特許異議申立
2018-700090
セルロース誘導体及び液体希釈剤の混合物を調製するためのプロセス
- 審判番号
- 2018-700090
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-533195
- 登録番号
- 特許第6174806号(P6174806)
- 請求日
- 2018年02月01日
- 審決日
- 2019年02月13日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
- 【権利者代理人】青木 篤
- 【権利者代理人】三橋 真二
- 【権利者代理人】出野 知
- 【権利者代理人】蛯谷 厚志
- 【権利者代理人】胡田 尚則
- 【権利者代理人】齋藤 都子
- 【権利者代理人】石田 敬
- 【権利者代理人】古賀 哲次
- 【権利者代理人】小林 良博
- 【権利者代理人】小林 直樹
- 【異議申立人】信越化学工業 株式会社
- 【異議申立人代理人】松井 光夫
- 審判長/審判官
- 審判長 冨士 良宏
- 審判官 日比野 隆治
- 審判官 天野 宏樹
- 分類
- P1651.536-ZAA(C08B) / P1651.537-ZAA(C08B) / P1651.113-ZAA(C08B) / P1651.121-ZAA(C08B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項特許法29条2項特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法113条2号特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6174806号発明「セルロース誘導体及び液体希釈剤の混合物を調製するためのプロセス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6174806号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~11〕について訂正することを認める。
特許第6174806号の請求項1~4,6~11に係る特許を取り消す。
特許第6174806号の請求項5に係る特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6174806号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成26年12月1日(優先権主張 平成25年12月4日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年7月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成30年2月1日に特許異議申立人 信越化学工業株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年4月11日付けで取消理由が通知され、同年6月1日に特許権者 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーより訂正請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされるとともに意見書が提出され、同年6月5日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年7月6日に特許異議申立人より意見書が提出され、当審は、同年9月27日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「混合され、そして」を、「混合され、 前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~8についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9の「低減され、そして」を、「低減され、 前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項10,11についても、請求項9を訂正したことに伴う訂正をする。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6の「請求項1~5」を、「請求項1~4」に、特許請求の範囲の請求項7,8の「請求項1~6」を、「請求項1~4及び6」に、訂正する。
2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び一群の請求項について
(1)訂正事項1,3について
訂正事項1,3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1,9に「混合され、そして」及び「低減され、そして」とあるのを、それぞれ、「混合され、前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして」及び「低減され、前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして」に訂正するものであり、水溶性のセルロース誘導体を「メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり」と規定するものであるから、当該訂正事項1,3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1,3は、願書に添付した明細書の【0017】には、「好ましいセルロース誘導体は、セルロースエステルまたはセルロースエーテルである。」、同【0018】には、「セルロースエーテルは、好ましくはアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。」、同【0019】には、「好ましいアルキルセルロースは、メチルセルロースまたはエチルセルロース、より好ましくはメチルセルロースである。」、同【0020】には、「好ましいヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシ-C2-4-アルキルセルロース、例えばヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、もしくは好ましくはヒドロキシエチルセルロース、または混合ヒドロキシルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースである。」、同【0021】には、「混合アルキルヒドロキシアルキルセルロースを含む好ましいアルキルヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはヒドロキシブチルメチルセルロース;またはヒドロキシアルキルエチルセルロース、例えばヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、もしくはエチルヒドロキシブチルセルロース;またはエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはアルコキシヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースであり、アルコキシ基は直鎖または分岐鎖であり、2~8個の炭素原子を含有する。」、同【0022】には、「ヒドロキシアルキルアルキルセルロースは好ましく、ヒドロキシアルキルメチルセルロースはより好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは以下に説明されるMS(ヒドロキシアルコキシル)及びDS(アルコキシル)を有するものは最も好ましい。」と記載されており、当該訂正事項1,3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項1,3は、訂正前の請求項1,9に記載された「水溶性のセルロース誘導体」を、「メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース」と減縮するものであることから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
加えて、本特許異議申立は、訂正前の請求項1~11について異議申立ての対象とされているので、訂正前の請求項1,9のそれぞれに係る訂正事項1,3のそれぞれに関して、独立特許要件は課されない。
そして、上記訂正事項1,3に係る訂正前の請求項について、請求項2~8、請求項10,11はそれぞれ請求項1,9を直接引用しているものであって、上記訂正事項1,3によって記載が訂正される請求項1,9に連動して訂正されるものである。
したがって、上記訂正事項1,3に係る訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~11〕は、それぞれ一群の請求項を構成する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、請求項5を削除するものであるから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項2で請求項5が削除されたことに伴い、特許請求の範囲の請求項6~8それぞれについて、請求項5を引用しないものとし、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4は、引用請求項を削除するものであることから、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
加えて、本特許異議申立は、訂正前の請求項1~11について異議申立ての対象とされているので、訂正前の請求項6~8のそれぞれに係る訂正事項4に関して、独立特許要件は課されない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合する。
したがって、本件訂正の請求は適法なものであり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~11〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、〔9~11〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1~11に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明11」といい、まとめて「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
水溶性のセルロース誘導体及び液体希釈剤の混合物を調製するためのプロセスであって、前記混合物が、前記水溶性のセルロース誘導体及び前記液体希釈剤の合計重量に基づいて、少なくとも5重量パーセントの前記水溶性のセルロース誘導体を含み、BET法により測定される0.20m2/g未満の比表面積を有する水溶性のセルロース誘導体が提供され、前記比表面積を有する前記水溶性のセルロース誘導体が、前記液体希釈剤と混合され、
前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして、
前記液体希釈剤が50重量パーセント超及び最大100重量パーセントの水含有量を有する、前記プロセス。
【請求項2】
0.04~0.16m2/gの比表面積を有する水溶性のセルロース誘導体が提供される、請求項1に記載の前記プロセス。
【請求項3】
前記水溶性のセルロース誘導体が、ASTM D2363-79(2006年に再承認)に従って、2重量%水溶液として20℃で測定される、1.2~200mPa・sの粘度を有する、請求項1または2に記載の前記プロセス。
【請求項4】
前記混合物が、前記水溶性のセルロース誘導体及び前記液体希釈剤の合計重量に基づいて、少なくとも10重量パーセント及び最大40重量パーセントの前記水溶性のセルロース誘導体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の前記プロセス。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記混合物が、泡消し剤の不在下で調製される、請求項1~4のいずれか一項に記載の前記プロセス。
【請求項7】
カプセルを製造するためのプロセスであって、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載の前記プロセスに従って混合物を調製するステップと、前記混合物を浸漬ピンと接触させるステップと、を含む、前記プロセス。
【請求項8】
剤形をコーティングするためのプロセスであって、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載の前記プロセスに従って混合物を調製するステップと、前記混合物を前記剤形と接触させるステップと、を含む、前記プロセス。
【請求項9】
プロセスにおいて、水溶性のセルロース誘導体及び液体希釈剤の混合物から取り込まれた空気を少なくとも部分的に除去するための時間を短縮する方法であって、
i)水溶性のセルロース誘導体を液体希釈剤と混合して、前記水溶性のセルロース誘導体及び前記液体希釈剤の合計重量に基づいて、少なくとも5重量パーセントの水溶性のセルロース誘導体を含む混合物を提供することであって、前記混合操作が、前記混合物中の空気の取り込みを生じさせる、提供するステップと、
ii)前記混合物を、大気圧または大気圧未満で静置させることにより、前記混合物中に取り込まれた空気の体積を低減するステップと、を含み、
取り込まれた空気を少なくとも部分的に除去するための時間が、前記混合物を調製するために、BET法により測定される0.20m2/g未満の比表面積を有する水溶性のセルロース誘導体を提供することにより低減され、
前記水溶性のセルロース誘導体が、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、そして、
前記液体希釈剤が50重量パーセント超及び最大100重量パーセントの水含有量を有する、前記方法。
【請求項10】
0.04~0.16m2/gの比表面積を有する水溶性のセルロース誘導体が提供される、請求項9に記載の前記方法。
【請求項11】
前記混合物が、前記水溶性のセルロース誘導体及び前記液体希釈剤の合計重量に基づいて、少なくとも10重量パーセント及び最大40重量パーセントの前記水溶性のセルロース誘導体を含む、請求項9または10に記載の前記方法。」
2 平成30年9月27日付けで通知した取消理由(決定の予告)についての判断
当審が、平成30年9月27日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
そして、上記取消理由は妥当なものと認められるので、本件特許発明1~4,6~11に係る発明は、この取消理由によって取り消すべきものである。
第4 結語
上記第3のとおり、本件特許発明1~4,6~11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第1号、同法第29条第1項及び同条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号及び第4号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許発明5に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項5に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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