特許拒絶査定不服審判
2018-005804
衣服
- 審判番号
- 2018-005804
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-026506外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年04月26日
- 審決日
- 2018年11月28日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】帝人フロンティア株式会社
- 【請求人代理人】為山 太郎
- 分類
- P18 .121-Z (A41D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 26506号「衣服」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-151644号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月14日の出願であって、平成29年11月20日付けで拒絶理由が通知され、平成29年12月6日に意見書及び補正書が提出され、平成30年3月14日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成30年4月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成30年4月26日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年4月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成29年12月6日付けの補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「少なくとも肩部を有する衣服であって、肩部の内側に、吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含むニードルパンチ不織布からなる、厚さが1.0mm以下、かつ吸湿発熱性が1.0℃以上である吸湿発熱生地が、表地と裏地との間に配されてなることを特徴とする衣服。」を
「少なくとも肩部を有する衣服であって、肩部の内側に、吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含むニードルパンチ不織布からなる、厚さが1.0mm以下、かつ吸湿発熱性が1.0℃以上である吸湿発熱生地が、表地と裏地との間に配されてなり、かつ前記吸湿発熱生地が、後身頃において肩線から吸湿発熱生地の下端の距離が衣服総丈の5%以上となるように配されてなり、かつ前記吸湿発熱生地の目付けが70g/m2以下であり、かつ前記吸湿発熱生地において、経方向および緯方向の引裂強度が20N以上であり、かつ前記ポリエステル繊維がケミカルまたはマテリアルリサイクル原料からなることを特徴とする衣服。」と補正した。
そして、この補正は、特許請求の範囲に記載した発明を特定するために必要な事項である、吸湿発熱生地について、「後身頃において肩線から吸湿発熱生地の下端の距離が衣服総丈の5%以上となるように配されてなり、かつ前記吸湿発熱生地の目付けが70g/m2以下であり、かつ前記吸湿発熱生地において、経方向および緯方向の引裂強度が20N以上であ」ること、及びポリエステル繊維について、「ケミカルまたはマテリアルリサイクル原料からなる」ことの限定を付加するものであり、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。
よって、本件補正における請求項1に係る発明の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的とするものである。
2 独立特許要件についての検討
(1)そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。
(2)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-140730号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、鋭意研究したところ、シャツに発熱機能を付加する場合、真に発熱機能が必要な部位は限定されることが判った。即ち、肩回りを温めることにより、体感温度が効率よく上昇することが判明した。
つまり、本発明者らの研究によると、着用時において脇や腕回り等はあまり肌(又は下着)に接触しておらず、肩回りは比較的長い時間に亘って肌(又は下着)に接触していた。そして、この肩回りを温めることで最も効率よく着用者の体感温度を上昇させることができた。
【0008】
上記研究を鑑みてなされた請求項1に記載の発明は、前身頃と、後身頃と、肩ヨークと、衿と、袖とを少なくとも有するドレスシャツ等のシャツであって、前記肩ヨークの幅方向の長さが8cm以上であり、前記肩ヨークの内側部分に吸湿発熱素材を含有する生地を備えたことを特徴とするシャツである。
【0009】
請求項1に記載の発明では、従来のシャツに比べて肩ヨークの幅が大きくなっている。つまり、従来のシャツと比べて、シャツの前面側と背面側のいずれか一方又は両方における肩ヨークが占める面積が大きくなっている。さらに、肩ヨークの内側部分には吸湿発熱素材を含有する生地を備えている。このことにより、着用者の肩回りを確実に温めることができ、着用者の体感温度を効率よく上昇させることができる。」
(イ)「【発明の効果】
【0016】
本発明は、厚すぎることのない自然なシルエットを有し、且つ、シャツの用途において十分な発熱機能を有するシャツを提供することができる。」
(ウ)「【0019】
シャツ1は長袖シャツであって、図1(a),(b)に示すように、前身頃2と、後身頃3と、肩ヨーク4と、衿5と、袖6と、袖口7と、前立て8とを少なくとも有している。そしてこれらの各部分に裁断された布地を縫製して形成される。
なお、このシャツ1の構成している布地の形状は立体裁断により決められた形状であるが、通常の裁断による形状でもよい。また、プリーツ、ダーツ等は図示しないが、形成されていてもよい。
【0020】
肩ヨーク4は、図2,3で示されるように、2層構造となっており、表地20と裏地21(吸湿発熱素材)によって形成されている。そして、表地20と裏地21は略同じ面積を有している。
裏地21は、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成されている。この繊維は特に限定されるものでないが、天然繊維の綿、絹、麻、再生セルロース繊維のレーヨン、キュプラ、テンセル、リヨセル等を好適に用いることができる。また、発熱繊維であるeks(東洋紡社製)を好適に用いることができる。
なお、裏地21はこれらの繊維を単独で使用した生地であってもよく、複数組み合わせて使用した生地であってもよい。
【0021】
また本実施形態では、図4で示されるように、肩ヨーク4の幅方向の長さWが10cmとなっている。なお幅方向の長さWとは、図1で示されるように、肩ヨーク4の最も袖6よりの部分において、シャツ1の前面側における肩の頂点部分(図4の破線で示す部分)から下端までの長さw1と、シャツ1の背面側における肩の頂点部分から下端までの長さw2との合計の長さとなっている。そして、この肩ヨーク4の幅方向の長さWは8cm以上であることが望ましい。またこのとき、シャツ1の前面側において肩ヨーク4の肩の頂点部分から下端までの長さh(w1)は3.5cm以上が望ましく、本実施形態では3.5cmとなっている。加えて、シャツ1の背面側において、肩ヨーク4の衿5と接触している部分から下端までの長さの内、最も短い部分の長さHは4cm以上が望ましく、本実施形態では4cmとなっている。」
(エ)「【0022】
上記した実施形態では、肩ヨーク4を2層構造とし、その裏地21を繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図5に示されるように、肩ヨーク30を表地31、中地32、裏地33から形成される3層構造とし、その中地32を繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成してもよい。また同様に、肩ヨークを4層以上の構造とし、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地が通常の布地で挟み込まれる構造としてもよい。
さらにまた、図6に示されるように、肩ヨーク40は、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成された1層構造のものであってもよい。」
イ 引用例1に記載された発明
引用例1の摘記事項(ウ)の記載を参酌して、摘記事項(エ)の「図5に示されるように、肩ヨーク30を表地31、中地32、裏地33から形成される3層構造とし、その中地32を繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成してもよい。」との記載に着目すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「前身頃2と、後身頃3と、肩ヨーク4と、衿5と、袖6と、袖口7と、前立て8とを少なくとも有するシャツ1であって、
肩ヨーク30を表地31、中地32、裏地33から形成される3層構造とし、その中地32を繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成し、
肩ヨーク4の最も袖6よりの部分において、シャツ1の前面側における肩の頂点部分(図4の破線で示す部分)から下端までの長さw1と、シャツ1の背面側における肩の頂点部分から下端までの長さw2との合計の長さsである肩ヨーク4の幅方向の長さWが10cmで、シャツ1の前面側において肩ヨーク4の肩の頂点部分から下端までの長さh(w1)が3.5cmであるシャツ1。」
(3)本願補正発明と引用発明の対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「肩ヨーク4」は、その構造及び作用から、本願補正発明の「肩部」に相当し、同様に、「シャツ1」は「衣服」に相当する。
(イ)引用発明の「肩ヨーク30を表地31、中地32、裏地33から形成される3層構造とし、その中地32を繊維自身が水分を吸着し発熱する生地で形成」する態様と、本願補正発明の「肩部の内側に、吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含むニードルパンチ不織布からなる、厚さが1.0mm以下、かつ吸湿発熱性が1.0℃以上である吸湿発熱生地が、表地と裏地との間に配されて」いる態様とは、肩部の内側に、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地が、表地と裏地との間に配されている態様の限りで一致する。
イ 一致点
したがって、両者は、
「少なくとも肩部を有する衣服であって、肩部の内側に、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地が配されてなることを特徴とする衣服。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
ウ 相違点
<相違点>
繊維自身が水分を吸着し発熱する生地について、本願補正発明は、「吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含むニードルパンチ不織布からなる、厚さが1.0mm以下、かつ吸湿発熱性が1.0℃以上である吸湿発熱生地」であり、「後身頃において肩線から吸湿発熱生地の下端の距離が衣服総丈の5%以上となるように配されてなり」、「目付けが70g/m2以下であり、かつ前記吸湿発熱生地において、経方向および緯方向の引裂強度が20N以上であり」、「ポリエステル繊維がケミカルまたはマテリアルリサイクル原料からなる」のに対し、引用発明は、肩ヨーク4の最も袖6よりの部分において、シャツ1の前面側における肩の頂点部分(図4の破線で示す部分)から下端までの長さw1と、シャツ1の背面側における肩の頂点部分から下端までの長さw2との合計の長さsである肩ヨーク4の幅方向の長さWが10cmで、シャツ1の前面側において肩ヨーク4の肩の頂点部分から下端までの長さh(w1)が3.5cmであるが、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地が具体的に特定されていない点。
(4)当審の判断
ア 相違点の検討
上記相違点について以下検討する。
(ア)引用発明は、「肩ヨーク4の幅方向の長さWが10cmで、シャツ1の前面側において肩ヨーク4の肩の頂点部分から下端までの長さh(w1)が3.5cmである」から、シャツ1の背面側における肩の頂点部分から下端までの長さw2は、6.5cmであり、一般的なシャツの総丈(着丈)を考慮すると、後身頃において肩線から吸湿発熱生地の下端の距離が衣服総丈の5%以上であるといえ、当該事項は、実質的な相違点でない。
仮に、当該事項が実質的な相違点であるとしても、引用例1には、「着用時において脇や腕回り等はあまり肌(又は下着)に接触しておらず、肩回りは比較的長い時間に亘って肌(又は下着)に接触していた。そして、この肩回りを温めることで最も効率よく着用者の体感温度を上昇させることができた。」(【0007】)と記載されているから、引用発明において、最も効率よく着用者の体感温度を上昇させるために、後身頃において肩線から繊維自身が水分を吸着し発熱する生地の下端の距離を衣服総丈の5%以上とすることは、設計上適宜なし得たことである。
(イ)引用例1には、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地について、「この繊維は特に限定されるものでないが、天然繊維の綿、絹、麻、再生セルロース繊維のレーヨン、キュプラ、テンセル、リヨセル等を好適に用いることができる。また、発熱繊維であるeks(東洋紡社製)を好適に用いることができる。」「これらの繊維を単独で使用した生地であってもよく、複数組み合わせて使用した生地であってもよい。」(【0020】)と記載されており、種々の生地が使用できる旨の示唆が記載されている。
そして、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-212880号公報(以下「引用例2」という。)には、吸湿発熱性を有する繊維構造物について、繊維材料としてポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を混交する点(【0039】等)、不織布とする点(【0040】)が記載されており、原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-1584号公報(以下「引用例3」という。)には、吸湿発熱する布帛について、ポリエステル系繊維を含む合成繊維を用いる点(【0043】)、不織布とする点(【0052】)並びに実施例において、吸湿発熱する中国産の竹を原料とするセルロース、ウール及びポリエチレンテレフタレート繊維とを含む点(【0046】、【0067】、【0070】)が記載されており、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地として、吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含む不織布は、周知であるといえる。
また、不織布として、ニードルパンチ不織布を用いること、及びポリエステル繊維として、ケミカルまたはマテリアルリサイクル原料を用いることは例を挙げるまでもなく周知である。
したがって、引用発明において、上記示唆に従い、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地として、具体的に、周知である吸湿発熱繊維とポリエステル繊維とを含むニードルパンチ不織布とするに際して、ポリエステル繊維として、ケミカルまたはマテリアルリサイクル原料を用いる程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。
(ウ)引用例2(【0042】)には、吸湿発熱性を有する繊維構造物について、「厚さが0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mm以上8mm以下である。荷重7g/cm2下における厚さが0.5mm未満では、繊維構造物としては薄すぎるため、十分な保温性が得られず、また10mmより大きい場合は、着用感が悪く、快適性のあるものとは言い難い。繊維構造物の形態としては、上述のように織物、編物、不織布などが挙げられ」ると記載されており、引用例3には、「本発明のセルロース系繊維のスパン糸からなる厚さ0.3mm以上の衣料用布帛は、20℃90%RHでの湿熱発熱による温度の上昇が2.5℃以上であることが必要である。より好ましくは、温度上昇が3.0以上である。」(【0015】)、「この吸湿発熱による上昇温度が、2.5℃以上であることが必要である。さらに3.0℃以上得られればより好ましく、暖かく感じられる。」(【0025】)及び実施例において厚さ0.36mm、0.37mm、上昇温度3.1℃の吸湿発熱する布帛を用いる点が記載されている。
そして、引用例1には、「本発明は、厚すぎることのない自然なシルエットを有し、且つ、シャツの用途において十分な発熱機能を有するシャツを提供することができる。」(【0016】)と記載されており、引用発明において、十分な発熱機能を有し、厚すぎることのない程度の厚さとするために、上記引用例2及び3記載の事項も参照して、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地の厚さを1.0mm以下、かつ吸湿発熱性を1.0℃以上とすることは、設計上適宜なし得たことである。
(エ)原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-129574号公報(以下「引用例4」という。)には、シャツ等に使用する吸湿発熱性不織布として、目付26g/m2、50g/m2のものを使用する点(【0001】、【0023】、【0036】)が記載されている。
そして、引用発明は、「厚すぎることのない自然なシルエットを有」するもの(【0016】)であるから、そのために、上記引用例4の記載事項も参酌して、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地の目付量を70g/m2以下とする程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。
(オ)原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-274493号公報(以下「引用例5」という。)には、「衣服内温度の過度の上昇が生じる着用シーンを想定した場合には、体を動かすことが容易に推測され、そのため衣服には耐久性に必要な引裂強さが求められる。したがって、本発明の化学繊維織物の引裂強さとしては、たて糸引裂強さ、よこ糸引裂強さともに、5N以上であることが好ましく、10N以上であることがさらに好ましい。」(【0018】)と記載されている。
そして、引用発明もシャツに係るものであるから、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地においても、使用形態において十分な引裂強さが求められることは当然の課題であるから、そのために、繊維自身が水分を吸着し発熱する生地において、経方向および緯方向の引裂強度が20N以上とすることは、設計上適宜なし得たことである。
(カ)以上のとおりであるから、引用発明において、引用例2~5記載事項及び周知の事項に基づいて、上記相違点に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 本願補正発明の奏する作用効果
本願補正発明により奏されるとされる効果は、引用発明、引用例2~5記載事項及び周知の事項からみて格別なものとはいえない。
ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、及び引用例2~5記載事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)小括
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年12月6日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成30年4月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)
2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1記載事項並びに引用発明については、上記「第2 平成30年4月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、吸湿発熱生地について、「後身頃において肩線から吸湿発熱生地の下端の距離が衣服総丈の5%以上となるように配されてなり、かつ前記吸湿発熱生地の目付けが70g/m2以下であり、かつ前記吸湿発熱生地において、経方向および緯方向の引裂強度が20N以上であ」ること、及びポリエステル繊維について、「ケミカルまたはマテリアルリサイクル原料からなる」ことの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 平成30年4月26日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明の対比」及び「(4)当審の判断」に記載したとおりの引用発明、引用例2~5記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用例2~5記載事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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