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特許拒絶査定不服審判

2024-013875

動作解析方法、動作解析システムおよびサービス

審判番号
2024-013875
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-163525
請求日
2024年08月29日
審決日
2025年05月16日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】帝人フロンティア株式会社
  • 【請求人代理人】為山 太郎
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 山本 一
  • 審判官 道祖土 新吾
分類
P18 .121-WZ (A63B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-163525「動作解析方法、動作解析システムおよびサービス」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月 8日出願公開、特開2022- 55854〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年9月29日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 3月22日付け:拒絶理由通知書 同年 4月30日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月23日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 6月25日 :意見書、手続補正書の提出 同月28日付け:拒絶査定 (同年 7月 9日 :原査定の謄本の送達) 同年 8月29日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和7年 2月14日付け:拒絶理由通知書 同年 3月 5日 :意見書、手続補正書の提出 なお、当審において通知した令和7年2月14日付け拒絶理由通知書を、以下「当審拒絶理由通知書」という。 第2 本願発明について 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和7年3月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 ユーザまたはユーザが着用するウエアに取り付けた慣性センサー、前記慣性センサーの出力に基づきユーザの動作を解析する解析手段、および前記解析手段による解析結果を示す情報を表示する表示手段を備える動作解析システムであって、前記の慣性センサーが、ユーザの背中に取り付けられた慣性センサー、ユーザの腰に取り付けられた慣性センサー、およびユーザの手首に取り付けられた慣性センサーの3個である動作解析システムを用いて、ウエアを介したウェアラブル手段を用いてユーザのゴルフスイング動作を検知および解析し、上達に向けたアドバイスをユーザに自動的に提示することを特徴とする動作解析システムの使用方法であって、 ユーザの手首の取り付けられた慣性センサーを装着するリストバンドの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含み、スイングのフェイズ毎に、身体の動きを表示し、スイングのフェイズ毎の身体の動きを解析し、適正な姿勢情報(教師データ)と比較した判定を行い、その良否および改善ポイントをフィードバックする動作解析システムの使用方法。」 第3 当審拒絶理由通知書において指摘した拒絶理由の概要 当審拒絶理由通知書において指摘した拒絶理由の概要は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載の発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <主たる引用文献> 引用文献1.特開2016-140693号公報 <周知技術を示す文献> 引用文献2.特開2019-110929号公報 引用文献3.特開2018-163417号公報 引用文献4.三井貴之、「ウェアラブルセンサを用いたゴルフスイング向上支援システムの研究」電気通信大学 情報理工学研究科 情報・通信工学専攻 修士論文、2015年3月(URL:https://uec.repo.nii.ac.jp/record/5021/files/1331101.pdf) 第4 引用文献 1 引用発明1に記載された事項及び引用発明の認定 (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1(特開2016-140693号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同じ。)。 ア 「【請求項1】 運動器具およびユーザーの少なくとも一方に装着された第1のモーションセンサーから、第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、 前記ユーザーに装着され、前記第1のモーションセンサーとは異なる第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、 前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部と を有するスイング計測装置。 【請求項2】 請求項1に記載のスイング計測装置であって、 前記スイング期間中の前記ユーザーの前記所定部位の動きを評価する評価部と、 前記評価部による評価を出力する出力部と を有するスイング計測装置。 ・・・(中略)・・・ 【請求項10】 運動器具およびユーザーの少なくとも一方に装着される第1のモーションセンサーと、 前記ユーザーに装着され、前記第1のモーションセンサーとは異なる第2のモーションセンサーと、 前記第1のモーションセンサーから第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、 前記第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、 前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部と を有するスイング計測システム。」 イ 「【0001】 本発明は、スイング計測装置、スイング計測システム、スイング計測方法、およびプログラムに関する。 ・・・(中略)・・・ 【0007】 上記の課題を解決する本発明の一態様は、スイング計測装置であって、運動器具およびユーザーの少なくとも一方に装着された第1のモーションセンサーから、第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、前記ユーザーに装着され、前記第1のモーションセンサーとは異なる第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部とを有する。これにより、スイング期間が特定されるとともに、当該スイング期間中の体の部位の動きが特定されるため、スイング中の体の部位の動きを改善するのを支援することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0017】 上記の課題を解決する本発明のさらに他の態様は、スイング計測システムにおけるスイング計測方法であって、運動器具およびユーザーの少なくとも一方に装着された第1のモーションセンサーから、第1のセンサー信号を取得する工程と、前記ユーザーに装着され、前記第1のモーションセンサーとは異なる第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する工程と、前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測する工程と、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する工程とを含む。これにより、スイング期間が特定されるとともに、当該スイング期間中の体の部位の動きが特定されるため、スイング中の体の部位の動きを改善するのを支援することができる。」 ウ 「【0021】 <第一実施形態> 図1は、本発明の第一実施形態に係るスイング計測システムの外観の一例を示す図である。 【0022】 スイング計測システム1は、スイング計測装置2と、センサー装置3と、センサー装置4とを備える。スイング計測装置2とセンサー装置3及びセンサー装置4とは、互いに通信可能に有線又は無線により接続される。図1では、スイング計測装置2は、ユーザーPの腰に装着されている。また、センサー装置3は、クラブCに装着されている。また、センサー装置4は、ユーザーPの頭部に装着されている。 【0023】 スイング計測装置2は、センサー装置3から出力される信号に基づいて、ユーザーPによるクラブCを使ったスイングを検出する。クラブCには、ドライバー、アイアン、パター等が含まれる。また、スイング計測装置2は、センサー装置4から出力される信号に基づいて、スイング中のユーザーPの頭部の動きを検出する。スイング計測装置2は、例えば、スマートフォンやタブレットなどの携帯装置により実現することができる。 【0024】 もちろん、スイング計測装置2の装着位置は、特に限定されず、例えば、ユーザーPの背中、脚、クラブCなどであってもよい。また、センサー装置3の装着位置は、スイングを検出できれば特に限定されず、例えば、ユーザーPの手の甲、手首、クラブヘッドなどであってもよい。また、センサー装置4の装着位置は、ユーザーPの頭部の動きを検出できれば特に限定されず、例えば、ユーザーPの首や肩などであってもよい。 【0025】 センサー装置3は、測定対象の動きを検出して信号を出力するモーションセンサーを複数備える。本実施形態では、複数のモーションセンサーは、角速度センサー(ジャイロセンサーともいう)と加速度センサーである。角速度センサーは、検出軸回りの角速度を検出し、検出した角速度の大きさに応じた出力信号を出力する。本実施形態では、角速度センサーは、3軸(x軸、y軸、z軸)の軸回りの角速度をそれぞれ検出する。加速度センサーは、検出軸方向の加速度を検出し、検出した加速度の大きさに応じた出力信号を出力する。本実施形態では、加速度センサーは、3軸(x軸、y軸、z軸)方向の加速度をそれぞれ検出する。 【0026】 センサー装置4は、モーションセンサーとして、例えば、3軸の角速度センサーを備える。センサー装置4は、例えば、1つの検出軸が、ユーザーPが真っすぐ立った場合の正面方向と沿い、もう1つの検出軸がユーザーPの体軸と沿うように、ユーザーPの頭部に装着される。 【0027】 図2は、スイング計測システムの構成の一例を示すブロック図である。 【0028】 スイング計測装置2は、制御部10と、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15とを備える。 ・・・(中略)・・・ 【0033】 図2の説明に戻って、操作部14は、ユーザーの操作入力を受け付け、操作に応じた操作信号を制御部10に出力する。操作部14は、例えば、キー、タッチセンサー、タッチパネルなどの入力装置で実現することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0038】 第1のセンサー情報取得部101は、センサー装置3から第2の通信部12を介して第1のセンサー信号を取得する。第1のセンサー情報取得部101は、例えば、所定サンプリング周期で第1のセンサー信号を取得する。上述したように、本実施形態では、第1のセンサー信号は、3軸(x軸、y軸、z軸)の軸回りの角速度の大きさに応じた信号と、3軸(x軸、y軸、z軸)方向の加速度の大きさに応じた信号とを含む。取得された第1のセンサー信号は、例えばRAMや記憶部13等の記憶装置に記憶される。 【0039】 第2のセンサー情報取得部102は、センサー装置4から第2の通信部12を介して第2のセンサー信号を取得する。第2のセンサー情報取得部102は、例えば、所定サンプリング周期で第2のセンサー信号を取得する。上述したように、本実施形態では、第2のセンサー信号は、3軸(x軸、y軸、z軸)回りの角速度の大きさに応じた信号を含む。取得された第2のセンサー信号は、例えばRAMや記憶部13等の記憶装置に記憶される。 【0040】 計測部103は、取得された第1のセンサー信号に基づいて、スイングを検出する。本実施形態では、計測部103は、スイングの開始から終了までの一連の動作(「リズム」ともいう)、例えば、スイングの開始から、バックスイング、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォロースルー、スイングの終了までを検出する。 ・・・(中略)・・・ 【0051】 また、計測部103は、上記のようにして特定されるダウンスイング期間の第2のセンサー信号値に基づいて、ダウンスイング中のユーザーPの頭部の動きを検出する。例えば、計測部103は、ダウンスイング期間の第2のセンサー信号値に基づいて、傾きの変化を計算する。一般的に、ゴルフのダウンスイング中には、プレイヤーは視線をボールの方から外さない、すなわち頭部の傾きを変化させないのが理想とされている。インパクト直前に視線がターゲットの方に向いたり頭が上がったりする(ヘッドアップとも呼ばれる)と、体が開くなどして、ミスショットに繋がる可能性が高くなる。そこで、計測部103は、ダウンスイング中の頭部の傾きの変化を計測する。なお、角速度センサーを使って傾きを求める方法は、一般的な技術を利用すればよいので、説明を省略する。 【0052】 評価部104は、計測部103により検出されたダウンスイング期間の傾きの変化に基づいて、ユーザーPの頭部の傾きのダウンスイング開始時からの変化量を特定し、特定した変化量に応じて、スイングを評価する。例えば、評価部104は、ユーザーPの頭部の傾きが、ダウンスイング開始時から所定量以上変化したか否かを判定する。頭部の傾きが所定量以上変化している場合、評価部104は、当該スイングはヘッドアップしている旨の評価を行う。 【0053】 出力部105は、評価部104によるスイングの評価を示す画面を生成し、表示部15に出力して表示させる。出力部105は、生成した画面を、第1の通信部12等を介して、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン、HMD(Head MountDisplay)などの外部のデバイスに出力して、表示させるようにしてもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0060】 出力部105は、ユーザーの操作に応じて、例えば図8(スイング評価を表示する画面の一例を示す図)に示すような画面500を生成し、表示部15に出力して表示させる。 【0061】 画面500には、スイング画像領域510、メッセージ領域520、前スイングボタン530、次スイングボタン540等が含まれる。 【0062】 出力部105は、例えば、操作部14を介して、スイング番号の指定を受け付け、指定されたスイングに関する情報を、画面500に表示する。出力部105は、例えば、プレイヤーのスイング動作を表すコンピューター・グラフィックス画像、スイング中のクラブヘッドの軌跡を表す画像等をスイング画像領域510に表示する。 【0063】 また、出力部105は、例えば、指定されたスイングのスイング情報を参照し、評価134がヘッドアップを示している場合は、ヘッドアップしていることを示す画像をスイング画像領域510に表示する。図8では、プレイヤーの首の近傍に、矢印が表示されている。 【0064】 また、出力部105は、例えば、指定されたスイングのスイング情報を参照し、評価134がヘッドアップを示している場合は、ヘッドアップしていることを示すメッセージをメッセージ領域520に表示する。図8では、「ヘッドアップしています。」というメッセージが表示されている。また、この場合、出力部105は、「インパクトまでボールから視線を外さないように意識しましょう。」、「インパクトまで頭が前後左右に動かないように意識しましょう。」などといったアドバイスを含むメッセージを表示してもよい。また、評価134が「良好」を示している場合は、出力部105は、例えば、スイングが良好であることを示すメッセージをメッセージ領域520に表示してもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0066】 以上、本発明の第一実施形態について説明した。本実施形態によれば、ダウンスイング期間が特定され、当該ダウンスイング期間中の頭部の動きが特定される。これにより、ヘッドアップなどのスイング中の頭部の動きを改善するのを支援することができる。また、本実施形態によれば、例えば、ダウンスイング期間中の頭の動きの変化量に基づいて、ヘッドアップしているか否かの評価と出力が行われる。これにより、ユーザーは簡単にダウンスイング中のヘッドアップがあるか否かを認識し、改善に役立てることができる。 【0067】 <第二実施形態> 第二実施形態では、スイング中のユーザーPの腰の動きを検出する。以下では、第一実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。 【0068】 図9は、本発明の第二実施形態に係るスイング計測システムの外観の一例を示す図である。 【0069】 スイング計測システム1aは、スイング計測装置2aと、センサー装置3とを備える。第一実施形態のスイング計測システム1と異なり、スイング計測システム1aは、センサー装置4を含んでいない。スイング計測装置2aは、後述するセンサー部16から出力される信号に基づいて、スイング中のユーザーPの腰の動きを検出する。 ・・・(中略)・・・ 【0085】 上記の各実施形態において、計測部103は、ユーザーの体の所定部位の動きの変化を計測し、評価部104は、計測部103により計測されたデータに基づいて、当該所定部位の変化量を特定して、評価を行っている。しかし、計測及び評価の方法はこれに限られない。例えば、計測部103は、ユーザーのスイング中の所定時点の所定部位の傾きや回転角を示す値を計測する。そして、評価部104は、計測された値を所定の閾値や閾値範囲と比較することにより、スイングの評価を行ってもよい。もちろん、計測部103は、ユーザーの体の所定部位の動きの変化を計測し、評価部104は、ユーザーのスイング中の所定時点の所定部位の傾きや回転角を示す値を特定して評価を行うようにしてもよい。 ・・・(中略)・・・ 【0088】 上記の各実施形態では、角速度センサー(センサー装置4、センサー部16)を用いて頭の傾き又は腰の回転角を検出しているが、このような態様に限定されない。例えば、加速度センサーを用いて、あるいは加速度センサー及び角速度センサーの両方を用いて、頭の傾き又は腰の回転角を検出するようにしてもよい。 【0089】 上記の各実施形態では、ダウンスイング期間中のユーザーPの頭又は腰の動きを計測及び評価しているが、これに限定されない。例えば、肩、腕、手首、脚などの動きを計測及び評価してもよい。なお、この場合、センサー装置又はセンサー部は、肩、腕、手首、脚などに装着すればよい。また、例えば、複数のセンサーを用いて、複数の体の部位の動きを計測及び評価するようにしてもよい。具体例としては、第一実施形態と第二実施形態を組み合わせて、頭と腰の動きを計測及び評価すればよい。 【0090】 上記の各実施形態では、ダウンスイング期間中のユーザーPの体の部位の動きを計測及び評価しているが、これに限定されない。例えば、バックスイング、トップ、フォロースルー等の期間におけるユーザーPの体の部位の動きを計測及び評価してもよい。例えば、バックスイング期間中の頭、肩、腕、手首、腰、脚等の動き、フォロースルー期間中の頭、肩、腕、手首、腰、脚等の動きなどである。」 エ 図1「 [図:0001425552000001.jpg] 」 オ 図2「 [図:0001425552000002.jpg] 」 カ 図8「 [図:0001425552000003.jpg] 」 (2)引用文献1の記載から認定できる事項 ア スイング計測システムがスイング計測装置を含むことについて 引用文献1の請求項10には「スイング計測システム」が記載されており、当該システムは「運動器具およびユーザーの少なくとも一方に装着される第1のモーションセンサーと、前記ユーザーに装着され、前記第1のモーションセンサーとは異なる第2のモーションセンサーと、前記第1のモーションセンサーから第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、前記第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部とを有する」ものであるところ、当該「第1取得部」、「第2取得部」、「計測部」は請求項1の「スイング計測装置」が有しているものであることは明らかである。すなわち、引用文献1の「スイング計測システム」は「スイング計測装置」を含むものである。このことは、図2において「スイング計測システム」の構成図が記載されており、当該構成図に「スイング計測器」が含まれていることからも明らかである。 イ スイング計測システムを使用することについて 引用文献1は、【0017】に記載されるように、「スイング計測システム」を利用して「スイング」を計測し、これを用いて「スイング中の体の部位を改善するのを支援」するものであるところ、引用文献1には、このような支援を行うための「スイング計測システム」の使用方法が記載されているものと認められる。 ウ 第一実施形態の「センサー装置3」、「センサー装置4」が請求項の発明特定事項である「第1モーションセンサー」、「第2モーションセンサー」に相当することについて 第一実施形態を説明する【0023】には「スイング計測装置2は、センサー装置3から出力される信号に基づいて、ユーザーPによるクラブCを使ったスイングを検出する。クラブCには、ドライバー、アイアン、パター等が含まれる。また、スイング計測装置2は、センサー装置4から出力される信号に基づいて、スイング中のユーザーPの頭部の動きを検出する。」と記載されていることから、第一実施形態における「センサー装置3」は、スイング期間を計測する「第1のモーションセンサー」に相当し、「センサー装置4」はスイング期間中のユーザーの所定部位の動きを計測する「第2モーションセンサー」に相当するものと認められる。 エ 第二実施形態の「センサー部16」が請求項の発明特定事項である「第2モーションセンサー」に相当することについて 第二実施形態を説明する【0069】においては、「スイング計測装置2aは、後述するセンサー部16から出力される信号に基づいて、スイング中のユーザーPの腰の動きを検出する」と記載されているのであるから、第二実施形態における「センサー部16」は、スイング期間中のユーザーの所定部位の動きを計測する「第2モーションセンサー」に相当するものと認められる。 オ 【0088】のセンサーについて 本願明細書の【0088】にはセンサーの種類について記載されているが、「上記の各実施形態では、角速度センサー(センサー装置4、センサー部16)を用いて頭の傾き又は腰の回転角を検出している」との記載や、「頭の傾き又は腰の回転角を検出するようにしてもよい。」との記載からみて、当該段落で着目しているセンサーは、スイング期間中のユーザーの所定部位の動きを計測する「第2モーションセンサー」であることは明らかである。 すなわち、本願明細書の【0088】には、「第2モーションセンサー」として「角速度センサー」、「加速度センサー」、あるいはその両方を用いることが記載されているものと認められる。 カ 【0089】の「複数のセンサー」について 本願明細書の【0089】には、「複数のセンサーを用いて、複数の体の部位の動きを計測および評価するようにしてもよい。」ことが記載されているが、この具体例として「第一実施形態と第二実施形態を組み合わせて、頭と腰の動きを計測及び評価すればよい。」と記載されている。 第一実施形態における「頭」の動きや第二実施形態における「腰」の動きは「第2モーションセンサー」で計測、評価されるものであるから(上記ウ、エも参照されたい。)、当該【0089】で述べられている「センサー」は、スイング期間中のユーザーの所定部位の動きを計測する「第2モーションセンサー」であることは明らかである。 すなわち、本願明細書の【0089】には、複数の第2モーションセンサーを用いて複数の体の部位の動きを計測及び評価することが記載されているものと認められる。 (3)引用発明 上記(1)、(2)から、引用文献1には下記の発明が記載されているといえる。 「ユーザーに装着される第1のモーションセンサーと、 前記ユーザーに装着される第2のモーションセンサーと、 前記第1のモーションセンサーから第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、 前記第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、 前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部と を有するスイング計測システムを使用する方法であって、(【請求項10】、((2)イ) 前記第1のモーションセンサーに相当するセンサー装置3はユーザーの手首に装着され、(【0024】)、 センサー装置3は角速度センサーと加速度センサーを備え、(【0025】) 複数の第2のモーションセンサーを用いて複数の体の部位の動きを計測及び評価するものであり、((2)カ) スイング計測システムに用いられるスイング計測装置は、((2)ア) スイング期間中の前記ユーザーの前記所定部位の動きを評価する評価部と、 前記評価部による評価を出力する出力部とを有し、(【請求項2】) 評価部は、計測された値を所定の閾値や閾値範囲と比較することにより、スイングの評価を行うものであり、(【0085】) バックスイング、トップ、フォロースルー等の期間におけるユーザーの体の部位の動きを計測及び評価し、【0090】 第2モーションセンサーは角速度センサー、加速度センサーあるいはその両方を用いたものであり、((2)オ) 出力部は評価部によるスイングの評価を示す画面を生成し、表示部に出力して表示させるものであり、(【0053】) 出力部は、プレイヤーのスイング動作を表すコンピューター・グラフィックス画像、スイング中のクラブヘッドの軌跡を表す画像等をスイング画像領域に表示し、(【0062】) 出力部は、例えば、評価がヘッドアップを示している場合には、ヘッドアップしていることを示すメッセージを表示するものである、(【0064】) スイング計測システムを使用する方法。」 2 引用文献2及び引用文献3に記載された事項及び周知技術1の認定 (1)引用文献2に記載された事項 引用文献2(特開2019-110929号公報)には、下記の事項が記載されている。 「【0004】 ゴルファのスイング改善の動機としては、飛距離の向上が挙げられる。飛距離の向上のためには、ゴルファがスイング中に発するエネルギが、ゴルフクラブを介して、ゴルフボールの打撃に効率よく利用される必要がある。特許文献15には、ゴルファが発するスイングのエネルギを計測する技術が開示されており、ゴルファがスイング中に発するエネルギが、ゴルフクラブを介して、ゴルフボールの打撃に効率よく利用されているかを評価することが可能である。しかし、床反力を計測する必要があるところ、床反力を計測する装置は高価であったり、また、持ち運びに不便である、という課題がある。 【0005】 本発明の目的は、打撃においてゴルファが全身から発するスイングのエネルギをより安価に構築可能なシステムで計測することにある。 ・・・(中略)・・・ 【0014】 角速度センサ2Aはゴルファ100の上半身に装着され、例えば、腰と肩との間で胴体に装着することができ、ゴルファ100の上体の回転を計測可能な位置に装着される。図の例では背中の上部に装着されているが、胸側に装着してもよい。角速度センサ2Aはスイング中のゴルファ100の重心(より正確にはゴルフクラブ101とこれを持ったゴルファ100の重心)を通るZ軸周りの角速度Wzを計測する。図2(C)はその説明図である。同図には、スイング中のゴルファ100の重心Gと、重心Gを通るZ軸である線Zgとが図示されている。角速度センサ2Aをゴルファ100の上半身に装着すると、同図に示すように、線Zg上または線Zgに近い位置に角速度センサ2Aが位置する。このため、角度センサ2の検出結果を、スイング中のゴルファ100の重心を通るZ軸周りの角速度Wzと見做すことができる。 【0015】 加速度センサ2Bはゴルファ100の上半身に装着され、例えば、腰と肩との間で胴体に装着することができる。本実施形態の場合、加速度センサ2Bは、重心の変化を計測するために用いるため、ゴルファの重心の高さに近い、腰部に装着されている。つまり、角速度センサ2Aは、ゴルファの重心を通るZ軸上に近い位置が好ましく、加速度センサ”Bはゴルファの重心の高さに近い位置が好ましい。 ・・・(中略)・・・ 【0042】 図4(A)~図4(C)は、順にX、Y、Zの各方向の並進エネルギの演算式の説明図である。X方向の並進エネルギExは以下の式により演算される。 Ex=∫Fx*Vx dt ここで、Fxは加速度センサ2Bで計測された重心GのX方向の加速度ax、運動体の質量m(ゴルファ100およびゴルフクラブ101の合計の質量)から、Fx=m*axとして算出できる。Vxは重心GのX方向の移動速度である。 【0043】 Y方向の並進エネルギEyは以下の式により演算される。 Ey=∫Fy*Vy dt ここで、Fyは加速度センサ2Bで計測された重心GのY方向の加速度ay、運動体の質量mから、Fy=m*ayとして算出できる。Vyは重心GのY方向の移動速度である。 ・・・(中略)・・・ 【0045】 図5(A)~図5(C)は回転エネルギの演算式の説明図である。図5(A)はゴルファ100のZ軸周りの回転エネルギEw1の説明図である。回転エネルギEw1は以下の式により演算される。 Ew1=1/2*I*Wzp2 I=1/2*bm*r2 本実施形態の場合、ゴルファ100の胴体を円柱体とみなし、そのスイング中の回転エネルギを算出する。Iはゴルファ100胴体とみなされる円柱体のZ軸回りの慣性モーメントである。bmは円柱体の質量である。人間の胴体の質量は、全身の質量の4~5割とされている。したがって、bmはゴルファ100の質量に係数(例えば0.45)をかけた値とすることができる。rは円柱体の半径である。例えば、ゴルファ100の肩幅の1/2とすることができる。ゴルファ100の肩幅は実測してもよいし、年齢や性別によって予め区分けされた固定値を用いてもよい。つまり、半径rは年齢や性別によって予め区分けされた固定値を用いてもよい。Wzpは、角速度センサ2Aが検出した角速度Wzのうち、インパクトまでの最大値である。」 (2)引用文献3に記載された事項 引用文献3(特開2018-163417号公報)には、下記の事項が記載されている。 「【0012】 [センサ1の構成] センサ1は、図2に示すように、例えば、ユーザUの腰部等に装着され、ユーザUの動作(本実施形態では、ゴルフスイング動作)を計測してセンサデータを取得し、画像処理装置3に送信する。 【0013】 図3は、センサ1の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、センサ1は、CPU11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、操作部14、センサ部15、通信部16、計時部17等を備えて構成され、各部はバス18により接続されている。 ・・・(中略)・・・ 【0018】 センサ部15は、図2に示すX軸、Y軸、Z軸の3軸加速度センサ、3軸ジャイロセンサ及び3軸地磁気センサ等を備えて構成され、ユーザUのゴルフスイング動作における3軸方向の加速度、角速度及び地磁気等を計測して、各センサにおける計測結果を示すセンサデータをCPU11に出力する。 ・・・(中略)・・・ 【0092】 また、上記実施形態においては、センサ1をユーザUの腰に装着することとして説明したが、これに限定されない。例えば、センサ1は、スマートウォッチのようなリストデバイスであってもよい。また、その他の部位(頭、腕、手首)に装着してもよい。手軽なため、身体に装着することが望ましいが、ゴルフクラブに装着することとしてもよい。また、複数個所にセンサ1を装着してもよい。例えば、腰と背中にセンサ1を装着してもよい。腰と肩の捻転差は各種競技で重要になるパラメータであるため、効果的である。」 (3)周知技術1の認定 上記(1)、(2)の記載事項からみて、以下の事項は周知技術であると認められる(以下「周知技術1」という。)。 [周知技術1] 「ゴルフスイングにおいて重要である腰及び背中にセンサーを装着して、ゴルフスイングに関する計測を行うこと。」 3 引用文献4に記載された事項及び周知技術2の認定 (1)引用文献4に記載された事項 引用文献4(三井貴之、「ウェアラブルセンサを用いたゴルフスイング向上支援システムの研究」電気通信大学 情報理工学研究科 情報・通信工学専攻 修士論文、2015年3月(URL:https://uec.repo.nii.ac.jp/record/5021/files/1331101.pdf))には、下記の事項が記載されている。 ア 「1 序論 ゴルフは世界でメジャーなスポーツであり、プロを目指すのではなければ、高齢になっても始めることが可能で、生涯スポーツとして男女問わず幅広い層の人々に楽しまれている。ゴルフは地面にあるボールをクラブという道具を使って打つ。打つ距離やボールがどんなところにあるかによって使うクラブや打ち方(スイング)は変わってくる。フルスイングと言われるボールを最初に打つときなどに行う、振り幅を最大にしてスイングする動作では、スイングは数秒間の内に高速で行われる。中でもドライバと呼ばれる一番長いクラブを用いてスイングする際はそのクラブスピードは成人男性で平均40m/s を超え、人によっては60m/s以上になることもある。このようにスイングの際には早い動作が求められるが、正確さも同時に求められる。スイングの際には足、腰、腕、手、頭、肩と気をつけるポイントは多く、それらが調和をとれている必要があり、どれかがずれているとボールが意図しない方向に曲がったり、当たりが悪かったり、または、空振りといったミスショットに繋がる。 一方、最近体に装着するウェアラブルセンサが注目されている。加速度や角速度を計測するInertial Measurement Unit センサや血圧や脈拍を計測するものなど様々な種類が存在し、人体の動作や状況を監視し、人々の安全で快適な活動を支援するサービスが注目されている。例えば医療の現場では医療を行うスタッフの体にウェアラブルセンサを装着し、何か間違った動作をしないか監視したり、患者にウェアラブルセンサを装着し、異常が無いかモニタリングされたりしている。昨今、ナイキが発売しているFuelBand[1]は、手首にリストバンド型のデバイスを装着することで一日の活動量や頻度、負荷、消費カロリーなどを記録することができ、ダイエットやエクササイズのサポートなど様々な用途に使うことができる。本論文ではこのようなウェアラブルセンサのうち、加速度・角速度が計測可能なウェアラブルセンサを用いたゴルフスイング、主としてフルスイングの向上を支援するシステムを実現する手法を提案する。また、システムを実際に使ってもらい、システム利用前後での提案システムによる評価を持ってその有用性を示す。」(1頁1~24行) イ 「将来的にセンサは別に購入するのではなく、メガネ型デバイスやリストバンド型デバイス、指輪型デバイス、スマートフォン等で計測を行うことを予定しており、それらの装着位置に合わせた。将来的にはグーグルグラスなどのメガネ型デバイスで頭の動きを、Galaxy Gear やRing などのリストバンド型や指輪型デバイスで左手の動きを、スマートフォンを後ろポケットに入れることで腰の動きを計測することを考えている。」(18頁15~19行) (2)周知技術2の認定 上記(1)の記載事項からみて、以下の事項は周知技術であると認められる(以下「周知技術2」という。)。 [周知技術2] 「手首にセンサを取り付けるにあたり、リストバンドを用いること。」 4 引用文献5~9に記載された事項及び周知技術3及び4の認定 (1)引用文献5に記載された事項 当審で新たに引用する引用文献5(「FASTENANO ファスナーノ」、[online]、帝人フロンティア株式会社、更新日:2019年4月22日、インターネットURL:https://www2.teijin-frontier.com/static/img_corp/exhibition_old_en/techtextile2019/pdf/04_fastenano.pdf、検索日:2025年4月11日)には、下記の事項が記載されている。 ア 「柔らかな風合いの「ファスナーノ丸R(当審注:原文は「R」に丸囲い。以下同様。)」は、しっかりくっつくのに、わずかな力で剥がしやすい、新感覚のファスナー。超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント丸R」を使用したパイル生地とポリエステル立毛生地との構成により、従来のファスナーとは異なる新しい特性が生まれました。 くっつきやすく剥がしやすい 柔らかで肌に優しい 様々な形状のものに取り付けやすい 剥離音が静かで気にならない」(2頁左上) イ 「素材の特性を最大限に活かした構成 繊維の直径が700ナノメートルで、1本の糸の断面積が髪の毛の7500分の1という、超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント丸R」。通常の繊維に比べ、数十倍の表面積を有することによる高い摩擦力で、もう一方の立毛生地の毛先にしっかりと絡みつきます。」(2頁左下) ウ 「テーピング・サポーター 従来型の面ファスナーや粘着剤による固定よりも、 柔軟にフィットさせることができ、肌への負担も少なくなります。」(2頁右下) (2)引用文献6に記載された事項 本願明細書の【0019】に記載された引用文献6(特開2009-285144号公報)には、下記の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は雌材と雄材とで構成される面ファスナーであって、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、しかも布帛等への縫合性に優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む繊維製品に関する。 ・・・(中略)・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた係合性を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、しかも布帛等への縫合性に優れた面ファスナー、および該面ファスナーを含む繊維製品を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、超極細繊維を含む布帛を雌材とし、一方、立毛布帛を雄材として面ファスナーを構成すると、優れた係合機能を有するだけでなく、柔軟であり、雌材と雄材とを分離する際にあまり剥離音が発生せず、しかも布帛等への縫合性に優れた面ファスナーが得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。 かくして、本発明によれば「単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸Aを含む布帛aと、立毛布帛bとで構成されることを特徴とする面ファスナー。」が提供される。 ・・・(中略)・・・ 【0009】 また、本発明によれば、前記の面ファスナーを含む、スポーツウエアー、アウターウエアー、インナーウエアー、紳士衣料、婦人衣料、医療用衣料、介護用衣料、浴衣、作業衣、防護服、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、カーシート、サポーター、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。」 イ 「【0053】 [実施例1] 島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。 【0054】 次いで、該海島型複合延伸糸(フィラメント糸A用繊維)だけを用いて、28G90インチの経編機(カールマイヤー(株)製KS4SU)を用いてハーフ組織(バック:10/12、ミドル:23/10、フロント:10/23による編方)の経編生機(布帛a用生機)を製編した。その後、得られた編地の海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、70℃にて30%アルカリ減量した。その後、130℃にて高圧染色を行い、最終セットとして170℃の乾熱セットを行った。 得られた編地を走査型電子顕微鏡SEMで生地表面および断面を観察したところ、該編地は、平均単繊維径が700nmのフィラメント糸Aのみで構成され、均一に開繊されていることを確認した。また、該編地(布帛a)の厚みは0.4mm、目付は150g/m2であった」 (3)引用文献7に記載された事項 当審で新たに引用する引用文献7(特開2012-135400号公報)には、下記の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ゴルフ用手袋に関するものである。 ・・・(中略)・・・ 【0007】 しかしながら、ゴルフ用手袋には、上述した様々な特性が要求されており、例えば、グリップ時のフィーリングも大切な要素となり、グリップ時のフィーリングが良いと、ゴルフクラブのグリップ部を握った手指に無駄な力が入らず、スムーズなスイングの助けとなる。この点において、特許文献1に記載の手袋では、人差し指の甲側にも当片が設けられているため、バードングリップで握るゴルファーの場合、右利きの人では、右手の小指が左手の人差し指の上に重ねられるので、グリップ時に指の重なる部分に違和感が生じ、グリップ時のフィーリングを損ねていた。 【0008】 本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたもので、グリップ時のフィーリングを良いものとし、手指のグリップ状態を安定させ、手袋のズレを防ぐことができ、かつ安価に作製できるゴルフ用手袋を提供しようとするものである。」 イ 「【0015】 図2及び図3に示すように、前記親指部1A、各指部1Bの腹側を含む掌部5は、ナノ繊維素材を使用している。掌部5に前述した「ナノフロント」(登録商標)を使用すると、滑り止め効果が高く、手とのなじみがよく(フィットする)、透湿除湿性を有するものとなる。掌部5が、「ナノフロント」(登録商標)から形成されているだけでは、すでに市販されている手袋(「NANOLOCK」登録商標)が存在するが、この市販手袋は、3以上の素材を使用し、複雑な構造になっているので、価格的に高価なものとなる。本発明のように、手甲部1には安価な素材(伸縮性のある合成皮革素材)を使用し、複雑な構造としなければ、全体のコストは下げられる。なお、掌部5の表面摩擦係数は、1.0~1.8が好ましく、手甲部1の表面摩擦係数は、0.5~0.9が好ましい。 ・・・(中略)・・・ 【0019】 前記ナノ繊維素材は、直径700メートルのポリエステルファイバーである「ナノフロント」(登録商標)である場合、長繊維構造で織り上げられた繊維の表面積はきわめて大きくなり、そのため、吸水性や吸着性、防透性が向上し、生地の肌触りが柔らかくなる。このように表面積が通常の繊維の10倍ほどになると、表面の凹凸が大きな摩擦力を発揮し、滑りにくく、ズレにくくなる。」 ウ 図2「 [図:0001425552000004.jpg] 」 エ 図3「 [図:0001425552000005.jpg] 」 (4)引用文献8に記載された事項 当審で新たに引用する引用文献8(「柔らかな面ファスナーの開発が日本繊維機械学会賞「技術賞」を受賞しました」、[online]、更新日:2017年7月4日、インターネットURL: https://www2.teijin-frontier.com/news/old/170704.html、検索日:2025年4月11日)には、下記の事項が記載されている。 「 帝人フロンティア株式会社は、このたび、ポリエステル繊維製の柔らかな面ファスナー「ファスナーノ丸R」に用いられた技術が評価され、「平成29年度日本繊維機械学会賞」において「技術賞」を受賞しました。 日本繊維機械学会賞は、一般社団法人日本繊維機械学会が主催するもので、繊維並びに繊維機械に関する研究または技術開発の中で、創意があり、技術的に高い価値を有する業績を挙げた、同学会の会員を対象としています。 このたびの受賞は、帝人フロンティアの超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント丸R」の特長を活かした面ファスナーの技術を、研究開発や改良を重ねることで製品化が可能なレベルにまで引き上げたこと、および多様化する市場ニーズに応じて「ファスナーノ丸R」の発展が期待される点が評価されたことによるものです。 「ファスナーノ丸R」は、一方が「ナノフロント丸R」のパイル生地、もう一方がポリエステル立毛生地という構成で、立毛生地の繊維が「ナノフロント丸R」に絡みつくことで面ファスナーとしての接着力が得られます。また、その反面、僅かな力で容易に脱着でき、その際の音が静かであるという特徴も併せ持ち、こうした特徴を活用することにより、介護、一般寝装、雑貨、産業資材などの用途への展開を目指しています。 帝人フロンティアは、今後も自社の持つ高機能素材や技術を駆使することにより、お客様のニーズに合った商品や、市場にない商品を創出・提供していきます。」 (5)引用文献9に記載された事項 当審で新たに引用する引用文献9(「帝人が展開する「ナノフロント丸R」およびその用途展開について」、[online]、日本貿易会(日本貿易会月報オンライン2016年11月号(No.752))、更新日:2016年11月10日、インターネットURL: https://www.jftc.jp/monthly/archives/001/201704/37cfb7dd987c4def81f006818bd43ce5.pdf、検索日:2025年4月11日)には、下記の事項が記載されている。 ア 「1.高強度ポリエステル長繊維ナノファイバー「ナノフロント丸R」の開発 ・・・(中略)・・・ 本開発の特徴は次の3点となる。 丸1(当審注:原文は「1」に丸囲い。)ポリマー設計と精密複合ポリマー製糸技術:口金・ポリマー・製糸技術を最適化 丸2(当審注:原文は「2」に丸囲い。)構造体加工技術:糸の組み合わせや織物物の最適構造開発による機能発現 丸3(当審注:原文は「3」に丸囲い。)多様な商品開発:特殊機能を活用した商品開発とその特性に合わせた評価方法を開発 これらによって、世界初の均一径(直径700nm)のナノファイバー「ナノフロント丸R」および各種商品開発が可能となった。」 イ 「2.展開事例:「ナノフロント丸R」を利用した面ファスナー「ファスナーノ丸R」の開発 「ファスナーノ丸R」は、ファスナーのメス材として「ナノフロント丸R」のパイル状生地を開発、オス材はそれに適したポリエステルの立毛生地を開発することで実現した面ファスナーである。「ナノフロント丸R」をパイル状生地とすることで、その特性である高い摩擦力を最大限に活かし、オス材の立毛生地の毛先に交絡することにより、接着面に対し水平方向に引き剥がす場合には高い接着性を有し剥がれにくく、垂直方向に引き剥がす場合にはメス材・オス材が簡単に剥がれるため、わずかな力で容易に着脱することが可能である。また、引き剥がす際に発する音は、日常生活における室内での騒音量と同等である。さらに、メス材・オス材いずれの生地とも柔らかいため、肌に触れても痛みを感じることはなく、さまざまな形状のものに取り付けることが可能である。」 (6)周知技術3 「布帛」とは一般に糸を織り込んだ生地を指すものであるところ、上記(1)~(5)の記載事項(特に(3)及び(5))からみて、以下の事項は周知技術であると認められる(以下、「周知技術3」という。)。 [周知技術3] 「繊維の直径が700ナノメートルのナノフロント丸Rを用いた布帛は柔らかく、摩擦力があり滑りにくい。」 (7)周知技術4 上記(1)、(2)、(4)、(5)からみて、以下の事項は周知技術であると認められる(以下、「周知技術4」という。)。 [周知技術4] 「繊維の直径が700ナノメートルのナノフロント丸Rを用いた布帛を雌材とした面ファスナーは柔軟で、高い接着力を有し、剥離音が小さい。」 第5 対比、判断 1 本願発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「第1のモーションセンサー」に相当する「センサー装置3」は「角速度センサーと加速度センサーを備え」るものであるところ、慣性センサーは角速度センサー及び加速度センサーからなるセンサーであることは技術常識であるから、本願発明の「慣性センサー」に相当する。また、引用発明の「第2のモーションセンサー」は「角速度センサー、加速度センサーあるいはその両方を用いたもの」であるから、本願発明の「慣性センサー」に相当する。 (2)引用発明は「ユーザーの所定部位の動きを評価する評価部」を有しており、「ユーザーの所定部位の動きを評価する」ことはユーザーの動作を解析していることといえるから、本願発明の「解析手段」と引用発明の「評価部」は、「ユーザーの動作を解析する」点で一致しているものといえる。また、引用発明において、ユーザーの所定の部位の動きは、「第1のモーションセンサーから第1のセンサー信号を取得する第1取得部と、第2のモーションセンサーから第2のセンサー信号を取得する第2取得部と、前記第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測し、前記第2のセンサー信号に基づいて前記スイング期間中の前記ユーザーの所定部位の動きを計測する計測部」により計測されているものである。そして、引用発明の「第1のモーションセンサー」及び「第2のモーションセンサー」はいずれも本願発明の「慣性センサー」に相当することは、上記(1)で検討したとおりである。 してみれば、本願発明「解析手段」と引用発明の「評価部」とは「慣性センサーの出力に基づきユーザの動作を解析する」点で一致している。 (3)引用発明は、「評価部によるスイングの評価を示す画面を生成し、表示部に出力して表示させる」ものであるところ、本願発明の「表示手段」と引用発明の「表示部」とは、「解析手段による解析結果を示す情報を表示する」点で一致している。 (4)引用発明の「センサー装置3」は「ユーザーの手首に装着され」るのであるから、本願発明の「ユーザの手首に取り付けられた慣性センサー」に相当する。 (5)引用発明の「第2のモーションセンサー」は複数の体の部位を計測するのであるから、ユーザーの体に取り付けられているものと認められる。したがって、「ユーザの手首に取り付けられた慣性センサー」以外の本願発明の「慣性センサー」(以下便宜のため「第2慣性センサー」ということがある。)と引用発明の「第2のモーションセンサー」とは、ユーザーの体に取り付けられている点で一致しているといえる。 一方で、本願発明の「第2慣性センサー」は「ユーザの背中」及び「ユーザの腰」に取り付けられているのに対し、引用発明の「第2のモーションセンサー」は、取付位置が特定されていない。また、本願発明の「慣性センサー」の総数は3であり、「ユーザの手首に取り付けられた慣性センサー」以外の「第2慣性センサー」は2個であるのに対し、引用発明の「第2のモーションセンサー」の総数は特定されていない。 (6)本願発明における「ウエアを介したウェアラブル手段」との特定については、その意味内容や技術上の意義について本願明細書に特段の開示はないところ、本願発明には「ユーザまたはユーザが着用するウエアに取り付けた慣性センサー」との特定があることや、本願明細書の「【0010】 また、本発明によれば「ウエアを介したウェアラブル手段を用いてユーザの動作を検知および解析し、上達に向けたアドバイスをユーザに自動的に提示することを特徴とするサービス。」が提供される。その際、前記の動作解析方法または前記の動作解析システムを用いることが好ましい。」との記載、【0014】の「本発明において、複数のモーションセンサーを使用する場合、上半身に身に着けるウエア(衣服)とリストバンド(手首)とに装着していることが好ましい。」(すなわち、手首に装着するモーションセンサーはウエアを介していない)との記載等からみて、本願発明における「ウエアを介したウェアラブル手段」との特定は、必ずしもウエアに全てのセンサーが取り付けられている必要はなく、ウエアを介さずユーザに直接取り付けられている形態とユーザが着用するウエアに取り付けられている形態のいずれでも良い、又は混在していても良いことを示すものと認められる。 そうすると、引用発明における「第1のモーションセンサー」としての「センサー装置3」及び「第2のモーションセンサー」は、(ウエアを介しているか否かは不明であるものの)いずれも「ユーザーに装着される」のであるから、本願発明の「慣性センサー」と引用発明の「センサー装置3」及び「第2のモーションセンサー」とは、ウエアを介さず「ユーザ」に直接「取り付け」られるか、または「ユーザーに着用するウエア」を介して「取り付け」られる点で一致し、本願発明と引用発明とは、「ウエアを介したウェアラブル手段を用いて」いる点で一致しているものといえる。 (7)引用発明の「スイング計測システム」は、「第1のモーションセンサー」から取得された「第1のセンサー信号に基づいてスイング期間を計測」しているところ、当該「計測」は、本願発明の「ウェアラブル手段を用いてユーザーのゴルフスイング動作を検知」していることに相当する。また、引用発明の「評価部」は「慣性センサーの出力に基づきユーザの動作を解析する」ものであることは上記(2)で既に検討したとおりであるから、引用発明が「ウェアラブル手段を用いてユーザーのゴルフスイング」を「解析」していることは明らかである。 (8)引用発明は、評価部のスイングの評価を示す画面を表示部に出力するものであるところ、この出力の例示として「ヘッドアップしていることを示すメッセージ」が挙げられており、このようなメッセージは、「上達に向けたアドバイス」であるといえる。 してみれば、本願発明の「動作解析システム」と引用発明の「スイング計測システム」とは、「上達に向けたアドバイスをユーザに提示する」ものである点で一致している。 一方、本願発明は、アドバイスを「自動的に」提示しているのに対して、引用発明は「自動的」であることは特定されていない。 (9)引用発明の「センサー装置3」は、本願発明の「慣性センサー」と、「手首」に取り付けられる点で一致する。 一方、本願発明の「慣性センサー」は「リストバンド」に装着され、かつ「リストバンドの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含」むのに対し、引用発明は、「センサー装置3」がどのように手首に取り付けられるのか特定されていない。 (10)引用発明は、「バックスイング、トップ、フォロースルーなどの期間におけるユーザーの体の部位の動きを計測及び評価」するものであって、「バックスイング」、「トップ」、「フォロースルー」は本願発明の「スイングのフェイズ」に相当するから、本願発明と引用発明とは、「スイングのフェイズ毎の身体の動きを解析し」ている点で一致する。 (11)引用発明は、「計測された値を所定の閾値や閾値範囲と比較することにより、スイングの評価を行うものであ」るところ、所定の閾値や閾値範囲は閾値又は閾値範囲を適切なスイングの際の値又は値の範囲、すなわち規範となる教師データに基づく値又は値の範囲にしていることは自明であるから、引用発明の「計測された値を所定の閾値や閾値範囲と比較する」ことは、本願発明の「適正な姿勢情報(教師データ)と比較」することに相当するものと認められる。また、引用発明は、評価部のスイングの評価を示す画面を表示部に出力するものであって、この出力の例として「ヘッドアップしていることを示すメッセージ」が挙げられていることは上記(8)で述べたとおりである。そして、このようなメッセージは「スイング」の「良否および改善ポイントをフィードバック」しているものといえる。 したがって、上記(10)と併せ、本願発明と引用発明とは、「スイングのフェイズ毎の身体の動きを解析し、適正な姿勢方法(教師データ)と比較した判定を行い、その良否および改善ポイントをフィードバック」するものである点で一致する。 (12)引用発明の「プレイヤーのスイング動作を表すコンピューター・グラフィックス画像」は、「身体の動き」を表すものであるといえる。したがって、引用発明と本願発明とは、「身体の動き」を表示する点で一致する。 (13)引用発明の「スイング計測システムを使用する方法」は、本願発明の「動作解析システムの使用方法」に相当する。 2 一致点及び相違点 上記1で検討した事項を総合すると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点又は一応の相違点で、相違又は一応相違する。 (1)一致点 「ユーザまたはユーザが着用するウエアに取り付けた慣性センサー、前記慣性センサーの出力に基づきユーザの動作を解析する解析手段、および前記解析手段による解析結果を示す情報を表示する表示手段を備える動作解析システムであって、前記の慣性センサーが、ユーザの手首に取り付けられた慣性センサーを含む複数の慣性センサーからなる動作解析システムを用いて、ウエアを介したウェアラブル手段を用いてユーザのゴルフスイング動作を検知および解析し、上達に向けたアドバイスをユーザに提示することを特徴とする動作解析システムの使用方法であって、スイングのフェイズ毎に、体の動きを表示し、スイングのフェイズ毎の身体の動きを解析し、適正な姿勢方法(教師データ)と比較した判定を行い、その良否および改善ポイントをフィードバックする動作解析システムの使用方法。」である点。 (2)相違点 ア 相違点1 本願発明の慣性センサーは、ユーザの手首に取り付けられるものの他は「ユーザの背中」及び「ユーザの腰」に取り付けられ、その結果、慣性センサーは3個(「第2慣性センサー」は2個)となるのに対し、引用発明の複数の「第2のモーションセンサー」の取り付け位置や総数は特定されていない点。 イ 相違点2 本願発明は、「上達に向けたアドバイス」は自動的に提示されるのに対し、引用発明における「スイングの評価を示す画面」は自動的に表示されることは特定されていない点。 ウ 相違点3 本願発明の手首に取り付けられる慣性センサーは「リストバンド」に装着され、かつ「リストバンドの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含」むのに対し、引用発明は、「センサー装置3」がどのように手首に取り付けられるのか特定されていない点。 3 判断 (1)相違点について ア 相違点1について 引用発明は、「複数の第2のモーションセンサー」を用いて「複数の体の部位の動きを計測及び評価する」ものであり、その際に、どの体の部位を計測及び評価するのかは、当業者が適宜設計すべきものと考えられる。そして、上記2(3)で示したように、「ゴルフスイングにおいて重要である腰及び背中にセンサーを装着して、ゴルフスイングに関する計測を行うこと」は周知技術であることを考慮すれば、引用発明の第2のモーションセンサーを「ユーザの背中」及び「ユーザの腰」に取り付けることは、ごく自然な発想であったものといえる。そして、引用発明において「第2のモーションセンサー」を「ユーザの背中」及び「ユーザの腰」に取り付けるために2個用いると、「センサー装置3」と「第2のモーションセンサー」の総数は、合計3個となる。 してみれば、引用発明において、第2モーションセンサーを「ユーザの背中」及び「ユーザの腰」に取り付けることとして、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことと認められる。 イ 相違点2について 引用発明では画面の表示が自動的に行うことは特定されていないものの、画面の表示を自動的に行うことは当業者が適宜なし得たことにすぎないものと認められる(例えば引用文献4の49頁「6.13アプリ画面」の4行目には「その状態でスイングをすると、リアルタイムでデータを解析し、結果を同一画面に表示する・・・(中略)・・・表示させた後もそのままスイングを行うと、新しい解析結果が表示される。」と記載されている。)。 してみれば、引用発明において、画面の表示が自動的に行われるようにして、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことと認められる。 ウ 相違点3について (ア)「センサー装置3」をリストバンドに装着する点について 「手首にセンサを取り付けるにあたり、リストバンドを用いること」は上記第4の3(2)で検討したとおり、周知技術(周知技術2)であると認められる。 してみれば、引用発明の「センサー装置3」を手首に取り付けるに際しても、リストバンドを用いることは、当業者が容易に想到できたことである。 (イ)本願発明の「リストバンドの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含む」との発明特定事項について a 上記(イ)の発明特定事項の解釈1 上記(イ)の発明特定事項に関連して、本願明細書の【0018】に以下の記載がある。 「【0018】 また、前記モーションセンサーを装着するリストバンドにより手首にずれることなく固定されていることが好ましい。特に、ユーザの手首の取り付けられたモーションセンサーを装着するリストバンドの一部に単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛を含むことが好ましい。」 しかし、この記載をみても、リストバンドの一体どこに「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」が含まれるのか明らかとされていない。また、含まれることにどのような技術的意義があるのかも明らかとされていない等、含まれる位置を想定するための手がかりとなる記載も見当たらない。 また実際にも、本願発明において、リストバンドのどこに「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」が含まれることとなるのか特定されていないのであるから、「リストバンド」のどこかの一部に「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」が含まれていれば、上記(イ)の発明特定事項を満たすものとして解すべきである。 b 上記(イ)の発明特定事項に対する、上記aの解釈に基づく判断 上記第4の4(6)で検討したように、「繊維の直径が700ナノメートルのナノフロント丸Rを用いた布帛は柔らかく、摩擦力があり滑りにくい」ことは、当業者に周知のことと認められる(周知技術3)。一方、手首に装着されるリストバンドも、柔らかく、摩擦力があって滑りにくいものであるべきことは明らかであるから、引用発明においてリストバンドを用いてセンサー装置3を取り付けるにあたり、「繊維の直径が700ナノメートル」のナノフロント丸Rを用いた布帛をリストバンドの一部に用いることとして、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことと認められる。 c 上記(イ)の発明特定事項の解釈2 本願明細書の【0019】には、以下の記載がある。 「【0019】 ここで、前記リストバンドとしては、例えば、特開2009-285144号公報に記載されているような単繊維径が1000nm以下のフィラメント糸A を含む布帛aと、立毛布帛bとで構成される面ファスナーを含むと、センサーのずれを防止するのみならず、汗や雨でのずれを防止でき非常に容易であり好ましい。」 本願発明では「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」を面ファスナーとして利用することは特定されていないし、上記【0019】に記載された単繊維径である「1000nm以下」と、本願発明で特定される「50~3000nm」とは範囲が異なることから、本願発明の「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」は必ずしも面ファスナーとして利用されるものではないものと認められるが、仮に、本願発明の「単繊維径が50~3000nmの極細繊維を含む布帛」が面ファスナーとして利用されるものと仮定した場合の進歩性判断について、下記dで検討する。 d 上記(イ)の発明特定事項に対する、上記cの解釈に基づく判断 上記第4の4(7)で検討したように、「繊維の直径が700ナノメートルのナノフロント丸Rを用いた布帛を雌材とした面ファスナーは柔軟で、高い接着力を有し、剥離音が小さい」ことは周知のことと認められる(周知技術4)。一方、リストバンドを手首に固定する際に優れた面ファスナーを利用することは当然のことであるから、、引用発明においてリストバンドを用いてセンサー装置3を取り付けるにあたり、リストバンドを固定するに際して、周知技術4のような面ファスナーを用いることとして、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことと認められる。 (ウ)相違点3についてのまとめ 上記(ア)、(イ)で検討したとおり、上記相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術3又は引用発明及び周知技術4に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。 (2)本願発明の奏する効果 本願発明の奏する効果としては、引用発明及び周知技術1~4から当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 (3)まとめ 上記(1)、(2)で検討したことから、本願発明は、引用発明及び周知技術1~3又は引用発明及び周知技術1、2、4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-013875

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