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特許拒絶査定不服審判

2018-004829

壁面設置型の電気設備機器

審判番号
2018-004829
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-190649外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年04月09日
審決日
2019年03月25日
公報発行日
2019年06月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-190649「壁面設置型の電気設備機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月23日出願公開、特開2015- 56854〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成25年9月13日の出願であって、平成29年3月24日付けで拒絶理由が通知され、同年7月27日に意見書が提出されたが、同年12月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成30年4月9日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。 第2 平成30年4月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年4月9日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「壁面から導出された配線を引き込む通線口がベース部の底面に形成されている壁面設置型の電気設備機器において、 前記ベース部は、強勢力配線用の端子台と弱勢力配線用の端子台とが、前記通線口を挟むようにして左右又は上下に分離して配置されており、 前記通線口を、前記強勢力配線用の端子台に隣接する領域と、前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域とに区画する桟状の絶縁仕切部が、該通線口の周縁と一体に形成され、前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域は、前記強勢力配線用端子台に隣接する領域より大きいことを特徴とする、壁面設置型の電気設備機器。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「壁面から導出された配線を引き込む通線口がベース部の底面に形成されている壁面設置型の電気設備機器において、 前記ベース部は、強勢力配線用の端子台と弱勢力配線用の端子台とが、前記通線口を挟むようにして左右又は上下に分離して配置されており、 前記通線口を、前記強勢力配線用端子台に隣接する領域と、前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域とに区画する桟状の絶縁仕切部が、該通線口の周縁と一体に形成されていることを特徴とする、壁面設置型の電気設備機器。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「絶縁仕切部」が区画する領域について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された特開2003-23270号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 (ア)「【0002】 【従来の技術】各種の電線が接続される電気機器として、例えば、居室等の壁面に設置される住宅情報盤において、図3に示されるように、1は受話器、2はカバー、3は本体、4は埋込ボックスであって、本体3の背面側から電線引込口31を通して、図4のように、電源線PLおよび各種信号線SLが引き込まれている。この電源線PLは通常100Vの強電であり、また、信号線SLは通常12Vまたは24V程度の弱電であって、これらの電線を混在させることは、電源線PLの電圧変動等が信号線SLに誘導されて機器を誤動作させるおそれがあるとして好まれない。そこで、従来から、強電側端子台32と弱電側端子台33a、33bとで電線を接続する端子台を分けて配置したり、さらに、壁面内部に配線するとき、図5に示すような、いわゆる埋込ボックス4内においてその内部を二分する隔壁41を設け、強電側の電源線PLと弱電側の信号線SLとがなるべく離れるように工夫されている。」 (イ)「【0007】 【発明の実施の形態】以下、この発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態である電気機器としての住宅情報盤の一部断面右側面図であり、全体構造として従来の技術として示した図3から図5と同様の構造を有するものであり、同一部材には同一の符号を付与する。 【0008】この本体3内には、平面部36に対して略一面に、詳細に説明しない電気回路部が搭載される基板34が配置され、平面部36の電線引込口31と同様に基板34にも開口が設けられている。そして、この電線引込口31の周囲には、本体3を埋込ボックス4または直接壁面にねじ止めするための取付穴35が6ヶ所、本体3の平面部36に配置されている。これらの取付穴35のうち4個については、埋込ボックス4の4個のねじ穴42に対応しており、4本のねじ61によって本体3が埋込ボックス4にねじ止めできるようになっている。 【0009】そして、6個の取付穴35のうち、中央部分の上下2個については使われないことが多く、この第1の実施形態では、これら2個の取付穴35を利用してセパレータとしての板状の隔壁5を取付けている。この隔壁5の両端には、略L字状の引掛部51が形成され、引掛部51のそれぞれの先端を取付穴35に挿入して装着できるようになっている。この隔壁5の平面部52は、略埋込ボックス4内の隔壁41近傍から、本体3内に配置される基板34を余裕をもって超える位置までの幅に形成されている。この平面部52によって、電線引込口31から引込まれた図示しない電線は、隔壁5に区画された一方から他方へ渡ることを防止することができる。なお、この平面部52の幅としては、埋込ボックス4内の隔壁41の近傍または本体3平面部36のいずれかの位置を一端として、基板34を超える位置からカバー2内面近傍までの位置を他端とする範囲が選択できる。 【0010】このように構成される第1の実施形態の住宅情報盤は、次のように取付作業が行われる。まず、共同住宅等の部屋の壁面に埋込ボックス4が予め埋込み設置されていて、その埋込ボックス4には、図示しない必要な電線、上記の電源線や各種信号線が配設されて、隔壁41によって振分けられて引出されている。この埋込ボックス4に、まず本体3を取付ける。 【0011】この本体3の取付は、上記のように、埋込ボックス4の4個のねじ穴42に本体3の取付穴35を位置合わせして、4本のねじ61によってねじ止めして本体3を固定する。この固定の際には、埋込ボックス4から引出されている電線(図4の電源線PLおよび信号線SL)を電線引込口31に通して行われ、本体3の固定状態で図1では図示しない電線は、電線引込口31から引出されている。ここで、セパレータとしての隔壁5を取付ける。 【0012】本体3の電線引込口31から引出されている図1に示さない電線を、埋込ボックス4内に合わせて振分け、セパレータとしての隔壁5の両端の引掛部51を、使用していない取付穴35に挿入して取付ける。このように、隔壁5を取付けると、埋込ボックス4から振分けられているのと同様に、電線引込口31からも隔壁5により振分けられている状態となる。 【0013】この状態で、強電側の電源線PLを強電側端子台32に接続するとともに、弱電側の各種信号線SLを弱電側端子台33a、33bに接続する。このとき、もしこれら電線が長く余ったとしても、振分けられた電線が近接することはなく、隔壁5の平面部52によって分離されることとなる。 【0014】なお、セパレータとしての隔壁5の配置は、埋込ボックス4の隔壁41の位置に合わせて設けられてよいが、電線本数の関係で一方の領域(通常信号線SL側の本数が多いので信号線SL側の領域)が広くなるように、湾曲させる等で形成してもよく、また、簡単に許容範囲内で中央位置をずらすように隔壁5を配置してもよい。 【0015】このように内部に配線を行った後、本体3にカバー2を被せる。カバー2は、詳細に説明しないが、本体3との嵌合構造を有しており、位置合わせして本体に装着される。さらに、カバー2には受話器1が設置され、詳細に説明しないが、受話器1のコネクタがカバー2の端子部に接続される。こうして、壁面に住宅情報盤が取付けられる。」 (ウ)【図1】は以下のとおり。 (エ)【図3】は以下のとおり。 (オ)【図4】は以下のとおり。 上記(イ)の段落【0007】に記載されるように、発明の第1の実施形態は、「電気機器としての住宅情報盤」であって、段落【0011】に記載されるように、「埋込ボックス4から引出されている電線(図4の電源線PLおよび信号線SL)を電線引込口31に通し」、「電線は、電線引込口31から引出されている」。 ここで、上記(イ)の段落【0012】に記載されるように、「電線引込口31」は、「本体3の電線引込口31」であって、段落【0010】に記載されるように、「埋込ボックス4」は、「部屋の壁面に」「予め埋込み設置され」た「埋込ボックス4」である。 上記によれば、発明の第1の実施形態は、「電気機器としての住宅情報盤において、本体3の電線引込口31から、部屋の壁面に予め埋込み設置された埋込ボックス4から引出されている電源線PLおよび信号線SLを引出される」といえる。 上記(イ)の段落【0007】に記載されるように、「第1の実施形態である電気機器としての住宅情報盤」は、「全体構造として従来の技術として示した図3から図5と同様の構造を有するもの」であって、段落【0013】に記載されるように、「強電側端子台」は「32」、「弱電側端子台」は「33a、33b」の符号で示されている。 よって、【図3】、【図4】によれば、本体3には、「強電側端子台32」と「弱電側端子台33a、33b」とが、分離して配置されていることが見て取れる。 上記によれば、「本体3には、強電側端子台32と弱電側端子台33a、33bとが、分離して配置される」といえる。 上記(イ)の段落【0008】に記載されるように、「電線引込口31の周囲には、本体3を埋込ボックス4または直接壁面にねじ止めするための取付穴35が6ヶ所」配置され、段落【0009】に記載されるように、「6個の取付穴35のうち、中央部分の上下2個」の「取付穴35を利用してセパレータとしての板状の隔壁5を取付けている」。 そして、【図3】、【図4】によれば、「電線引込口31」の周囲に配置される6個の取付穴35のうち中央部分の上下2個の取付穴35を利用して取付けられる「セパレータとしての板状の隔壁5」は、「電線引込口31」を、「強電側端子台32」に隣接する左側の領域と、「弱電側端子台33a、33b」に隣接する右側の領域とに区画するセパレータであることが見て取れる。 上記によれば、「電線引込口31の周囲に配置される6個の取付穴35のうち中央部分の上下2個の取付穴35を利用し、電線引込口31を、強電側端子台32に隣接する左側の領域と、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域とに区画する、セパレータとしての板状の隔壁5が取付けられている」といえる。 また、上記(イ)の段落【0015】には「壁面に住宅情報盤が取付けられる」ことが記載されている。 そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「電気機器としての住宅情報盤において、 本体3の電線引込口31から、部屋の壁面に予め埋込み設置された埋込ボックス4から引出されている電源線PLおよび信号線SLを引出され、 本体3には、強電側端子台32と弱電側端子台33a、33bとが、分離して配置され、 電線引込口31の周囲に配置される6個の取付穴35のうち中央部分の上下2個の取付穴35を利用し、電線引込口31を、強電側端子台32に隣接する左側の領域と、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域とに区画する、セパレータとしての板状の隔壁5が取付けられている、壁面に取付けられる住宅情報盤。」 さらに、上記(イ)の段落【0014】には「なお、セパレータとしての隔壁5の配置は、埋込ボックス4の隔壁41の位置に合わせて設けられてよいが、電線本数の関係で一方の領域(通常信号線SL側の本数が多いので信号線SL側の領域)が広くなるように、湾曲させる等で形成してもよく、また、簡単に許容範囲内で中央位置をずらすように隔壁5を配置してもよい。」と記載されており、段落【0013】によれば、「強電側の電源線PLを強電側端子台32に接続するとともに、弱電側の各種信号線SLを弱電側端子台33a、33bに接続する」のであるから、セパレータとしての隔壁5の配置に関して、広くなるようにする「信号線SL側の領域」は信号線SLが接続される弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域といえる。 そうすると、引用文献1には、電線本数を考慮して、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域は、強電側端子台32に隣接する左側の領域より広くなるようにすること、すなわち、「電線本数を考慮して、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域は、強電側端子台32に隣接する左側の領域より大きくなるようにすること」が記載されているといえる。 イ 周知文献1,2 原査定の拒絶の理由で引用された特開2000-133960号公報(以下、「周知文献1」という。)及び当審で新たに引用する特開2011-233982号公報(以下、「周知文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 周知文献1 (ア)「【0032】ボックス9を構成するボディ9bは図1(a)~(d)に示すように、その上部の奥壁には横方向に電源線等の強電線を挿通する通線口54、通信線や映像用の同軸ケーブルなどの弱電線を挿通する通線口55をノックアウト方式により設けてあり、ボックス9内に収納する内器の数や配置位置に合わせて必要に応じて開口できるようになっている。同様にボディ9bの下部の奥壁には横方向に通信線や映像用の同軸ケーブル等の弱電線を挿通する通線口55,55’をノックアウト方式により必要に応じて開口できるようになっている。」 (イ)【図1】は以下のとおり。 周知文献1において、上記(ア)の段落【0032】に記載されるように、「電源線等の強電線を挿通する通線口」は「54」、「通信線や映像用の同軸ケーブルなどの弱電線を挿通する通線口」は「55」の符号で示されるから、【図1】によれば、ボディ9bに、電源線等の強電線を挿通する通線口54と、通信線や映像用の同軸ケーブルなどの弱電線を挿通する通線口55との間の仕切りが、通線口の周縁と一体に設けられていることが見て取れる。 周知文献2 (ア)「【0027】 次に、図8を用いてインターホン1の変形例について説明する。このインターホン1は、電源部15(AC100V)からの電源線16と通信線10との間に隔壁48が設けられている。電源部15はベース筐体4a下方に配置されており、電源線16は、ベース筐体4aの内壁面に沿って配線され、ベース筐体4a上方の開口から外部に導出される。隔壁48は、ベース筐体4a内壁面に対向して設けられている。このインターホン1によれば、電源線16と通信線11との間が隔壁47により仕切られるので、電源線16からの電源ノイズの影響を受けることがなくなる。」 (イ)【図8】は以下のとおり。 周知文献2において、上記(ア)の段落【0027】に記載されるように、「ベース筐体」は「4a」、「電源部15(AC100V)からの電源線」は「16」、「通信線」は「10」と「11」の符号で示されるから、【図8】によれば、ベース筐体4aに、電源部15(AC100V)からの電源線16の通る開口と、通信線10,11の通る開口との間の仕切りが、線の通る開口の周縁と一体に形成されていることが見て取れる。 したがって、「通線口の間の仕切りが、通線口の周縁と一体に形成されること」(以下、「周知事項1」という。)は周知である。 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「電線引込口31」は、部屋の壁面に予め埋込み設置された埋込ボックス4から引出されている電源線PLおよび信号線SLの電線を引き込む電線引込口であるから、本件補正発明の「壁面から導出された配線を引き込む通線口」に相当する。 引用発明の「本体3」は、電線引込口31を壁面に隣接する面、すなわち、底面に設けられているといえるから、引用発明の「本体3」、本体3に分離して配置される「強電側端子台32」、「弱電側端子台33a、33b」は、端子台の配置が通線口を挟むようにして左右又は上下か否かは別にして、それぞれ本件補正発明の、「通線口」が「底面に形成されている」「ベース部」、ベース部に分離して配置される「強勢力配線用の端子台」、「弱勢力配線用の端子台」に対応する。 引用発明の「電気機器としての住宅情報盤」は、壁面に取付けられる住宅設備であるから、「壁面設置型の電気設備機器」といえる。 上記によれば、引用発明の、「本体3の電線引込口31から、部屋の壁面に予め埋込み設置された埋込ボックス4から引出されている電源線PLおよび信号線SLを引出され」、「壁面に取付けられる」、「電気機器としての住宅情報盤」は、本件補正発明の「壁面から導出された配線を引き込む通線口がベース部の底面に形成されている壁面設置型の電気設備機器」に対応し、引用発明の、本体3に分離して配置される「強電側端子台32」、「弱電側端子台33a、33b」は、それぞれ本件補正発明の、ベース部に分離して配置される「強勢力配線用の端子台」、「弱勢力配線用の端子台」に対応する。 (イ)引用発明の、取付けられた「電線引込口31の周囲に配置される6個の取付穴35のうち中央部分の上下2個の取付穴35を利用し、電線引込口31を、強電側端子台32に隣接する左側の領域と、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域とに区画する、セパレータとしての板状の隔壁5」は、電線引込口31の周縁上の中央に渡されたセパレータであるから桟状といえ、電線のセパレータとして絶縁性の隔壁を用いることは技術常識であるから、通線口の周縁と一体に形成されているか否か及び弱勢力配線用の端子台に隣接する領域は、強勢力配線用端子台に隣接する領域より大きいか否かは別にして、本件補正発明の、「通線口の周縁に形成された」「通線口を、前記強勢力配線用の端子台に隣接する領域と、前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域とに区画する桟状の絶縁仕切部」に対応する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「壁面から導出された配線を引き込む通線口がベース部の底面に形成されている壁面設置型の電気設備機器において、 前記ベース部は、強勢力配線用の端子台と弱勢力配線用の端子台とが、分離して配置されており、 前記通線口を、前記強勢力配線用の端子台に隣接する領域と、前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域とに区画する桟状の絶縁仕切部が、該通線口の周縁に形成されたことを特徴とする、壁面設置型の電気設備機器。」 (相違点1) 「強勢力配線用の端子台と弱勢力配線用の端子台」の配置に関し、本件補正発明は、「通線口を挟むようにして左右又は上下」であるのに対し、引用発明では、この点の特定がない点。 (相違点2) 「桟状の絶縁仕切部」に関し、本件補正発明では、「通線口の周縁と一体に形成され」るのに対し、引用発明では、一体に形成されずに「取付けられている」点。 (相違点3) 「桟状の絶縁仕切部」が区画する領域に関し、本件補正発明は、「弱勢力配線用の端子台に隣接する領域は、前記強勢力配線用端子台に隣接する領域より大きい」のに対し、引用発明では、この点の特定がない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 「強勢力配線用の端子台と弱勢力配線用の端子台」の配置は、当業者が適宜選択することであって、「通線口を挟むようにして左右又は上下」とすることは設計的事項にすぎない。 イ 相違点2について 上記(2)イのとおり、「通線口の間の仕切りが、通線口の周縁と一体に形成されること」(周知事項1)は周知であり、当該周知の技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見当たらないから、引用発明の、「セパレータとしての板状の隔壁5」を電線引込口31の周縁と一体に形成されるようにすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 ウ 相違点3について 上記(2)アのとおり、引用文献1には、「電線本数を考慮して、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域は、強電側端子台32に隣接する左側の領域より大きくなるようにすること」が記載されているといえるから、引用発明において、電線本数を考慮して、弱電側端子台33a、33bに隣接する右側の領域は、強電側端子台32に隣接する左側の領域より大きくなるようにすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知事項1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知事項1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年4月9日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-5に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2003-023270号公報 2.特開2000-133960号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記弱勢力配線用の端子台に隣接する領域は、前記強勢力配線用端子台に隣接する領域より大きい」に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに相違点3に係る事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-004829

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