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特許異議申立

2017-700597

人工爪組成物

審判番号
2017-700597
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-164216
登録番号
特許第6042126号(P6042126)
請求日
2017年06月14日
審決日
2018年01月31日
公報発行日
2018年05月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社松風
  • 【権利者代理人】藤井 淳
  • 【異議申立人】坂田 純子
審判長/審判官
  • 審判長 長屋 陽二郎
  • 審判官 五閑 統一郎
  • 審判官 平瀬 知明
分類
P1651.121-YAA(A45D) / P1651.561-YAA(A45D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第17条の2第2項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6042126号発明「人工爪組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6042126号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6042126号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6042126号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成24年7月24日に特許出願され、平成28年11月18日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人坂田純子により特許異議の申立てがされ、平成29年8月25日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年10月28日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人坂田純子(以下、単に「申立人」という。)から平成29年12月8日付けで意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成29年10月28日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下の(1)~(10)のとおりである。 (1)訂正事項1 請求項1に係る「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(b)メタクリル酸、α-β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸及びその無水物、カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(c)光重合性モノマー(但し、前記(a)及び(b)の光重合性モノマーを除く。)及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物」を 「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、(b)メタクリル酸、α-β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸及びその無水物、カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(c)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー(但し、前記(a)及び(b)の光重合性モノマーを除く。)及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物」に訂正する。 (2)訂正事項2 発明の詳細な説明の段落【0015】の「1. (a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(b)メタクリル酸、α-β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸及びその無水物、カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(c)光重合性モノマー(但し、前記(a)及び(b)の光重合性モノマーを除く。)及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物。 2. 前記(a)、(b)、(c)及び(d)の成分の合計を100重量部としたとき、前記(a)の光重合性モノマー5~50重量部、前記(b)の光重合性モノマー1~25重量部、前記(c)の光重合性モノマー20~93.5重量部及び前記(d)の光重合開始剤0.5~5重量部を含有する、前記項1に記載の人工爪組成物。 3. 人工爪組成物の性状が液状である、前記項1又は2に記載の人工爪組成物。 4. 有機溶剤を含まない、前記項1~3のいずれかに記載の人工爪組成物。 5. 天然爪の表面上に人工爪を形成させるために用いる、前記項1~4のいずれかに記載の人工爪組成物。 6. 天然爪の表面上に人工爪を形成させる方法であって、(1)前記項3に記載の液状の人工爪組成物を天然爪の表面に塗布することにより塗膜を形成する工程及び(2)前記塗膜に光を照射することにより当該光重合性モノマーを重合させる工程を含む、人工爪の形成方法。」を 「1. (a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、(b)メタクリル酸、α-β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸及びその無水物、カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(c)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー(但し、前記(a)及び(b)の光重合性モノマーを除く。)及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物。 2. 前記(a)、(b)、(c)及び(d)の成分の合計を100重量部としたとき、前記(a)の光重合性モノマー5~50重量部、前記(b)の光重合性モノマー1~25重量部、前記(c)の光重合性モノマー20~93.5重量部及び前記(d)の光重合開始剤0.5~5重量部を含有する、前記項1に記載の人工爪組成物。 3. 人工爪組成物の性状が液状である、前記項1又は2に記載の人工爪組成物。 4. 有機溶剤を含まない、前記項1~3のいずれかに記載の人工爪組成物。 5. 天然爪の表面上に人工爪を形成させるために用いる、前記項1~4のいずれかに記載の人工爪組成物。 6. 天然爪の表面上に人工爪を形成させる方法であって、(1)前記項3に記載の液状の人工爪組成物を天然爪の表面に塗布することにより塗膜を形成する工程及び(2)前記塗膜に光を照射することにより当該光重合性モノマーを重合させる工程を含む、人工爪の形成方法。」に訂正する。 (3)訂正事項3 発明の詳細な説明の段落【0022】の「a成分として使用できる光重合性モノマーは、特に限定されず、例えば2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ハイドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ハイヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ハイドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ハイドロキシデシル(メタ)アクリレ-ト等のモノハイドロシキアルキル(メタ)アクリレート類;1,2-又は1,3-ジハイドロキシプロパン(メタ)アクリレート等のジハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類;N-(1,3-ジハイドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。これらのa成分は、1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、特に2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の少なくとも1種が好適である。」を「a成分として使用できる光重合性モノマーは、特に限定されず、例えば2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ハイドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ハイヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ハイドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ハイドロキシデシル(メタ)アクリレ-ト等のモノハイドロシキアルキル(メタ)アクリレート類;1,2-又は1,3-ジハイドロキシプロパン(メタ)アクリレート等のジハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類;N-(1,3-ジハイドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。これらのa成分は、1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、特に2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート等が好適である。」に訂正する。 (4)訂正事項4 発明の詳細な説明の段落【0052】の 「[実施例において人工爪組成物の調製に用いた成分とその略号] (c)光重合性モノマー ・PUDA:ウレタンジアクリレートオリゴマー(分子量:15000) ・IBMA:イソボロニルメタクリレート ・TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート (a)分子内に少なくとも1個の第一級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー ・2HEMA:2-ハイドロキシエチルメタクリレート ・2HPMA:2-ハイドロキシプロピルメタクリレート (a’) 分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー ・GM:グリセロールジメタクリレート (b)分子内に少なくとも1個のカルボキシル基を有する光重合性モノマー ・MA:メタクリル酸 ・4META:4メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物 ・A-SA:2-アクリロイルオキシエチルサクシネート ・A-PCLA:カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノアクリレート (d)光重合開始剤 ・MAPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド ・BP:ベンゾフェノン ・2HMPP:2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン」を 「[実施例において人工爪組成物の調製に用いた成分とその略号] (c)光重合性モノマー ・PUDA:ウレタンジアクリレートオリゴマー(分子量:15000) ・IBMA:イソボロニルメタクリレート ・TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート (a)分子内に少なくとも1個の第一級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー ・2HEMA:2-ハイドロキシエチルメタクリレート (a’) 分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー ・2HPMA:2-ハイドロキシプロピルメタクリレート ・GM:グリセロールジメタクリレート (b)分子内に少なくとも1個のカルボキシル基を有する光重合性モノマー ・MA:メタクリル酸 ・4META:4メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物 ・A-SA:2-アクリロイルオキシエチルサクシネート ・A-PCLA:カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノアクリレート (d)光重合開始剤 ・MAPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド ・BP:ベンゾフェノン ・2HMPP:2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン」に訂正する。 (5)訂正事項5 発明の詳細な説明の段落【0059】の 「【表1】 」を 「【表1】 」に訂正する。 (6)訂正事項6 発明の詳細な説明の段落【0063】の 「【表2】 」を 「【表2】 」に訂正する。 (7)訂正事項7 発明の詳細な説明の段落【0064】の「表2に記載の実施例5~7は、成分(a)、(b)、(c)及び(d)からなる人工爪組成物である。また、比較例3~6は、成分(b)、(c)及び(d)からなり、かつ、成分(a)を含有しない人工爪組成物である。ここで、比較例3~6において使用した成分(a’)は、分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマーである。」を 「表2に記載の実施例5~7は、成分(a)、(a’)、(b)、(c)及び(d)からなる人工爪組成物である。また、比較例3~6は、成分(a’)、(b)、(c)及び(d)からなり、かつ、成分(a)を含有しない人工爪組成物である。ここで、実施例5~7及び比較例3~6において使用した成分(a’)は、分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマーである。」に訂正する。 (8)訂正事項8 発明の詳細な説明の段落【0066】の「さらに、実施例7、比較例3及び比較例6の美的外観耐久性については、表2に示すように、実施例7は14日以上という良好な結果が得られた。これに対し、成分(b)、(c)及び(d)を含み、かつ、成分(a)を含有しない人工爪組成物である比較例3及び比較例6の美的外観耐久性は不十分であった。」を 「さらに、実施例7、比較例3及び比較例6の美的外観耐久性については、表2に示すように、実施例7は14日以上という良好な結果が得られた。これに対し、成分(a’)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ、成分(a)を含有しない人工爪組成物である比較例3及び比較例6の美的外観耐久性は不十分であった。」に訂正する。 (9)訂正事項9 発明の詳細な説明の段落【0067】の 「【表3】 」を 「【表3】 」に訂正する。 (10)訂正事項10 発明の詳細な説明の段落【0068】の「表3に記載の実施例8~15は、成分(a)、(b)、(c)及び(d)からなる人工爪組成物である。ここで、表3の接着強度からも明らかなように、実施例8~15は15.5~1.2MPaという優れた接着強度を示した。」を 「表3に記載の実施例8~15は、成分(a)、(b)、(c)及び(d)又は成分(a)、(a’)、(b)、(c)及び(d)からなる人工爪組成物である。ここで、表3の接着強度からも明らかなように、実施例8~15は15.5~25.2MPaという優れた接着強度を示した。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正の目的について ア 訂正事項1について 訂正事項1により訂正された請求項1の「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート」なる事項は、「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートの少なくとも1種」なる事項から、「2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート」を削除したものであるから、当該訂正事項は、択一的に記載されていた化合物名の一つを削除するものであり、特許請求の範囲の減縮(特許法120条の5第2項ただし書第1号)を目的とするものに該当する。 また、訂正事項1により訂正された請求項1の「(c)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー」は、「光重合性モノマー」を、「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む」ものに限定したものであるから、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 訂正事項2,3について 訂正事項2,3は、訂正事項1により訂正された請求項1に対し、明細書の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明(特許法120条の5第2項ただし書第3号)を目的とするものに該当する。 ウ 訂正事項4について 訂正事項4は、明細書にて「・2HPMA:2-ハイドロキシプロピルメタクリレート」が「(a)分子内に少なくとも1個の第一級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー」とされていたものを、「(a’) 分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー」に改めるものである。 そして、「2-ハイドロキシプロピルメタクリレート」が、「分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する」ものであることは、技術常識より自明であることから、訂正前の記載が誤記であることは明らかである。 よって、訂正事項4は、誤記の訂正(特許法120条の5第2項ただし書第2号)を目的とするものに該当する。 エ 訂正事項5,6,9について 訂正事項5,6,9は、いずれも、訂正事項4と同じく、明細書にて「2HPMA」が「(a)」とされていたものを、「(a’)」に改めるものである。 よって、訂正事項5,6,9は、訂正事項4と同じく、誤記の訂正を目的とするものに該当する。 オ 訂正事項7,8,10について 訂正事項7,8,10は、いずれも、訂正事項5,6,9より訂正された【表1】~【表3】の記載に対し、明細書の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 カ まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1から10は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1、2及び3号に掲げる事項を目的とするものである。 (2)新規事項の追加について ア 訂正事項1について 特許第6042126号の願書に添付した特許請求の範囲及び明細書(以下、「特許明細書等」という)の特許請求の範囲の請求項1の「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートの少なくとも1種」なる記載からみて、特許明細書等には「2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート」が記載されていることは明らかである。 また、特許明細書等の明細書段落【0031】の「1個の重合性官能基を有する化合物として、例えば・・・イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。」という記載、及び、段落【0035】の「分子内に少なくとも1個以上の重合性官能基を有するオリゴマーとしては、・・・特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを好適に用いることができる。」という記載からみて、特許明細書等には、「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」、及び、「イソボロニル(メタ)アクリレート」が記載されている。 そして、段落【0059】の【表1】、段落【0063】の【表2】、段落【0067】の【表3】の実施例1ないし9には、PUDA及びIBMAを成分(c)として含むことが記載されており、段落【0052】の 「(c)光重合性モノマー ・PUDA:ウレタンジアクリレートオリゴマー(分子量:15000) ・IBMA:イソボロニルメタクリレート」 なる記載とあわせてみると、特許明細書等には、「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー」なる事項が記載されていることは明らかである。 よって、特許明細書等には、訂正事項1に係る事項が記載されている。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、明細書に訂正事項1と同一の事項を追加するものであり、当該訂正に係る事項は、訂正事項1に係る事項と同じく、特許明細書等に記載されている。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3は、明細書中に記載されている化合物名を削除する訂正であり、新たな事項を追加するものでないことは明らかである。 エ 訂正事項4について 訂正事項4は、「・2HPMA:2-ハイドロキシプロピルメタクリレート」について、「(a)分子内に少なくとも1個の第一級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー」とされていたものを、「(a’) 分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー」に改めるものである。 そして、「2-ハイドロキシプロピルメタクリレート」が、「分子内に1個の第二級アルコール性水酸基を有する」ものであることは、技術常識より自明であることから、特許明細書等には、訂正事項4に係る事項が記載されている。 オ 訂正事項5,6,9について 訂正事項5,6,9は、いずれも、訂正事項4と同じく、明細書にて「2HPMA」が「(a)」とされていたものを、「(a’)」に改めるものである。 よって、訂正事項4に係る事項と同じく、特許明細書等には、訂正事項5,6,9に係る事項が記載されている。 カ 訂正事項7,8,10について 訂正事項7,8,10は、いずれも、訂正事項5,6,9により訂正された【表1】~【表3】の記載に対し、明細書の記載を整合させるものである。 よって、訂正事項5,6,9に係る事項と同じく、特許明細書等には、訂正事項7,8,10に係る事項が記載されている。 キ まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1ないし10は、いずれも、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更について ア 訂正事項1について 上記「(1)ア」で示したとおり、訂正事項1は、いずれも、特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しないことは明らかである。 イ 訂正事項2ないし10について 訂正事項2ないし10は、いずれも、明瞭でない記載の釈明又は誤記の訂正を目的とするものであり、請求項に記載された事項の解釈に影響を与えるものではないから、訂正事項1と同じく、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しないことは明らかである。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1ないし10は、いずれも、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号から第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 ・本件発明1 「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、(b)メタクリル酸、α-β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸及びその無水物、カルボキシポリカプロラクトン(n=1.8)モノ(メタ)アクリレートの少なくとも1種、(c)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー(但し、前記(a)及び(b)の光重合性モノマーを除く。)及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物」 ・本件発明2 「前記(a)、(b)、(c)及び(d)の成分の合計を100重量部としたとき、前記(a)の光重合性モノマー5~50重量部、前記(b)の光重合性モノマー1~25重量部、前記(c)の光重合性モノマー20~93.5重量部及び前記(d)の光重合開始剤0.5~5重量部を含有する、請求項1に記載の人工爪組成物。」 ・本件発明3 「人工爪組成物の性状が液状である、請求項1又は2に記載の人工爪組成物。」 ・本件発明4 「有機溶剤を含まない、請求項1~3のいずれかに記載の人工爪組成物。」 ・本件発明5 「天然爪の表面上に人工爪を形成させるために用いる、請求項1~4のいずれかに記載の人工爪組成物。」 ・本件発明6 「天然爪の表面上に人工爪を形成させる方法であって、(1)請求項3に記載の液状の人工爪組成物を天然爪の表面に塗布することにより塗膜を形成する工程及び(2)前記塗膜に光を照射することにより当該光重合性モノマーを重合させる工程を含む、人工爪の形成方法。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし6に係る特許に対して平成29年8月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ・請求項1-6に係る発明は、下に示す刊行物1に記載された発明、及び、特開2010-75366号公報(申立人の甲3号証)、特開平7-323043号公報(申立人の甲11号証)、特開2011-20956号公報(申立人の甲20号証)に例示される従来周知の技術的事項に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1-6に係る特許は、取り消されるべきものである。 刊行物1:特開平7-97306号公報(申立人の甲1号証) 3 引用例の記載 刊行物1には、次の事項が記載されている。(下線は当審にて付したものである。) (1)「【請求項6】 (A2)(a)分子内に酸性基を有する重合性単量体、(b)分子内に水酸基を有する重合性単量体、(c)重合開始剤 および(d)上記(a)、(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体からなりそしてこれらの(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基準にして、(a)成分が1~50重量%、(b)成分が1~98.99重量%および(c)成分が0.01~50重量%を占め、また(d)成分は(a)、(b)、(c)および(d)成分の合計重量を基準にして3~50重量%含有し、そして (B1)37.5℃における粘度が100~30,000cPの範囲にある、ことを特徴とする硬化性組成物。」 (2)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、歯牙に対して簡単な操作で表面処理ができるプライマー組成物および接着できる硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、歯牙などの表面コーティング材の修復もしくはPMMA系レジン、レジンセメント、コンポジットレジンなどの歯科用修復レジンの修復に有利に用いられるプライマー組成物および硬化性組成物に関する。」 (3)「【0020】(a)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができ、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、p-ビニル安息香酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(メタクリレートの場合:MAC-10)、1,4-ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸(メタクリレートの場合:4-MET)およびその無水物(メタクリレートの場合:4-META)、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、N,O-ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N-(メタ)アクリロイルp-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイルO-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル5-アミノサリチル酸(メタクリレートの場合:5-MASA)、N-(メタ)アクリロイル4-アミノサリチル酸、2または3または4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(メタクリレートの場合:PMDM)、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(メタクリレートの場合:BTDA)または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物、2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4-[N-メチルN-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることができる。このうち、MAC-10、4-MET、4-METAおよび5-MASAが好ましく用いられる。これらのカルボキシル基を含有する重合性単量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。 【0021】(a)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2-(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルp-メトキシフェニルアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。このうち、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。 【0022】(a)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中に少なくとも1個のスルホン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2-スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1-スルホ-1または2-プロピル(メタ)アクリレート、1または3-スルホ-2-ブチル(メタ)アクリレート、3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。このうち、2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。これらのスルホン酸基を有する重合性単量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。上記の(a)成分はすべて単独でまたは組み合わせて使用することができる。」 (4)「【0023】本発明の硬化性組成物において、(b)成分は分子内に水酸基を含有する重合性単量体である。さらに、これらの水酸基含有する重合性単量体は、さらに分子内にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、グリシジル基などの官能基を併せて含有することもできる。 【0024】(b)成分として使用できる重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレ-ト、1,2-または1,3-および2,3-ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイル-2,3-ジヒドロキシプロピルアミン、N-(メタ)アクリロイル-1,3-ジヒドロキシプロピルアミンなどの水酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合HPPM)、2-ヒドロキシ-3-ナフトキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジル(メタ)アクリレート(メタクリレートのの場合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの場合Bis-GMA)などのGMAと脂肪族もしくは芳香族ポリオール(フェノールを含む)との付加生成物などを挙げることができる。これらの重合性単量体は単独でもしくは組み合わせて使用できる。」 (5)「【0026】水への溶解度が0.5g/100cc以上を示す(b)成分としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,3-または2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイル-2,3-ジヒドロキシルプロピルアミン、N-(メタ)アクリロイル-1,3-ジヒドロキシルプロピルアミンなどを挙げることがきる。これらの単量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。これらの重合性単量体のうち、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合HEMA)が特に好ましく、(a)から(c)成分の合計100重量部のうち、(b)成分の少なくとも一部として40~98.99重量部の範囲で含有することが好ましい。」 (6)「【0027】本発明の硬化性組成物において、(c)成分は重合開始剤である。かかる重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、アルキルボラン、アルキルボランの部分酸化物、α-ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは1種または2種以上用いることができる。これらの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合タイプ、光重合タイプ、またはこれらの複合したデュアルタイプなどが挙げられる。常温化学重合タイプで使用される過酸化物(重合開始剤)としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p'-ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これらのうちでは、BPOが好ましい。 【0028】また、光重合タイプで使用される重合開始剤としては、紫外光線もしくは可視光線を照射することによって光重合することができる重合開始剤である。かかる光重合の際に使用できる重合開始剤に特に制限はないが、例えばベンジル、4,4'-ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、9,10-アントラキノン、ジアセチル、d,l-カンファーキノン(CQ)の如きジケトン化合物などの紫外線または可視光線増感剤が挙げられる。」 (7)「【0041】以下、上記(d)、(e)成分の両方を含まないものを本発明の第1の硬化性組成物といい、(d)成分のみを含有する本発明の硬化性組成物を本発明の第2の硬化性組成物という。(d)成分は(a)および(b)成分の少なくともいずれか一方と共重合可能な重合性単量体である。かかる重合性単量体は、例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アリル基などを有するラジカル重合可能な不飽和基を有する単量体を挙げることができる。1分子内にこれらの重合性基から選択される基が少なくとも1個含有していればよい。さらに、これらの重合性単量体は、分子内にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、グリシジル基などの官能基を含有することができる。 【0042】(d)成分として使用できる重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちらか一方の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチル基などに置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたは1,3,5-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加させた生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン類;スチレン、4-メチルスチレン、4-クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体類;酢酸ビニルなどを挙げることができる。これらの重合性単量体は単独で、もしくは組み合わせて使用できる。 【0043】上記(d)成分として、上記に挙げた種々の重合性単量体はそれぞれ単独でまたは組み合わせて使用することができる。」 (8)「【0088】実施例2 コンポジットレジン用ボンディング材としての本発明の硬化性組成物として、45.5重量部のHEMA、35重量部のVR90、6.5重量部のトリエチレングリコールジメタクリレート(3G)、6.5重量部の2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(2.6E、新中村化学)、6.5重量部の4-MET、0.5重量部のCQおよび0.5重量部のNPGを混合して溶解した。調製直後に使用して接着試験を行った結果、象牙質に対する接着強さは99±49kgf/cm2であり、ギャップの形成は認められなかった。NPGを溶解した溶液は調製後約1日でゲル化して使用不能となった。」 (9)「【0090】実施例4 本発明の硬化性組成物として、実施例2における4-METを4-METAに変更したものを使用した(粘度:280cP)。その結果、象牙質に対する接着強さが78±18kgf/cm2であり、ギャップの形成は認められなかった。」 以上の記載によれば、刊行物1には以下の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「45.5重量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレートと、6.5重量部の4-メタアクリロイルオキシエチルトリメリット酸、または、その無水物、6.5重量部のトリエチレングリコールジメタクリレート、35重量部のVR90、重合開始剤である0.5重量部のCQ、を含む、歯科用硬化性組成物。」 4 判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 特許法第29条第2項について (本件発明1について) 本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、両者は以下の点で相違する。 ・相違点1 本件発明1は、人工爪組成物であるのに対し、刊行物1発明は、歯科用硬化性組成物である点。 ・相違点2 本件発明1は、“ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー”を有しているのに対し、刊行物1発明は、当該成分を含む光重合性モノマーを有していない点。 事案に鑑み、上記相違点のうち、相違点2について検討するに、当該相違点に係る事項は刊行物1に記載されておらず、かつ、当該事項が従来周知の技術的事項であると認める根拠もない。よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、刊行物1発明及び従来周知の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (本件発明2~6について) 上記のように、本件発明1が、刊行物1発明及び従来周知の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明1の発明特定事項を全て有しつつ、更に限定したものである本件発明2~6も、刊行物1発明及び従来周知の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)申立人の意見について ア 平成29年12月8日付け意見書における意見について (ア)新たな相違点(上記相違点2)についての主張 申立人は、当該意見書にて、上記相違点2に関し、刊行物1発明、及び、甲20号証(特開2011-20956号公報)、甲22号証(特許第4981184号公報)の記載事項から当業者が容易に想到し得たものである旨主張している。 しかしながら、甲20号証には、「ウレタンアクリレートオリゴマー」に関する記載はあるものの、それと「イソボロニル(メタ)アクリレートオリゴマー」とを併用することに関する記載がない。 また、甲22号証には、「ウレタンメタアクリレートオリゴマー」と「イソボルニルメタアクリレート」を併用することに関する記載はあるものの、これらの成分を、上記刊行物1発明における“2-ヒドロキシエチルメタクリレート”、“4-メタアクリロイルオキシエチルトリメリット酸、または、その無水物”に混合することに関する記載がないから、刊行物1発明に当該成分を混合することにより、密着性が向上する等の効果が生じるか否かは不明であるため、当業者が容易に想到することができるとは言えない。 さらに、甲22号証においては、「ウレタンメタアクリレートオリゴマー」の含有量として、100重量部なる数値が示されており、他の成分よりも多くの割合を占めることが記載されている(請求項1参照)から、「ウレタンメタアクリレートオリゴマー」は、甲22号証に示されるジェルネイル用下地剤の主要成分であると言える。一方、刊行物1には、各成分の含有量から見て(a)~(c)成分を主要成分とすることが記載されていると認められる(上記「第3 3」記載事項(1)参照)ところ、それに対して、さらに、甲22号証に記載された発明の主要成分である「ウレタンメタアクリレートオリゴマー」を追加することには、動機付けが存在せず、当業者が容易に想到することができるとは言えない。 よって、本件発明1が甲1号証に記載された発明、甲20号証及び甲22号証に記載された事項、並びに、従来周知の技術的事項から容易に想到しえたものであるとはいえない。 (イ)本件特許発明の効果について、及び、相違点についての主張 上記「(ア)」のとおり、上記相違点2に係る事項に関して、本件発明1は、甲1号証に記載された発明、甲20号証及び甲22号証に記載された事項、並びに、従来周知の技術的事項から容易に想到しえたものであるとはいえない。当該判断は、その他の相違点、及び、本件発明1の効果についての申立人の主張に左右されるものではない。 よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、甲20号証及び甲22号証に記載された事項、並びに、従来周知の技術的事項から容易に想到しえたものであるとはいえない。 イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (ア)特許法第29条第2項について 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、上記取消理由通知にて採用した文献のほか、甲2号証、甲4号証~甲10号証、甲12号証~甲19号証、及び、甲21号証を挙げ、本件発明1~6が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであると主張している。 しかしながら、上記文献のいずれにも「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びイソボロニル(メタ)アクリレートを含む光重合性モノマー」に関する記載が無いから、かかる主張には理由がない。 (イ)特許法第17条の2第2項第3号について 申立人は、平成28年9月27日付け手続補正書によってなされた補正により、請求項1に追加された「(a)2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートの少なくとも1種」なる事項が、願書に最初に添付された特許請求の範囲、及び、明細書に記載されていないため、当該補正は、第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであると主張している。 しかしながら、訂正事項1により、当該主張に係る事項における「2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート」なる記載が削除されたため、この申立理由が解消したことは明らかである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700597

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