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特許異議申立

2017-700979

照明器具及び照明システム

審判番号
2017-700979
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-004349外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年10月12日
審決日
2018年12月06日
公報発行日
2019年03月29日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.121-YAA(H05B) / P1652.536-YAA(H05B) / P1652.537-YAA(H05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6113669号発明「照明器具及び照明システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6113669号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、3〕、〔5、6〕について」)訂正することを認める。 特許第6113669号の請求項2、3、5、6に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第6113669号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成26年1月14日に出願され、平成29年3月24日にその特許権の設定登録がされ、同年4月12日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成29年10月12日  :特許異議申立人竹内佑(以下「特許異議申立 人」という。)より請求項2、3、5、6 に係る特許に対する特許異議の申立て 同年12月19日付け:取消理由通知書 平成30年 2月23日  :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 4月11日  :特許異議申立人による意見書の提出 同平 6月29日付け:訂正拒絶理由通知書 同年 8月 3日  :特許権者による意見書及び手続補正書の提出 同年 9月 5日付け:取消理由通知書 同年11月 7日  :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 平成30年11月7日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正個所) なお、平成30年2月23日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記位相制御型調光器により前記交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、」 と記載されているのを、 「インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、」 に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5に、 「前記位相制御型調光器により前記交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し、前記調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、」 と記載されているのを、 「インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。 (3)訂正前の請求項2、3は、請求項3が、訂正の請求の対象である請求項2の記載を引用する関係にあり、訂正前において一群の請求項に該当するものであるから、訂正事項1は、一群の請求項ごとに訂正請求されたものである。また、訂正前の請求項5、6は、請求項6が、訂正の請求の対象である請求項5の記載を引用する関係にあり、一群の請求項に該当するものであるるから、訂正事項2も、一群の請求項ごとに訂正請求されたものである。 2.訂正の適否 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1及び2は、訂正前の請求項2及び5に記載されていた「交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し」との構成の技術的意味が明瞭でなかったところ、願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0036】の記載内容に基いて明瞭にするものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.小括 したがって、上記訂正請求による訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔2、3〕及び〔5、6〕についての訂正を認める。 第3.本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項2、3、5、6に係る発明(以下「本件発明2、3、5、6」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項2】 スイッチを介して交流電源に接続される照明器具であって、 照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備え、 前記照明器具本体は、 ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、 前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、 インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、 を備えたことを特徴とする照明器具。 【請求項3】 照明器具本体はダウンライトとして用いられる請求項1または2に記載の照明器具。 【請求項5】 スイッチを介して交流電源に接続される照明システムであって、 複数の照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記複数の照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備え、 前記各照明器具本体は、 ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、 前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、 インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、 を備えたことを特徴とする照明システム。 【請求項6】 照明器具本体はダウンライトとして用いられる請求項4または5に記載の照明システム。 第4.取消理由の概要 1.本件発明2、3、5、6に係る特許に対して平成30年9月5日付け取消理由通知書(以下「取消理由通知書」という。)で特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 [取消理由] 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項2及び5に記載されている「前記位相制御型調光器により前記交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」における「交流電源からの入力」が、何の入力であるのか(電流なのか、電圧なのか)、不明確である。 また、「入力が遮断される領域のみ」とは、通常、入力=0の領域を意味するものと考えられるが、本件明細書の段落【0036】には「インピーダンス低下回路18は該回路18の入力電圧が予め設定された閾値電圧V2以下になると動作を開始し、閾値電圧V2を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路18を、位相制御型調光器4が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にあるときは動作を停止させることができる。」と記載され、「インピーダンス低下回路」が、V=0とは限らない閾値電圧V2以下の領域で動作を開始することが記載されている。そうすると、「入力が遮断される領域のみ」は、V=0の時、V=V2以下の時と、多義的に解釈できるため、その具体的な領域が不明確である。 第5.当審の判断 1.取消理由通知書に記載した[取消理由]について 本件訂正により、上記第2.1.の(1)及び(2)で述べたように訂正事項1及び2により、特許請求の範囲の請求項2、5の「前記位相制御型調光器により前記交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」との記載が「インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」との記載に訂正された。 上記訂正により、「インピーダンス低下回路」が「該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置され」たものであることが明らかになった。 したがって、上記[取消理由]は解消された。 2.取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第29条第2項の関係について 特許異議申立人は、証拠として、次の甲第1~14号証を提出し、以下の申立理由により、本件発明2、3、5、6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 証拠 甲第1号証:国際公開第2013/102853号 甲第2号証:特開2013-251057号公報 甲第3号証:実願昭61-27149号(実開昭62-139099号)の マイクロフィルム 甲第4号証:特開2000-100578号公報 甲第5号証:特開2006-134841号公報 甲第6号証:特開2007-227342号公報 甲第7号証:特開昭63-40202号公報 甲第8号証:登録実用新案第3177646号公報 甲第9号証:特開2013-69501号公報 甲第10号証:特開2006-24533号公報 甲第11号証:特開2009-140807号公報 甲第12号証:特開2010-33806号公報 甲第13号証:国際公開第2010/143362号 甲第14号証:特開2010-192228号公報 申立理由 本件発明2及び5は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び甲第3~13号証に記載の周知技術とに基いて、本件発明3及び6は、甲第1号証又は甲2号証に記載された発明、甲第3~13号証に記載の周知技術及び甲第14号証に記載された事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ア.各甲号証の記載事項等 (ア)甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 なお、申立人が提出した甲第1号証の部分訳文を参考にした訳文を()内に示す。また、下線は当審で付した。以下同様。 (ア-1)1ページ3行~5行 「The present invention relates to an electrical device for compensating an effect of an electrical current of a load and a corresponding method for compensating an effect of an electrical current of a load, in particular an LED unit comprising one or more LEDs. 」 (本発明は、負荷、特にはLEDユニットの電流の影響を補償する電気装置及び対応する方法に関する。) (ア-2)1ページ19行~21行 「The driver circuits should comply with all kinds of dimmers and especially the drivers should comply with phase-cut dimmers, which are preferably used to regulate the mains power with low power loss. 」 (ドライバ回路は全ての種類の調光器に対応しなければならず、特に該ドライバは好ましくは低電力損失で主電源を調整するために使用する位相カット調光器に対応しなけらばならない。) (ア-3)7ページ3行~9行 「The dimmer device 10 comprises a triac 16 for connecting the external voltage supply 12 to the load 14. Parallel to the triac a timing circuit 18 is connected. The timing circuit 18 comprises a timing capacitor 20, a variable resistor 22 and a diac 24, which is connected to the triac 16. The voltage of the timing capacitor 20 is provided to the diac 24 which switches the triac 16. When the charge of the timing capacitor 20 reaches a predefined level, the diac 24 is switched off and the supply voltage V10 is provided to the load 14. When the triac 16 is switched off, the supply voltage V10 is provided to the timing circuit 18. 」 (調光装置10は、外部電圧源12を負荷14に接続するトライアック16を有している。該トライアックと並列にタイミング回路18が接続されている。該タイミング回路18は、タイミングコンデンサ20、可変抵抗22、及びトライアック16に接続されたダイアック24を有している。タイミングコンデンサ20の電圧は、トライアック16を切り換えるダイアック24に供給される。該タイミングコンデンサ20の電荷が所定のレベルに達すると、ダイアック24はオンされ、電源電圧V10が負荷14に供給される。トライアック16がオフされると、電源電圧V10はタイミング回路18に供給される。) (ア-4)8ページ26行~9ページ6行 「In Fig. 3 an embodiment of an electrical device is schematically shown and generally denoted by 30. The electrical device 30 is schematically shown integrated in an electrical circuit. The electrical device 30 is connected to the dimmer device 10 and receives the input voltage V12 from the dimmer device 10. The external voltage supply 12 provides the supply voltage V10 to the dimmer device 10. The electrical device 30 is also directly connected to the external voltage supply 12 or connected to neutral. The electrical device 30 is connected to a load 34 which is formed of a driver device for driving an LED 32. The load current I1 is provided from the dimmer device 10 through the electrical device 30 to the load 34 and the driver device provides a drive current to the LED 32. The drive current may be different from the load current I1 . The load 34 is also connected to the external voltage supply 12 or to neutral. A current I2 is exchanged with the dimmer device 10. The electrical device 30 adds a compensation current I3 (of potentially variable amplitude and polarity) to the current I2, which is exchanged with the dimmer device 10 during certain time intervals to compensate a leakage current of the load 34 in at least one different point in time as described below. 」 (図3には、電気装置の一実施形態が概略図示され、全体として符号30で示されている。該電気装置30は電気回路内に組み込まれた状態で示されている。電気装置30は調光装置10に接続され、該調光装置10から入力電圧V12を入力する。外部電圧源12が調光装置10に電源電圧V10を供給する。電気装置30も外部電圧源12に直接接続されるか、又は中立点に接続されている。電気装置30は、LED32を駆動するドライバ装置から形成された負荷34に接続されている。負荷電流I1は調光装置10から電気装置30を介して負荷34に供給され、上記ドライバ装置は駆動電流をLED32に供給する。該駆動電流は負荷電流I1とは相違することができる。負荷34も前記外部電圧源12に接続されるか又は中立点に接続される。電流I2が調光装置10と交換される。電気装置30は該電流I2に補償電流I3(潜在的に可変振幅及び極性の)を加算し、該電流I2は、以下に説明するように少なくとも1つの異なる時点における負荷34の漏れ電流を補償するために特定の期間において調光装置10と交換される。) (ア-5)9ページ31行~10ページ16行 「As described above, the zero crossing tz of the supply voltage V10 is detected by the electrical device 30 and the electrical device 30 switches from the high impedance disconnection-phase Tdisc to a low impedance state, the off-state T0ff to start the charging of the timing capacitor 20. Since the residual voltage in the capacitor 20 has a different polarity than the final charging stage during the following charging period, initially the voltage across the timing capacitor 20 decreases. This is the intended operation. As mentioned above, the leakage current during the disconnection-phase Tdisc increases the voltage across a timing capacitor 20, so that the charging into the one direction starts at a too high level and will hence take longer than without the leakage current. To compensate the charge accumulated in the timing capacitor 20 by the leakage current, the electrical device 30 switches from the high impedance state to the low impedance state at ti slightly before the detected zero crossing tz. Since the input voltage V12 at ti is lower than the voltage across the timing capacitor 20, the timing capacitor 20 can be discharged earlier during a time interval TDC and the decrease of the timing capacitor voltage starts earlier so that the error due to the leakage current can be compensated. The electrical device 30 determines the switching point ti dependent on the measured leakage current to compensate the effect of the leakage current accordingly. Since the possible shift of the switching point ti is limited due to the relation of the value of the supply voltage V10 to the value of the (residual) voltage in the timing capacitor 20, this compensation method is preferably used for single lamp systems which have a low leakage current. 」 (前述したように、電源電圧V10の零交差tzは電気装置30により検出され、該電気装置30はタイミングコンデンサ20の充電を開始するために高インピーダンスの切断フェーズTdiscから低インピーダンス状態、オフ状態Toffに切り換える。コンデンサ20における残留電圧は後続の充電期間における最終充電段階とは異なる極性を有するので、タイミングコンデンサ20の間の電圧は、最初は減少する。これは、意図する動作である。前述したように、切断フェーズTdiscの間の漏れ電流はタイミングコンデンサ20の間の電圧を増加させるので、一方向への充電は過度に高いレベルで開始し、従って漏れ電流がない場合よりも長い時間が掛かる。漏れ電流によるタイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するために、電気装置30は、検出される零交差tzよりも僅かに前のt1において高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ切り換える。t1における入力電圧V12はタイミングコンデンサ20の間の電圧よりも低いので、該タイミングコンデンサ20は期間TDCの間に一層早く放電され得、該タイミングコンデンサの電圧の減少は一層早く開始するので上記漏れ電流による誤差を相殺することができる。電気装置30は測定された漏れ電流に依存して切り換え時点t1を決定し、それに応じて上記漏れ電流の影響を補償することができる。切り換え時点t1の可能な移動は、タイミングコンデンサ20内の(残存)電圧の値に対する電源電圧V10の値の関係により制限されるので、この補償方法は、好ましくは、小さな漏れ電流を有する単一ランプシステムのために使用されるものとする。) (ア-6)記載事項(ア-3)の記載内容及び図3を参酌すると、外部電圧源12に接続される調光装置10、電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置から形成された負荷34とを備える照明装置が開示されているといえる。 以上の記載事項から、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「外部電圧源12に接続される調光装置10、電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置から形成された負荷34とを備える照明装置であって、 調光装置10は、外部電圧源12を負荷34に接続するトライアック16を有し、該トライアック16と並列にタイミング回路18が接続され、該タイミング回路18は、タイミングコンデンサ20、可変抵抗22、及びトライアック16に接続されたダイアック24を有するものであり、 漏れ電流によるタイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するために、電気装置30は、検出される零交差tzよりも僅かに前のt1において高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ切り換える照明装置。」 (イ)甲第2号証の記載事項及び甲第2号証に記載された発明 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 (イ-1)「【請求項1】 トライアックを有する位相制御式の調光器により位相制御された交流電圧を整流回路により整流すると共にその整流した電圧を直流電圧に変換して出力する一方、前記整流回路の出力側に、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子および第1の抵抗を含む保持電流回路を接続し、前記第1のスイッチング素子をオンにして前記トライアックのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗を経由する電流通路に流すようにした電源装置であって、 前記整流回路の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を越えると前記電流通路を遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記電流通路を導通状態とする電圧検出・電流遮断手段を付加したことを特徴とする電源装置。」 (イ-2)「【0001】 本発明は、位相制御式の調光器により調光を行う照明用電源装置に関し、より詳しくは、発光ダイオード(LED)を用いた照明装置における調光を制御することが可能な照明用電源装置に関するものである。」 (イ-3)「【0003】 そして、本発明者は、かかる照明用電源装置を鋭意研究している。図2は、従来の照明用電源装置の回路図である。以下、図2を参照して、この照明用電源装置を説明すると、10は交流電源、20は、照明用電源装置、30はLEDモジュールである。 【0004】 照明用電源装置20は、交流電源10が接続される入力端子IN1,IN2と、LEDモジュール30が接続される出力端子OUT1,OUT2と、を備える。照明用電源装置20は、入力端子IN1,IN2と出力端子OUT1,OUT2との間に、調光器21と、整流回路22と、保持電流回路23と、平滑回路24と、DC/DCコンバータ25と、を備える。 【0005】 調光器21は、交流電源10の交流電圧を位相制御するものであり、位相制御素子であるトライアック(双方向サイリスタ)21aと、トライアック21aのゲート端子にトリガ信号を出力する位相制御回路21bと、可変抵抗からなる調光調節手段21cとを備える。位相制御回路21bは、例えば交流電圧のゼロクロスを基準にして所定のタイミングで一定の周期毎にトリガ信号を出力する。整流回路22は、ダイオードブリッジからなるもので、調光器21で位相制御された交流電圧を全波整流する。」 (イ-4)「【0019】 本発明においては、高価なICを用いないことで製造コストを低減しかつ必要時にのみトライアックに保持電流を流すことでトライアックの誤動作の防止と共に保持電流回路内のスイッチング素子の電力損失の増大および規格外への温度上昇を抑制した照明用電源装置を提供することを解決すべき課題としている。」 (イ-5)「【0032】 20Aは実施形態の照明用電源装置であり、この照明用電源装置20Aは、従来の照明用電源装置20と同様に、調光器21と、整流回路22と、保持電流回路23と、平滑回路24と、DC/DCコンバータ25と、を備える。これら各部21~25の詳細な説明は上記したので、ここではその説明は略する。 【0033】 実施形態の照明用電源装置20Aは、従来の照明用電源装置20に対して、以下に説明する電圧検出・電流遮断回路26を付加した、ことを特徴とする。 【0034】 電圧検出・電流遮断手段26は、整流回路22の出力側Aからの入力電圧を検出する電圧検出回路26aと、電圧検出回路26aの検出が、前記入力電圧が一定電圧を超える検出であるときは、保持電流回路23内の電流通路Pを遮断してスイッチング素子Q1および抵抗R2に電流が流れないようにし、前記入力電圧が一定電圧以下に低くなる検出であるときは前記電流通路Pを開放してスイッチング素子Q1および抵抗R2に電流が流れるようにする電流遮断回路26bとを含む。 【0035】 電圧検出回路26aは、整流回路22の出力側Aと接地ラインとの間にツェナーダイオードD5および抵抗R8,R9がこの順で直列に接続された回路を含む。ツェナーダイオードD5においては、そのカソードは前記出力側Aに、そのアノードは前記抵抗R8に接続されている。 【0036】 尚、電圧検出回路26aにおいて、ツェナーダイオードD5は必須ではなく、省略してもよい。また、実施形態では直列に接続された複数の抵抗として抵抗R8,R9を示したが、これに限定されず、一部に抵抗を並列接続したものを含んでもよい。 【0037】 電流遮断回路26bは、電圧検出回路26aの前記抵抗R8,R9同士の接続ノードBにベースが接続されたスイッチング素子としてのトランジスタQ3と、トランジスタQ3のコレクタ・エミッタ間に並列で互いに直列接続された抵抗R10,R11と、抵抗R10,R11同士の接続ノードCにベースが接続されたスイッチング素子としてのトランジスタQ4と、制御回路25aに電源を供給するためのダイオードD3のカソードとトランジスタQ3のコレクタとの間に接続された抵抗R12と、を備える。なお、トランジスタQ3,Q4はバイポーラトランジスタであるが、これらトランジスタQ3,Q4はMOSFETに置き換えてもよいし、それ以外のトランジスタに置き換えてもよい。 【0038】 電圧検出・電流遮断手段26の動作を説明すると、電圧検出回路26aにおいて、整流回路22の出力側Aの電圧が一定電圧を超えると、ツェナーダイオードD5が導通すると共に、抵抗R8,R9同士の接続ノードBには、電流遮断回路26bのトランジスタQ3をオンにする高い電圧が発生する。また、電流遮断回路26bにおいては、前記接続ノードBに前記高い電圧が発生すると、トランジスタQ3がオンする。トランジスタQ3がオンすると、抵抗R10,R11同士の接続ノードCには、トランジスタQ4をオンにする電圧が発生しないので、当該トランジスタQ4はオフする。これにより、保持電流回路23の抵抗R2を経由して接地ラインに至る電流通路Pが遮断されて、抵抗R2には保持電流が流れない。 【0039】 一方、交流電源10の交流電圧がゼロクロス付近へと低下していき、これに対応して、整流回路22の出力側Aの電圧が一定電圧以下に低下すると、電圧検出回路26aにおいては、ツェナーダイオードD5が非導通となり、抵抗R8,R9同士の接続ノードBの電圧が低下する。そして、電流遮断回路26bにおいては、前記接続ノードBの電圧が低下すると、トランジスタQ3がオフする。トランジスタQ3がオフすると、抵抗R10,R11には抵抗R12を介して電流が流れ、この電流により、抵抗R10,R11同士の接続ノードCには、トランジスタQ4をオンにする電圧が発生し、当該トランジスタQ4はオンする。これにより、保持電流回路23の抵抗R2を経由して接地ラインに至る電流通路Pが導通状態とされて、抵抗R2に保持電流が流れるようになる。」 (イ-6)記載事項(イ-2)の「発光ダイオード(LED)を用いた照明装置における調光を制御することが可能な照明用電源装置に関するものである。」との記載、記載事項(イ-3)の段落【0003】及び記載事項(イ-5)の段落【0032】の記載内容並びに【図1】を参酌すると、調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する発光ダイオードモジュール30を用いた照明装置が記載されているといえる。 以上の記載事項から、甲第2号証には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する発光ダイオードモジュール30を用いた照明装置であって、 トライアック21aを有する位相制御式の調光器21により位相制御された交流電圧を整流回路22により整流すると共にその整流した電圧を直流電圧に変換して出力する一方、前記整流回路22の出力側に、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子Q1および第1の抵抗R2を含む保持電流回路23を接続し、前記第1のスイッチング素子Q1をオンにして前記トライアック21aのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗R2を経由する電流通路Pに流すようにした電源装置20Aであって、 前記整流回路22の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を越えると前記電流通路Pを遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記電流通路Pを導通状態とする電圧検出・電流遮断手段26を付加した調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する発光ダイオードモジュール30を用いた照明装置。」 (ウ)甲第3号証~甲第13号証には、ユーザーにより、スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段とを有する照明装置が記載されている。 (エ)甲第14号証の段落【0031】の記載内容及び【図2】の図示内容から、照明装置100をダウンライトとして用いることが示されている。 イ.当審の判断 (ア)甲第1号証を主たる証拠とする場合 (ア-1)本件発明2 a.対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 (a)後者の「外部電圧源12」は図2及び5に示された波形から交流電源に接続されていることは明らかであるから、後者の「外部電圧源12に接続される」「照明装置」と、前者の「スイッチを介して交流電源に接続される照明器具」とは、「交流電源に接続される照明器具」の限度で共通する。 (b)前者の「照明器具本体」は、本件明細書の段落【0026】の記載内容及び【図1】の図示内容から、「位相制御型調光器」の下流側から光源に至るまでの構成を総称しているものと認められるから、後者の「電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置から形成された負荷34」は前者の「照明器具本体」に相当するといえる。また、後者の「外部電圧源12を負荷14に接続するトライアック16を有し、該トライアックと並列にタイミング回路18が接続され、該タイミング回路18は、タイミングコンデンサ20、可変抵抗22、及びトライアック16に接続されたダイアック24を有」する「調光装置10」は、甲第1号証の記載事項(ア-2)の「位相カット調光器に対応しなけらばならない。」との記載を併せみると、前者の「前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」に相当する。 以上によれば、本件発明2と甲1発明とは、 「交流電源に接続される照明器具であって、 照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備えた照明器具。」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 「照明器具本体」に関し、 本件発明2は、「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、を備えた」ものであるのに対し、 甲1発明は、「スイッチ」が特定されておらず、「プルレス操作」に係る「判定手段」及び「制御手段」が特定がなく、「漏れ電流によるタイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するために、電気装置30は、検出される零交差tzよりも僅かに前のt1において高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ切り換える」構成を有する点。 b.判断 相違点について検討する。 本件発明2の「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」は、「脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて」、つまり「位相制御型調光器」の下流側に配置されて、「該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始」し、「漏れ電圧を吸収する」ものであり、本件明細書の段落【0034】に記載されているように位相制御型調光器4からの漏れ電圧をインピーダンス低下回路18で吸収することで、監視電圧V0に対する漏れ電圧の影響を抑制し、監視電圧V0がスイッチ3によるプルレス操作のオフ時の電圧に対応する一定電圧V1以下になったタイミングやスイッチ3のオフ時間の検出をばらつき無く精度良く行えるようにするものである。 他方、甲1発明の「漏れ電流によるタイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するために、電気装置30は、検出される零交差tzよりも僅かに前のt1において高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ切り換える」との構成は、甲第1号証の記載事項(ア-5)の記載内容によると、コンデンサ20における残留電圧は後続の充電期間における最終充電段階とは異なる極性を有するので、漏れ電流がない場合よりも長い時間が掛かるという知見から、タイミングコンデンサ20内に蓄積された電荷を補償するための時刻t1を設定し、タイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するものであるから、本件発明2のように「予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始」するものでもないし、「漏れ電圧を吸収する」との機能を果たすものともいえないので、本件発明2の「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」とは、その構成及び機能において相違するものである。 また、甲第3号証~甲第13号証は、上記相違点に係る本件発明2の「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と」を備える構成に相当する構成が周知技術であることを示す文献であるから、甲1発明において、本件発明2の当該「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」を備える構成に変更する契機にはならない。 したがって、上記相違点に係る本件発明2の構成は容易想到とはいえないものであるから、本件発明2は甲1発明及び甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ア-2)本件発明3 本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。また、甲第14号証は、照明装置をダウンライトとして用いることが示されていることに留まるものであるから、本件発明3は、本件発明2と同様に、甲1発明、甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術、及び甲第14号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ア-3)本件発明5 a.対比 本件発明5と甲1発明とを対比する。 (a)後者の「外部電圧源12」は図2及び5に示された波形から交流電源に接続されていることは明らかであるから、後者の「外部電圧源12に接続される」「照明装置」と、前者の「スイッチを介して交流電源に接続される照明システム」とは、「交流電源に接続される照明システム」の限度で共通する。 (b)前者の「照明器具本体」は、本件明細書の段落【0026】の記載内容及び【図1】の図示内容から、「位相制御型調光器」の下流側から光源に至るまでの構成を総称しているものと認められるから、後者の「電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置から形成された負荷34」と、前者の「複数の照明器具本体」とは、「照明器具本体」の限度で共通するといえる。また、後者の「外部電圧源12を負荷14に接続するトライアック16を有し、該トライアックと並列にタイミング回路18が接続され、該タイミング回路18は、タイミングコンデンサ20、可変抵抗22、及びトライアック16に接続されたダイアック24を有」する「調光装置10」は、甲第1号証の記載事項(ア-2)の「位相カット調光器に対応しなけらばならない。」との記載を併せみると、前者の「前記交流電源の位相を制御して前記複数の照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」との対比において、「前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」の限度で共通する。 以上によれば、本件発明5と甲1発明とは、 「交流電源に接続される照明システムであって、 照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備えた照明システム。」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明5は、「複数の」照明器具本体であり、「前記複数の」照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器であるのに対し、 甲1発明は、本件発明5の「照明器具本体」に相当する「電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置とから形成された負荷34」が複数であること、及び該複数の「電気装置30、及びLED32を駆動するドライバ装置とから形成された負荷34」の調光を行う「調光装置10」であることの特定がない点。 <相違点2> 「照明器具本体」に関し、 本件発明5は、「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、を備えた」ものであるのに対し、 甲1発明は、「スイッチ」が特定されておらず、「プルレス操作」に係る「判定手段」及び「制御手段」が特定がなく、「漏れ電流によるタイミングコンデンサ20に蓄積された電荷を補償するために、電気装置30は、検出される零交差tzよりも僅かに前のt1において高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ切り換える」構成を有する点。 b.判断 事案に鑑み相違点2について検討する。 相違点2は、上記(ア-1)a.で検討した相違点と同じであるから、上記(ア-1)b.で記載した理由により、上記相違点2に係る本件発明5の構成は容易想到とはいえないものであるから、本件発明5は甲1発明及び甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ア-4)本件発明6 本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。また、甲第14号証は、照明装置をダウンライトとして用いることが示されていることに留まるものであるから、本件発明6は、本件発明5と同様に、甲1発明、甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術、及び甲第14号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)甲第2号証を主たる証拠とする場合 (イ-1)本件発明2 a.対比 本件発明2と甲2発明とを対比する。 (a)後者は「交流電圧を整流回路22により整流すると共にその整流した電圧を直流電圧に変換して出力する」ものであり、照明装置は交流電源に接続されていることは明らかであるから、後者の「調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する発光ダイオードモジュール30を用いた照明装置」と、前者の「スイッチを介して交流電源に接続される照明器具」とは、「交流電源に接続される照明器具」の限度で共通する。 (b)前者の「照明器具本体」は、本件明細書の段落【0026】の記載内容及び【図1】の図示内容から、「位相制御型調光器」の下流側から光源に至るまでの構成を総称しているものと認められるから、後者の「照明用電源装置20A」のうち「整流回路22」、「保持電流回路23」、「電流通路P」、「電圧検出・電流遮断手段26」及び「発光ダイオードモジュール30」を合わせたものは前者の「照明器具本体」に相当するといえる。 (c)上記(a)及び(b)を踏まえると、後者の「トライアック21aを有する位相制御式の調光器21」は前者の「前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」に相当する。 以上によれば、本件発明2と甲2発明とは、 「交流電源に接続される照明器具であって、 照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備えた照明器具。」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点A> 「照明器具本体」に関し、 本件発明2は、「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、を備えた」ものであるのに対し、 甲2発明は、「スイッチ」が特定されておらず、「プルレス操作」に係る「判定手段」及び「制御手段」が特定がなく、「前記整流回路22の出力側に、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子Q1および第1の抵抗R2を含む保持電流回路23を接続し、前記第1のスイッチング素子Q1をオンにして前記トライアック21aのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗R2を経由する電流通路Pに流すようにした電源装置20Aであって、前記整流回路22の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を越えると前記電流通路Pを遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記電流通路Pを導通状態とする電圧検出・電流遮断手段26を付加した調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する」点。 b.判断 相違点Aについて検討する。 本件発明2の「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」は、「脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて」、つまり「位相制御型調光器」の下流側に配置されて、「予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始」し、「漏れ電圧を吸収する」ものであり、本件明細書の段落【0034】に記載されているように位相制御型調光器4からの漏れ電圧をインピーダンス低下回路18で吸収することで、監視電圧V0に対する漏れ電圧の影響を抑制し、監視電圧V0がスイッチ3によるプルレス操作のオフ時の電圧に対応する一定電圧V1以下になったタイミングやスイッチ3のオフ時間の検出をばらつき無く精度良く行えるようにするものである。 他方、甲2発明の「前記整流回路22の出力側に、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子Q1および第1の抵抗R2を含む保持電流回路23を接続し、前記第1のスイッチング素子Q1をオンにして前記トライアック21aのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗R2を経由する電流通路Pに流すようにした電源装置20Aであって、前記整流回路22の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を越えると前記電流通路Pを遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記電流通路Pを導通状態とする電圧検出・電流遮断手段26を付加した調光を制御することが可能な照明用電源装置20A」は、整流回路22の出力側の入力電圧が一定電圧以下に低下すると電流通路Pを導通状態とし、トライアック21aのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗R2を経由する電流通路Pに流すものであり、本件発明2のように位相制御型調光器4からの漏れ電圧を吸収するものではないから、本件発明2の「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」とはその構成及び機能において相違するものである。 また、甲第3号証~甲第13号証は、上記相違点Aに係る本件発明2の「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と」を備える構成に相当する構成が周知技術であることを示す文献であるから、甲2発明において、本件発明2の当該「漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路」を備える構成に変更する契機にはならない。 したがって、上記相違点に係る本件発明2の構成は容易想到とはいえないものであるから、本件発明2は甲2発明及び甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ-2)本件発明3 本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。また、甲第14号証は、照明装置をダウンライトとして用いることが示されていることに留まるものであるから、本件発明3は、本件発明2と同様に、甲2発明、甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術、及び甲第14号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ-3)本件発明5 a.対比 (a)後者は「交流電圧を整流回路22により整流すると共にその整流した電圧を直流電圧に変換して出力する」ものであり、照明装置は交流電源に接続されていることは明らかであるから、後者の「調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する発光ダイオードモジュール30を用いた照明装置」と、前者の「スイッチを介して交流電源に接続される照明システム」とは、「交流電源に接続される照明システム」の限度で共通する。 (b)前者の「照明器具本体」は、本件明細書の段落【0026】の記載内容及び【図1】の図示内容から、「位相制御型調光器」の下流側から光源に至るまでの構成を総称しているものと認められるから、後者の「照明用電源装置20A」のうち「整流回路22」、「保持電流回路23」、「電流通路P」、「電圧検出・電流遮断手段26」及び「発光ダイオードモジュール30」を合わせたものは前者の「複数の照明器具本体」との対比において、「照明器具本体」の限度で共通する。 (c)上記(a)及び(b)を踏まえると、後者の「トライアック21aを有する位相制御式の調光器21」と前者の「前記交流電源の位相を制御して前記複数の照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」とは、「前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器」の限度で共通する。 以上によれば、本件発明2と甲2発明とは、 「交流電源に接続される照明システムであって、 照明器具本体と、前記交流電源の位相を制御して前記照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器とを備えた照明システム。」の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点B> 本件発明5は、「複数の」照明器具本体であり、「前記複数の」照明器具本体の調光を行う位相制御型調光器であるのに対し、 甲1発明は、本件発明5の「照明器具本体」に相当する「照明用電源装置20A」のうち「整流回路22」、「保持電流回路23」、「電流通路P」、「電圧検出・電流遮断手段26」及び「発光ダイオードモジュール30」を合わせたものが複数あること、及び複数の照明器具本体の調光を行う「調光器21」であることの特定がない点。 <相違点C> 「照明器具本体」に関し、 本件発明5は、「スイッチを介して」交流電源に接続される照明器具であり、「ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、インピーダンス低下回路であって、該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置されて、前記位相制御型調光器からの漏れ電圧を吸収するためのインピーダンス低下回路と、を備えた」ものであるのに対し、 甲2発明は、「スイッチ」が特定されておらず、「プルレス操作」に係る「判定手段」及び「制御手段」が特定がなく、「前記整流回路22の出力側に、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子Q1および第1の抵抗R2を含む保持電流回路23を接続し、前記第1のスイッチング素子Q1をオンにして前記トライアック21aのオン状態を維持させるための保持電流を第1の抵抗R2を経由する電流通路Pに流すようにした電源装置20Aであって、前記整流回路22の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を越えると前記電流通路Pを遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記電流通路Pを導通状態とする電圧検出・電流遮断手段26を付加した調光を制御することが可能な照明用電源装置20Aを有する」点。 b.判断 事案に鑑み相違点Cについて検討する。 相違点Cは、上記(イ-1)a.で検討した相違点Aと同じであるから、上記(イ-1)b.で記載した理由により、上記相違点Cに係る本件発明5の構成は容易想到とはいえないものであるから、本件発明5は甲2発明及び甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ-4)本件発明6 本件発明6は、本件発明5の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものである。また、甲第14号証は、照明装置をダウンライトとして用いることが示されていることに留まるものであるから、本件発明6は、本件発明5と同様に、甲2発明、甲第3号証~甲第13号証に記載の周知技術、及び甲第14号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)特許法第36条の関係について 特許異議申立人は、特許異議申立書のなかで、概ね、本件発明2、3、5、6に記載されている「交流電源からの入力が遮断される領域のみで動作し」に関し、「交流電源からの入力」として電圧と電流が考えられるところ、本件特許の発明の詳細な説明においては「入力電圧」の態様しか記載されていないことから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないこと、及び、本件明細書の段落【0036】の記載内容を参酌しても、当業者が「遮断される領域のみで動作」することが実施できないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないことを主張している。 しかしながら、上記第5.1.で検討したように、本件訂正により、「インピーダンス低下回路」が「該回路の入力電圧が予め設定された閾値電圧以下になると動作を開始し、閾値電圧を超えて入力電圧が上昇すると動作が停止する構成となっており、これによりインピーダンス低下回路を、位相制御型調光器が入力遮断領域にあるときにのみ動作させ、入力遮断領域にないときは動作を停止させることができ、脈流を直流電圧へ変換する変換部の上流側に配置され」たものであることが明らかになったので、本件発明2、3、5、6は、特許法第36条第6項第1号及び、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。 したがって、特許異議申立書人の主張する取消理由で取り消すことはできない。 第6.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2、3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2、3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

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2017-700979

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