特許異議申立
2018-700136
パラジウム又はパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤、めっき液、めっき液へのシアン耐性付与方法
- 審判番号
- 2018-700136
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-004908外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月19日
- 審決日
- 2019年04月10日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.113-YAA(C25D) / P1651.537-YAA(C25D) / P1651.121-YAA(C25D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6189878号発明「パラジウム又はパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤、めっき液、めっき液へのシアン耐性付与方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6189878号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕について訂正することを認める。
特許第6189878号の請求項8~12に係る特許を維持する。
特許第6189878号の請求項1~7、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6189878号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成27年1月14日になされ、平成29年8月10日に特許権の設定登録がなされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人 小林美帆子(以下、「異議申立人」という。)より、平成30年2月19日に本件特許の全請求項(請求項1~13)に対し、甲第1号証~甲第5号証を証拠方法とする特許異議の申立てがなされ、同年4月26日付けで当審より取消理由が通知され、その取消理由通知の指定期間内である同年7月6日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正請求があり、同年8月22日付けで当審より取消理由(決定の予告)が通知され、同年10月16日に特許権者代理人 弁理士 伊藤武泰らとの面接が行われ、前記取消理由(決定の予告)の通知の指定期間内である同年10月23日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正請求があり、同年12月5日付けで異議申立人より、甲第6号証が添付された、意見書が提出され、同年同月28日付けで当審より取消理由(決定の予告)が通知され、当該取消理由(決定の予告)の通知の指定期間内である平成31年3月11日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正(以下、「本件訂正」という。)請求があったものである。
(証拠方法)
甲第1号証:特開2000-303199号公報
甲第2号証:特開平11-189891号公報
甲第3号証:特開平7-278870号公報
甲第4号証:特開平7-11475号公報
甲第5号証:特開平9-235691号公報
甲第6号証:特開昭58-130297号公報
なお、本件訂正請求がされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、平成30年7月6日付けの訂正請求と平成30年10月23日付けの訂正請求は、いずれも、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
本件訂正請求の請求の趣旨、及び、訂正の内容は、それぞれ以下のとおりのものであり、本件訂正の適否につき、以下のとおり判断する。
1. 訂正請求の趣旨
本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを求める。
2.訂正の内容
(1) 訂正事項1
請求項8に「前記芳香族化合物が、ベンゼンスルホンアミド、ベンズアミド、馬尿酸、ニコチン酸、ニコチンアミド、ピリジンスルホン酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、イソニコチンアミド、ナフタレントリスルホン酸、クマリン酸、クロロベンゼンスルホンアミド、ジクロロベンゼンスルホンアミド、クロロシアノピリジン、クロロニコチンアミド、ピリジン、ピリジンスルホンアミド、スルホベンズアルデヒドナトリウム、スルホベンズイミド、およびクマリンからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシアン耐性付与剤。」とあるのを、
「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤であって、
前記芳香族化合物が、ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される、前記シアン耐性付与剤。」に訂正し、その結果として、請求項8の記載を直接的または間接的に引用する請求項9~12も訂正する。
(2) 訂正事項2
請求項1を削除する。
(3) 訂正事項3
請求項2を削除する。
(4) 訂正事項4
請求項3を削除する。
(5) 訂正事項5
請求項4を削除する。
(6) 訂正事項6
請求項5を削除する。
(7) 訂正事項7
請求項6を削除する。
(8) 訂正事項8
請求項7を削除する。
(9) 訂正事項9
請求項9に「請求項1~8に記載のいずれか一項に記載の」とあるのを、
「請求項8に記載の」に訂正する。その結果として、請求項9の記載を引用する請求項10も訂正する。
(10) 訂正事項10
請求項11に「請求項1~8のいずれか一項に記載の」とあるのを、
「請求項8に記載の」に訂正する。
(11) 訂正事項11
請求項12に「請求項1~8のいずれか一項に記載の」とあるのを、
「請求項8に記載の」に訂正する。
(12) 訂正事項12
請求項13を削除する。
2. 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求 の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項8が、訂正前の請求項1の記載を引用して記載されていたところ、その請求項1に記載されていた、「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」との発明特定事項を請求項8に記載することによって、当該請求項1を引用しないものに訂正しようとするとともに、訂正前の請求項8に記載されていた「芳香族化合物」についての選択肢から、ベンゼンスルホンアミド、ニコチン酸、ニコチンアミド、ピリジンスルホン酸、イソニコチンアミド、ナフタレントリスルホン酸、クロロベンゼンスルホンアミド、ジクロロベンゼンスルホンアミド、ピリジン、ピリジンスルホンアミド、スルホベンズアルデヒドナトリウム、スルホベンズイミド、およびクマリンを削除することによって、その選択肢の減縮を図ろうとするものであるから、特許請求の範囲の減縮と、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることとを目的とするものであって、新規事項の追加に該当しない。
訂正後の請求項8は、訂正前の請求項1が備えていた、「(但し、パラジウムもしくはパラジウム合金めっきがシアン化セレンカリウムを含む場合、シアン耐性付与剤はピリジン3スルホン酸ナトリウムを含まない)」との発明特定事項を備えていないが、前記した選択肢の減縮の際に「ピリジンスルホン酸」が削除されたことに伴い、その発明特定事項の対象となっている「ピリジン3スルホン酸ナトリウム」も含まないものとなったため、訂正後の請求項8が、その発明特定事項を備えていないことは、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものとする理由とはなり得ない。
また、他に、訂正後の請求項8が、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものとし得る理由は見当たらない。
(2) 訂正事項2~8
訂正事項2~8は、訂正前の請求項1~7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項9~11
訂正事項9~11は、訂正前の請求項9、11、12が、請求項1~8の記載を引用して記載されていたところ、訂正事項2~8にともない、訂正前の請求項1~7の記載を引用しないようにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項12
訂正事項12は、訂正前の請求項13を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項1~12について
本件特許の全請求項について特許異議の申立てがされたので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定が適用される請求項はなく、したがって、訂正事項1~12には、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定が適用されない。
また、訂正前の請求項2~13は、訂正前の請求項1を直接的または間接的に引用する引用する請求項であって請求項1の訂正がある場合には、その訂正に連動して訂正されるものであり、訂正前の請求項1~13に対応する訂正後の請求項1~13は一群の請求項であるところ、本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法120条の5第4項に適合する。
そして、本件訂正請求では、特定の請求項に係る訂正事項について別の訂正単位とする求めはないから、本件訂正請求は、訂正後の請求項〔1~13〕を訂正単位として訂正の請求をするものである。
3. むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1~13について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり訂正することを認めるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項8~12に係る発明(それぞれ、「本件訂正発明8」~「本件訂正発明12」ということがあり、また、これらを、まとめて、「本件訂正発明」ということがある。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項8~12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
なお、訂正前の請求項1~7、13に係る発明は存在しないものとなった。
「【請求項8】
電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤であって、
前記芳香族化合物が、ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される、前記シアン耐性付与剤。
【請求項9】
請求項8に記載のシアン耐性付与剤と、可溶性パラジウム塩とを含んでなる、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液。
【請求項10】
パラジウム合金めっきが、パラジウムと、ニッケル、コバルト、金、銀、銅、鉄、亜鉛、スズ、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、およびインジウムからなる群より選択される1または2以上の金属との合金めっきである、請求項9に記載のパラジウムもしくはパラジウム合金めっき液。
【請求項11】
請求項8に記載の芳香族化合物を、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に加えることを含んでなる、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液にシアン耐性を付与する方法。
【請求項12】
請求項8に記載のシアン耐性付与剤を、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に加えためっき浴を用意し、該めっき浴中において、基材を電気めっき処理することを含んでなる、パラジウムめっき方法。」
第4 特許異議の申立てについて
1. 申立理由の概要
異議申立人は特許異議申立書において、以下の甲第1~5号証を提示して、以下の申立理由1~3によって、本件訂正前の請求項1~13に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1) 申立理由1(特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号))
(1-1) 本件訂正前の請求項1~3、5~9、11~13に係る発明は、甲第1~5号証に記載された発明である。
(1-2) 本件訂正前の請求項4に係る発明は、甲第1~4号証に記載された発明である。
(1-3) 本件訂正前の請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。
(2) 申立理由2(特許法第36条第6項第2号について(同法第113条第4号))
本件訂正前の請求項4の「前記複素芳香族化合物」が指し示す「複素芳香族化合物」は、その請求項4が請求項3を引用し、その請求項3が請求項1を引用する場合に、不明確であるので、本件訂正前の請求項4の記載では、特許を受けようとする発明が明確でなく、また、その請求項4の記載を引用している、本件訂正前の請求項5~13の記載も、その請求項4と同様に、特許を受けようとする発明が明確でなく、また、本件訂正前の請求項7には、「電子求引性基」の選択肢の中に、「2-アミノプロピオン酸(-CH2C(NH2)COOH)」と「アクリル酸」とが含まれているが、「2-アミノプロピオン酸」と「アクリル酸」は、いずれも、化合物であって、「電子求引性基」ではないことから、本件訂正前の請求項7の記載では、特許を受けようとする発明が明確でなく、また、その請求項7の記載を引用している、本件訂正前の請求項8~13の記載も、その請求項7と同様に、特許を受けようとする発明が明確でない。
(3) 申立理由3(特許法第36条第6項第3号について(同法第113条第4号)) 本件訂正前の請求項1における、ただし書きは、その請求項1の表現を徒に冗長にする記載である。
2. 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~13に係る特許に対して、上記1.(1)(1-1)~(1-3)の申立理由1と上記1.(2)の申立理由2とを採用して、平成30年4月26日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおり。
(1) 本件の請求項1~13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1~5号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1~13に係る特許は取り消すべきものである。
(2) 本件の請求項4~13に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件の請求項4~13に係る特許は取り消すべきものである。
3. 取消理由(決定の予告)の概要
(3-1) 平成30年8月22日付けの取消理由(決定の予告)の概要
平成30年7月6日付けで訂正請求された、本件訂正前の請求項1~13に係る特許に対して、平成30年8月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告、以下、「取消理由(決定の予告1)」という。)の概要は次のとおり。
本件の請求項1~13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1~5号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1~13に係る特許は取り消すべきものである。
(3-2) 平成30年12月28日付けの取消理由(決定の予告)の概要
平成30年10月23日付けの訂正請求で、請求項1~7と請求項13とが削除されたところ、本件訂正前の請求項8~12に係る特許に対して、平成30年8月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告、以下、「取消理由(決定の予告2)」という。)の概要は次のとおり。
本件の請求項8~12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第6号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件の請求項8~12に係る特許は取り消すべきものである。
4. 取消理由、取消理由(決定の予告1)および取消理由(決定の予告
2)に対する当審の判断
(1) 本件特許の特許請求の範囲の記載の不備についての取消理由に対す
る当審の判断
上記2.(2)のとおり、本件訂正前の請求項4~13に係る特許に対して、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の取消理由を通知していた。そして、この取消理由は、上記2.のとおり、上記1.(2)の申立理由2を採用した取消理由であり、本件訂正前の請求項4の記載不備と本件訂正前の請求項7の記載不備とを根拠としている。
しかしながら、上記第2のとおり本件訂正請求による訂正が認められることによって、訂正前の請求項1~7、13は削除され、記載不備に係る取消理由の根拠となった請求項は存在しないものとなったため、本件特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満すものとなった。
したがって、上記第3に示した請求項8~12の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の取消理由を有しないものである。
(2) 本件特許の発明が甲各号証に記載されたものである旨の取消理由、
取消理由(決定の予告1)および取消理由(決定の予告2)に対する
当審の判断
上記1.(1)(1-1)~(1-3)の申立理由1を採用して、上記2.(1)のとおり、本件訂正前の請求項1~13に係る発明について、甲第1~5号証に記載されたものである旨の取消理由を通知し、また、上記3.(3-1)のとおり、取消理由(決定の予告1)においても、本件訂正前の請求項1~13に係る発明について、甲第1~5号証に記載されたものである旨の取消理由を通知し、また、上記3.(3-2)のとおり、取消理由(決定の予告2)においては、本件訂正前の請求項8~12に係る発明について、甲第6号証に記載されたものである旨の取消理由を通知した。
なお、取消理由、取消理由(決定の予告1)および取消理由(決定の予告2)を、まとめて、「取消理由」ということがある。
そこで、以下では、上記第3に示した本件訂正発明が甲各号証に記載されたものか否かについて、順次検討することとする。
(2-1) 甲各号証の記載事項(当審注:「…」は記載の省略を表す。)
及び甲各号証記載の発明
(2-1-1) 甲第1号証の記載事項及び甲第1証記載の発明
甲第1号証には次の記載がある。
1ア. 「【請求項1】 パラジウムに換算して1~50g/Lの可溶性パラジウム塩、銅に換算して0.01~50g/Lの可溶性銅塩、50~500g/Lの導電性化合物、0.01~40g/Lのピリジン環含有化合物、及び半金属に換算して0.001~2g/Lの可溶性半金属化合物を含有することを特徴とするパラジウム合金めっき液。」
1イ. 「【0033】ピリジン環含有化合物としては、例えばピリジン環と酸性基又は前記酸性基から誘導される基とを有する化合物が挙げられ、具体的にはピリジンスルホン酸系化合物、及びピリジンカルボン酸系化合物が挙げられる。
【0034】前記ピリジンスルホン酸系化合物としては、例えばピリジンスルホン酸、ピリジンスルホン酸塩、及び前記ピリジンスルホン酸から誘導されるアミドであるピリジンスルホン酸アミド等が挙げられる。
【0035】前記ピリジンスルホン酸としては、例えばピリジン-3-スルホン酸及びピリジン-4-スルホン酸等が挙げられる。
・・・
【0037】前記ピリジンスルホン酸アミドとしては、例えばピリジン-3-スルホン酸アミド及びピリジン-4-スルホン酸アミド等が挙げられる。
【0038】前記ピリジンカルボン酸系化合物としては、例えばピリジンカルボン酸、ピリジンカルボン酸塩、及び前記ピリジンカルボン酸から誘導されるアミドであるピリジンカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0039】前記ピリジンカルボン酸としては、例えばピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、及びキノリン酸等が挙げられる。
・・・
【0041】前記ピリジンカルボン酸アミドとしては、例えばニコチン酸アミド、ピコリン酸アミド、及びイソニコチン酸アミド等が挙げられる。
【0042】この発明においては、前記ピリジン環含有化合物の1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。」
1ウ. 「【実施例】(実施例1)以下の組成を有するパラジウム合金めっき浴を用いて、液温50℃、陰極電流密度1.0A/dm2、時間60分の条件で、真鍮の基材にパラジウム-銅合金めっきを施した。
【0066】
テトラアンミンパラジウム塩化物 …8g/L(Pdとして)
硫酸銅 …6g/L(Cuとして)
ピロ燐酸カリウム …100g/L
ピリジン-3-スルホン酸 …5g/L
亜セレン酸 …0.02g/L(Seとして)
硫酸にてpH=8に調整
前記基材に形成されたパラジウム-銅合金めっき層は、鏡面であり、白色の色調を有し、厚みが約12μmであり、荷重15gにおけるビッカース硬度が約300Hvであった。前記基材を90°に曲げ、100~200倍の金属顕微鏡で観察したがめっき層にクラックの発生は見られなかった。
・・・
【0073】(実施例3)以下の組成を有するパラジウム合金めっき浴を用いて、液温50℃、陰極電流密度2.0A/dm2、時間30分の条件で、実施例1と同様の基材にパラジウム-銅合金めっきを施した。
【0074】
ジアンミンパラジウム亜硝酸塩 …8g/L(Pdとして)
ピロ燐酸銅 …6g/L(Cuとして)
硝酸アンモニウム …100g/L
ニコチン酸アミド …5g/L
亜テルル酸 …0.02g/L(Teとして)
硫酸にてpH=9に調整
前記基材に形成されたパラジウム-銅合金めっき層は、鏡面であり、白色の色調を有し、厚みが約12μmであり、荷重15gにおけるビッカース硬度が約300Hvであった。前記基材を90°に曲げ、実施例1と同様にしてクラックの有無を観察したが、めっき層にクラックの発生は見られなかった。」
1エ. 「【0123】この発明によって提供されるパラジウム-銅めっき部材等のパラジウム-銅合金めっき部材は、美麗な白色光沢を有し、クラックなどの欠陥がなく、耐食性にすぐれためっき層を表面に有するから、電力、自動制御、及び情報処理等の分野における電気回路中の接点等の電気・電子部品、並びに装飾品等として好ましい。」
1オ. 上記1ア.によれば、甲第1号証には、パラジウムに換算して1~50g/Lの可溶性パラジウム塩、銅に換算して0.01~50g/Lの可溶性銅塩、50~500g/Lの導電性化合物、0.01~40g/Lのピリジン環含有化合物、及び半金属に換算して0.001~2g/Lの可溶性半金属化合物を含有することを特徴とするパラジウム合金めっき液が記載されていると認められる。
1カ. 上記1ウ.~1エ.によれば、上記1オ.に示したパラジウム合金めっき液を用いて基材に電気めっき処理すると、基材上に美麗な白色光沢を有するパラジウム合金めっき層が形成された部材、すなわち、美麗な白色光沢を有するパラジウム合金めっき部材を得ることができると認められる。
1キ. また、上記1ウ.によれば、上記1オ.に示したパラジウム合金めっき液におけるピリジン環含有化合物とは、具体的には、ピリジン-3-スルホン酸またはニコチン酸アミドであると認められる。
1ク. さらに、上記1イ.によれば、 上記1オ.に示したパラジウム合金めっき液におけるピリジン環含有化合物とは、具体的には、ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドであると認められる。
1ケ. 上記1オ.~1ク.の検討を踏まえ、パラジウム合金めっき液におけるピリジン環含有化合物に注目すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドである、パラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物。」
1コ. また、上記1オ.~1ク.の検討を踏まえ、パラジウム合金めっき液に注目すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
「パラジウムに換算して1~50g/Lの可溶性パラジウム塩、銅に換算して0.01~50g/Lの可溶性銅塩、50~500g/Lの導電性化合物、0.01~40g/Lのピリジン環含有化合物、及び半金属に換算して0.001~2g/Lの可溶性半金属化合物を含有するパラジウム合金めっき液であって、前記ピリジン環含有化合物が甲1発明1からなる、パラジウム合金めっき液。」
1サ. また、上記1オ.~1ク.の検討を踏まえ、パラジウム合金めっき液の作成法に注目すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明3」という。)が記載されていると認められる。
「パラジウムに換算して1~50g/Lの可溶性パラジウム塩、銅に換算して0.01~50g/Lの可溶性銅塩、50~500g/Lの導電性化合物、0.01~40g/Lのピリジン環含有化合物、及び半金属に換算して0.001~2g/Lの可溶性半金属化合物を含有させるパラジウム合金めっき液の作成法であって、前記ピリジン環含有化合物が甲1発明1からなる、パラジウム合金めっき液の作成法。」
1シ. また、上記1オ.~1ク.の検討を踏まえ、パラジウム合金めっき法に注目すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲1発明2のパラジウム合金めっき液を用いて基材に電気めっき処理する、パラジウム合金めっき法。」
(2-1-2) 甲第2号証の記載事項及び甲第2号証記載の発明
甲第2号証には次の記載がある。
2ア. 「【請求項1】 可溶性パラジウム塩をパラジウム量として、1~30g/L、ピリジンスルホン酸又はその塩を0.1~20g/L、可溶性タリウム塩を0.1~300ppm含むことを特徴とするパラジウム電気めっき液。」
2イ. 「【0008】本発明に用いるピリジンスルホン酸またはその塩としては、例えば、ピリジン3スルホン酸、ピリジン3スルホン酸アンモニウム、ピリジン3スルホン酸カリウムなどが挙げられる。ピリジンスルホン酸またはその塩は、めっき液中に0.1~20g/L、好ましくは3~10g/L配合される。これらは単独ないし2種以上併用して用いることができる。ピリジンスルホン酸またはその塩はバラジウム結晶を微細化し緻密な析出物を得る効果がある。」
2ウ. 「【0012】
【実施例】以下に、本発明の実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
パラジウム電気めっき液の組成
ジクロロテトラアンミンパラジウム 4g/L(Pd量として)
ピリジン3スルホン酸 5g/L
硝酸タリウム 27ppm
硝酸アンモニウム 400g/L
塩化アンモニウム 107g/L
アンモニア水または希塩酸にてpH8に調整
めっき液温度 50℃
めっき試験基材としてハルセル銅板を使用し、予め無光沢Niめっきを1μm施した後、パラジウムめっきを攪拌しながら電流密度2A/dm2で20秒行った。パラジウム析出物は光沢のある良好な外観であり、エレクトログラフ試験ではピンホールは認められなかった。このパラジウム析出物に315℃で30秒間の熱履歴を与えた後のはんだ濡れ性は良好であった。」
2エ. 「【0015】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のパラジウム電気めっき液を使用して得たパラジウム析出物は、ピンホールを根絶し、熱履歴後のはんだ濡れ性が良好である。従って、特にリードフレーム用めっき液等として極めて有効である。」
2オ. 上記2ア.によれば、甲第2号証には、可溶性パラジウム塩をパラジウム量として、1~30g/L、ピリジンスルホン酸又はその塩を0.1~20g/L、可溶性タリウム塩を0.1~300ppm含むパラジウム電気めっき液が記載されていると認められる。
2カ. 上記2イ.~2エ.によれば、上記2オ.に示したパラジウム電気めっき液におけるピリジンスルホン酸とは、具体的には、ピリジン3スルホン酸であり、また、上記2オ.に示したパラジウム電気めっき液を用いて基材に電気めっき処理すると、基材上に光沢のある良好な外観で熱履歴後のはんだ濡れ性が良好であるパラジウム析出物が形成された部材、すなわち、光沢のある良好な外観のリードフレーム用パラジウムめっき部材を得ることができると認められる。
2キ. 上記2オ.~2カ.の検討を踏まえ、パラジウム電気めっき液におけるピリジンスルホン酸に注目すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ピリジン3スルホン酸である、パラジウム電気めっき液用のピリジンスルホン酸。」
2ク. また、上記2オ.~2カ.の検討を踏まえ、パラジウム電気めっき液に注目すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として、1~30g/L、ピリジンスルホン酸を0.1~20g/L、可溶性タリウム塩を0.1~300ppm含む、パラジウム電気めっき液であって、前記ピリジンスルホン酸がピリジン3スルホン酸である、パラジウム電気めっき液。」
2ケ. また、上記2オ.~2カ.の検討を踏まえ、パラジウム電気めっき液の作成法に注目すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明3」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として、1~30g/L、ピリジンスルホン酸を0.1~20g/L、可溶性タリウム塩を0.1~300ppm含ませる、パラジウム電気めっき液の作成法であって、前記ピリジンスルホン酸がピリジン3スルホン酸である、パラジウム電気めっき液の作成法。」
2コ. また、上記2オ.~2カ.の検討を踏まえ、パラジウム電気めっき法に注目すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲2発明2のパラジウム電気めっき液を用いて基材に電気めっき処理する、パラジウム電気めっき法。」
(2-1-3) 甲第3号証の記載事項及び甲第3号証記載の発明
甲第3号証には次の記載がある。
3ア. 「【請求項1】 可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸あるいはその塩及び/またはピリジンカルボン酸あるいはその塩0.1~20.0g/l、フッ素系界面活性剤1.0~20.0ppmを含有することを特徴とするパラジウムめっき液。
・・・
【請求項3】 ピリジンスルホン酸あるいはその塩がピリジン3スルホン酸、ピリジン3スルホン酸アンモニウム、ピリジン3スルホン酸カリウムであり、ピリジンカルボン酸あるいはその塩がピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、2,6-ジピコリン酸及びそれらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩であり、これらの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のパラジウムめっき液。」
3イ. 「【0011】実施例1
ジクロロジアミンパラジウム 10g/l(Pd量として)
リン酸水素2アンモニウム 75g/l
塩化アンモニウム 75g/l
ピリジンスルホン酸 3g/l
パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩 3ppm
アンモニア水にてpH7.7に調整する。上記のパラジウムめっき液を用いて、液温50℃、電流密度7A/dm2 、めっき時間6秒の条件のもとで得られたパラジウム析出物は、金線ワイヤボンディングに問題はなく、400℃2分間の耐熱性試験においても変色しなかった。またその後のハンダぬれ性は良好であった。」
3ウ. 上記3ア.によれば、甲第3号証には、可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、フッ素系界面活性剤1.0~20.0ppmを含有するパラジウムめっき液であって、前記ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸が、ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸であるパラジウムめっき液が記載されていると認められる。
3エ. また、上記3イ.によれば、上記3ウ.に示したパラジウムめっき液を用いて電気めっきして得られるパラジウム析出物は金線ワイヤボンディングに問題はなく、400℃2分間の耐熱性試験においても変色しなかったとされている。
3オ. 上記3ウ.~3エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液におけるピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸に注目すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸である、パラジウムめっき液用のピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸。」
3カ. また、上記3ウ.~3エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液に注目すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明2」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、フッ素系界面活性剤1.0~20.0ppmを含有するパラジウムめっき液であって、前記ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸が甲3発明1からなる、パラジウムめっき液。」
3キ. また、上記3ウ.~3エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液の作成法に注目すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明3」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、フッ素系界面活性剤1.0~20.0ppmを含有させるパラジウムめっき液の作成法であって、前記ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸が甲3発明1からなる、パラジウムめっき液の作成法。」
3ク. また、上記3ウ.~3エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき法に注目すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲3発明2のパラジウムめっき液を用いて基材に電気めっき処理する、パラジウムめっき法。」
(2-1-4) 甲第4号証の記載事項及び甲第4号証記載の発明
甲第4号証には次の記載がある。
4ア. 「【請求項1】 可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸あるいはその塩及び/またはピリジンカルボン酸あるいはその塩0.1~20.0g/l、尿素あるいはその塩1.0~50.0g/lを含有することを特徴とするパラジウムめっき液。
・・・
【請求項3】 ピリジンスルホン酸あるいはその塩がピリジン3スルホン酸、ピリジン3スルホン酸アンモニウム、ピリジン3スルホン酸カリウムであり、ピリジンカルボン酸あるいはその塩がピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、2,6-ジピコリン酸及びそれらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のパラジウムめっき液。」
4イ. 「【0011】実施例1
ジクロロジアミンパラジウム 10g/l(Pd量として)
リン酸水素二アンモニウム 75g/l
塩化アンモニウム 75g/l
ピリジン3スルホン酸 3g/l
尿素 10g/l
アンモニア水にてpH7.5に調整する。
上記のパラジウムめっき液を用いて、液温50℃、電流密度8A/dm2 、めっき時間4秒の条件のもとで得られたパラジウム析出物は、金線ワイヤボンディングに問題はなく、400℃2分間の耐熱性試験においても変色しなかった。またその後のハンダぬれ性は良好であった。」
4ウ. 上記4ア.によれば、甲第4号証には、可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、尿素あるいはその塩1.0~50.0g/lを含有するパラジウムめっき液であって、前記ピリジンスルホン酸がピリジン3スルホン酸である、または前記ピリジンカルボン酸がピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、あるいは、2,6-ジピコリン酸である、パラジウムめっき液が記載されていると認められる。
4エ. また、上記4イ.によれば、上記4ウ.に示したパラジウムめっき液を用いて電気めっきして得られるパラジウム析出物は金線ワイヤボンディングに問題はなく、400℃2分間の耐熱性試験においても変色しなかったとされている。
4オ. 上記4ウ.~4エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液におけるピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸に注目すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸である、パラジウムめっき液用のピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸。」
4カ. また、上記4ウ.~4エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液に注目すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明2」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、尿素あるいはその塩1.0~50.0g/lを含有するパラジウムめっき液であって、前記ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸が甲4発明1からなる、パラジウムめっき液。」
4キ. また、上記4ウ.~4エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき液の作成法に注目すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明3」という。)が記載されていると認められる。
「可溶性パラジウム塩をパラジウム量として1.0~40.0g/l、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸0.1~20.0g/l、尿素あるいはその塩1.0~50.0g/lを含有させるパラジウムめっき液の作成法であって、前記ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸が甲4発明1からなる、パラジウムめっき液の作成法。」
4ク. また、上記4ウ.~4エ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき法に注目すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲4発明2のパラジウムめっき液を用いて基材に電気めっき処理する、パラジウムめっき法。」
(2-1-5) 甲第5号証の記載事項及び甲第5号証記載の発明
甲第5号証には次の記載がある。
5ア. 「【請求項1】水溶性パラジウム塩をパラジウム金属として1~40g/l、芳香族スルホンアミド類、芳香族スルホンイミド類及びスルホ安息香酸イミド類から選ばれた少なくとも一種の添加剤を0.001~20g/l、並びにアンモニウム化合物を、該化合物中のアンモニウムイオン量として0.04~6モル/lであって、アンモニウムイオン量がパラジウム金属量の4倍モル以上となるように含有し、pHが10以上であることを特徴とする光沢パラジウムめっき浴。
・・・
【請求項7】請求項1乃至6いずれかに記載のパラジウムめっき浴を用いて、浴温20~50℃、陰極電流密度0.1~10A/dm2でめっきすることを特徴とするパラジウムめっき方法。」
5イ. 「【0013】本発明のパラジウムめっき浴には、添加剤として、芳香族スルホンアミド類、芳香族スルホンイミド類、及びスルホ安息香酸イミド類から選ばれた少なくとも一種の化合物を配合する。これらの添加剤を配合することによって、高光沢、高純度のパラジウムめっき皮膜を高い電流効率で形成することが可能となる。
【0014】芳香族スルホンアミド類としては、一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物を用いることができる。その具体例を下記表1・・・に示す。
【0015】
【表1】
」
5ウ. 上記5ア.によれば、甲第5号証には、水溶性パラジウム塩をパラジウム金属として1~40g/l、芳香族スルホンアミド類から選ばれた添加剤を0.001~20g/l、並びにアンモニウム化合物を、該化合物中のアンモニウムイオン量として0.04~6モル/lであって、アンモニウムイオン量がパラジウム金属量の4倍モル以上となるように含有し、pHが10以上である光沢パラジウムめっき浴、及び、そのめっき浴を用いて、浴温20~50℃、陰極電流密度0.1~10A/dm2でめっきするパラジウムめっき方法が記載されていると認められる。
5エ. 上記5イ.によれば、上記5ウ.に示した光沢パラジウムめっき浴における、芳香族スルホンアミド類から選ばれた添加剤は、具体的には、ベンゼンスルホンアミドや4-クロロベンゼンスルホンアミド等であって、一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物であると認められる。
5オ. また、上記5イ.によれば、上記5ウ.に示した光沢パラジウムめっき浴を用いて電気めっきを行うと、基板上に高光沢、高純度のパラジウムめっき皮膜を形成できると認められる。
5カ. 上記5ウ.~5オ.の検討を踏まえ、光沢パラジウムめっき浴における芳香族スルホンアミド類から選ばれた添加剤に注目すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明1」という。)が記載されていると認められる。
「一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物である、光沢パラジウムめっき浴用の添加剤。」
5キ. また、上記5ウ.~5オ.の検討を踏まえ、光沢パラジウムめっき浴に注目すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明2」という。)が記載されていると認められる。
「水溶性パラジウム塩をパラジウム金属として1~40g/l、芳香族スルホンアミド類から選ばれた添加剤を0.001~20g/l、並びにアンモニウム化合物を、該化合物中のアンモニウムイオン量として0.04~6モル/lであって、アンモニウムイオン量がパラジウム金属量の4倍モル以上となるように含有し、pHが10以上である光沢パラジウムめっき浴であって、前記添加剤が甲5発明1からなる、光沢パラジウムめっき浴。」
5ク. また、上記5ウ.~5オ.の検討を踏まえ、光沢パラジウムめっき浴の作成法に注目すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明3」という。)が記載されていると認められる。
「水溶性パラジウム塩をパラジウム金属として1~40g/l、芳香族スルホンアミド類から選ばれた添加剤を0.001~20g/l、並びにアンモニウム化合物を、該化合物中のアンモニウムイオン量として0.04~6モル/lであって、アンモニウムイオン量がパラジウム金属量の4倍モル以上となるように含有させる、pHが10以上である光沢パラジウムめっき浴の作成法であって、前記添加剤が甲5発明1からなる、光沢パラジウムめっき浴の作成法。」
5ケ. また、上記5ウ.~5オ.の検討を踏まえ、パラジウムめっき方法に注目すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲5発明2の光沢パラジウムめっき浴を用いて、浴温20~50℃、陰極電流密度0.1~10A/dm2で基板に電気めっき処理する、パラジウムめっき法。」
(2-1-6) 甲第6号証の記載事項及び甲第6号証記載の発明
甲第6号証には次の記載がある。
6ア. 「2. 特許請求の範囲
テトラアンミンパラジウムジクロライドのパラジウム量換算で1~20g/lと、アンモニウム塩10~100g/lと、ナフタリントリスルホン酸アルカリ10~100g/lとからなる水性半光沢パラジウムメッキ浴。」(第1頁左下欄第4~9行)
6イ. 「従来、このパラジウムメッキは、多くがアルカリ性もしくは酸性のメッキ浴で行われているため、被メツキ体金属および接着剤に悪影響を及ぼすおそれがあるので、適用基材に制限をうけるという欠点があり、特に印刷回路の回路材(メッキ基材)が制限され応用範囲が狭かった。またメッキ層の厚さが2μ以上になると微小クラックによる曇りが生じ、5μ以上ではクラックが発生することが多く、電気的特性に欠陥を生ずるばかりか剥離、浮上り等の問題をももたらす危険があった。基材の制限を有せず、パラジウムの厚付け可能なメッキ方法が待望されている。
本発明はこうした問題点を解消する新しいメッキ浴を提供する。」(第1頁左下欄第17行~同頁右下欄第10行)
6ウ. 「・・・ナフタリントリスルホン酸アルカリは光沢剤として作用するが、緩衝剤としての作用も併せ有する。」(第2頁左上欄第14~16行)
6エ. 「本発明のメッキ浴ではメッキ作業上の条件やメッキ面の性質を犠牲にすることなく、最大15μまでの厚付けメッキを実現し得た。メッキ面は半光沢であるが、高硬度で密着性は良く、内部残留応力によるクラックも観察されていない。・・・本発明の半光沢パラジウムメッキはマイクロビッカース硬度300Hv以上の高い硬度を示し、さらに従来の如く暗色に変色せず、耐食性も良好である。」(第2頁左下欄第13行~同頁右下欄第15行)
6オ.「実施例
テトラアンミンパラジウム(II)ジクロライドPd換算 5g/l
硫酸アンモニウム 25g/l
1,3,6-ナフタリンスルホン酸ナトリウム 35g/l
pH 7.5
上記浴を温度50℃、電流密度1A/dm2、カソードロッカーで撹拌しながら、70分間真鍮板にメッキした。メッキ物はクラックがなく、10μの厚みであった。また硬度はマイクロビッカース硬度計で測定したところ、300Hvであった。アンモニア雰囲気中に24時間曝気した結果は何らの変色も認められず、耐食性は十分であった。」(第2頁右下欄第16行~第3頁左上欄第7行)
6カ. 上記6ア.によれば、甲第6号証には、テトラアンミンパラジウムジクロライドのパラジウム量換算で1~20g/lと、アンモニウム塩10~100g/lと、ナフタリントリスルホン酸アルカリ10~100g/lとからなる水性半光沢パラジウムメッキ浴が記載されていると認められる。
6キ. 上記6イ.~6オ.によれば、上記6カ.に示した水性半光沢パラジウムメッキ浴におけるナフタリントリスルホン酸アルカリとは、具体的には、1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリであり、また、上記6オ.に示した水性半光沢パラジウムメッキ浴を用いて最大15μまでの厚付けメッキをすると、マイクロビッカース硬度300Hv以上の高い硬度を示し、変色せず、耐食性も良好な半光沢パラジウムメッキ物を得ることができると認められる。
6ク. 上記6カ.~6キ.の検討を踏まえ、水性半光沢パラジウムメッキ浴におけるナフタリントリスルホン酸アルカリに注目すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明1」という。)が記載されていると認められる。
「1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリである、水性半光沢パラジウムメッキ浴用のナフタリントリスルホン酸アルカリ。」
6ケ. また、上記6カ.~6キ.の検討を踏まえ、水性半光沢パラジウムメッキ浴に注目すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明2」という。)が記載されていると認められる。
「テトラアンミンパラジウムジクロライドのパラジウム量換算で1~20g/lと、アンモニウム塩10~100g/lと、ナフタリントリスルホン酸アルカリ10~100g/lとからなる水性半光沢パラジウムメッキ浴であって、前記ナフタリントリスルホン酸アルカリが1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリである、水性半光沢パラジウムメッキ浴。」
6コ. また、上記6カ.~6キ.の検討を踏まえ、水性半光沢パラジウムメッキ浴の作成法に注目すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明3」という。)が記載されていると認められる。
「テトラアンミンパラジウムジクロライドのパラジウム量換算で1~20g/lと、アンモニウム塩10~100g/lと、ナフタリントリスルホン酸アルカリ10~100g/lとからなる水性半光沢パラジウムメッキ浴の作成法であって、前記ナフタリントリスルホン酸アルカリが1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリである、水性半光沢パラジウムメッキ浴の作成法。」
6サ. また、上記6カ.~6キ.の検討を踏まえ、水性半光沢パラジウムメッキ法に注目すると、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明4」という。)が記載されていると認められる。
「甲6発明2の水性半光沢パラジウムメッキ浴を用いてメッキする、半光沢パラジウムメッキ法。」
(2-2) 本件訂正発明と甲号証記載の発明との対比・判断
(2-2-1) 本件訂正発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断
ア. 本件訂正発明8と甲1発明1との対比・判断
(ア) 本件訂正発明8と、上記(2-1-1)の1ケ.に示した、甲1発明1とを対比するに、ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドは、いずれも、電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲1発明1における「ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミド」は、本件特許発明1における「電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲1発明1における「パラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物」は、パラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であるところ、本件特許発明1における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウム合金めっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウム合金めっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点1-1:前記添加剤が、本件訂正発明8では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、甲1発明1では、ピリジン環含有化合物であり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点1-2:前記芳香族化合物が、本件訂正発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲1発明1では、具体的には、「ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドピリジン-3-スルホン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、ニコチン酸アミドおよび/またはイソニコチン酸アミドである」点。
(イ) 事案に鑑み、上記相違点1-2につき検討するに、甲1発明1はパラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物に関する発明であって、本件訂正発明8において選択される芳香族化合物のうちでは、塩酸ピリドキシン、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドがピリジン環含有化合物ではあるものの、ピリジン環含有化合物としてのそれらについての具体的な記載は甲第1号証全体からは見出せない。
そして、めっき用添加剤についての作用機構は、未だ、体系的に明らかとなってはおらず、めっき用添加剤は具体的な化合物についての試行錯誤によって開発されているという技術常識を考慮すると、パラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物に関する発明としての、甲1発明1が、具体的には、「ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドである」ことも、試行錯誤の結果であるといえる。
してみると、上記相違点1-2は実質的な相違点である。
(ウ) したがって、上記相違点1-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第1号証に記載されたものとはいえない。
イ. 本件訂正発明9~10と甲1発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-1)の1コ.に示した、甲1発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記ア.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点1-1~1-2の点で相違しているところ、上記ア.(イ)での検討と同様にして、上記相違点1-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第1号証に記載されたものとはいえない。
ウ. 本件訂正発明11と甲1発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-1)の1サ.に示した、甲1発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記ア.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点1-1~1-2の点で相違しているところ、上記ア.(イ)での検討と同様にして、上記相違点1-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第1号証に記載されたものとはいえない。
エ. 本件訂正発明12と甲1発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-1)の1シ.に示した、甲1発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記ア.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点1-1~1-2の点で相違しているところ、上記ア.(イ)での検討と同様にして、上記相違点1-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第1号証に記載されたものとはいえない。
オ. 小括
上記ア.~エ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第1号証に記載されたものではない。
(2-2-2) 本件訂正発明と甲第2号証記載の発明との対比・判断
カ. 本件訂正発明8と甲2発明1との対比・判断
(ア) 本件訂正発明8と、上記(2-1-2)の2キ.に示した、甲2発明1とを対比するに、ピリジン3スルホン酸は、電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲2発明1における「ピリジン3スルホン酸」は、本件訂正発明8における「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲2発明1における「パラジウム電気めっき液用のピリジンスルホン酸」は、パラジウムめっき液に添加して用いられる物であるところ、本件特許発明1における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウムめっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムめっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点2-1:前記添加剤が、本件特許発明1では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、甲2発明1では、ピリジンスルホン酸であり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点2-2:前記芳香族化合物が、本件訂正発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲2発明1では、具体的には、「ピリジン3スルホン酸である」点。
(イ) 事案に鑑み、上記相違点2-2につき検討するに、この相違点は、上記相違点1-2と同様の相違点であるから、上記ア.(イ)での検討と同様にして、実質的な相違点である。
(ウ) したがって、上記相違点2-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第2号証に記載されたものとはいえない。
キ. 本件訂正発明9~10と甲2発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-2)の2ク.に示した、甲2発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記カ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点2-1~2-2の点で相違しているところ、上記カ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点2-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第2号証に記載されたものとはいえない。
ク. 本件訂正発明11と甲2発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-2)の2ケ.に示した、甲2発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記カ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点2-1~2-2の点で相違しているところ、上記カ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点2-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第2号証に記載されたものとはいえない。
ケ. 本件訂正発明12と甲2発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-2)の2コ.に示した、甲2発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記カ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点1-1~1-2の点で相違しているところ、上記カ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点2-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第2号証に記載されたものとはいえない。
コ. 小括
上記カ.~ケ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第2号証に記載されたものではない。
(2-2-3) 本件訂正発明と甲第3号証記載の発明との対比・判断
サ. 本件訂正発明8と甲3発明1との対比・判断
(ア) 本件訂正発明8と、上記(2-1-3)の3オ.に示した、甲3発明1とを対比するに、ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸は、いずれも、電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲3発明1における「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸」は、本件訂正発明8における「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲3発明1における「パラジウムめっき液用のピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸」は、パラジウムめっき液に添加して用いられる物であるところ、本件訂正発明8における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウムめっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムめっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点3-1:前記添加剤が、本件特許発明1では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、甲3発明1では、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸であり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点3-2:前記芳香族化合物が、本件訂正発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲3発明1では、具体的には、「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸である」点。
(イ) 事案に鑑み、上記相違点3-2につき検討するに、この相違点は、上記相違点1-2と同様の相違点であるから、上記ア.(イ)での検討と同様にして、実質的な相違点である。
(ウ) したがって、上記相違点3-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第3号証に記載されたものとはいえない。
シ. 本件訂正発明9~10と甲3発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-3)の3カ.に示した、甲3発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記サ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点3-1~3-2の点で相違しているところ、上記サ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点3-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第3号証に記載されたものとはいえない。
ス. 本件訂正発明11と甲3発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-3)の3キ.に示した、甲3発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記サ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点3-1~3-2の点で相違しているところ、上記サ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点3-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第3号証に記載されたものとはいえない。
セ. 本件訂正発明12と甲3発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-3)の3ク.に示した、甲3発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記サ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点3-1~3-2の点で相違しているところ、上記サ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点3-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第3号証に記載されたものとはいえない。
ソ. 小括
上記サ.~セ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第3号証に記載されたものではない。
(2-2-4) 本件訂正発明と甲第4号証記載の発明との対比・判断
タ. 本件訂正発明8と甲4発明1との対比・判断
(ア) 本件訂正発明8と、上記(2-1-4)の4オ.に示した、甲4発明1とを対比するに、ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸は、いずれも、電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲4発明1における「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸」は、本件訂正発明8における「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲4発明1における「パラジウムめっき液用のピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸」は、パラジウムめっき液に添加して用いられる物であるところ、本件訂正発明8における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウムめっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムめっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点4-1:前記添加剤が、本件訂正発明8では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、甲4発明1では、ピリジンスルホン酸またはピリジンカルボン酸であり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点4-2:前記芳香族化合物が、本件訂正発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲4発明1では、具体的には、「ピリジン3スルホン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、キノリン酸、ルチジン酸、または、2,6-ジピコリン酸である」点。
(イ) 事案に鑑み、上記相違点4-2につき検討するに、この相違点は、上記相違点1-2と同様の相違点であるから、上記ア.(イ)での検討と同様にして、実質的な相違点である。
(ウ) したがって、上記相違点4-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第4号証に記載されたものとはいえない。
チ. 本件訂正発明9~10と甲4発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-4)の4カ.に示した、甲4発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記タ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点4-1~4-2の点で相違しているところ、上記タ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点4-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第4号証に記載されたものとはいえない。
ツ. 本件訂正発明11と甲4発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-4)の4キ.に示した、甲4発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記タ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点4-1~4-2の点で相違しているところ、上記タ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点4-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第4号証に記載されたものとはいえない。
テ. 本件訂正発明12と甲4発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-4)の4ク.に示した、甲4発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記タ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点4-1~4-2の点で相違しているところ、上記タ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点4-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第4号証に記載されたものとはいえない。
ト. 小括
上記タ.~テ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第4号証に記載されたものではない。
(2-2-5) 本件訂正発明と甲第5号証記載の発明との対比・判断
ナ. 本件訂正発明8と甲5発明1との対比・判断
(ア) 本件訂正発明8と、上記(2-1-5)の5カ.に示した、甲5発明1とを対比するに、一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物は、いずれも、電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲5発明1における「一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物」は、本件訂正発明8における「電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲5発明1における「光沢パラジウムめっき浴用の添加剤」は、パラジウムめっき液に添加して用いられる物であるところ、本件訂正発明8における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウムめっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子吸引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムめっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点5-1:前記添加剤が、本件訂正発明8では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、甲5発明1では、光沢パラジウムめっき浴用の添加剤であり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点5-2:前記芳香族化合物が、本件訂正発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲5発明1では、「一般式:R1-SO2-NHR2(式中、R1は、Cl、NH2、NO2、COOH、NHCOCH3若しくはCH3がp-位に置換してもよいフェニル基、又はヒドロキシナフチル基であり、R2は、水素、炭素数1~4のアルキル基、水酸基、CH3CO又はヒドロキシフェニル基である)で表される化合物である」点。
(イ) 事案に鑑み、上記相違点5-2につき検討するに、この相違点は、上記相違点1-2と同様の相違点であるから、上記ア.(イ)での検討と同様にして、実質的な相違点である。
(ウ) したがって、上記相違点5-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第5号証に記載されたものとはいえない。
ニ. 本件訂正発明9~10と甲5発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-5)の5キ.に示した、甲5発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記ナ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点5-1~5-2の点で相違しているところ、上記ナ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点5-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第5号証に記載されたものとはいえない。
ヌ. 本件訂正発明11と甲5発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-5)の5ク.に示した、甲5発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記ナ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点5-1~5-2の点で相違しているところ、上記ナ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点5-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第5号証に記載されたものとはいえない。
ネ. 本件訂正発明12と甲5発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-5)の5ケ.に示した、甲5発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記ナ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点5-1~5-2の点で相違しているところ、上記ナ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点5-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第5号証に記載されたものとはいえない。
ノ. 小括
上記ナ.~ネ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第5号証に記載されたものではない。
(2-2-6) 本件訂正発明と甲第6号証記載の発明との対比・判断
ハ. 本件訂正発明8と甲6発明1との対比・判断
(ア) 本件特許発明8と、上記(2-1-6)の6ク.に示した、甲6発明1とを対比するに、1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリは、電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物であるから、甲6発明1における「1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリ」は、本件特許発明8における「電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物」に相当し、また、甲6発明1における「水性半光沢パラジウムメッキ浴用のナフタリントリスルホン酸アルカリ」は、パラジウムメッキ浴に添加して用いられる物であるところ、本件特許発明1における「パラジウムもしくはパラジウム合金めっき用シアン耐性付与剤」も、パラジウムもしくはパラジウム合金めっき液に添加して用いられる物であることから、これらは、パラジウムめっき用添加剤という観点で一致している。
してみると、両者は、以下の点で一致して、以下の点で、一応、相違していると認められる。
<一致点>
電子求引性置換基および/または電子求引性の環員ヘテロ原子を有することによる共鳴効果によって芳香族環上に電子不足部位を持つ芳香族化合物からなる、パラジウムめっき用添加剤である点。
<相違点>
相違点6-1:前記添加剤が、本件特許発明8では「シアン耐性付与剤」であるのに対し、
甲6発明1では、ナフタリントリスルホン酸アルカリであり、「シアン耐性付与剤」であるのか明らかではない点。
相違点6-2:前記芳香族化合物が、本件特許発明8では「ベンズアミド、馬尿酸、塩酸ピリドキシン、ピラジンカルボン酸、アミノプリン、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、クマリン酸、クロロシアノピリジン、およびクロロニコチンアミドからなる群より選択される」のに対して、
甲6発明1では、具体的には、「1,3,6-ナフタリンスルホン酸アルカリである」点。
(イ) そこで、上記相違点6-2につき検討するに、この相違点は上記相違点1-2と同様の相違点であるから、上記ア.(イ)での検討と同様にして、実質的な相違点とはいえない。
(ウ) したがって、上記相違点6-1について検討するまでもなく、本件訂正発明8は甲第6号証に記載されたものとはいえない。
ヒ. 本件訂正発明9~10と甲6発明2との対比・判断
本件訂正発明9~10と、上記(2-1-6)の6ケ.に示した、甲6発明2とを対比すると、本件訂正発明9~10は請求項8を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記ハ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点6-1~6-2の点で相違しているところ、上記ハ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点6-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明9~10も甲第6号証に記載されたものとはいえない。
フ. 本件訂正発明11と甲6発明3との対比・判断
本件特許発明11と、上記(2-1-6)の6コ.に示した、甲6発明3とを対比すると、本件特許発明11も請求項8を引用するものであるから、上記ハ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点6-1~6-2の点で相違しているところ、上記ハ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点6-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明11も甲第6号証に記載されたものとはいえない。
ヘ. 本件訂正発明12と甲6発明4との対比・判断
本件訂正発明12と、上記(2-1-6)の6サ.に示した、甲6発明4とを対比すると、本件訂正発明12も請求項8を引用するものであるから、上記ハ.(ア)での検討と同様にして、少なくとも上記相違点6-1~6-2の点で相違しているところ、上記ハ.(イ)での検討と同様にして、上記相違点6-2は実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明12も甲第6号証に記載されたものとはいえない。
ホ. 小括
上記ハ.~ヘ.の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第6号証に記載されたものではない。
(2-2-7) まとめ
上記(2-2-1)~(2-2-6)の検討を踏まえると、本件訂正発明8~12は、甲第1号証~甲第6号証のいずれに記載されたものでもないから、本件訂正発明は、上記2.(1)の取消理由、上記3.(3-1)の取消理由(決定の予告1)、上記3.(3-2)の取消理由(決定の予告2)のいずれの取消理由も有しないものである。
5. 取消理由に採用しなかった申立理由に対する当審の判断
上記1.に示した申立理由のうち、(3)の申立理由3は取消理由に採用しなかったところ、この申立理由は、本件訂正前の請求項1におけるただし書きについての申立理由であるが、上記第2のとおり本件訂正請求による訂正が認められることによって、訂正前の請求項1~7、13は削除され、本件訂正前の請求項1におけるただし書きも存在しないものとなった。
したがって、上記1.(3)の申立理由3についての検討を行う必要はなくなった。
6. 補足
異議申立人は、平成30年12月5日付けの意見書で、訂正請求に付随して生じた事項として、上記3.(3-2)に示した取消理由(決定の予告2)として採用した申立理由以外に、甲第1号証には、「ニコチン酸アミド」を含有する「パラジウム合金めっき浴」が記載されている(段落【0073】~【0074】)ところ、本件訂正発明8における「クロロニコチンアミド」は、「ニコチン酸アミド」のピリジン環上の水素原子を、塩素原子で置換しただけの化合物であり、「クロロニコチンアミド」と「ニコチン酸アミド」が、同様の性質を有することは当業者にとって予測可能であるので、甲第1号証に記載されている「ニコチン酸アミド」を含有する「パラジウム合金めっき浴」において、「ニコチン酸アミド」に替えて、「クロロニコチンアミド」を添加することは、当業者が容易になし得ることであるし、また、本件訂正発明9~12についても、本件訂正発明8と同様に、当業者が容易になし得ることである旨主張している。
しかしながら、めっき用添加剤についての作用機構は、未だ、体系的に明らかとなってはおらず、めっき用添加剤は具体的な化合物についての試行錯誤によって開発されているという技術常識に照らすと、上記4.(2)の(2-1-1)の1ケ.に示した、甲1発明1のパラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物が、「ピリジン-3-スルホン酸、ピリジン-4-スルホン酸、ピリジン-3-スルホン酸アミド、ピリジン-4-スルホン酸アミド、ピコリン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、キノリンカルボン酸、ルチジン酸、ジピコリン酸、キノリン酸、ピコリン酸アミド、ニコチン酸アミド、イソニコチン酸アミド、キノリンカルボン酸アミド、ルチジン酸アミド、ジピコリン酸アミド、および/またはキノリン酸アミドである」ことも、具体的な化合物についての試行錯誤の結果であるといえるところ、本件特許に係る出願前に、クロロニコチンアミドがパラジウム合金めっき液用のピリジン環含有化合物であったと判断し得る客観的かつ具体的な証拠は見当たらない。
したがって、甲1発明1において、クロロニコチンアミドという、甲第1号証には記載も示唆もされていない化合物を用いることは、当業者が容易になし得ることとはいえず、異議申立人の上記主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は適法であるから、これを認める。
そして、「取消理由」で通知した取消理由、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の訂正特許請求の範囲の請求項8~12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の訂正特許請求の範囲の請求項8~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の訂正請求の範囲の請求項1~7、13に係る発明は存在しないものとなった。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700136