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特許異議申立

2018-700028

ホットスタンプトリム部品

審判番号
2018-700028
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-242273
登録番号
特許第6162677号(P6162677)
請求日
2018年01月12日
審決日
2018年06月15日
公報発行日
2018年09月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】豊田鉄工株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人岡田国際特許事務所
  • 【異議申立人】山内 豊実
審判長/審判官
  • 審判長 平岩 正一
  • 審判官 西村 泰英
  • 審判官 篠原 将之
分類
P1651.113-YAA(B21D) / P1651.121-YAA(B21D) / P1651.537-YAA(B21D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第126条の5第2項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条の5第2項第4号、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6162677号発明「ホットスタンプトリム部品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6162677号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第6162677号の請求項2ないし5に係る特許を維持する。 特許第6162677号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第6162677号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成26年11月28日に特許出願され、平成29年6月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成30年1月12日に特許異議申立人 山内豊実により特許異議の申立てがされ、平成30年3月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年5月23日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のア~エのとおりである。 ア 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ 特許請求の範囲の請求項2に「前記レーザートリムラインおよび前記プレストリムラインの一方には、前記角部に連続して凹部が設けられており、該凹部の開口端に他方のトリムラインが交差するように接続されていることを特徴とする請求項1に記載のホットスタンプトリム部品。」と記載されているのを、「ブランク材に熱間プレス加工が施されて成形された後にレーザー加工によって外周余剰部が切断除去されたホットスタンプトリム部品において、前記レーザー加工による切断によって形成されたレーザートリムライン、および前記熱間プレス加工またはそれより前のプレス加工によるせん断によって形成されたプレストリムラインを含んで外周形状が構成されているとともに、前記レーザートリムラインと前記プレストリムラインとが凸形状の角部を介して接続され、前記レーザートリムラインおよび前記プレストリムラインの一方には、前記角部に連続して凹部が設けられており、該凹部の開口端に他方のトリムラインが交差するように接続されていることを特徴とするホットスタンプトリム部品。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。 ウ 特許請求の範囲の請求項4に「前記角部の外角は20°~60°の範囲内であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のホットスタンプトリム部品。」と記載されているのを、「前記角部の外角は20°~60°の範囲内であることを特徴とする請求項2又は3の何れか1項に記載のホットスタンプトリム部品。」に訂正する。 エ 特許請求の範囲の請求項5に「前記ホットスタンプトリム部品は、車両の側面に上下方向に沿って配設されて上下の両端部で車体に一体的に固設されるセンターピラーリインフォースメントで、前記上下の両端部の外周形状が前記レーザートリムラインにて構成されており、該両端部を結ぶ中間部分の両側部の外周形状が前記プレストリムラインにて構成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のホットスタンプトリム部品。」と記載されているのを、「前記ホットスタンプトリム部品は、車両の側面に上下方向に沿って配設されて上下の両端部で車体に一体的に固設されるセンターピラーリインフォースメントで、前記上下の両端部の外周形状が前記レーザートリムラインにて構成されており、該両端部を結ぶ中間部分の両側部の外周形状が前記プレストリムラインにて構成されていることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載のホットスタンプトリム部品。」に訂正する (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アの訂正は、請求項の削除であるから、特許法第126条の5第2項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 上記イの訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、引用関係を解消して請求項1を引用しないものとするものとするから、特許法第126条の5第2項第4号の他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 上記ウ及びエの訂正は、訂正前の請求項4及び5が、訂正前の請求項1を引用する記載としていたものを、請求項1の削除に伴い、削除された請求項1の引用を外す訂正であるから、特許法第126条の5第2項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし5に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (下線は訂正箇所を示すもので、特許権者が付したもの。) 本件発明1(削除) 本件発明2「ブランク材に熱間プレス加工が施されて成形された後にレーザー加工によって外周余剰部が切断除去されたホットスタンプトリム部品において、 前記レーザー加工による切断によって形成されたレーザートリムライン、および前記熱間プレス加工またはそれより前のプレス加工によるせん断によって形成されたプレストリムラインを含んで外周形状が構成されているとともに、 前記レーザートリムラインと前記プレストリムラインとが凸形状の角部を介して接続され、 前記レーザートリムラインおよび前記プレストリムラインの一方には、前記角部に連続して凹部が設けられており、該凹部の開口端に他方のトリムラインが交差するように接続されている ことを特徴とするホットスタンプトリム部品。」 本件発明3「前記凹部は、前記ホットスタンプトリム部品を補修する際に位置決めに用いられるリペア部である ことを特徴とする請求項2に記載のホットスタンプトリム部品。」 本件発明4「前記角部の外角は20°~60°の範囲内である ことを特徴とする請求項2又は3に記載のホットスタンプトリム部品。」 本件発明5「前記ホットスタンプトリム部品は、車両の側面に上下方向に沿って配設されて上下の両端部で車体に一体的に固設されるセンターピラーリインフォースメントで、 前記上下の両端部の外周形状が前記レーザートリムラインにて構成されており、該両端部を結ぶ中間部分の両側部の外周形状が前記プレストリムラインにて構成されている ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載のホットスタンプトリム部品。」 (2)取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して平成30年3月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 請求項1に係る発明と引用発明とは,全ての発明特定事項を満たすホットスタンプトリム部品において一致し,本件特許の請求項1に係る発明と引用発明とは異なるところがないから,請求項1に係る特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり,取り消されるべきものである。 (3)甲号証の記載 甲第1号証(藍田和雄,ホットスタンピングラインおよび周辺技術の現状と将来,素形材,発行国日本,一般財団法人素形材センター発行,2014年7月20日発行,Vol.55,No.7,26ページ)には、次のア-ウの事項が記載されている。 ア 「最近ではホットトリム・ピアス機能を持った金型の需要が増えている。ホットスタンプ用金型は,・・・ホットトリムは全体の90%程度のみ行い、あとはブランク製作時に対応し、トリムのみレーザ加工することにより、レーザ加工時間を大幅に削減できる。AP&T社はホットトリム用特殊機構を開発済である(図11)。」(26ページ,左欄第13行~第22行) イ 甲第1号証の図11から,Laser cuttingのラインと,Hot cuttingのラインとが凸形状の角部を介して接続されている事項が看取される。 ウ 甲第1号証において,図11のものは,ブランク材に熱間プレス加工が施されて成形された後にレーザー加工によって外周余剰部が切断除去されたものであることは明らかである。 以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお,括弧内が本件請求項1に係る発明に対応する甲第1号証に記載された用語である。 (引用発明) 「ブランク材に熱間プレス加工が施されて成形された後にレーザー加工によって外周余剰部が切断除去されたホットスタンプトリム部品において, 前記レーザー加工による切断によって形成されたレーザートリムライン(レーザ加工されたライン),および前記熱間プレス加工(ホットトリム)を含んで外周形状が構成されているとともに, 前記レーザートリムラインと前記プレストリムラインとが凸形状の角部を介して接続されている ホットスタンプトリム部品。」 (4)判断 ア 取消理由通知に記載した取消理由について (ア)特許法第29条第1項第3号について 本件発明1は、訂正により、削除されたため、当該理由による対象となる請求項が存在しない。 イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人 山内豊実は、訂正前の特許請求の範囲に記載された請求項1ないし5に係る特許に関し、特許異議申立書において、以下の理由を挙げている。 (ア)本件特許明細書の【0011】には加工誤差に起因する段差や突起等による加工品質のばらつきが抑制されるとあるが、加工誤差に起因して形成された段差は、形状が凸形状の角部になり、レーザートリムラインとプレストリムラインとが接続された構造、すなわち、特許された請求項1に係る発明の構造に含まれたものとなる。よって、発明の詳細な説明に記載された加工品質の優れたホットスタンプトリム部品と、請求項1に係る特許発明とが一致しない不備があり、また、請求項1に係る特許発明の「凸形状の角部」の記載は不明確でもあるから、特許法第36条第6項第1号及び同法同条同項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (イ)本件特許の請求項1に係る発明は、当業者が甲第1号証に記載の発明に基づいて容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 (ウ)本件特許の請求項1に係る発明は、当業者が甲第2号証(特開2010-36217号公報)に記載の発明及び甲第3号証(山口文雄、「図解 プレス金型設計 複合加工・トランスファ・順送金型編」、日刊工業新聞社、2008年9月25日、初版第1刷、p.90-93)に基づいて、容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 (エ)本件特許の請求項2に係る発明は、当業者が甲第2号証に記載の発明及び甲第5号証(特開平8-164429号公報)に記載の技術事項に基づいて、容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 (オ)本件特許の請求項3に係る発明は、当業者が甲2号証に記載の発明及び甲第5号証に記載の技術事項に基づいて、容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 (カ)本件特許の請求項4に係る発明は、当業者が甲第2号証に記載の発明及び甲第3号証に記載の技術事項並びに設計的事項に基づいて、容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 (キ)本件特許の請求項5に係る発明は、当業者が甲第1号証に記載の発明及び設計的事項に基づいて、容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 前記(ア)~(キ)について異議申立人 山内豊美は主張しているが、上記(ア)については、特許異議申立書に「しかしながら、加工誤差に起因して段差等が形成されると、その段差等の凸形状の角部を介してレーザートリムライントとプレストリムラインとが接続された構造になり、それは本件特許発明1の構造そのものである。」と記載されている。 特許異議申立書の上記記載が具体的にどのような形状を意味しているのか、明らかではないものの、文脈上理解できるところは、「レーザートリムライン」と「プレストリムライン」とは接続されておらず、間に加工誤差による段差を介しており、段差と、「レーザートリムライン」又は段差と「プレストリムライン」とが凸形状の角部を形成している場合も含み得る、すなわち、「レーザートリムライン」と「プレストリムライン」とが、直接接続されていない態様も含みうることかと考えられる。 しかしながら、訂正前の請求項1に記載された「前記レーザートリムラインと前記プレストリムラインとが凸形状の角部を介して接続されていること」が技術的に示す内容を考えた場合、レーザートリムラインとプレストリムラインとが段差により接続される状況とは、双方のライン同士がホットスタンプトリム部品の外形形状の直線や円弧などの連続した箇所で接続されている状況を意味するのであり、本件特許の明細書の【0011】「また、それ等のレーザートリムラインおよびプレストリムラインは凸形状の角部を介して接続されているため、加工誤差による両者の相対的な位置ずれに拘らず接続部分の形状が安定し、例えばそれ等のトリムラインを直線や円弧などに沿って滑らかに接続する場合に比較して、加工誤差に起因する段差や突起等による加工品質のばらつきが抑制される。」や、【0027】「上記レーザートリムラインL1およびプレストリムラインL2は、凸形状の角部を介して接続されている。具体的には、上端部18のレーザートリムラインL1とプレストリムラインL2とが接続される III部では、図3から明らかなように、それ等のトリムラインL1およびL2は外角θ1で交差する角部30で接続されている。トリムラインL1およびL2は、一直線上で接続することが理想であるが、加工誤差などで段差等が生じて形状がばらつく可能性が高いため、凸形状の角部30を設けて接続するようにしたのである。」(下線はいずれも強調箇所として付加した。)の記載と照らすと、本件特許の「凸形状の角部」なる接続箇所には、直線や円弧などの連続した箇所で接続されているものを、明らかに除外していると言うべきである。またこの理解は、訂正前に請求項1を引用して記載された請求項2の「前記レーザートリムラインおよび前記プレストリムラインの一方には、前記角部に連続して凹部が設けられており、該凹部の開口端に他方のトリムラインが交差するように接続されている」との記載、すなわち、「前記角部」と「凹部」とが「連続」していて、かつ、両ラインが角部を介して接続されていることの双方を満たすためには、少なくとも「角部」は、いずれかのラインと互いに角部の線分各々が連続することを要するのであり、角部を形成する線分の一部がいずれのラインにも属さない態様、すなわち、プレス加工により不可避的に生じた加工段差の微小線分がいずれのラインにも続いていないとする、特許異議申立人が主張により想定している上記「加工誤差に起因して段差等が形成される」場合は、特許発明の技術的範囲に属さないとした理解と整合するものである。 そうすると、当該(ア)に係る主張は、サポート要件ないし明確性を満たさないとする妥当性を欠くとされるため、(ア)に係る特許異議申立理由は採用することができない。加えて、異議理由(ア)は訂正前の請求項1のみを対象としたものであり、訂正により請求項1は削除され、当該理由による対象となる請求項が存在しない。 上記(イ)及び(ウ)については、本件発明1が、訂正により削除されたため、対象となる請求項が存在しない。 上記(エ)については、甲第2号証及び甲第5号証のいずれも、レーザートリムラインとプレストリムラインとの接続が、凸形状の角部を介していることを示すものではない。 また、特許異議申立人は、「一方のトリムであるプレストリムラインにおける切捨て部8bの隣位置に凹部を設けて、その凹部の開口端にレーザートリムライン9が交差するように接続して、発明特定事項A、B、C、D、Eを備えた構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得るものである。」と主張しているが、なぜ「凹部」を設けることが容易であるのかその根拠が不明であるし、自明であると認める根拠も見いだせない。 上記(オ)については、上記のとおり(エ)が容易に想到し得るとはいえない以上、本件発明2を引用する本件発明3も容易に想到し得るということはできない。 上記(カ)については、甲第3号証も、レーザートリムラインとプレストリムラインとの接続が、凸形状の角部を介していることを示すものではない。してみると、上記のとおり(エ)が容易に想到し得るとはいえない以上、本件発明2を引用する本件発明4も容易に想到し得るということはできない。 上記(キ)については、訂正前の請求項5に対する特許異議の申立てであるところ、訂正前の請求項2に対しては、甲第1号証を証拠とする特許異議の申立てはなされていない。してみると、上記(キ)は、訂正前の請求項2を引用する請求項5に対する特許異議の申立てではなく、訂正前の請求項1を引用する請求項5に対する特許異議の申立てと理解せざるを得ないところ、本件発明1が、訂正により削除されたため、対象となる請求項が実質的に存在しなくなった。 4.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2ないし5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項1に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項1に対して、特許異議申立人 山内豊実がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700028

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