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特許異議申立

2017-700786

流体殺菌装置

審判番号
2017-700786
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-239469外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月14日
審決日
2018年04月12日
公報発行日
2018年07月27日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A61L) / P1651.121-YAA(A61L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6080937号発明「流体殺菌装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6080937号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正することを認める。 特許第6080937号の請求項1~12に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6080937号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成27年12月8日の出願であって、平成29年1月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年8月14日に特許異議申立人小園祐子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年10月25日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年12月18日に意見書及び訂正請求書の提出がされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成30年2月9日に意見書(以下、「特許異議申立人意見書」という。)が提出され、平成30年2月26日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成30年3月23日に意見書の提出及び訂正請求書に対する手続補正がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 平成30年3月23日付けで手続補正された訂正請求書による訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正事項2、5、7及び10は、補正により削除された。また、下線部が訂正箇所である。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通することを特徴とする流体殺菌装置。」を 「前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭いことを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。 (2)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8の 「前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする請求項7に記載の流体殺菌装置。」を、 「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。 (3)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9の 「前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。」を、 「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする流体殺菌装置。」に訂正する。 (4)訂正事項6 明細書の段落【0006】を 「【0006】 上記課題を解決するために、本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。隙間の通水断面積は、整流室および処理流路の通水断面積よりも狭い。」に訂正する。 (5)訂正事項8 明細書の段落【0014】を 「【0014】 本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成され、筐体は、流路管よりも紫外光の反射率が低い材料で構成される。」に訂正する。 (6)訂正事項9 明細書の段落【0015】を 「【0015】 本発明のある態様の流体殺菌装置は、第1端部と第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、第1端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて第1端部から軸方向に紫外光を照射する光源と、第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備える。整流室は、処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、第1端部と、第1端部と軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して処理流路と連通する。流路管は、第1端部から径方向内側に突出する突出部を有する。」に訂正する。 2 訂正要件の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「隙間」について、その通水断面積が、整流室および処理流路の通水断面積よりも狭いことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の発明の詳細な説明には、「第1隙間15は、例えば、処理流路12や第1整流室13の通水断面積よりも狭くなるように形成される。」(段落【0031】)と記載されているから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、新規事項の追加に該当しない。 また、訂正事項1は、「隙間」の通水断面積を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載が請求項1から6のいずれか一項の記載を引用する請求項7を引用するものであったものを、請求項1を引用する請求項7を引用するものについて、その引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 そして、訂正事項3は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項9の記載が請求項1から8のいずれか一項の記載を引用するものであったものを、請求項1を引用するものについて、その引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項6、8及び9について 訂正事項6、8及び9は、訂正事項1、3及び4に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして、訂正事項6、8及び9は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項2~12が、訂正前の請求項1を引用するものであるから、訂正事項1、3及び4の特許請求の範囲の訂正は、一群の請求項1~12について請求されたものである。また、訂正事項6、8及び9の明細書の訂正は、この一群の請求項の全てについて請求されたものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項~第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~12〕について訂正を認める。 第3 特許異議申立について 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~12に係る発明(以下、「本件発明1~12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。 【請求項1】 第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、 前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭いことを特徴とする流体殺菌装置。 【請求項2】 前記対向部材の少なくとも一部は、前記光源からの紫外光を透過させる材料で構成され、 前記光源は、前記筐体と前記対向部材とにより区画される光源室内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。 【請求項3】 前記対向部材は、前記隙間の前記軸方向の寸法が前記第1端部の全周にわたって一定となるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体殺菌装置。 【請求項4】 前記流通口に接続される接続管をさらに備え、 前記接続管は、前記隙間から前記流通口に向かう方向と交差する方向に延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項5】 前記流通口は、前記隙間から前記軸方向にずれた位置に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項6】 前記整流室は、前記流路管の外側において前記第1端部から前記第2端部に向けて軸方向に延在する区間を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項7】 前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項8】 第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、 前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、 前記流路管は、前記光源からの紫外光を反射する材料で構成され、 前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成されることを特徴とする流体殺菌装置。 【請求項9】 第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う整流室を区画する筐体と、を備え、 前記整流室は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通し、 前記流路管は、前記第1端部から径方向内側に突出する突出部を有することを特徴とする流体殺菌装置。 【請求項10】 前記光源は、紫外光を発する少なくとも一つの発光素子を有し、前記軸方向と直交する前記処理流路の断面において中央付近の紫外光強度がその周囲の紫外光強度よりも高い強度分布となるように紫外光を照射することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項11】 前記光源は、前記光源から出力される指向角半値幅の範囲内の紫外光の全てが前記流路管の内部に入射されるように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 【請求項12】 前記処理流路を流れる流体を整流するための整流板をさらに備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。 2 取消理由及び特許異議申立理由の概要 (1)訂正前の請求項1~3、5~7、10~12に係る特許に対して、平成29年10月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 ア 請求項1、3、5~7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、請求項1、3、5~7に係る特許は、取り消されるべきものである。 イ 請求項1~3、5~7、10~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項1~3、5~7、10~12に係る特許は、取り消されるべきものである。 (甲号証一覧) 甲第1号証:特表2005-506180号公報 甲第2号証:国際公開第2015/069680号 甲第3号証:特開2014-76422号公報 甲第4号証:実願平2-98489号(実開平4-55353号)のマイクロフィルム 甲第5号証:東京農工大学2013年1月10日[記者発表]における記者会見配布資料(「世界トップレベルの高性能深紫外線発光ダイオード(LED)の作製に成功」と題する書面、1~21頁) なお、平成30年2月26日付けの取消理由(決定の予告)で通知した取消理由は、平成30年3月23日付けで手続補正する前の訂正の請求により、請求項1の記載を引用しないものとなった請求項11及びこれを引用する請求項12に係る発明に対して、その進歩性を否定する取消理由である。しかしながら、同手続補正によって、請求項11の記載を請求項1の記載を引用しないものとする訂正事項5が削除されたため、この取消理由は解消している。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は次のとおりである。 ア 請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、並びに、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項4に係る特許は、取り消されるべきものである。 イ 訂正前の請求項8及び9は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第3号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項8及び9に係る特許は、取り消されるべきものである。 3 甲号証について (1)甲第1号証の記載事項(なお、下線は当審が付した。以下、同様である。) ア 「【請求項1】 紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステムにおいて、 (a)第一の屈折率を有する滅菌すべき流体(5)を運ぶ流体入口管(10)であって、第二の屈折率を有する材料で製造され、且つ、入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)と、前記流体と接触する内面(13)と、外面(14)と、を有する前記流体入口管(10)と、 (b)前記流体入口管の前記外面の周りに配置された光学クラッド管(20)であって、前記流体入口管と該光クラッド管との間に第三の屈折率を有する同心状空隙(15)を画成する前記光クラッド管(20)と、 (c)前記流体入口管及び前記光クラッド管の周りの流体封じ込め容器(30)であって、前記流体入口管の一部分が該流体封じ込め容器から延びており、前記同心状空隙が前記流体封じ込め容器から液圧に関して隔離されるようになされている前記流体封じ込め容器(30)と、 (d)前記流体封じ込め容器に配置され且つ該流体封じ込め容器の一部分を形成する紫外線入口開口(35)と、 (e)前記紫外線入口開口を通り且つ所定の範囲の入射角度にて前記流体入口管の前記内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)とを備え、 (j)前記所定の範囲の入射角度が、前記第一、第二及び第三の屈折率に従って制限され、前記流体入口管が光パイプとして機能し、前記紫外放射線の実質的に全てが全内反射をしながら前記流体入口管内を通って伝播するようになされており、 (f)前記流体封じ込め容器から延びる流体出口管(50)をさらに備える、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 従来技術の紫外線水滅菌システムは、水を紫外放射線に露呈させ、放射線が水を透過し、反射面を打撃し、次に、反射した後、水を通って進むようにする。反射面は、かなり多量の放射線を吸収する。かかるシステムの効率を改良することが永年の課題であった。」 ウ 「【0008】 次に、図2を参照すると、流体封じ込め容器30は、紫外線鏡31のような形態とされた内面を有している。例えば、流体封じ込め容器は、アルミニウムにて製造し、また、内面は、磨いたアルミニウム面とすることができる。水のような、滅菌すべき流体5は、入口端部11から流体入口管10に入る。流体入口管10は、例えば、紫外線等級の溶融石英で製造することができる。 【0009】 流体5は、流体入口管10を通って高強度紫外線灯40に向けて流れ且つ、出口端12にて流体入口管10から出る。次に、流体5の流れは、流体封じ込め容器30の下端の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面36を打撃する。次に、流体5の流れは、流体封じ込め容器30の上端内に配置された流体出口管50に方向変更される。 【0010】 流体5は、流体封じ込め容器30内に封じ込まれている。流体封じ込め容器30は、紫外線鏡31を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英にて製造することのできる内管33を有しており、外殻と内管33との間に空隙32がある。次に、外管30の端部は、紫外線窓下面36及び紫外線窓上面37にて閉じられる。 【0011】 紫外線(UV)水滅菌装置の好ましい方位は垂直であり、このため、流体5の流れはプラグ流に近似したものとなり、流体出口管50の位置は、最高点付近にあり、望ましくない気泡を迅速に且つ効率的に除去することを許容する。流体5内に存在する気泡は、紫外放射線の散乱箇所となり、これによりシステムの効率を劣化させる可能性がある。これらの紫外散乱箇所の結果、紫外放射線は、最適な角度でない角度にて導かれ、これにより、流体封じ込め管の内面、すなわち、アルミニウム管で出来ているとき、約86%の反射率である紫外線鏡31から反射される。これらの紫外散乱箇所がないならば、全ての反射は光パイプの全内反射(TIR)作用のため、ほぼ損失無しであるから、紫外放射線は、大部分、流体5内で放散される。」 エ 「FIG.2 」 FIG.2から、高強度紫外線灯(40)が、流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍にあること、流体入口管(10)の出口端部(12)と紫外線(UV)窓の下面(36)との間に、出口端部(12)から出た流体(5)を流体出口管(50)に流す「隙間」があり、当該「隙間」を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通していること、及び、流体出口管(50)が「隙間」から流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びていることを視認できる。 (2)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、上記(1)アによれば、入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する前記流体入口管(10)と、前記流体入口管の周りの流体封じ込め容器(30)と、所定の範囲の入射角度にて前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)と、前記流体封じ込め容器(30)から延びる流体出口管(50)を備える、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステムが記載されているといえる。 また、甲第1号証には、上記(1)ウによれば、流体入口管(10)は、紫外線等級の溶融石英から構成され、流体封じ込め容器(30)は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されていることが記載されているといえる。 さらに、甲第1号証には、上記(1)ウの段落【0009】の記載、及び、上記(1)エの視認される事項によれば、高強度紫外線灯(40)は、流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍にあること、流体入口管(10)の出口端部(12)と流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通していること、及び、流体出口管(50)が隙間から流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びていることが記載されているといえる。 これら記載を整理すると、甲第1号証には、 「入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する流体入口管(10)と、 前記流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍に設けられ、前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)と、 前記流体入口管(10)の周りに設けられた流体封じ込め容器(30)と、を備え、 前記流体封じ込め容器(30)は、流体出口管(50)を備え、前記流体入口管(10)の前記出口端部(12)と前記流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、前記流体入口管(10)と前記流体封じ込め容器(30)が連通しており、 前記流体出口管(50)は、前記隙間から前記流体出口管(50)に向かう方向に対して平行に延びており、 前記流体入口管(10)は、紫外線等級の溶融石英から構成され、前記流体封じ込め容器(30)は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されている、紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 (3)甲第3号証の記載事項 ア 「【0027】 <実施例1> [殺菌装置の概略構成] 図2及び3を参照して、本実施例に係る殺菌装置について説明する。図2は、本実施例に係る殺菌装置の模式的断面図である。図3は、図2中のAA断面図である。 【0028】 本実施例に係る殺菌装置100は、ハウジング110と光源ユニット120とを備えている。ハウジング110は、殺菌対象となる流体(ここでは、水)が流れる円筒状流路111、入口側流路112、及び出口側流路113を有している。光源ユニット120は、ハウジング110における円筒状流路111の一方の端部に設けられている。 【0029】 光源ユニット120は、LED素子121と、基板122と、レンズ123と、LEDハウジング124とを備えている。LED素子121は、円筒状流路111内に紫外線を照射するための光源である。LED素子121は基板122に取り付けられている。また、基板122上には、LED素子121を囲うようにLEDハウジング124が設置されている。LEDハウジング124にはレンズ123が設けられている。レンズ123は、LED素子121から照射された紫外線を集光する。 ・・・ 【0031】 LED素子121は、円筒状流路111の軸方向に紫外線を照射する。尚、図2中の線Lは、LED素子121から照射された紫外線の中心軸(光軸)を示している。図2に示すように、円筒状流路111の中心軸と紫外線の中心軸とは重なり合っている。 ・・・ 【0037】 LED素子121から照射され円筒状流路111の径方向に拡がった紫外線は、該円筒状流路111の側壁111bの外壁面に形成された反射膜130によって繰り返し反射されつつ、円筒状流路111の端部壁111aに向っていく。さらに、円筒状流路111の端部壁111aの外壁面に形成された反射膜130によれば、該円筒状流路111の軸方向に紫外線が反射される。この円筒状流路111の端部壁111aの外壁面に形成された反射膜130によって反射された紫外線は光源ユニット120に向っていく。 ・・・ 【0044】 図4(a)は、図2中のBB断面における円筒状流路111内の紫外線の光強度の分布を示す図である。図4(b)は、本実施例に係る殺菌装置100において円筒状流路111の端部壁111aに反射膜130が存在していない場合の、図2中のBB断面における円筒状流路111内の紫外線の光強度の分布を示す図である。 【0045】 図4における(a)と(b)とのいずれにおいても、円筒状流路111の中心軸付近で光強度が最も高く、該中心軸から外側(径方向)に離れるほど光強度が低下している。また、図4における(a)と(b)とを比較すると、円筒状流路111の端部壁111aに形成された反射膜130によって紫外線が反射されることで、該反射膜130が存在しない場合に比べて円筒状流路111内における紫外線の光強度が高くなっていることがわかる。」 イ 「【図2】 」 (4)特許異議申立人意見書に添付して提出された甲第6号証(国際公開第2014/115146号)の記載事項 ア 「1. An ultraviolet (UV) liquid treatment apparatus comprising: a conduit comprising an inlet to receive liquid to be treated and an outlet to discharge treated fluid, the conduit defining a plurality of liquid flow paths between the inlet and the outlet; and an UV light emitting diode (LED) module array to illuminate the liquid, wherein the UV LED module array comprises a plurality of UV LED modules arranged on a curved surface of an array holder, wherein the UV LED module array is configured to generate a customized spatial light flux distribution within the conduit that matches the liquid flow paths so as to obtain a desired UV dose distribution.」(請求項1、当審仮訳「1.処理される液体を受ける入口及び処理された液体を排出する出口を含み、前記入口及び前記出口の間の複数の液体の流路を規定する水路と、前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイであって、アレイホルダの曲面の上に配置された複数のUV LEDモジュールを含むUV LEDモジュールアレイと、を含み、前記UV LEDモジュールアレイは、望ましいUV線量分布を得るように、前記液体の流路に適した前記水路内でカスタマイズされた空間光束分布を生じるように構成されている、紫外線(UV)液体処理装置。」) イ 「11. The UV liquid treatment apparatus of claim 1, wherein the conduit comprises an internal tube positioned within the conduit such that liquid flow from the inlet of the conduit via the internal tube to a gap between the conduit and the internal tube.」(請求項11、当審仮訳「11.前記水路は、前記水路内に配置された内側の管を含み、前記内側の管を介して前記水路の前記入口から、前記水路と前記内側の管との間の隙間に液体が流れる請求項1に記載の紫外線液体処理装置。」) ウ 「[031] Conduit 110 may include an internal inlet tube 111 positioned within conduit 110 and conduit end 112. Liquid may enter inlet tube 111 from liquid inlet 120. The liquid may flow via internal tube 111 towards holder 200 and then via a gap formed between tube 111 and conduit 110 towards liquid outlet 125. In some embodiments, conduit 110 and tube 111 may be cylindrical concentric tubes. In some embodiments, conduit 110 and internal tube 111 may be optically transparent, for example, transparent to UV light. Alternatively, conduit 110 may be at least partially coated with a reflective coating, for example, conduit end 112 that includes outlet 125 and inlet 120 may be coated with reflective coating. Conduit 110 and internal tube 111 may include an optically transparent material, for example, quartz or polytetrafluoroethylene. Optionally, conduit 110 may be located inside an outer tube or housing (not shown). The housing may include any material suitable for protecting conduit 110, for example, the outer housing may include various metals and alloys, ceramic materials and others. An air gap may be formed between conduit 110 and the housing. [032] Conduit 100 may be designed to define a plurality of liquid flow paths between inlet 120 and the outlet 125. For example, liquid to be treated may enter internal tube 111 via liquid inlet 120 and may flow toward window 210. Then, the liquid may flow in the opposite direction and may exit the conduit via liquid outlet 125. A computer simulation of exemplary flow paths of the liquid within apparatus 100 is illustrated in Fig 2B. The liquid flow pattern is substantially stable inside the internal tube. Near window 210 the flow may slow down and before turning to flow towards outlet 125. During the turning the speed of the flow decreases, thus a larger volume of the liquid may absorb more light from UV LED module array 205. Further, the flow pattern in the area adjacent window 210 is symmetric.」(当審仮訳「[031]水路110は、水路110及び水路の端部112内に位置する内部の給水管111を含んでよい。液体は、液体入口120から給水管111に入ってよい。液体は、内側の管111を介してホルダ200へ流れ、それから管111と水路110の間に形成された隙間を介して液体出口125へ流れてよい。いくつかの実施形態では、水路110及び管111は、円筒状の同心の管であってよい。いくつかの実施形態では、水路110及び内側の管111は、視覚的に透明であり、例えば、UV光に対して透過性であってよい。代替的に、水路110は、少なくとも部分的に反射コーティングでコートされており、例えば出口125及び入口120を含む水路端部112が、反射コーティングでコートされていてよい。水路110及び内側の管111は、視覚的に透明な素材、例えば、クォーツやポリテトラフルオロエチレンを含んでよい。選択的に、水路110は、外側の管又はハウジング(図示せず)の内部に位置されてもよい。ハウジングは、水路110を保護するために適切な素材を含んでよく、例えば、外側のハウジングは、様々な金属や合金、セラミック素材等を含んでよい。空気の隙間が水路110及びハウジングの間に形成されてもよい。 [032]水路100は、入口120と出口125との間に複数の流路を規定するように設計されてよい。例えば、処理される液体は、液体入口120を介して内側の管111に入り、窓210に向けて流れてよい。それから、液体は反対方向に流れ、液体出口125を介して水路を出てよい。図2Bに、装置100内の液体の例示的な流路のコンピューターシミュレーションが示されている。液体の流れパターンは、管の内部では実質的に安定している。窓210の近くで、出口125へ向かって向きを変える前に、流れは遅くなってよい。向きを変える間、流れの速度は落ち、液体の多くの容量はUV LEDモジュールアレイ205からの光を吸収する。さらに、窓210に隣接する領域における流れのパターンは、対称である。」) エ 「 」 4 取消理由及び特許異議申立理由に対する当審の判断 (1)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「入口端部(11)と、該入口端部とは反対側の末端に位置する出口端部(12)とを有する流体入口管(10)」は、本件発明1の「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管」に相当する。 甲1発明の「前記流体入口管(10)の出口端部(12)の近傍に設けられ、前記流体入口管(10)の内面に衝突する紫外放射線を提供する高強度紫外線灯(40)」は、本件発明1の「前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源」に相当する。 甲1発明の「前記流体入口管(10)の周りに設けられた流体封じ込め容器(30)」は、本件発明1の「前記第1端部の径方向外側を囲う筐体」に相当する。 甲1発明の「流体出口管(50)」は、本件発明1の「前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口」に相当する。 甲1発明の「流体入口管(10)の出口端部(12)と流体封じ込め容器(30)の一部分を形成する紫外線(UV)窓の下面(36)の間の隙間を介して、流体入口管(10)と流体封じ込め容器(30)が連通している」ことは、本件発明1の「筐体」が「前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する」ことに相当する。 そして、甲1発明の「紫外放射線(UV)を使用して水を滅菌するシステム」は、本件発明1の「流体殺菌装置」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明は、 「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、 前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、 前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、 前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本件発明1の筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。 (相違点2) 本件発明1は、隙間について、「前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭い」ことを特定しているのに対して、甲1発明ではその点が明示されていない点。 まず、相違点1について検討すると、甲1発明の流体封じ込め容器は、「前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する」構造となっており、本件発明1の「整流室」と同様な構造であるから、甲1発明の流体封じ込め容器は、「整流室を区画」しているものといえ、上記相違点1は実質的な相違点といえない。 次に、相違点2について検討すると、流体殺菌装置の流路管の端部と対向部材との隙間の通水断面積を、前記流路管内側(処理流路)及び外側(整流室)の通水断面積よりも狭くすることは、甲第2号証~甲第6号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、このような通水断面積とすることが技術常識であるともいえないから、甲1発明において、隙間の通水断面積を、整流室及び処理流路の通水断面積よりも狭くすることは、当業者が容易になし得たものといえない。 イ ここで、特許異議申立人は、甲第6号証には、上記3(4)ア~エによれば、「前記隙間の通水断面積は、前記整流室および前記処理流路の通水断面積よりも狭い」ことが事実上開示されていると主張している(特許異議申立人意見書の第4頁第2~27行)。 しかしながら、上記3(4)ウのとおり、甲第6号証の段落[032]には、「液体の流れパターンは、管の内部では実質的に安定している。窓210の近くで、出口125へ向かって向きを変える前に、流れは遅くなってよい。向きを変える間、流れの速度は落ち」ることが記載され、窓210の近くで液体の流れの向きを変える間、すなわち、内側の給水管111の終端部と窓210との間の隙間を液体が流れるときに、流れの速度が落ちることが記載されている。そして、流量が一定の場合に配管内に流れる液体の流速は、通水断面積が拡大するにつれて遅くなるとの技術常識を踏まえれば、前記隙間の通水断面積は、内側の給水管111の通水断面積より大きくなっているといえる。 よって、特許異議申立人の上記主張は妥当でない。 また、特許異議申立人は、殺菌対象となる流体が衝突する窓の反対側から紫外光を照射して流体を殺菌しようとする場合に、殺菌効率を高めるために、流体を光源に近づけることは当業者が当然に要求する設計事項であり、流体を光源に近づけるために隙間を狭くし、その結果、隙間の通水断面積が処理流路の通水断面積よりも狭くなることは必然であると主張している。 しかしながら、甲第1号証に記載された滅菌するシステムは、上記3(1)ア及びイによれば、流体入口管内で紫外光を全内反射させて殺菌効率を改良するものであって、光源と流体の距離により殺菌効率を改良するものでないから、特許異議申立人の上記主張も妥当でない。 ウ 以上で検討したとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。 (2)本件発明2~7について 本件発明2~7は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記(1)における本件発明1に対する判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 よって、本件発明2~7に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。 (3)本件発明8について ア 本件発明8と甲1発明を対比すると、上記(1)アで検討したと同様に、両者は、「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点3) 本件発明8は、筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。 (相違点4) 本件発明8は、「流路管は、光源からの紫外光を反射する材料で構成され、筐体は、流路管よりも紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことを特定しているのに対して、甲1発明の流体入口管は、紫外線等級の溶融石英から構成され、流体封じ込め容器は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されている点。 まず、相違点3について検討すると、上記(1)アの相違点1で検討したとおり、上記相違点3は実質的な相違点といえない。 次に、相違点4について検討する。 甲1発明の流体封じ込め容器は、紫外線鏡を画成する反射性内面を有するアルミニウム外殻内に封じ込まれた、紫外線等級の溶融石英の内管から構成されており、紫外線等級の溶融石英から構成された流体入口管よりも、紫外光の反射率が高い材料で構成されているため、甲第1号証には、筐体(流体封じ込め容器)を、流路管(流体入口管)よりも紫外光の反射率が低い材料で構成するための動機付けは記載されていない。 また、甲第2号証~甲第6号証にも、筐体を流体入口管より反射率が低い材料で構成して、筐体に設けられた流通口から紫外線が外に漏れ出すことを抑えることは記載されていないから、甲1発明の筐体(流体封じ込め容器)を、流路管(流体入口管)よりも紫外光の反射率が低い材料で構成することは、当業者が容易になし得たものといえない。 したがって、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 イ ここで、特許異議申立人は、甲第6号証に基づいて、本件発明8の新規性及び進歩性は否定されるべきであること(特許異議申立人意見書第3頁下から第2行~第4頁第1行)、及び、本件発明8の「前記筐体は、前記流路管よりも前記紫外光の反射率が低い材料で構成される」ことの「筐体」に光源室を構成する外側側壁を含むのか明らかでないため、本件発明8は明確でないこと(特許異議申立人意見書第8頁第11行~第10頁第7行)を主張しているが、これらの主張は、特許異議申立書に記載のない申立理由を新たに主張するものであるから採用しない。 なお、本件発明8の「前記筐体」は、「整流室を区画する筐体」であり、光源室を構成する外側側壁を含まないことは明らかである。 (4)本件発明9について ア 本件発明9と甲1発明を対比すると、上記(1)アで検討したと同様に、両者は、「第1端部と前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、前記第1端部の近傍に設けられ、前記処理流路に向けて前記第1端部から前記軸方向に紫外光を照射する光源と、前記第1端部の径方向外側を囲う筐体と、を備え、前記筐体は、前記処理流路を流れる流体の入口または出口となる流通口を有し、前記第1端部と、前記第1端部と前記軸方向に対向する対向部材との間の隙間を介して前記処理流路と連通する流体殺菌装置」である点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点5) 本件発明9は、筐体が「整流室を区画」しているのに対して、甲1発明の流体封じ込め容器は、その点が明示されていない点。 (相違点6) 本件発明9は、「流路管は、第1端部から径方向内側に突出する突出部を有する」ことを特定しているのに対して、甲1発明は、突出部を有しない点。 まず、相違点5について検討すると、上記(1)アの相違点1で検討したとおり、上記相違点5は実質的な相違点といえない。 次に、相違点6について検討する。 流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、甲第2号証~甲第6号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、このようなことが技術常識であるともいえないから、甲1発明において、流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、当業者が容易になし得たものといえない。 ここで、特許異議申立人は、甲第3号証に記載された流路軸に対して傾斜した端部壁111aの反射膜130(上記3(3)ア及びイ参照)を根拠にして、甲1発明の流体殺菌装置の流路管の端部に、径方向内側に突出する突出部を設けることは、設計事項であることを主張している(特許異議申立書第39頁第20行~第40頁第7行)が、甲第3号証に記載された傾斜した端部壁は、流路管の端部の径方向内側に突出する突出部といえないから、特許異議申立人の主張は妥当でない。 したがって、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 イ 特許異議申立人は、甲第6号証に基づいて、本件発明9の新規性及び進歩性は否定されるべきであると主張している(特許異議申立人意見書第3頁下から第2行~第4頁第1行)が、当該主張は、特許異議申立書に記載のない申立理由を新たに主張するものであるから採用しない。 (5)本件発明10~12について 本件発明10~12は、本件発明1~9を更に減縮したものであるから、上記(1)~(4)と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 よって、本件発明10~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~12に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に本件請求項1~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700786

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    共通の審決分類: 113・A61L、121・A61L
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    共通の審決分類: 113・A61L、121・A61L

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