特許拒絶査定不服審判
2018-000604
遊技機
- 審判番号
- 2018-000604
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-209248外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年01月17日
- 審決日
- 2018年10月15日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-209248号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年2月12日出願公開、特開2016-26003号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成21年7月28日に出願した特願2009-175849号の一部を平成25年9月19日に新たな特許出願(特願2013-194537号)とし、さらにその一部を平成27年10月23日に新たな特許出願(特願2015-209248号)としたものであって、平成28年4月4日に手続補正書が提出され、平成28年9月2日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年11月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年4月10日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年6月19日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年10月11日付け(発送日:平成29年10月17日)で、平成29年6月19日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成28年11月10日付け手続補正)
「【請求項1】
開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段と、
前記高頻度制御が実行されているときに、前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示の表示結果が前記特定表示結果となることを予告する予告演出の実行を禁止する禁止手段と、
前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段と、
前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成30年1月17日付け手続補正)
「【請求項1】
開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段と、
前記高頻度制御が実行されているときに、前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示の表示結果が前記特定表示結果となることを予告する予告演出の実行を禁止する禁止手段と、
前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段と、
前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段と、を備え、
前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、前記有利状態となる期待度が高い、
ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した)。
2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出実行手段」が実行する演出について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書【0057】に記載された事項であるから、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
3 本願補正発明の独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明について
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A~Hは、本願補正発明を分説するため当審にて付与した。)
「【請求項1】
A 開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
C 前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段と、
D 前記高頻度制御が実行されているときに、前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示の表示結果が前記特定表示結果となることを予告する予告演出の実行を禁止する禁止手段と、
E 前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段と、
F 前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段と、を備え、
G 前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、前記有利状態となる期待度が高い、
H ことを特徴とする遊技機。」
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2009-136435号公報(平成21年6月25日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。
(ア)「【0028】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」
(イ)「【0032】
遊技盤6における下部の左側には、識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8aが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aは、0~9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0~9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。遊技盤6における下部の右側には、識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示部)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0~9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0~9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。」
(ウ)「【0035】
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件(遊技球が第1始動入賞口13に入賞したこと)または第2始動条件(遊技球が第2始動入賞口14に入賞したこと)が成立した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。
【0036】
なお、入賞とは、入賞口等の予め入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を停止表示させることである(いわゆる再変動の前の停止を除く。)。また、この実施の形態では、第1始動入賞口13への入賞および第2始動入賞口14への入賞に関わりなく、始動入賞が生じた順に変動表示の開始条件を成立させるが、第1始動入賞口13への入賞と第2始動入賞口14への入賞とのうちのいずれかを優先させて変動表示の開始条件を成立させるようにしてもよい。たとえば第1始動入賞口13への入賞を優先させる場合には、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態であれば、第2保留記憶数が0でない場合でも、第1保留記憶数が0になるまで、第1特別図柄の変動表示を続けて実行する。」
(エ)「【0041】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1状態)になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態は、遊技者にとって不利な状態(第2状態)であり、遊技球が第2始動入賞口14に入賞しない。したがって、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。」
(オ)「【0104】
次に、この実施の形態のパチンコ遊技機1における演出表示装置9で実行される擬似連の表示演出を説明する。ここで、擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。
【0105】
図6は、擬似連の表示演出例を示す説明図である。図6(A)に示すパターンaは、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうち点灯されるものが1つずつ増えていくように制御される。なお、仮停止期間において、LED(上演出LED85a、中演出LED85b、下演出LED85c)はすべて消灯状態であってもよい。ここで、仮停止とは、演出表示装置9における「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアのうちすべての図柄表示エリアにおいて表示された演出用の識別情報としての演出図柄について、次の演出図柄への更新表示が行なわれず、表示されている演出図柄を維持する状態であり、停止表示を除く状態を指す。なお、この実施の形態においては、演出図柄を揺れ変動表示(微小な揺れ)させる例を示すが、揺れ変動表示に代えて、演出図柄を伸縮させたり拡大縮小表示を行なってもよい。また、再変動(初回変動も含む。)の期間中に、LEDは点滅するように制御されてもよいし、表示色が変わるように制御されてもよいし、点灯されるものが1つずつ増えていくように制御されるのではなく上演出LED85a、中演出LED85bおよび下演出LED85cのうちで点灯するものが変わるように制御されるようにしてもよい。また、図6(A)には、演出図柄の1回の変動中に2回の仮定期間が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれる例が示されている。しかし、これに限らず、仮停止の回数は、1回の場合もあってもよいし、3回以上であってもよい。また、それぞれの再変動(初回変動も含む。)A1,A2,A3を、第1再変動演出態様の再変動演出ということがある。」
(カ)「【0108】
図6(C)に示すパターンcは、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、演出表示装置9において特定のキャラクタ画像が表示される。なお、仮停止期間では、特定のキャラクタ画像が表示されないようにしてもよい。また、図6(C)には、演出図柄の1回の変動中に2回の仮定期間(当審注:図6(C)の記載からして、「仮停止期間」の誤記である)が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれる例が示されている。しかし、これに限らず、仮停止の回数は、1回の場合もあってもよいし、3回以上であってもよい。また、それぞれの再変動(初回変動も含む。)C1,C2,C3を、第2再変動演出態様(II)の再変動演出ということがある。」
(キ)「【0114】
図9は、演出表示装置9におけるパターンcの再変動演出の具体例を示す説明図である。パターンcの再変動演出では、図9(A)に示す状態(左中右の演出図柄が停止している状態)から演出図柄の変動が開始されてから、所定期間演出図柄の変動が実行され(図9(B)参照)、所定期間が経過すると左中右の演出図柄が仮停止する(図9(C)参照)。そして、所定の仮停止期間が経過すると、左中右の演出図柄が再変動し(図9(D)参照)、所定の再変動期間が経過すると、左中右の演出図柄は最終停止(確定)する(図9(E)参照)。図9に示す例では、初回変動の期間において、特定のキャラクタ画像79aが演出表示装置9において表示され、初回変動に続く再変動期間において、特定のキャラクタ画像79b(特定のキャラクタ画像79aと関連する画像であって、演出が発展したかのように遊技者に感じさせる画像)が演出表示装置9において表示される。なお、図9に示す例は、1回の仮停止が行なわれる場合の例である。また、図9(A)~(C)の期間が、図6(C)に示されたC1の期間に相当し、図9(D)~(E)の期間が、図6(C)に示されたC2の期間に相当する。ただし、図9に示す例では、仮停止が1回の例であって、C2の期間が終了するとリーチとなる。その後、リーチ演出が実行された後、左中右の演出図柄は最終停止(確定)する。なお、ここでは、再変動演出が終了するときにリーチになると説明したが、再変動演出が終了するときに、演出図柄はリーチにならず最終停止する場合もある。」
(ク)「【0121】
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後、所定時間(変動時間)が経過すると、特別図柄の変動表示結果である停止図柄を停止表示(導出表示)する。大当りにすることに決定されている場合には、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示される。小当りにすることに決定されている場合には、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示される。はずれにすることに決定されている場合には、大当り図柄や小当り図柄以外の特別図柄が停止表示される。大当り図柄が導出表示された場合には、遊技状態が、特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、小当り図柄が導出表示された場合には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。この実施の形態では、一例として、「1」、「3」、「7」を示す数字を大当り図柄とし、「5」を示す数字を小当り図柄とし、「-」を示す記号をはずれ図柄にする。」
(ケ)「【0125】
遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御される。確変状態は、たとえば、次に変動表示結果として大当り図柄が導出表示されるまで継続する。遊技状態を大当り遊技状態に制御することに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、大当り図柄という。そして、遊技状態を大当り状態に制御しないことに決定されている場合に導出表示される特別図柄の停止図柄を、はずれ図柄という。」
(コ)「【0128】
また、確変状態では、低確率状態(通常状態)に比べて、大当りに決定される確率(大当り確率)が高くなっている。たとえば、10倍になっている。具体的には、確変状態では、大当り判定用乱数の値と一致すると大当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて10倍になっている。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められている。すなわち、始動入賞口13(当審注:普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率が高められることにより、開放しやすくなるのであるから、「始動入賞口13」ではなく、「始動入賞口14」とすべきものの誤記である。)が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなっている。具体的には、確変状態は、普通図柄当り判定用乱数の値と一致すると当りにすることに決定される判定値の数が、通常状態に比べて多い。また、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めることに加えて、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。また、時短状態でも、普通図柄表示器10の停止図柄が当り図柄になる確率を高めたり、可変入賞球装置15の開放回数または開放時間を多くしたり、可変入賞球装置15の開放回数および開放時間を多くしたりしてもよい。」
(サ)「【0171】
図27(C)は、パターンcの擬似連の演出パターンを示す。図27(C)において、「C・C」は、初回変動とそれに続く再変動のそれぞれにおいて図6(C)に示された第2再変動演出態様(II)の再変動演出が実行されることを意味する。「C・C・C」は、初回変動、それに続く再変動、およびさらに続く再変動のそれぞれにおいて図6(C)に示された第2再変動演出態様(II)の再変動演出が実行されることを意味する。なお、C1,C2,C3は、図6(C)に示された第1再変動演出態様の再変動演出を示す。また、「C・C」および「C・C・C」における再変動演出C1の期間は、図9(A)~(C)の期間に相当し、「C・C」における再変動演出C2の期間は、図9(C)~(E)の期間に相当する。「C・C・C」における再変動演出C2の期間は、図9(C)~(E)の期間に相当する。ただし、期間終了時の演出図柄の表示態様は、図9(E)に示されたリーチの態様とは異なり、仮停止の態様である。また、「C・C・C」における再変動演出C3の期間において、たとえば、演出表示装置9に、特定のキャラクタ画像79c(図11(G)参照)が表示される。」
(シ)「【0202】
図31は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(S26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13aまたは第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち始動入賞が発生していたら、始動口スイッチ通過処理を実行する(S311,S312)。そして、S300~S310のうちのいずれかの処理を行なう。第1始動入賞口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aがオンしていなければ、内部状態に応じて、S300~S310のうちのいずれかの処理を行なう。
【0203】
S300~S310の処理は、以下のような処理である。
特別図柄通常処理(S300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合計保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合計保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合計保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かや小当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。また、小当りとする場合には小当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグや小当りフラグは、大当り遊技または小当り遊技が終了するときにリセットされる。
【0204】
変動パターン設定処理(S301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(変動表示時間:変動表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の変動表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をS302に対応した値(この例では2)に更新する。」
(ス)「【0227】
図34および図35は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(S300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、合算保留記憶数の値を確認する(S51)。具体的には、合算保留記憶数カウンタのカウント値を確認する。合算保留記憶数が0であれば処理を終了する。」
(セ)「【0241】
そして、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(S301)に対応した値に更新する(S76)。」
(ソ)「【0242】
図36は、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(S301)を示すフローチャートである。変動パターン設定処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否か確認する(S91)。」
(タ)「【0249】
そして、変動パターンとして、擬似連の演出を含む変動パターンを決定しているか否かを確認する(S105A)。変動パターンとして、擬似連の演出を含む変動パターンを決定しているときに、CPU56は、合算保留記憶数カウンタの値が0~3のいずれかであれば図28に示す擬似連演出パターン判定テーブル139Aを選択し、合算保留記憶数カウンタの値が4~8のいずれかであれば図29に示す擬似連演出パターン判定テーブル139Bを選択し、ランダム7を生成するためのカウンタのカウント値を抽出することによってランダム7の値を抽出する。そして、抽出したランダム7の値に基づいて、選択した擬似連演出パターン判定テーブルを参照することによって、擬似連の演出を含む変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定する(S105B)。一方、変動パターンとして、擬似連の演出を含む変動パターン以外の変動パターンを決定しているときには、このような、ランダム7の値の値に基づいた変動パターンの決定が行なわれない。」
(チ)「【0251】
次いで、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S106)。
【0252】
また、特別図柄の変動を開始する(S107)。たとえば、S33の特別図柄表示制御処理で参照される特別図柄に対応した開始フラグをセットする。また、RAM55に形成されている変動時間タイマに、選択された変動パターンに対応した変動時間に応じた値を設定する(S108)。そして、特別図柄プロセスフラグの値を表示結果特定コマンド送信処理(S302)に対応した値に更新する(S109)。」
以上の記載事項(ア)~(チ)から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる(a~hは、本願補正発明の分説A~Hに対応させている)。
(a、h)記載事項(ア)、(イ)から、パチンコ遊技機1には、識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bが備えられることが記載されている。
また、記載事項(ウ)から、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の開始条件が成立したことに基づいて開始され、表示結果(停止図柄)を導出表示すること、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示の開始条件を成立させるようにしてもよいことが、記載されている。
さらに、記載事項(ク)から、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特定の特別図柄(大当り図柄)が導出表示された場合には、遊技状態が、大当り遊技状態に制御されることが記載されている。
また、記載事項(シ)から、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する特別図柄プロセス処理(S26)のフローチャート及び内部状態に応じて、S300~S310のうちのいずれかの処理を行なうこと(【0202】)、変動パターン設定処理(S301)は特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行されること(【0204】)が記載されている。そして、記載事項(ス)、(セ)、(ソ)、(チ)から、特別図柄通常処理(S300)(【0227】)において、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(S301)に対応した値に更新(【0241】)し、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(S301)(【0242】)において、特別図柄の変動を開始する(S107)(【0252】)ことが記載されている。これらのことからすると、特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であることに応じて、特別図柄の変動を開始することが記載されている。
以上をまとめると、引用文献1には、特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であることに応じて特別図柄の変動を開始するものであり、識別情報としての第1特別図柄を変動表示し表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8aと、識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示し、表示結果(停止図柄)を導出表示する第2特別図柄表示器8bとを備え、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特定の特別図柄(大当り図柄)が導出表示された場合には、遊技状態が、大当り遊技状態に制御されるパチンコ遊技機1が、記載されている。
(b)記載事項(シ)から、特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される特別図柄通常処理(S300)において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定すること(【0203】)が、記載されている。
(c)記載事項(ケ)から、遊技状態を確変状態に制御することに決定されている場合には、大当り遊技状態が終了した後、遊技状態が確変状態に制御されることが、記載事項(コ)から、確変状態では、始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることが、記載事項(エ)から、可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になることが、それぞれ記載されており、また、記載事項(ウ)に、第2特別図柄の変動表示は、第2始動条件(遊技球が第2始動入賞口14に入賞したこと)が成立した後に、開始されることが記載されている。これらのことからすると、引用文献1には、大当り遊技状態が終了した後、始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる確変状態に制御しうることが、記載されている。
(e)記載事項(ソ)、(タ)、(チ)から、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(S301)(【0242】)において、変動パターンとして、擬似連の演出を含む変動パターンを決定しているときに、擬似連の演出を含む変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定する(S105B)こと(【0249】)、特別図柄の変動を開始する(S107)こと(【0252】)が、記載されている。
また、記載事項(オ)から、擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示であること(【0104】)、擬似連の表示演出例として(【0105】)、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、演出表示装置9において特定のキャラクタ画像が表示されること、演出図柄の1回の変動中に2回の仮停止期間が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれることが、それぞれ記載されている。
これらのことからすると、引用文献1には、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示であり、演出図柄の1回の変動中に仮停止期間が設けられ、再変動(初回変動も含む。)が行なわれる、擬似連の演出を含む変動パターンを決定し、特別図柄の変動を開始することが、記載されている。
(f)記載事項(ソ)、(チ)から、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(S301)(【0242】)において、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S106)こと(【0251】)、また、記載事項(オ)から、擬似連の表示演出がパチンコ遊技機1における演出表示装置9で実行されること(【0104】)が記載されている。
これらのことからすると、引用文献1には、決定した変動パターンに対応して、演出表示装置9で擬似連の表示演出を行うことが、記載されている。
(g)記載事項(オ)、(カ)、(キ)から、擬似連の表示演出例として(【0105】)、それぞれの再変動(初回変動も含む。)の期間中に、演出表示装置9において特定のキャラクタ画像が表示されること、演出図柄の1回の変動中に2回の仮停止期間が設けられ、3回の再変動(初回変動も含む。)が行なわれる例に限らず、仮停止の回数は、1回の場合もあってもよいし、3回以上であってもよいこと(【0108】)、また、初回変動の期間において、特定のキャラクタ画像79aが演出表示装置9において表示され、初回変動に続く再変動期間において、特定のキャラクタ画像79b(特定のキャラクタ画像79aと関連する画像であって、演出が発展したかのように遊技者に感じさせる画像)が演出表示装置9において表示されること(【0114】)が、記載されている。さらに、記載事項(サ)から、擬似連の演出パターンとして、「C・C」は、初回変動とそれに続く再変動のそれぞれにおいて再変動演出が実行され、「C・C・C」は、初回変動、それに続く再変動、およびさらに続く再変動のそれぞれにおいて再変動演出が実行されること、「C・C・C」における再変動演出C3の期間において特定のキャラクタ画像79c(図11(G)参照)が表示されることが記載されている。
これらのことからすると、引用文献1には、擬似連の表示演出として、仮停止の回数が1回の場合に、初回変動の期間において、キャラクタ画像79aが表示され、初回変動に続く再変動期間において、キャラクタ画像79b表示され、仮停止の回数が2回の場合には、初回変動、それに続く再変動にさらに続く再変動の期間において、キャラクタ画像79cが表示されることが記載されている。
以上の記載事項(ア)~(チ)及び認定事項(a)~(h)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a~hは、本願補正発明の分説A~Hに対応させて付与した)。
「a 特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であることに応じて特別図柄の変動を開始するものであり、識別情報としての第1特別図柄を変動表示し表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8aと、識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示し、表示結果(停止図柄)を導出表示する第2特別図柄表示器8bとを備え、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特定の特別図柄(大当り図柄)が導出表示された場合には、遊技状態が、大当り遊技状態に制御されるパチンコ遊技機1であって、
b 特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される特別図柄通常処理(S300)において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定し、
c 大当り遊技状態が終了した後、始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる確変状態に制御しうるものであり、
e 本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示であり、演出図柄の1回の変動中に仮停止期間が設けられ、再変動が行なわれる、擬似連の演出を含む変動パターンを決定し、特別図柄の変動を開始し、
f 決定した変動パターンに対応して、演出表示装置9で擬似連の表示演出を行い、
g 擬似連の表示演出として、仮停止の回数が1回の場合に、初回変動の期間において、キャラクタ画像79aが表示され、初回変動に続く再変動期間において、キャラクタ画像79b表示され、仮停止の回数が2回の場合には、初回変動、それに続く再変動にさらに続く再変動の期間において、キャラクタ画像79cが表示される
h パチンコ遊技機1。」
イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、「噂をズバッと!!」、パチンコ攻略マガジン2008年8月24日号、株式会社双葉社発行、発行日2008年8月24日、第141頁(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「保留の先読み機能(連続予告)に関する内規がようやく制定される模様。前号で報じた通り、特別図柄が2個(保留8個タイプ)で優先消化機能を有する場合には、「電チューサポート時及び大当たり中は、優先変動されない特別図柄(主にヘソ入賞対応の方)では、先読み演出を発生させない(正確には先読みされた情報、及びその結果得られた情報については、主制御CPUから出力しない)」というもの。」(第141頁最下段第14行~第25行)
上記記載事項(ア)から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「特別図柄が2個(保留8個タイプ)で優先消化機能を有する場合には、電チューサポート時は、優先変動されない特別図柄(主にヘソ入賞対応の方)では、先読み演出を発生させないこと」
ウ 引用文献3
周知技術の例として引用する、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、特開2009-56146号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。
(ア)「【0048】
「擬似連」の特定演出では、特別図柄や飾り図柄の可変表示を開始するための開始条件が1回成立したことに基づき、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、全部の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにて飾り図柄を仮停止表示させた後、全部の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにて飾り図柄を再び変動(擬似連続変動あるいは擬似連再変動)させる演出表示を、所定回行うことができる。一例として、「擬似連」の特定演出では、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにて、図3(A)に示す擬似連チャンス目GC1~GC8のいずれかを構成する飾り図柄が仮停止表示される。そして、擬似連続変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当り」となる割合が高くなるように設定されていればよい。これにより、遊技者は、擬似連チャンス目GC1~GC8のいずれかが仮停止表示されることにより、擬似連続変動が行われることを認識でき、擬似連続変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が当りとなることに対する期待感が高められる。この実施の形態では、「擬似連」の特定演出において、擬似連続変動が1回~4回行われることにより、開始条件が1回成立したことに基づき、飾り図柄の可変表示があたかも2回~5回続けて開始されたかのように見せることができる。以下では、開始条件が1回成立したことに基づき、飾り図柄の可変表示が開始されてから最終停止図柄が停止表示されるまでに実行される擬似連続変動の回数(例えば「1」~「4」)を擬似連中再変動回数ともいい、擬似連続変動が実行されることにより見かけ上で連続して実行される飾り図柄の変動回数(例えば「2」~「5」)を擬似連回数ともいう。すなわち、擬似連回数は、擬似連中再変動回数に「1」を加えた数値となる。
【0049】
「擬似連」の特定演出が実行される飾り図柄の可変表示中には、擬似連続変動の進行に伴って、例えば画像表示装置5の表示領域に所定のキャラクタ画像を表示することや、演出用役物31が備える複数の可動部材を動作させること、スピーカ8L、8Rから所定の音声(特別音)を出力させることといった、所定の演出動作としての擬似連演出(再変動演出)が実行される。
【0050】
一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rのいずれにおいても飾り図柄が仮停止表示されていないときに、画像表示装置5の表示領域における所定位置に、予め用意されたキャラクタ画像を表示させる演出表示(キャラクタ表示)が行われることがある。このときには、開始条件が1回成立したことに基づいて行われた擬似連続変動の回数に応じて、予め用意された複数種類のキャラクタ画像を所定の順番に従って表示させる演出表示(いわゆるステップアップ表示)が行われるようにすればよい。他の一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄が仮停止表示あるいは最終停止表示される以前に、演出用役物31が備える可動部材が所定の動作態様で動作(役物動作)することがある。このときには、開始条件が1回成立したことに基づいて行われた擬似連続変動の回数に応じて、可動部材の動作態様を異ならせる演出動作(いわゆるステップアップ動作)が行われるようにすればよい。さらに他の一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示部5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄が仮停止表示あるいは最終停止表示されたときに、スピーカ8L、8Rから特別音となる音声が出力(特別音出力)されることがある。」
エ 引用文献4
周知技術の例として引用する、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、特開2001-680号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。
(ア)「【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第一の観点にかかる遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、当該可変表示装置に表示される識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合、遊技に際して遊技者側に有利となる特定遊技状態を発生させる遊技機であって、可変表示装置に表示される識別情報の表示過程および表示結果を決定するための抽選を行う抽選手段と、抽選手段による抽選結果に基づいて、識別情報の最終的な表示結果である最終表示態様を決定する最終表示態様決定手段と、最終表示態様決定手段によって決定された最終表示態様で識別情報を停止させるまでの間、当該識別情報を所定の表示態様でいったん仮停止した後、再び変動表示を行う再変動表示を所定数回実行する再変動表示実行手段と、再変動表示実行手段によって再変動表示が実行される際、抽選手段の抽選結果に基づいて、特定遊技状態となる可能性の程度に対応付けられた期待値を表示する期待値表示手段とを備えるように構成している。」
(イ)「【0017】なお、前述した第一および第二の観点にかかる遊技機に追加して、抽選手段によって、あらかじめ定められた範囲の値から任意の値を選択的に抽出し、再変動表示実行手段によって、抽出された値に応じて再変動表示の内容を決定するように構成することが望ましい。具体的には、抽選手段による抽選結果から特定遊技状態となる可能性を示す期待値を設定する期待値設定手段と、期待値設定手段によって設定された期待値に応じて、前記再変動表示実行手段によって再変動表示を実行する回数を設定する再変動回数設定手段とを備えるようにする。これによって、例えば、特定遊技状態となる期待値が高ければ高いほど、再変動表示の回数が多くなるように設定しておくことにより、再変動表示の回数によっても大当たりとなる期待度を把握することができる。」
(ウ)「【0021】そして、表示装置上に所定種別のキャラクタ画像を所定数表示させるキャラクタ画像表示手段を備え、キャラクタ画像表示手段は、再変動回数設定手段により設定された再変動の回数に対応して、表示させるキャラクタ画像の種別または数の少なくともいずれか一方を決定することが有効である。すなわち、再変動表示の際にキャラクタ画像を表示させる場合、再変動の回数に応じて異なる種別のキャラクタ画像を表示させたり、あるいは、再変動の回数に対応する数のキャラクタ画像を表示させたりすることで、キャラクタ画像の種別または数から大当たりとなる期待度を容易に把握することができる。なお、この場合、キャラクタ画像の種別または数に限らず、再変動の回数を数字、棒グラフ、円グラフなどによって明示的に表示しても構わない。」
(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(見出しa~hは、本願補正発明の分説A~Hに対応させて付与した)。
a、h 引用発明は、特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であることに応じて特別図柄の変動を開始するものであるから、引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であること」が、本願補正発明の「開始条件が成立したこと」に相当する。また、引用発明の「識別情報としての第1特別図柄を変動表示し表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8a」及び「識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示し、表示結果(停止図柄)を導出表示する第2特別図柄表示器8b」はそれぞれ、本願補正発明の「第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段」及び「第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段」に相当する。さらに、引用発明の「第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特定の特別図柄(大当り図柄)が導出表示された場合には、遊技状態が、大当り遊技状態に制御される」ことは、本願補正発明の「前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当する。そうすると、引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であることに応じて特別図柄の変動を開始するものであり、識別情報としての第1特別図柄を変動表示し表示結果(停止図柄)を導出表示する第1特別図柄表示器8aと、識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示し、表示結果(停止図柄)を導出表示する第2特別図柄表示器8bとを備え、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて、特定の特別図柄(大当り図柄)が導出表示された場合には、遊技状態が、大当り遊技状態に制御されるパチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
b 引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される特別図柄通常処理(S300)」について、上記(3)対比aで示したように、引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値であること」が、本願補正発明の「開始条件が成立したこと」に相当することからすると、引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が0であるとき」は、「特別図柄プロセスフラグの値が変動パターン設定処理(S301)に対応した値」ではないから、本願補正発明の「前記開始条件が成立していない」ことに相当する。そして、引用発明の「第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定」することは、本願補正発明の「前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する」ことに相当する。そうすると、引用発明の「特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される特別図柄通常処理(S300)において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定」することは、本願補正発明の「前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段」に相当する。
ここで、本願補正発明の「開始条件」について付言する。本願の明細書には「開始条件が成立したこと(例えばステップS231にてYesの判定がなされたことなど)」(【0009】)との記載があり、また、出願人が提出する平成28年4月4日付けの上申書では、該上申書と同日付けの手続補正書による特許請求の範囲の補正について、「イ.「前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段」についての補正事項は、原出願の出願当初明細書の段落0226の『特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」や「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。』との記載等に基づきます。」と、説明している。
しかし、「開始条件が成立したこと」を「ステップS231にてYesの判定がなされたこと」とすると、ステップS231は「第1保留記憶数と第2保留記憶数の合計値である合計保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(図25に示すステップS231)」(【0237】)ものであり、「図25のステップS231にて合計保留記憶数が「0」である場合には(ステップS231;Yes)、所定のデモ表示設定を行ってから(ステップS256)、特別図柄通常処理を終了する。」(【0248】)と記載されていることからすると、この場合に、「開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する」ことや、「開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する」ことにはならない。
また、「開始条件が成立したこと」が「ステップS231にてNoの判定がなされたこと」であるとすると、本願補正発明の分説Bの「前記開始条件が成立していない」場合には「所定のデモ表示設定を行ってから(ステップS256)、特別図柄通常処理を終了する。」(【0248】)こととなるから、「B 前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する」ことにはならない。
さらに、「前記開始条件が成立していない」ことが、「その可変表示結果が導出表示される以前」を意味するものであるとすると、「開始条件が成立したこと」とは、「可変表示結果が導出表示され」たこととなり、本願補正発明の分説Aの「開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する」は矛盾した記載となる。
これらのことからも、引用発明と本願補正発明との対比に当り、本願補正発明の「開始条件」について、上記(3)対比a、bで示したように判断することは、妥当である。
c 引用発明の「始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる」ことが、本願補正発明の「前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすること」に相当することは明らかである。そうすると、引用発明の「大当り遊技状態が終了した後、始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる確変状態に制御しうるもの」は、本願補正発明の「前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段」に相当する。
e 引用発明において、「本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示であり、演出図柄の1回の変動中に仮停止期間が設けられ、再変動(初回変動も含む。)が行なわれる、擬似連の演出」に関して、まず、引用発明の「演出図柄の1回の変動中に仮停止期間が設けられ、再変動が行なわれる」ことは、本願補正発明の「表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する」ことに相当する。また、引用発明の「1回の変動」とは、引用発明の分説aの記載からすると、第1又は第2特別図柄を変動表示し表示結果(停止図柄)を導出表示することであるから、本願補正発明の「前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまで」に相当する。そうすると、引用発明の「本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示であり、演出図柄の1回の変動中に仮停止期間が設けられ、再変動が行なわれる、擬似連の演出を含む変動パターンを決定し、特別図柄の変動を開始」することは、本願補正発明の「前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段」に相当する。
f 引用発明の「決定した変動パターンに対応して、演出表示装置9で擬似連の表示演出を行」うことは、本願補正発明の「前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段」に相当する。
g 引用発明において、初回変動、それに続く再変動、さらに続く再変動の期間に、それぞれキャラクタ画像79a、79b、79cが表示されることは、異なる種類の表示演出を行っているものである。そうすると、引用発明における、「仮停止の回数が1回の場合」及び「仮停止の回数が2回の場合」は、それぞれ本願補正発明の「第1の種類数の演出が実行される場合」及び「該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合」であると言える。してみれば、引用発明の「擬似連の表示演出として、仮停止の回数が1回の場合に、初回変動の期間において、キャラクタ画像79aが表示され、初回変動に続く再変動期間において、キャラクタ画像79b表示され、仮停止の回数が2回の場合には、初回変動、それに続く再変動にさらに続く再変動の期間において、キャラクタ画像79cが表示される」ことは、本願補正発明の「前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、前記有利状態となる期待度が高い」ことと、「前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合と、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合がある」点で共通する。
上記a~hによれば、本願補正発明と引用発明とは、
「A 開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
C 前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段と、
E 前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段と、
F 前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段と、を備え、
G’ 前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合と、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合がある
H 遊技機。」
である点で一致し、次の2点で相違する。
相違点1 本願補正発明は「D 前記高頻度制御が実行されているときに、前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示の表示結果が前記特定表示結果となることを予告する予告演出の実行を禁止する禁止手段」を備えているのに対し、引用発明は、当該構成について特定されていない点。
相違点2 「G’ 前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合と、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合がある」ことに関し、本願補正発明では、「第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、前記有利状態となる期待度が高い」のに対し、引用発明では「有利状態となる期待度」について特定されていない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
上記(2)引用文献の記載事項 イで示した引用文献2に記載された技術的事項について、「特別図柄が2個(保留8個タイプ)で優先消化機能を有する場合」とは、特別図柄が第1特別図柄と第2特別図柄の2個あり、「優先変動されない特別図柄(主にヘソ入賞対応の方)」とあることからして、第2特別図柄の保留を優先消化するということであり、引用発明の「識別情報としての第1特別図柄を変動表示し」、「識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示」することに共通する。
また、引用文献2に記載された技術的事項の「電チューサポート時」とは、可変入賞球装置を開状態として、遊技球が入賞しやすくなることを意味することは、当業者には明らかであり、引用発明の「始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる確変状態」に共通する。
ここで、引用発明は、「識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示し、表示結果(停止図柄)を導出表示する」ものであり、「第1特別図柄」の「変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定し」たとしても、「識別情報としての第2特別図柄」が優先して変動表示され、「識別情報としての第1特別図柄」は優先されない変動表示となる。
そうすると、引用発明と、引用文献2に記載された技術的事項は、「識別情報としての第1特別図柄を変動表示し」、「識別情報としての第2特別図柄を、第2始動入賞口14への入賞を優先させて変動表示」する点、「始動入賞口14が開放しやすくなって、始動入賞が生じやすくなることで、第2特別図柄の変動表示が開始されやすくなる確変状態」となる点で共通するものであり、引用文献2に記載された技術的事項では、「電チューサポート時は、優先変動されない特別図柄(主にヘソ入賞対応の方)では、先読み演出を発生させない」としているのであるから、引用発明においても、確変状態の時は、識別情報としての第1特別図柄について、先読み演出を発生させないようなものとすることで、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。
イ 相違点2について
擬似連続変動の再変動表示を行う際に、擬似連続変動の回数に応じて、異なるキャラクタ画像を表示させる演出表示を行うこと、擬似連続変動の回数が多くなるに従って、可変表示結果が「大当たり」となる割合が高くなることは、上記(2)引用文献の記載事項 ウ及びエにて示したように、引用文献3、引用文献4に記載されるとおり、周知技術である。ここで、異なるキャラクタ画像を表示させる演出表示を行うことは、演出の種類が異なるのであるから、上記周知技術は、擬似連続変動の再変動表示を行う際に、演出表示の種類の数が多くなるにしたがって、可変表示結果が「大当たり」となる割合が高くなるものである。
そして、引用発明は、上記(3)対比gで示したとおり、「前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合と、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合がある」ものであるから、引用発明に、上記周知技術を適用し、第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、可変表示結果が「大当たり」となる割合が高くなるようにすることで、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び上記周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、
「これに対しまして、まず、引用文献1には、上記(d)の構成について、何ら開示されていません。また、引用文献1には、上記(g)の構成について、何ら開示されていません。つまり、上記(g)のように、再可変表示が実行されるときに、第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行されることについて、引用文献1には、何ら開示されていません。そのため、上記(g)のように、第2の種類数の演出が実行される場合の方が、有利状態となる期待度が高いことについても、引用文献1には、何ら開示されていません。
また、引用文献2の発明には、電チューサポート時及び大当り中において、優先変動されない方の特別図柄では、先読み演出を発生させないことが開示されているだけであり、上記(g)の構成について、何ら開示されていません。
そして、引用文献3には、図9の変動パターンからも明らかなように、再可変表示について何ら開示されていません。そのため、上記(g)の構成について、引用文献3には、何ら開示されていません。
このように、引用文献1の発明に引用文献2,3の発明を適用したとしても、本願請求項1に係る発明のように、再可変表示が実行される間において、何種類の演出が実行されるかに注目させることにより、遊技者の期待感を向上させるという顕著な効果を奏することができません。」
と主張している。
しかし、請求人が主張する(d)、(g)の点については、上記(4)判断で示したとおりであり、請求人の主張は採用できない。
(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正の却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成30年1月17日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年11月10日付け手続補正書により補正された、上記第2[理由]1で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
開始条件が成立したことに基づいて第1識別情報の可変表示を行い表示結果を導出する第1可変表示手段と、開始条件が成立したことに基づいて第2識別情報の可変表示を、前記第1可変表示手段の可変表示よりも優先して行い表示結果を導出する第2可変表示手段と、を備え、前記第1可変表示手段又は前記第2可変表示手段に特定表示結果が導出されたときに、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示の表示結果が、前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
前記有利状態終了後、前記第2識別情報の可変表示の実行頻度を高くすることが可能な高頻度制御を実行する高頻度制御実行手段と、
前記高頻度制御が実行されているときに、前記開始条件が成立していない前記第1識別情報の可変表示の表示結果が前記特定表示結果となることを予告する予告演出の実行を禁止する禁止手段と、
前記第1識別情報の可変表示又は前記第2識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに一旦仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回数実行する再可変表示実行手段と、
前記再可変表示が実行されるときに、当該再可変表示の回数に応じた演出を実行する演出実行手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由の概略
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1、2
<引用文献等一覧>
1.特開2009-136435号公報
2.噂をズバッと!!,パチンコ攻略マガジン2008年8月24日号,株式会社双葉社,2008年 8月24日,p.141
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1及び引用文献2の記載事項は、上記第2[理由]3(2)ア及びイに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願補正発明は、上記第2[理由]2で示したとおり、本願発明に対して、「演出実行手段」が実行する演出について、「前記再可変表示が実行されるときに、第1の種類数の演出が実行される場合よりも、該第1の種類数よりも多い第2の種類数の演出が実行される場合の方が、前記有利状態となる期待度が高い」と限定したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]3(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであり、上記限定に対して、上記第2[理由]3(4)イに示したとおり周知技術を適用したものであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-000604