特許訂正審判
2017-390003
密閉型圧縮機及び冷凍サイクル装置
- 審判番号
- 2017-390003
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-167189外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月19日
- 審決日
- 2017年03月17日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】東芝キヤリア 株式会社
- 【請求人代理人】小川 眞一
- 分類
- P141 .852-Y (F04C) / P141 .853-Y (F04C) / P141 .841-Y (F04C) / P141 .854-Y (F04C) / P141 .855-Y (F04C) / P141 .856-Y (F04C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6022247号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6022247号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 請求の趣旨
平成29年 1月19日付けでなされた本件訂正審判の請求は、特許第6022247号(特許出願:平成24年 7月27日、設定登録:平成28年10月14日)の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書」という。)における明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであって、具体的には、訂正事項1ないし訂正事項2のとおりにすること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものである。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」と記載されているのを、「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2第シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記仕切板内空間内に吐出され、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし請求項7も同様に訂正する。下線は当審で付与した。以下同様。)。
2.訂正事項2
本件特許明細書の段落【0011】に、「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が圧縮室内空間内に吐出され、」と記載されているのを、「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が仕切板内空間内に吐出され、」に訂正する。
第2 本件訂正の適否についての判断
1.訂正の目的の適否について
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に係る発明では、「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」となっている。
訂正前の請求項1に係る発明には、「圧縮室内空間」や「圧縮室」が当該記載よりも前において記述されていないから、「前記圧縮室内空間」の「前記」が誤記であり、圧縮室が何を示すのかは訂正前の請求項1の記載からでは明らかでない。
そこで、本件特許明細書の記載を検討すると、本件特許明細書は、「圧縮室」について、段落【0011】の「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が圧縮室内空間内に吐出され、」との記載と、段落【0056】の「プレード49により第1・第2シリンダ室17a、19a内が、ガス冷媒を吸込む吸込室(図示せず)と吸込んだガス冷媒を圧縮する圧縮室(図示せず)とに区画されている」との記載しかない。段落【0011】には、本件発明の課題を解決するための手段として、訂正前の請求項1の記載に相当する事項が記載されているにすぎず、段落【0056】の前記記載からみて、「圧縮室」は、第1・第2シリンダ室17a、19aの一部であって、ガス冷媒を圧縮する室である。
そうすると、訂正前の請求項1の「前記第1仕切板吐出ポート及び前記第2仕切板吐出ポートから、前記第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記圧縮室内空間内に吐出され、」の記載は、圧縮室で圧縮されたガス冷媒が第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから圧縮室自身に吐出されることを意味することとなり、明らかに不合理である。
そして、本件特許明細書中には、段落【0026】に「仕切板18は、第1シリンダ17と第2シリンダ19との間を仕切るとともに、その内部に仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aが形成されている」と、段落【0029】に「第1分割仕切板18bには、第1シリンダ室17a内で圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第1仕切板吐出ポート35が形成されている。」と、段落【0031】に「第2分割仕切板18cには、第2シリンダ室19aで圧縮されたガス冷媒を仕切板内マフラ室18aに吐出する第2仕切板吐出ポート42が形成されている。」と、それぞれ記載されている。これらの記載から、第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が吐出されるのは、前記圧縮室ではなく、前記仕切板内空間である仕切板内マフラ室であることが理解できる。
以上のことをふまえれば、「第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が、第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから前記圧縮室内空間に吐出される」との記載は明らかな誤記で、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が吐出されるのは、「前記仕切板内空間内」であるのが正しいことが理解できる。
してみれば、「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうから、この訂正事項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項2ないし請求項7においても、訂正後の請求項1に記載された「第1仕切板吐出ポート及び第2仕切板吐出ポートから、第1・第2シリンダ室で圧縮されたガス冷媒が前記仕切板内空間内に吐出され、」を直接的又は間接的に引用しており、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものである。
そうすると、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
2.本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
(1)訂正事項1
訂正事項1の訂正は、上述のとおり特許明細書の段落【0026】、【0029】、【0031】に記載された内容に基づいて導き出された構成であって、当該記載は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面にも記載されているから,訂正事項1の訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に範囲内の訂正であり、特許法126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、上記2.(1)と同様の理由により、当該訂正事項2の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
3.訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
(1)訂正事項1
訂正事項1の訂正は、請求項中の記載が、本件特許明細書の記載との関係で誤りであることが明らかであり、かつ、本件特許明細書の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるときにおいて、その誤りを正しい記載にする訂正である。
よって、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、上記3.(1)と同様の理由により、当該訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4.訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
特許公報に参考文献として列挙された中国特許出願公開第1676938号明細書、特開平10-213087号公報、特開平1-301984号公報、特開平2-230994号公報、国際公開第2009/145232号、実開平2-63093号公報のいずれの文献にも、第1仕切板吐出ポートの断面積が第1軸受吐出ポートの断面積より小さく形成され、第2仕切板吐出ポートの断面積が第2軸受吐出ポートの断面積よりも小さく形成された点は、記載されておらず、訂正後の請求項1~7に係る発明(以下、「本件訂正発明1~7」という。)は、「第1仕切板吐出ポート35と第2仕切板吐出ポート42とから仕切板内空間である仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の量が少なくなり、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくしても仕切板内マフラ室18aに吐出されるガス冷媒の圧力脈動を抑制することができ、圧力脈動が原因となる騒音の発生を抑制することができる。また、仕切板内マフラ室18aの容積を小さくすることにより、仕切板18を薄型化することができ、仕切板18を薄型化することにより第1軸受15と第2軸受20との間隔を小さくすることができる。第1軸受15と第2軸受20との間隔が小さくなることにより、回転軸12が第1軸受15や第2軸受20に対して片当りすることや、回転軸12が撓むことを防止することができ、密閉型圧縮機2の性能を高めることができる。」(段落【0084】)という格別の作用効果を奏するものである。
また、他に本件訂正発明1~7が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第3 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-390003