特許拒絶査定不服審判
2018-007052
測定方法及び装置
- 審判番号
- 2018-007052
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-139706外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月23日
- 審決日
- 2019年08月19日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】テスト リサーチ, インク.
- 【請求人代理人】好宮 幹夫
- 【請求人代理人】小林 俊弘
- 分類
- P18 .537-WZ (G01N) / P18 .113-WZ (G01N) / P18 .121-WZ (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-139706「測定方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 26609〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年7月14日(パリ条約による優先権主張 2015年7月22日 米国、2016年1月3日 米国)の出願であって、平成29年4月28日付けで拒絶理由が通知され、同年8月1日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年1月25日付けで拒絶査定されたところ、同年5月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成31年2月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和元年5月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
さらに、令和元年6月4日に、当審から電話による審尋を行い、これに対して、同年6月12日に請求人からファクシミリによる回答があり、同年6月12日に当審から電話による審尋を行い、同年6月19日に請求人からファクシミリによる回答があり、同年6月21日に当審から電話による審尋を行い、同年7月3日に請求人からファクシミリによる回答があった。(令和元年7月10日作成の応対記録参照)
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~15に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明15」という。)は、令和元年5月24日にされた手続補正(以下、単に「手続補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうちの本願発明1は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)を用いる走査装置により被測定物を光学的走査して、X線透過像を発生させる工程であって、前記走査装置が、X線発生器と、基板保持ユニットと、X線検出器とを含み、前記X線発生器はX線を発生させ、前記被測定物は前記基板保持ユニットを介して移動するように、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置され、前記X線検出器は、前記X線発生器から出力して前記被測定物を通過したX線を検出し、前記被測定物を通過した前記X線を前記X線透過像にし、前記X線検出器がプレートセンサである工程と、
前記X線透過像を再構成立体像に再生する工程と、
前記被測定物に係る非水平スライス方向を含むスライス方向を調整して、前記再構成立体像を断面像にスライスする工程と、
前記断面像を測定して、前記被測定物の少なくとも1つの特徴を分析する工程と、
前記断面像を測定して、前記被測定物の少なくとも1つの特徴を分析した結果を出力する工程と、
を備え、
前記断面像を測定して、前記被測定物の前記少なくとも1つの特徴を分析する工程は、
前記断面像を測定することで、前記被測定物が移動部品に置かれる期間中、前記被測定物が異常であるかをリアルタイムに検査する測定方法。」
第3 拒絶の理由
当審拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
1.(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.(新規性・進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。または、本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由1(特許法第36条第6項第2号違反について)
1 請求項1の記載について
(1)「ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)により被測定物を光学的走査して、X線透過像を発生させる工程」について
「ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)により被測定物を光学的走査」することの「光学的」がX線を意味するとしても、X線で「走査」することが具体的にどのような技術事項であるのかが明らかでない。
なお、本願明細書には「【0031】X線検出器126は、X線発生器122から出力して被測定物128を通過したX線を測定し、被測定物128を通過したX線を影像にすることで、被測定物128の「走査影像」を発生させる。一部の実施例において、X線検出器126は、イメージインテンシファイア管又はプレートセンサであってもよいが、それに制限されない。走査影像は、コンピュータ装置140に伝送されて、保存ユニット144に保存される。」と記載されているところ、「走査影像」の「走査」が具体的にどのような技術事項を示すのかが明らかでない。
したがって、「ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)により被測定物を光学的走査して、X線透過像を発生させる工程」は明確でない。
(2)省略
(3)「移動部品が前記被測定物を移動させる期間中」について
省略
そもそも、「移動部品」が「被測定物」をどのように移動させる部材であるのかも明らかでない。
したがって、「移動部品が前記被測定物を移動させる期間中」は明確でない。
2 請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~8も同様である。
測定方法の発明である請求項1に係る発明を測定装置の発明として構成した請求項9に係る発明も同様である。請求項9を直接又は間接的に引用する請求項10~16も同様である。
3 したがって、請求項1~16に係る発明は明確でない。
●理由2(新規性・進歩性)について
(新規性)
・請求項1、7、9、15
・引用文献1
(進歩性)
・請求項1~16
・引用文献1~4
<引用文献等一覧>
1.特開2009-14693号公報
2.特開2007-114150号公報
3.特開2010-271165号公報
4.特開2006-226875号公報
第4 判断(明確性)
1 「●理由1 1 (1)について」
(1)令和元年5月24日提出の意見書について
請求人は、「補正後の請求項1においては、「ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)を用いる走査装置により被測定物を光学的走査して、X線透過像を発生させる工程であって、前記走査装置が、X線発生器と、基板保持ユニットと、X線検出器とを含み、前記X線発生器はX線を発生させ、前記被測定物は前記基板保持ユニットを介して移動するように、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置され、前記X線検出器は、前記X線発生器から出力して前記被測定物を通過したX線を検出し、前記被測定物を通過した前記X線を前記X線透過像にし、前記X線検出器がプレートセンサである工程」と補正したことにより、走査装置による光学的走査によりX線透過像を発生させる工程の具体的な技術事項がより明確になりました。」と説明するが、走査装置の構成を説明しているだけで、「光学的走査」、「X線で「走査」する」すなわち、X線による走査という動作が具体的にどのような技術事項であるのかを説明していない。
(2)令和元年6月12日に送付されたファクシミリ(以下「ファクシミリ1」という。)について
請求人は、ファクシミリ1において、
「本願の特許請求の範囲及び明細書において「光学的」は具体的にはご指摘の通り「X線」を指し、これは通常の用語の使用の通りです。
「走査」の具体的な方法については、請求項1において、令和1年5月24日付で提出いたしました手続補正書にて、
「前記走査装置が、X線発生器と、基板保持ユニットと、X線検出器とを含み、前記X線発生器はX線を発生させ、前記被測定物は前記基板保持ユニットを介して移動するように、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置され、前記X線検出器は、前記X線発生器から出力して前記被測定物を通過したX線を検出し、前記被測定物を通過した前記X線を前記X線透過像に(する)」
という旨を特定しております。具体的な「走査」の方法が特定されていますので、明確な記載です。請求項9についても同様です。」
と説明する。
しかし、この説明によっても、「走査」が示す事項を明確に特定することができない。すなわち、走査(あるいはスキャン)が、
・1枚の画像を、ラインスキャンカメラを走査(スキャン)して撮像すること、あるいは、フラットパネルカメラにより撮像すること(フラットパネルカメラでは、2次元撮像素子内で走査(スキャン)が行われていることは自明である。)、
・3次元画像を構成するために複数枚の画像を撮るために、X線発生器、X線検出器、被測定物を相対的に移動させること、
のどちらを示すのかが明らかでない。
(3)令和元年6月19日に送付されたファクシミリ(以下「ファクシミリ2」という。)について
請求人は、ファクシミリ2において、以下のとおり、説明するが、この説明においても、本願の請求項1の「光学的走査」の「走査」が上記2通りの解釈のどちらであるのか(あるいはどちらでもない別の解釈があるのか)が明確でない。
6月19日に送付された回答書
(4)令和元年7月3日に送付されたファクシミリ(以下「ファクシミリ3」という。)について
請求人は、ファクシミリ3において、
「(1)請求項1における「走査」又は「光学的走査」に関しては、ある実施形態では1回のX線写真撮影を意味し、あるいは、別の実施形態では、(三次元画像を再構成するための)被測定物の一連のX線写真の撮影を意味します。」
と説明するのみである。
(5)結論
以上のとおり、請求人は、結局、本願の請求項1の「光学的走査」の「走査」が示す技術事項を明らかにすることはなかった。
したがって、本願の請求項1の「光学的走査」の「走査」には、2つの解釈があり、明確でない。
2 「●理由1 1 (3)について」
(1)令和元年5月24日提出の意見書について
請求人は、本願の請求項1の「移動部品」が「被測定物走」をどのように移動させる部材であるのかを明らかにしなかった。
(2)ファクシミリ1について
請求人は、
「「移動部品」は、「被測定物」を搬送することができるものです。例えば、移動部品は、RGV(Rail Guided Vehicle、有軌道式無人搬送車)やAGV(Automated guided vehicle、無人搬送車)、自動搬送装置などとすることができます。これらの移動部品の例は、当技術分野において周知です。」
と説明する。
しかし、本願明細書の
「【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る測定装置100の模式図である。測定装置100は、走査装置120と、コンピュータ装置140と、入力設備160と、出力装置180と、を備える。走査装置120は、X線発生器122と、基板保持ユニット124と、X線検出器126と、を含む。コンピュータ装置140は、処理ユニット142と、保存ユニット144と、を含む。
【0030】
基板保持ユニット124は、測定を行うように被測定物128を保持する。X線発生器122は、X線を発生させ、例えばX線源制御部品により制御されて、更に被測定物128をX線により照射されるようにする。被測定物128は、基板保持ユニット124を介して移動するように、X線発生器122とX線検出器126との間に配置される。
【0031】
X線検出器126は、X線発生器122から出力して被測定物128を通過したX線を測定し、被測定物128を通過したX線を影像にすることで、被測定物128の「走査影像」を発生させる。一部の実施例において、X線検出器126は、イメージインテンシファイア管又はプレートセンサであってもよいが、それに制限されない。走査影像は、コンピュータ装置140に伝送されて、保存ユニット144に保存される。」、
「【0053】
一部の実施例において、測定装置100は、被測定物128を移動させるための移動部品130を更に備える。このように、検査部156は、断面像を測定することで、被測定物が移動部品130に置かれる期間中、被測定物128が異常であるかをリアルタイムに検査する。」という記載、本願の図1の記載
図1
からは、「移動部品130」は、「被測定物128」が置かれた「基板保持ユニット124」を備え、「走査装置」内で、「X線発生器122」と「X線検出器126」の間に配置されてX線像を撮像するものと認められるところ、RGV、AGV、無人搬送車に被測定物を載置した状態で、X線撮影を行うことは、当業者にはおよそ考えられないことであるから、上記請求人の説明を採用することはできない。
(3)ファクシミリ3について
請求人は、ファクシミリ3において、以下のように説明する。
7月3日に送付された回答書
以上の説明によれば、「移動部品」は搬送機であり、「基板保持部」(「基板保持ユニット」の誤記と思われる。)は基板保持用の機械部分を有するベルトを含むものであるが、上記(2)で説示したとおり、本願の明細書及び図面の記載によれば、「移動部品130」及び「基板保持ユニット124」は、上記(2)で説示したとおりのものであって、上記請求人が説明するものは、本願の明細書及び図面に記載されたものとはかけ離れたものであることは明らかであるから、上記請求人の説明を採用することはできない。
(4)結論
したがって、本願の請求項1の「移動部品」は、明確でない。
3 まとめ
したがって請求項1に係る発明は、明確でない。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~8も同様である。
測定方法の発明である請求項1に係る発明を測定装置の発明として構成した請求項9に係る発明も同様である。請求項9を直接又は間接的に引用する請求項10~16も同様である。
第5 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)
(1) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線基板の放射線検査方法および放射線検査装置ならびに放射線検査方法を用いた放射線検査プログラムに関し、さらに詳しくは、多層貫通配線基板(以下、貫通基板と呼ぶ)や多層ビルドアップ配線基板(以下、ビルドアップ基板と呼ぶ)などの多層配線構造の検査に適した放射線検査方法およびその放射線検査装置ならびにこの放射線検査方法および装置に示される良否判定機能を実現させるための放射線検査プログラムに関する。
」
(2) 「【0030】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の構成:
(2)放射線検査処理:
(2-1)良否判定処理:
(3)他の実施形態:
【0031】
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる多層配線基板の放射線検査方法によって実現された放射線検査装置10の概略ブロック図である。同図において、この放射線検査装置10は、放射線発生器11とX-Yステージ12と放射線検出器13aと搬送装置14とを備えており、各部をCPU25によって制御する。すなわち、放射線検査装置10はCPU25を含む制御系として放射線制御機構21とステージ制御機構22と画像取得機構23と搬送機構24とCPU25と入力部26と出力部27とメモリ28とを備えている。この構成において、CPU25は、メモリ28に記録された図示しないプログラムを実行し、各部を制御し、また所定の演算処理を実施することができる。
【0032】
メモリ28はデータを蓄積可能な記憶媒体であり、予め検査位置データ28aと撮像条件データ28bとが記録されている。検査位置データ28aは、検査対象部の位置を示すデータであり、本実施形態においては、基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアを放射線検出器13aの視野に配設するためのデータである。撮像条件データ28bは、放射線発生器11にて放射線を発生させる際の条件を示すデータであり、放射線管に対する印加電圧,撮像時間、撮像回数等を含む。
【0033】
また、メモリ28には、CPU25の処理過程で生成される各種データを記憶することが可能である。例えば、上記放射線検出器13aによって取得した放射線画像を示す放射線画像データ28cや、この放射線画像データ28cに基づいて再構成演算を行った3次元画像データ28dを記憶することができる。なお、メモリ28はデータを蓄積可能であればよく、RAMやHDD等種々の記憶媒体を採用可能である。
【0034】
放射線制御機構21は、上記撮像条件データ28bを参照し、放射線発生器11を制御して所定の放射線を発生させることができる。放射線発生器11は、放射線の出力位置である焦点Fからほぼ全方位、すなわち、立体角2πの範囲に放射線を出力する。なお、放射線発生器11より出力される放射線としては、検査対象部の透過画像を撮像することができればよく、種々の放射線を採用可能である。例えば、X線、γ線等が採用可能である。また、放射線発生器11は撮像倍率を変化させるための図示しない昇降機構を備えているが、放射線画像取得時には放射線検査装置10において固定的に配置されている。すなわち、撮像倍率を変化させるためにZ軸方向へ移動する以外は放射線発生器11の位置や角度は変更されず、放射線画像取得時には装置に対して固定されたまま移動されることはない。
【0035】
ステージ制御機構22はX-Yステージ12と接続されており、上記検査位置データ28aに基づいて同X-Yステージ12を制御する。また、搬送機構24は、搬送装置14を制御して基板12aをX-Yステージ12に搬送する。すなわち、搬送装置14によって一方向に基板12aを搬送し、X-Yステージ12において基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアを検査し、搬送装置14にて検査後の基板12aを搬送する処理を連続的に実施できるように構成されている。
【0036】
本実施形態において、検査対象はスルーホールやバンプ、フィルドビアであり、スルーホールやバンプ、フィルドビアが配設された基板をX-Yステージ12上に載置して良否判定を行う。なお、上述のように検査位置データ28aは基板12aの検査対象部を放射線検出器13aの視野に配設するためのデータであり、ステージ制御機構22は、基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアが放射線検出器13aの視野に含まれるようにX-Yステージ12を制御する。
【0037】
画像取得機構23は放射線検出器13aに接続されており、同放射線検出器13aが出力する検出値によって検査対象部の放射線画像を取得する。取得した放射線画像は、放射線画像データ28cとしてメモリ28に記憶される。本実施形態における放射線検出器13aは、2次元的に分布したセンサを備えており、検出した放射線から放射線強度に関する2次元分布を示す放射線画像データを生成することができる。
【0038】
放射線検出器13aはアームを介して回転機構13bに接続されており、放射線検出器13aは、放射線発生器11の焦点Fから鉛直上方に延ばした軸Aを中心に半径Rの円周上を回転可能である。この回転機構13bは、画像取得機構23のθ制御部23aによって制御される。また、放射線発生器11の焦点Fから放射線検出器13aにおける検出面の中心に対して延ばした直線と、この検出面とが直交するように検出面が配向されている。
【0039】
出力部27は上記放射線画像等を表示するディスプレイであり、入力部26は利用者の入力を受け付ける操作入力機器である。すなわち、利用者は入力部26を介して種々の入力を実行可能であるし、CPU25の処理によって得られる種々の演算結果と放射線画像データと3次元画像データとスライス画像データと検査対象部の良否判定結果等を出力部27に表示することができる。
【0040】
CPU25は、メモリ28に蓄積された各種制御プログラムに従って所定の演算処理を実行可能であり、導通部の検査を行うために、図1に示す搬送制御部25aと放射線制御部25bとステージ制御部25cと画像取得部25dと再構成画像生成部25eとスライス画像抽出部25fと画像処理部25gと良否判定部25hとにおける演算を実行する。搬送制御部25aは、搬送機構24を制御して、適切なタイミングで基板12aをX-Yステージ12に供給し、また、適切なタイミングで搬送装置14を駆動して検査済みの基板12aをX-Yステージ12から取り除く。
【0041】
放射線制御部25bは、上記撮像条件データ28bを取得し、上記放射線制御機構21を制御して所定の放射線を放射線発生器11から出力させる。ステージ制御部25cは、上記検査位置データ28aを取得し、個々の導通部を逐次放射線検出器13aの視野内に配置するための座標値を算出し、ステージ制御機構22に供給する。この結果、ステージ制御機構22は、それぞれの座標値を持つ導通部が放射線検出器13aの視野に含まれるようにX-Yステージ12を移動させる。
【0042】
画像取得部25dは、画像取得機構23のθ制御部23aに指示を行い、放射線検出器13aを回転させる。また、画像取得機構23が取得する放射線画像データ28cをメモリ28に記録する。上記放射線画像データ28cは、複数の角度によって個々の導通部を撮影して得られるデータである。なお、画像取得部25dにおいては、上記複数の角度のピッチを適宜調整可能であり、高精度の良否判定に十分な撮影回数となるようにピッチを狭くしてもよいし、代表的な複数の角度で撮影し、間の角度における放射線画像は画像補間演算によって取得してもよい。
再構成画像生成部25eは、上記各放射線画像データ28cを用いて3次元画像を再構成し3次元画像データ28dとしてメモリ28に記録する。
【0043】
スライス画像抽出部25fは、上記3次元画像データ28dより検査対象における各層の水平スライス画像を抽出し、抽出したスライス画像データ28eとしてメモリ28に記録する。
画像処理部25gは、上記抽出した各スライス画像データ28eを用いて検査対象である導通部に対する所定の画像処理を実行し、その処理結果を画像処理データ28fとしてメモリ28に記録する。
良否判定部25hは、上記画像処理データ28fを用いて、検査対象の個々の導通部の良否を判定すると共に、基板全体としての良品、不良品の判定を行う。
【0044】
(2)放射線検査処理:
本実施形態においては、上述の構成において図2に示すフローチャートに従ってスルーホール内側の銅めっき層やバンプ、フィルドビアを有する基板12aの良否判定を行う。本実施形態においては、多数の基板12aを搬送装置14によって搬送し、X-Yステージ12上で基板12aの導通部を検査する。このため、検査に際しては、まずステップS100にて搬送制御部25aが搬送機構24に指示を出し、搬送装置14によって検査対象の基板12aをX-Yステージ12上に搬送する。
【0045】
次に、特定の導通部を放射線検出器13aの視野内に移動させて放射線画像を取得するため、変数nおよびmをそれぞれ"1"に初期化する(ステップS105)。続いて、画像取得部25dはθ制御部23aに指示を行い、回転機構13bを駆動して予め決められた回転位置に放射線検出器13aを移動させる(ステップS110)。本実施形態においては、回転角θnをθn=(n/N)×360°と定義しており、θ=0°(=360°)における放射線検出器13aの配置は予め決めてある。
【0046】
また、上記変数nは最大値をNとする整数である。従って、放射線検出器13aは360°/Nずつ回転することになる。Nは、放射線画像を撮影する回転位置の数であり、良否判定において基準情報と比較される画像処理データを得るに十分な3次元再構成画像が得られるように決定すればよい。本実施例においては、説明の簡略化のため、N=4(90°ピッチ、4カ所で撮影)における例として説明するが、例えば、20層以上の高多層配線基板の場合に、N=180以上(2°ピッチ、180カ所で撮影)の放射線画像から生成される3次元再構成画像が検査を行うに当たって最も適当である。
【0047】
放射線検出器13aの回転動作を行うと、この回転後の検出器の視野内に基板12aの最初の導通部が含まれるようにX-Yステージ12を移動させる(ステップS115)。このとき、ステージ制御部25cは上記検査位置データ28aを参照し、座標(xi,yi)が放射線検出器13aの視野中心となるようにステージ制御機構22に指示する。この結果、ステージ制御機構22はX-Yステージ12を移動させ、座標(xi,yi)を放射線検出器13aの視野中心に配置する。
【0048】
すなわち、座標(xi,yi)は、導通部を放射線検出器13aの視野内に移動させるために予め基板12a上に設定された座標であり、放射線検出器13aが上記回転角θnに配設されているときの視野中心は、放射線検出器13aと放射線発生器11の焦点Fとの相対関係から取得することができる。そこで、座標(xi,yi)を放射線検出器13aの視野内に移動させることで、導通部の透過像が放射線検出器13aで取得されるように基板12aの位置を制御することができる。
【0049】
図3,図4は、この例を説明するための図であり、座標系および放射線検出器13a、放射線発生器11の位置関係を示す図である。これらの図においては、X-Yステージ12による移動平面をx-y平面とし、この平面に垂直な方向をz方向としている。図3は、z-x平面を眺めた図であり、図4はx-y平面を眺めた図である。
【0050】
図3に示すように、放射線検出器13aの検出面は、その中心と焦点Fとを結ぶ直線lに対して垂直になるように配向されている。すなわち、軸Aに対して傾斜され、x-y平面と検出面とに対して所定の角度(傾斜角α)、例えば、α=60°が与えられている。上記直線lは、放射線検出器13aの視野中心に相当するので、放射線検出器13aの回転角θnから図4に示すように視野領域FOVを特定することができる。
【0051】
すなわち、上記直線lと上記x-y平面との交点を含む所定の領域が放射線検出器13aの視野領域FOVとなるので、図4に示す例のように変数nが1~4であることを想定すれば、図4に破線の矩形で示すように、視野領域FOVを特定することができる。そこで、上記ステージ制御機構22は図4の各矩形における中心と座標(xi,yi)とが一致するように、X-Yステージ12を移動させることになる。
【0052】
なお、図4においては、中心Oから-y方向に延ばした直線をθ=0°とし、時計回りの回転角がθnであり、θn=90°,180°,270°,360°の視野領域をそれぞれFOV1~FOV4としている。むろん、ステップS115においては、放射線検出器13aの視野内に導通部を配設することができる限りにおいて種々の制御手法を採用可能である。また、説明を容易にするためにθ1を90°としたが、θ1を0°として撮影を開始してもよい。
【0053】
ステップS115にて、座標(xi,yi)を放射線検出器13aの視野中心に配置したら、放射線制御部25bおよび画像取得部25dの制御により、放射線検出器13aにて回転角θnの放射線画像Pθnを撮影する(ステップS120)。すなわち、放射線制御部25bは、上記撮像条件データ28bを取得し、この撮像条件データ28bに示される条件で放射線を出力するように放射線制御機構21に対して指示を行う。この結果、放射線発生器11が立体角2πの範囲で放射線を出力するので、画像取得部25dは放射線検出器13aが検出した放射線画像(透過像)を取得する。
【0054】
ステップS120にて回転角θnの放射線画像Pθnを撮影すると、変数nが最大値Nに達しているか否かを判別し(ステップS125)、最大値Nに達していると判別されなければ変数nをインクリメントして(ステップS130)、ステップS110以降の処理を繰り返す。ステップS125にて変数nが最大値Nに達していると判別されたときには必要な回数の撮影が終了しているので、再構成画像生成部25eは、放射線画像Pθ1~PθNを用いて3次元画像の再構成演算を行い(ステップS135)、3次元画像データ28dとしてメモリ28に記録する。
【0055】
再構成演算は、検査対象部の3次元構造を再構成することができれば良く、種々の処理を採用可能である。例えば、フィルタ補正逆投影法を採用可能である。この処理においては、まず、放射線画像Pθ1~PθNのいずれかに対してフーリエ変換を実施し、フーリエ変換で得られた結果に対して周波数空間でフィルタ補正関数を乗じる。さらに、この結果に対して逆フーリエ変換を実施することで、フィルタ補正を行った画像を取得する。なお、このフィルタ補正関数は、画像のエッジを強調するための関数等を採用可能である。
【0056】
続いて、フィルタ補正後の画像を、それが投影された軌跡に沿って3次元空間へ逆投影する。すなわち、放射線検出器13aの検出面におけるある位置の像に対応する軌跡は、放射線発生器11の焦点Fとこの位置とを結ぶ直線であるので、この直線上に上記画像を逆投影する。以上の逆投影を放射線画像Pθ1~PθNの全てについて行うと、3次元空間上で銅等の導電性金属からなる導通部が存在する部分の放射線吸収係数分布が強調され、検査対象部の3次元形状を示す3次元画像データ28dが得られる。そこで、スライス画像抽出部25fは、上記3次元画像データ28dより、水平スライス画像を抽出し、この水平スライス画像の輝度変動率s2mを算出する(ステップS140)。この輝度変動率s2mは閾値ThSと比較される(ステップS145)。すなわち、図8のように、閾値ThS以上の値を示す輝度変動率近傍において極大の位置に対応する水平スライス画像は、放射線吸収率の高い配線パターンを含む水平スライス画像、すなわち、配線パターン層における水平スライス画像であると判定され(ステップS150)、また、それ以外の、閾値ThS未満の値を示す輝度変動率の位置に対応する水平スライス画像は絶縁層における水平スライス画像であると判定される(ステップS155)。これらより抽出する水平スライス画像を特定することができる。判定が終了した水平スライス画像は、スライス画像データ28eとしてメモリ28に記録される(ステップS160)。
なお、上記のステップS140において、配線パターン層のスライス画像の抽出に、配線パターンによる輝度値の変化(輝度変動率s2m)を用いる方法を提示したが、この方法に限定されるものではなく、配線パターンによるエッジ量の変化(エッジ強度)として配線パターン層の有無を判別してもよく、種々の方法を用いることが可能である。
【0057】
次に、変数mが最大値Mに達しているか否かを判別し(ステップS165)、最大値Mに達していると判別されなければ変数mをインクリメントして(ステップS170)、ステップS140以降の処理を繰り返す。ステップS165にて変数mが最大値Mに達していると判別されたときにはすべての水平スライス画像の判定が終了しているので、良否判定が実行される(ステップS175)。
なお、Mは導通部のスライス画像をスライス画像データ28eに記録するために予め設定する枚数であるが、スライス画像データ28eに記録するデータとしては上記した配線パターン層のスライス画像の他に、絶縁層の間のスライス画像を加えた総枚数をMとしてもよい。この場合、絶縁層をスライスするタイミングは、既知である絶縁層の厚みと上記した水平スライス画像を抽出するピッチとによって記録する各絶縁層の位置を設定しておけばよい。
【0058】
また、上記輝度変動率s2mを算出することによって絶縁層の厚さを測定することができる。すなわち、例えば、図8のように、所定の間隔において抽出された各スライス画像の輝度変動率s2mは、閾値ThS以上の値を示す輝度変動率近傍において極大の位置が配線パターン層に対応している。隣り合う2つの極大位置間の水平スライス画像の数は、絶縁層を挟んで隣り合う2つの配線パターン層間における所定の間隔の水平スライス画像の数であるので、この間の水平スライス画像の数に基づいて極大位置間の距離を算出し、その距離と既知の配線パターン層の厚さ(実測値または設計値等)との差分が絶縁層の厚さとなる。絶縁層の厚さに基準値を設けてこれと比較することにより、絶縁層厚さの良否を判定することもできる。
【0059】
(2-1)良否判定処理:
以下の特徴に対する良否判定処理について検討した。
1.スルーホール内面に形成された銅めっき層(内側導電層)を備える貫通基板
(1)銅めっき層と各ランドとの接合状態
(2)各ランドの銅めっき層に対する配設状態および各ランドの相互の配設状態(レジストレーション)
(3)銅めっき層の厚さの均一性
(4)表層側ランドのエッジ部に形成された銅めっき層の厚さの均一性
2.バンプ導体またはフィルドビア導体を備えるビルドアップ基板
(1)バンプ導体またはフィルドビア導体と各ランドとの接合状態
(2)各ランドの相互の配設状態および上記各ランドのバンプ導体またはフィルドビア導体に対する配設状態
(3)バンプ導体またはフィルドビア導体の内部の状態
3.垂直スライス画像を用いた検査および水平スライス画像と垂直スライス画像とを併用した場合の検査」
(3) 「【0107】
3.垂直スライス画像に基づいた検査の併用
上述の各良否判定の方法は、水平スライス画像に基づいて特徴量を取得することによる良否判定の方法であるが、さらに、水平スライス画像に加えて基板面に垂直な垂直スライス画像に基づいて特徴量を算出する場合には、より精度の高い良否判定を行うことが可能である。すなわち、従来のテストクーポン部を縦方向に切断・研磨して顕微鏡で検査する方法では1つのテストクーポンにつき通常は1断面しか検査できないが、上記スライス画像抽出工程においては、生成した3次元再構成画像における任意の面についてのスライス画像を作成可能である。従って、例えば、生成した3次元再構成画像から基板面に垂直な導通部の中心を通る複数の垂直スライス画像を抽出し、水平スライス画像に基づいた検査に加えて、抽出した各垂直スライス画像に基づいた検査を行うことができる。
【0108】
例として、スルーホール内面に形成された銅めっき層を備える貫通基板における良否判定の場合について説明する。基板面に垂直なスライス面において、銅めっき層30とランド31との接合が正常である場合には、図5の断面Cのように接合面に隙間は見られないが、図5の断面Dのように、銅めっき層30とランド31の接合部において接合不良が発生している場合には、銅めっき層30とランド31の接合部を表す境界に隙間31sが存在している。この隙間の面積を特徴量として算出し、良否の判定を行う。
【0109】
図18に示すフローチャートのように、最初に変数nを"1"に初期化する(ステップS700)。上記変数nは最大値をNとする整数で、このNは、良否判定に用いられるスライス画像データ28eの数である。画像処理部25gは、スルーホールの中心軸を通る、角度θにおける垂直のスライス画像データ28eより画像処理データ28fを取得し、この画像処理データ28fに基づいて、銅めっき層と各ランドとの接合部における未接合を表す隙間を抽出する(ステップS705)。ここで、この角度θはθ=2π×n/Nと定義してあり、n番目のスライス画像抽出時における、スルーホールの中心軸を通る平面の角度である。隙間を抽出するための画像処理としては特に限定されないが、モフォロジー処理等を採用することができる。
【0110】
抽出された隙間31sの面積Aθnを算出し(ステップS710)、算出した隙間の面積Aθnが、予め決められた閾値Thθより大きいか否かを判別する(ステップS715)。ここで、閾値Thθは、良品の断面における隙間の面積の許容値に基づいて決定されている。許容される隙間の面積に対して略同値または所定のマージンを設けて閾値Thθを定義すれば、隙間31sを表す領域の面積Aθnがこの閾値Thθより小さい場合に良品であると判別することができ、この場合にはステップS720において良判定を行う。そして、隙間31sを表す領域の面積Aθnがこの閾値Thθより大きい場合に不良品であると判別することができ、この場合にはステップS725において不良判定を行う。」
(4)図1
2 引用発明
上記1からみて、引用文献1には以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「放射線発生器11とX-Yステージ12と放射線検出器13aと搬送装置14とを備えており、また、CPU25を含む制御系として放射線制御機構21とステージ制御機構22と画像取得機構23と搬送機構24とCPU25と入力部26と出力部27とメモリ28とを備えている放射線検査装置10により良否判定を行う多層配線基板の放射線検査方法において、
搬送装置14によって検査対象の基板12aをX-Yステージ12上に搬送し、X-Yステージ12上で基板12aの導通部を検査し、スルーホール内側の銅めっき層やバンプ、フィルドビアを有する基板12aをX-Yステージ12上に載置して良否判定を行う放射線検査方法であり、
搬送機構24は、搬送装置14を制御して基板12aをX-Yステージ12に搬送し、
ステージ制御機構22は、基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアが放射線検出器13aの視野に含まれるようにX-Yステージ12を制御し、
放射線発生器11より出力される放射線としては、検査対象部の透過画像を撮像することができればよく、例えば、X線、γ線等が採用可能であり、
放射線検出器13aは、2次元的に分布したセンサを備えており、検出した放射線から放射線強度に関する2次元分布を示す放射線画像データを生成し、
放射線検出器13aはアームを介して回転機構13bに接続されており、放射線検出器13aは、放射線発生器11の焦点Fから鉛直上方に延ばした軸Aを中心に半径Rの円周上を回転可能であって、この回転機構13bは、画像取得機構23のθ制御部23aによって制御されるものであって、
画像取得部25dは、画像取得機構23のθ制御部23aに指示を行い、放射線検出器13aを回転させ、画像取得機構23が取得する放射線画像データ28cをメモリ28に記録し、上記放射線画像データ28cは、複数の角度によって個々の導通部を撮影して得られるデータであって、
再構成画像生成部25eは、上記各放射線画像データ28cを用いて3次元画像を再構成し3次元画像データ28dとしてメモリ28に記録し、
スライス画像抽出部25fは、上記3次元画像データ28dより検査対象における各層の水平スライス画像を抽出し、抽出したスライス画像データ28eとしてメモリ28に記録し、
画像処理部25gは、上記抽出した各スライス画像データ28eを用いて検査対象である導通部に対する所定の画像処理を実行し、その処理結果を画像処理データ28fとしてメモリ28に記録し、
良否判定部25hは、上記画像処理データ28fを用いて、検査対象の個々の導通部の良否を判定すると共に、基板全体としての良品、不良品の判定を行い、
さらに、スライス画像抽出部25fは、生成した3次元再構成画像における任意の面についてのスライス画像を作成可能であり、例えば、生成した3次元再構成画像から基板面に垂直な導通部の中心を通る複数の垂直スライス画像を抽出し、水平スライス画像に基づいた検査に加えて、抽出した各垂直スライス画像に基づいた検査を行い、
CPU25の処理によって得られる種々の演算結果と放射線画像データと3次元画像データとスライス画像データと検査対象部の良否判定結果等を出力部27に表示する、
放射線検査方法。」
第6 対比・判断(新規性・進歩性)
1 本願発明の認定
本願発明は、上記「第4 判断(明確性)」で説示したように、「光学的走査」の「走査」には、2つの解釈があり、明確でなく、「移動部品」が「被測定物」をどのように移動させる部材であるのかが明確でなく、さらに、「移動部品」と「基板保持ユニット」の関係も明確でなく、さらに、請求人の説明によっても明らかにならなかったので、本願明細書及び図面に記載された技術事項及び当業者の技術常識から、当審で以下のア及びイのとおり認定する。
ア 請求項1の「被測定物を光学的走査して」の「走査」とは、「ラインスキャンカメラ」を走査(移動)させて1枚の画像を撮像すること、「フラットパネルカメラ」により、1枚の画像を撮像することである。
イ 請求項1の「移動部品」とは、「測定装置100」内にあって、「被測定物128」を位置決めするための手段であり、同じく請求項1の「基板保持ユニット」とは、「移動部品」上で、「被測定物128」を固定するための手段である。
2 本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
(1)引用発明の「基板12a」は、「良否判定を行う」「検査対象」であるから、引用発明の「基板12a」は、本願発明1の「被測定物」に相当する。
(2)引用発明の「放射線発生器11より出力される放射線としては、検査対象部の透過画像を撮像することができればよく、例えば、X線」「が採用可能であ」るから、引用発明の「放射線発生器11」は、本願発明1の「X線を発生させ」る「X線発生器」に相当する。
(3)引用発明の「放射線検出器13a」は、「2次元的に分布したセンサを備えており、検出した放射線から放射線強度に関する2次元分布を示す放射線画像データを生成」するのであり、上記(2)より放射線はX線であるから、引用発明の「放射線検出器13a」は、本願発明1の「フラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)を用いる走査装置」が「含み、」「プレートセンサである」「X線検出器」に相当する。
(4)上記(2)で摘示したように、引用発明では、「X線」を採用して「検査対象部の透過画像を撮像する」のであるから、「X線検出器」は「検査対象部の透過画像を撮像する」ものであることは明らかである。
(5)上記「1イ」より、本願発明の「移動部品」、「基板保持ユニット」は、それぞれ、「測定装置100」内にあって、「被測定物128」を位置決めするための手段、「移動部品」上で、「被測定物128」を固定するための手段である。
すると、引用発明の「基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアが放射線検出器13aの視野に含まれるように」「制御される」「X-Yステージ12」が本願発明の「移動部品」に相当する。
また、引用発明の「X-Yステージ12」が「基板12a」を固定するための手段を有することは、技術常識からみて、明らかであるから、この「基板12a」を固定するための手段が、本願発明の「基板保持ユニット」に相当する。
そして、「基板12a」は、固定するための手段を介して、「X-Yステージ12」により移動されることは明らかである。
(6)引用発明では、「放射線発生器11」が「X線」を発生し、「X-Yステージ12」が「基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアが放射線検出器13aの視野に含まれるように」「制御され」、「放射線検出器13a」が「検査対象部の透過画像を撮像する」のであるから、「X-Yステージ12」が「放射線発生器11」と「放射線検出器13a」の間に配置されることは自明である。
(7)本願発明の「被測定物を光学的走査して」の「走査」は、上記「1ア」より、フラットパネルカメラにより1枚の画像を撮像することを含むものであり、上記(1)~(6)を踏まえると、引用発明の
「放射線発生器11とX-Yステージ12と放射線検出器13aと搬送装置14とを備え」た「放射線検査装置10により」
「搬送機構24は、搬送装置14を制御して基板12aをX-Yステージ12に搬送し、
ステージ制御機構22は、基板12aに形成されたスルーホールやバンプ、フィルドビアが放射線検出器13aの視野に含まれるようにX-Yステージ12を制御し、
放射線発生器11より出力される放射線としては、検査対象部の透過画像を撮像することができればよく、例えば、X線、γ線等が採用可能であり、
放射線検出器13aは、2次元的に分布したセンサを備えており、検出した放射線から放射線強度に関する2次元分布を示す放射線画像データを生成」することは、本願発明の
「ラインスキャンカメラ(Line Scan Camera)又はフラットパネルカメラ(Flat Panel Camera)を用いる走査装置により被測定物を光学的走査して、X線透過像を発生させる工程であって、前記走査装置が、X線発生器と、基板保持ユニットと、X線検出器とを含み、前記X線発生器はX線を発生させ、前記被測定物は前記基板保持ユニットを介して移動するように、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置され、前記X線検出器は、前記X線発生器から出力して前記被測定物を通過したX線を検出し、前記被測定物を通過した前記X線を前記X線透過像にし、前記X線検出器がプレートセンサである工程」に相当する。
(8)引用発明の、「放射線検出器13aはアームを介して回転機構13bに接続されており、放射線検出器13aは、放射線発生器11の焦点Fから鉛直上方に延ばした軸Aを中心に半径Rの円周上を回転可能であって、この回転機構13bは、画像取得機構23のθ制御部23aによって制御されるものであって、
画像取得部25dは、画像取得機構23のθ制御部23aに指示を行い、放射線検出器13aを回転させ、画像取得機構23が取得する放射線画像データ28cをメモリ28に記録し、上記放射線画像データ28cは、複数の角度によって個々の導通部を撮影して得られるデータであって、
再構成画像生成部25eは、上記各放射線画像データ28cを用いて3次元画像を再構成し3次元画像データ28dとしてメモリ28に記録」する工程は、「複数の角度によって個々の導通部を撮影して得られるデータであ」る「上記各放射線画像データ28cを用いて3次元画像を再構成し3次元画像データ28dとして」「記録」する工程であるから、本願発明1の「前記X線透過像を再構成立体像に再生する工程」に相当する。
(9)引用発明の「スライス画像抽出部25fは、上記3次元画像データ28dより検査対象における各層の水平スライス画像を抽出し、抽出したスライス画像データ28eとしてメモリ28に記録し、」「さらに、スライス画像抽出部25fは、生成した3次元再構成画像における任意の面についてのスライス画像を作成可能であり、例えば、生成した3次元再構成画像から基板面に垂直な導通部の中心を通る複数の垂直スライス画像を抽出」する工程が、本願発明1の「前記被測定物に係る非水平スライス方向を含むスライス方向を調整して、前記再構成立体像を断面像にスライスする工程」に相当する。
(10)引用発明の、「画像処理部25gは、上記抽出した各スライス画像データ28eを用いて検査対象である導通部に対する所定の画像処理を実行し、その処理結果を画像処理データ28fとしてメモリ28に記録し、
良否判定部25hは、上記画像処理データ28fを用いて、検査対象の個々の導通部の良否を判定すると共に、基板全体としての良品、不良品の判定を行」う工程が、本願発明1の「前記断面像を測定して、前記被測定物の少なくとも1つの特徴を分析する工程」に相当する。
(11)引用発明の「CPU25の処理によって得られる種々の演算結果と放射線画像データと3次元画像データとスライス画像データと検査対象部の良否判定結果等を出力部27に表示する」工程が、本願発明1の「前記断面像を測定して、前記被測定物の少なくとも1つの特徴を分析した結果を出力する工程」に相当する。
(12)引用発明の「搬送装置14によって検査対象の基板12aをX-Yステージ12上に搬送し、X-Yステージ12上で基板12aの導通部を検査し、スルーホール内側の銅めっき層やバンプ、フィルドビアを有する基板12aをX-Yステージ12上に載置して良否判定を行う」工程は、「X-Yステージ12上で」「基板12aの導通部を検査し」「良否判定を行う」から、本願発明1の「前記断面像を測定して、前記被測定物の前記少なくとも1つの特徴を分析する工程は、
前記断面像を測定することで、前記被測定物が移動部品に置かれる期間中、前記被測定物が異常であるかをリアルタイムに検査する」工程に相当する。
(13)以上のとおり、本願発明1と引用発明には、相違点がなく、本願発明1は、引用発明である。
また、仮に、上記「1」での本願発明の認定に不備があり、本願発明1と引用発明とに相違点があったとしても、該相違点は、当業者が容易に想到し得るものであって、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和元年5月24日提出の意見書で、「引用文献1の教示によれば、引用文献1の図3に示されているように、放射線検出器13aの検出面は傾斜しており、x-y平面と検出面とに対して所定の角度(傾斜角α)、すなわちα=60°が与えられています。
・・・
放射線検出器13aは傾いています(α=60°)ので、放射線検出器13aは様々なSID(例えば、以下に示すSID1、SID2、SID3)を有します。したがって、画像の各画素のPMAG(SID/SOD)が異なるため、画像の歪みが発生します。
・・・
本願の補正後の請求項1及び9に係る発明では、X線検出器126はプレートセンサです。したがって、画像の各画素のPMAG(SID/SOD)は同じであり、画像の歪みは生じ得ません。」と主張するが、いずれの請求項の記載でも、「X線検出器」が「被測定物」に対して傾いていないという事項は特定されておらず、このような請求項の記載に基づかない主張は、採用できない。
また、請求人は「本願補正後の請求項1及び9に係る発明では、被測定物128は基板保持ユニット124によって移動させられます。したがって、再構成立体像はX線画像に基づいて再構成することができます。しかしながら、引用文献1は基板保持ユニット124を有しておらず、放射線検出器13aは回転して質の悪い3D画像を取得します。」とも主張するが、上記「2(5)」で説示したとおり、引用発明は「基板12a」を「X-Yステージ12」上に固定するための手段(本願発明の「基板保持ユニット」に相当する。)を備えている点で一致しており、また、「放射線検出器13aは回転して質の悪い3D画像を取得します。」の「質の悪い」がどのような技術事項を意味しているのかも不明であって、請求人の主張は、採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきものである。
また、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-007052