、微粉を含むガスとに分離する分級部と、該微粉を含むガスのみを冷却する冷却部とを備え」るとの発明特定事項を請求項2に記載することによって、当該請求項1を引用しないものに訂正しようとするものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3) 訂正事項3~4
訂正事項3~4は、請求項1又は2の記載を引用して訂正前の請求項3~7が記載されていたところ、訂正事項1~2に伴い、訂正後の請求項3~7において、削除された請求項1の記載を引用する態様を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項5、6、8
訂正事項5、6、8は、上記訂正事項1による請求項1の削除と整合させるために、訂正前の請求項1の抽気冷却装置に係る発明についての説明が記載されていた訂正前の明細書の段落【0007】~【0008】、【0059】を削除しようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項7
訂正事項7は、上記訂正事項2による請求項2の訂正と整合させるために、訂正前の請求項2と同様の記載がなされていた明細書の段落【0009】に、訂正前の明細書の段落【0007】~【0008】の記載内容も記載しようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2~7は、請求項1を、直接的に又は間接的に、引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であるところ、訂正事項1~4は、その一群の請求項に対してされたものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合する。
(6) 明細書の訂正と関係する請求項についての説明
訂正事項5~8による明細書の訂正は、訂正事項1~2の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、一群の請求項1~7についてする訂正である。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
(7) 独立特許要件について
ア. 本件特許の請求項1について特許異議の申立てがされたから、訂正事項1について、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件の規定の適用はないし、また、訂正事項2については、上記(2)の検討のとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることのみを目的とするものであるし、また、訂正事項5~8については、上記(4)~(5)の検討のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正事項2、5~8については、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件の規定の適用はない。
イ. ただし、訂正事項3~4については、上記(3)の検討のとおり、それらの訂正事項の目的に特許請求の範囲の減縮を含んでいるし、それらの訂正事項によって訂正される請求項3~7に対しては、特許異議の申立てがされていないから、訂正事項3~4には、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件の規定が適用される。
ウ. そこで、訂正事項3~4による、訂正後の請求項3~7に係る発明が独立特許要件を備えているか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かにつき検討するに、それらの発明は、いずれも、拒絶理由を発見しないとして特許された訂正前の請求項2を直接的又は間接的に引用するものとなったにすぎず、また、異議申立人が提出した証拠(特開2001-72412号公報)を見ても、それらの発明について、新たな拒絶理由が生じるとはいえないから、訂正後の請求項3~7に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
4. 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求書による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕に訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり訂正を認めるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項2~7に係る発明は、平成31年3月12日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2~7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】
セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのキルン排ガス流路より燃焼ガスの一部を抽気する抽気部と、該抽気ガスを粗粉と、微粉を含むガスとに分離する分級部と、該微粉を含むガスのみを冷却する冷却部とを備え、
前記分級部は、前記抽気ガスの入口部、及び前記微粉を含むガスの出口部とを有する有蓋円筒部と、該有蓋円筒部の下方に連続して存在し、最下部より前記粗粉が排出されるコーン部とで構成され、
前記冷却部は、前記コーン部を貫通し、該コーン部及び前記有蓋円筒部の中心部を通過して前記分級部の前記微粉を含むガスの出口部に連通し、冷却用ガスが通過する管路と、前記コーン部及び前記有蓋円筒部の中心部に位置する前記管路の一部に穿設された前記微粉を含むガスの流入口とを備えることを特徴とする抽気冷却装置。
【請求項3】
請求項2に記載の抽気冷却装置と、
該抽気冷却装置で冷却した抽気ガス中のダストを回収する集塵装置と、
該回収したダストを前記セメントキルンの系外へ排出する排出装置とを備えることを特徴とする塩素バイパスシステム。
【請求項4】
前記抽気冷却装置の後段に、該抽気冷却装置で冷却した抽気ガス中のダスト濃度を低下させる除塵装置を備え、該除塵装置でダスト濃度を低下させた抽気ガス中のダストを前記集塵装置で回収することを特徴とする請求項3に記載の塩素バイパスシステム。
【請求項5】
前記集塵装置は、乾式集塵機又は湿式集塵機であることを特徴とする請求項3又は4に記載の塩素バイパスシステム。
【請求項6】
請求項2に記載の抽気冷却装置を用いて前記抽気ガスのダスト濃度を30g/m3N以下に低下させながら、前記微粉を含むガスを600℃以下に冷却することを特徴とするセメントキルン抽気ガスの処理方法。
【請求項7】
前記抽気冷却装置の出口部に石灰石の微粉末又はセメントキルンのプレヒータに投入されているセメント原料を投入することを特徴とする請求項6に記載のセメントキルン抽気ガスの処理方法。」
第4 特許異議の申立てについて
上記第3のとおり、本件特許の請求項1は訂正により削除されたため、本件特許の請求項1~7に係る特許のうちの、請求項1に係る特許に対して、異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなった。
したがって、本件特許についての異議申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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