特許異議申立
2018-700481
サムターン装置およびこれを備えた扉錠
- 審判番号
- 2018-700481
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-288904
- 登録番号
- 特許第6250279号(P6250279)
- 請求日
- 2018年06月13日
- 審決日
- 2019年05月15日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ゴール
- 【権利者代理人】福島 三雄
- 【権利者代理人】塩田 哲也
- 【権利者代理人】福島 正憲
- 【異議申立人】高橋 繁
- 【異議申立人】水野 淳子
- 審判長/審判官
- 審判長 小野 忠悦
- 審判官 井上 博之
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P1651.113-YAA(E05B) / P1651.121-YAA(E05B) / P1651.851-YAA(E05B) / P1651.853-YAA(E05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6250279号発明「サムターン装置およびこれを備えた扉錠」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6250279号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第6250279号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6250279号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成24年12月28日を出願日とし、平成29年12月1日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年12月20日に特許掲載公報が発行された。その後、平成30年6月13日差出で特許異議申立人高橋繁(以下「申立人A」という。)より、同年6月19日に特許異議申立人水野淳子(以下「申立人B」という。)より、請求項1~6に対してそれぞれ特許異議の申立てがされ、同年9月27日付けで取消理由(発送日同じ)が通知され、その指定期間内である同年11月26日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成31年2月8日に申立人Aから、平成31年2月12日に申立人Bから、それぞれ意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
請求項1に、
「建物の外部出入口若しくは部屋の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と、前記胴部材との間に、第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置。」
と記載されているのを、
「水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられていることを特徴とするサムタ-ン装置。」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項2に、
「前記胴部材と扉との間に第二シール材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。」
と記載されているのを、
「前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。」に訂正する。
請求項2を引用する請求項3~6も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項3に、
「前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、このカラーと扉との間に前記第二シール材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。」
と記載されているのを、
「前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。」に訂正する。
請求項3を引用する請求項4~6も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項5に、
「前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、その電動部は、前記錠ケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の扉錠。」
と記載されているのを、
「前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、その電動部は、前記錠ケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠。」
に訂正する。
請求項5を引用する請求項6も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0007】に、
「本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、建物の外部出入口若しくは部屋の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と、前記胴部材との間に、第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置である。」
と記載されているのを、
「本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着されたOリングからなる第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置である。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0008】、【0010】に「扉」と記載されているのを、「前記外開き扉」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0013】に「扉錠」と記載されているのを、「サムターン装置を備える扉錠」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、建物について「水害や津波によって水没しうる」、扉について「中空の外開き」扉、サムターン装置について「扉面に」取り付けられて「ラッチは操作することなく」、第一シール材について「軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は建物、扉、サムターン装置、第一シール材について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「水害や津波によって水没しうる」の訂正については、明細書に「【0228】・・・また、外部出入口に使用することにより、水害や津波によって建物が水没しても、水の建屋内への進入を防ぐことができる。」と記載されている。
「中空の外開き」扉の訂正については、図1、3から看て取れる事項である。
サムターン装置が「扉面に」取り付けられているとの訂正については、図1、3から看て取れる事項である。
「ラッチは操作することなく」の訂正については、図4、5、17~19から看て取れる事項である。
第一シール材が「軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる」訂正については、明細書に「【0036】また、サムターン軸51には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。【0037】・・・【0038】サムターン軸51は、取付溝63にシール材69が装着された状態で、胴部材53の軸穴65に差し込まれる。本実施例では、シール材69としてOリングが用いられる。」と記載されている。
以上のとおり、訂正事項1は明細書等に記載されているものと認められる。
エ 申立人Aの主張について
申立人Aは、「「建物」という用語自体の概念が、当業者や一般の需要者に普通一般に明確である場合に於いて、本件訂正は、{水害や津波によって水没しうる}という新たな特定事項を前記建物の用語に追加(付加)することにより、恰も減縮したようにした。
しかしながら、本件訂正は、外見上特許請求の範囲の減縮に見えるものの、前記水害や津波という自然災害の時期と規模、河川や地形、堤防の有無、建物の構造と設置場所、建物を囲む壁、パッキンを備えた扉枠の構造等の不確定要素や具体的条件によっては、(a)水没する建物と、(b)水没しない建物の範囲が変わる以上、水没しうる建物の意味がかえって不明確になり、第三者は、平成30年11月26日付の本件訂正発明の技術的範囲に被疑物件が含まれるか否か、その基準を、訂正の根拠となった本件訂正明細書の段落0228の記載に求めざるを得なくなる。
・・・
しかるに、前述の段落0228には、「………、水害や津波によって建物が水没しても、………」と記載しているだけであり、前記(a)の場合と(b)の場合とを区別する基準や実証例が全く存在しない。
そもそも、段落0228の記述は「仮定条件(もし、なになにならば)」であり、このような仮定条件を単純に「水没しうる」に言い換えたとしても、前記(a)の場合と(b)の場合とを区別する明確な基準が本件訂正明細書のどこにも記載されていない以上、訂正事項の同一性や範囲を実質的に変更又は拡大するものであると言える。」(平成31年2月8日付意見書1頁下から12行~2頁18行)旨主張している。
しかしながら、「水害や津波によって水没しうる」の訂正については、その意味していることは文字通り解することができるから、明確な記載であるといえる。そして、「建物」に対して「水害や津波によって水没しうる」との限定を行っているから、上記したように実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(2)訂正事項2、3について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項2、3は、扉について「外開き」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項2、3は扉について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「外開き」の訂正については、明細書に「【0022】本実施例の扉錠1が使用される扉3は、開き戸形式とされ、たとえば室外側へ開く外開き扉とされる。」と記載されているから、訂正事項2、3は明細書等に記載されているものと認められる。
(3)訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項4は、扉錠について「サムターン装置を備える」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項4は扉錠について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「サムターン装置を備える」の訂正については、明細書に「【0024】本実施例1の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミの操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを主要部に備える。本実施例1では、扉3の室外側にシリンダー装置19が取り付けられ、扉3の室内側(実験室側)にサムターン装置21が取り付けられる。」と記載されているから、訂正事項4は明細書等に記載されているものと認められる。
(4)訂正事項5~7について
訂正事項5~7は、上記訂正事項1~4の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5~7は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前の請求項1~6は、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。
3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1~7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の請求項1~6に係る発明
上記訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、以下のとおりのものである。(下線は訂正箇所を示す。)
「【請求項1】
水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている
ことを特徴とするサムターン装置。
【請求項2】
前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。
【請求項3】
前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、
このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。
【請求項4】
前記胴部材と、それを取り付けるためのネジとの間に第三シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のサムターン装置。
【請求項5】
前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、
その電動部は、前記錠ケースに内蔵されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠。
【請求項6】
前記錠ケースに進退可能に設けられ、戸先側へ突出するよう付勢されるラッチと、
このラッチを後退させる室内側操作部と、
この室内側操作部を回転可能に保持する座とをさらに備え、
前記室内側操作部と、前記座との間に第四シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の扉錠。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して平成30年9月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2)本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物1~刊行物19に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
刊行物1:特開2007-332672号公報(申立人Aの甲第1号証)
刊行物2:実願昭53-48591号(実開昭54-153592号)のマイクロフィルム(申立人Aの甲第2号証)
刊行物3:特開2012-57316号公報(申立人Aの甲第3号証)
刊行物4:実願昭58-105703号(実開昭60-14065号)のマイクロフィルム(申立人Aの甲第4号証、申立人Bの甲第3号証)
刊行物5:特開2008-63887号公報(申立人Aの甲第5号証、申立人Bの甲第10号証)
刊行物6:特開2009-228287号公報(申立人Aの甲第6号証)
刊行物7:実願平5-10712号(実開平6-71811号)のCD-ROM(申立人Aの甲第7号証)
刊行物8:特開2008-127904号公報(申立人Aの甲第8号証)
刊行物9:米国特許4143897号明細書(申立人Aの甲第9号証)
刊行物10:仏国特許出願公開2395379号明細書(申立人Aの甲第10号証)
刊行物11:独国実用新案202010015392号明細書(申立人Aの甲第11号証)
刊行物12:特開平9-177392号公報(申立人Bの甲第1号証)
刊行物13:登録実用新案3011746号公報(申立人Bの甲第2号証)
刊行物14:実願昭58-199316号(実開昭60-108983号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第4号証)
刊行物15:実願昭61-104414号(実開昭63-10196号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第5号証)
刊行物16:実願昭60-34254号(実開昭61-150969号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第6号証)
刊行物17:実願昭55-104990号(実開昭57-29645号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第7号証)
刊行物18:特開2002-250329号公報(申立人Bの甲第8号証)
刊行物19:登録実用新案3125835号公報(申立人Bの甲第9号証)
3 刊行物の記載
(1)刊行物1には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊1発明」という。)が記載されていると認められる。(下線は決定で付与。以下同じ。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の玄関扉などに設けられる扉錠に関するものである。」
イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の扉錠について、更に詳細に説明する。ここでは、本発明の扉錠が玄関扉に適用される場合について説明する。なお、以下の説明においては、扉が閉鎖した状態において室内外方向を前後方向とし、扉の幅方向を左右方向とする。
【0015】
図1から図3は、本発明の扉錠の一実施例を示す図であり、図1は本実施例の扉錠の扉への取付状態を戸先側から見た図である。また、図2は、本実施例の扉錠の分解斜視図であり室外側から見た図である。図3は、本実施例の扉錠の分解斜視図であり室内側から見た図である。
また、図4は、扉に内蔵された錠ケースを室内側から見た図である。
さらに、図5は、図4の錠ケースの蓋を一部破断した図である。
【0016】
本実施例の扉錠1は、扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース5と、この錠ケース5に設けられ、錠ケース5の戸先側端面から出没可能なデッドボルト21と、扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65とを主要部に備える。
【0017】
錠ケース5は、矩形箱状とされる。本実施例の錠ケース5は、室内側へ開口するケース本体7と、その開口を閉じるようにケース本体7に重ね合わされてネジで固定される矩形板状の蓋9とを備える。
【0018】
錠ケース5は、扉3の戸先側端部の上下方向中央部に取り付けられる。具体的には、図2~図5に示すように、錠ケース5の左側端部には、矩形板状のフロント裏板11が一体的に設けられている。そして、図5に示すように、錠ケース5が扉3に埋め込まれると共に、フロント裏板11が扉3の戸先側端面に重ね合わされて、フロント裏板11を介して扉3の戸先側端部に取付ネジ13がねじ込まれることで錠ケース5が扉3に固定される。
【0019】
また、後述する係止ピン93,99が取り付けられた後、フロント裏板11に矩形板状のフロント板15が重ね合わされる。そして、フロント板15から錠ケース5へフロント取付ネジ17がねじ込まれることで、フロント板15がフロント裏板11に固定される。
なお、フロント裏板11およびフロント板15には、デッドボルト21が通される貫通穴11a,15aがそれぞれ形成されている。
【0020】
錠ケース5には、シリンダー装置41に差し込まれるキーの回転操作またはサムターン装置65のツマミ79の回転操作により回転するカム19と、このカム19の回転動作により戸先側端面から出没可能とされるデッドボルト21が収容されている。」
ウ 「【0035】
図9および図10は、サムターン装置を示す図であり、図9は斜視図、図10(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
サムターン装置65は、サムターン胴66にサムターン軸67が差し込まれて構成されている。
【0036】
サムターン胴66は、略段付き円柱形状とされ、その先端側小径部69には、先端側へ突出して取付部71が形成されている。
取付部71は、円の左右両端部が上下方向(直径方向)に沿う直線により前後方向に切り欠かれた略小判形状とされる。なお、本実施例では、取付部71の上端部は、先端側へ若干突出している。
また、サムターン胴66の基端部には、径方向外側へ若干拡径して拡径部73が形成されている。
【0037】
サムターン胴66には、取付部71を挟んだ左右両側に先端側へ開口するピン穴75,75が形成されている。つまり、サムターン胴66には、左右に離間して二つのピン穴75,75が設けられている。
ピン穴75は、シリンダー装置41のガイドピン53の外径に対応している。
【0038】
本実施例では、ピン穴75の一部が、取付部71の左右側面に重なって形成されており、取付部71の左右側面には、円弧状の溝71aが前後方向に沿って形成されている。
つまり、本実施例では、取付部71の左右両側面に、円弧状の溝71a,71aがピン穴75,75の周側面に連続して前後方向に沿って形成されている。
【0039】
また、取付部71には、後述する係止ピン99がはめ込まれる貫通穴77が左右方向に沿って形成されている。本実施例では、ピン穴75より上方位置に貫通穴77が形成されている。
【0040】
サムターン軸67は、丸棒状であり、その基端部には矩形板状のツマミ79が一体的に設けられており、ツマミ79を回転させることでサムターン軸67が一体回転する。また、サムターン軸67の先端部67aは断面十字状に形成されている。
【0041】
サムターン軸67は、サムターン胴66に前後方向に沿って形成された貫通穴に回転可能にはめ込まれて設けられる。
サムターン胴66にサムターン軸67が取り付けられた状態では、ツマミ79は、サムターン胴66より基端側へ配置されており、サムターン軸67の先端部は、取付部71から先端側へ突出して配置されている。
なお、サムターン胴66にサムターン軸67が設けられた状態では、サムターン軸67は前後方向の移動が規制されている。」
エ 「【0052】
このようにシリンダー装置41が錠ケース5に固定された状態で、サムターン装置65が扉3の室内面側から錠ケース5に取り付けられる。
図13は、図11および図12の状態から錠ケースにサムターン装置が取り付けられた状態を戸先側から見た概略図であり、図14は図13の平面図である。
【0053】・・・
【0054】・・・
【0055】・・・
【0056】
また、サムターン装置65には、シリンダー装置41と同様に、サムターン胴66との間にコイルバネ101を介在させた状態でカラー103が設けられる。
このように、錠ケース5にシリンダー装置41およびサムターン装置65が取り付けられた状態で、フロント裏板11にフロント板15がネジで固定される。」
オ 上記ア~エ及び図1~15の記載と技術常識から、サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作することは明らかである。
カ 上記ア~オの記載を踏まえると以下の刊1発明が記載されていると認められる。
刊1発明
「住宅の玄関扉などに設けられる扉錠に関するものであり、
扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース5と、この錠ケース5に設けられ、錠ケース5の戸先側端面から出没可能なデッドボルト21と、扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65とを主要部に備え、
サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作しており、
サムターン装置65は、サムターン胴66にサムターン軸67が差し込まれて構成されており、
サムターン軸67は、丸棒状であり、その基端部には矩形板状のツマミ79が一体的に設けられており、ツマミ79を回転させることでサムターン軸67が一体回転し、
サムターン軸67は、サムターン胴66に前後方向に沿って形成された貫通穴に回転可能にはめ込まれて設けられており、
シリンダー装置41が錠ケース5に固定された状態で、サムターン装置65が扉3の室内面側から錠ケース5に取り付けられ、
サムターン装置65には、シリンダー装置41と同様に、サムターン胴66との間にコイルバネ101を介在させた状態でカラー103が設けられる、
扉錠。」
(2)刊行物2には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊2発明」という。)が記載されていると認められる。
ア 「本考案は、シリンダ錠に係り、特に、作動が円滑で、しかも防水および防塵構造を有するシリンダ錠に関する。」(3頁7行~9行)
イ 「以下本考案の実施例を第2図ないし第7図を参照して説明する。
第2図において符号1は前記錠箱を示し、この錠箱1は、扉Dの自由端縁部に形成された錠箱洞9内に収納されており、内部には、前記ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11および図示しないデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられている。
一方、扉Dの自由端縁部には、上記ラツチ11などの出し入れ操作機構の中心軸線と同軸に、扉表面から上記錠箱洞9に至る切欠孔8,8が開口しており、扉Dの外側および内側表面における切欠孔8の開口を閉塞するように、錠箱1を挾むようにして外側および内側ノブ2,3が同軸的に配置されている。すなわち、扉Dの外側表面には、切欠孔8の開口を覆うようにノブ座12が取付けられており、このノブ座12には、外側握り玉13に同軸かつ一体的に結合された連結筒14が回動自在に支承されている。この連結筒14の内端縁には一対のラツチバー15,15が結合されており、これらのラツチバー15,15の内端部は、錠箱1のラツチ操作部材(図示せず)の係合孔に挿入され、外側握り玉13とラツチ操作部材とを連結している。また、上記連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられた前記キーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材(図示せず)を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されている。なお、内側ノブ3の構造は、シリンダ5およびクラツチ6を除けば外側ノブ2のそれと同様であるから、その詳細な説明は省略する。
他方、前記錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されている。第2図の実施例では、この保護カバー16は、キーバー4およびラツチバー15,15を内側に収納できる内径を有する短筒体で、その外端縁部はノブ座12の底面(内端面)に支持されている。
上記のように構成された本考案によるシリンダ錠は、切欠孔8の内面にけばやささくれなどが生じていても、けばなどは上記保護カバー16に遮ぎられてキーバー4の回動に干渉しない。」(4頁下から6行~6頁下から6行)
ウ 「さらにまた、経年使用や扉とノブとの熱膨張差などによって、扉Dとノブ座12との間にわずかでも隙間が生ずると、特に外側ノブ側では外部から水気や塵埃などが侵入することかあるが、本考案によるシリンダ錠においては、これら水気などは保護カバー16に遮ぎられて機構部に侵入し難くなる。」(7頁2行~8行)
エ 「なお、例えば浴室などの錠の場合には、上記とは反対に、扉の内面側に保護カバーを設けた方がよい。また、保護カバー16のフランジは、例えば水滴などか侵入した場合、水切りか良いという利点がある。」(7頁末行~8頁3行)
オ 「さらにまた、保護カバーを防水および防塵の機能を果すので、シリンダ錠機構部の発錆や、塵埃の侵入などによる機構部の作動不良などを防止できる、など種々の効果を奏する。」(10頁12行~15行)
カ 上記ア~オの記載を踏まえると以下の刊2発明が記載されていると認められる。
刊2発明
「防水および防塵構造を有するシリンダ錠に関するものであり、
錠箱1は、扉Dの自由端縁部に形成された錠箱洞9内に収納されており、内部には、ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11およびデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられており、
扉Dの自由端縁部には、上記ラツチ11などの出し入れ操作機構の中心軸線と同軸に、扉表面から上記錠箱洞9に至る切欠孔8,8が開口しており、扉Dの外側および内側表面における切欠孔8の開口を閉塞するように、錠箱1を挾むようにして外側および内側ノブ2,3が同軸的に配置されており、
扉Dの外側表面には、切欠孔8の開口を覆うようにノブ座12が取付けられており、このノブ座12には、外側握り玉13に同軸かつ一体的に結合された連結筒14が回動自在に支承されており、この連結筒14の内端縁には一対のラツチバー15,15が結合されており、これらのラツチバー15,15の内端部は、錠箱1のラツチ操作部材の係合孔に挿入され、外側握り玉13とラッチ操作部材とを連結しており、
上記連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられたキーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されており、
内側ノブ3の構造は、シリンダ5およびクラツチ6を除けば外側ノブ2のそれと同様であり、
錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されており、
保護カバー16は防水および防塵の機能を果す、
シリンダ錠。」
(3)刊行物3には、次の記載がある。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の施錠装置では、施錠装置の内部に生じる隙間を介して、屋外の空気や雨水などが屋内に侵入するといった可能性が皆無ではなく、この種の問題は、近年、数多く建設されている高層マンションなどでは、特に懸念される。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、施錠装置の内部に生じる隙間を介して屋外の空気や雨水などが屋内に侵入するのを防止することのできる錠前用サムターンを提供することを目的とするものである。」
イ 「【0011】
本発明の実施の形態に係る施錠装置1は、開閉体である扉2に内蔵される錠箱(図示省略)と、扉2の屋外側に露出するシリンダー錠(図示省略)と、扉2の屋内側に露出する回転式の錠前用サムターン3とを備えて構成されている。そして、前記錠箱にはラッチボルトやデッドボルト(いずれも図示省略)、及びデッドカム42などが設けられており、錠前用サムターン3に回動操作力を入力することによって、或いは、前記シリンダー錠をキーによって回動することによって、前記ラッチボルト及び前記デッドボルトが扉2の木口から進退可能となっている。
【0012】
錠前用サムターン3は、前記錠箱に固定される筒状支持部4と、筒状支持部4に回動自在に支持される筒状軸部材5と、扉2の屋内側から筒状軸部材5に取り付けられる摘み部6と、摘み部6の反対側から筒状軸部材5に取り付けられるコア部7とを備えて構成されている。
・・・
【0015】
筒状軸部材5は、軸方向に沿って略円筒形に形成され、屋内側端部の上下にはそれぞれ内側に入り込むように係止片20が形成されている。また、筒状軸部材5の屋外側端面には、4個の欠込み部21が互いに隣接する欠込み部21との中心角が90°となるように形成されており、また、筒状軸部材3の屋外側外周部には、上下に対向するようにそれぞれ掛止孔22が形成されている。
【0016】
摘み部6は、平板状に形成され、屋内側に露出して設けられる操作部23と、筒状軸部材5に挿入される挿入部24とから構成されている。そして、挿入部24には切欠凹部25が形成されており、この切欠凹部25に係止片20を係止することにより、摘み部6が筒状軸部材5に固定されるようになっている。
【0017】
コア部7は、軸方向に沿って形成され、筒状軸部材5に挿入される小径部26と、小径部26より大径でデッドカム42の凹部42aに挿入される大径部27とを備えている。小径部26には、4個の小突出部28が互いに隣接する小突出部28との中心角が90°となるように断面十字形状に形成されていると共に、筒状軸部材5の掛止孔22に対応した位置に掛止凹部29が形成され、掛止孔22及び掛止凹部29にクリップ30を掛止させることにより、コア部7が筒状軸部材5に固定されるようになっている。
【0018】
大径部27には、4個の大突出部31が互いに隣接する大突出部31との中心角が90°となるように断面十字形状に形成され、大突出部31と小突出部28との間に段差部32が形成されている。大径部27の大突出部31は筒状軸部材5の欠込み部21に係合し、欠込み部21に段差部32が当接することにより筒状軸部材5に対するコア部7の挿入深さが規制されるようになっている。
【0019】
コア部7の大径部27には、隙間閉塞部材33が設けられている。この隙間閉塞部材33は、大径部27に圧入される円形板状のスペーサ34と、スペーサ34に貼付される弾性体35とから構成されている。
【0020】
スペーサ34は、図2に示されているように、円形板に、大径部27に挿入可能な通孔36が形成されて構成され、この通孔36は、円形部分37に4個の凸部38が放射状に均等間隔(中心角90°)で形成されて構成されている。円形部37の4箇所の円弧部分にはそれぞれリブ突起39が突設されており、このリブ突起39によってスペーサ34が大径部27に圧入されるようになっている。また、通孔36の外周角部は曲成されており、大径部27へのスペーサ34の圧入作業が円滑且つ容易に行えるようになっている。さらに、スペーサ34を大径部27に圧入すると、互いに隣接するリブ突起39の間の当接部40が筒状軸部材5の屋外側端面41(図1参照)に当接することにより、コア部7に対するスペーサ34の取付位置が位置決めされるようになっている。
【0021】
弾性体35は、例えば、発泡ポリエチレン製であり、図3に示されているように、スペーサ34より小径且つデッドカム42の凹部42aの外径と同一又は大径の円形板に、スペーサ34の通孔36と同一の大きさ及び同一形状の通孔37が形成された2枚の弾性板43を重合して貼り合わせることにより構成されており、スペーサ34に両面テープなどを介して貼付されるようになっている。
【0022】
このように、スペーサ34には、大径部27に圧入可能なように通孔36が形成されていると共に、当接部40が筒状軸部材5の屋外側端面41に当接するように形成されているため、隙間閉塞部材33をコア部7の大径部27に取り付けると、コア部7と筒状軸部材5との間の隙間はスペーサ34により閉塞される。
【0023】
また、弾性体35には、デッドカム42の凹部42aの外径と同一又は大径の円形板に、大径部27に挿入可能な通孔44が形成された弾性板43が設けられているため、隙間閉塞部材33をコア部7の大径部27に取り付けると、デッドカム42の凹部42aに挿入されるコア部7の端部とデッドカム42との間の隙間は弾性体35により填塞される。
【0024】
したがって、上記した本発明の実施の形態に係る錠前用サムターン1によれば、コア部7と筒状軸部材5との間の隙間やコア部7の端部とデッドカム42との間の隙間が隙間閉塞部材33によって閉塞されるため、屋外の空気や雨水などが内部の隙間を介して屋内に侵入するのを確実に防止することができる。」
(4)刊行物4には、次の記載がある。
ア 「<技術分野>
本考案は、例えば船舶用又は金庫用として使用される水密錠装置に関する。
・・・
<目的>
本考案は、上記に鑑みて、ハンドル軸部の防水も完全に行い得る水密錠装置の提供を目的としている。」(1頁13行~2頁5行)
イ 「<実施例>
以下、本考案の一実施例を第1図ないし第4図に基づいて説明すると、これは、扉本体1に固定された軸受筒2と、該軸受筒2に回転自在に支承されたハンドル軸3と、扉取付壁に係合するために該ハンドル軸3に連動して扉本体1の側面1aから出退自在に該扉本体に取付けられた係合子4とを具え、前記軸受筒2の中央孔内周壁と前記ハンドル軸3との間に防水シール環5が介設されたものである。
・・・そしてハンドル軸3の外端鍔部3aと前記円筒部12の外端間には板状のシールパツキン16が介装され、また円筒部12の内壁に環状溝17が形成され、該溝17に前記シール環5がその内面を前記ハンドル軸3の外周面に密着するように嵌合されている。更に前記円筒部12及び取付杆14は、その外端にシール環18,19が外嵌されて錠本体20に嵌合され、ビス21で固定されている。
更に前記錠本体20には、鍵錠22が前記ハンドル軸3に並設され、該鍵錠22は、前記錠本体に嵌合された支持筒23と、該支持筒に回転自在に内嵌され先端が錠本体20がら室内側へ突出する鍵孔24付鍵筒25とを具えて成る。そして前記支持筒23はシール環26が外嵌されて前記錠本体20と密着され、また鍵筒25は、支持筒23の内壁の環溝27に嵌合されたシール環28により、該支持筒23と密着されている。
・・・
なお、閉鎖時には錠本体11と軸受筒2、軸受筒とハンドル軸3、取付杆14と錠本体11、錠本体11と支持筒23、及び支持筒23と鍵筒25は夫々シール環5,19,26,28により水密構造とされているため、錠部分からの浸水の恐れはなく、扉本体1のシール材8と共に扉を完全な水密構造にできる。」(2頁6行~5頁下から2行)
(5)刊行物5には、次の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、扉側リード線を介して電気錠に接続した扉側通電装置と、制御盤側リード線を介して扉枠に設けた枠側通電装置とを有する電気錠用の通電装置に関する。」
イ 「【実施例】【0025】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1から図16に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る電気錠用の通電装置を取り付けた使用状態の一例を示した正面図、図2は扉の閉鎖時で通電状態を示した図1の要部縦断面図である。
図1で、aは扉枠bの開口を開放又は閉塞するスイング式の扉であって、この扉aの一端側(吊り元側)は扉枠bの縦框b2に丁番1で枢支されているとともに、該扉aの他端側(自由端側)の戸先側には電気錠2が取り付けられている。
・・・
【0033】
次に、前記扉側通電装置20は扉側リード線21を介して電気錠2に接続されているので、電気錠2について以下に説明する。
この電気錠2の錠ケース2a内には、前記扉側通電装置20のほかに、第1制御装置51と第2制御装置55とからなる制御回路50と、錠ケース2aの両側壁間に回動自在に軸支されたハブ5のハブ孔5aに嵌挿されている操作杆5bをシリンダーのキー操作やサムターン操作などの手動操作により回動して出没作動される錠杆3と、前記制御回路50にリード線6を介して接続された可逆回転モータ7と、この可逆回転モータ7の駆動により傘歯車等の歯車列を回動して錠杆3を電気的に出没作動させる歯車伝達機構8と、通電制御用のマイクロスイッチ9と、扉の開閉確認用のリードスイッチ16などを設けている。」
(6)刊行物6には、次の記載がある。
「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を室内ドアのハンドル取付座に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図10において1は玄関および勝手口を除く室内の間仕切り用ドアで、該ドア1の一側端部に錠取付穴2が開口され、該錠取付穴2に錠前3が収容されている。
前記錠前3の一端にラッチボルト4が出没可能に設けられ、その他側端側に角穴5が設けられ、該角穴5に室外側のレバ-ハンドル6にピン7aを介して連結した角芯棒7が係合可能に挿入されている。
【0013】
図中、8は錠取付穴2の開口縁部に形成した縦長矩形の切欠溝で、該溝8に錠前3と一体の取付板9と、フロント板10とが重合して収容され、これらがビス11を介してドア1の側端部に取り付けられている。
前記角穴5の両側に係合孔12が形成され、該孔12,12と前記角穴5に対応するドア1の内部に貫通孔13,14が形成され、該貫通孔13,14がドア1の内外面に開口している。
【0014】
前記貫通孔13,14に前記角芯棒7と、真鍮等の金属製の連結パイプ15が挿入され、このうち連結パイプ15は貫通孔13を介して係合孔12に挿入され、その長さはドア1の厚さより若干長尺に形成されている。
前記連結パイプ15の管内全域に雌ネジ部16が形成され、該雌ネジ部16にドア1の内外からビス17をねじ込み可能にされ、後述するハンドル取付座をドア1の内外に取り付け可能にしている。
【0015】
前記連結パイプ15の一端に切欠溝18が形成され、該スリット18の両側に略円弧状断面の係止爪19が対向して形成され、該係合爪19,19を後述するハンドル取付座の内面に形成した係合溝20に係合可能に配置している。
【0016】
前記ハンドル取付座21,22は貫通孔13,14に臨むドア1の内外面に配置され、該ハンドル取付座21,22は合成樹脂または亜鉛若しくはアルミダイカスト合金によって略円板状に成形されている。
前記内外のハンドル取付座21,22は実質的に同一に構成され、これを外側のハンドル取付座21で説明すると、ハンドル取付座21のドア1の表面と反対側の表面は額縁状に形成され、その凹状の平坦面23の外周に凸部24が環状に形成されている。
この場合、ハンドル取付座21,22は円板状に限らず、楕円、小判形、矩形、正五~八角形、その他の異形に形成することも可能である。
【0017】
前記平坦面23の中央に、レバ-ハンドル6の軸部先端6aを挿入可能な通孔25が形成され、該通孔25より外側の平坦面23に一対の凹孔26と矩形の凹部27とが互いに直交して配置されている。
このうち、凹孔26に前記ビス17の頭部17aが収容可能にされ、該凹孔26の底部に前記ビス17の螺軸を挿入可能な通孔28が形成されている。
【0018】
また、前記凹部27に両面接着テ-プ(図示略)または接着剤を介して、マグネットシ-ト29が取り付けられ、該マグネットシ-ト29の外面にカバ-である、磁性を有する金属製の化粧板30が取り付けられている。
実施形態では前記化粧板30として、板厚0.8mmの比較的肉厚のステンレス鋼板を使用し、該化粧板30をマグネットシ-ト29に重合して配置し、該化粧板30の表面を前記凸部24と同高位置または若干高位置若しくは低位置に位置付けている。」
(7)刊行物7には、次の記載がある。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 箱形に形成され前面にフロントが設けられる錠ケースと、該錠ケースに回動可能に嵌着され外周面に駆動突起が設けられ、内部に設けられた角孔にドアハンドルが連結されるハブと、前壁及び後壁が屈曲形成され、上記錠ケースに設けられた起立壁と上記前壁との間に挿入される復帰用スプリングによりフロント方向に付勢され、上記後壁が上記駆動突起に当接するレトラクタと、上記フロントより出没可能なラッチヘッドの後端に軸部が形成され、上記前壁及び後壁を貫通する上記軸部の端部に鍔部が設けられるラッチボルトと、上記ヘッドの後端と上記前壁との間に挿入されるラッチスプリングとから成る錠装置において、
上記ハブにストッパ受け面を形成し、上記錠ケースに回動可能に嵌着されるカムの外周面に押動突起を設け、上記カムの内部に設けられる角孔に、室内側のサムターンに連結する角軸を挿入し、一端が上記押動突起に係合し上記カムの回動により他端が上記ストッパ受け面に係脱するストッパを設け、上記カムに係合し上記カムが施錠角度のときに上記ラッチボルトの後端に当接する位置に移動するプッシュプレートを設けたことを特徴とする錠装置。」
(8)刊行物8には、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠ケースに進退可能に設けられるラッチボルトを突出させた状態で後退規制可能なストッパーと、
上方位置または下方位置において、ソレノイドの作動に基づき回動することで前記ストッパーによるラッチボルトの後退規制の有無を変更するテコ板と、
ソレノイドの非通電時において、ストッパーによりラッチボルトを後退規制するか否かを切り替えるために、前記テコ板を上方位置または下方位置に位置決めする切替機構と
を備えることを特徴とする電気錠。
【請求項2】
錠ケースに進退可能に設けられるラッチボルトと、
錠ケースに枢支されてラッチボルトを後退不能に係止するよう付勢されるストッパーと、
ソレノイドにより枢軸まわりに回動し、その枢軸が錠ケースに対し上下動可能に保持されたテコ板と、
このテコ板と前記ストッパーとを連結する第一リンク材と、
前記枢軸を上方位置または下方位置に位置決めする切替機構とを備え、
前記切替機構により前記枢軸が上方位置に配置された状態では、ソレノイドの作動により前記テコ板が前記第一リンク材を介して前記ストッパーを付勢力に対抗して回動させてラッチボルトの後退を可能とする一方、
前記切替機構により前記枢軸が下方位置に配置された状態では、前記テコ板が前記ストッパーを付勢力に対抗して回動させてラッチボルトの後退を可能とし、ソレノイドの作動により前記ストッパーが前記ラッチボルトの後退を規制する
ことを特徴とする電気錠。」
(9)刊行物9には、次の記載がある。
ア 「OBJECTS AND SUMMARY OF THE INVENTION
It is, therefore, an object of this invention to provide a fire shielded doorlatch knob assembly for locksets having particular use in the inner lockset knob assembly for fire resistant doors of structures・・・」(3欄1行~7行)
(仮訳)「本発明の目的は、構造物の耐火ドアのための内側ロックセットノブ組立体に特に使用されるロックセット用防火ドアラッチノブ組立体を提供することである・・・」
イ 「The tubular wall 64 of the fire resistant shield 54 is axially outwardly closed by a preferably integral end wall 65, of course, also formed of fire resistant material. In the particular first embodiment shown, with the turnbutton shaft 50 included in this inside doorlatch knob assembly 18, the turnbutton shaft extends axially through the shield end wall 64 and is closely surrounded thereby with only a very minimum of clearance therebetween to permit independent rotation of the turnbutton shaft relative to the shield.」(5欄59行~末行)
(仮訳)「耐火シールド54の管状壁64は、好ましくは一体の端壁65によって軸方向外側に閉鎖されており、勿論耐火材料から形成されている。この内側ドアラッチノブアセンブリ18に含まれるターンボタンシャフト50と共に、ターンボタンシャフトは、シールド端壁64を通って軸方向に延び、その間に非常に最小限の隙間で密接に囲まれ、シールドに対して回転軸を回転させる。」
ウ 「With the positioning of the fire resistant shield 54 within the inside doorlatch knob assembly 18, despite melting and destruction of the knob 34, flames are still prevented from inward penetration into the fire resistant door l2 so that the drive washer 42 will be protected retaining the half round spindle 48 to thereby retain the doorlatch mechanism 16 function.」(7欄23行~30行)
(仮訳)「ノブ34の溶融及び破壊にもかかわらず、内側ドアラッチノブ組立体18内の耐火シールド54の位置決めにより、火炎は耐火ドア12内への内向きの侵入を防止され、半円形の軸48を保持する駆動ワッシヤ42は、ドアラッチ機構16の機能を保護する。」
(10)刊行物10には、次の記載がある。
「chacune de ces moities de poignee comportant, a son extremite, en forme d'arbre, tournee vers 1'autre moitie de poignee un ecusson de protection interne en acier et un ecusson de protection externne en alliage leger,lesquels ecussons viennent porter contre la surface exterieure de la porte d ' une facon etanche de maniere a empecher le passage des gaz produits par un incendie eventuel,」(6頁12行~18行)
(仮訳)「ハンドル半部の各々は、ハンドルの他の半分に向かってスチールの内部保護シールドと、表面に当接するエスカッションである軽合金の外部保護シールドとをシャフトの端部に有する端部を有している火災の可能性があるガスの通過を防止するために、鋼の内側エスカッション(10)と軽合金の外側エスカッション(11)とがスリーブ(13)に具備される。」
(11)刊行物11には、次の記載がある。
ア 「【0030】・・・Die Lagerscheibe 14 ist mit dem Turblatt 3 fest verbunden, beispielsweise mittels einer Verschraubung. Dabei ist zur gasdichten Abdichtung bevorzugt zwischen der Lagerscheibe 14 und der Bandseite 5 des Tiirblatts 5 eine weitere Dichteinrichtung vorgesehen.」
(仮訳)「支持板14は、例えばねじによってドアパネル3に固定的に接続されている。この場合、支持板14とドアパネル3のヒンジ側5との間を気密に密封するために、別の密封装置を設けることが好ましい。」
イ 「3.Verschlusseinrichtung nach Anspruch l oder 2, dadurch gekennzeichnet,dass zwischen den Betatigungseinrichtungen(21,34)eine die Steckachse(13)umgebende gasdichte Dichtungseinrichtung (99)vorgesehen sind.」
(仮訳)「作動装置(21,34)の間に前記貫通軸(13)を取り囲む気密シール装置(99)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の閉鎖装置。」
(12)刊行物12には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊12発明」という。)が記載されていると認められる。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉などの開閉体の錠構造に関するものである。」
イ 「【0011】本発明の開閉体の錠構造が配設される開閉体1は、本実施の形態では、基端縁が蝶番にて建物躯体に連結された玄関などのドアであり、このドア1の先端縁である揺動端縁1aに、この錠構造2が配設される。
【0012】この錠構造2は、錠箱3と、操作部材4と、スペーサ5と、台座6と、カバー9とで構成されている。
【0013】錠箱3は、略方形箱状に形成され、ドア1の端縁1aにおける端面である木口より一側のフロント板のみが表出してドア1の揺動端縁1aに埋め込まれるように設けられている。この錠箱3内には、図示しない施解錠機構が内蔵されており、この機構に連動連結されたラッチボルトとデッドボルト(図示せず)とが前記フロント板に穿設されている通孔より進退自在となるように配設されている。
【0014】また、この錠箱3内の機構を介してラッチボルト及びデッドボルトと後述する操作部材4とを連結するための上下一対の取付穴3a,3bが錠箱3の表裏面に貫通して形成されている。そして、これら取付穴3a,3bに対応する貫通孔1b,1cがドア1の表裏両面1o,1iにそれぞれ穿設され、これら貫通孔1b,1cより各取付穴3a,3bがドア1の表裏面1o,1iに表出するようになっている。
【0015】次に、操作部材4は、シリンダー4Aと、サムターン4Bと、ノブ4Cとで構成されている。シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになっている。
【0016】また、ノブ4Cは、屋内側と屋外側の一対で構成され、各基端が他方の取付穴3bを介してラッチボルトに連動連結されているとともに、ドアにおける表裏両面1o,1iより突出するように配設され、回動操作によってラッチボルトの進退操作を行えるようになっている。
【0017】次にスペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設される。
【0018】なお、このスペーサ5に穿設される穴5aの内径は、前記各操作部材4の貫通孔1b,1cに位置する軸部外径に略等しくなるよう設定されて形成され、貫通孔1b,1cと軸部外径との隙間が閉塞されるようになっている。
【0019】次に、台座6は、亜鉛ダイカストなどの金属よりなり、上下両端縁にZ字状に折曲形成されたベース片7が延設されている矩形な略短冊状に形成され、一対で構成されている。
【0020】また、この台座6には、支持孔6aが穿設されており、前述した各操作部材4の軸部等が貫通するようになっている。そして、この台座6は、ドア1の表裏面1o,1iに、前記スペーサ5を介し、このスペーサ5をドア1の板面とで挟持するようにネジ8などの固定手段にて固定されるとともに、各操作部材4を支持するようになっている。なお、この台座6の縦横の長さは、スペーサ5と同等に形成される。
【0021】次にカバー9は、耐候性が良好な樹脂、例えばABS樹脂,アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂,ウレタン発泡樹脂やポリプロピレン,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレートなどよりなり、一側が開口した略方形箱状に形成されているとともに、前記台座6の支持孔6aに対応する挿通孔9aが穿設されている。
【0022】そして、このカバー9は、内側面9bが台座6に密着し、この台座6及びスペーサ5を被覆するようにドア1の表裏面1o,1iに取り付けられる。なお、このカバー9には、ノブ4Cやサムターン4Bなどの操作部材4に接触することがなく、これらによる負荷が加わらず、また、このカバー9のドア1への取付手段としては、台座6にネジなどを用いて固定してもよく、また、台座6に対して鉤状爪にて着脱が容易となるように取り付けるよう構成してもよい。
【0023】従ってこのように構成された錠構造2によれば、ドア1の表裏両面1o,1iに突出するノブ4Cやシリンダー4A,サムターン4Bの周囲を樹脂製のカバー9にて構成したので、寒冷地におけるドア1を隔てた屋外Oと屋内Iとの気温差にて、ドア1の屋内I側が結露を生じても、屋外O側から錠箱3を介して伝わる低い気温の冷気によって、その水滴が氷結してしまうことがなく、すなわちサムターン4Bが固着してその動作不良を起こすことなく、確実な施解錠動作を行える。
【0024】特に、この錠構造2では、ドア1の板面1o,1iと台座6との間にゴム製のスペーサ5が介設されているので、屋外Oからの冷気が隙間より吹き込むことがなく、また台座6自体に屋外O側からの冷気が伝わらず、結露が生じにくく、氷結が起こらない。」
ウ 上記ア、イの記載を踏まえると以下の刊12発明が記載されていると認められる。
刊12発明
「扉などの開閉体の錠構造に関するものであり、
基端縁が蝶番にて建物躯体に連結された玄関などのドアであり、このドア1の先端縁である揺動端縁1aに、この錠構造2が配設され、
この錠構造2は、錠箱3と、操作部材4と、スペーサ5と、台座6と、カバー9とで構成されており、
錠箱3内には、施解錠機構が内蔵されており、この機構に連動連結されたラッチボルトとデッドボルトとがフロント板に穿設されている通孔より進退自在となるように配設されており、
操作部材4は、シリンダー4Aと、サムターン4Bと、ノブ4Cとで構成されており、シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになっており、
ノブ4Cは、屋内側と屋外側の一対で構成され、各基端が他方の取付穴3bを介してラッチボルトに連動連結されているとともに、ドアにおける表裏両面1o,1iより突出するように配設され、回動操作によってラッチボルトの進退操作を行えるようになっており、
スペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され、
このスペーサ5に穿設される穴5aの内径は、前記各操作部材4の貫通孔1b,1cに位置する軸部外径に略等しくなるよう設定されて形成され、貫通孔1b,1cと軸部外径との隙間が閉塞されるようになっており、
ドア1の板面1o,1iと台座6との間にゴム製のスペーサ5が介設されているので、屋外Oからの冷気が隙間より吹き込むことがなく、また台座6自体に屋外O側からの冷気が伝わらず、結露が生じにくく、氷結が起こらない、
錠構造。」
(13)刊行物13には、次の記載がある。
「【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
図面において、1は倉庫等の室、2は側壁、3は緊急時出入用の開口部、4は開口部3に嵌着された扉取付枠、5は扉であり、6は扉締付装置である。そして、前記扉5は、扉取付枠4の室外側垂直面4Aに、垂直軸7を有するヒンジ8により片開状にかつ開閉可能に取付けられており、前記扉5の扉取付枠4との対向面5Aには、扉全周にわたってシール部材9(例えばシールゴム)が固着され、前記枠外側面4Aにはシール部材9に対応して帯板状のシールゴム又は戸当り板10が固着されている。
【0009】
前記扉5の左右幅方向中央部には、上下に位置して軸挿通孔11が水平にかつ扉5を貫通して設けられており、該孔11を利用して前記扉締付装置6が夫々取付けられている。なお、上下の扉締付装置6は、共に同一形状・寸法で、しかも、開閉操作も全く同じである。
【0010】
前記扉締付装置6は、前記軸挿通孔11に挿通され、かつ両端が室内・外に突出状に気密構造の内・外軸受12,13を介して取付けられた締付操作軸14と、該軸14の両端に固着された内・外の回動操作ハンドル15,16と、前記操作軸14の雄ねじ部17に螺合された締付アーム18とから成っている。
【0011】
前記内側軸受12は、前記扉5の内側面5A(対向面)に気密状に取付けられた筒状台座19のフランジ19Aに気密状に固着されており、軸受12の内端が前記扉取付枠4の室内側垂直面4Bよりも扉5側に位置せられ、該軸受12の内端よりも内方に位置して前記操作軸14に前記雄ねじ部17が設けられている。
【0012】
前記外側軸受13は、図4に示すように、扉5の外側面5Bに気密状に取付けられた軸受箱20と、該軸受箱20内に嵌装され、かつ前記操作軸14に設けたフランジ部21の軸方向両側に位置せられたスラストベアリング22,23とからなり、前記軸受箱20内には、グリースを封入すると共にパッキン24を嵌装して気密状態が確保されており、前記スラストベアリング22,23により操作軸14の軸方向移動を不能にしている。」
(14)刊行物14には、次の記載がある。
ア 「この考案は、屋内外に設置されるプレハブ式冷蔵庫の扉体の安全装置に関するもので、気密性及び断熱性を向上させるとともに冷蔵庫内に入つた者が庫内に閉じ込められた状態におかれても、庫内から安全に扉体を開放して脱出できるようにしたことを特徴とするものである。」(2頁3行~9行)
イ 「前記安全装置6は、前記扉体4におけるラツチ錠5の開閉操作部すなわちレバー5a側の直下部に穿設された貫通口7内に、レバー5aと係合してラツチ錠5をラツチ受5bから解錠し得る操作棒8を貫通させるとともに、貫通口7の庫内側および庫外側には、操作棒8とのすき間を気水密に保持するシール部材9,9を取り付け、かつ、貫通口7内における操作棒8の一部に、前記シール部材9に当接する操作棒脱落防止用突片であるピン10を直交状に突設して成る構造となっている。」(4頁17行~5頁7行まで)
ウ 「第5図はこの考案の第二実施例を示すもので、シール部材9の別の取付態様を示す場合である。すなわち、前記貫通口7を形成する筒体11の両端面にそれぞれ底部が膨隆する環状凹溝12,12を形成しておき、この環状凹溝12内に、シール部材9のフランジ部9aから突出する環状係合部9dをスナツプ嵌合させた場合である。」(6頁2行~9行)
(15)刊行物15には、次の記載がある。
ア 「〔産業上の利用分野〕
本考案は、半導体製造工場などのクリーンルームの外壁扉に関する。」(1頁下から7行~5行)
イ 「また、扉1の開閉用ハンドル5の回動軸5aの外周にも第3図に示すように薄板ゴムを積層させた円板状のゴムパッキン9を配設するが、このパッキン9は扉1の面板の外側に位置し、ハンドル5を扉1に取り付けるための皿状固定金具5b内に収容する。
このようにして、ハンドル5はその軸部をゴムパッキン9でシールされ、・・・
〔考案の効果〕
以上述べたように、本考案のクリーンルームの外壁扉は、扉と扉枠との係合のみならず扉自体に存する開口部として、締付ボルトやハンドル周囲をシールするようにしたので、従来よりもエアタイト性を向上させ、目に見えないほこりの侵入をほぼ完全に遮断できるものである。」(5頁1行~19行)
(16)刊行物16には、次の記載がある。
ア 「「産業上の利用分野」
本考案は、密閉扉を左開きと右開きの両用に使用可能とするハンドル装置に関するものである。」(2頁2行~4行)
イ 「また、図中Aは、密閉扉11を係止するためのハンドル装置を示している。このハンドル装置Aは、扉枠12に対する密閉扉11のヒンジ結合側であつて、密閉扉11の端部の上下所定位置に各々設けられている。ハンドル装置Aは、密閉扉11をその厚さ方向に貫通して設けられたハンドル軸20と、このハンドル軸20を通し、密閉扉11の内部に設けられた補強用の筒体21と、密閉扉11の前面側のハンドル軸20の一端にリングパツキン22と座金23とを介して取り付けられた主ハンドル体24と、密閉扉11の背面側のハンドル軸20の他端にリングパツキン25を介して取り付けられた副ハンドル体26とからなつている。」(8頁下から3行~9頁11行)
(17)刊行物17には、次の記載がある。
ア 「この考案は自動車におけるキーシリンダ取付部の排水構造に関するものである。」(1頁12行~13行)
イ 「ホルダ3はプラスチツク材あるいはアルミダイキヤストにより成形されていて、その円筒部3aの内部にキーシリンダ1を嵌め込んで抜け止めのキー4を施し、円筒部3aの外周部をパネル2の取付孔2aに挿入する。そしてホルダ3の外殻部3bとパネル2との間にシール材5を挟むとともに、パネル2の内部においてパネル2とホルダ3の円筒部3aとの間に取付用のクリツプ(図示しない)を嵌挿すれば、外殻部3bがシール材5を介してパネル2に圧接するとともに、ホルダ3がパネル2に固定される。」(2頁2行~12行)
(18)刊行物18には、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】一般にねじは製品を組み立てたり、部品を取り付けたりするのに、その組立部品としてあらゆる製品に使用されている。ところが最近では、製品に組み込まれている部品が精密であったり、水分を嫌う精度の高い電子部品であったりして、これらを内蔵するケースの組立には種々の工夫がなされている。その一例として、携帯電話、コンピュータ機器等では電子機器を内蔵する樹脂製のケースの組立において、ねじ込み箇所にその都度、シール剤を塗布してねじの頭部とカバーとをを密着させたり、図7及び図8に示すようなOリング104をねじ101の首部120に嵌め込み、これをケース本体130に固定されるカバー132の貫通穴133に挿入してねじ込むことで、このOリング104が貫通穴133の上部に形成されている座ぐり穴134とねじ101の頭部102の座面との間で撓み変形してカバー132とねじ101とに密着して隙間を無くして湿気及び雨水等の水分が内部に浸入しないようにしているのが現状である。」
(19)刊行物19には、次の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本考案は、ドアのレバーハンドル、特に湿気の多い浴室等のドアに用いるレバーハンドルに関するものである。」
イ 「【0016】
また、ハンドル本体1の基部3とハンドル軸端部5の結合部分6には、ハンドル本体1に開口する頂部が皿状になったねじ孔で構成された皿ねじ孔7が、その基部3と端部5の両部に亘って形成されている。皿ねじ孔7は、本実施形態では例えば上部が6mmφの皿孔で、ねじ孔径が4mmφ程度になっているが之に限るものでなく、ハンドル本体1の形状や大きさなどにより適宜選択される。
【0017】
一方、皿ねじ孔7に螺入される固定ねじは、頭部が丸皿になった丸皿固定ねじ8で構成されている。丸皿固定ねじ8には、逆円錐台状の防水パッキン9が圧入されて一体になっている。従って、ねじの締付の際に、丸皿固定ねじ8にいちいち防水パッキン9を装着する必要がなく、締付操作が簡単になる。
丸皿固定ねじ8は、例えば丸皿頭部の外径が8.5mmφで、ねじ径が4mmφになっている。防水パッキン9は、例えばポリアミド係樹脂やシリコン樹脂のような耐熱性と熱膨張性を有する素材により前記皿ねじ孔7に合わせた形状、例えば外径が6mmφで、内径が4mmφ以下に形成される。
【0018】
そして、本実施形態では丸皿固定ねじ8に前記防水パッキン9を差し込んで丸皿固定ねじ8の頭部裏面に配置させて一体になった丸皿固定ねじ8を、皿ねじ孔7に螺入することによって、ハンドル本体1とハンドル軸とを固定する。
【0019】
丸皿固定ねじ8の締付によりハンドル本体1を固定すると、防水パッキン9が皿ねじ孔7の皿部に密着し、皿ねじ孔7上部を確実に封鎖する。即ち、丸皿固定ねじ8によって弾力性のある防水パッキン9の逆円錐形部が皿ねじ孔7の皿部に入り込みを確実に密封できる。つまり、丸皿固定ねじ8の丸皿頭部と防水パッキン9が、蓋として機能して皿ねじ孔7を封鎖するので、例えば浴室のドア用のように湿気が比較的多い箇所や水が掛かるような箇所において使用されるドア用に利用してもレバーハンドルの結合部分から錆や腐食が解消される。
【0020】
また、ねじ孔を皿ねじ孔7にすると、丸皿固定ねじ8が皿部に案内されて垂直に装入される。つまり、丸皿固定ねじ8が皿部分によって垂直に呼び込まれ、またドライバ用溝が比較的大きいことから、ドライバが確実に装着されて外れ難くなり、傷を付けなくなる。
【0021】
上述の実施形態では、防水パッキンが丸皿固定ねじと一体になっているが、独立させて螺入の際に、丸皿固定ねじに取付けるようにしてもよい。この防水パッキンは、前記に例示した素材以外のものでもよく弾力性のあるその他の合成樹脂製やゴムなどのパッキンを用いることができる。」
4 取消理由通知に記載した取消理由(第29条第1項第3号、第29条第2項)について
(1)刊行物1を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊1発明の「扉3」、「錠ケース5」、「デッドボルト21」、「サムターン装置65」、「サムターン軸67」、「サムターン胴66」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「錠ケース」、「デッドボルト」、「サムターン装置」、「サムターン軸」、「胴部材」に相当する。
b 刊1発明の「住宅の玄関扉」は建物の外部出入口の扉であるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される」「扉」に相当する。
c 刊1発明の「サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作しており」は、本件発明1の「ラツチは操作することなく前記デッドボルトを操作する」に相当する。
d 刊1発明の「扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65」は、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」に相当する。
e 上記a~dから、本件発明1と刊1発明は、以下の点で一致し、相違点1~4で相違する。
(一致点)
「建物の外部出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させる、サムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備える、
サムターン装置。」
(相違点1)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点2)
扉について、本件発明1が「中空の外開き」扉であるのに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点3)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点4)
本件発明1が「サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。
(イ)判断
まず、相違点4について検討する。
刊行物2~4、9~19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されており、特に刊行物3においては、摘み部6に連動するコア部7の大径部27の周囲に隙間閉塞部材33を設けることが記載され(上記3(3)参照)、また、刊行物4においては、鍵筒25は、支持筒23の内壁の環溝27に嵌合されたシール環28により、該支持筒23と密着されることが記載されている(上記3(4)参照)。
しかしながら、刊行物3、4の部品構成は、刊1発明のサムターン軸67、サムターン胴66の構成と同じ位置関係や状態ではないことから、刊行物3に記載された隙間閉塞部材33や刊行物4に記載されたシール環28を選択的に採用し、刊1発明のどの部分にどのように適用するかは当業者にとって多くの選択肢が存在するものである。加えて、刊行物3、4において刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けることが示唆されているわけでもないことから、刊行物3、4の記載を参酌しても刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けるようにすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。また、建材の部材間にシール材を設けることが刊行物2~4、9~19から周知技術であるとしても、刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けることが示唆されているとはいえず、刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けるようにすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
さらに、刊行物5~8にも相違点4に係る本件発明1の構成は記載されていない。
したがって、刊1発明において、相違点4に係る本件発明1の構成にすることは、当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊1発明、刊行物2~刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、刊1発明、刊行物2~刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(2)刊行物2を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊2発明の「扉D」、「錠箱1」、「シリンダ5」、「デツドボルト」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「錠ケース」、「シリンダー」、「デッドボルト」に相当する。
b 刊2発明の「扉D」は建物における出入り口に使用されるものであることは明らかであるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉」と、「建物の」「出入口に使用される」「扉」の点で共通する。
c 刊2発明は「ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11およびデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられており」「連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられたキーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されて」いることから、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」と、「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられて」「前記デッドボルトを操作するサムターン装置」の点で共通する。
d 上記cから見て、刊2発明の「キーバー4」は「デツドボルトを出し入れ操作する」部材であるから、本件発明1の「回転動作により前記デッドボルトを進退させる」「サムターン軸」に相当する。
e 上記a~dから、本件発明1と刊2発明は、以下の点で一致し、相違点A~Eで相違する。
(一致点)
「建物の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるサムターン軸を有する、
サムターン装置。」
(相違点A)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点B)
扉について、本件発明1が「外部」出入口に使用される「中空の外開き」扉であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点C)
サムターン装置について、本件発明1が「ラッチは操作することなく」デッドボルトを操作するサムターン装置であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点D)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点E)
本件発明1が「このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊2発明は「錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されて」いる点。
(イ)判断
まず、相違点Eについて検討する。
刊2発明においては、「キーバー4の外側には保護カバー16が配置されて」いるものの、刊2発明において、本件発明1の「サムターン軸を回転可能に保持する胴部材」に相当する部材がどの部材であるのか特定できず、仮に刊2発明の「連結筒14」や「ラツチバー15」のいずれかの部材が、本件発明1の「胴部材」に相当するとしても、「連結筒14」や「ラツチバー15」と「キーバー4」との間にシール材を設けることは、刊行物2には記載されておらず、また、そのようなことを示唆する記載もない。
したがって、相違点Eは実質的な相違点であるから、本件発明1と刊2発明は同一ではない。
また、刊行物3、4、9~19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されているが、当該記載事項を参酌しても、刊2発明において、「胴部材」に相当する部材が特定できないこと、あるいは「連結筒14」や「ラツチバー15」と「キーバー4」との間にシール材をあえて設ける動機付けはないことから、相違点Eに係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。さらに、刊行物1、5~8にも相違点Eに係る本件発明1の構成は記載されていない。
そして、申立人Aは、「本件発明1のサムターン軸51に相当するキーバー4と、本件発明1の胴部材53に相当するノブ座12との間に、本件発明1の第一シール材69に相当する筒状の保護カバー16が、前記キーバー4に外嵌合した状態で組み込まれていることが容易に読み取ることができる。」(申立人Aの申立書9頁下から7行~2行)旨主張している。しかしながら、刊行物2の第2図から見ても、「ノブ座12」と「キーバー4」との間には「連結筒14」や「ラツチバー15」が存在していることが看て取れることから、「ノブ座12」は「キーバー4」を「回転可能に保持する」部材であるとはいえず、「ノブ座12」が、本件発明1の「胴部材」に相当しているとはいえない。
(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊2発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、本件発明1は、刊2発明、及び刊行物1、刊行物3~刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、本件発明2、3は、刊2発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、同様に、本件発明2~6は、刊2発明、及び刊行物1、刊行物3~刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(3)刊行物12を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊12発明の「ドア1」、「デッドボルト」、「錠箱3」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「デッドボルト」、「錠ケース」に相当する。
b 刊12発明の「建物躯体に連結された玄関などのドア」は建物の外部出入口の扉であるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される」「扉」に相当する。
c 刊12発明の「シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになって」いることは、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」に相当する。
d 刊12発明の「サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており」、「デッドボルトの進退操作を」「サムターン4Bの回動操作によって行うようになって」いることから、サムターン4Bは軸部を有していることは明らかであり、当該軸部は、本件発明1の「回転動作により前記デッドボルトを進退させる」「サムターン軸」に相当する。
e 上記a~dから、本件発明1と刊12発明は、以下の点で一致し、相違点ア~エで相違する。
(一致点)
「建物の外部出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるサムターン軸を有する、
サムターン装置。」
(相違点ア)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点イ)
扉について、本件発明1が「中空の外開き」扉であるのに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点ウ)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点エ)
本件発明1が「このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊12発明は「スペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され」ている点。
(イ)判断
まず、相違点エについて検討する。
刊12発明においては、「スペーサ5」が「ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され」ているものの、刊12発明において、本件発明1の「サムターン軸を回転可能に保持する胴部材」に相当する部材がどの部材であるのか特定できず、仮に申立人Bが申立書で主張するように(申立書19頁下から6行~末行)、刊12発明の「台座6」が、本件発明1の「胴部材」に相当するとしても、「台座6」と「サムターン4B」との間にシール材を設けることは、刊行物12には記載されておらず、また、そのようなことを示唆する記載もない。
また、刊行物2~4、9~11、13~19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されているが、当該記載事項を参酌しても、刊12発明において、「台座6」と「サムターン4B」との間にあえてシール材を設ける動機付けはなく、相違点エに係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。さらに、刊行物1、5~8にも相違点エに係る本件発明1の構成は記載されていない。
そして、申立人Bは、「b本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(i)
本件特許発明1の構成D(決定注;「前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」構成に相当。以下同様。)と同じ構成を有する発明が甲第2号証(決定注;刊行物13に相当。以下同様。)に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第2号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第2号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。
c本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(ii)
・・・当業者は、甲1-1発明に、甲第3号証(決定注;刊行物4に相当。以下同様。)に記載の発明を適用しても、本件特許発明1に容易に想到することができる。この理由を説明するに、本件特許発明1の構成Dと同じ構成を有する発明が甲第3号証に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第3号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第3号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。
d本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(iii)
・・・当業者は、甲1-1発明に、甲第4号証(決定注;刊行物14に相当。以下同様。)に記載の発明を適用しても、本件特許発明1に容易に想到することができる。この理由を説明するに、本件特許発明1の構成Dと同じ構成を有する発明が甲第4号証に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第4号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第4号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。」(申立人Bの申立書21頁1行~24頁下から5行)旨主張している。しかしながら、刊行物4、13、14に記載された事項は、サムターンに相当する部材がない等、刊12発明とは前提となる構造が異なっており、刊行物4、13、14に記載された事項から何をどのように選択し、刊12発明のどの部分に適用するかは、多くの選択肢が存在しうるものであるし、上記したように、「台座6」と「サムターン4B」との間にあえてシール材を設ける動機付けはないから、刊12発明において相違点エに係る本件発明1の構成とすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊12発明、刊行物1~11、刊行物13~19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
イ 本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、刊12発明、刊行物1~11、刊行物13~19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700481