特許拒絶査定不服審判
2018-002329
遊技機
- 審判番号
- 2018-002329
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-044224外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年02月19日
- 審決日
- 2018年11月19日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
- 【請求人代理人】佐藤 武史
- 分類
- P18 .575-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-44224号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年9月8日出願公開、特開2016-163616号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本願は、平成27年3月6日の出願であって、平成29年3月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月15日付け(発送日:同年11月21日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成30年2月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成30年2月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1~2を補正する内容を含むものであり、そのうちの請求項1について、平成29年6月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「遊技球が転動可能な遊技領域と、前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機であって、
前記入賞装置は、
遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段と、
所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を前記所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片と、
前記第1可動片よりも上方に設けられ、前記第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片と、を備え、
前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし、
前記第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、
前記遊技球当接部は、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接せず、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときには、前記第1可動片に接する遊技球と当接する遊技機。」は、審判請求時に提出された手続補正書(平成30年2月19日付け)における
「遊技球が転動可能な遊技領域と、前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機であって、
前記入賞装置は、
遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段と、
所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を前記所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片と、
前記第1可動片よりも上方に設けられ、前記第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片と、を備え、
前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記所定領域が開放され、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐとともに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし、
前記第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、
前記遊技球当接部は、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接せず、
前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときには、前記第1可動片に接する遊技球と当接する遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。
2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」とあったものを「前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記所定領域が開放され、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし」と限定し、
同じく、補正前の請求項1に「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」とあったものを「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐとともに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した図面の【図9】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~E2は、分説するため当審で付した。)。
「A 遊技球が転動可能な遊技領域と、前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機であって、
B 前記入賞装置は、
B1 遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段と、
B2 所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を前記所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片と、
B3 前記第1可動片よりも上方に設けられ、前記第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片と、を備え、
C 前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記所定領域が開放され、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし、
D 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐとともに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし、
E 前記第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、
F 前記遊技球当接部は、
F1 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接せず、
F2 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときには、前記第1可動片に接する遊技球と当接する遊技機。」
(2)刊行物
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-195637号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。
・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用の入球具及び遊技機に係り、特に、省スペースで入球率の調整を容易とすることのできる遊技機用の入球具等に関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような開閉羽根部材による開閉を行う変動入賞役物や開閉扉部材による開閉を行う変動入賞役物は、開閉部材が比較的大きくその動作も大きいことから、遊技領域内において必要な面積も大きくなってしまうという問題がある。特に近年では、遊技領域内の略中央に配置される図柄表示装置の大型化が進んでいるので、変動入賞役物等の他の役物においては小型化が要求されている。
【0008】
更に、開閉羽根部材や開閉扉部材は、その閉鎖動作において球を入賞させる方向に羽根部材や扉部材が傾きながら閉じていくので、閉鎖途中に入賞しかかった球が、そのまま開閉羽根部材や開閉扉部材によって入賞口へと押し込まれてしまって入賞してしまうという問題がある。本来入賞すべきでない球が、開閉部材の閉鎖動作の途中で入賞してしまうと、入賞率が設計値から外れてしまってパチンコホールが不利益を受けてしまう場合がある。
【0009】
また、遊技領域内に配置されたゲージ等によって弾かれた球が、設計意図に反する方向から不意に入賞口へと入賞するのを防止したり、入賞しなかった球のその後の球の流下方向を調整して、遊技領域内の球の流下方向や入賞率を設計意図からなるべく外れないようにしたいとの要望もある。なお、上記のように、開閉部材の閉鎖途中に意図せず入球口に入球した球又はそのような入球、設計意図に反する方向から不意に入球口に入球した球又はそのような入球等を総称して「不測の入球」と呼ぶこととする。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、遊技領域における球の流下方向や流入開口への入球率の調整を容易とし、流下方向や入球率に対する設計意図を反映させ易い遊技機用の入球具及び遊技機を提供することを例示的課題とする。」
ウ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤ユニット5、前面ガラス(前面透明板)10、装飾枠(前面枠)12、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有している。
・・・
【0028】
遊技盤ユニット5は、遊技盤6とその遊技盤6の略中央に配置されたセンター役物7とを有して構成されている。その遊技盤6は、遊技盤面(表面)6aに球(パチンコ球)23の流下による遊技を実現するための遊技領域6bを画定するための盤状部材であり、本実施の形態においては、前面側の遊技盤面6aに遊技領域6bが構成される。そして遊技盤6は、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。遊技盤面6aには、略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の内周面(内側面)26aが遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内側面26aによって画定され、内側面26aに面した略円形状の領域が遊技領域6bとなっている。
【0029】
遊技領域6bには、ゲージ(障害釘)27が配置されている。このゲージ27は、遊技領域6bを流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、遊技領域6b内に多数配置されている。また、遊技領域6bには、普通入賞口28、第1始動口29、第2始動口(流入開口、図2を参照。)16を備えた第2始動入賞具(遊技機用の入球具)11、第1大入賞口31、第2大入賞口8a、通過ゲート(通過領域)33、風車34等が配置されており、流下する球23が各入賞口や始動口に流入したり、通過ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。」
エ 「【0040】
以下、この第2始動口16を備える第2始動入賞具11の構成について詳細に説明する。
【0041】
図2は、このパチンコ機2が有する第2始動入賞具11の外観斜視図である。この第2始動入賞具11は、ベースプレート17、下ベロ部材18、上ベロ部材19(図3参照)、ソレノイド(駆動手段)20、収容部21、前板24を有している。なお、図2(a)は、前板24をベースプレート17に取り付けた状態を示し、図2(b)は、前板24を取り外した状態を示している。
・・・
【0043】
下ベロ部材18は、第2始動口16内を前後方向(±Z方向)に進退移動する板状部材である。図3は、下ベロ部材18及び上ベロ部材19の進退移動の様子を説明するための側方模式図であり、(a)は下ベロ部材18の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材18の退避状態を示している。下ベロ部材18は、前方(矢印Z方向)への進出状態において球23を受けるための受け面18aを有している。そして、受け面18aで受けた球23を第2始動口16へと流入させる機能を有している。
【0044】
上ベロ部材19も、下ベロ部材18と同様に第2始動口16内を前後方向(±Z方向)に進退移動する板状部材である。図3に示すように、下ベロ部材18と上ベロ部材19とは、リンク機構20aにより連結され、逆位相で前後移動するように構成されている。すなわち、下ベロ部材18の進出時には上ベロ部材19が退避し、下ベロ部材18の退避時には上ベロ部材19が進出するようになっている。
【0045】
下ベロ部材18の進出時には、上ベロ部材19は第2始動口16よりも奥へと退避し、その結果、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L1が球23の直径寸法Dよりも大きくなるようになっている。したがって、下ベロ部材18の進出状態においては、球23が円滑に第2始動口16から流入する。
【0046】
一方、下ベロ部材18の退避時には、上ベロ部材19は第2始動口16の開口縁近傍まで進出するようになっている。その状態において、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L2は、下ベロ部材18及び上ベロ部材19の合計厚さ分だけ減少している。この開口高さ寸法L2が球23の直径寸法Dよりも小さく設定されているので、下ベロ部材18の退避時には球23の第2始動口16への流入が確実に阻止されるようになっている。
【0047】
このように、下ベロ部材18及び上ベロ部材19の前後方向(±Z方向)における進退移動により第2始動口16への入球の許容と阻止とが実現されている。また、受け面18aが上を向いたまま下ベロ部材18が退避移動するので、退避移動に際して、受け面18a上に載った球23に退避方向(-Z方向)の外力を殆ど生じない。したがって、図4に示すように、下ベロ部材18の退避移動の途中に受け面18aによって球23が受け止められた場合であっても、球23が第2始動口16へと押し込まれることなく、そのまま遊技領域6bへと残されて流下していくこととなる。したがって、下ベロ部材18の退避途中における不測の入球を防止することができ、設計意図通りの入球率調整を容易とすることができる。
・・・
【0050】
ソレノイド20は、上下のベロ部材18,19を進退移動させるための駆動手段である。本実施の形態においては、収容部21に収容されて上下のベロ部材18,19の後方に配置され、リンク機構20aを介して上下のベロ部材18,19に連結されている。具体的には、ソレノイド20のプランジャ20bが上ベロ部材19と連結されており、プランジャ20bが後方へと移動して上ベロ部材19を退避させると、リンク機構20aが回転軸20cを中心に揺動して下ベロ部材18を進出させるようになっている(図3(a)参照)。そして、プランジャ20bが前方へと移動して上ベロ部材19を進出させると、リンク機構20aが逆方向に揺動して下ベロ部材18を退避させるようになっている(図3(b)参照)。
【0051】
収容部21は、ベースプレート17の後方に取り付けられた収容部材であり、ソレノイド20、リンク機構20a等の構成部品を内部に保持している。収容部21内には、第2始動口16から流入した球23を検出する球通過センサも保持され、その球23をパチンコ機2内の入賞球通路へと導く入賞経路が形成されている。」
オ 「【0061】
<役物遊技>
役物遊技が開始されると、遊技者は通過ゲート33への球23の通過を狙い、図柄変動遊技の場合と同様に左打ちを行う。球23が通過ゲート33を通過すると、それに起因して第2抽選手段による第2抽選が行われる。その抽選結果が当たりの場合に、第2始動口16における下ベロ部材18が進退移動し、一定時間(例えば、1秒以下の短時間。)の第2始動口16の開放状態が発生する。」
上記ア~オの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a~f2は、本件補正発明のA~F2に対応させて付与した。)。
「a 球23が流下する遊技領域6bと、遊技領域6bに配置され、流下する球23が流入する第2始動口16を備えた第2始動入賞具11とを備えた遊技機(【0024】、【0028】、【0029】)であって、
b 第2始動入賞具11(【0040】、【0041】)は、
b1 内に、第2始動口16から流入した球23を検出する球通過センサを保持し、ベースプレート17の後方に取り付けられた収容部21(【0041】、【0051】)と、
b2 球23が通過ゲート33を通過したことに起因して行われる第2抽選の抽選結果が当たりの場合に、進退移動することにより一定時間の第2始動口16の開放状態を発生させるものであって、前方への進出状態において球23を受けるための受け面18aを有し、受け面18aで受けた球23を第2始動口16へと流入させ、退避時には球23の第2始動口16への流入を確実に阻止させる機能を有する下ベロ部材18(【0043】、【0046】、【0061】)と、
b3 下ベロ部材18の進出時に、下ベロ部材18が有する受け面18aで受けた球23が円滑に第2始動口16から流入するように第2始動口16よりも奥へと退避し、下ベロ部材18の退避時に、球23の第2始動口16への流入を確実に阻止するように第2始動口16の開口縁近傍まで進出する、進退移動する上ベロ部材19(【0043】、【0045】、【0046】)とを有し、
c ソレノイド20のプランジャ20bにより、上ベロ部材19を退避させると、下ベロ部材18を進出させ(【0050】)、
d ソレノイド20のプランジャ20bにより、上ベロ部材19を進出させると、下ベロ部材18を退避させ(【0050】)、
e’ 上ベロ部材19は、
f’、f1’ 下ベロ部材18の進出時には、第2始動口16よりも奥へと退避し、その結果、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L1が球23の直径寸法Dよりも大きくなるようになっているため、下ベロ部材18の進出状態においては、受け面18aにて受けた球23が円滑に第2始動口16から流入し(【0043】、【0045】)、
f’、f2’ 下ベロ部材18の退避時には、第2始動口16の開口縁近傍まで進出し、その状態において、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L2は、下ベロ部材18及び上ベロ部材19の合計厚さ分だけ減少し、この開口高さ寸法L2が球23の直径寸法Dよりも小さく設定されているので、第2始動口16への流入を確実に阻止するものであり、これにより、下ベロ部材18の退避移動の途中に受け面18aによって球23が受け止められた場合であっても、球23が第2始動口16へと押し込まれることなく、上ベロ部材19によってそのまま遊技領域6bへと残されて流下する(【0046】、【0047】)
遊技機。」
(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A~F2と刊行物発明の構成a~f2について、それぞれ(a)~(f2)の見出しを付して行った。)。
(a)刊行物発明における「球23が流下する遊技領域6b」は、本件補正発明における「遊技球が転動可能な遊技領域」に相当する。
また、刊行物発明における「遊技領域6bに配置され、流下する球23が流入する第2始動口16を備えた第2始動入賞具11」は、本件補正発明における「遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成aの「球23が流下する遊技領域6bと、遊技領域6bに配置され、流下する球23が流入する第2始動口16を備えた第2始動入賞具11とを備えた遊技機」は、本件補正発明における構成Aの「遊技球が転動可能な遊技領域と、遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機」に相当する。
(b)
(b1)構成b1について
刊行物発明における「球通過センサ」は、「収容部21」「内に」「流入した球23を検出する」ものであって、「球通過センサ」の検出領域を通過する球23を検出するものである。
ここで、刊行物発明における「収容部21」「内」の「球通過センサ」が「保持」された「領域」は、本件補正発明における「遊技球が」「通過」する「所定領域」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成b1の「第2始動口16から流入した球23を検出する球通過センサ」は、本件補正発明における構成B1の「遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段」に相当する。
(b2)構成b2について
刊行物発明における「球23が通過ゲート33を通過したことに起因して行われる第2抽選の抽選結果が当たりの場合」は、本件補正発明における「所定の駆動条件が成立したこと」に相当する。
そして、刊行物発明における「受け面18aで受けた球23を第2始動口16へと流入させ」る「前方への進出状態」は、構成b1より「第2始動口16へと流入」された球23が「入賞経路」を通過する状態であることから、本件補正発明における「遊技球を所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態」に相当する。
同様に、刊行物発明における「球23の第2始動口16への流入を確実に阻止させる」「退避時」における状態は、「球23の第2始動口16への流入を確実に阻止させる」ことから、本件補正発明における「遊技球を所定領域へと」「誘導不可能な第1誘導不可能状態」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成b2の「球23が通過ゲート33を通過したことに起因して行われる第2抽選の抽選結果が当たりの場合に、進退移動することにより一定時間の第2始動口16の開放状態を発生させるものであって、前方への進出状態において球23を受けるための受け面18aを有し、受け面18aで受けた球23を第2始動口16へと流入させ、退避時には球23の第2始動口16への流入を確実に阻止させる機能を有する、板状部材である下ベロ部材18」は、本件補正発明における構成B2の「所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片」に相当する。
(b3)構成b3について
刊行物発明において、「上ベロ部材19」は、「下ベロ部材18」よりも上方に設けられるものである。
そして、上記(b2)より、刊行物発明における「下ベロ部材18の進出時に、下ベロ部材18が有する受け面18aで受けた球23が円滑に第2始動口16から流入するように第2始動口16よりも奥へと退避」する状態は、本件補正発明における「第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態」に相当する。
同様に、刊行物発明における「下ベロ部材18の退避時に、球23の第2始動口16への流入を確実に阻止するように第2始動口16の開口縁近傍まで進出する」状態は、「下ベロ部材18が有する受け面18a」に球23が流入しない状態であるから、本件補正発明における「第1可動片へ遊技球を」「誘導不可能な第2誘導不可能状態」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成b3の「下ベロ部材18の進出時に、下ベロ部材18が有する受け面18aで受けた球23が円滑に第2始動口16から流入するように第2始動口16よりも奥へと退避し、下ベロ部材18の退避時に、球23の第2始動口16への流入を確実に阻止するように第2始動口16の開口縁近傍まで進出する、進退移動する板状部材である上ベロ部材19」は、本件補正発明における構成B3の「第1可動片よりも上方に設けられ、第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片」に相当する。
・まとめ
上記(b1)~(b3)より、刊行物発明における「球通過センサ」、「下ベロ部材18」、及び、「上ベロ部材19」を有する「第2始動入賞具11」は、本件補正発明における「入賞検知手段」、「第1可動片」、及び、「第2可動片」を備える「入賞装置」に相当する。
(c)上記(b2)より、刊行物発明における構成b2の「下ベロ部材18」の「進出」状態、及び、「下ベロ部材18」の「退避」時は、それぞれ、本件補正発明における構成B2の「第1可動片」の「第1誘導可能状態」、「第1可動片」の「第1誘導不可能状態」に相当する。
そして、刊行物発明における「ソレノイド20のプランジャ20b」は、本件補正発明における「駆動」する手段に相当する。
また、刊行物発明において、「下ベロ部材18を進出させ」るときは、構成b2より「進退移動する」「下ベロ部材18」が「退避」状態から「進出」状態へと移動するように駆動させるときであることから、本件補正発明における「第1可動片が第1誘導不可能状態から第1誘導可能状態へ駆動するとき」に相当する。
したがって、刊行物発明における「ソレノイド20のプランジャ20bにより」「下ベロ部材18を進出させ」るときは、本件補正発明における「第1可動片が第1誘導不可能状態から第1誘導可能状態へ駆動するとき」に相当する。
一方、上記(b3)より、刊行物発明における構成b3の「上ベロ部材19」の「進出」時、及び、「上ベロ部材19」の「退避」時は、それぞれ、本件補正発明における構成B3の「第2可動片」の「第2誘導不可能状態」、「第2可動片」の「第1誘導可能状態」に相当する。
そして、刊行物発明において、「上ベロ部材19を退避させる」ときは、「上ベロ部材19」が「退避」状態から「進出」状態へと移動するように駆動させるときであるから、本件補正発明における「第2可動片が第2誘導不可能状態から第2誘導可能状態へ駆動するとき」に相当する。
したがって、刊行物発明における「ソレノイド20のプランジャ20bにより」「下ベロ部材18を進出させ」るときは、本件補正発明における「第2可動片が第2誘導不可能状態から第2誘導可能状態へ駆動するとき」に相当する。
そして、刊行物発明は、構成b3より、「下ベロ部材18の進出時に、下ベロ部材18が有する受け面18aで受けた球23が円滑に第2始動口16から流入するように」「上ベロ部材19」を「第2始動口16よりも奥へと退避」させるものである。
ここで、刊行物発明における「下ベロ部材18が有する受け面18aで受けた球23が円滑に第2始動口16から流入するように」することは、構成b1より、「第2始動口16から流入した球23」が「球通過センサ」により「検出」可能となることであるから、本件補正発明における「第1可動片によって遊技球を所定領域へ誘導可能」とすることに相当する。
よって、刊行物発明における構成bを前提とする構成cと、本件補正発明における構成Bを前提とする構成Cとは、「第1可動片が第1誘導不可能状態から第1誘導可能状態へ駆動するときに」、「第2可動片が第2誘導不可能状態から第2誘導可能状態へ駆動し、第1可動片によって遊技球を所定領域へ誘導可能と」することで共通する。
(d)刊行物発明において、「ソレノイド20のプランジャ20bにより」「下ベロ部材18を退避させ」るときは、上記(c)より、「下ベロ部材18」が「進出」状態から「退避」状態へと進退移動するように駆動されるときである。
そうすると、刊行物発明における「ソレノイド20のプランジャ20bにより」「下ベロ部材18を退避させ」るときは、本件補正発明における「第1可動片が第1誘導能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するとき」に相当する。
同様に、上記(c)より、刊行物発明において、「ソレノイド20のプランジャ20bにより、上ベロ部材19を進出させる」ときは、本件補正発明における「第2可動片が第2誘導能状態から第2誘導不可能状態へ駆動するとき」に相当する。
そして、刊行物発明は、「上ベロ部材19を進出させ」、かつ、「下ベロ部材18を退避させ」ることにより、「球23の第2始動口16への流入を確実に阻止する」(構成b3)ものである。
ここで、刊行物発明における「球23の第2始動口16への流入を確実に阻止する」ことは、構成b1より、「球23」が「球通過センサ」を通過しないことであるから、本件補正発明における「所定領域への遊技球の誘導を」「遮ること」に相当する。
したがって、刊行物発明における「上ベロ部材19を進出させ」、かつ、「下ベロ部材18を退避させ」ることは、本件補正発明における「第2可動片が第2誘導可能状態から第2誘導不可能状態へ駆動することで、第1可動片による所定領域への遊技球の誘導を、第2可動片により遮ることを可能と」することに相当する。
よって、刊行物発明における構成bを前提とする構成dの「ソレノイド20のプランジャ20bにより、上ベロ部材19を進出させると、下ベロ部材18を退避させ」ることと、本件補正発明における構成Bを前提とする構成Dの「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐとともに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能と」することとは、「第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するときに」「第2可動片が第2誘導可能状態から第2誘導不可能状態へ駆動することで、第1可動片による所定領域への遊技球の誘導を、第2可動片により遮ることを可能と」することで共通する。
(e、f、f1)刊行物発明において「下ベロ部材18の進出状態においては、受け面18aにて受けた球23が円滑に第2始動口16から流入」することから、「第2始動口16よりも奥へと退避」している「上ベロ部材19」は、「下ベロ部材18」が「受け面18aにて受けた球23」に接することにより、球23が「第2始動口16から流入」することを妨げるものではない。
一方、本件補正発明において、「遊技球当接部」は、構成Eより、「第2可動片」が備えるものである。
したがって、刊行物発明における構成e’、f’、f1’の「上ベロ部材19は」「下ベロ部材18の進出時には、第2始動口16よりも奥へと退避し、その結果、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L1が球23の直径寸法Dよりも大きくなるようになっているため、下ベロ部材18の進出状態においては、受け面18aにて受けた球23が円滑に第2始動口16から流入」することと、本件補正発明における構成E、F、F1の「前記第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、前記遊技球当接部は、前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接」しないこととは、「第2可動片は、第1可動片が第1誘導可能状態のときには、第1可動片に接する遊技球とは当接」しないことで共通する。
(e、f、f2)刊行物発明における「下ベロ部材18の退避移動の途中」は、「下ベロ部材18」が「進出」状態から「退避」状態へと移動する進退移動の途中であることを意味するものであり、上記(b2)より、本件補正発明における「第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するとき」に相当する。
そして、刊行物発明における「受け面18aによって球23が受け止められた場合であっても、球23が第2始動口16へと押し込まれることなく、上ベロ部材19によってそのまま遊技領域6bへと残されて流下」することは、「上ベロ部材19」が「受け面18aによって」「受け止めら」れた「球23」に当たることにより、「球23が第2始動口16へと押し込まれることなく、上ベロ部材19によってそのまま遊技領域6bへと残されて流下する」ことであるから、本件補正発明における「第2可動片は」「第1可動片に接する遊技球と当接する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成e’、f’、f2’の「上ベロ部材19は」「下ベロ部材18の退避時には、第2始動口16の開口縁近傍まで進出し、その状態において、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L2は、下ベロ部材18及び上ベロ部材19の合計厚さ分だけ減少し、この開口高さ寸法L2が球23の直径寸法Dよりも小さく設定されているので、第2始動口16への流入を確実に阻止するものであり、これにより、下ベロ部材18の退避移動の途中に受け面18aによって球23が受け止められた場合であっても、球23が第2始動口16へと押し込まれることなく、上ベロ部材19によってそのまま遊技領域6bへと残されて流下する」ことと、本件補正発明における構成E、F、F2の「第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、遊技球当接部は」「第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するときには、第1可動片に接する遊技球と当接する」こととは、「第2可動片は、第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するときには、第1可動片に接する遊技球と当接する」ことで共通する。
よって、両者の一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A 遊技球が転動可能な遊技領域と、前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機であって、
B 前記入賞装置は、
B1 遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段と、
B2 所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を前記所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片と、
B3 前記第1可動片よりも上方に設けられ、前記第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片と、を備え、
C’ 前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし、
D’ 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし、
E’、F’ 前記第2可動片は、
F1’ 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接せず、
F2’ 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときには、前記第1可動片に接する遊技球と当接する遊技機。」
[相違点1](構成C)
第1可動片が第1誘導不可能状態から第1誘導可能状態へ駆動するときに、本件補正発明は、所定領域が開放されるのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。
[相違点2](構成D)
第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するときに、本件補正発明は、第1可動片により所定領域を塞ぐのに対して、刊行物発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。
[相違点3](構成E~F2)
第1可動片が第1誘導可能状態のときには、第1可動片に接する遊技球とは当接せず、第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動するときには、第1可動片に接する遊技球と当接するのが、本件補正発明は、第2可動片が備える下方に延びる遊技球当接部であるのに対して、刊行物発明は、第2可動片が下方に延びる遊技球当接部を備えるか否か明らかでない点。
(4)当審の判断
ア 相違点1~2(構成C、D)について
上記相違点1~2は、所定領域の開放に関する技術であり互いに関連するのでまとめて検討する。
遊技機の技術分野において、遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段を備えた入賞装置について、所定領域を入賞装置の下流側に設けることは、本件出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2010-68944号公報の【0036】の「普通入賞口15aに入賞した遊技球Pが、通過穴21aと通過穴23aを通って排出通路26aに流下し、普通入賞口SW15cで検出後、排出機構に誘導される。」との記載、
特開2002-35259号公報の【0002】の「入賞装置への打球の飛入は通常の場合入賞装置の内部か、若しくはこれに連通するセーフ球通路の途中に設備する検出器(検出スイッチ)によって検出し、制御装置等を介して賞球装置を作動させ賞球を放出するように構成しているのが普通である。」との記載を参照のこと。以下「周知の技術事項1」という。)。
また、遊技機の技術分野において、所定領域と可動部を有する入賞装置について、可動部を駆動することにより前後方向に進退可能とし、可動部が遊技球を誘導不可能状態から誘導可能状態へと駆動されるときに、所定領域が開放され、可動部が遊技球を誘導可能状態から誘導不可能状態へと駆動されるときに、所定領域が塞がれることは、本件出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2010-68944号公報の【0033】~【0036】、【図4】~【図6】の普通入賞口装置15が備える入賞口本体21が、進出位置のときに入賞口本体21の底壁部に設けた通過穴21aと、ガイド筒体23の底壁部に設けた通過穴23aとが重なることにより連通し、普通入賞口15aに入賞した遊技球Pが、通過穴21aと通過穴23aとを通って排出通路26aに流下するとの記載、
特開2002-35259号公報の【0002】、【0017】、【0025】~【0027】、【図2】~【図4】の「入賞装置10は飛入口12と、この飛入口に飛入した打球を遊技盤背後のセーフ球通路(図示せず)に誘導する可動誘導樋13とから構成される。」との記載、「前進した前記可動誘導樋13は、先端の球受け部18を取付基板14と面一にする位置から飛入口12の突き出し位置に揃えて内部を連通させ、飛入口12に飛入した打球Bを内部を通して遊技盤の背後に誘導することができるものになっている。」との記載を参照のこと。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、刊行物発明は、プランジャ20bによる下ベロ部材18と上ベロ部材19との相対的な位置関係により、球23を第2始動口16から流入させる状態と、流入させない状態とに切り替え可能に制御するものであるから、刊行物発明と上記周知の技術事項2とは、遊技球を入賞装置の所定領域に誘導可能な状態と誘導不可能な状態に切り替え可能に制御する機能を有する点で共通するものである。
したがって、刊行物発明における「第2始動入賞具11」に上記周知の技術事項1を適用して、球通過センサを収容部21の「下ベロ部材18」よりも下流側に設けるとともに、下ベロ部材18のソレノイド20のプランジャ20bによる駆動に上記周知の技術事項2を適用して、下ベロ部材18の駆動と所定領域の開放、非開放とを関連付け、上記相違点1~2に係る本件補正発明とすることは、当業者が容易になし得たものである。
イ 相違点3(構成E~F2)について
遊技機の技術分野において、前後方向に開閉する入賞装置について、遊技球の誘導路を形成する上下の部材のうち、上側の部材に下方に延びる遊技球当接部を設け、下側の部材が遊技球を誘導可能な進出状態のときには、遊技球が遊技球当接部に当接せず、下側の部材が遊技球を誘導不可能な退避状態のときには、遊技球が上側の部材に設けた遊技球当接部に当接する構成とすることは、本件出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2010-284362号公報の【0119】~【0131】、【図8】~【図11】の庇部に下方に延びる突起を設け、舌状可動片300が第1の位置にあり、かつ、庇部324が第4の位置にある状態では、遊技球PBは、入賞開口端部302に受け入れられ、特図B始動入賞口108Bへの入賞が可能な状態となる旨の記載、及び、舌状可動片300が第1の位置から移動を開始した直後にあるとき、かつ、庇部324が第4の位置から第3の位置へ移動し始めたときの状態では、遊技球PBが、頂点300Aよりもカバー部材306寄りに当接するため、特図B始動入賞口108Bへの入賞が不可能な状態となり、仮に頂点300Aよりも遊技盤PB寄りに当接したとしても、庇部324により入賞開口端部302への受け入れが妨げられる旨の記載、
特開2007-312956号公報の【0204】~【0205】、【図41】の「入賞通路531内の受止誘導部材535の上方には、入賞防止部材561が配設されている。この入賞防止部材561は、受止誘導部材535が突出位置のときに特別図柄始動口82を開放し、受止誘導部材535が没入位置のときに特別図柄始動口82を塞ぐものである」との記載を参照のこと。以下「周知の技術事項3」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項3とは、下側の部材が遊技球を誘導可能な進出状態のときには、遊技球が上側の部材に当接せず、下側の部材が遊技球を誘導不可能な退避状態のときには、遊技球が上側の部材に当接する機能を有する入賞装置である点で共通する。
また、刊行物発明は、下ベロ部材18の進出時、退避時に、それぞれ、第2始動口16の実質的な開口高さ寸法L1、L2を設定するものであって、上ベロ部材19に下方に延びる遊技球当接部を設けた場合、「上ベロ部材19」の「厚さ分」に、下方に延びる遊技球当接部の厚みを考慮して上記寸法L1、L2を設定し直すことは、当業者が「第2始動入賞具11」を設計するに際して当然考慮すべき事項である。
したがって、刊行物発明における上ベロ部材19に、上記周知の技術事項3を適用して、上ベロ部材19に下方に延びる遊技球当接部を設け、上記相違点3に係る本件補正発明とすることは当業者が容易になし得たものである。
ウ 請求人の主張について
請求人は、平成30年2月19日付け審判請求書の「(2)本願発明と引用文献との対比」において、次の点について主張をする。
「したがって、引用文献1~3には、本願発明の「前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記所定領域が開放」される構成及び「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐ」構成が示されていない。
本願発明は、引用文献1~3に示されていない構成を備えることで、以下の格別な効果を奏する。
通常、遊技機は、予め設定した賞球に関する性能に基づくタイミングで、第1可動片を第1誘導可能状態と、第1誘導不可能状態と、に切り替える。本来であれば、第1可動片が第1誘導可能状態となったことによる遊技者の利益は、第1可動片が第1誘導不可能状態へ駆動を開始した時点で終了する。ところが、その後、第1可動片が第1誘導可能状態から第1誘導不可能状態へ駆動中に、第1可動片により遊技球が入賞検知手段により検知される所定領域へ誘導され入賞してしまう場合がある。このような入賞に基づく、例えば、賞球は、遊技者にとっては予期しない利益であるが、遊技場にとっては予期せぬ損失になる。
本願発明によれば、入賞検知手段により検知される所定領域へ誘導可能なときには、遊技球は、第1可動片と遊技球当接部との間を通過し、開放された所定領域に入賞する。一方、所定領域へ誘導不可能なときには、遊技球は、第1可動片と遊技球当接部との間を通過できず、さらに、仮に第1可動片と遊技球当接部との間を通過してしまったとしても、第1可動片により所定領域が塞がれているため、入賞しない。
これにより、遊技者は適正な利益を得られるとともに、遊技場が予期せぬ損失を被るのを防止可能となる。したがって、遊技機の賞球に関する性能を正確に計算することが可能となり、遊技者と遊技場における利益のバランスを正確に管理することが可能になる。」(第8頁第13行~第9頁第11行)
そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記アにおいて検討したように、刊行物発明と上記周知の技術事項1とは、遊技球を入賞装置の所定領域に誘導可能な状態と誘導不可能な状態に切り替え可能に制御する機能を有する点で共通するものである。
そして、刊行物発明に上記周知の技術事項1を適用したものは、遊技球の受け入れ可否を、下ベロ部材18と上ベロ部材19設けた下方に延びる遊技球当接部とにより、第2始動口16の段階で行い、さらに、第2始動口16を通過した後の入賞経路の段階で行う構成を備えることになり、請求人が主張する「遊技球は、第1可動片と遊技球当接部との間を通過できず、さらに、仮に第1可動片と遊技球当接部との間を通過してしまったとしても、第1可動片により所定領域が塞がれているため、入賞しない」なる効果を奏することは明らかである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。
エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項1~3から当業者が予測できる効果の範囲内のものであり、格別なものではない。
そうすると、上記ア~ウにおいて検討したとおり、本件補正発明は、刊行物発明、及び、上記周知の技術事項1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
(5)まとめ
上記(1)~(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1~2に係る発明は、平成29年6月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A~F2は、分説するため当審で付した。)は、次のとおりのものと認める。
「A 遊技球が転動可能な遊技領域と、前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入賞装置と、を備える遊技機であって、
B 前記入賞装置は、
B1 遊技球が所定領域を通過したことを検知可能な入賞検知手段と、
B2 所定の駆動条件が成立したことに基づいて、遊技球を前記所定領域へと誘導可能な第1誘導可能状態と、誘導不可能な第1誘導不可能状態とに駆動可能な第1可動片と、
B3 前記第1可動片よりも上方に設けられ、前記第1可動片へ遊技球を誘導可能な第2誘導可能状態と、誘導不可能な第2誘導不可能状態とに駆動可能な第2可動片と、を備え、
C’ 前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし、
D’ 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし、
E 前記第2可動片は、下方に延びる遊技球当接部を備え、
F 前記遊技球当接部は、
F1 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態のときには、前記第1可動片に接する遊技球とは当接せず、
F2 前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときには、前記第1可動片に接する遊技球と当接する遊技機。」
2 拒絶の理由(平成29年3月30日付け)
原査定の拒絶の理由は、
「1.(新規性)この出願の下記の請求項1~2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項1~2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。
刊行物1:特開2009-195637号公報
3 刊行物に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、引用文献1である特開2009-195637号公報(前記「第2 3(2)」における「刊行物」に対応する。)の記載事項及び刊行物発明の認定については、前記「第2 3(2)刊行物」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明における構成A~F2のうち、構成Cについて、「前記第1可動片が前記第1誘導不可能状態から前記第1誘導可能状態へ駆動するときに、前記所定領域が開放され、前記第2可動片が前記第2誘導不可能状態から前記第2誘導可能状態へ駆動し、前記第1可動片によって遊技球を前記所定領域へ誘導可能とし」とあったものを「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」とその限定を省くとともに、構成Dについて「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第1可動片により前記所定領域を塞ぐとともに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」とあったものを「前記第1可動片が前記第1誘導可能状態から前記第1誘導不可能状態へ駆動するときに、前記第2可動片が前記第2誘導可能状態から前記第2誘導不可能状態へ駆動することで、前記第1可動片による前記所定領域への遊技球の誘導を、前記第2可動片により遮ることを可能とし」とその限定を省くものである。
そして、前記「第2 3(3)対比」で検討した内容からみて、刊行物発明における構成c、dは、本願発明の構成C’、D’に相当する。
そうすると、本願発明と刊行物発明とは、本件補正発明と同様に、前記「第2 3(3)対比」における相違点3において相違し、その余の点において一致する。
そして、相違点3についての判断は、前記「第2 3(4)当審の判断 イ 相違点3(構成E~F2)について」で検討したとおりである。
したがって、本願発明は、刊行物発明に前記周知の技術事項2を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-002329