特許拒絶査定不服審判
2018-011164
ディスプレイ装置及びその制御方法
- 審判番号
- 2018-011164
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-000949外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年08月16日
- 審決日
- 2020年02月20日
- 公報発行日
- 2020年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (H04N) / P18 .575-WZ (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-949「ディスプレイ装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年7月17日出願公開、特開2014-132756〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月7日(パリ条約による優先権主張2013年1月7日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 9月 5日付け:拒絶理由通知
同年12月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月21日付け:拒絶理由通知(最後)
平成30年 3月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年 4月24日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
同年 8月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年10月17日 :上申書の提出
平成31年 1月10日 :上申書の提出
令和 元年 7月23日 :補正の却下の決定、拒絶理由通知(最後)
同年10月28日 :意見書、手続補正書の提出
第2 令和元年10月28日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和元年10月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成29年12月6日にされた手続補正により補正された請求項1(以下、「補正前の請求項1」という。)を、以下の請求項1(以下、「補正後の請求項1」という。)とする補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所である。)
〔補正前の請求項1〕
「【請求項1】
ディスプレイ装置において、
出力部と、
前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部と、
ユーザの音声を収集する音声収集部と、
前記ユーザの音声に対応するシステム応答を出力するように前記出力部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御する
ことを特徴とするディスプレイ装置。」
〔補正後の請求項1〕
「【請求項1】
ディスプレイ装置において、
出力部と、
前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部と、
ユーザの音声を収集する音声収集部と、
前記ユーザの音声に対応するシステム応答を出力するように前記出力部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御し、
前記ユーザの音声に対応するシステム応答は、前記ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つを含み、
前記音声命令ガイドに含まれる前記音声命令は、前記ディスプレイ装置の現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する
ことを特徴とするディスプレイ装置。」
2 補正の適否
上記補正事項は、「ユーザの音声に対応するシステム応答」について「前記ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つを含み」との限定を付加するとともに、「音声命令ガイド」に含まれる「音声命令」について「前記ディスプレイ装置の現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1に記載したとおりであり、以下に再掲する。
なお、各構成の符号(A)~(G)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A~構成Gと称する。
〔本件補正発明〕
(A)ディスプレイ装置において、
(B)出力部と、
(C)前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部と、
(D)ユーザの音声を収集する音声収集部と、
(E)前記ユーザの音声に対応するシステム応答を出力するように前記出力部を制御する制御部とを含み、
(E1)前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御し、
(F)前記ユーザの音声に対応するシステム応答は、前記ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つを含み、
(G)前記音声命令ガイドに含まれる前記音声命令は、前記ディスプレイ装置の現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する
(A)ことを特徴とするディスプレイ装置。
(2)引用文献、引用発明、周知技術、文献4記載技術
(2-1-1)引用文献1の記載事項
令和元年7月23日に通知した拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の出願前に頒布された文献である、特表2002-510074号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
なお、以下の下線は、強調のために当審で付したものである。
ア「【0024】
図8~12は、本発明のリモートコントロールシステムを示す。特に、典型的な図8の実施例は、例えば、受信機204及びテレビ206をもつセットトップボックス202(図9)、セットトップボックス208と一体化されたテレビ(図10)、あるいは専用コンピュータ210(図11)とすることができるCPU搭載装置200とインターフェースしているリモコン装置100を示す。CPU搭載装置は、リモコン装置100から送信されるデジタル打鍵信号及びアナログ音声信号を解釈し、テレビ、VCR、電話及びインターネットができるコンピュータを含む、民生エレクトロニクスとインターフェースがとられている及び/または一体化されている、前記民生エレクトロニクスの機能及びアプリケーションを制御することが好ましい。」
イ「【0054】
CPU搭載装置200の音声認識能力により、上述の制御装置及び機能の全てをユーザが単にリモコン装置100に話しかけることにより制御することができ、このことはリモコン装置使用の有効性及び容易性を大きく高める。すなわち、例えば、ユーザは単にリモコン装置100に話しかけることにより簡便に、テレビのチャンネルを変え、おばあちゃんに電話し、あるいはネットサーフィンを行う。ユーザの話しかけに応答して発生される音声信号はCPU搭載装置200に送信され、所望の機能及びアプリケーションを制御するためにCPU搭載装置200で解釈される。本発明の音声認識により、トランスクライブアプリケーションの助けを借りて、ユーザはe-メール及びその他の文書を作成するために、リモコン装置を介して、ワードプロセッサ文書を口述することができる。」
(2-1-2)引用発明
上記(2-1-1)の記載より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(a)~(c)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成a~構成cと称する。
〔引用発明〕
(a)セットトップボックス208と一体化されたテレビであるCPU搭載装置200であって、
(b)前記CPU搭載装置は、リモコン装置100から送信されるアナログ音声信号を解釈し、テレビ、VCR、電話及びインターネットができるコンピュータを含む、民生エレクトロニクスとインターフェースがとられている及び/または一体化されている、前記民生エレクトロニクスの機能及びアプリケーションを制御するものであり、
(c)ユーザはリモコン装置100に話しかけることにより、テレビのチャンネルを変え、電話し、あるいはネットサーフィンを行うことができ、ユーザの話しかけに応答して発生される音声信号はCPU搭載装置200に送信され、所望の機能及びアプリケーションを制御するためにCPU搭載装置200で解釈される、
(a)CPU搭載装置200。
(2-2-1)引用文献2の記載事項
令和元年7月23日に通知した拒絶の理由で引用文献2として引用された本願の出願前に頒布された文献である、特開2002-259114号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
なお、以下の下線は、強調のために当審で付したものである。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声認識コンピュータシステムに関し、特に音声による操作指示を受け付けるGUI環境を備えた音声認識コンピュータシステムに関する。」
イ「【0020】図1において、音声認識コンピュータシステム10は、音声入力部11と、音声コマンド認識手段としての音声認識部12及びキーワード抽出部13と、制御手段としての状態管理部14及びアプリケーションI/F部15と、音声出力部16と、音声コマンド一覧表示手段としての表示部17と、から構成されている。
【0021】上記音声入力部11は、例えばマイクロフォン等から構成されており、利用者が発声した音声を取り込んで、電気信号(音声信号)に変換する。
【0022】上記音声認識部12は、音声認識辞書12aを備えており、音声入力部11からの音声信号を、音声認識辞書12aに登録されている単語と照合して、一致する単語群すなわちフレーズを認識結果としてキーワード抽出部13に出力する。ここで、音声認識辞書12aは、登録されている単語のうち、操作の内容を決定付ける単語には、予めキーワードが付されている。例えば「メール」,「メッセージ」という単語に対しては、「Mail」というキーワードが、また「見る」,「見せて」,「表示」という単語に対しては、「Get」というキーワードが付されている。そして、音声認識部12は、認識結果のフレーズと共に、このフレーズに含まれる単語にキーワードが付されている場合には、当該キーワードもキーワード抽出部13に出力する。
【0023】上記キーワード抽出部13は、音声認識部12で認識されたフレーズから、キーワードを抽出する。例えば、認識されたフレーズが「メールを見せて」である場合、キーワード抽出部13は、「Mail」及び「Get」という二つのキーワードを抽出する。
【0024】上記状態管理部14は、動作決定ルール14aを備えており、キーワード抽出部13にて抽出されたキーワードに基づいて、動作決定ルール14aを参照して、キーワードのセットが一致する動作決定のブロックを検索して読み出すことにより、アプリケーションによる動作を決定して、アプリケーションI/F部15に制御コマンドを送出する。また、上記状態管理部14は、アプリケーションI/F部15におけるアプリケーション18の操作時の実行結果(成功または失敗)を判別して、成功または失敗時におけるメッセージ及びそのときに表示すべき音声コマンドの一覧を動作決定ルール14aから取得して、音声コマンド一覧更新手段として音声コマンドの一覧を更新する。ここで、動作決定ルール14aは、キーワードのセットに対して、アプリケーションをどのように操作するか、そしてその操作の前,操作成功時及び操作失敗時における表示及び音声出力を定義している。
【0025】上記アプリケーションI/F部15は、音声認識コンピュータシステム10で動作するアプリケーション18に対して操作コマンドを送出して、当該アプリケーション18を操作すると共に、その実行結果(成功または失敗)を状態管理部14に送出する。
【0026】上記音声出力部16は、スピーカ等から構成されており、状態管理部14で決定された動作に基づいて、音声メッセージを出力する。上記表示部17は、CRT,液晶表示装置等から構成されており、状態管理部14で決定された動作に基づいて、次に利用者が発声すべき音声コマンドの一覧を表示画面上にて表示する。」
(2-3-1)引用文献3の記載事項
令和元年7月23日に通知した拒絶の理由で引用文献3として引用された本願の出願前に頒布された文献である、特開2009-109587号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の記載がある。
なお、以下の下線は、強調のために当審で付したものである。
ア「【0001】
本発明は、ユーザが発する音声による命令を認識し、この音声による命令に応じた機器の制御を実行する音声認識制御装置に関する。」
イ「【0049】
液晶表示装置72は、音声認識制御装置10が認識することができる音声コマンドを表示する。液晶表示装置72の表示領域の制限により、一度に表示可能な音声コマンドの数が制限される。図3の例では、「換気扇つけて」「電気を切り替えて」及び「標準ライトをけして」の3つの音声コマンドまでを1つの画面内で表示することができる。ユーザが実際に行いたい操作に相当する音声コマンドがこの画面内に表示されていない場合、ユーザは、後述する十字キーを用いて画面をスクロールさせる等により、最初の画面に表示されていなかった音声コマンドを表示させることができ、画面スクロールを繰り返し実施することにより、実際に使用したい音声コマンドを液晶表示装置72に表示させることができる。
【0050】
被制御機器(浴室機器20)の増加や被制御機器が備える機能の高度化・複雑化などによって、音声認識制御装置10が認識することができる音声コマンドが多数に及ぶ場合がある。この場合、ユーザが実際に使用したい音声コマンドを見つけるまでに要する時間、つまり音声コマンドの検索時間が増加してしまう。そこで、本発明の第1の実施の形態において、液晶表示装置72は、第1の優先度データベース17に格納された優先度のデータを参照して、動作状況検出部19により検出された機器の動作状況において次に実行することの意味又は効果の程度が所定の基準値以上である音声コマンドのみを表示する。具体的に、図1の音声コマンド選択部13aは、第1の優先度データベース17に格納された優先度のデータを参照して、動作状況検出部19により検出された機器の動作状況において次に実行することの意味又は効果の程度が所定の基準値以上である音声コマンドを照合用データベース16内から選択し、液晶表示装置72は、音声コマンド選択部13aにより選択された音声コマンドを表示する。優先度のデータを適宜設定することにより、液晶表示装置72は、動作状況検出部19により検出された機器の動作状況において次に実行して意味又は効果のある音声コマンドだけを表示することができる。よって、認識可能な音声コマンドを記憶するユーザの作業負担を軽減することができ、かつ音声コマンドの検索時間を短縮することもできる。」
(2-4-1)引用文献4の記載事項
本願の出願前に頒布された文献である、特開2001-309257号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の記載がある。
なお、以下の下線は、強調のために当審で付したものである。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、デジタルテレビ放送受信機に関する。」
イ「【0014】デジタルテレビ放送受信機は、システムコントローラ20を備えている。システムコントローラ20は、そのプログラム等を記憶するROM21、必要なデータを記憶するRAM22、書き込みおよび読み出しが可能な不揮発性メモリ23を備えている。」
ウ「【0026】図4は、システムコントローラ20によって行なわれる音声入力による番組検索処理手順を示している。
【0027】音声入力による番組検索モード時においては、ユーザは音声入力装置24を用いて選択したい番組を特定するための単語を音声入力する。番組を特定するための単語としては、ジャンル名、番組名、出演者名等が挙げられる。
【0028】音声入力による番組検索モード時において、音声入力装置24から番組を特定するための単語に対応する音声が入力されると(ステップ11)、音声認識用辞書に基づいて入力音声に対して音声認識処理を行うことにより、入力された音声に対応するキーワードを音声認識用辞書から抽出する(ステップ12)。
【0029】抽出したキーワードに基づいて番組を検索する(ステップ13)。つまり、各番組のうち、その番組案内情報中に抽出したキーワードを含む番組を検索する。そして、検索した番組に関する情報(たとえば、番組名、チャンネル、放送開始時刻等)を表示する(ステップ14)。ユーザは、表示された番組に関する情報から、希望する番組を選択することによって、視聴番組の選択若しくは番組予約(視聴予約、録画予約または視聴・録画予約)を行なう。」
(2-4-2)文献4技術
上記(2-4-1)の記載より、引用文献4には、次の技術(以下、「文献4技術」という。)が記載されていると認められる。
〔文献4技術〕
デジタルテレビ放送受信機に備えられたシステムコントローラ20によって行なわれる音声入力による番組検索処理手順として、
入力音声に対して音声認識処理を行うことにより、入力された音声に対応するキーワードを音声認識用辞書から抽出し、
各番組のうち、その番組案内情報中に抽出したキーワードを含む番組を検索し、
検索した番組に関する情報(たとえば、番組名、チャンネル、放送開始時刻等)を表示する
処理を行う技術。
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 構成Aについて
構成aの「CPU搭載装置200」は、「セットトップボックス208と一体化されたテレビ」であるから、構成Aの「ディスプレイ装置」に相当する。
したがって、両者は、構成Aである点で一致する。
イ 構成Bについて
構成aのテレビは、映像を出力する手段を備えており、当該手段は構成Bの「出力部」に相当する。
ウ 構成C、構成E1、構成Gについて
本件補正発明は、
(C)前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部
を含み、
(E1)前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御し、
(G)前記音声命令ガイドに含まれる前記音声命令は、前記ディスプレイ装置の現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する
ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点で相違する。
エ 構成Dについて
引用発明は、構成bによれば、リモコン装置100から送信されるアナログ音声信号を解釈するものであるから、アナログ音声信号を受信する構成を含むものであることは自明である。また、構成cによれば、当該アナログ音声信号は、「ユーザの音声」といえる。すると、当該ユーザの音声を受信する構成は、構成Dの「ユーザの音声を収集する音声収集部」に相当する。
したがって、両者は、構成Dを含む点で一致する。
オ 構成Eについて
構成cにおいて、ユーザがリモコン装置100に話しかけることにより、変えられたテレビのチャンネルの映像は、構成Eの「前記ユーザの音声に対応するシステム応答」に相当する。そして、前記映像は、構成aの、テレビであるCPU搭載装置200から出力されるから、当該装置に前記映像の出力を制御する手段が備わっていることは、自明である。
したがって、両者は、構成Eを含む点で一致する。
カ 構成Fについて
本件補正発明は、
(F)前記ユーザの音声に対応するシステム応答は、前記ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つを含む
ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点で相違する。
キ 以上ア~カから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
(A)ディスプレイ装置において、
(B)出力部と、
(D)ユーザの音声を収集する音声収集部と、
(E)前記ユーザの音声に対応するシステム応答を出力するように前記出力部を制御する制御部とを含む
(A)ディスプレイ装置。
〔相違点1〕
本件補正発明は、
(C)前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部
を含み、
(E1)前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御し、
(G)前記音声命令ガイドに含まれる前記音声命令は、前記ディスプレイ装置の現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する
ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点。
〔相違点2〕
本件補正発明は、
(F)前記ユーザの音声に対応するシステム応答は、前記ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つを含む
ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点。
(4)判断
上記相違点について、以下に検討する。
ア 相違点1について
音声認識によりアプリケーションや機器を制御する際に、アプリケーションや機器の現在の動作状況に適用可能な音声命令に対応する例文を、保存された複数の例文から取得して表示する技術は、引用文献2及び引用文献3の記載から周知技術と認められる。
そして、当該周知技術は、音声認識により機器を制御する技術と認められるから、引用発明のテレビにおけるディスプレイの動作制御に係る構成に対して当該周知技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。
ここで、引用発明に周知技術を適用した構成について検討する。
引用発明に周知技術を適用した構成において、複数の例文が保存されているから、「保存部」を備えているといえる。
引用発明に周知技術を適用した構成において、表示される例文は、現在の動作状況に適用可能な音声命令をユーザに示すものであるから、「音声命令ガイド」といえる。
引用発明に周知技術を適用した構成において、表示される音声命令は、現在の動作状況に適用可能なものであるから、「現在状況における音声制御によって実行可能な特定の操作、に関連する」ものである。
以上から、引用発明において、周知技術に基づき、上記相違点1に係る構成C、構成E1及び構成Gを備えるようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。
イ 相違点2について
文献4技術における、入力音声に基づく「検索した番組に関する情報(たとえば、番組名、チャンネル、放送開始時刻等)」は、「ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つ」に相当する。
そして、引用発明と文献4技術とは、ユーザからの音声を音声認識して制御するテレビである点で技術分野及び機能が共通する。さらに、テレビにおいて番組案内情報を表示させることは、周知技術であるから、引用発明のテレビにおいて、音声信号を解釈し、テレビを制御する構成として、文献4技術の、番組を検索し、検索した番組に関する情報(たとえば、番組名、チャンネル、放送開始時刻等)を表示するものを付加すること、すなわち、ユーザの音声に対応するシステム応答として、引用発明における上記テレビのチャンネルの映像に加えて、検索した番組に関する情報(たとえば、番組名、チャンネル、放送開始時刻等)(「ユーザの発話意図に応じて検索されたコンテンツに関する情報である、コンテンツ名称・ジャンル・放送時間・出演者・コンテンツに対するサムネールイメージ・コンテンツが放送されるチャネル名・チャネル番号・制作者のうち少なくとも一つ」に相当する。)を備えるようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。
ウ 効果について
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、文献4技術及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明、文献4技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年10月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、平成29年12月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1において「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。
2 令和元年7月23日に通知した拒絶の理由
本願発明に係る令和元年7月23日に通知した拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に頒布された上記引用文献1に記載された発明、並びに、上記引用文献2及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用文献、引用発明、周知技術
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3の記載事項、引用発明及び周知技術は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比
本願発明は、上記第2[理由]2において検討した本件補正発明から構成F及び構成Gの限定事項を削除し、構成A~構成E1としたものに対応する。
そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
上記第2[理由]2(3)キの、本件補正発明と引用発明との間の〔一致点〕と同じである。
〔相違点〕
本願発明は、
(C)前記ディスプレイ装置のディスプレイ状況別に適用可能な音声命令に対応する複数の例文を保存する保存部
を含み、
(E1)前記制御部は、
前記保存された複数の例文のうち、前記ディスプレイ装置の現在状況に適用可能な音声命令に対応する例文を含む音声命令ガイドを出力するように制御する
ものであるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点。
5 判断
上記相違点を構成する構成C及び構成E1を全てに含み、さらに構成Gを付加したものに相当する上記第2[理由]2(3)キの、本件補正発明と引用発明との間の〔相違点1〕に係る構成が、上記第2[理由]2(3)、(4)アに記載したとおり、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到しうるものであるから、本願発明と引用発明との間の〔相違点〕に係る構成も、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到しうるものである。
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-011164