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特許異議申立

2017-700195

航空機設計方法、航空機設計プログラム及び航空機設計装置

審判番号
2017-700195
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-200622外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月27日
審決日
2017年05月16日
公報発行日
2017年07月28日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (G06F) / P1651.121-Y (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5981510号発明「航空機設計方法、航空機設計プログラム及び航空機設計装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5981510号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 1. 手続の経緯 本件特許第5981510号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項8に係る特許についての出願は、平成26年9月30日に特許出願され、平成28年8月5日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成28年8月31日)がされ、その後、その特許に対し、平成29年2月27日に特許異議申立人の日高賢治により特許異議の申立てがされたものである。 2. 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし請求項8に係る発明(以下、項番にしたがい、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお、1Aないし8Gの記号については、説明のために、異議申立人が付したものを参考に当審で付与したものである。以下、「構成1A」、「構成2A」などと称することにする。 【請求項1】 1A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計方法であって、 航空機設計装置が、 1B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータの値を設定する設計パラメータ設定工程と、 1C 前記設計パラメータの値を用いて空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成し、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算する解析工程と、 1D 前記解析工程での解析結果が、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たすか否かを判定する判定工程と、 1E 前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていないと判定された場合に、前記設計パラメータの値を最適化しつつ更新する設計パラメータ更新工程と、 を実行し、 1F 前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていると判定されるまで、前記解析工程、前記判定工程及び前記設計パラメータ更新工程を繰り返し、 1G 前記判定工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 1H を特徴とする航空機設計方法。 【請求項2】 2A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計方法であって、 航空機設計装置が、 2B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータに複数の値を設定する設計パラメータ設定工程と、 2C 前記設計パラメータ設定工程で設定された前記設計パラメータの各値について、空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成して、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算し、前記設計パラメータの複数の値に対応する複数のサンプリング解析結果を得る解析工程と、 2D 前記解析工程で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成する応答曲面生成工程と、 2E 前記応答曲面生成工程で生成された空力特性及びRCS特性の各応答曲面に基づいて、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たす前記設計パラメータの最適解を探索する解探索工程と、 を実行し、 2F 前記解探索工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 2G を特徴とする航空機設計方法。 【請求項3】 3A 前記航空機設計装置が、 前記解探索工程で求めた前記設計パラメータの解を用いて空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成し、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を再計算する第二解析工程と、 3B 前記第二解析工程での解析結果を、前記応答曲面生成工程で生成された応答曲面から求めた空力特性及びRCS特性と比較し、この比較結果に基づいて当該応答曲面が所要の精度を有しているか否かを判定する判定工程と、 をさらに実行し、 3C 前記判定工程において前記応答曲面が所要の精度を有していないと判定された場合に、前記設計パラメータに新たな値を追加して前記解析工程及び前記応答曲面生成工程の処理を実行し、前記応答曲面を更新することを特徴とする請求項2に記載の航空機設計方法。 【請求項4】 4A 前記設計対象がインテークダクトであることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の航空機設計方法。 【請求項5】 5A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計プログラムであって、 コンピュータに、 5B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータの値の設定を受け付ける設計パラメータ設定機能と、 5C 前記設計パラメータの値を用いて空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成し、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算する解析機能と、 5D 前記解析機能での解析結果が、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たすか否かを判定する判定機能と、 5E 前記判定機能により前記解析機能での解析結果が前記設計条件を満たしていないと判定された場合に、前記設計パラメータの値を最適化しつつ更新する設計パラメータ更新機能と、 を実現させ、 5F 前記判定機能により前記解析機能での解析結果が前記設計条件を満たしていると判定されるまで、前記解析機能、前記判定機能及び前記設計パラメータ更新機能を繰り返す処理を実行し、 5G 前記判定機能は、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 5H を特徴とする航空機設計プログラム。 【請求項6】 6A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計プログラムであって、 コンピュータに、 6B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータに対する複数の値の設定を受け付ける設計パラメータ設定機能と、 6C 前記設計パラメータ設定機能で設定された前記設計パラメータの各値について、空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成して、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算し、前記設計パラメータの複数の値に対応する複数のサンプリング解析結果を得る解析機能と、 6D 前記解析機能で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成する応答曲面生成機能と、 6E 前記応答曲面生成機能で生成された空力特性及びRCS特性の各応答曲面に基づいて、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たす前記設計パラメータの最適解を探索する解探索機能と、 を実現させ、 6F 前記解探索機能は、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 6G を特徴とする航空機設計プログラム。 【請求項7】 7A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計装置であって、 7B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータの値を設定する設計パラメータ設定手段と、 7C 前記設計パラメータの値を用いて空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成し、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算する解析手段と、 7D 前記解析手段での解析結果が、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たすか否かを判定する判定手段と、 7E 前記判定手段により前記解析手段での解析結果が前記設計条件を満たしていないと判定された場合に、前記設計パラメータの値を最適化しつつ更新する設計パラメータ更新手段と、 を備え、 7F 前記判定手段により前記解析手段での解析結果が前記設計条件を満たしていると判定されるまで、前記解析手段、前記判定手段及び前記設計パラメータ更新手段での処理を繰り返し、 7G 前記判定手段は、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 7H を特徴とする航空機設計装置。 【請求項8】 8A 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計装置であって、 8B ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータに複数の値を設定する設計パラメータ設定手段と、 8C 前記設計パラメータ設定手段で設定された前記設計パラメータの各値について、空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成して、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算し、前記設計パラメータの複数の値に対応する複数のサンプリング解析結果を得る解析手段と、 8D 前記解析手段で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成する応答曲面生成手段と、 8E 前記応答曲面生成手段で生成された空力特性及びRCS特性の各応答曲面に基づいて、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たす前記設計パラメータの最適解を探索する解探索手段と、 を備え、 8F 前記解探索手段は、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項と RCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行うこと 8G を特徴とする航空機設計装置。 3. 申立理由の概要 本件特許に対する異議申立理由の概要は、次のとおりである。 3.1 異議申立理由1 本件特許発明1,5,7は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。 3.2 異議申立理由2 本件特許発明1,5,7は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証ないし甲第5号証の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.3 異議申立理由3 本件特許発明2,6,8は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証ないし甲第7号証の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.4 異議申立理由4 本件特許発明3は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証ないし甲第7号証の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.5 異議申立理由5 本件特許発明4は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証ないし甲第7号証の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.6 引用文献 甲第1号証 : K.Srinivas,D.S.Lee,L.F Gonzalez,and J.Periaux,”MULTIDISCIPLINARY DESGIN OPTIMISATION OF JOINT-UCAV USING HAPMOEA WITH UNCERTAINTY”,West-East High Speed Flow Field Conference 2007 (Moscow,Russia),2007年11月19日~22日 甲第2号証 : B.Probert,DTIC ADPO10508:”Aspects of Aerodynamic Optimization for Military Aircraft Design”,Aerodynamics Design and Optimization of Flight Vehicles in a Concurrent Multi-Disciplinary Environment, Defense Technical Information Center,2000年6月1日,pp.11-1~11-12 甲第3号証 : Hu Tianyuan,Yu Xiongqing,”Aerodynamic/Stealthy/ Structural Multidisciplinary Design Optimization of Unmanned Combat Air Vehicle”,Chinese Journal of Aeronautics 22 (2009),Elsevier Ltd.,2009年8月,pp.380-386 甲第4号証 : 中国特許出願公開第104008260号明細書 甲第5号証 : Daniel L.DiCara.,”Development of an Aerodynamic/RCS Framework for the Preliminary Design of a Hypersonic Aircraft”,MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY,Submitted to the Department of Aerospace Engineering in partial fulfillment of the requirements for the degree of Master of Science in Aerospace Engineering,2009年8月26日,pp.1-60 甲第6号証 : Wayne Hurwitz and Shane Donovan, AIAA 2012-5491 ”A Systems Engineering Approach to the Application of Multidisciplinary Design,Analysis and Optimization (MDAO) for Efficient Supersonic Air-Vehicle Exploration (ESAVE)”,12th AIAA Aviation Technology, Integration, and Operations (ATIO) Conference and 14th AIAA/ISSM,American Institute of Aeronautics and Astronautics,2012年9月17日~19日 甲第7号証 : 大林茂,「進化計算による多目的最適化と工学設計」,計測と制御,社団法人計測自動制御学会,第47巻,第6号,2008年6月10日,pp.480-486 4. 引用文献の記載 4.1 甲第1号証について 4.1.1 甲第1号証の記載 甲第1号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 ア.「4. OPTIMISATION RATIONALE AND ALGORITHMS In this section, authors present the algorithms for the application of the aerodynamic shape optimisation using HAPEA. The optimisation process consists of the four main steps as illustrated in Algorithm 1. In the first stage, the design variables, design constraints, flow conditions and fitness functions are defined and then an initial population of wing geometries is generated at random. It iteratively performs until the termination criterion has been satisfied in third stage. During the iterations, the algorithm including precise, intermediate and approximate models is chosen from the hierarchical topology and computed and then a fitness value is assigned using cost function. The new population is created by applying two primary operations such as mutation and recombination. The mutation operation simply flips random bits within the population with a small probability. The crossover operation takes two individuals and produces two new individuals by swapping the portions of genetic material. The termination takes place when the prescribed number of function evaluations is reached or when the fitness value goes below a prescribed number. The last stage is the designation of result such as best-so-far individual, non-dominated individual so called Pareto-front and then the optimisation process is terminated. Algorithm 2 illustrates the wing aerofoil sections and planform shape design optimisation that initiates with generating the individual design variables. The design variables of aerofoil sections consist of the mean line control points and thickness control points. The aerofoil sections are generated using Bezier curve functions and they will be placed at three/four sections such root, crank (1 and 2) and tip. For the wing design variables, the sweep angles, taper ratios and the break points are considered. RCS of the model is calculated by POFACETs. The wing geometries are computed using FLO22 + FRICTION at desired flow condition. The aerodynamics characteristics and RCS are obtained and the fitness functions are computed.」(4頁15行~5頁4行) (邦訳) 「4.最適化の理論的解釈及びアルゴリズム このセクションでは、著者はHAPEAを使用した空力形状の最適化に適用するアルゴリズムについて記す。最適化プロセスは、アルゴリズム1に示すように主に4つのステップから成る。第1ステップでは、設計変数、設計制約、気流条件、適応度関数が定義され、その後、翼形状の初期集団がランダムに生成される。アルゴリズムは、第3ステップで終了基準が満たされるまで反復的に行われる。この反復の間に、精密モデル、中間モデル、近似モデルを含むアルゴリズムが、階層的な構造から選択されて演算され、そして目的関数を使用して適応度の値が指定される。この新しい集団は、例えば突然変異及び組み換えの2つの基本操作を行なうことで作られる。突然変異操作では、単に可能性の低い集団内のビットを無作為に反転する。交叉操作では、2つの個体の遺伝物質の部分を入れ替えることで2つの新しい個体を生成する。関数評価が所定回数行なわれる、または、適応度の値が所定数値を下回ると、反復を終了する。最後のステップでは、例えば、所謂パレートフロントと呼ばれる、現段階で最良の個体や優越個体といった結果を指定し、最適化プロセスを終了する。 アルゴリズム2は、翼の翼型断面及び平面形状の設計の最適化を示し、この最適化は個体設計変数の生成によって起動する。翼型断面の設計変数は、翼型中心線制御点及び厚み制御点で構成される。翼型断面は、ペジエ曲線関数を使用して形成されており、3又は4つの断面、例えば、翼根、クランク(1および2)及び翼端に配置される。翼の設計変数には、スイープ角度、テーパ比、およびブレークポイントが考慮される。モデルのRCSは、POFACETによって算出される。翼形状は、所望の気流条件下でFL022+FRICTIONを使用して演算される。空力特性及びRCSが求められ、適応度関数が演算される。」 イ.「 」(5頁) (邦訳) 「 」 ウ.「6.4. Multi-Disciplinary Design Optimisation of J-UCAV under Uncertainty Problem Definition In this case, a possible computational strategy is to estimate the variability of input parameters by the mean and variance values of the objective function associated with the design optimisation procedure. This test case considers the design and optimisation of J-UCAV wing aerofoil sections and planform geometry operating at variability of flight conditions including Mach (M), angle of attack (α) and altitude (ATI). The objectives are the minimisation of the mean and variance of inverse lift to drag ratio at Mx∈[Mb-ε,Mb,Mb+ε],αx∈[αb-ε,αb,αb+ε] and ATIx∈[ATIb-ε,ATIb,ATIb+ε] where Mb,αb,ATIb are the standard design point while the value of RCS (bi-static) is minimised for ingress operating conditions. The flight conditions are as follows; Mxi∈[0.78,0.79,Mb=0.80,0.81,0.82] αxi∈[2.900,2.659,αb=2.417,2.175,1.933] ATIxi∈[7269,6663,ATIb=6058,5452,4846] The fitness functions are; where incident direction at φ=90°and θ=135°, φ=[0°:0°:0°],θ=[0°:3°:360°] Design Variables The aerofoil section design variables are the control points of mean and thickness distributions at four spanwise stations as described in figures 5 and 6. Sixty eight control points are considered for aerofoil section design. Two thickness ratio constraints are considered at 20%c and 80%c and they are the same as baseline design. Nine design variables that define wing configurations are considered (λR-C1,λC1-C2,λC2-T,ΛR-C1,ΛC1-C2,ΛC2-T,SR-C1,SC1-C2,SC2-T). Two crank positions (C1 and C2) and wing span (b) are recalculated without washout and dihedral effects. The upper and lower design bounds are illustrated in table 6. Seventy seven design variables are considered in total. Implementation The FLO22+FRICTION solvers are utilised and the following specific parameters are considered for HAPMOEA-L3. First Layer   Population size of 15 and intermediate recombination Computational grid of 96 × 12 × 16 cells on the FLO22 solver Second Layer  Population size of 40 and intermediate recombination Computational grid of 82 × 12 ×16 cells on the FLO22 solver Third Layer   Population size of 60 and intermediate recombination Computational grid of 68 × 12 × 16 cells on the FLO22 solver Results The algorithm was allowed to run approximately for 1610 function evaluations and took 150 hours on two 1.8 GHz processors. The resulting Pareto set is shown in figure 14 where the black inverse triangle represents the best solution for fitness function1. The light blue triangle and red square show the best solutions for the second and third fitness. Table 7 compares the aerodynamic quality in terms of performance and sensitivity between Pareto members (1, 6, 7 and 10) and the baseline. The mean of inverse lift to drag ratios of Pareto members are reduced about 50% which means that the ratio of lift to drag is twice better than the baseline design. It also can be seen that Pareto members 1 to 10 produced 38% to 32% lower bi-static RCS when compared to the baseline design. The wing planform shapes of the Pareto front are illustrated in figure 15 where it can be seen that all Pareto member wing configured aero-diamond and delta shape due to the fitness function 1 bi-static RCS. The most Pareto members contain higher leading edge sweep angles when compared to the baseline design. Table 8 compares the parameters of wing configurations between Pareto members (1, 6, 7 and 10) and the baseline design. The aspect ratios of Pareto members are increased by 25% and the taper ratios at crank 1 and tip section are similar to the baseline design while taper ratios at crank 2 positions have a 22% decrement. Pareto member 7 is selected for further evaluation since it produces lower observability at both mono and bi-static radar signatures while other Pareto members produced lower RCS only at bi-static radar system.」(13頁1行~15頁18行) (邦訳) 「6.4. 不確実な状況下におけるJ-UCAVの複合領域設計最適化 問題提起 この場合、見込みのある演算戦略としては、設計最適化手順に関連付けられた目的関数の平均及び分散値に基づいて入力パラメータの変動性を推定することである。このテストケースでは、マッハ(M)、迎角(a)、高度(ATI)を含む多様な飛行条件下で使用されるJ-UCAVの翼の翼型断面及び平面の形状の設計及び最適化について考える。目的は、Mx∈[Mb-ε,Mb,Mb+ε],αx∈[αb-ε,αb,αb+ε] and ATIx∈[ATIb-ε,ATIb,ATIb+ε]での揚抗比の逆数の平均及び分散の最小化である。ここで、Mb,αb,ATIbは、標準設計点である一方、RCS(バイスタティック)の値は、進入操作条件のために最小化される。飛行条件は以下の通りである。 Mxi∈[0.78,0.79,Mb=0.80,0.81,0.82] αxi∈[2.900,2.659,αb=2.417,2.175,1.933] ATIxi∈[7269,6663,ATIb=6058,5452,4846] 適応度関数は、 ...(5)であり、 ここでの入射方向はφ=90゜ およびθ=135゜、φ=[0゜:0゜:0゜]、θ =[0゜:3゜:360゜]、 ...(6) ...(7) 設計変数 翼型断面設計変数は、図5及び図6に示されるような翼幅方向における4つの位置での中心と厚み分布の制御点てある。68個の制御点が翼型断面設計に考慮される。 2つの厚み比制約は、基本設計と同じく20%cと80%cとされる。翼構成を定義する9つの変数が考慮される(λR-C1,λC1-C2,λC2-T,ΛR-C1,ΛC1-C2,ΛC2-T,SR-C1,SC1-C2,SC2-T)。2つのクランク位置(C1およびC2)及び翼幅(b)は、ねじり下げと上反角の影響なしで再計算される。上下設計範囲を表6に示す。合計77個の設計変数が考慮される。 実施 FL022+FRICTIONソルバが使用され、以下の具体的なパラメータがHAPMOEA-L3のために考慮される。 第1層 集団サイズ15、中間組み換え FL022ソルバで96×12×16セルの演算格子 第2層 集団サイズ40、中間組み換え FL022ソルバで82×12×16セルの演算格子 第3層 集団サイズ60、中間組み換え FL022ソルバで68×12×16セルの演算格子 結果 このアルゴリズムでは約1610回の関数評価を実行し、2つの1.8GHzのプロセッサで150時間掛かった。図14に、結果として得られたパレートセットを示す。図14において、黒色の逆三角形は適応度関数1の最適解を表す。水色の三角形と赤色の正方形は、第2および第3適応度を示す。 表7は、性能と感度に関して、パレート部材(1、6、7、10)と基本設計の空力的品質を比較したものである。パレート部材の揚抗比の逆数の平均は約50%減少しており、これは揚抗比が基本設計に比べて2倍改善されたことを指す。また、パレート部材1~10が、基本設計と比べたとき、38%~32%低いバイスタティックRCSを生成したことも分かる。 パレートフロントの翼平面形状を図15に示す。図15では、適応度関数1でのバイスタティックRCSによって、全てのパレート部材の翼が、エアロダイアモンドやデルタ型に構成されている。ほとんどのパレート部材が、基本設計に比べて大きい前縁スイープ角度を持っている。表8では、パレート部材(1、6、7、10)と基本設計で翼構成のパラメータを比較している。パレート部材のアスペクト比は25%上昇し、クランク1と翼端部でのテーパ比は基本設計と同様であるが、クランク2の位置でのテーパ比は22%減少している。更なる評価のためにパレート部材7が選択される。これは、パレート部材7がモノとバイスタティックレーダシグネチヤの両方で低い可観測性を有しているのに対し、他のパレート部材はバイスタティックレーダシステムのみで低いRCSを生成したからである。」 4.1.2 甲1発明 上記「4.1.1 甲第1号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第1号証の記載事項について検討する。 (a) 甲第1号証には、文献のタイトル(「MULTIDISCIPLINARY DESGIN OPTIMISATION OF JOINT-UCAV USING HAPMOEA WITH UNCERTAINTY」 (邦訳)「不確実性HAPMOEAを用いた統合UCAVの多次元計画最適化」)のように、UCAV(Unmanned Combat Aerial Vehicles、無人戦闘機)の最適化設計方法について記載がある。具体的には、上記ア.のように、無人戦闘機の翼の空力形状の最適化設計について記載され、ソフトウェア(HAPEA)を用いて、上記イ.に示した「アルゴリズム1」及び「アルゴリズム2」によって設計が行われている。 したがって、甲1号証には、『無人戦闘機の翼形状を設計する設計方法』が記載されている。また、当該設計を『計算機』で行っていることは自明のことである。 (b) 上記ア.の記載、及び、上記イ.の記載によれば、「アルゴリズム1」及び「アルゴリズム2」による翼の形状の設計方法は、4つのステップから成っていることがみてとれる。 第1ステップでは、アルゴリズム1により、設計変数、設計制約、気流条件、適応度関数が定義され、その後、翼形状の初期集団がアルゴリズム2を用いてランダムに生成される。(明記はないが、この生成ステップが第2ステップであるといえる。) そして、アルゴリズム1に戻り、第3ステップが終了基準が満たされるまで反復的に行われる。この反復の間に、目的関数を使用して適応度の値が評価される。関数評価は所定回数行なわれ、適応度の値が所定数値を下回ると、反復を終了する。最後のステップ(すなわち、第4のステップであるといえる。)では、パレートフロント(現段階で最良の個体や優越個体といった結果)を演算している。 (c) 上記イ.の設計方法のうち、アルゴリズム2についてみると、まず、翼の形状の個体設計変数を取得し、階層的構造のノード(翼型表面制御点、翼形状グリッドサイズ)を決定し、それにより翼形状を生成している。その後、生成された翼形状においてPOFACETを実行しRCS特性が計算され、所望気流条件下でFLO22+FRICTIONを実行し翼形状が演算され、計算値が収束した場合に空力/RCS特性が取得される。収束されない場合には、個体設計変数を取得するところから再実行している。 収束した場合には、取得された空力/RCS特性が制約条件を満たしているか判断し、満たしていればそのまま、また、満たしていないときにはペナルティを課した上で、適応度関数を演算している。 その後、アルゴリズム1に戻り、初期集団を生成するステップに至っている。したがって、アルゴリズム2は、集団内の各個体を生成するためのルーチンとして、繰り返されて個体の個数を増加させて初期集団を形成するために用いられている。 したがって、甲第1号証には、『翼の形状に関する設計変数を取得し、翼形状の階層的構造のノードを決定』し、『決定されたノードを用いて翼形状を生成し、空力特性及びRCS特性を取得』し、『取得された空力特性及びRCS特性から適応度関数を演算』することが記載されているといえる。 (d) ここで、上記ウ.には、設計の具体例について記載があり、式(5)には、RCS特性を最小化するための適応度関数f1が、式(6)には、L/D(すなわち、技術常識から揚力と抗力の比であって空力特性を示しているものといえる。)の逆数を最小化するための適応度関数f2がそれぞれ示されている。 したがって、甲1号証には、『空力特性を表す適応度関数とRCS特性を表す適応度関数』が記載されている。 (e) 上記イ.の設計方法のうち、アルゴリズム1についてみると、まず、設計変数、設計制約、気流条件、適応度関数による最適化問題が定義されている。その後、上記(c)において検討したとおり、アルゴリズム2を介して初期集団が生成されている。 次に、終了基準が満たされているか判定される。すなわち、初期集団の適応度関数による適応度の値が所定数値を下回るまでその後の処理が繰り返され、所定数値を下回って終了基準を満たしたと判定された場合に、最適化のための結果を出力し最適化プロセスは終了される。 アルゴリズム1は、終了基準を満たしていないとき、その後の処理としてアルゴリズム2を実行する。アルゴリズム2の処理は、上記(c)と同様であり、各個体による設計変数から空力特性及びRCS特性の適応度関数を演算している。 その後、集団内の各個体の適応度が評価される。ここで、適応度が「No」のときには、終了基準の判定に戻り、終了基準を満たしているか判定されている。また、適応度が「Yes」のときには、突然変異と組み換えを行い新しい個体を生成し、パレートフロント(現段階で最良の個体や優越個体といった結果)の演算を行い、終了基準の判定に戻り、終了基準を満たしているか判定されている。 したがって、甲第1号証には、『翼の形状に関する設計変数を取得』し、『取得された設計変数の各値について、翼形状を生成し、空力特性及びRCS特性を取得』し、『取得された空力特性及びRCS特性から適応度関数を演算』し、『適応度が評価できるときには、演算結果から新しい個体を発生させて、空力特性及びRCS特性のパレートフロントを演算した後に終了基準を判定』し、また、『適応度が評価できないときには、終了基準を判定』し、『終了基準の判定は、適応度関数による適応度の値が所定数値を下回るか否かであり、終了基準が満たされないと判定されたときには、上記設計変数の取得を再び行い、終了基準を満たしたと判定されたときには、最適化のための結果を出力し最適化プロセスを終了』することが記載されている。 (f) まず、上記(a)~(d)の検討により、甲第1号証には、以下の無人戦闘機の設計方法の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。なお、a~gの記号については、説明のために当審が付与するものである。以下、「構成a」、「構成b」などと称することにする。 (甲1発明A) a 無人戦闘機の翼形状を設計する設計方法であって、 b 設計を行う計算機が、 c 翼の形状に関する設計変数を取得し、 d 翼形状の階層的構造のノードを決定し、 e 決定されたノードを用いて翼形状を生成し、空力特性及びRCS特性を取得し、 f 取得された空力特性及びRCS特性から適応度関数を演算する g 無人戦闘機の設計方法。 (f) また、上記(a)、(b)、(d)、(e)の検討により、甲第1号証には、以下の、無人戦闘機の設計方法の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。なお、a’~h’の記号については、説明のために当審が付与するものである。以下、「構成a’」、「構成b’」などと称することにする。 (甲1発明B) a’ 無人戦闘機の翼形状を設計する設計方法であって、 b’ 設計を行う計算機が、 c’ 翼の形状に関する複数の設計変数を取得し、 d’ 取得された設計変数の各値について、翼形状を生成し、空力特性及びRCS特性を取得し、 e’ 取得された空力特性及びRCS特性から適応度関数を演算し、 f’ 適応度が評価できるときには、演算結果から新しい個体を発生させて、空力特性及びRCS特性のパレートフロントを演算した後に終了基準を判定し、適応度が評価できないときには、終了基準を判定し、 g’ 終了基準の判定は、適応度関数による適応度の値が所定数値を下回るか否かであり、終了基準が満たされないと判定されたときには、上記設計変数の取得を再び行い、終了基準を満たしたと判定されたときには、最適化のための結果を出力し最適化プロセスを終了する、 h’ 無人戦闘機の設計方法。 4.2 甲第2号証について 4.2.1 甲第2号証の記載 甲第2号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 エ.「A further application is described below where the two disciplines involved are aerodynamics and radar signature. The case is simple in nature and attempts to assess the effect of aerofoil leading edge geometry on both the aerodynamics and Radar Cross Section, and whether a Pareto boundary exists for this type of interchange. The aerodynamic problem posed is to assess the off design effect of leading edge changes by estimating the low Mach number (M = 0.50) upper surface flow separation boundary - thus the incidence at which separation starts is to be maximised. As a prerequisite, at low incidence (0゜) a check is done to ensure that suction peaks on the lower surface also conform to a prescribed suction limit so that a 'high speed dash' can be achieved at low altitude. The RCS problem posed is that of an aircraft, flying at low altitude, approaching a ground based radar operating at 3GHz. Thus incident elevation angles are small (0.5゜to 1.5゜). The RCS is averaged over this incidence range. The problem is reduced to only three geometric design variables - the leading edge radius and the two angles which define the upper and lower surface blend point between the LE radius and the rest of the aerofoil. The latter is taken to be an elliptic profile back to the aerofoil maximum thickness on both surfaces. As these three variables are changed the leading edge droop or camber changes along with the curvature distribution. The flow process chart is shown in fig. 29. An Euler code has been used for the CFD calculations and a limiting pressure coefficient applied to derive the separation boundary. The RCS results were derived using a frequency domain code which solves Helmholtz' equation. The first results obtained, where the allowable range of each design variable was restricted are shown in fig. 30. A clear demarcation boundary is seen, though the number of cases is not large. Analysis of this data and additional runs indicated definite trends; also shown in fig. 30. It is interesting to note that an increase in nose radius affects both separation incidence and the RCS return, assisting the first and penalising the latter, as expected. However increasing Θupper dominantly affects the separation incidence by increasing the LE 'droop'. Increasing Θlower dominantly affects the RCS. Both of these are more subtle effects and can be used to counter or balance a LE radius change. Extending the allowable range of the design variables results in the fuller boundary of fig. 31, but there is still a clear Pareto boundary. Also shown in fig. 31 are the variations of the design variables along this boundary, with trends reflecting the comments made earlier. In particular the LE radius is allowed to increase to improve the aerodynamic performance without major impact on the RCS. This is since the lower surface angle is at its maximum and since the radar threat is from below. The above simple example has demonstrated the effectiveness of the FRONTIER system to easily obtain trends, exchange rates and Pareto frontiers. However many more evaluations and applications of increasing complexity are necessary to obtain a proper assessment.」(11-11頁6行~11-12頁13行) (邦訳) 「空気力学及びレーダシグネチヤの2つの分野が関連する他のアプリケーションを以下に説明する。このケースは性質上シンプルで、空気力学とレーダ反射断面積の両方に及ぼす翼型の前縁形状の影響と、このタイプのトレードオフにパレート境界が存在するか否かの検討を試みる。 提起される空気力学問題は、低マッハ数(M=0.50)の上面流の剥離境界を推測することで前縁変化の非設計点の影響を検討し、それによって剥離が開始する入射角を最大化することである。必須要件として、低入射角(0゜)で、下面上の吸引力ピークが所定の吸引限度を守っていることを保証するためにチェックを行い、低い高度で「高速ダッシュ」を達成できるようにする。 提起されるRCS問題は、低い高度で飛行し、3GHzで動作する地上設置レーダに接近中の航空機を対象とする。よって、入射仰角は小さい(0.5゜~1.5゜)。RCSはこの入射角範囲に亘って平均化される。 問題は3つの幾何学設計変数のみに絞られる。この変数は前縁半径及び2つの角度であり、LE半径とその他の翼型の間の上下面の交点を定義する。後者は、両面で最大厚度に戻る楕円形状となるようにとる。これらの3つの変数が変更されるにつれてドループ前縁又はキャンパーは曲率分布と共に変化する。この工程フローチャートを図29に示す。CFD計算及び剥離境界を導くのに使用される限界圧力係数には、Eulerコードが使用されてきた。 RCS結果は、ヘルムホルツ方程式を解く周波数領域コードを使用して導き出された。 最初に得られた結果では各設計変数の許容範囲が制限されており、これを図30に示す。 境界線がはっきりと見えるものの、ケースの数は多くない。このデータと、さらに加えて実行したものを解析すると明らかな傾向が表われ、これを同じく図30に示す。興味深いことに、機首の半径拡大は剥離入射角とRCSの反射の両方に影響するが、前者に対しては助長し、後者に対してはペナルティを課す。しかしながら、Θupperの増加は、LE「ドループ」を増やすことで、支配的に剥離入射角に影響する。Θlowerの増加は、支配的にRCSに影響する。これらの影響は両方共比較的わずかなもので、LE半径の変化に対抗する又はバランスをとるのに使用することができる。 設計変数の許容範囲を拡大すると、図31のように境界は広がるが、パレート境界はまだはっきりと残っている。図31にはさらに、この境界に沿った設計変数のばらつきが、上に述べた内容を反映する傾向と共に示されている。特にLE半径は、RCSに大きな影響を及ぼすことなく空力性能を高めるために拡大可能である。これは、下面が最大角度にあり、レーダ脅威が下方からくることに起因する。 上記のシンプルな例では、傾向、交換率、パレートフロントの取得の容易さに対するFRONTIERシステムの効果を実証した。しかしながら、正確に検討するにはさらに複雑な評価及びアプリケーションが必要である。」 4.2.2 甲第2号証記載の技術事項 上記「4.2.1 甲第2号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第2号証の記載事項について検討する。 (a) 甲第2号証には、文献のタイトル(「Aspects of Aerodynamic Optimization for Military Aircraft Design」 (邦訳)「軍用航空機設計のための空力最適化の側面」)のように、軍用航空機の最適化設計方法について記載がある。具体的には、軍用航空機の翼の空力形状の最適化設計について記載されている。ここで、アプリケーションにより設計を行っていることから、当該設計を『計算機』で行っていることは自明のことである。 甲第2号証には、翼型の前縁形状が空気力学とレーダ反射断面積(RCS)の両方に影響を及ぼすことが記載されている。そして、3つの幾何学的設計変数(前縁半径、剥離入射角、RCS)を変更しつつ、空気力学とレータ反射断面積とのトレードオフにおける最適な設計変数を設定している。 そこで、甲第2号証には、図29に示されるように、まず設計変更を読み出し、形状を設定した上で、剥離入射角のCFD計算を行うとともにRCSのCEM計算を行い、結果をデータ処理するとともに、FRONTIERオプティマイザ(遺伝的アルゴリズム)を使用して新しい設計変数を設定し、再び新しい設計変数による設計変数の読み出しを行う工程が記載されている。ここでCFD計算は、空力特性計算といえる。 (b) したがって、(a)の検討により、甲第2号証には、以下の技術事項が記載されているといえる。 (甲第2号証の技術事項) 「設計変更を読み出し、 形状を設定した上で、 空力特性計算を行うとともにRCS計算を行い、結果をデータ処理するとともに、 遺伝的アルゴリズムを使用して新しい設計変数を設定し、再び新しい設計変数による設計変数の読み出しを行う 計算機による軍用航空機の設計技術。」 4.3 甲第3号証について 4.3.1 甲第3号証の記載 甲第3号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 オ.「4. Implementation Procedure Following the framework of surrogate-based two-level optimization, a more detailed procedure for solving the UCAV aerodynamic/stealthy/structural integrated design optimization problem is presented in the flowchart as depicted in Fig.5. To implement this procedure, some key enabling techniques such as parametric geometry definition, automatic generation of analysis models for aerodynamics, RCS, and structure are essential. The overall procedure will be explained step by step in the following subsections. 4.1. Parametric geometry definition The flying-wing configuration of UCAV is shown in Fig.6. Basically, this configuration consists of the inner wing and outer wing. The parameters defining this configuration can be grouped into three sets. (Fig.6 略) (1) Parameters for wing outline These parameters are used to describe the plane shape, torsion angle and dihedral angle of wing, including root chord length of inner wing, semi span of inner wing, swept angle of wing, taper ratio of inner wing, taper ratio of outer wing, torsion angle of outer wing, torsion angle at wing tip, dihedral angle, and span of outer wing. All the other outline parameters can be derived from the above mentioned parameters. (2) Parameters for master sections Master sections are referred to as the typical sections of flying-wing along the streamline of airflow. Other sections can be fitted by these master sections. For example, the sections at inner wing root, outer wing root, and outer wing tip can be regarded as master sections. The parameters describing the profile of master sections are called the parameters for master sections. The parametric models for master sections are constructed using an approach based on shape function and classification function[13]. This approach has clear physical meaning, and provides an easy way to control the section profile. (3) Parameters for transitional surfaces The transitional surfaces are referred to as the surfaces smoothly connecting the root section of outer wing and the root section of inner wing. The shape of the transitional surface can be controlled by a set of parameters, which are called the parameters for transitional surfaces control. This article adopts the guidelines to generate transitional surfaces. The guidelines are the boundary lines for lofting between the master sections. The key to generate the transitional surfaces is to define a set of guidelines. The spatial cubic Hermite curves[14] are used to define the shape of guidelines. Usually, two parameters are required to define a spatial cubic Hermite curve. In this article, four spatial cubic Hermite curves are used to describe the transitional shape of the UCAV. Hence, eight parameters are needed for the definition of the transitional surfaces. During optimization, four parameters of spatial cubic Hermite curves are selected as system level design variables and the other parameters are fixed. The detail of the parametric model for the flyingwing configuration can be found in Ref.[14]. 4.2. Sampling in system design space Some parameters mentioned above will be selected as the system level design variables if they have considerable effects on all the aerodynamic, stealthy, and structural characteristics. Since the swept angle of wing, span of outer wing, and parameters of transitional surfaces (totally six parameters) have large effects on aerodynamic/stealthy/structural characteristics, these six parameters are selected as the system level design variables. Other parameters are considered as the local design parameters for external configuration or fixed parameters. The Latin Hypercube method is used to generate the sample points for the system level design variables. The number of initial sample points is 100. If the accuracy of the surrogate model does not reach the expected level for the validation, the additional design samples are needed to improve the accuracy. 20 design samples are randomly selected to verify the accuracy of the surrogate model. If the relative error of the surrogate model is not less than 5%, these 20 random design samples will be added to the initial sample database to update the surrogate model. This process is iterated until the accuracy of the surrogate model is satisfied. For this UCAV problem, five times of iteration are needed, which means 100 additional design samples are added to the initial sample database. This results in 200 design samples in total. 4.3. Generating 3D CAD model A geometric model generator of computer graphics aided three dimensional interactive application (CATIA) for the UCAV configuration is developed by the Microsoft Visual Basic (VB) routine. This is implemented by recording and modifying the macro commands of CATIA during constructing the 3D parametric CAD model of UCAV. For details, see Ref.[14]. With this VB routine, 3D CAD models for different UCAVs can be automatically generated, given the parameters of UCAV configuration. An example of the UCAV configuration generated by the geometric model generator is shown in Fig.7. (fig.7 略) 4.4. Generating aerodynamic and RCS models A numerical code (FLO22)[15], which is based on the transonic full potential equation, is adopted for aerodynamic analysis. Grid can be automatically generated in this code. Lift coefficient, pitching moment coefficient, induced drag coefficient, and wave drag coefficient are computed by FLO22. Friction drag coefficient is computed by the boundary layer theory. A Fortran program RCS-panel, which is developed using the physical optics and the equivalent current methods[16], is used to predict the RCS of the UCAV. The aerodynamic analysis and RCS computation require the surface mesh information of the UCAV configuration, such as the coordinates of mesh nodes and panel numbers, as shown in Fig.8. A model generator for aerodynamic and RCS analyses is developed to generate and extract the coordinates of mesh nodes through the following steps:(1) (審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。)the 3D CAD model is transmitted into the software Gridgen for surface mesh generation; (2) the nodes on each master sections are distributively arranged; (3) the data file for the mesh nodes generated by Gridgen is saved; (4) the data format of the saved file is converted to the data format suitable for aerodynamic and RCS analyses. Once the data files for aerodynamic and RCS analyses are generated, the aerodynamic characteristics and RCS for the given UCAV geometric model can be predicted straightforwardly by executing the FLO22 code and the RCS-panel program. (Fig.8 略) 4.5. Aerodynamic/Stealthy integrated design In terms of optimization, the aerodynamic/stealthy integrated design can be stated as follows: Given conditions Flight Mach number is 0.8, flight altitude is 11 km, radar threat sectors: 0o-30o and 60o-120o (measuring from the nose of the UCAV). Given parameters The values of system level design variables are based on sample points. Objective Minimized aerodynamic drag coefficient CD. Design variables The parameters for master sections, torsion angle of outer wing, torsion angle at the wing tip, and angle of attack, totally nine design variables. Constraints (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。) Design lift coefficient, CL≧0.14; (2) Pitching moment coefficient at 1/4 chord, -0.08≦CM≦0; (3) The average RCS within the threat sector of radar, σ≦-14.6 dBsm; (4) The thickness of master sections at front spar and rear spar. The sequential quadratic programming is adopted to solve the aerodynamic/stealthy integrated design problem. Since the design lift coefficient is constrained in the optimization process, the minimization of drag coefficient is equivalent to the maximization of lift-to-drag ratio. (4.6. Generating internal volume model ~ 4.8. Structural optimization の記載省略) 4.9. Construction of surrogate models The surrogate models for the UCAV analysis at system level can be constructed by using the sample points of system level design variables (see Section 4.2) and their corresponding results. These results include the aerodynamic drag coefficient and RCS resulted from aerodynamic/stealthy integrated design (see Section 4.5), the internal volume computation results (see Section 4.6), and the structural weight resulted from structural optimization (see Section 4.8). Concerning the selection of surrogate models, our experience indicates that the Kriging model is suitable for constructing the surrogate models to predict the drag coefficient, RCS, and structural weight, while the quadratic response surface model is suitable to construct the surrogate model of the internal volume. 4.10. System optimization The system optimization can be conducted once the surrogate models for UCAV analysis are constructed. The task of the system optimization is to find the optimum configuration which has the desired characteristics in terms of aerodynamics, stealth, and structure. The system level optimization is formulated as follows: Objectives (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。) Minimized aerodynamic drag coefficient CD; (2) Minimized structural weight W. Design variables There are six system level design variables, including the swept angle of wing, span of outer wing, and four parameters for transitional surface. Constraints (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。) The average RCS within the threat sector of radar, σ≦-14.6 dBsm; (2) The wing box volume, V≧5.5 m3. This system optimization is a multi-objective optimization problem. A multi-objective genetic algorithm, namely NSGA-II[17] is selected to solve this multiobjective optimization problem. Since the surrogate model for the UCAV analysis is very cheap in terms of computing expense, the use of NSGA-II will not encounter the problem of computing expense. 4.11. Optimization results All the steps (Sections 4.1-4.10) are integrated into the software iSIGHT[18]. The overall process of the multidisciplinary design optimization is executed automatically. Pareto optimal solution set obtained from system level optimization is shown in Fig.12. (Fig.12 略) One can select an optimal point from the Pareto optimal solution set. If an optimal point with lower structural weight and higher drag coefficient is selected, the corresponding design is a design with the smaller swept angle and shorter span of outer wing. If an optimal point with higher structural weight and lower drag coefficient is selected, the corresponding design is a design with the larger swept angle and longer span of outer wing. Three typical subsets of Pareto optimal solution set are listed in Table 1. The subset A is a set of optimization results with better aerodynamic performance. The subset C is a set of optimization results with lighter structural weight. The subset B lies between A and C with both relatively better aerodynamic performance and lighter structural weight. For example, design 1 in Table 1 is the best design in terms of aerodynamic performance; design 15 is the best one in terms of structural weight; and design 8 is the design with both the compromised aerodynamic performance and structural weight. If design 8 is selected, the aerodynamic drag coefficient CD will be decreased by 19.76%, the structural weight W will be reduced by 39.4%, and the average RCS within the threat sector of radar will be less than -14.03 dBsm compared to the initial design with CD = 0.01 186, W = 1 834.62 kg, and σ = -14.03 dBsm. (Table 1 略)」(382頁右欄6行~386頁左欄6行) (邦訳) 「4.実行手順 サロゲートベースの2段階最適化の構成に続いて、UCAVの空力/ステルス/構造的な一体化設計最適化問題を解決するためのさらに具体的な手順を、図5のフローチャートに示す。この手順を実行するには、これを可能にするキー技術、例えばパラメトリック幾何学定義や、空力、RCS及び構造の解析モデルの自動生成等が必須である。全体的な手順は以下のサブセクションでステップ毎に説明する。 4.1. パラメトリック幾何学定義 UCAVの全翼機構成を図6に示す、基本的に、この構成は内翼及び外翼から成る。この構成を定義するパラメータは3セットにグループ化することができる。 (図6 略) (1)翼の輪郭のパラメータ これらのパラメータは平面形状及び翼のねじれ角と上反角を説明するのに使用され、これらは内翼の翼根の弦長、内翼の半翼幅、翼のスイープ角度、内翼のテーパ比、外翼のテーパ比、外翼のねじれ角、翼端のねじれ角、上反角、そして外翼の翼幅を含む。この他の輪郭パラメータは全て上記のパラメータから導くことができる。 (2)マスタ部のパラメータ マスタ部は、気流の流線に沿った全翼機の典型的な部分であるという。他の部分はこれらのマスタ部によってフィット可能である。例えば、内翼根、外翼根、外翼端の部分をマスタ部とすることができる。マスタ部の形状を説明するパラメータは、マスタ部のパラメータと呼ばれる。マスタ部のパラメータモデルは、形状関数及び分類関数[13]に基づいたアプローチを使って構成される。このアプローチは明確な物理的意味を持ち、部分形状を制御する簡単な方法を提供する。 (3)転移表面のパラメータ 転移表面は、外翼の翼根部と内翼の翼根部を滑らかに接続する面をいう。転移表面の形状は、1組のパラメータで制御でき、これは転移表面制御のパラメータと呼ばれる。本文書では、転移表面を生成するためにガイドラインを採用している。このガイドラインは、マスタ部間でのロフティングの境界線である。転移表面を生成するキーは、1組のガイドラインを規定することである。空間的3次エルミート曲線[14]は、ガイドラインの形状を定義するのに使用される。通常、空間的3次エルミート曲線を定義するには2つのパラメータが必要である。本文書では、4つの空間的3次エルミート曲線がUCAVの転移形状を説明するのに使用される。従って、転移表面を定義するには8つのパラメータが必要ということになる。 最適化中は、空間的3次エルミート曲線の4つのパラメータがシステムレベル設計変数として選択され、他のパラメータは固定される。 全翼機構成のパラメトリックモデルの詳細については、参照[14]で見ることができる。 4.2. システム設計空問でサンプリング 上述したパラメータは、空力、ステルス、及び構造的特性の全てに相当な影響を与える場合、システムレベル設計変数として選択されることになる。翼のスイープ角度、外翼の翼幅、及び転移表面のパラメータ(合計6つのパラメータ)は空力/ステルス/構造特性に大きな影響を与えるので、これら6つのパラメータはシステムレベル設計変数として選択される。他のパラメータは外部構成の局所的設計パラメータ又は固定パラメータとみなされる。 システムレベル設計変数のサンプル点を生成するのにラテン超方格法が使用される。初期のサンプル点数は100である。サロゲートモデルの精度が検証の期待レベルに満たない場合は、精度を高めるためにさらなる設計サンプルが必要である。20個の設計サンプルが、サロゲートモデルの精度検証のためにランダムに選択される。もしサロゲートモデルの相対誤差が5%以上である場合は、これら20個のランダムな設計サンプルは初期サンプルデータベースに加えられ、サロゲートモデルが更新される。この工程は、サロゲートモデルの精度が十分な高さになるまで反復的に行なわれる。今回のUCAV問題に対しては、5回の反復が必要である。つまり、100個の追加設計サンプルが初期サンプルデータベースに加えられる。その結果、合計200個の設計サンプルが得られる。 4.3. 3次元CADモデル生成 UCAV構成のための3次元コンピュータグラフィックス支援対話型アプリケーション(CATIA)の幾何学モデル生成部は、マイクロソフトヴィジュアルベーシック(VB)のルーチンによって起動される。これは、UCAVの3次元パラメトリックCADモデル作成中にCATIAのマクロコマンドを記録及び修正することで実行される。詳細については、参照[14]を見ること。このVBルーチンでは、異なるUCAVの3次元CADモデルを自動的に生成することができ、UCAV構成のパラメータを得ることができる。幾何学モデル生成部によって生成されるUCAV構成の例を図7に示す。 (図7 略) 4.4. 空力及びRCSモデル生成 遷音速完全ポテンシャル方程式に基づく数値コード(FLO22)[15]が空力解析に採用される。格子は、このコードで自動的に生成可能である。揚力係数、ピッチングモーメント係数、誘導抗力係数、及び造波抗力係数がFLO22によって演算される。摩擦抗力係数が、境界層理論によって演算される。 物理光学及び等価電磁流法[16]を使用して起動されるFortranプログラムのRCS-パネルがUCAVのRCSを予測するのに使用される。 空力解析及びRCS演算には、図8に示すようなメッシュノード座標やパネル数等、UCAV構成の面メッシュ情報が必要である。空力及びRCS解析のモデル生成部は次のステップに沿ってメッシュノード座標の生成、抽出をするために起動される。(1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。)3次元CADモデルを面メッシュの生成のためにソフトウェアGridgenに送信。(2)各マスタ部上のノードを分配配置。(3)Gridgenによって生成されたメッシュノードのデータファイルを保存。(4)保存されたファイルのデータ形式を空力及びRCS解析に適したデータ形式に変換。 空力及びRCS解析用のデータファイルが生成されると、FLO22のコード及びRCS-パネルプログラムを実行することで、与えられたUCAV幾何学モデルの空力特性及びRCSが直接予測可能となる。 (図8 略) 4.5. 空力/ステルス的な一体化設計 最適化に関して、空力/ステルス的な一体化設計は、次のように定義することができる。 所定条件 飛行マッハ数は0.8、飛行高度は11km、レーダ脅威セクター:0゜~30゜及び60゜~120゜(UCAVの機首基準)。 所定パラメータ システムレベル設計変数の値はサンプル点に基づく。 目的 最小空力抗力係数CD。 設計変数 マスタ部、外翼のねじれ角、翼端でのねじれ角、そして迎角のパラメータ、合計9つの設計変数。 制約 (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。)揚力係数を設計:CL≧0.14。(2)弦長の4分の1でのピッチングモーメント係数:-0.08≦CM≦0。(3)レーダの脅威セクター内の平均RCS:σ≦-14.6dBsm。(4)前桁及び後桁でのマスタ部の厚さ。 逐次二次計画法が、空力/ステルス的な一体化設計問題を解決するために採用される。 設計揚力係数は最適化工程で制約されるため、抗力係数の最小化は揚抗比の最大化に相当する。 (4.6. 内部体積モデル生成 ~4.8. 構造最適化 の記載省略) 4.9. サロゲートモデル構成 システムレベルでのUCAV解析のためのサロゲートモデルは、システムレベル設計変数のサンプル点(セクション4.2を参照)及びそれに対応する結果を使用して構成可能である。これらの結果は、空力/ステルス的な一体化設計(セクション4.5参照)から得られた空力抗力係数及びRCSと、内部体積演算結果(セクション4.6参照)と、構造最適化(セクション4.8参照)から得られた構造重量とを含む。サロゲートモデルの選択に関しては、我々の経験によると、抗力係数、RCS、構造重量を予測するためのサロゲートモデルの構成にはクリギングモデルが適している一方、内部体積のサロゲートモデルを構成するには二次応答曲面モデルが適している。 4.10. システム最適化 システム最適化は、UCAV解析のためのサロゲートモデルが構成されると実行可能となる。システム最適化の課題は、空力、ステルス、構造的に所望の特性を持つ最適な構成を見つけることである。このシステム最適化問題を定式化すると、次のようになる。 目的 (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。)最小空力抗力係数CD。(2)最小構造重量W。 設計変数 翼のスイープ角度と、外翼の翼幅と、4つの転移表面のパラメータの、計6つのシステムレベル設計変数。 制約 (1)(審決注、原文の○に1を(1)で表す。以下同様。)レーダの脅威セクター内の平均RCS。σ≦-14.6dBsm。(2)翼の箱型構造の体積。V≧5.5m3。 このシステム最適化は多目的最適化問題である。多目的遺伝的アルゴリズム、すなわちNSGA-II[17]が、この多目的最適化問題を解決するために選択される。 UCAV解析のためのサロゲートモデルは演算費用の点ではとても低価格であり、NSGA-IIを使用すれば演算費用が問題になることはないだろう。 4.11. 最適化結果 全てのステップ(セクション4.1~4.10)はソフトウェアiSIGHT[18]に統合される。複合領域設計最適化の全体工程は自動的に実施される。 システムレベル最適化で得られたパレート最適解のセットを図12に示す。 (図12 略) パレート最適解のセットから最適点を選択することができる。比較的軽い構造重量で比較的高い抗力係数を持つ最適点が選択された場合、対応する設計は、比較的小さいスイープ角度で外翼の翼幅が比較的短いものになる。比較的重い構造重量で比較的低い抗力係数を持つ最適点が選択された場合、対応する設計は、比較的大きいスイープ角度で外翼の翼幅が比較的長いものになる。 パレート最適解のセットの3つの典型的なサブセットを表1にリスト化する。サブセットAは比較的高い空力性能を持つ最適化結果セットである。サブセットCは比較的軽い構造重量を持つ最適化結果セットである。サブセットBは、AとCの間で相対的に高い空力性能で軽い構造重量を持つ最適化結果セットである。例えば、表1内の設計1は空力性能的に最良の設計であり、設計15は構造重量的に最良であり、設計8は空力性能と構造重量の両方で妥当な設計である。設計8が選択されると、初期設計であるCD=0.01186、W=1834.62kg、σ=-14.03dBsmに比べて、空力抗力係数CDは19.76%低下し、構造重量Wは39.4%減少し、レーダの脅威セクタ内の平均RCSは-14.03dBsmよりも低くなる。」 カ.「(4) The design optimization of each discipline is performed automatically. The aerodynamic/stealthy integrated design optimization code and structural optimization software are easily integrated into the overall process.」(386頁左欄23~27行) (邦訳) 「(4)各領域の設計最適化は自動的に行なわれる。空力/ステルス的な一体化設計の最適化コード及び構造最適化ソフトウェアは簡単に全体工程に統合される。」 4.3.2 甲第3号証記載の技術事項 上記「4.3.1 甲第3号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第3号証の記載事項について検討する。 (a) 甲第3号証には、文献のタイトル(「Aerodynamic/Stealthy/ Structural Multidisciplinary Design Optimization of Unmanned Combat Air Vehicle」 (邦訳)「無人戦闘機の空力/ステルス/構造的な複合領域設計最適化」)のように、無人戦闘機の最適化設計方法について記載がある。具体的には、全翼型無人戦闘機の空力形状の最適化設計について記載されている。ここで、上記カ.に記載されるように、設計はソフトウエアにより行われていることから、当該設計を『計算機』で行っていることは自明のことである。 (b) 甲第3号証では、図5に示される空力/ステルス/構造的な複合領域設計最適化のフローチャートに基づき設計が行われている。具体的には、「4.1 パラメトリック幾何学定義」及び「4.2 システム設計空間でのサンプリング」にて、複数の設計パラメータが定義され、最適化において設計変数として用いられることが記載され、「4.3 3次元CADモデル作成」及び「4.4 空力及びRCSモデル生成」にて、空力及びRCS解析のためのモデルが生成されることが記載され、「4.5 空力/ステルス的な一体化設計」にて、空力特性のための抗力係数及び平均RCSが逐次2次計画法により求められることが記載されている。 さらに、「4.9 サロゲートモデル構成」にて、求められた空力特性のための抗力係数及び平均RCSと、他に求められた内部体積及び構造重量とともに、サロゲートモデルを構成することが記載され、そして、「4.10 システム最適化」及び「4.11 最適化結果」にて、空力、ステルス、構造的に所望の特性を持つ最適な構成を見つけることが記載されている。ここで、システム最適化は多目的最適化問題であると記載され、多目的遺伝的アルゴリズムにて最適化問題を解決するとされ、図5に記載のフローチャートを参照すれば、サロゲートモデルとシステム最適化の間で反復処理が行われ、最適な空力特性のための抗力係数及び平均RCSが求められている。 このように、甲第3号証には、『複数の設計パラメータを定義』し、『空力及びRCS解析のためのモデルを生成』し、『空力特性のための抗力係数及び平均RCSを逐次2次計画法で求め』、『求められた空力特性のための抗力係数及び平均RCS等によりサロゲートモデルを構成』し、『サロゲートモデルとシステム最適化の間で反復処理を行い』、『空力、ステルスの最適な構成を見つける』ことが記載されている。 (c) なお、甲第3号証には、「4.10 システム最適化」において、内部体積のサロゲートモデルを構成するには「2次応答曲面モデル」が適していると記載されている。すなわち、『最適化計算において、2次応答曲面モデルを用いる』ことも記載もされている。 (d) したがって、(a)~(c)の検討により、甲第3号証には、以下の技術事項1,2が記載されているといえる。 (甲第3号証の技術事項1) 「複数の設計パラメータを定義し、 空力及びRCS解析のためのモデルを生成し、 空力特性のための抗力係数及び平均RCSを逐次2次計画法で求め、 求められた空力特性のための抗力係数及び平均RCS等によりサロゲートモデルを構成し、 サロゲートモデルとシステム最適化の間で反復処理を行い、空力、ステルスの最適な構成を見つける、 計算機による無人戦闘機の設計技術。」 (甲第3号証の技術事項2) 「最適化計算において、2次応答曲面モデルを用いる、計算機による無人戦闘機の設計技術。」 4.4 甲第4号証について 4.4.1 甲第4号証の記載 甲第4号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 キ.「 」(5頁~8頁) (邦訳) 「具体的な実施形態 [0031] 以下、添付図面と合わせて、本発明の技術プランについてさらに説明するが、これに限定せず、本発明の技術プランを改良又は等価物のものと置換したものはすべて本発明の技術プランの精神及び範囲を逸脱しない限り、本発明の保護範囲に含まれるべきである。 [0032] 本発明は、コンフォーマルフェアリングの最適面形状及びパラメータの設計方法を提供し、誘導ミサイルが超音速飛行中の空気抵抗係数の大きさ、ヘッドカバーの画像形成の品質及びヘッドカバーのレーダ反射特性に基づいて総合評価指標を立て、ヘッドカバーの最適面形状を設計する。本発明は、以下の内容を含む。 [0033] 1.面形状のパラメータが誘導ミサイルの空力性能に及ぼす影響を具体的に説明すると、次のことが得られる。(1)フェアリングの離心率eが1に達すると、空気抵抗係数は緩やかに変化し、言い換えると、e≧1の時、空気抵抗係数が受ける離心率の影響は小さく、面形状の変化は基本的に空気抵抗に影響を与えないと考えることができる。(2)フェアリングの直径比F≧2の時、空気抵抗係数は緩やかに変化し、理論上立てた評価関数で求めた面形状のパラメータと基本的に一致する。 [0034] 2.二乗平均平方根波面収差によって、フェアリングの面形状に起因して生成された波面湾曲の程度を制御し、それによって、空力性能の単一的な追求、光学システムの全体設計の過度な複雑化、収差キャリブレーションの困難化を防止する。 [0035] 3.双曲線でなる面形状の変化規則に沿ってレーダ反射面積を分析することで、誘導ミサイルの空力性能と光学画像形成の品質を保証すると共に、最大限にレーダ反射断面積を減少させ、ステルス及び弾道ミサイル迎撃能力を向上させる。 [0036] 4.空力性能を基準として、異なる面形状のフェアリングの誘導ミサイルが超音速で飛行している状態で受ける空気抵抗の大きさを比較し、それに従って、空気抵抗係数が最小になるフェアリングの面形状、即ち双曲線面形状、を選択する。 [0037] 5.空気抵抗係数評価をメイン、平均値RMSとレーダ反射断面積RSCを補佐として、コンフォーマルフェアリングの面形状の総合評価指標を立て、フェアリングの面形状及びパラメータを確定させる(面形状はこの次の曲線面形状のフェアリング、その直径比Fは2となる)。 [0038] 具体的な設計構想は以下の通りである。 [0039] 一、超音速飛行誘導ミサイルの空力性能に対する要求が益々高くなっていることを鑑みると、誘導ミサイルの飛行過程での空気抵抗の大きさが、ミサイルの性能制約のキー要素となる。誘導ミサイルの空気抵抗は通常2つに分けられる。 1つは揚力と関係のない零揚抗力、もう1つは揚力と関係のある誘導抵抗である。本発明では主に迎角がゼロの状態で研究を行なうので、誘導ミサイルの揚力が作用した状態で二次曲面形状が空気抵抗の大きさに及ぼす影響が含まれていない。この零揚抗力もさらに2つに分けることができる。1つは摩擦抵抗、もう1つは圧力抵抗(低音速飛行では、この抵抗は一般的にミサイルの翼に生じ、フェアリング前側には全く生じない)であり、これらは気体の粘性によって生じる。超音速の状態では、空気はさらに異なる形式の圧力抵抗、即ち造波抵抗を生じさせる。これは、主に衝撃波によって生じる。物体が音速又は超音速で運動を行なうとき、撹乱波の伝搬速度は飛行機の前進速度以下であり、この場合、その後生じる撹乱が既に生じている撹乱波に重なってさらに強い波が形成され、空気が強く圧縮されることで撹乱波が形成される。空気は、衝撃波を通過するときに、薄い層の密集した空気によって阻害され、気流速度が急激に減少する。この阻害によって熱量の分散が間に合わずに空気が加熱される。加熱に必要なエネルギは消耗した運動エネルギから得られる。ここで運動エネルギによる熱エネルギヘのエネルギ変換が起こる。運動エネルギの消耗は、一種の特別な抵抗を生じさせたことを意味する。この抵抗は、衝撃波が形成されると生じるので、「造波抵抗」と呼ばれる。この抵抗係数は次のように定義される。 [0040] (式(1) 省略) [0041] Xは抵抗であり、Sはミサイルボディの面積であり、Vは誘導ミサイルの飛行速度であり、ρは空気密度である。超音速状態下の誘導ミサイルの零揚抗力係数(即ち、空気抵抗係数)は、導出を通じて次の通り求めることができる。 [0042] (式(2) 省略) [0043] この公式は、近似のときに必要な目的関数であり、この内、Cfは摩擦係数である。超音速飛行状態下では、レイノルズ数が高く、乱流モデルに合致することで次が得られる。 [0044] (式(3) 省略) [0045] Reはレイノルズ数であり、その大きさはRe=ρVL/μとなる。この内、Vは誘導ミサイルの飛行速度であり、ρは空気密度であり、μは粘性係数であり、Lはミサイルボディ全長である。fLDはヘッドカバーの直径比の関数であり、その大きさは次のようになる。 [0046] (式(4) 省略) [0047] fMは飛行速度関連の関数であり、その値はfM=1-0.08M1.45である。Swetfはミサイルボディの表面積であり、Sはミサイルボディの横断面積であり、Mは誘導ミサイルの飛行マッハ数であり、Dはミサイルボディの最大横断面の円の直径である。 [0048] 二、そしてGambitソフトウェアを利用して異なる面形状パラメータのコンフオーマルフェアリングの誘導ミサイルをモデリングし、Fluentソフトウェアに人力してシミュレーションを行ない、異なる面形状を持つ誘導ミサイルのフェアリングの空気抵抗係数の大きさを求め、得られたデータを、式(2)を再度使用して近似し、さらに誘導ミサイルの面形状と空気抵抗係数の関数の関係を求める。 [0049] 図1は、直径比F=1のときの、空気抵抗係数の大きさとコンフオーマルフェアリングの離心率間の関係である。分析から分かるように、離心率が1に近づくとき、空気抵抗係数の変化速度は緩やかであり、双曲面形状のフェアリングは、空力性能が最適、即ち空気抵抗が最小になる。図2は、フェアリングの離心率が一定であるときの、異なる直径比と空気抵抗係数の関係図である(上から下まで順に楕円形カバー、放物面形状のフェアリング、双曲面形状のフェアリング)。ちょうどこの図は上述の結論を説明すると共に、空気抵抗係数が直径比の増加に従って減少し、直径比が2のときに変化傾向が緩やかになることが分かる。 [0050] 空力性能は、フェアリングの面形状設計における主な要素であり、比較分析を通じて双曲線面形状のフェアリングの空気抵抗係数変化曲線は、明らかに他の2種類の面形状よりも低いことが分かる。従って、本発明で設計したコンフオーマルフェアリングの面形状は双曲面形状であり、構造形式は、図6に示すように、厚みdは4mm、口径Dは180mm、フェアリング長さ1は180mm、外側部双曲面の離心率eは1.021、内部双曲面の離心率は1.01975である。 [0051] 三、コンフォーマルシーカーの他の作用は、誘導ミサイル光学画像形成システム全体の1つの光学部品に属するということである。さらに、code v光学ソフトウェアによって、異なる双曲面のフェアリングに対して、異なる直径比Fでシミュレーションを行い、光線追跡によって0~40゜ の視角での二乗平均平方根波面収差RMSを求め、その平均値であるARMSを求め、そしてmatlabソフトウェアを利用してARMSと双曲面ヘッドカバーの直径比F間の関係を近似する。図3はこれを示す。図3から分かるように、フェアリングの直径比が増加するに従って、そのウォーターフロント湾曲収差は大きくなり、画質が悪くなる。 [0052] 四、ステルス及び綿密な制御誘導を合わせると、戦闘時における武器の効果を大幅に高めることができる。コンフォーマルフェアリングの他の特徴は、他の面形状を持つフェアリングに対して効果的にレーダ反射面積RSCを減少させ、超音速誘導ミサイルの、高速飛行中のステルス性能を高めることができる。簡単に面形状について説明すると、反射面の曲率半径が波長(赤外の長波と中波)よりも長いので、幾何学光学の原理を利用して導出できる。双曲面形状のフェアリングの反射面は、“明るい斑点”の近くでは回転対称でないので、そのレーダ反射断面積を次のように得ることができる。 [0053] (式(5) 省略) [0054] この内、ρ1及びρ2は、それぞれ明るい斑点を通り、視線が互いに垂直となる2つの断面の曲率半径である。また、双曲面ヘッドカバーの直径比及びレーダ反射断面積RSC間の関係を作り出すものであり、図4に示すように、双曲面ヘッドカバーの直径比が増加するに従って、レーダ反射断面積は小さくなり、そのステルス性能は向上する。 [0055] 五、コンフォーマルフェアリングの面形状の総合評価指標を立てた。これは次のように表現される。 [0056] evadome(F)=w1Cf(F)+w2ARMS(F)+w3RSC(F)  (6) [0057] w1は正規化の空気抵抗係数Cf(F)の重みであり、w2は正規化における異なる視角での二乗平均平方根波面収差の平均値ARMS(F)の重みであり、w3は正規化のレーダ反射断面積RSC(F)の重みである。 [0058] 六、最後に総合評価関数によって解を求める。双曲面形状のフェアリングの直径比が2のとき、この値は最小になる。」 4.4.2 甲第4号証記載の技術事項 上記「4.4.1 甲第4号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第4号証の記載事項について検討する。 (a) 甲第4号証には、段落[0032]に記載されているように、「コンフォーマルフェアリングの最適面形状及びパラメータの設計方法」について記載されており、具体的には、段落[0037]に記載のように、空気抵抗係数評価をメインに、平均値RCSとレーダ反射断面積RSCを補佐として、誘導ミサイルのフェアリングの面形状の最適化を図る設計方法について記載がある。ここで、アプリケーションにより設計を行っていることから、当該設計を『計算機』で行っていることは自明のことである。 (b) 甲第4号証には、段落[0048]に記載されるように、異なる面形状パラメータのコンフォーマルフェアリングの誘導ミサイルをモデリングし、シミュレーションを行って空気抵抗係数の大きさと前記面形状との関係を求めている。そして、段落[0049]に記載されるように、空気抵抗が最小のとき空力性能が最適になること、段落[0052]に記載されるように、面形状により、レーダ反射断面積RSCを減少させ、ステルス性能を高めることができると記載されている。 そして、段落[0055]~[0058]に記載されるように、総合評価関数、 evadome(F)=w1Cf(F)+w2ARMS(F)+w3RSC(F) により、誘導ミサイルのコンフォーマルフェアリングの面形状の最適化を図っている。このように、総合評価関数は、『空気抵抗係数を表す項と、波面収差を表す項と、レーダ反射断面積RCSを表す項を有する』ものである。 以上のとおり、甲第4号証には、『複数のコンフォーマルフェアリングの面形状をモデリング』し、『空力性能に係る空気抵抗及びレーダ反射断面積RSCを求め』、『総合評価関数により、空力性能を最適にし、レーダ反射断面積RSCを減少させる』ように『コンフォーマルフェアリングの最適面形状の設計』をすることが記載されている。 (c) したがって、(a)~(b)の検討により、甲第4号証には、以下の技術事項が記載されているといえる。 (甲第4号証の技術事項) 「複数のコンフォーマルフェアリングの面形状をモデリングし、 空力性能に係る空気抵抗及びレーダ反射面積RSCを求め、 空気抵抗係数を表す項と、波面収差を表す項と、レーダ反射断面積RCSを表す項を有する総合評価関数により、空力性能を最適にし、レーダ反射面積RSCを減少させるようにする、 計算機によるコンフォーマルフェアリングの最適面形状の設計技術。」 4.5 甲第5号証について 4.5.1 甲第5号証の記載 甲第5号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 ク.「Preliminary Design Framework The Aerodynamic/Radar Cross Section Framework proposed for the preliminary design of a hypersonic aircraft is outlined in Figure 2-1. As shown, the framework begins by developing a notional aircraft design on paper. The design is then generated in the computer using Computer Aided Design (CAD) software. The next step in the process is to discretize the air vehicle and its domain for use as input to the CFD and CEM codes. Based on certain figures of merit, CFD results are evaluated. Depending on the evaluation, the design is either modified to improve its aerodynamic qualities or passed on to the CEM code for simulation. Inverse Synthetic Aperture Radar images are then produced from the CEM results to examine and evaluate the main scattering centers on the aircraft. Air vehicle geometry can than be modified to reduce the major scatterers and the design loop continues until satisfactory aerodynamic/RCS performance is obtained.」(33頁2行~14行) (訳文) 「予備設計フレームワーク 極超音速機の予備設計のために提案された空力/レーダ反射断面積フレームワークを図2-1に示す。見て分かるように、このフレームワークは、紙上で概念的な航空機設計を展開することから始まる。次に、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使ってこの設計をコンピュータ上に生成する。工程の次のステップでは、飛行体及びその領域を離散化して、CFD及びCEMコードの入力として使用する。或る性能指数に基づいて、CFD結果が評価される。評価によって、設計が空力品質向上のために改良されるか、シミュレーションのためにCEMコードに移行する。その後、CEM結果に基づいて逆合成開口レーダ画像が作成され、これによって航空機の主な散乱中心を調査、評価する。そして、大幅な散乱を減少させるために飛行体形状が改良可能となり、十分な空力/RCS性能が得られるまで設計ループが継続される。」 ケ.「 」(34頁) (訳文) 「 」 4.5.2 甲第5号証記載の技術事項 上記「4.5.1 甲第5号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第5号証の記載事項について検討する。 (a) 文献のタイトル(「Development of an Aerodynamic/RCS Framework for the Preliminary Design of a Hypersonic Aircraft」 (邦訳)「極超音速航空機の予備設計のための空力/RCSフレームワークの開発」)のように、極超音速航空機の予備的設計方法について記載がある。具体的には、超音速航空機の空力特性の最適化設計について記載されている。ここで、上記ク.に記載されるように、設計はCADソフトウエアにより行われていることから、当該設計を『計算機』で行っていることは明らかである。 (b) 甲第5号証には、上記ク.の記載、及び、上記ケ.に示される図2-1によれば、機体のCADソリッドモデルを生成し、CFD演算を実行して性能指数によりCFD結果を評価し、評価が「No」の場合、機体の改良改善を図り、再び機体のCADソリッドモデルを生成し、評価が「Yes」の場合に逆合成開口レーダ画像を生成し、機体の主な散乱中心を調査・評価し、散乱を減少させて十分なRCS性能が得られる機体を設計することが記載されている。ここでCFDは、空力特性といえる。 このように、甲第5号証には、『機体のCADソリッドモデルを生成』し、『空力特性演算を実行して性能指数により空力特性結果を評価』し、『評価できない場合に、機体の改良改善を図り、再び機体のCADソリッドモデルを生成』し、『評価できる場合に、逆合成開口レーダ画像を生成し、機体の主な散乱中心を調査・評価し、散乱を減少させて十分なRCS性能が得られる機体を設計』することが記載されている。 (c) したがって、(a)~(b)の検討により、甲第5号証には、以下の技術事項が記載されているといえる。 (甲第5号証の技術事項) 「機体のCADソリッドモデルを生成し、 空力特性演算を実行して性能指数により空力特性結果を評価し、 評価できない場合に、機体の改良改善を図り、再び機体のCADソリッドモデルを生成し、評価できる場合に、逆合成開口レーダ画像を生成し、機体の主な散乱中心を調査・評価し、散乱を減少させて十分なRCS性能が得られる機体を設計する、 計算機による超音速航空機の設計技術。」 4.6 甲第6号証について 4.6.1 甲第6号証の記載 甲第6号証には、以下の記載がある。 なお、訳文については特許異議申立人が添付した訳文を採用した。 コ.「Multi-Objective Optimization-Propulsion Design and Analysis Loop There are three key elements that make up the propulsion system: the engine inlet, the engine exhaust nozzle and the engine itself. The inlet and exhaust nozzle must be sized, designed and integrated with the engine (and air vehicle) to ensure compatibility with the engine cycle. Multi-objective optimization to identify the Pareto frontier in a sub-level design and analysis optimization loop is particularly well suited for this application (Reference (2)) and can provide a significant reduction in runtime for an overall system optimization problem. Elements of the propulsion sub-level optimization using Pareto frontiers are shown in Figure 10. Nine key design variables are identified, a subset of all the potential optimization variables for the propulsion system. All propulsion system design variables must ultimately be established in a manner to ensure overall propulsion system operability. Many of the variable inter-relationships are embedded in the design codes integrated into the MDO infrastructure (e.g., inlet capture area is sized as a function of engine design airflow). However, there is substantial design freedom, such as the inlet and/or exhaust L/D dimensions, that can be traded in the local optimization loop. Figure 11 shows schematically a 4-dimensional Pareto frontier utilizing four objective variables, engine design airflow, Wc, engine gross thrust, Fg, installed specific fuel consumption, SFC, and fan diameter. Response Surface Modeling (RSM) Integrated within the ModelCenter(R)(審決注、原文の○にRを(R)で表す。) framework are built-in functions to develop and implement RSM's. This capability is key to a seamless process for variable fidelity switching, discussed above. Figure 12 illustrates the utilities available to build, validate and implement RSM's within the MDO N2 architecture.」(11頁18行~12頁14行) (訳文) 「多目的最適化-推進システム設計および解析ループ 推進システムを作り上げるには3つのキー要素が存在する。エンジン給気口、エンジン排気ノズル、そしてエンジン自体である。給気口と排気ノズルは、エンジンサイクルとの適合性を保証するようにサイズを規定し、設計し、そしてエンジン(および飛行体)と一体化しなければならない。サブレベルの設計・解析最適化ループにおける、パレートフロントを識別するための多目的最適化は、特にこのアプリケーション(参照(2))に適しており、全体的なシステム最適化問題のための実行時間を大幅に削減することができる。パレートフロントを使用した推進システムサブレペル最適化の要素を図10に示す。9つのキー設計変数が識別され、これは推進システムで見込みのある全ての最適化変数のサブセットである。全ての推進システム設計変数は、最終的に推進システムの全体的な操作性を保証するように規定しなければならない。変数の相互関係の多くは、MDOインフラ基盤に一体化された設計コードに埋め込まれる(例えば、給気口有効面積はエンジン設計における空気の流れの関数としてサイズを規定される)。しかしながら、給気口および/または排気L/D寸法等には実質的な設計自由度があり、局所的最適化ループでトレードできる。 図11は、エンジン設計気流Wc、エンジン総推進力Fg、設定された燃料消費率SFC、およびファンの直径の4つの目的変数を利用した4次元パレートフロントを概略的に示す。 応答曲面モデリング(RSM) ModelCenterフレームワークには、RSMを起動、実行するビルトイン機能が一体化されている。この能力は、上で述べた可変的な精度切り替えの一貫工程のキーとなる。図12は、MDO N2アーキテクチャ内のRSM構築、認証、実行ができるユーティリティを示す。」 サ.「 」(12頁~14頁) (邦訳) 「 」 4.6.2 甲第6号証記載の技術事項 上記「4.6.1 甲第6号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第6号証の記載事項について検討する。 (a) 文献のタイトル(「A Systems Engineering Approach to the Application of Multidisciplinary Design,Analysis and Optimization (MDAO) for Efficient Supersonic Air-Vehicle Exploration (ESAVE)」 (邦訳)「効率的な超音速航空機探査 (ESAVE)のための多次元計画設計、解析、最適化(MDAO)の応用へのシステムエンジニアリングアプローチ」)のように、超音速航空機の設計方法について記載がある。具体的には、上記コ.に記載されるように、超音速航空機の推進システムの最適化設計について記載されている。ここで、設計はソフトウエアにより行われていることから、当該設計を『計算機』で行っていることは自明である。 (b) 甲第6号証には、上記コ.の記載、及び、上記サ.に示される図9~図12の記載によれば、超音速航空機の推進システムの設計の最適化のためにパレートフロントを使用した多目的最適化問題が記載されており、特に図12に関する記載では、応答曲面モデリングについての記載がある。 (c) したがって、(a)~(b)の検討により、甲第5号証には、以下の技術事項が記載されているといえる。 (甲第6号証の技術事項) 「多目的最適化のために、応答曲面モデリングによりパレートフロントを得るようにする、 計算機による超音速航空機の設計技術。」 4.7 甲第7号証について 4.7.1 甲第7号証の記載 甲第7号証には、以下の記載がある。 シ.「4.MDOシステム 2003年度よりわが国ではNEDO民間航空機基盤技術プログラム「環境適応型高性能小型航空機研究開発」(図3)がスタートし,YS-11以来の国産機開発の気運が盛り上かっている4).本プログラムの一環として,筆者らのグループでは三菱重工と共同で航空機主翼の空力・構造同時最適設計を可能とする多分野統合最適設計(Multidisciplinary Design Optimization、以下MDO)システムの研究開発を進めてきた1).これまでの研究により,実機設計に十分適用可能なレベルの高度な設計システムを実現しており,機体の高性能化と設計期間の短縮に寄与することが実証されている. たとえば,主翼にエンジンが搭載されたウイングマウント形態の航空機においては,エンジンナセル・主翼間の狭い流管で流れが加速されて強い衝撃波が形成されるため,空力抵抗のみならず,バフェットと呼ばれる非定常振動現象のリスク増大を考慮に入れた主翼-推進系一体の統合設計が求められる(図4).本稿では,三菱重工業との共同研究によりウイングマウント形態主翼の空力・構造同時最適設計を行い,多目的設計探査を航空機設計に適用した例を紹介する5). (図3、図4 省略) 本研究で開発したMDOシステムでは,応答曲面法の一種であるKriging法6), 7)に多目的遺伝的アルゴリズム(Multi-Objective Genetic Algorithm、以下MOGA)を組み合わせて最適解の探索を行った.最も計算負荷の高いCFDによる空力特性評価をKriging法に基づく応答曲面上での代数計算に置き換えることで,パレート解の探索に要する計算時間が大幅に短縮できる. Kriging法とは南アフリカの鉱山学者Kridgeが鉱物資源の埋蔵量推定のために考案した手法をフランス人数学者Matheronが統計的手法として確立したもので,サンプル点での評価値に不確定性という概念を導入して設計空間を近似する手法である.また,近似モデル上の目的関数値そのものを最適化するのではなく,不確定性を考慮したExpected Improvement(EI)値の最大値を探索し,そこにサンプル点を追加する作業を繰り返すことで,近似モデルの精度向上と,大域的最適解の探索を両立させることが可能となる.このEI値とは現在得られているサンプル点よりも性能がよい可能性を表わす指標で,応答曲面上の目的関数と誤差の予測値から算出される.本稿でも目的関数値そのものではなく, EI値に基づいて最適化を行った.」(482頁左欄1行~右欄21行) ス.「5.多目的最適化 本最適化では,エンジン搭載位置は固定し,主翼内翼下面の翼型を最適化した(図5). (図5 省略) 5.1 最適化問題定義 <目的関数> 下記に示す3目的関数の最小化問題とする. 1)巡航抵抗(CD) 2〉パイロン取付け部付近の衝撃波強さ(負圧ピーク値:-Cp,max,この値が低いと衝撃波が生じない) 3)主翼構造重量(Wing Weight) <設計変数> ・2断面位置での翼型 →13変数(NURBS曲線)×2断面=26変数 ・4断面位置での捩り角 合計 30変数 <拘束条件> ・内翼における翼厚比>規定値 ・前桁高さ>規定値 ・強度余裕/フラッタ余裕>要求値 5.2 最適化結果 本最適化では, 88の初期サンプル点からスタートして応答曲面の更新を6回行い,計149のサンプル点を用いて最終的な応答曲面を構築した.初期応答曲面上で探索した3つの目的関数に対する初期パレート解と,その後のEl値の最大化による追加サンプル点の性能を図6に示す. (図6 省略) 図6には,抵抗値・主翼-推進系干渉・構造重量の低減を目標とした設計に対して,トレードオフ情報を含む多数の設計候補が示されている. 図より応答曲面を更新することで追加サンプル点の分布が最適化方向に前進していることから,応答曲面の精度向上と最適化が同時に行われたと判断できる.この追加サンプル点の中から,バフェットリスクが十分小さいという条件付きで4つの代表形状を選択して飛行経路解析による燃費評価を実施したところ,従来設計手法で設計したBase形状に比べて,最大で3.4%の燃費向上を見込めることが判明した.」(482頁右欄22行~483頁右欄5行) 4.7.2 甲第7号証記載の技術事項 上記「4.7.1 甲第7号証の記載」の記載及びこの分野における技術常識を考慮し、甲第7号証の記載事項について検討する。 (a) 甲第7号証には、航空機の主翼の設計方法について記載がある。設計は計算機により行われている。 (b) 甲第7号証の上記シ.及びス.には、航空機の空力・構造同時最適設計を可能とする多分野統合最適設計(MDO)システムに関して記載があり、応答曲面法に多目的遺伝的アルゴリズムを組み合わせることで、空力特性評価を応答曲面上の代数計算に置き換えて、パレート解の計算時間の短縮を図ることについて記載されている。 すなわち、近似モデル上の目的関数値そのものを最適化するのではなく、『応答曲面上で解を探索』し、『探索結果に基いたサンプル点の追加更新による応答曲面の更新を行い』ながら、『最適解の探索と応答曲面の精度向上を行う』、『航空機の空力特性の最適化設計』についての記載がある。 (c) したがって、(a)~(b)の検討により、甲第7号証には、以下の技術事項が記載されているといえる。 (甲第7号証の技術事項) 「応答曲面上で解を探索し、 探索結果に基いたサンプル点の追加更新による応答曲面の更新を行いながら、最適解の探索と応答曲面の精度向上を行う、 計算機による航空機の空力特性の最適化設計技術。」 5. 当審の判断 5.1 異議申立理由1(特許法第29条第1項第3号違反) 5.1.1 本件特許発明1について 5.1.1.1 本件特許発明1と甲1発明Aとの対比 甲1発明Aと本件特許発明1とを対比する。 (i) 本件特許発明1の構成1Aと甲1発明Aの構成a、構成bとの対比 甲1発明Aの構成aの「無人戦闘機」、「翼形状」は、それぞれ本件特許発明1の「航空機」、「所定の設計対象」に含まれる。また、甲1発明Aの構成bの「設計を行う計算機」は、明らかに本件特許発明1の「航空機設計装置」に相当する。 したがって、甲1発明Aの構成a、構成bと本件特許発明1の構成1Aとは一致する。 (ii) 本件特許発明1の構成1Bと甲1発明Aの構成cとの対比 上記(i)と同様に、甲1発明Aの「翼の形状」は、本件特許発明1の「所定の設計対象」に含まれる。 また、甲1発明Aの「設計変数」は、明らかに本件特許発明1の「設計パラメータ」に相当する。 また、甲1発明Aの「取得」は、計算機の取得であり、計算機のユーザが計算機を操作することにより設定することと同義である。そして、「取得」することは、設計方法における一つの「工程」であるといえる。 したがって、甲1発明Aの構成cと本件特許発明1の構成1Bとは一致する。 (iii) 本件特許発明1の構成1Cと甲1発明Aの構成d、構成eとの対比 甲1発明Aの構成dの「翼形状の階層的ノード」は、構成cの「翼の形状に関する設計変数」に基づいて決定されるものであり、構成eのように、決定されたノードは、翼形状を生成するのに用いられているから、翼形状は、翼の形状に関する設計変数を用いて生成されているといえる。ここで、翼形状は計算機上に生成されるものであるから「モデル」といえ、さらに、空力特性及びRCS特性を取得するためのモデルであることから、本件特許発明1の「空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデル」に相当する。 また、計算機が空力特性及びRCS特性を「取得」することは、「計算」により行われるものである。そして、「取得」することは、本件特許発明1の「解析」することに相当し、また、この「取得」することは、設計方法における一つの「工程」であるといえる。 したがって、甲1発明Aの構成d、構成eと本件特許発明1の構成1Cとは一致する。 (iv) 本件特許発明1の構成1D~1Gと甲1発明Aの構成fとの対比 甲1発明Aの「適応度関数」は、本件特許発明1の「目的関数」と共通する。しかしながら、甲1発明Aの「適応度関数」は、「空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する」ものでない。 さらに、甲1発明Aでは、取得された「空力特性及びRCS特性」から適応度関数を演算するものの、本件特許発明1の構成1D~1Gのように、「空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数」を用いて最適化条件が満たされるか否かを判定するような構成を有していない。 (v) 本件特許発明1の構成1Hと甲1発明Aの構成gとの対比 上記(i)のとおり、甲1発明Aの「無人戦闘機」は、本件特許発明1の「航空機」に含まれる。 したがって、甲1発明Aの構成gと本件特許発明1の構成1Hとは一致する。 以上の対比により、本件特許発明1と甲1発明Aは、以下の点で一致ないし相違している。 [一致点] 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計方法であって、 航空機設計装置が、 ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータの値を設定する設計パラメータ設定工程と、 前記設計パラメータの値を用いて空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成し、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算する解析工程とを有し、 空力特性及びRCS特性から目的関数を演算する、 航空機設計方法。 [相違点] 本件特許発明1が、「前記解析工程での解析結果が、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たすか否かを判定する判定工程」と、「前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていないと判定された場合に、前記設計パラメータの値を最適化しつつ更新する設計パラメータ更新工程」と、を実行し、「前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていると判定されるまで、前記解析工程、前記判定工程及び前記設計パラメータ更新工程を繰り返し」、「前記判定工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行う」構成を備えているのに対し、甲1発明Aでは、上記「判定工程」、上記「設計パラメータ更新工程」を備えておらず、空力特性及びRCS特性から目的関数を演算するに留まる点。 5.1.1.2 同一性についての判断 以上のとおり、本件特許発明1は、甲1発明Aと相違点を有するものであるから甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 5.1.2 本件特許発明5、7について 本件特許発明5は、本件特許発明1に対応するプログラムの発明であり、また、本件特許発明7は、本件特許発明1に対応する装置の発明であるから、本件特許発明5、7は、本件特許発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、甲1発明Aと、上記5.1.1.1における一致点で一致し、相違点で相違する。 したがって、本件特許発明5、7は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。 5.2 異議申立理由2 (特許法第29条第2項違反) 5.2.1 本件特許発明1について 5.2.1.1 本件特許発明1と甲1発明Aとの対比 甲1発明Aと本件特許発明1との対比については、上記5.1.1.1におけるとおりであり、上記5.1.1.1における一致点で一致し、相違点で相違する。 5.2.1.2 相違点についての判断 上記5.1.1.1における相違点について検討する。 甲第2号証~甲第5号証には、上記4.2.2の(甲第2号証の技術事項)、上記4.3.2の(甲第3号証の技術事項1)、4.4.2の(甲第4号証の技術事項)、4.5.2の(甲第5号証の技術事項)に記載したとおりの技術事項が記載されている。 ここで、本件特許発明1の上記相違点に係る、「前記解析工程での解析結果が、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たすか否かを判定する判定工程」と、「前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていないと判定された場合に、前記設計パラメータの値を最適化しつつ更新する設計パラメータ更新工程」と、を実行し、「前記判定工程において前記解析工程での解析結果が前記設計条件を満たしていると判定されるまで、前記解析工程、前記判定工程及び前記設計パラメータ更新工程を繰り返し」、「前記判定工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行う」構成(以下、「反復処理構成」と略称する。)に関して、甲第2号証~甲第5号証の技術事項をみてみる。 まず、甲第2号証には(甲第2号証の技術事項)に記載のとおり、一の設計変数を設定して空力特性計算及びRCS計算を行った後、次の設計変数を設定して空力特性計算及びRCS計算を行う「反復処理」については記載されているものの、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理」を行う「反復処理構成」については記載も示唆もない。 甲第3号証には(甲第3号証の技術事項1)に記載のとおり、空力特性計算及びRCS計算を行った後、モデルを構成し、モデルとシステム最適化の間で「反復処理」を行うことについては記載されているものの、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理構成」については記載も示唆もない。 甲第4号証には、(甲第4号証の技術事項)に記載のとおり、空力性能を最適にし、レーダ反射面積RSCを減少させるように、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを含む総合評価関数(本件特許発明1の「目的関数」に相当する。)を用いることについては、記載されているものの、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理構成」において用いることについては記載も示唆もない。 甲第5号証には、(甲第5号証の技術事項)に記載のとおり、「空力特性演算を実行して性能指数により空力特性結果を評価し、評価できない場合に、機体の改良改善を図り、再び機体のCADソリッドモデルを生成し、評価できる場合に、逆合成開口レーダ画像を生成し、機体の主な散乱中心を調査・評価し、散乱を減少させて十分なRCS性能が得られる」ようにする「反復処理」については記載されているものの、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理構成」については記載も示唆もない。 以上のとおり、甲第2号証~甲第5号証には、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理構成」について記載も示唆もない以上、甲1発明Aと甲第2号証~甲第5号証の技術事項の組み合わせにより、本件特許発明1の相違点に係る「反復処理」を行うことを当業者が容易に想到し得たとすることは、到底できない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明Aおよび甲第2号証~甲第5号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5.2.2 本件特許発明5、7について 本件特許発明5は、本件特許発明1に対応するプログラムの発明であり、また、本件特許発明7は、本件特許発明1に対応する装置の発明であるから、本件特許発明5、7は、本件特許発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、甲1発明Aと、上記5.1.1.1における一致点で一致し、相違点で相違する。 そして、相違点に対する判断は、上記5.2.1.2のとおりである。 したがって、本件特許発明5、7は、甲1発明Aおよび甲第2号証~甲第5号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.3 異議申立理由3(特許法第29条第2項違反) 5.3.1 本件特許発明2について 5.3.1.1 本件特許発明2と甲1発明Bとの対比 甲1発明Bと本件特許発明2とを対比する。 (i) 本件特許発明2の構成2Aと甲1発明Bの構成a’、構成b’との対比 甲1発明Bの構成a’の「無人戦闘機」、「翼形状」は、それぞれ本件特許発明2の「航空機」、「所定の設計対象」に含まれる。また、甲1発明Bの構成b’の「設計を行う計算機」は、明らかに本件特許発明2の「航空機設計装置」に相当する。 したがって、甲1発明Bの構成a’、構成b’と本件特許発明2の構成2Aとは一致する。 (ii) 本件特許発明2の構成2Bと甲1発明Bの構成c’との対比 上記(i)と同様に、甲1発明Bの「翼の形状」は、本件特許発明2の「所定の設計対象」に含まれる。 また、甲1発明Bの「設計変数」は、明らかに本件特許発明2の「設計パラメータ」に相当する。 また、甲1発明Bの「取得」は、計算機の取得であり、計算機のユーザが計算機を操作することにより設定することと同義である。そして、「取得」することは、設計方法における一つの「工程」であるといえる。 さらに、構成d’において、「設計変数の各値について」翼形状が生成されており、設計変数には、「複数の値」が設定されている。 したがって、甲1発明Bの構成c’と本件特許発明2の構成2Bとは一致する。 (iii) 本件特許発明2の構成2Cと甲1発明Bの構成d’との対比 甲1発明Bの構成d’では、「取得された設計変数の各値について、翼形状を生成」している。ここで、上記(ii)において言及したとおり、「設計変数」は、明らかに本件特許発明2の「設計パラメータ」に相当する。そして、「翼形状」は計算機上に生成されるものであるから「モデル」といえ、さらに、空力特性及びRCS特性を取得するためのモデルであることから、本件特許発明2の「空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデル」に相当する。 また、計算機が空力特性及びRCS特性を「取得」することは、「計算」により行われるものである。そして、「取得」することは、本件特許発明2の「解析」することに相当し、また、この「取得」することは、設計方法における一つの「工程」であるといえる。 さらに、「設計変数の各値」について取得した結果は、離散的な結果であるから「サンプリング解析結果」と言い得るものである。 したがって、甲1発明Bの構成d’と本件特許発明2の構成2Cとは一致する。 (iv) 本件特許発明2の構成2Dと甲1発明Bの構成e’及び構成f’との対比 甲1発明Bの「パレートフロント」が、複数のパレート最適解で構成される曲線または曲面であることは当該分野の技術者の技術常識であるから、本件特許発明2の「応答曲面」に相当する。また、上記(iii)で言及したとおり、甲1発明Bの構成d’において設計変数の各値について取得した結果は、離散的な結果であるから「サンプリング解析結果」と言い得るものである。 このことから、甲1発明Bの構成e’及び構成f’のうち、「取得された空力特性及びRCS特性から適応度関数を演算し」、「適応度が評価できるときには、演算結果から新しい個体を発生させて、空力特性及びRCS特性のパレートフロントを演算」することは、本件特許発明2と「前記解析工程で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成」することと共通する。しかしながら、甲1発明Bでは、応答曲面の生成にあたり、「適応度が評価できるときには、演算結果から新しい個体を発生させて」いる点で、本件特許発明2とは相違している。 (v) 本件特許発明2の構成2E~2Fと甲1発明Bの構成f’及び構成g’との対比 本件特許発明2では、構成2Eにより、最適化条件を含む設計条件を満たす設計パラメータの最適解を探索する解探索工程を実行するにあたり、最適化条件がを満されるか否かをの判定を、構成2Fのように、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行っている。 これに対し、甲1発明Bには、終了基準の判定を、空力特性及びRCS特性による適応度関数の適応度の値が所定数値を下回るか否かで行い、終了基準が満たされないと判定されたときには、上記設計変数の取得を再び行い、終了基準を満たしたと判定されたときには、最適化のための結果を出力し最適化プロセスを終了している。 ここで、甲1発明Bの「適応度関数」は、本件特許発明2の「目的関数」と共通する。しかしながら、甲1発明Bの「適応度関数」は、「空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する」ものでない。 (vi) 本件特許発明2の構成2Gと甲1発明Bの構成h’との対比 上記(i)のとおり、甲1発明Bの「無人戦闘機」は、本件特許発明2の「航空機」に含まれる。 したがって、甲1発明Bの構成h’と本件特許発明2の構成2Gとは一致する。 以上の対比により、本件特許発明2と甲1発明Bは、以下の点で一致ないし相違している。 [一致点] 航空機のうち所定の設計対象の形状を設計する航空機設計方法であって、 航空機設計装置が、 ユーザ操作に基づいて前記設計対象の形状に関する設計パラメータに複数の値を設定する設計パラメータ設定工程と、 前記設計パラメータ設定工程で設定された前記設計パラメータの各値について、空力特性解析及びRCS解析用の各解析モデルを作成して、前記設計対象の空力特性及びRCS特性を計算し、前記設計パラメータの複数の値に対応する複数のサンプリング解析結果を得る解析工程と、 前記解析工程で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成する応答曲面生成工程と、 を備える航空機設計方法。 [相違点] (1) 「前記解析工程で得られた複数のサンプリング解析結果から、前記設計パラメータに対する空力特性及びRCS特性の各応答曲面を生成」するにあたり、甲1発明Bでは、適応度関数による「適応度が評価できるとき」のみ行われ、かつ、「演算結果から新しい個体を発生させて」応答曲面を生成している点で、本件特許発明2とは相違している。 (2) 本件特許発明2が、「前記応答曲面生成工程で生成された空力特性及びRCS特性の各応答曲面に基づいて、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たす前記設計パラメータの最適解を探索する解探索工程」を実行しており、「前記解探索工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行う」のに対し、甲1発明Bでは、上記「解探索工程」を備えておらず、空力特性及びRCS特性から目的関数を演算するに留まる点。 5.3.1.2 相違点についての判断 相違点(2)について検討する。 甲第2号証~甲第7号証には、上記4.2.2の(甲第2号証の技術事項)、上記4.3.2の(甲第3号証の技術事項1)、4.4.2の(甲第4号証の技術事項)、4.5.2の(甲第5号証の技術事項)、4.6.2の(甲第6号証の技術事項)、4.7.2の(甲第7号証の技術事項)に記載したとおりの技術事項が記載されている。 ここで、本件特許発明2の上記相違点に係る、「前記応答曲面生成工程で生成された空力特性及びRCS特性の各応答曲面に基づいて、予め設定された設計条件であって空力特性及びRCS特性に関する最適化条件を含む設計条件を満たす前記設計パラメータの最適解を探索する解探索工程」を実行しており、「前記解探索工程では、前記最適化条件が満たされるか否かの判定を、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを有する目的関数を用いて行う」構成(以下、「解探索工程」と略称する。)に関して、甲第2号証~甲第7号証の技術事項をみてみる。 まず、甲第2号証には(甲第2号証の技術事項)に記載のとおり、空力特性とRSC(レーダ反射断面積)特性を両特性を最適化する設計を行う技術については記載されているものの、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」については記載も示唆もない。 甲第3号証には(甲第3号証の技術事項1)に記載のとおり、空力特性とRSC(レーダ反射断面積)特性を両特性を最適化する設計を行う技術については記載されており、また、(甲第3号証の技術事項2)に記載のとおり、最適化計算において、2次応答曲面モデルを用いることも開示しているものの、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」については記載も示唆もない。 甲第4号証には、(甲第4号証の技術事項)に記載のとおり、空力性能を最適にし、レーダ反射面積RSCを減少させるように、空力特性を表す項とRCS特性を表す項とを含む総合評価関数(本件特許発明2の「目的関数」に相当する。)を用いることについては、記載されているものの、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」において用いることについては記載も示唆もない。 甲第5号証には、(甲第5号証の技術事項)に記載のとおり、「空力特性演算を実行して性能指数により空力特性結果を評価し、評価できない場合に、機体の改良改善を図り、再び機体のCADソリッドモデルを生成し、評価できる場合に、逆合成開口レーダ画像を生成し、機体の主な散乱中心を調査・評価し、散乱を減少させて十分なRCS性能が得られる」ようにする設計技術については記載されているものの、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」については記載も示唆もない。 甲第6号証には、(甲第6号証の技術事項)に記載のとおり、多目的最適化のために、応答曲面モデリングによりパレートフロント、すなわち「応答曲面」を得るようにする設計技術については記載されているものの、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」については記載も示唆もない。 甲第7号証には、「応答曲面上で解を探索し、探索結果に基いたサンプル点の追加更新による応答曲面の更新を行いながら、最適解の探索と応答曲面の精度向上を行う」最適化設計技術について、記載されているものの、4.7.2の(b)において記載したとおり、近似モデル上の目的関数値そのものを最適化するのではなく応答曲面上で解を探索する技術であるから、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」については記載も示唆もない。 以上のとおり、甲第2号証~甲第7号証には、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」について記載も示唆もない以上、甲1発明Bと甲第2号証~甲第7号証の技術事項の組み合わせにより、本件特許発明2の相違点に係る「解探索工程」を行うことを当業者が容易に想到し得たとすることは、到底できない。 したがって、本件特許発明2は、相違点(1)について検討するまでもなく、甲1発明Bおよび甲第2号証~甲第7号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5.3.2 本件特許発明6、8について 本件特許発明6は、本件特許発明2に対応するプログラムの発明であり、また、本件特許発明8は、本件特許発明2に対応する装置の発明であるから、本件特許発明6、8は、本件特許発明2とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、甲1発明Bと、上記5.3.1.1における一致点で一致し、相違点で相違する。 そして、相違点に対する判断は、上記5.3.1.2のとおりである。 したがって、本件特許発明6、8は、甲1発明Bおよび甲第2号証~甲第7号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.4 異議申立理由4(特許法第29条第2項違反) 5.4.1 本件特許発明3について 本件特許発明3は、本件特許発明2を引用する発明であるから、上記5.3.1.1における相違点に係る構成を有する発明である。 そして、相違点に対する判断は、上記5.3.1.2のとおりである。 したがって、本件特許発明3は、甲1発明Bおよび甲第2号証~甲第7号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5.5 異議申立理由5(特許法第29条第2項違反) 5.5.1 本件特許発明4について 本件特許発明4は、本件特許発明1ないし3を引用する発明であるから、上記5.1.1.1における相違点もしくは上記5.3.1.1における相違点に係る構成を有する発明である。 そして、上記5.1.1.1における相違点に対する判断は、上記5.2.1.2のとおりであり、上記5.3.1.1における相違点に対する判断は、上記5.3.1.2のとおりである。 したがって、本件特許発明4は、甲1発明Aまたは甲1発明Bおよび甲第2号証~甲第7号証の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 6.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1~請求項8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~請求項8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700195

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