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特許拒絶査定不服審判

2018-015024

ソースAPからターゲットAPへローミングする無線通信デバイスのためのIPアドレス更新

審判番号
2018-015024
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-513134外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年11月12日
審決日
2019年11月01日
公報発行日
2020年05月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (H04W) / P18 .121-Z (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-513134「ソースAPからターゲットAPへローミングする無線通信デバイスのためのIPアドレス更新」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月13日国際公開,WO2014/183088,平成28年 8月12日国内公表,特表2016-524378〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2014年(平成26年)5月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年5月10日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成30年4月23日付けで拒絶理由が通知され,同年6月20日に意見書及び手続補正書が提出され,同年7月20日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年11月12日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。 第2 平成30年11月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年11月12日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 本件補正は,平成30年6月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された 「 ソース・アクセスポイント(AP)からターゲットAPへローミングする無線通信デバイスにおける無線通信のための方法であって, 前記ソースAPのゲートウェイに関する第1の識別情報を決定することと, 前記ソースAPからターゲットAPへローミングすることと, アドレス解決プロトコル(ARP)交換を使用して前記ターゲットAPのゲートウェイに関する第2の識別情報を決定することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを比較することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合,レイヤ2の接続性のレベルにおいて実行される動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換を実行することによって前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを更新することと, を備える,方法。」 との発明(以下,「本願発明」という。)を, 「 ソース・アクセスポイント(AP)からターゲットAPへローミングする無線通信デバイスにおける無線通信のための方法であって, 前記ソースAPのゲートウェイに関する第1の識別情報を決定することと, 前記ソースAPからターゲットAPへローミングすることと, アドレス解決プロトコル(ARP)交換を使用して前記ターゲットAPのゲートウェイに関する第2の識別情報を決定することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを比較することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合,レイヤ2の接続性のレベルにおいて実行される動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換を実行することによって前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを更新することと,ここにおいて,前記ネットワークアドレスは,インターネットプロトコル(IP)アドレスである, を備える,方法。」(下線は補正箇所を示す。) との発明(以下,「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。 2 補正の適否 (1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件 請求項1についての上記補正は,本件補正前の請求項1の「無線通信デバイスのネットワークアドレス」について,「ここにおいて,前記ネットワークアドレスは,インターネットプロトコル(IP)アドレスである」との限定を付して,特許請求の範囲を減縮するものである。したがって,上記補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであり,同条第3項,同第4項の規定に違反するところはない。 (2)独立特許要件 上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。 ア 補正後の発明 補正後の発明は,上記1の「補正後の発明」のとおりのものと認める。 イ 引用発明等 (ア)引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-311851号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 この発明は携帯通信端末,無線局装置切換方法および無線局装置切換プログラムに関し,特に無線LANに接続可能な携帯通信端末,無線局装置切換方法および無線局装置切換プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年,無線通信を利用したローカルエリアネットワーク(以下「無線LAN」という)が普及している。さらに,無線LANに接続した無線通信端末をIP(インターネットプロトコル)電話機として利用することが可能となっている。携帯型の無線通信端末をIP電話機として使用する場合,無線LANの無線通信局(アクセスポイント)の圏内に無線通信端末が位置しなければならない。 【0003】 無線通信中の無線通信局から別の無線通信局との通信に切り換える,ハンドオフ(ハンドオーバーともいう)と呼ばれる技術が知られている。このハンドオフでは,それまで通信していたアクセスポイントと通信できなくなってから次に通信可能なアクセスポイントをスキャンし,スキャンにより決定した通信可能なアクセスポイントと接続する。先に通信していたアクセスポイントと通信できなくなってから次に通信可能なアクセスポイントに接続するまでに時間が必要とされ,その間はデータを送受信することができない。このため,無線通信端末をIP電話機として使用する場合は,通話が途切れることがないように,データを送受信することのできない時間をできるだけ短くすることが望まれる。 (中略) 【0041】 <ハンドオフ> 次に無線LANシステム300のハンドオフについて,図1を参照して説明する。図1を参照して,携帯電話機1が,例えばアクセスポイント100の通信可能領域100A内に位置する状態でアクセスポイント100と通信し,第2のネットワークに接続されている場合,携帯電話機1が通信可能領域100Aから通信可能領域100A外の位置に移動すると,アクセスポイント100と通信することができない。しかしながら,携帯電話機1は,移動後の位置がアクセスポイント101またはアクセスポイント102の通信可能領域101Aまたは102Aのいずれかに位置すれば,アクセスポイント101またはアクセスポイント102と通信が可能である。この場合,携帯電話機1は,アクセスポイント101,102のうち通信が可能なアクセスポイントを選択して,そのアクセスポイントにリアソシエーション要求(再接続要求)を送信し,そのアクセスポイントと通信することにより,第2のネットワークへの接続を継続する。例えば,携帯電話機1がアクセスポイント101を選択した場合,携帯電話機1が通信していたアクセスポイント100と,リアソシエーション要求を送信したアクセスポイント101との間で,携帯電話機1を受け渡すハンドオフが実行される。リアソシエーション要求は,携帯電話機1を識別するための装置識別情報としてのMAC(Media Access Control)アドレスと,それまで通信していたアクセスポイント100を識別するための装置識別情報としてのMACアドレスとが含まれる。リアソシエーション要求を受信したアクセスポイント101は,ハンドオフ元のアクセスポイント100から携帯電話機1の接続を認めるのに必要な情報を取得して,接続を許可する場合には,携帯電話機1に対して,リアソシエーション応答を送信する。アクセスポイント101からリアソシエーション応答を受信した携帯電話機1は,アクセスポイント101と通信が可能となり,第2のネットワークに再接続される。このように,アクセスポイント100とアクセスポイント101との間でハンドオフが実行されることにより,携帯電話機1が通信する先がアクセスポイント100からアクセスポイント101に変更されるが,携帯電話機1は第2のネットワークに接続した状態を維持することができる。 【0042】 携帯電話機1が,通信する先をアクセスポイント100からアクセスポイント101に変更した場合,アクセスポイント100とアクセスポイント101とが共に第2のネットワークに接続されている。このため,ハンドオフの前後で同一セグメントのネットワークに接続されるので,ハンドオフ前にアクセスポイント100と通信して第2のネットワークに接続された段階で割当てられたIPアドレスを,ハンドオフ後にそのまま使用することが可能である。しかしながら,携帯電話機1がハンドオフ後に通信するアクセスポイントが,ハンドオフ前に通信していたアクセスポイント100が接続された第2のネットワークと異なるセグメントのネットワークに接続されている場合,第2のネットワークに接続された段階で割当てられていたIPアドレスを,ハンドオフ後にそのまま使用することができない。このため,携帯電話機1は,ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一であることを確認する。 【0043】 具体的には,携帯電話機1は,ハンドオフ前にアクセスポイント100と通信してG/W111のIPアドレスを取得し,ハンドオフ後に通信するアクセスポイントを介して,取得したG/W111のIPアドレスが正しいか否かを判断する。携帯電話機1は,ハンドオフ後にアドレス解決プロトコル(ARP)に従って,先に取得したG/W111のIPアドレスのMACアドレスを要求し,MACアドレスを取得する。携帯電話機1は,取得したMACアドレスを先に取得したG/W111のMACアドレスと比較し,両者が一致すれば第2のネットワークに接続されたと判断し,両者が一致しない場合,またはMACアドレスを取得できない場合,第2のネットワークとは異なるネットワークに接続されたと判断する。 【0044】 携帯電話機1は,ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一であれば,ハンドオフ前に取得したIPアドレスをハンドオフ後にそのまま使用するが,ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一でなければ,DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求する。」 引用例1の上記記載,並びに当業者の技術常識を考慮すると, (i)【0041】には,無線LANシステムのハンドオフについて,携帯電話機1が,アクセスポイント100の通信可能領域100A内に位置する状態でアクセスポイント100と通信し,第2のネットワークに接続されている場合,携帯電話機1が通信可能領域100A外の位置に移動すると,アクセスポイント100と通信することができないが,携帯電話機1は,アクセスポイント101,102のうち通信が可能なアクセスポイントを選択して,そのアクセスポイントと通信することにより,第2のネットワークへの接続を継続することが記載されている。 ここで,【0002】,【0003】の記載によれば,携帯電話機1は「無線LANに接続した無線通信端末」であり,アクセスポイント100は「それまで通信していたアクセスポイント」であり,アクセスポイント101又は102は「通信可能なアクセスポイント」である。 したがって,引用例1には,「移動によりそれまで通信していたアクセスポイントから通信可能なアクセスポイントへハンドオフする無線LANに接続した無線通信端末」について記載されていると認められる。 (ii)【0042】には,携帯電話機1がハンドオフ後に通信するアクセスポイントが,ハンドオフ前に通信していたアクセスポイント100が接続された第2のネットワークと異なるセグメントのネットワークに接続されている場合,第2のネットワークに接続された段階で割当てられていたIPアドレスを,ハンドオフ後にそのまま使用することができないため,携帯電話機1は,ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一であることを確認することが記載されている。 そして,その具体的な確認動作として,【0043】に,携帯電話機1は,ハンドオフ前にアクセスポイント100と通信してG/W111のIPアドレスを取得し,ハンドオフ後にアドレス解決プロトコル(ARP)に従って,先に取得したG/W111のIPアドレスのMACアドレスを要求し,MACアドレスを取得し,取得したMACアドレスを先に取得したG/W111のMACアドレスと比較し,両者が一致すれば第2のネットワークに接続されたと判断し,両者が一致しない場合,またはMACアドレスを取得できない場合,第2のネットワークとは異なるネットワークに接続されたと判断することが記載されている。 したがって,引用例1には,無線LANに接続した無線通信端末が,「ハンドオフ前にそれまで通信していたアクセスポイントと通信してG/WのIPアドレスを取得し,ハンドオフ後にアドレス解決プロトコル(ARP)に従って,先に取得したG/WのIPアドレスのMACアドレスを要求し,MACアドレスを取得し,取得したMACアドレスを先に取得したG/WのMACアドレスと比較し,両者が一致しない場合,またはMACアドレスを取得できない場合,異なるネットワークに接続されたと判断する」ことが記載されていると認められる。 (iii)【0044】には,ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一でなければ,DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求することが記載されている。そして,「ハンドオフ前後で接続されるネットワークセグメントが同一でなければ」とは,上述の「異なるネットワークに接続されたと判断」した場合に該当することは自明である。 (iv) 無線LANに接続した無線通信端末における上記(ii),(iii)の動作は,「無線通信端末における無線通信のための方法」といえる。 以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「 移動によりそれまで通信していたアクセスポイントから通信可能なアクセスポイントへハンドオフする無線LANに接続した無線通信端末における無線通信のための方法であって, ハンドオフ前にそれまで通信していたアクセスポイントと通信してG/WのIPアドレスを取得し, ハンドオフ後にアドレス解決プロトコル(ARP)に従って,先に取得したG/WのIPアドレスのMACアドレスを要求し,MACアドレスを取得し, 取得したMACアドレスを先に取得したG/WのMACアドレスと比較し, 両者が一致しない場合,またはMACアドレスを取得できない場合,異なるネットワークに接続されたと判断し,DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求する,方法。」 (イ)周知技術 拒絶査定時に周知技術を示す文献として例示された特開2013-77996号公報(以下,「引用例4」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0069】 <乗客向けの情報サービスを提供するための動作> 続いて,以上説明した各装置が連携して乗客向けの情報サービスを提供するための動作について詳しく説明する。図8は,それぞれの端末計算機(PC)4がIP通信を行うのに必要となるIPアドレスを取得するまでの動作の流れを示すシーケンス図である。図9は,IPアドレスを取得したそれぞれの端末計算機(PC)4が情報サービス管理装置2から動作パラメータを取得して表示端末40の表示制御を行う動作の流れを示すシーケンス図である。以下,図8のシーケンス図に沿って,それぞれのPC4がDHCPサーバ1からIPアドレスを取得するまでの動作の詳細を説明し,続いて,図9のシーケンス図に沿って,取得したIPアドレスを用いて,情報サービス管理装置2から自身の動作を規定する動作パラメータを取得して表示制御を行う動作について説明する。 (中略) 【0076】 PC4とAP3との間のアソシエーションが確立すると,次に,PC4のIPアドレス取得部43は,IPアドレスを取得したい旨と自身のMACアドレスとを通知するブロードキャスト信号であるDHCP DISCOVERをAP3に送信する(ステップS416)。AP3によって中継されるこのブロードキャスト信号を受信したDHCPサーバ1は,割り当て可能なIPアドレスの候補を1つ選択して(ステップS111),PC4宛に(PC4のMACアドレスを指定して)そのIPアドレス候補を通知する信号であるDHCP OFFERを送信する。 【0077】 PC4のIPアドレス取得部43は,無線LAN送受信部46を介して受信されるこのDHCP OFFERによって通知されたIPアドレス候補を受け入れ(ステップS417),そのIPアドレス候補を利用したい旨を通知する信号であるDHCP REQUESTをDHCPサーバ1宛に送信する。AP3によって中継されるこの信号を受信したDHCPサーバ1は,IPアドレス候補として通知したIPアドレスの貸出し処理を行い(ステップS112),貸出しが完了した旨を通知する信号であるDHCP ACKをPC4宛に送信する。この信号を受信したPC4のIPアドレス取得部43は,当該IPアドレスを自装置のIPアドレスとして設定し(ステップS418),IPアドレスの取得が完了する。」 同じく拒絶査定時に周知技術を示す文献として例示された特開2009-118267号公報(以下,「引用例5」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0113】 無線アクセスポイント42との認証および鍵共有の手続を完了した端末装置20(20-C)は,IPネットワーク41を通じたIP通信を行うために必要なパラメータ,特に,自身が用いるIPアドレスの払出を受けるべく,DHCP手順に基づく探索メッセージ(DHCP DISCOVER)をブロードキャストする(ステップS410)。ブロードキャストされた探索メッセージは,フィルタ装置43を透過して通信制御装置10に到達する。 【0114】 なお,IPネットワーク41は,ブロードキャストされた探索メッセージを通信制御装置に直接伝送するのではなく,IPネットワーク41内のルータ機能で一旦受信し,これを通信制御装置10にリレーするようにしてもよい。この場合,端末装置20の端末識別子(MACアドレス)の値は,DHCPのオプションとして含め,通信制御装置10にまで伝えられるように構成する。 【0115】 DHCP手順に基づく探索メッセージ(DHCP DISCOVER)を受信した通信制御装置10は,このメッセージの送信元である端末装置20(20-C)の端末識別子として,送信元である端末装置20(20-C)のMACアドレスを取得し,取得したMACアドレスを端末識別子の値として持つレコードがユーザ接続情報に存在するか否かを確認する(ステップS411)。本接続フェーズでは,上記のステップS406において端末装置20(20-C)のMACアドレスがレコードに追加されているので,ユーザ接続情報に存在することが確認される。一方,ユーザ接続情報に存在することが確認されなかった場合には,所定のメッセージ(DHCP NACK)の送信により,端末装置20(20-C)に対して拒否応答を返却して処理を終了する。 【0116】 続いて,通信制御装置10は,アドレス管理情報を参照して,端末装置20(20-C)に払い出すIPアドレスを決定する(ステップS412)。具体的には,アドレス管理情報の中に管理されているIPアドレス群の中から,払出除外期間内にあるものを除いたIPアドレスの部分集合の中から決定する。払い出すIPアドレスを決定するためのロジックは任意のものを採用できるが,例えば,直前に受けたアドレス払出要求に応じて払い出したIPアドレスの次の順のIPアドレスを払い出すIPアドレスに決定するロジックが採用できる。本接続フェーズでは,例えば,図5に示すように,アドレス管理情報の中に管理されているIPアドレス群(管理対象:「192.168.1.0/24」)の中で,「192.168.1.100」および「192.168.1.102」に払出除外期間が設定されているが,ステップS412の処理段階で双方とも払出除外期間内にあるものとすると,これら以外のIPアドレス,例えば,「192.168.1.103」を払い出すIPアドレスとして決定する。 【0117】 さらに,通信制御装置10は,払いだすことを決定したIPアドレスについて払出除外期間を決定する(ステップS413)。払出除外期間の決定方法は任意の方法を採用することができるが,例えば,現在年日時に,あらかじめ設定されていた払出除外期間(例えば,6時間などの時間の長さ)を加算して決定する方法を採用することができる。本接続フェーズでは,例えば,図6に示すように,「2007-09-15:10:10」を払出除外期間として決定する。 【0118】 そして,通信制御装置10は,例えば,図6に示すように,払出IPアドレス(例えば,「192.168.1.103」)と,払出除外期間(例えば,「2007-09-15:10:10」),および先ほど探索メッセージ(DHCP DISCOVER)から取得した端末装置20(20-C)のMACアドレス(例えば,「CC:CC:CC:22:22:02」)を対応付けたレコードをアドレス管理情報に追加する(ステップS414)。 【0119】 その後,通信制御装置10は,所定のメッセージ(DHCP OFFER)を送信して,払出IPアドレス(例えば,「192.168.1.103」),および貸し出し期間を端末装置20(20-C)に提示する(ステップS415)。この貸し出し期間(上記で説明した「有効期限」に対応する)は,払出除外期間を超過しないように決定される。例えば,払出除外期間までの期間と同じ値としてもよいし,現在時刻から払出除外期間までの時間の50%あるいは80%の時間に応じた値を設定してもよい。本接続フェーズでは,払出除外期間(例えば,「2007-09-15:10:10」)と同じ値を貸し出し期間として設定するものとする。 【0120】 端末装置20(20-C)は,通信制御装置10から提示されたIPアドレスと貸し出し期間を確認し,所定のメッセージ(DHCP REQUEST)を送信して,IPアドレスの利用申込を行う(ステップS416)。このメッセージには,送信元を示す端末装置20(20-C)の端末識別子であるMACアドレス(例えば,「CC:CC:CC:22:22:02」)と,利用申込IPアドレス(例えば,「192.168.1.103」)とが含まれる。 【0121】 通信制御装置10は,メッセージ(DHCP REQUEST)を受信すると,メッセージの送信元を示す端末装置20(20-C)の端末識別子であるMACアドレス(例えば,「CC:CC:CC:22:22:02」)と,このメッセージに含まれる利用申込IPアドレス(例えば,「192.168.1.103」)を取得し,取得したMACアドレスと利用申込IPアドレスとの対が,アドレス管理情報内に存在するか否かを確認する(ステップS417)。本接続フェーズでは,例えば,図6に示すように,MACアドレスと利用申込IPアドレスとの対が存在することが確認されるが,MACアドレスと利用申込IPアドレスとの対が存在しない場合には,所定のメッセージ(DHCP NACK)の送信により,端末装置20(20-C)に対して拒否応答を返却して処理を終了する。 【0122】 通信制御装置10は,受信されたメッセージ(DHCP REQUEST)から取得したMACアドレスと利用申込IPアドレスとの対が,アドレス管理情報内に存在することが確認された場合には,端末装置20(20-C)のIPアドレスの利用を確定させ,端末装置20(20-C)が送信元となって,払出IPアドレスを発アドレスとするIP通信をIPネットワーク41で転送できるように,フィルタ装置43に対してフィルタリングルールの追加指示を送信する(ステップS418)。この追加指示には,端末装置20(20-C)の端末識別子であるMACアドレス(例えば,「CC:CC:CC:22:22:02」)と,払出IPアドレス(例えば,「192.168.1.103」)が含まれる。 【0123】 フィルタ装置43は,通信制御装置10から受信したフィルタリングルールの追加指示に含まれるMACアドレスとIPアドレスとの対を元に,この対に含まれるMACアドレスを持つ端末装置20(20-C)から,この対に含まれるIPアドレスを発アドレスとするIP通信を許可するフィルタリングルールを記憶し(ステップS419),端末装置20(20-C)からのIP通信を透過できる状態の整備が完了すると,その完了を通信制御装置10に対して応答する(ステップS420)。 【0124】 端末装置20(20-C)からのIP通信を透過できる状態の整備完了の応答をフィルタ装置43から受信すると,通信制御装置10は,所定のメッセージ(DHCP ACK)を端末装置20(20-C)に送信し(ステップS421),接続フェーズを正常に完了する。」 引用例4,5の上記記載にもあるように,「DHCP手順として,装置が自身のMACアドレスを含むDHCP DISCOVERをブロードキャストし,DHCP DISCOVERを受信したDHCPサーバが装置に貸し出すIPアドレスを提示するDHCP OFFERを装置に送信し,装置は自身のMACアドレスを含むDHCP REQUESTを送信して提示されたIPアドレスの利用申込を行い,DHCPサーバが装置にDHCP ACKを送信することにより,装置がIPアドレスを取得する。」ことは,技術常識ともいえる周知技術である。 ウ 対比・判断 補正後の発明と引用発明とを対比すると, (i)引用発明の「それまで通信していたアクセスポイント」,「通信可能なアクセスポイント」,「無線LANに接続した無線通信端末」は,それぞれ補正後の発明の「ソース・アクセスポイント(AP)」,「ターゲットAP」,「無線通信デバイス」に相当する。 引用発明の「ハンドオフ」は,上記イ(i)で述べたとおり,それまで通信していたアクセスポイントの通信可能領域外の位置に移動することにより当該アクセスポイントと通信することができなくなるが,通信が可能なアクセスポイントを選択してそのアクセスポイントと通信することにより,ネットワークへの接続を継続することであり,それまで通信していたアクセスポイントから通信可能なアクセスポイントへ移動するプロセスといえるから,補正後の発明の「ローミング」に含まれる。 したがって,両者は,「ソース・アクセスポイント(AP)からターゲットAPへローミングする無線通信デバイスにおける無線通信のための方法」といえる点で一致している。 また,引用発明は,無線通信端末がそれまで通信していたアクセスポイントの通信可能領域外の位置に移動することを前提としていることが明らかであるから,「前記ソースAPからターゲットAPへローミングすること」を備えるといえる点で,補正後の発明と一致している。 (ii)引用発明は「取得したMACアドレスを先に取得したG/WのMACアドレスと比較」するものであるところ,引用例1には「先に取得したG/WのMACアドレス」がどのように取得されたのか明らかにされていない。しかしながら,比較の結果,「両者が一致しない場合,・・・異なるネットワークに接続されたと判断」すること,「ハンドオフ前にそれまで通信していたアクセスポイントと通信してG/WのIPアドレスを取得」すること等を考慮すると,「先に取得したG/WのMACアドレス」は「それまで通信していたアクセスポイント」が接続していたゲートウェイに関する識別情報と解するのが相当であり,「先に取得」することは当該識別情報を「決定」することといえる。 してみると,引用発明が,補正後の発明と同様に,「前記ソースAPのゲートウェイに関する第1の識別情報を決定すること」を備えることは自明である。 そして,引用発明の「ハンドオフ後にアドレス解決プロトコル(ARP)に従って,先に取得したG/WのIPアドレスのMACアドレスを要求し,MACアドレスを取得し」は,補正後の発明の「アドレス解決プロトコル(ARP)交換を使用して前記ターゲットAPのゲートウェイに関する第2の識別情報を決定すること」に相当し,引用発明の「取得したMACアドレスを先に取得したG/WのMACアドレスと比較し」は,補正後の発明の「前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを比較すること」に相当する。 (iii) 引用発明の「両者が一致しない場合」は,明らかに補正後の発明の「前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合」に相当する。 また,補正後の発明の「動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換を実行すること」が,無線通信デバイスが動的ホスト構成プロトコル(DHCP)サーバに無線通信デバイスのネットワークアドレスを要求することを含むことは当業者に明らかであり,これは本願明細書の【0046】の「DHCP発見メッセージは,DHCPサーバにIPリース(an IP lease)を要求し」との記載とも整合するものである。 更に,引用発明の「新たなIPアドレス」は,明らかに補正後の発明の「インターネットプロトコル(IP)アドレス」である「無線通信デバイスのネットワークアドレス」に相当する。 したがって,補正後の発明の「前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合,レイヤ2の接続性のレベルにおいて実行される動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換を実行することによって前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを更新すること」と,引用発明の「両者が一致しない場合,またはMACアドレスを取得できない場合,異なるネットワークに接続されたと判断し,DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求する」ことは,「前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合,動的ホスト構成プロトコル(DHCP)サーバに前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを要求することと,ここにおいて,前記ネットワークアドレスは,インターネットプロトコル(IP)アドレスである」点で共通する。 以上を総合すると,補正後の発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。 (一致点) 「 ソース・アクセスポイント(AP)からターゲットAPへローミングする無線通信デバイスにおける無線通信のための方法であって, 前記ソースAPのゲートウェイに関する第1の識別情報を決定することと, 前記ソースAPからターゲットAPへローミングすることと, アドレス解決プロトコル(ARP)交換を使用して前記ターゲットAPのゲートウェイに関する第2の識別情報を決定することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを比較することと, 前記第1の識別情報と前記第2の識別情報が前記ターゲットAPの前記ゲートウェイは前記ソースAPの前記ゲートウェイと同一でないと示す場合,動的ホスト構成プロトコル(DHCP)サーバに前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを要求することと,ここにおいて,前記ネットワークアドレスは,インターネットプロトコル(IP)アドレスである, を備える,方法。」 (相違点) 「動的ホスト構成プロトコル(DHCP)サーバに前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを要求すること」に関し,補正後の発明は「レイヤ2の接続性のレベルにおいて実行される動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換を実行することによって前記無線通信デバイスのネットワークアドレスを更新する」ものであるのに対し,引用発明は「DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求する」ことが特定されるのみである点。 以下,上記相違点について検討する。 上記イ(イ)において述べたように,「DHCP手順として,装置が自身のMACアドレスを含むDHCP DISCOVERをブロードキャストし,DHCP DISCOVERを受信したDHCPサーバが装置に貸し出すIPアドレスを提示するDHCP OFFERを装置に送信し,装置は自身のMACアドレスを含むDHCP REQUESTを送信して提示されたIPアドレスの利用申込を行い,DHCPサーバが装置にDHCP ACKを送信することにより,装置がIPアドレスを取得する。」ことが周知技術であり,本願明細書の【0046】の記載からも明らかなように,補正後の発明の「動的ホスト構成プロトコル(DHCP)交換」は当該DHCP手順に他ならない。 ここで,当該DHCP手順は,装置のIPアドレスがなくても,装置のMACアドレスを用いることにより実行され得るものであるから,レイヤ2の接続性のレベルにおいて実行されるといえる。 そして,引用発明が「DHCPサーバに新たなIPアドレスの割り当てを要求する」にあたり,周知技術である当該DHCP手順を採用してIPアドレスを更新することは,当業者が容易になし得ることに過ぎない。 そして,補正後の発明の作用効果も,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。 したがって,引用発明及び周知技術に基づいて補正後の発明をすることは,当業者にとって容易である。したがって,補正後の発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 3 結語 したがって,本件補正は,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年11月12日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2 平成30年11月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「1 本件補正の概要」の項中の「本願発明」のとおりのものと認める。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶理由の概要は,「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項1に対して引用例1(特開2007-311851号公報)が引用され,周知技術を示す文献として引用例4(特開2013-77996号公報),引用例5(特開2009-118267号公報)が挙げられている。 3 引用発明等 引用発明及び周知技術は,上記「第2 平成30年11月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ 引用発明等」の項で認定したとおりである。 4 対比・判断 そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,本願発明は補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると,本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 平成30年11月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ 対比・判断」の項で検討したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。 そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。 5 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2018-015024

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