特許拒絶査定不服審判
2018-005192
遊技機
- 審判番号
- 2018-005192
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-159238外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年04月16日
- 審決日
- 2018年12月25日
- 公報発行日
- 2019年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-159238号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月22日出願公開、特開2016-36355号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成26年8月5日の出願であって、平成29年1月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月28日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年1月24日付け(発送日:同年1月30日)で、平成29年10月5日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年4月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年4月16日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年4月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年3月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶されている前記保留記憶の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段と、
前記保留表示とは異なる画像である保留画像を前記保留記憶に対応して表示する保留画像表示制御手段とを備え、
前記保留表示制御手段は、前記有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により前記保留表示を表示させ、
前記保留画像表示制御手段は、
遊技状態に応じて前記保留画像の表示を制御可能であるとともに、
前記保留記憶が記憶されていない場合に、前記保留画像を表示させないように制御可能である
ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成30年4月16日付け)における
「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に関する情報を、保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶されている前記保留記憶情報の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段と、
前記保留表示とは異なる画像である保留画像を前記保留記憶情報に対応して表示する保留画像表示制御手段とを備え、
前記保留表示制御手段は、前記有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により前記保留表示を表示させ、
前記保留画像表示制御手段は、
通常状態であるか、前記有利状態とは異なり遊技者にとって前記通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて前記保留画像の表示を制御可能であるとともに、
前記保留記憶情報が記憶されていない場合において、前記通常状態であるときには前記保留記憶情報が記憶されていないことを示す前記保留画像を表示可能であり、前記特別遊技状態であるときには前記保留画像を表示させないように制御可能である
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1~2のうちの請求項1について、
(1)請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留記憶」に関して、「保留記憶情報」と限定し、
(2)請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留画像表示制御手段」に関して、
(2-1)「遊技状態に応じて前記保留画像の表示を制御可能である」とあったものを「通常状態であるか、前記有利状態とは異なり遊技者にとって前記通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて前記保留画像の表示を制御可能である」と限定すると共に、
(2-2)「前記保留記憶が記憶されていない場合に、前記保留画像を表示させないように制御可能である」とあったものを「前記保留記憶情報が記憶されていない場合において、前記通常状態であるときには前記保留記憶情報が記憶されていないことを示す前記保留画像を表示可能であり、前記特別遊技状態であるときには前記保留画像を表示させないように制御可能である」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、上記(1)の補正については、願書に最初に添付した明細書の【0175】~【0180】の記載からみて新規事項を追加するものではなく、上記(2)(2-1)の補正については、願書に最初に添付した明細書の【0043】、【0054】、【0062】、【0520】の記載からみて新規事項を追加するものではなく、また、上記(2)(2-2)の補正については、願書に最初に添付した明細書の【0520】等の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Hは、分説するため審決にて付した。)。
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を、保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている前記保留記憶情報の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段と、
D 前記保留表示とは異なる画像である保留画像を前記保留記憶情報に対応して表示する保留画像表示制御手段とを備え、
E 前記保留表示制御手段は、前記有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により前記保留表示を表示させ、
F 前記保留画像表示制御手段は、
G 通常状態であるか、前記有利状態とは異なり遊技者にとって前記通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて前記保留画像の表示を制御可能であるとともに、
H 前記保留記憶情報が記憶されていない場合において、前記通常状態であるときには前記保留記憶情報が記憶されていないことを示す前記保留画像を表示可能であり、前記特別遊技状態であるときには前記保留画像を表示させないように制御可能である
ことを特徴とする遊技機。」
(2)刊行物1
原査定の拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特許第5466775号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)、封入式遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技台では、保留数の表示態様が単調であるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであって、多彩な演出を行うことができる遊技台を提供することを目的とする。」
(イ)「【0027】
普図保留ランプ216は、保留している普図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施形態では、普図変動遊技を所定数(例えば、2つ)まで保留することを可能としている。第1特図保留ランプ218および第2特図保留ランプ220は、保留している特図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施形態では、特図変動遊技を所定数(例えば、4つ)まで保留することを可能としている。高確中ランプ222は、遊技状態が大当りが発生し易い高確率状態であること、または高確率状態になることを示すためのランプであり、遊技状態を大当りが発生し難い低確率状態から高確率状態にする場合に点灯し、高確率状態から低確率状態にする場合に消灯する。」
(ウ)「【0041】
<制御部>
次に、図4を用いて、このパチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」という)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。」
(エ)「【0062】
図5(c)は装飾柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」~「装飾10」の10種類がある。特図1始動口230または特図2始動口232に球が入賞したこと、すなわち、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・→「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。」
(オ)「【0086】
特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は、特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ、特図1乱数値記憶領域に格納される。特図1乱数値記憶領域内では、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータ(始動情報)が消去されるとともに、残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが書き込まれる。」
(カ)「【0135】
ステップS311では、増加した特図1始動情報(特図1当選乱数値および特図1乱数値の組)を、特図1関連抽選処理(ステップS231)での当否判定処理よりも前に、特図1乱数値記憶領域から先読みする。そして、先読みした特図1始動情報と、例えば当否判定時に用いる当否判定用テーブルおよび特図決定用テーブルを用いて、当該始動情報に係る特図1変動遊技の停止図柄を、特図1関連抽選処理(ステップS231)での当否判定処理よりも前に事前判定する。なお、この事前判定処理は、当否判定時に用いるテーブルではなく事前判定用の特別のテーブルを用いて行ってもよい。
・・・
【0140】
図9は、RAM308内の先読み結果記憶部に先読み結果情報等が記憶された状態を例示している。図9(a)は、特図1用先読み結果記憶部に特図1先読み結果情報が記憶された状態の一例を示している。図9(a)に示すように、特図1用先読み結果記憶部は、例えば特図1変動遊技の保留可能数と同数(本実施の形態では、4つ)の記憶領域を有している。各記憶領域は、特図1乱数値記憶領域の保留順序(保留1~保留4)に対応付けられている。各記憶領域のそれぞれには、特図1の停止図柄情報が記憶されるようになっている。図9(a)に示す例において、記憶領域「保留1」には停止図柄情報として「特図E」(小当り)が記憶され、記憶領域「保留2」には停止図柄情報として「特図E」(小当り)が記憶され、記憶領域「保留3」には停止図柄情報として「特図D」(潜伏確変)が記憶され、記憶領域「保留4」には停止図柄情報として「特図A」(15R特別大当り)が記憶されている。」
(キ)「【0209】
[演出画像表示の実施形態]
<保留表示画像、変動表示画像および示唆表示>
図14に示す第1副制御部メイン処理の演出制御処理(ステップS409)の一つに、装飾図柄表示装置208による演出画像表示があり、演出画像(演出)の一例としては、保留表示画像、変動表示画像および示唆表示を用いた演出がある。尚、これらの演出を合わせて保留表示演出という場合がある。
【0210】
本実施形態では、装飾図柄表示装置208の一部の領域に、主制御部300のRAM308に設けられた特図1の乱数値記憶領域に記憶されている1セットの始動情報に対応した保留表示画像が表示される。また、装飾図柄表示装置208の一部の領域に、主制御部300のRAM308に設けられた特図2の乱数値記憶領域に記憶されている1セットの始動情報に対応した保留表示画像が表示される。保留表示画像は、特図1および特図2のそれぞれの乱数値記憶領域に始動情報が記憶されていること、あるいは記憶されていたことを表す画像である。すなわち、特図1および特図2の始動情報ごとに保留表示画像が表示される。第1副制御部400は、主制御部300から受信した保留増加コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置208を制御し、保留表示画像の数を1つ増加させる。一方、第1副制御部400は、保留消化の合図となる図柄変動開始コマンドを受信する度に、装飾図柄表示装置208を制御し、保留表示画像の数を1つ減少させる。
【0211】
また、装飾図柄表示装置208の一部の領域に、特図1の変動表示画像が表示される。特図1の変動表示画像は、特図1の変動遊技が開始していること、すなわち当該変動を示す画像であり、保留表示画像とは異なる態様で表示される画像である。また、装飾図柄表示装置208の一部の領域に、特図2の変動表示画像が表示される。特図2の変動表示画像は、特図2の変動遊技が開始していること、すなわち当該変動を示す画像であり、保留表示画像とは異なる態様で表示される画像である。第1副制御部400は、特図の図柄変動開始コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置208を制御し、変動表示画像の数を1つ増加させる。一方、第1副制御部400は、変動停止の合図となる特図の図柄停止コマンドを受信する度に装飾図柄表示装置208を制御し、変動表示画像の数を1つ減少させる。
【0212】
また、装飾図柄表示装置208の一部の領域に、遊技者に視認可能な表示態様の示唆表示が表示される。示唆表示は、保留表示画像および変動表示画像の表示領域を示唆する表示であり、ここでは、静止画像あるいは動画像からなる表示示唆画像を例に説明する。すなわち、第1副制御部400は、保留表示画像を表示する特図保留増加コマンドおよび、変動表示画像を表示する図柄変動開始コマンドの少なくともいずれかに基づいて、表示示唆画像を表示し、表示示唆画像に重ねて、あるいはその近傍に保留表示画像および/または変動表示画像を表示する。そして、本実施形態の表示示唆画像は、第1副制御部400によって少なくとも非表示(消去)可能に制御され、保留表示画像および変動表示画像の少なくともいずれかを表示する場合には再表示可能に制御される。なお、示唆表示は、保留表示画像および変動表示画像の表示領域を示唆するものであればよいので、表示示唆画像に限らず、LEDなどの発光手段であってもよい。その場合例えば、保留表示画像および/または変動表示画像の表示領域の直近にLEDを配置し、保留表示画像および/または変動表示画像を表示する際に、対応するLEDを点灯させる。その場合、示唆表示の表示はLEDの点灯となり、示唆表示の消去は、LEDの消灯となる。
【0213】
本実施形態では上記の保留表示画像を保留アイコンといい、変動表示画像を変動アイコンという。そして保留アイコンとは、特図変動遊技の保留数を表すテクスチャ画像のアニメーションをいい、表示される保留アイコンの数は、基本的には特図変動遊技の保留数と同数である。また、各保留アイコンは、その表示態様によって当該保留の当否についての先読み予告が可能である。なお、本実施例では、複数のテクスチャデータを用いたアニメーションによりテクスチャ画像が動画として表示されるが、テクスチャ画像はムービーデータで構成されていてもよい。
【0214】
また、保留アイコンには関連するアニメーションがある。保留アイコンに関連するアニメーションとしては、例えば、保留が増加して新たな保留アイコンが表示される場合に実行されるアニメーション(以下、「保留アイコンの増加アニメーション」という場合がある)、先の保留が消化されたことによって当該保留の順位が変動し、保留アイコンが別の表示位置(例えば左隣の位置)に移動する場合に実行されるアニメーション(以下、「保留アイコンの移動アニメーション」という場合がある)、先読み結果等に基づいて保留アイコンの表示態様が変化する場合に実行されるアニメーション(以下、「保留アイコンの変化アニメーション」という場合がある)、保留が消化されて保留アイコンが消去される場合に実行されるアニメーション(以下、「保留アイコンの消去アニメーション」という場合がある)、優先変動機において優先側の特図の保留が増加したときに非優先側の特図の保留アイコンを退避させる場合に実行されるアニメーション(以下、「保留アイコンの退避アニメーション」という場合がある)等がある。また、上記のアニメーション以外に、上記アニメーションの実行中以外の期間(例えば、保留の増減や保留アイコンの変化がない期間)に単独で実行されるとともに、上記アニメーションと重複して実行可能なアニメーション(以下、「保留アイコンの待機アニメーション」という場合がある)がある。」
(ク)「【0226】
<アイコン表示領域>
本実施形態では、装飾図柄表示装置208の一部には、アイコン表示領域800を設けている。アイコン表示領域800では、第1領域800a、第2領域800b、第3領域800c、第4領域800dの4つの領域に大まかに分けられ、1つの変動アイコンまたは、特図1(または特図2)変動遊技の最大保留数である4個の保留アイコンを表示可能である(図19(a)(b)参照)。第1領域800a~第4領域800dは、それぞれ、特図変動遊技の1番目~4番目の保留順位に対応している。すなわち、第1領域800aには最先の(最も過去に記憶された)保留に対応する保留アイコンが表示可能となっており、同様に第2~第4領域800b~800dには2~4個目の保留に対応する保留アイコンがそれぞれ表示可能となっている。尚、ここでは説明の便宜上、第1領域800a~第4領域800dの境界を破線で示しているが、これらの境界は遊技者には視認不可なものである。」
(ケ)「【0481】
<実施例K>
図38は、実施例Kに係る演出表示を時系列に示した図である。図38に示す期間は例えば確変中の期間であり、そのことを示唆する演出(ここでは例えば「確変中」の文字)等が装飾図柄表示装置208に連続して表示されている。
・・・
【0488】
このように、本実施例では、確変中の場合には特図2表示示唆画像SI2を常に表示する。また特図2表示示唆画像SI2と特図1表示示唆画像SI1の位置を、通常遊技状態とは異なる位置に配置する。この例では、通常遊技状態の配置とは左右を逆に配置する。より具体的には、例えば図20(h)に示す通常遊技状態では、特図1表示示唆画像SI1を左に、特図2表示示唆画像SI2を右に配置しているが、確変中は図38に示すように、特図1表示示唆画像SI1を右に、特図2表示示唆画像SI2を左に配置する。尚、両画像を上下に配置する場合であっても同様であり、確変中は通常遊技状態と上下を逆に配置してもよい。」
(コ)「【0517】
<実施例M>
図41から図43は、実施例Mに係る演出表示を時系列に示した図である。図41(a)~図41(c)の期間では、第1副制御部400は、図柄表示領域208a~208cの装飾図柄を停止表示し、図41(d)~(h)の期間では装飾図柄の少なくとも一部を変動表示し、図42(a)では装飾図柄のゆれ変動を実行し、図42(b)~(e)の期間では装飾図柄の停止表示を実行し、図42(f)~図42(h)および図43(a)の期間では、装飾図柄の少なくとも一部を変動表示し、図43(b)では装飾図柄のゆれ変動を実行し、図43(c)では装飾図柄の停止表示を実行している。また、本実施例では、特図1表示示唆画像SI1は、常に(装飾図柄の図柄停止中であっても)表示されている。
【0518】
更に実施例Mでは、装飾図柄表示装置208の一部に、補助アイコンPIAを表示する。補助アイコンPIAは、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1と、特図2の保留数を表示する特図2補助アイコンPIA2からなり、これらの両アイコンは、1つの補助アイコン領域920(図41(a)に破線で示す)に、同時に表示される。補助アイコン領域920は説明の便宜上図示したが、遊技者に視認可能となるものではない。また、本実施例では、補助アイコンPIAの表示を示唆する画像の表示はない。
・・・
【0520】
また、装飾図柄表示装置208の例えば上辺右端部に、補助アイコンPIAを表示する。ここでは、補助アイコンPIAは、ハート型の画像で特図1を表しその後ろに続く「×N(Nは数字)」でその保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1と、ひし形の画像で特図2を表しその後ろに続く「×N(Nは数字)」でその保留数を表示する特図2補助アイコンPIA2である。補助アイコンPIAは、特図1の保留アイコンPI1と特図2の保留アイコンPI2の補助的なアイコンであり、それぞれに対応する保留アイコンPIと同じ保留数を表示する。ただし、保留アイコンPIは保留数が0の時は表示されないが、補助アイコンPIAは、保留数が0の場合には0を表示する。すなわち、特図1および特図2のいずれも保留数が0のタイミングでは、特図1補助アイコンPIA1は、ハート型の画像の後ろに「×0」を表示し、特図2補助アイコンPIA2は、ひし形の画像の後ろに「×0」を表示する。尚、以下の説明では、補助アイコンPIAで変化する部分は、「×N(Nは数字)」の部分であるので、その数値についてのみ説明する。」
(サ)「【0587】
ステップS1407では、特図の大当り遊技中(アタッカ開閉動作中)であるため、図49(b)に示す変動表示パターン(キ)の電チュー開放報知演出のみの演出パターンを選択する。こうすることで、大当り遊技中には、変動表示パターン(ア)~(オ)、および(ク)の装飾図柄の変動表示演出が実行されず、普図演出の時間が電チュー開放報知演出の演出時間のみになり、遊技者を大当り遊技に集中させることができる場合がある。なお、特定の変動時間が選ばれた場合の演出中(スーパーリーチ中)に行われてもよい。」
イ 認定事項
(シ)刊行物1には、【0041】に「・・・主に演出の制御を行う第1副制御部400・・・」と記載され、【0140】に「特図1変動遊技の保留可能数・・・(・・・4つ)」と記載され、【0517】、【0518】に「<実施例M>・・・第1副制御部400は、・・・装飾図柄表示装置208の一部に、補助アイコンPIAを表示する。・・・特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1・・・」と記載され、【0520】に「・・・装飾図柄表示装置208の例えば上辺右端部に、補助アイコンPIAを表示する。ここでは、補助アイコンPIAは、ハート型の画像で特図1を表しその後ろに続く「×N(Nは数字)」でその保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1・・・である。」と記載されている。
また、刊行物1には、実施例Mに係る演出表示を時系列に示した図である【図41】~【図43】に、特図1の保留数が0の場合について、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×0」を表示することが図示されている。
【図41】
【図42】
【図43】
したがって、刊行物1には、「第1副制御部400は、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0~4)」を表示する」ことが示されていると認められる。
(ス)刊行物1には、「特図1補助アイコンPIA1」に関して、認定事項(シ)が示されていることは上記したとおりである。
そして、刊行物1には、【0488】に「・・・通常遊技状態では、特図1表示示唆画像SI1を左に、特図2表示示唆画像SI2を右に配置している・・・」と記載されている。
また、刊行物1には、実施例Mに係る演出表示を時系列に示した図である【図41】~【図43】に、通常遊技状態において、特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺左端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の右辺中央部に配置することが図示されている。
したがって、刊行物1には、「第1副制御部400は、特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺左端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の右辺中央部に配置する通常遊技状態において、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0~4)」を表示する」ことが示されていると認められる。
(セ)刊行物1には、【0041】に「・・・主に演出の制御を行う第1副制御部400・・・」と記載され、【0481】、【0488】に「<実施例K>・・・確変中の期間であり、そのことを示唆する演出(ここでは例えば「確変中」の文字)等が装飾図柄表示装置208に連続して表示されている。・・・本実施例では、確変中の場合には特図2表示示唆画像SI2を常に表示する。・・・確変中は図38に示すように、特図1表示示唆画像SI1を右に、特図2表示示唆画像SI2を左に配置する。」と記載されている。
そして、実施例Kに係る演出表示を時系列に示した図である【図38】には、確変中の場合において、特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺右端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の下辺左側に配置することが図示されている。
【図38】
したがって、刊行物1には、「第1副制御部400は、特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺右端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の下辺左側に配置する確変中の場合には、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に常に表示する」ことが示されていると認められる。
ウ 刊行物発明
上記(ア)~(サ)の記載事項、(シ)~(セ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~hは、本件補正発明の構成A~Hに対応させて付与した。)。
「a 装飾図柄表示装置208の各図柄表示領域で装飾図柄の変動表示を行い(【0062】)、アタッカを開閉動作する大当り遊技を実行可能な弾球遊技機であって(【0587】、【0001】)、
b 特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、特図1変動遊技の停止図柄を事前判定するために用いられる始動情報を取得順に格納するRAM308の特図1乱数値記憶領域(【0086】、【0135】)と、
c 第1副制御部メイン処理の演出制御処理において、装飾図柄表示装置208の一部のアイコン表示領域に、RAM308に設けられた特図1乱数値記憶領域に記憶されている始動情報に対応した保留表示画像(保留アイコン)を表示する演出の制御を行う第1副制御部400(【0041】、【0209】~【0210】、【0213】、【0226】)と、
d 第1副制御部400は、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0~4)」を表示し(認定事項シ)、
e 第1副制御部400は、その表示態様によって当該保留の当否についての先読み予告が可能であるように、先読み結果に基づいて保留アイコンの表示態様を変化させ(【0041】、【0212】~【0214】)、
f~h 第1副制御部400は、
特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺左端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の右辺中央部に配置する通常遊技状態において、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0~4)」を表示し(認定事項(ス))、
特図1表示示唆画像SI1を装飾図柄表示装置208の下辺右端部に、特図2表示示唆画像SI2を装飾図柄表示装置208の下辺左側に配置する確変中の場合には、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に常に表示する(認定事項(セ))
弾球遊技機。」
(3)対比
ア 本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A~Hと刊行物発明の構成a~hについて、それぞれ(a)~(h)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「装飾図柄表示装置208の各図柄表示領域で装飾図柄の変動表示を行」うことは、本件補正発明における「可変表示を行」うことに相当する。
そして、刊行物発明における「アタッカを開閉動作する大当り遊技を実行可能な」ことは、本件補正発明における「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「装飾図柄表示装置208の各図柄表示領域で装飾図柄の変動表示を行い、アタッカを開閉動作する大当り遊技を実行可能な弾球遊技機」は、本件補正発明における構成Aの「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
(b)刊行物発明における「始動情報」は、「特図1変動遊技の停止図柄を事前判定するために用いられる」情報であって、「特図1変動遊技」に関する情報であるから、本件補正発明における「可変表示に関する情報」に相当する。
そして、刊行物発明における「始動情報を取得順に格納する」ことは、構成cより、「始動情報に対応し」て「保留表示画像(保留アイコン)」が表示されることから、「始動情報」は「保留」のために記憶される情報であるといえる。
そうすると、刊行物発明における「始動情報」は、本件補正発明における「保留記憶情報」に相当し、刊行物発明における「始動情報を取得順に格納する」ことは、本件補正発明における「保留記憶情報として記憶する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成bの「特図1変動遊技の停止図柄を事前判定するために用いられる始動情報を取得順に格納するRAM308の特図1乱数値記憶領域」は、本件補正発明における構成Bの「可変表示に関する情報を、保留記憶情報として記憶する保留記憶手段」に相当する。
(c)上記(b)より、刊行物発明における「特図1乱数値記憶領域に記憶されている始動情報」は、本件補正発明における「保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報」に相当する。
そして、刊行物発明における「保留表示画像(保留アイコン)」は、本件補正発明における「保留表示」に相当する。
また、刊行物発明における「保留表示画像(保留アイコン)を表示する演出」は、「始動情報に対応」するものである。
したがって、刊行物発明における「保留表示画像(保留アイコン)を表示する演出」は、本件補正発明における「保留記憶情報の各々に対応した保留表示を表示する」ことに相当する。
よって、刊行物発明における構成cの「第1副制御部メイン処理の演出制御処理において、装飾図柄表示装置208の一部のアイコン表示領域に、RAM308に設けられた特図1乱数値記憶領域に記憶されている始動情報に対応した保留表示画像(保留アイコン)を表示する演出の制御を行う第1副制御部400」は、本件補正発明における構成Cの「保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段」としての機能を有する。
(d)刊行物発明における「特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1」は、「保留表示画像(保留アイコン)」とは異なる画像であって、「始動情報」の数に対応する「保留数」情報を表示するものであるから、本件補正発明における「保留記憶情報に対応して表示」される「保留表示とは異なる画像である保留画像」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成dの「装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0~4)」を表示」する「第1副制御部400」は、本件補正発明における構成Dの「保留表示とは異なる画像である保留画像を保留記憶情報に対応して表示する保留画像表示制御手段」としての機能を有する。
(e)上記(c)より、刊行物発明における「保留表示画像(保留アイコン)」は、本件補正発明における「保留表示」に相当する。
そして、刊行物発明における「保留の当否についての先読み予告が可能であるように、先読み結果に基づ」くことは、本件補正発明における「有利状態に制御されることに対する期待度に応じ」ることに相当する。
また、刊行物発明における「保留アイコンの表示態様を変化させ」ることと、本件補正発明における「異なる表示態様により保留表示を表示させ」ることとは、「保留表示の表示態様を異ならせて表示させることが可能である」ことで共通する。
したがって、刊行物発明における構成eの「その表示態様によって当該保留の当否についての先読み予告が可能であるように、先読み結果に基づいて保留アイコンの表示態様を変化させ」る「第1副制御部400」と、本件補正発明における構成Eの「有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により保留表示を表示させ」る「保留表示制御手段」とは、「有利状態に制御されることに対する期待度に応じて保留表示の表示態様を異ならせて表示させることが可能である保留表示制御手段」である点で共通する。
(f、g)刊行物発明における「通常遊技状態」は、本件補正発明における「通常状態」に相当する。
そして、刊行物発明における「確変中」が、「大当り遊技」とは異なる遊技状態であって、「通常遊技状態」に比して大当り確率を高くした分、遊技者にとって有利な遊技状態であることは、当業者にとって明らかである。そうすると、刊行物発明における「確変中」は、本件補正発明における「有利状態とは異なり遊技者にとって通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態」に相当する。
また、上記(d)より、刊行物発明における「特図1補助アイコンPIA1」としての「ハート型×N(Nは0~4)」のうち、Nが1~4の場合の特図1補助アイコンPIA1、すなわち、「ハート型×1」、「ハート型×2」、「ハート型×3」、「ハート型×4」は、本件補正発明における「保留画像」に相当する。
そうすると、刊行物発明は、「装飾図柄表示装置208の上辺右端部に」、「通常遊技状態」においては、Nが1~4の場合の「特図1補助アイコンPIA1を表示」する一方、「確変中」においては、「「確変中」の文字を」「常に表示」し、Nが1~4の場合の「特図1補助アイコンPIA1を表示」しないといえる。
すなわち、刊行物発明は、遊技状態が「通常遊技状態」であって、Nが1~4の場合、「特図1補助アイコンPIA1」の表示を行うように制御されるが、「確変中」であって、Nが1~4の場合、「特図1補助アイコンPIA1」の表示が行われないように制御される、すなわち、遊技状態に応じて「特図1補助アイコンPIA1」の表示の有無を制御可能なものである。
ここで、本件補正発明における「保留画像の表示を制御」することには、保留画像の表示を行わないように制御することも含むものである。
したがって、刊行物発明におけるNが1~4の場合、「通常遊技状態において、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは1~4)」を表示し」、「確変中の場合には、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に常に表示する」ことは、本件補正発明における「通常状態であるか、有利状態とは異なり遊技者にとって通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて保留画像の表示を制御可能である」ことに相当する。
よって、刊行物発明における構成f~hのうち、「通常遊技状態において、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは1~4)」を表示し」、「確変中の場合には、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に常に表示する」「第1副制御部400」は、本件補正発明における構成F、Gの「通常状態であるか、有利状態とは異なり遊技者にとって通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて保留画像の表示を制御可能である」「保留画像表示制御手段」としての機能を有する。
(f、h)上記(f、g)より、刊行物発明は、遊技状態が「通常遊技状態」であって、Nが0の場合、「特図1補助アイコンPIA1」の表示を、「装飾図柄表示装置208の上辺右端部」に「ハート型×0」と表示することにより行うが、遊技状態が「確変中」の場合、「「確変中」の文字を」「装飾図柄表示装置208の上辺右端部」に常に表示する」ため、Nが0の場合の「特図1補助アイコンPIA1」の表示を行わないといえる。
したがって、刊行物発明における構成f~hのうち、「通常遊技状態において、装飾図柄表示装置208の上辺右端部に、特図1の保留数を表示する特図1補助アイコンPIA1として「ハート型×N(Nは0)」を表示し」、「確変中の場合には、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に常に表示する」「第1副制御部400」は、本件補正発明における構成F、Hの「保留記憶情報が記憶されていない場合において、通常状態であるときには保留記憶情報が記憶されていないことを示す保留画像を表示可能であり、特別遊技状態であるときには保留画像を表示させないように制御可能である」「保留画像表示制御手段」としての機能を有する。
イ 上記(a)~(f、h)より、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に関する情報を、保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている前記保留記憶情報の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段と、
D 前記保留表示とは異なる画像である保留画像を前記保留記憶情報に対応して表示する保留画像表示制御手段とを備え、
E’前記保留表示制御手段は、前記有利状態に制御されることに対する期待度に応じて前記保留表示の表示態様を異ならせて表示させ、
F 前記保留画像表示制御手段は、
G 通常状態であるか、前記有利状態とは異なり遊技者にとって前記通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて前記保留画像の表示を制御可能であるとともに、
H 前記保留記憶情報が記憶されていない場合において、前記通常状態であるときには前記保留記憶情報が記憶されていないことを示す前記保留画像を表示可能であり、前記特別遊技状態であるときには前記保留画像を表示させないように制御可能である
遊技機。」
[相違点](構成E)
保留表示制御手段による保留表示の表示に関し、
本件補正発明は、有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により保留表示を表示させるのに対して、
引用発明は、「その表示態様によって当該保留の当否についての先読み予告が可能であるように、先読み結果に基づいて保留アイコンの表示態様を変化させ」るが、本件補正発明の上記構成を備えるか否か明らかでない点。
(4)当審の判断
ア 相違点(構成E)について
上記相違点について検討する。
遊技機の技術分野において、大当り期待度に応じて異なる表示態様により保留表示を表示させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2014-138812号公報には、遊技の興趣を向上させるために(【0005】)、「各種別ごとに用意された報知態様は、信頼度を表すものになっている。ここにいう信頼度は、先読み予告が偽の先読み予告ではなく真の先読み予告であることの信頼度である。すなわち、当否判定の結果が特定の当否判定結果(ここでは15Rの大当り(図5(a)に示す特図A又は特図B))になることがどれだけ正しいかを表す程度(%)である(以下、同じ)。なお、信頼度は、大当り確率×表示態様の選択率/(大当り確率×表示態様の選択率+ハズレ確率×表示態様の選択率)で求めることができる。保留アイコン変化における悪商人の報知態様は、上述の保留予告Aの表示態様と同じであるが、ここでは、信頼度が3%である先読み予告になり、殿様の報知態様は、上述の保留予告Bの表示態様と同じであるが、ここでは、信頼度が30%である先読み予告になる。一方、家紋の表示態様は、信頼度が100%の先読み予告になる。」(【0307】、【図27】を参照。)ことが記載され、
特開2013-242号公報には、遊技の興趣を向上させるために(【0006】)、「図29(A)の先読み予告決定テーブル1は、・・・図示するように、先読み予告決定テーブル1の白以外の色の表示態様が予告演出の表示態様となり、各表示態様の実行確率は、図示するとおりである。先読み予告決定テーブル2及び3についても、同様に、白以外の色の表示態様が予告演出の表示態様となり、各表示態様の決定割合は、それぞれ図示するとおりである。先読み予告決定テーブル1~3のいずれも、「大当り」の場合に、先読み予告が実行される確率が高くなっており、且つ、この場合、「赤」の表示態様の決定割合が最も高く、ついで「黄色」、そして「青」が最も低く設定されている。つまり、「赤」の表示態様の保留表示が行われた場合には「大当り」となる可能性が最も高く、ついで「黄色」、そして「青」というように設定されており、換言すれば、「赤」、「黄色」、「青」の順に信頼度が設定されている。」(【0283】【図29】を参照。)ことが記載されている。以下「周知の技術事項」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項とは、多彩な演出を行うという共通の課題を解決するものである。
したがって、刊行物発明に上記周知の技術事項を適用して、先読み結果に基づく保留アイコンの表示態様の変化を、大当り期待度に応じて異ならせた表示態様とし、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
イ 請求人の主張について
請求人は、平成30年4月16日付け審判請求書の「(4)本願発明と引用文献に記載された発明との比較」において、次の主張をする。
「本願発明と引用文献に記載された発明とを比較すると、引用文献1~2に記載された発明を組み合わせたとしても(さらに、引用文献3に記載された発明を組み合わせたとしても)、少なくとも、上記の(e)の構成要素が大きく異なる。
本願発明では、上記の(e)の構成要素を備えることによって、通常状態であるか、有利状態とは異なり遊技者にとって通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて保留画像の表示を制御可能であるように構成されている。そのような構成を備えることによって、本願発明では、遊技状態が通常状態であるか特別遊技状態であるかに応じて保留画像の表示を制御することによって、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
また、引用文献1~2に記載された発明を組み合わせたとしても(さらに、引用文献3に記載された発明を組み合わせたとしても)、上記の(f)の構成要素も大きく異なる。
本願発明では、上記の(f)の構成要素を備えることによって、保留記憶情報が記憶されていない場合において、通常状態であるときには保留記憶情報が記憶されていないことを示す保留画像を表示可能であり、特別遊技状態であるときには保留画像を表示させないように制御可能であるように構成されている。そのような構成を備えることによって、本願発明では、遊技状況の誤解に伴う興趣低下を抑制できるとともに、保留記憶情報がない場合の興趣低下を抑制する効果をより発揮することができる。
・・・
これに対して、引用文献1には、保留表示や保留画像と類似した構成として、特図1表示示唆画像SI1や、特図1補助アイコンPIA1、特図2補助アイコン2を表示することが記載されているが、通常状態であるか特別遊技状態であるかに応じて保留画像の表示を制御可能としたり、保留記憶情報が記憶されていない場合において通常状態であるときには保留記憶情報が記憶されていないことを示す保留画像を表示可能とし、特別遊技状態であるときには保留画像を表示させないように制御可能としたりするという上記の(e),(f)のように構成することは何ら記載も示唆もされていない。」
そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記請求人の主張において、(e)の構成要素、(f)の構成要素は、それぞれ、本件補正発明における構成F、G、構成F、Hに対応するものである。
そして、本件補正発明における構成Gの「保留画像の表示を制御」することには、保留画像の表示を行わないように制御することも含むものであることから、上記(3)(f、g)において検討したように、刊行物発明におけるNが1~4の場合の構成f~hは、本件補正発明における構成F、Gに相当する。
同様に、上記(3)(f、h)において検討したように、刊行物発明におけるNが0の場合の構成f~hは、本件補正発明における構成F、Hに相当する。
したがって、本件補正発明の構成F~Hは、刊行物発明が備える構成である。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
ここでは、本件補正発明の構成Gについて、仮に、構成Gの「保留画像の表示を制御」することが、保留画像の表示を行わないように制御することを含まないものであるとした場合について、さらに検討する。
刊行物発明は、構成f~hより、「通常遊技状態では」「特図1表示示唆画像SI1を左に、特図2表示示唆画像SI2を右に配置」し、「確変中の期間」「特図1表示示唆画像SI1を右に、特図2表示示唆画像SI2を左に配置」するものである。
このように、刊行物発明は、特図表示示唆画像についてではあるが、遊技状態が通常遊技状態であるか、確変遊技状態であるかに応じて、「特図1表示示唆画像SI1」と「特図2表示示唆画像SI2」の表示位置を変更するように、保留に係る表示を制御可能とするものである。
したがって、このことを、刊行物発明における構成f~hにおけるNが1~4の場合の特図補助アイコンに適用して、
通常遊技状態である場合は、特図1補助アイコンを装飾図柄表示装置208の上辺右端部に表示し、確変遊技状態である場合は、「確変中」の文字を装飾図柄表示装置208の上辺右端部に表示するのであるから、確変遊技状態である場合、確変遊技状態の際に頻繁に表示される特図2補助アイコンをさらに装飾図柄表示装置208の上辺右端部以外の部分に表示することも当業者が容易になし得たものである。
ウ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。
そうすると、上記ア及びイにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(5)まとめ
上記(1)~(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1~2に係る発明は、平成29年3月27日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A~H’は、分説するため当審で付した。)は、次のとおりのものと認める。
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B’可変表示に関する情報を、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C’前記保留記憶手段に記憶されている前記保留記憶の各々に対応した保留表示を表示する保留表示制御手段と、
D’前記保留表示とは異なる画像である保留画像を前記保留記憶に対応して表示する保留画像表示制御手段とを備え、
E 前記保留表示制御手段は、前記有利状態に制御されることに対する期待度に応じて異なる表示態様により前記保留表示を表示させ、
F 前記保留画像表示制御手段は、
G’遊技状態に応じて前記保留画像の表示を制御可能であるとともに、
H’前記保留記憶が記憶されていない場合に、前記保留画像を表示させないように制御可能である
ことを特徴とする遊技機。」
2 拒絶の理由(平成29年7月28日付け)
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。
(進歩性)本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明、及び、周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
〈引用文献等一覧〉
刊行物1:特許第5466775号公報
刊行物2:特開第5507727号公報
3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、刊行物1である特許第5466775号公報(前記「第2 3(2)」における「刊行物」に対応する。)の記載事項及び刊行物発明の認定については、前記「第2 3(2)刊行物1」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明における構成A~Hのうち、構成B~Dについて、「保留記憶情報」とあったものを「保留記憶」とその限定を省き、
構成Gについて「通常状態であるか、前記有利状態とは異なり遊技者にとって前記通常状態より有利な遊技状態である特別遊技状態であるかに応じて前記保留画像の表示を制御可能である」とあったものを「遊技状態に応じて前記保留画像の表示を制御可能である」とその限定を省き、さらに、
構成Hについて「前記保留記憶情報が記憶されていない場合において、前記通常状態であるときには前記保留記憶情報が記憶されていないことを示す前記保留画像を表示可能であり、前記特別遊技状態であるときには前記保留画像を表示させないように制御可能である」とあったものを「前記保留記憶が記憶されていない場合に、前記保留画像を表示させないように制御可能である」とその限定を省くものである。
そして、前記「第2 3(3)対比」で検討した内容からみて、刊行物発明における構成b~d、g~hは、本願発明の構成B’~D’、G’~H’に、それぞれ、相当する。
そうすると、本願発明と刊行物発明とは、本件補正発明と同様に、前記「第2 3(3)対比」における相違点(構成E)において相違し、その余の点において一致する。
そして、相違点(構成E)についての判断は、前記「第2 3(4)当審の判断 ア 相違点(構成E)について」において検討したとおりである。
したがって、本願発明は、刊行物発明に前記周知の技術事項を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-005192