特許異議申立
2017-700582
水質改善方法及びその装置
- 審判番号
- 2017-700582
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-078273外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月09日
- 審決日
- 2017年08月30日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 維持
- 分類
- P1651.121-Y (C02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6047518号発明「水質改善方法及びその装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6047518号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6047518号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成26年4月6日に特許出願され、平成28年11月25日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人 阿比留 成正により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第6047518号の請求項1ないし7の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明7」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
給水口より処理前の水を取り込む吸水工程と、
吸気口より取り込んだ空気を圧縮して酸素量を増加させながら吸気する吸気工程と、
前記吸気工程において取り込んだ圧縮空気を、イオン発生装置によりイオン化するイオン化工程と、
前記イオン化工程を経てイオン化された圧縮空気の流路と、前記吸水工程により取り込んだ前記処理前の水の流路とを連結口で連結し、気液混合流体を得て、
前記気液混合流体を渦乱流発生装置を用いてマイクロバブル化する混合工程と、
該マイクロバブル化された前記気液混合流体を吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させ、更に微細気泡化を図る加速噴射工程と、
から成ることを特徴とする水質改善方法。
【請求項2】
前記の水質改善方法において、
充填されたゼオライト粉末に窒素成分を吸着させ、酸素濃度を増加させる酸素濃縮装置を使用し、前記吸気工程で取り込んだ空気の酸素濃度を高める酸素濃縮工程を、前記イオン化工程の前工程として行なうことを特徴とする請求項1に記載の水質改善方法。
【請求項3】
前記の水質改善方法において、
各工程間若しくは全工程の前後の処理水の流路内に、該処理水に育成光線を照射する育成光線放射工程を備えたことを特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載の水質改善方法。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかに係る水質改善方法を実施するための装置であって、
前記吸水工程において、前記吸水口から前記処理前の水を吸引し送水管に圧送するための吸水ポンプと、
前記吸気工程において、吸気口から大気中の空気を吸引し送気管を介してイオン発生装置にその空気を圧縮して酸素量を増加させながら供給するためのエアーポンプと、
前記エアーポンプによって供給された空気をイオン化するイオン発生装置と、
前記混合工程において、前記イオン発生装置によりイオン化された圧縮空気の流路である送気管と前記吸水ポンプにより給水された処理前の水の流路である前記送水管とを連結する連結口、及び、渦乱流発生装置、
とを設け、
前記加速噴射工程において、前記吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させる加速噴射装置、
を備えたことを特徴とする水質改善装置。
【請求項5】
空気中の窒素を吸着除去することで気体の酸素分率を高めるための酸素増量装置を前記イオン発生装置の上流側に配備したことを特徴とする請求項5に記載の水質改善装置。
【請求項6】
前記処理前の水を取り込む前記吸水口から前記処理後の水が吐き出される吐出口に至る送水管のいずれかの位置に、育成光線放射セラミック収納管を設けたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水質改善装置。
【請求項7】
前記イオン発生装置内に装備したイオン発生手段が、空気をイオン化する性能を有するセラミック鉱物を蒟蒻繊維に分散した多孔性結合体チップの収納管を備えていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の水質改善装置。
第3 異議申立の理由について
特許異議申立人は以下の甲各号証を証拠として提出し、概ね次のように主張する。
<申立理由の概要>
本件発明1-7に係る特許は、同発明が、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし4号証に記載された技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
<証拠>
甲第1号証:特開2011-173106号公報
甲第2号証:特開2009-160489号公報
甲第3号証:特開2011-224529号公報
甲第4号証:特開2002-65835号公報
第4 当審の判断
1.甲第1号証の記載
甲第1号証には以下の記載がある。
(ア)「【0001】本発明は、水中の溶存酸素濃度を増加させると共に、増加した溶存酸素濃度を長時間に亘って維持することができる溶存酸素濃度増加装置に関する。」
(イ)「【0002】近年、水に酸素を加え、通常よりも高濃度の溶存酸素水として養魚や植栽等に活用する技術が多く開示されている。例えば、水槽から汲み出した水と生成された高濃度の酸素とを一緒にポンプで送り込み、圧力を加えながら酸素を水に溶解させて酸素水を生成し、この酸素水を水槽内にマイクロバブル発生ノズルを介して送り込む技術が提案されている・・・」
(ウ)「【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成で水中の溶存酸素濃度を増加させると共に、増加した溶存酸素濃度を長時間に亘って維持することができる溶存酸素濃度増加装置を提供することを目的とする。」
(エ)「【0005】上記課題を解決するために本発明の溶存酸素濃度増加装置は、容器内もしくは池等の水を汲み上げる自吸式ポンプと、気体を導入するコンプレッサーと、この導入された気体から高濃度の酸素を供給する酸素窒素分離器と、前記自吸式ポンプで汲み上げられた水を容器内もしくは池等に還元するパイプの先端に設けられ、かつこの水に前記酸素窒素分離器
からの高濃度の酸素を供給して酸素濃度の高くなった酸素水を噴出するマイクロバブル発生ノズルとを備え、このマイクロバブル発生ノズルは、前記酸素水の流入部とこれよりも径が小さい絞り部と、この絞り部の先端に流出する酸素水を渦流状態に撹拌しながら放出する略球形貯留部を配設して構成し、高濃度酸素を混入した水をマイクロバブル発生ノズルで前記容器内もしくは池等の水中に還元して高濃度に酸素を溶存させるようにした構成としたものである。従って、容器内もしくは池等の水に高濃度の酸素を混入して溶存させることができるという作用を有することとなる。」
(オ)「【0008】・・・この装置を活用することによって河川の汚れやメタンガスの発生している汚水、ヘドロ等の浄化、魚貝等の養殖、植栽等の発育促進に効能が得られるといったような多くの作用効果が得られる。」
(カ)「【0009】・・・また、上記では容器1内の水を循環させるようにしているが、これに限定されるものではなく、池や川等の水を対象にすることも含まれるものである。・・・」
(キ)「【0010】図2はマイクロバブル発生ノズル7の断面図を示し、中央に酸素水の流通孔が形成された円柱形をなし、この流通孔の上流側に約20φの流入部8と下流側に約5~8φの絞り部9が形成されている。さらに、本発明のマイクロバブル発生ノズル7は上記絞り部9の先端に酸素水の略球形貯留部10を配設したものである。そしてこの略球形貯留部10の先端の略中央部に3~5φの噴出孔11が形成されている。オゾン供給器6で高濃度の酸素が送り込まれた酸素水は、マイクロバブル発生ノズル7へと送り込まれるが、流入部8では酸素水中の気泡は約1cm位だが、絞り部9を通って酸素水の略球形貯留部10へと注入され、球形に沿って渦流状態に撹拌されるため流入部に送り込まれた気泡の径の10~30%位までの1~3mm位に細分化される。そのため気泡の表面積が増加して容易に水中に溶け込み易くなる。さらに、略球形貯留部10の噴出孔11から高圧で放出されることで容器1内の気泡が10~30μにまで微細化され、気泡の表面積が格段に増加して容易に水中に溶け込み、水中の溶存酸素濃度を増加させると共に気泡が微細化されているため増加した溶存酸素濃度を長時間に亘って維持することができるようになる。上記した略球形貯留部10の噴出孔11は、軸心からずらした位置に形成してもよく、さらに複数個形成しても上記と同様の作用効果が得られる。」
(ク)以下に、それぞれ「溶存酸素濃度増加装置のブロック図」、「マイクロバブル発生ノズルの断面図」(【0013】)と題された【図1】、【図2】を示す。
2.甲第1号証に記載された発明
甲第1号証の記載事項(エ)には、「溶存酸素濃度増加装置」の構成について記載されているが、「水」と「気体」の処理に着目すれば、「溶存酸素濃度増加方法」について記載されているとみることができる。
そこで、同(エ)、同(カ)、及び、同(ク)の【図1】をみていくと、同「方法」においては、
i)「自吸式ポンプ」により「容器内もしくは池や川等の水を汲み上げる」工程があり、
ii)「コンプレッサー」により「気体を導入」しつつ圧縮して「この導入された気体から高濃度の酸素を供給する酸素窒素分離器」を用いて酸素量を増やしつつ「気体を導入」する工程があり、
iii)酸素量の増えた圧縮された「気体」と「汲み上げ」られた「水」を「容器内もしくは池や川等に還元するパイプの先端」に「供給」し、「酸素濃度の高くなった酸素水」を得て、同「水」を「マイクロバブル発生ノズル」に送り込む工程があり、
iv)同(キ)の記載及び同(ク)の【図2】から、「マイクロバブル発生ノズル」は、「球形に沿って渦流状態に撹拌」されて「気泡の径」が「1~3mm位に細分化」される「略球形貯留部10」を有し、
v)「略球形貯留部10の噴出孔11から高圧で放出されることで容器1内の気泡が10~30μにまで微細化」すなわちマイクロバブル化されて放出される工程、
が行われることが理解される。
vi)以上から、本件請求項1の記載に則して整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「自吸式ポンプにより容器内もしくは池や川等の水を汲み上げる工程と、
コンプレッサーにより気体を導入しつつ圧縮して、この導入された気体から高濃度の酸素を供給する酸素窒素分離器を用いて酸素量を増やしつつ気体を導入する工程と、
酸素量の増えた圧縮された気体と汲み上げられた水を容器内もしくは池や川等に還元するパイプの先端に供給し、酸素濃度の高くなった酸素水を得て、同酸素水を球形に沿って渦流状態に撹拌される略球形貯留部で気泡の径が1~3mm位に細分化する工程と、
略球形貯留部の噴出孔から高圧で放出されることで容器内の気泡が10~30μにまでマイクロバブル化されて放出される工程と、
から成る溶存酸素濃度増加方法。」
3.本件発明1と引用発明との対比
i)甲第1号証の記載事項(カ)から、引用発明の被処理水は「池や川等の水」であるので、それらの水は本件発明1の「処理前の水」といえる。
よって、引用発明の「自吸式ポンプにより池や川等の水を汲み上げる工程」は、本件発明1の「給水口より処理前の水を取り込む吸水工程」に相当する。
ii)引用発明の「気体を導入する工程」は「吸気口」を当然に介するものである。
よって、引用発明の「コンプレッサーにより気体を導入しつつ圧縮して、この導入された気体から高濃度の酸素を供給する酸素窒素分離器を用いて酸素量を増やしつつ気体を導入する工程」は、本件発明1の「吸気口より取り込んだ空気を圧縮して酸素量を増加させながら吸気する吸気工程」に相当する。
iii)引用発明の「酸素濃度の高くなった酸素水」は、「酸素量の増えた圧縮された気体」と「汲み上げられた水」を混ぜて得られるものだから、本件発明1の「気液混合流体」に相当する。
そして、「酸素濃度の高くなった酸素水」は「酸素量の増えた圧縮された気体と汲み上げられた水を池や川等に還元するパイプの先端に供給」することで得られるから、引用発明の「酸素量の増えた圧縮された気体と汲み上げられた水を池や川等に還元するパイプの先端に供給し、酸素濃度の高くなった酸素水を得」ることは、本件発明1の「圧縮空気の流路と、前記吸水工程により取り込んだ前記処理前の水の流路とを連結口で連結し、気液混合流体を得」ることに相当する。
iv)引用発明の「渦流状態に撹拌される略球形貯留部」は、本件発明1の「渦乱流発生装置」に相当するから、引用発明の「同酸素水を球形に沿って渦流状態に撹拌される略球形貯留部で気泡の径が1~3mm位に細分化する工程」と本件発明1の「前記気液混合流体を渦乱流発生装置を用いてマイクロバブル化する混合工程」とは、「前記気液混合流体を渦乱流発生装置を用いて混合する工程」である点で一致する。
v)引用発明の「略球形貯留部の噴出孔から高圧で放出されることで容器内の気泡が10~30μにまでマイクロバブル化されて放出される工程」では、甲第1号証の記載事項(ク)の【図2】から、「略球形貯留部」の大きさに対して「噴出孔」は「絞り込ん」だ大きさのものということができ、「放出」は「池や川等」の水中に噴射され、「気泡の径」が「1~3mm位」から「10~30μにまでマイクロバブル化」されるから、さらに微細化されているものといえる。
すると、引用発明の「略球形貯留部の噴出孔から高圧で放出されることで容器内の気泡が10~30μにまでマイクロバブル化されて放出される工程」と、本件発明1の「該マイクロバブル化された前記気液混合流体を吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させ、更に微細気泡化を図る加速噴射工程」とは、「前記気液混合流体を吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させ、更に微細気泡化を図る加速噴射工程」である点で一致する。
vi)引用発明の「溶存酸素濃度増加方法」は、甲第1号証の記載事項(イ)や(オ)から、「河川の汚れやメタンガスの発生している汚水、ヘドロ等の浄化、魚貝等の養殖、植栽等の発育促進に効能が得られる」ものだから、本件発明1の「水質改善方法」に相当する。
vii)以上から、本件発明1と引用発明とは、
「給水口より処理前の水を取り込む吸水工程と、
吸気口より取り込んだ空気を圧縮して酸素量を増加させながら吸気する吸気工程と、
圧縮空気の流路と、前記吸水工程により取り込んだ前記処理前の水の流路とを連結口で連結し、気液混合流体を得て、前記気液混合流体を渦乱流発生装置を用いて混合する工程と、
前記気液混合流体を吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させ、更に微細気泡化を図る加速噴射工程と、
から成る水質改善方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)「気液混合流体」を形成する「圧縮空気」について、本件発明1では、「前記吸気工程において取り込んだ圧縮空気を、イオン発生装置によりイオン化するイオン化工程」を経たものであるのに対して、引用発明では、「酸素量の増えた圧縮された気体」であって「イオン化」されていない点。
(相違点2)「前記気液混合流体を渦乱流発生装置を用いて混合する工程」について、本件発明1では「マイクロバブル化する」ものであるのに対して、引用発明では「気泡の径が1~3mm位に細分化する」ものである点。
(相違点3)「前記気液混合流体を吐出口の口径を絞り込んで水中へ加速噴射させ、更に微細気泡化を図る加速噴射工程」について、本件発明1では「加速噴射」される「気液混合流体」の「気泡」は「マイクロバブル」であるのに対して、引用発明では「高圧で放出」される「酸素濃度の高くなった酸素水」の「気泡の径が1~3mm位」である点。
4.相違点の検討
相違点1について検討する。そのため、まず、甲第2号証をみてみる。
i)甲第2号証には、「【請求項1】空気を供給するための送風手段と、マイナスイオンを発生するためのイオン発生手段と、前記マイナスイオン含む前記空気を送風するための散気管と、前記散気管から前記マイナスイオンを含む前記空気を注入して、廃液の浄化を行うために前記廃液を蓄え処理するための処理槽とからなる廃液の浄化装置であって、前記イオン発生手段は、コロナ放電で前記マイナスイオンを発生させるために、電源のマイナス電極に接続された1つ又は複数の電極と、前記電源のプラス電極に接続され、導電性のある材質で形成され内部に区画された空間を備えた発生筒とからなることを特徴とする廃液の浄化装置。」について記載され、当該「浄化装置」は「飲食店等の厨房の廃液から油分等を取り除き処理する」(【0001】)ためのものである。
すなわち、甲第2号証には、コロナ放電で発生させたマイナスイオンを含む空気を飲食店等の厨房の廃液中に注入して油分等を取り除き処理するという技術手段が記載されているといえる。
ii)次に、甲第3号証をみてみる。
甲第3号証には、「【請求項1】規定の周波数の遠赤外線領域の電磁波を発振する物質を組み込んだ吸引フィルターと、自給能力のあるポンプと、空気から高濃度の酸素を分離供給する酸素窒素分離機と、前記の吸引フィルターを介してポンプで吸引された水槽や池等の原水と前記の酸素窒素分離機から吐出される高濃度の酸素を攪拌混合する微細気泡発生ノズルで構成され、高濃度に酸素を溶存した水を水槽や池等の原水に循環還元し、原水を溶存酸素量の多い水にすることを特徴とする水中溶存酸素増加装置。」について記載され、「遠赤外線領域の電磁波を放射された水は、水分子間の水素結合の電子が励起され水中に放出され水の酸化還元電位を還元側になり、また水中に放出された電子は、空気中にも放出され、空気中の窒素の外郭に取り込み、その結果、窒素がマイナスイオン化して活性化される。」(【0010】)と記載されている。
すなわち、甲第3号証には、水槽や池等の原水に遠赤外線領域の電磁波を放射すると、水中溶存酸素が増加し、空気中の窒素をマイナスイオン化するという技術手段が記載されているといえる。
iii)そこで特許異議申立人は、引用発明、甲第2及び第3号証に記載の技術手段は、いずれも空気を注入して水を浄化する方法という点で共通し、甲第3号証に記載の技術手段において、原水中のマイナスイオンが増加すれば溶存酸素も増加するのだから、甲第2号証に記載の技術手段においてもマイナスイオンを含む空気が注入された廃液中の溶存酸素は増加しているといえるはずで、溶存酸素を増加させることを目的とする(甲第1号証の記載事項(ア)~(ウ)を参照。)引用発明において、甲第2号証に記載の技術手段を適用して本件発明1をなすことは当業者が容易に成し得ることである旨を主張する。
iv)そこで、甲第2号証及び甲第3号証に記載の技術手段について検討するに、上記でみたように、甲第3号証に記載の技術手段は、原水に遠赤外線領域の電磁波を放射すると、水中溶存酸素が増加し、空気中の窒素をマイナスイオン化するというものであるのに対して、甲第2号証に記載の技術手段は、コロナ放電で発生させたマイナスイオンを含む空気を液中に注入して油分等を取り除き処理するという技術手段である。
すると、マイナスイオンを発生させる手段において、甲第3号証に記載の技術手段は原水に対する遠赤外線領域の電磁波放射によるものであるのに対して、甲第2号証に記載の技術手段は空気に対するコロナ放電によるものなので、両者はそもそもマイナスイオンの発生メカニズムが異なり、しかも発生するマイナスイオンが同等のものであるのかも不明であるので、前者において水中溶存酸素がマイナスイオンにより増加するからといって、後者においても水中溶存酸素がマイナスイオンにより増加するとまでいうことはできない。
また、引用発明は、上記のように溶存酸素を増加させて河川水等を浄化させるものであるのに対して、甲第2号証に記載の技術手段は、飲食店等の厨房の廃液から油分等を取り除くためのものであって、両者はもともとその目的が相違し、引用発明に甲第2号証に記載の技術手段を適用する動機付けがない。
v)そして、甲第4号証には「こんにゃくいもの精粉、またはこんにゃくの生玉とトルマリン微粉末および炭微粉末を基材とし、更に遠赤外線放射特性を有するセラミックス微粉末を添加材とするマイナスイオン生成体の製造方法」(【0001】)について記載されているにすぎない。
vi)したがって、相違点1は、本件発明1と引用発明との実質的な相違点であり、本件発明1は、引用発明1に甲第2ないし4号証に記載の技術手段を適用して当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び甲第2ないし4号証に記載された技術手段に基いて当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
5.結言
以上から、本件発明1は、甲第1~4号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、本件発明2ないし7は、直接又は間接的に本件発明1を引用した上でさらに特定事項を追加して発明を減縮するものであるから、本件発明1と同様に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700582