審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2017-018162

ワイヤハーネス生産システム及びワイヤハーネス生産方法

審判番号
2017-018162
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-209034外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月07日
審決日
2018年05月07日
公報発行日
2018年08月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01B) / P18 .575-Z (H01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-209034「ワイヤハーネス生産システム及びワイヤハーネス生産方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開,特開2015- 72860〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成25年10月4日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 5月23日付け:拒絶理由通知書 平成29年 9月25日  :意見書,手続補正書の提出 平成29年10月18日付け:拒絶査定 平成29年12月 7日  :審判請求書,手続補正書の提出 平成30年 2月 1日  :上申書の提出 第2 平成29年12月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年12月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。) 「【請求項1】 電線被覆部を着色材で着色をするための着色ユニットをシステム構成に含むワイヤハーネス生産システムにおいて, 前記着色ユニットよりも前工程側のシステム構成として, 電線の長さを測定する検尺部と, 該検尺部の前記測定に基づいて前記電線を指示した長さで切断し検尺切断電線を得る電線切断部と, 該電線切断部により得られた前記検尺切断電線を保持する電線保持竿と, 前記検尺切断電線を前記電線保持竿に略U字状にセットするとともに前記検尺切断電線の各端末を前記着色ユニットの配置側に突出させる電線U字状セット部と, を含み, 前記着色ユニットの構成としては, 該着色ユニットを通過する前記電線の前記電線被覆部を着色する着色ユニット本体部と, 該着色ユニット本体部よりも前工程となり且つ前記電線被覆部の拭き取りを行う拭き取り部と, を含み, 前記検尺切断電線の前記各端末を前記拭き取り部の配置側及び前記着色ユニットの配置側に突出させるため,前記電線U字状セット部には,前記電線の引き出し先端側の端末を保持しつつ該引き出し先端側の端末の向きを180度反転させる第一の機構と,前記電線切断部により切断されて得られた前記検尺切断電線の引き出し後端側の端末を保持する第二の機構と,前記第一の機構にて反転させた前記引き出し先端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第三の機構と,前記第二の機構にて保持された前記引き出し後端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第四の機構とを設け, 前記第三の機構及び前記第四の機構は,ワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合い防止に配慮したりサブハーネス生産時における端子金具挿入順に配慮したりするため,前記電線保持竿に先に保持された前記検尺切断電線に対し電線途中を交差させることが可能なセット位置を各前記所望の位置とする機構のものである ことを特徴とするワイヤハーネス生産システム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の,平成29年9月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 電線被覆部を着色材で着色をするための着色ユニットをシステム構成に含むワイヤハーネス生産システムにおいて, 前記着色ユニットよりも前工程側のシステム構成として, 電線の長さを測定する検尺部と, 該検尺部の前記測定に基づいて前記電線を指示した長さで切断し検尺切断電線を得る電線切断部と, 該電線切断部により得られた前記検尺切断電線を保持する電線保持竿と, 前記検尺切断電線を前記電線保持竿に略U字状にセットするとともに前記検尺切断電線の各端末を前記着色ユニットの配置側に突出させる電線U字状セット部と, を含み, 前記着色ユニットの構成としては, 該着色ユニットを通過する前記電線の前記電線被覆部を着色する着色ユニット本体部と, 該着色ユニット本体部よりも前工程となり且つ前記電線被覆部の拭き取りを行う拭き取り部と, を含み, 前記検尺切断電線の前記各端末を前記着色ユニットの配置側に突出させるため,前記電線U字状セット部には,前記電線の引き出し先端側の端末を保持しつつ該引き出し先端側の端末の向きを180度反転させる第一の機構と,前記電線切断部により切断されて得られた前記検尺切断電線の引き出し後端側の端末を保持する第二の機構と,前記第一の機構にて反転させた前記引き出し先端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第三の機構と,前記第二の機構にて保持された前記引き出し後端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第四の機構とを設ける ことを特徴とするワイヤハーネス生産システム。」 2 補正の適否 本件補正は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「拭き取り部」の「配置」,及び「第三の機構及び前記第四の機構」の「セット位置」について,上記のとおり限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2010-257778号公報(平成22年11月11日出願公開。以下「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(下線は,当審で付した。) 「【背景技術】 【0002】 移動体としての自動車等には,種々の電子機器が搭載される。このため,前記自動車等は,前記電子機器にバッテリ等の電源からの電力やコンピュータ等からの制御信号等を伝えるために,ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは,複数の電線と,これら電線の端部等に取り付けられたコネクタとを備えている。」 <途中省略> 【0005】 ところで,前述したワイヤハーネスの電線は,芯線の太さ,被覆部の材質(耐熱性の有無等)や使用目的等を識別する必要がある。使用目的とは,例えば,エアバック,ABS(Antilock Brake System)や車速情報等の制御信号や動力伝達系統等の,電線が用いられる自動車の系統(システム)である。 【0006】 そこで,電線の外表面には,前述した使用目的等を識別するために,印(着色意匠)が形成されている。印は,製造後の電線の外表面を着色することで形成される。このような電線の着色は,例えば,電線の着色装置(例えば,特許文献1参照)を用いて,着色材を電線の外表面に向かって滴射(滴下)して行われる。着色材とは,溶媒中に,染料が溶解または分散しているものや,顔料が分散しているものである。 【0007】 ところが,前述のように,電線の外表面には酸化防止剤や銅害防止剤等の添加剤が析出する。このため,着色材の溶媒に対する相溶性の高い添加剤が析出していると,被覆部上に滴射(滴下)された着色材が滲んで印が広がってしまい,印の視認性や意匠性が低下するといった問題があった。さらに,電線の種類によって添加剤の種類や含有量が異なったり,また同種の電線であっても製造ロットや保管状態が異なったりすると,添加剤の析出量等が異なってしまい,着色材の広がり方にばらつきがあるといった問題があった。また,逆に,着色材の溶媒に対する相溶性の低い添加剤が析出していると,被覆部上の着色材が弾かれてしまい着色しづらくなるといった問題があった。 <途中省略> 【0012】 本発明は,このような問題を解決することを目的としている。即ち,本発明は,簡単に被覆部上での着色材の広がりや広がり方のばらつきを抑え,着色意匠の視認性や意匠性を向上させることができる電線,電線の加工方法及び電線の加工装置を提供することを目的としている。」 「【発明を実施するための形態】 【0024】 以下,本発明の第1の実施形態にかかる電線1,及び電線の加工装置としての拭き取り装置2を図1ないし図8を参照して説明する。図1に示す本発明の第1の実施形態にかかる電線1は,当該電線1の外表面1aに着色材を付着させて外表面1aを着色するための(即ち着色用の)ものである。 【0025】 電線1は,所謂被覆電線であり,押出成形によって製造される。電線1は,図1(a)に示すように,導電性の芯線11と,芯線11を被覆する絶縁性の被覆部12とを備えている。芯線11は,複数の素線11aが撚られて形成されている。素線11aは,例えば,銅等の導電性の金属材料で構成されている。なお,芯線11は,一本の素線11aから構成されていてもよい。 【0026】 被覆部12は,絶縁性の合成樹脂で構成され,ポリオレフィン系樹脂組成物で構成されている。被覆部12は,芯線11を被覆している。このため,被覆部12の外表面は電線1の外表面1aをなしており,被覆部12の外表面は電線1の外表面1aに相当する。電線1の端部では,被覆部12が皮剥きされて除去され,芯線11が露出する。 <途中省略> 【0032】 そこで,本実施形態においては,電線1の外表面1aを拭き取り装置2を用いて拭き取ることで析出した前記酸化防止剤を除去し,電線1の外表面1aの表面張力γを20mN/m以上でかつ35mN/m以下としている。表面張力γが35mN/mより大きい(酸化防止剤の除去が十分でない)と,着色材が滲んでしまう虞がある。また,表面張力γが20mN/mより小さい(酸化防止剤を除去しすぎる)と,被覆部12を構成するポリオレフィン系樹脂組成物の極性が低いので,着色材が弾かれてしまう虞がある。電線1の外表面1aの表面張力γは,例えば市販のぬれ張力(表面張力)試験用混合液を用いて,JIS K6768に準拠した測定方法によって測定される値である。 <途中省略> 【0037】 前述した印13の色や個数等を種々に変更することにより,電線1同士を識別可能としている。印13の色や個数等は,ワイヤハーネスの電線1の線種,使用される系統(システム)の識別等を行う際の目印となる。このように,電線1の印13は,ワイヤハーネスの各電線1の使用用途を識別するために用いられる。 【0038】 前述した電線1は,リール10に巻き付けられた長尺なものが所定の長さで切断され,切断された端部近傍の外表面1aが拭き取られた後に着色され,前記端部が皮剥きされて端子金具が圧着される。その後,前記端子金具がコネクタハウジング内に挿入されて,電線1の端部にコネクタが取り付けられる。そして,電線1が複数束ねられて,ワイヤハーネスが製造される。こうして製造されたワイヤハーネスは,コネクタが自動車等の各種の電子機器のコネクタと結合して,各電子機器に各種の信号や電力を伝える。 【0039】 前述したワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムは,図2に示すように,電線切断工程P1と,拭き取り工程P2と,着色工程P3と,端子圧着工程P4等を備えている。電線切断工程P1と拭き取り工程P2と着色工程P3と端子圧着工程P4は,この順で順次行われる。 【0040】 電線切断工程P1では,電線選択,測長,切断等を行う。電線切断工程P1は,図3に示す電線作成装置41を備えている。電線作成装置41は,リール10に巻き付けられた長尺でかつ着色されていない(印13が形成されていない)電線1を所定の長さに切断して定尺の電線1を作成し,当該電線1を前述した各工程に供される電線竿6にU字状にして電線1の各端部を係止する。 【0041】 電線竿6は,長尺な竿本体61と,竿本体61に設けられた複数の電線クリップ62とを備えている。複数の電線クリップ62は,互いに間隔をあけて一方向に沿って並設されている。電線クリップ62は,互いの間に電線1を挟み込む一対の挟持子を備えている。 【0042】 前述した電線作成装置41は,Uターン旋回ヘッドを用いて電線1の先端部をU字状に折り曲げた状態で,電線1の両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップ62に挟持させる。電線竿6は,複数の工程に亘って設けられた後述する搬送装置42によって,拭き取り工程P2に搬送される。本実施形態における電線竿6は,電線1の端部から30mmの部分を電線クリップ62で保持している。また,電線クリップ62は,20mm間隔で設けられ,隣り合う電線1間の間隔は20mmとされている。 【0043】 搬送装置42は,前述した複数の工程に亘って循環するベルトや鎖等の搬送帯と,当該搬送帯を駆動する駆動モータと,当該駆動モータの駆動を制御する制御部とを備えている。電線竿6は,制御部の制御による駆動モータの駆動に応じて,各工程に搬送される。また,本実施形態における制御部は,後述する端子圧着機43の圧着する周期に応じて間欠的に駆動モータを駆動させることで,複数の電線1を間欠的に搬送させている。 【0044】 拭き取り工程P2では,電線切断工程P1から搬送される電線竿6に保持された電線1の両端部の外表面1aを拭き取って,電線1の外表面1aから当該外表面1aに析出した酸化防止剤を除去し,電線1の外表面1aの表面張力γを20mN/m以上でかつ35mN/m以下とする。拭き取り工程P2は,後述する本発明の拭き取り装置2を備えている。 【0045】 着色工程P3では,拭き取り工程P2から搬送される電線竿6に保持された電線1の拭き取られた外表面1aに着色材を付着させ,電線1の外表面1aに前述した印13を形成する。着色工程P3は,図3に示す着色装置5を備えている。 【0046】 着色装置5は,複数の着色ノズル51と,複数の弁52と,着色材供給源53と,加圧気体供給源54と,制御部55等を備えている。着色ノズル51は,それぞれ筒状に形成され,電線1の長手方向L(図3等で矢印Lで示す)に沿って並んでいる。なお,電線1の長手方向Lは,搬送装置42が電線竿6を搬送する方向M(図3等で矢印Mで示す)と直交する方向である。各着色ノズル51は,先端が電線1の外表面1aと相対している。弁52は,各着色ノズル51に設けられ,着色ノズル51と連結されている。弁52は,制御部55と接続されている。 <途中省略> 【0054】 以下,拭き取り装置2について説明する。拭き取り装置2は,図4等に示すように,台部21と,可動部22と,台部21に取り付けられた一対の第1エアシリンダ(第1移動手段に相当する)23A,23Bと,可動部22と第1エアシリンダ23Bに各々取り付けられた一対の第2エアシリンダ(第2移動手段に相当する)24A,24Bと,各第2エアシリンダ24A,24Bに取り付けられたローラ(挟持部材に相当する)25A,25Bと,制御部(制御手段に相当する)26とを備えている。第1エアシリンダ23A,23Bと第2エアシリンダ24A,24Bとローラ25A,25Bと制御部26とは,拭き取り部(拭き取り手段に相当する)20を構成する。 【0055】 台部21は,箱状に形成され,工場等のフロアに設置される。台部21の上面は,水平方向に平坦に形成されている。可動部22は,肉厚板状に形成され,水平方向に沿って配されている。可動部22は,台部21の上方に配され,第1エアシリンダ23Aを介して台部21に取り付けられている。 【0056】 第1エアシリンダ23A,23Bは,各々,シリンダ本体23cと,シリンダ本体23cから伸縮自在なロッド23dとを備えている。各シリンダ本体23cは,鉛直方向に沿って配されて,台部21から立設している。各ロッド23dは,シリンダ本体23cの上端から上方に伸長しかつ下方に縮む。 【0057】 一方の第1エアシリンダ23Aのロッド23dの先端には,可動部22が取り付けられている。一方の第1エアシリンダ23Aは,ロッド23dを伸縮させることで可動部22を鉛直方向に沿って移動させ,可動部22を台部21に対して接離(近づいたり離れたりすること)自在にする。 【0058】 また,他方の第1エアシリンダ23Bのロッド23dの先端には,第2エアシリンダ24Bの後述するシリンダ本体24cが取り付けられている。他方の第1エアシリンダ23Bは,ロッド23dを伸縮させることで第2エアシリンダ24Bを鉛直方向に沿って移動させ,第2エアシリンダ24Bを台部21に対して接離自在にする。 【0059】 第2エアシリンダ24A,24Bは,各々,シリンダ本体24cと,シリンダ本体24cから伸縮自在なロッド24dとを備えている。一方の第2エアシリンダ24Aのシリンダ本体24cは可動部22に取り付けられ,他方の第2エアシリンダ24Bのシリンダ本体24cは第1エアシリンダ23Bのロッド23dに取り付けられている。各シリンダ本体24cは,水平方向に沿ってかつ互いに平行に配されているとともに,電線竿6に保持された電線1の長手方向Lと平行に配されている。 【0060】 ロッド24dは,シリンダ本体24cから電線竿6に向かって伸長しかつ電線竿6から離れる方向に縮む。第2エアシリンダ24A,24Bのロッド24dの先端には,各々,ローラ25A,25Bが取り付けられている。第2エアシリンダ24A,24Bは,ロッド24dを伸縮させることでローラ25A,25Bを電線1の長手方向Lに沿って移動させる。 【0061】 ローラ25A,25Bは,ゴムやエラストマー等の弾性材料で構成され,円盤状に形成されている。ローラ25A,25Bは,それぞれ,中心軸がロッド24dの中心軸と一致するようにロッド24dの先端に取り付けられている。ローラ25A,25Bは,各第2エアシリンダ24A,24Bのロッド24dに取り付けられて,一対設けられている。一方のローラ25Aは,第2エアシリンダ24Aを介して可動部22に取り付けられている。他方のローラ25Bは,第2エアシリンダ24B及び第1エアシリンダ23Bを介して台部21に取り付けられている。 【0062】 前述した一対のローラ25A,25Bは,図4及び図5に示すように,第1エアシリンダ23Aがロッド23dを伸縮させて可動部22を移動させて当該可動部22に第2エアシリンダ24Aを介して取り付けられた一方のローラ25Aを移動させ,かつ,第1エアシリンダ23Bがロッド23dを伸縮させて第2エアシリンダ24Bを移動させて当該第2エアシリンダ24Bに取り付けられた他方のローラ25Bを移動させることで,互いに接離する。このように,一対のローラ25A,25Bは互いに接離自在に設けられ,第1エアシリンダ23A,23Bは一対のローラ25A,25Bを互いに接離させる。そして,一対のローラ25A,25Bは,互いに近づいて互いの間に電線1を挟む。 【0063】 また,一対のローラ25A,25Bは,図5及び図6に示すように,前述のように電線1を挟んだ状態で第2エアシリンダ24A,24Bがロッド24dを縮めることで電線1の長手方向Lに沿って移動し,電線1の外表面1aを拭き取る。即ち,第2エアシリンダ24A,24Bは,一対のローラ25A,25Bを電線1の長手方向Lに沿って移動させる。なお,このとき,電線1は,電線竿6の電線クリップ62に挟まれて保持されているので,当該電線1の長手方向Lに移動することはない。 【0064】 また,ローラ25A,25Bの電線1を挟む外周面には,図7に示すように,全周に亘って,布製や紙製のウェス27が取り外し自在に取り付けられている。ウェス27は,一対のローラ25A,25Bが互いの間に電線1を挟むと電線1の外表面1aに密着し,一対のローラ25A,25Bが電線1の長手方向Lに移動すると電線1の外表面1aを拭き取って,電線1の外表面1aに析出した酸化防止剤を除去する。 【0065】 なお,ウェス27の電線1への密着度合いは,第1エアシリンダ23A,23Bに供給する加圧気体の圧力を調節することによって適宜変更が可能である。本実施形態において前記密着度合いは,ローラ25A,25Bが弾性変形してウェス27が電線1の外表面1a全周に亘って密着し,電線1の外表面1aを全周に亘って拭き取ることができるように設定されている。また,前記密着度合いは,拭き取った後の電線1の外表面1aの表面張力γが20mN/m以上でかつ35mN/m以下となるように設定されている。 【0066】 制御部26は,周知のRAM,ROM,CPU等を備えたコンピュータである。制御部26は,第1エアシリンダ23A,23B及び一対の第2エアシリンダ24A,24Bと接続している。制御部26は,搬送装置42に搬送された電線1が一対のローラ25A,25B間に位置付けられると,第1エアシリンダ23Aにロッド23dを縮める信号を出力し,かつ第1エアシリンダ23Bにロッド23dを伸長させる信号を出力して,一対のローラ25A,25B間に電線1を挟む。次いで,制御部26は,第2エアシリンダ24A,24Bにロッド24dを縮める信号を出力し,互いの間に電線1を挟んだ一対のローラ25A,25Bを移動させて電線1の外表面1aを拭き取る。このように,制御部26は,互いの間に電線1を挟んだ一対のローラ25A,25Bを電線1の長手方向Lに沿って移動させるように,第1エアシリンダ23A,23B及び第2エアシリンダ24A,24Bを制御する。 【0067】 その後,制御部26は,電線1の外表面1aを拭き取った後に,第1エアシリンダ23Aにロッド23dを伸長させる信号を出力し,かつ第1エアシリンダ23Bにロッド23dを縮める信号を出力して,一対のローラ25A,25Bを互いに遠ざける。次いで,制御部26は,第2エアシリンダ24A,24Bにロッド24dを伸長させる信号を出力し,一対のローラ25A,25Bを電線竿6側に突出させる。 【0068】 なお,拭き取り装置2が所定時間稼働した後に,ローラ25A,25Bをその中心軸周りに所定角度回転させた後に再び固定することで,ウェス27の電線1と密着する面を変更でき,ウェス27の酸化防止剤の付着していない部分で電線1を拭き取ることができる。また,ウェス27は取り外し自在にローラ25A,25Bに取り付けられているので,ウェス27の全面に酸化防止剤が付着した後には,ウェス27を未使用のウェス27と取り替えることができる。 【0069】 前述した拭き取り装置2を用いて電線1の外表面1aを拭き取る際には,まず,制御部26が第1エアシリンダ23A,23B及び第2エアシリンダ24A,24Bに信号を出力して,第1エアシリンダ23Aのロッド23dを伸長させかつ第1エアシリンダ23Bのロッド23dを縮めて一対のローラ25A,25Bを互いに遠ざけておき,第2エアシリンダ24A,24Bのロッド24dを伸長させてローラ25A,25Bを電線竿6側に突出させておく。 【0070】 そして,電線切断工程P1を経て電線作成装置41から電線竿6が搬送され,一対のローラ25A,25B間に電線竿6に保持された電線1が位置付けられて搬送装置42が停止すると,制御部26が第1エアシリンダ23A,23Bに信号を出力して第1エアシリンダ23Aのロッド23dを縮めかつ第1エアシリンダ23Bのロッド23dを伸長させて一対のローラ25A,25B間に電線1を挟む。次いで,制御部26が第2エアシリンダ24A,24Bに信号を出力してローラ25A,25B間に電線1を挟んだ状態で第2エアシリンダ24A,24Bのロッド24dを縮めてローラ25A,25Bを電線1の長手方向Lに沿って移動させ,ウェス27を電線1の外表面1a上を摺動させて電線1の外表面1aを拭き取る。 【0071】 その後,制御部26は再び第1エアシリンダ23Aのロッド23dを伸長させかつ第1エアシリンダ23Bのロッド23dを縮めて一対のローラ25A,25Bを互いに遠ざけ,搬送装置42が電線竿6に保持された電線1を着色装置5に搬送する。また,制御部26は,第2エアシリンダ24A,24Bのロッド24dを伸長させてローラ25A,25Bを電線竿6側に突出させる。以上を繰り返して,電線1の外表面1aを拭き取っていく。こうして拭き取り工程P2を行った後に,着色工程P3,端子圧着工程P4を順次行っていく。」 図3は,引用文献1に記載された発明の第1の実施形態にかかる拭き取り装置を用いるワイヤハーネス製造システムの各工程で用いられる装置を説明する説明図であって,上記摘記を参酌すれば,図3の記載から,拭き取り装置から搬送される,先端部をU字状に折り曲げた状態で両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップ62に挟持された電線1の各端末が突出した側に,「着色装置5」が配置されているワイヤハーネス製造システムの構造を見て取ることができる。 図4は,引用文献1に記載された発明の第1の実施形態にかかるワイヤハーネス製造システムで用いる拭き取り装置の構成を説明する説明図であって,上記摘記及び図3を参酌すれば,図4の記載から,電線作成装置から搬送される,先端部をU字状に折り曲げた状態で両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップ62に挟持された電線1の各端末が突出した側に,台部21と,可動部22と,台部21に取り付けられた一対の第1エアシリンダ(第1移動手段に相当する)23A,23Bと,可動部22と第1エアシリンダ23Bに各々取り付けられた一対の第2エアシリンダ(第2移動手段に相当する)24A,24Bと,各第2エアシリンダ24A,24Bに取り付けられたローラ(挟持部材に相当する)25A,25Bと,制御部(制御手段に相当する)26とを備えた「拭き取り装置2」が配置されているワイヤハーネス製造システムの構造を見て取ることができる。 (イ)上記記載から,引用文献1には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。 a 引用文献1に記載された技術は,ワイヤハーネスで用いられる電線の外表面に,使用目的等を識別するための印(着色意匠)を着色する装置に関するものであり(【0002】~【0006】),簡単に被覆部上での着色材の広がりや広がり方のばらつきを抑え,着色意匠の視認性や意匠性を向上させることができる電線の加工装置を提供することを課題としたものである(【0012】)。 (ウ)上記(ア),(イ)から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「リールに巻き付けられた長尺な被覆電線を所定の長さで切断(電線切断工程P1)し, 切断をした前記被覆電線の端部近傍の外表面を拭き取り(拭き取り工程P2), その後,拭き取られた端部近傍の前記外表面を着色(着色工程P3)し, 前記端部を皮剥きして端子金具を圧着(端子圧着工程P4)し, その後,前記端子金具をコネクタハウジング内に挿入して,前記被覆電線の端部にコネクタを取り付け, そして,前記被覆電線を複数束ねて,ワイヤハーネスを製造する, ワイヤハーネス製造システムであって, (a)前記電線切断工程P1は, (i)リールに巻き付けられた長尺でかつ着色されていない被覆電線を所定の長さに切断して定尺の被覆電線を作成し, (ii)当該被覆電線を前述した各工程に供される電線竿にU字状にして被覆電線の各端部を係止する電線作成装置を備えており, (b)前記電線竿は,長尺な竿本体と,竿本体に設けられた複数の電線クリップとを備え,前記複数の電線クリップは,互いに間隔をあけて一方向に沿って並設され,前記電線クリップは,互いの間に被覆電線を挟み込む一対の挟持子を備えており, (c)前記電線作成装置は,Uターン旋回ヘッドを用いて被覆電線の先端部をU字状に折り曲げた状態で,被覆電線の両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップに挟持させ,被覆電線の両端部寄りの前記部分を前記電線クリップで保持する電線竿は,複数の工程に亘って設けられた搬送装置によって,拭き取り工程P2に搬送され, (d)前記拭き取り工程P2は,電線切断工程P1から搬送される電線竿に保持された被覆電線の両端部の外表面を拭き取って,被覆電線の外表面から当該外表面に析出した酸化防止剤を除去し,被覆電線の外表面の表面張力を20mN/m以上でかつ35mN/m以下とする拭き取り装置を備えており, (e)前記着色工程P3は,拭き取り工程P2から搬送される電線竿に保持された被覆電線の拭き取られた外表面に着色材を付着させ,被覆電線の外表面に印を形成する着色装置を備えており, (f)前記電線作成装置は,前記定尺の被覆電線の前記各端末を前記拭き取り装置の配置側及び前記着色装置の配置側に突出するように,電線竿にU字状にして前記被覆電線の各端部を係止するものである ワイヤハーネス製造システム。」 イ 引用文献2 (ア)同じく原査定に引用され,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平10-112229号公報(以下「引用文献2」という。)には,次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,車両等に配索されるワイヤハーネスの製造装置に関し,特に,ワイヤハーネス完成までの一連の製造工程を全て自動で行うことを可能とし,ワイヤハーネスの製造に要する手間と時間の大幅な削減を図ることができるワイヤハーネスの製造方法及び製造装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車1台の配線に必要な電線本数は,いわゆる普及車から高級車を含めると数百本ないし千数百本に達し,このような組電線(ワイヤハーネス)の製造には,次のような多数の製造工程を要していた。 1)定尺電線の作製工程 2)電線の端末処理工程 3)電線の反転及び配列替え工程 4)ジョイント工程 5)端子挿入工程 6)ワイヤハーネスの整形工程 【0003】そして,上記各工程を可能な限り自動化すべく,本出願人は,特開平6-223646号において,図60に示すような別個独立のステーションからなるワイヤハーネスのセット式製造装置を提案している。 【0004】具体的には,上記1)及び2)の工程を行うための端子付電線作製ステーション100(図61参照)と,端子付電線をロット別に仕分けるための電線整理棚200(図62参照)と,上記3)の工程を行なうための電線打ち込みステーション300(図62及び図63参照)と,上記4)の工程を行うためのジョイントステーション400(図64参照)と,上記5)の工程を行うための端子挿入ステーション500(図66参照)と,上記6)の工程を行うための整形ステーション600(図67参照)とで構成してある。各ステーション100,300~600及び電線整理棚200の構成は次のとおりである。 <途中省略> 【0013】[電線打ち込みステーション]図62(a)に示す電線打ち込みステーション300おいて,301は自動打込み装置,320は打込み作業テーブルを示し,該テーブル320の図中左側に電線供給棚330が,右側に竿台車340が,また背面側に空竿台車350が配置してある。電線供給棚330には,電線整理棚200から前記配列順序のまま一段分そっくり複数の電線ホルダ201,202,203…が移設される。 空竿台車350には,電線打込みに使用する電線クランプ具360が装架され,竿台車340には,既に電線の打込みを終えた電線クランプ具360が装架されている。 【0014】電線供給棚330は,図62(b)に示すように,一端に電線の取り出し規制部331が設けてある。この取り出し規制部331は前記複数の電線ホルダ201,202,203…の一端を差し込むキャビティ331aに分割して形成してあり,各キャビティ331aにソレノイド332により開閉する蓋333が設けてある。 【0015】自動打込み装置301は,図63に示すように,打込み作業テーブル320に対して昇降自在でかつ横移動可能な一対の電線クランプ治具303,303を備えている。電線クランプ治具303は開閉自在の一対の電線クランプ板303a,303aからなり,その取付ヘッド304は打込み作業テーブル320の長手方向と平行なスクリューロッド305と案内ロッド306に装着されており,該ヘッド304に固定したエアシリンダ307の作動により電線クランプ治具303が昇降する。一対の電線クランプ治具303,303の動作は,前記電線供給棚330の電線取り出し規制部331における蓋333の開閉順序とともに,図示しない自動制御装置により制御され,予めプログラミングされている。 【0016】一方,打込み作業テーブル320の一端側(図中,左側)には,上記一対の電線クランプ治具303,303に対応して電線セット台308,308が並設され,そこから他端側に向けて電線クランプ具310を位置決め固定する竿セット台309が設けてある。電線セット台308は,上記一対の電線クランプ板303a,303aに対する逃げ溝308aと電線載置溝308bを備えている。電線クランプ具310は,複数の電線クリップ311を直線状の竿セット台309により所定の間隔で並列に支持固定したものであり,各電線クリップ311は上端部に電線に対する案内斜面311bを設けた一対の挟持子311a,311aで構成してある。 【0017】次に,電線打ち込みステーション300における電線の配列替えの動作について説明する。なお,電線の反転は,後述する端子挿入工程を自動化していないので,該端子挿入工程において手作業で行っている。 【0018】前述したように打込みテーブル320と並ぶ電線供給棚330には,各ロットの定尺電線w1 ,w2 ,w3 …を収納した電線ホルダ201,202,203…が準備され,各ホルダ201,202,203…の一端は取り出し規制部331にセットしてある。 【0019】そこで,作業者は,図62(b)において蓋333の空いた電線ホルダ201から両端端子付電線w1 を取り出してU字状にし,その両端部を,図63に示すように,一対の電線セット台308の電線載置溝308bにセットする。すると,電線クランプ治具303,303が下降してそれぞれ一対のクランプ板303a,303aが電線両端部を挟持して上昇し,それぞれ予め設定された電線クランプ具310の所定の電線クリップ311 ,311の真上に移行し,下降により電線w1 を係止した後,元の位置に復帰する。以下同様の手順で,電線ホルダ202,203…の定尺電線w2 ,w3 …が所定の電線クリップ311に係止される。 【0020】このように,一つの電線クランプ具310の電線クリップ311群に対して各ロットの定尺電線w1 ,w2 ,w3 …が所定の配列順序に従って係止され,一つのハーネスに対応するハーネス用セットが形成され,図62(a)に示す竿台車340にストックされる。このような電線打込み作業は,各ロットの電線本数に対応する組のハーネス用セットが完成するまで続けられる。 【0021】[ジョイントステーション]図64に示すジョイントステーション400において,401は長尺の作業台を示す。この作業台401の上には,図中左端側から複数の皮剥き機410,端子圧着機420(421 ,422),ジョイント圧着機430,テープ巻き機440及び別の複数の端子圧着機410(423 ,424…)が設置してある。402は作業台401の手前側の側縁に沿って設けたローラ402aを備えたガイドレールであって,上記電線クランプ具310をライン送りするためのものである。 【0022】次に,ジョイントステーション400におけるジョイント圧着の動作について,図64及び図65を参照しつつ説明する。なお,このジョイントステーション400では,一の電線の一端を他の電線の中間に圧着する本来のジョイント圧着以外に,二本以上の電線を一つの端子に圧着するダブル圧着と,電線の一端に標準規格外の端子を圧着するシングル圧着とが行われる。 【0023】まず,図64に示すように,竿台車340に装架された電線打込み済みの電線クランプ具310(ハーネス用セット)を作業台401の手前のガイドレール402に装着する。このハーネス用セットには,図65に示すように,両端端子付電線w1 以外に片端端子付電線w2 ,w3 ,w5 ,w6及び端子なし電線w4が係止され,しかも所定の配列,すなわち,以下のジョイント加工や端子挿入加工の順序に対応する配列で係止してある。 <途中省略> 【0028】[端子挿入ステーション]上述したジョイントステーション400の作業台401の終端には,これと隣接して又は隔離して,図66に示す端子挿入ステーション500のケース嵌め作業台501が設置してある。同図において,510はケース嵌め誘導装置であり,表示器511とその制御盤512とからなり,表示器511にはコネクタ(またはコネクタハウジング)C1に形成された複数の端子収容室514に対応する表示部(例えば,偏光板)が設けてある。そして,該表示部によって端子の挿入順序が点滅表示されるようになっている。なお,513はコネクタ収納箱である。 【0029】次に,端子挿入ステーション500における端子挿入(ケース嵌め)動作について説明する。ジョイントステーション400においてジョイント圧着等の処理がなされたハーネス用セットは,前記竿台車340と同様の台車に装架されて,図66に示すケース嵌め作業台501の側に運搬される。ケース嵌めすべき電線は,前記のように所定の配列で電線クランプ具310に係止されているから,作業者は,例えば,該電線クランプ具310の一端から他端へ,あるいは中央部から左端または右端側へと係止された電線端部を取外し,順次コネクタの端子収容室に電線端末の端子を挿入係止する。 【0030】まず,コネクタ収納箱513から第一のコネクタC1 を取り,ケース嵌め誘導装置510を作動させると,表示器511の画面に端子を挿入すべき端子収容室514の位置が点滅により正しく表示される。この点滅指示に従って端子を挿入することにより,各端子が所定のコネクタの所定の端子収容室514に収容される。このようにして,以下第二,第三…のコネクタに対する端子の挿入を行う。 【0031】[整形ステーション]上述した端子挿入ステーション500におけるケース嵌めの終了したハーネス用セットは,ハーネスの規模(回路数の大小)などにより,必要に応じて別の種類のハーネス用セットと組み合わせた後,図67に示すような整形ステーション600に回される。整形ステーション600では,単独又は組み合わせたハーネス用セットの電線群を布線台601の上でワイヤハーネスの配線形態に添うように二次元的に配設し,該配線形態を保持するための電線の集束,分岐およびテープ巻きなどの仕上げを行い,ハーネス用セットをワイヤハーネスとして完成させる。 【0032】電線群を二次元的に配設するために,予め布線台601上に複数の電線係止ピン602を立設しておき,前記電線w(w1 ,w2 ,w3 ,w4 ,w5 ,…)群をこれらの電線係止ピン602に係止しながらワイヤハーネスの配設形態に合わせて整形する。また,ワイヤハーネスを配線形態に保持するために,前記電線係止ピン602で整形された電線束の要部,特に,分岐部に電線プロテクタ603を添えて集束固定する。603aは枝線部引出し用の切欠,603bはその支持片である。さらに,エンジンルーム用ハーネスやドア用ハーネスなどには,ダッシュボード,パネルなどの穴に貫通固定するためのグロメット604を外挿する。」 図63は,引用文献2において,従来の技術として説明されるワイヤハーネスのセット式製造装置における電線打ち込みステーションを構成する自動打ち込み装置を示す斜視図であって,上記摘記を参酌すれば,同図から,電線クランプ治具303,303が下降してそれぞれ一対のクランプ板303a,303aが電線両端部を挟持して上昇し,それぞれ予め設定された電線クランプ具310の所望の位置の電線クリップ311 ,311の真上に移行し,下降により電線w2 を係止するにあたり,前記電線クリップ311 ,311の所望の位置として,前記係止が,所定の配列,すなわち,後工程におけるジョイント加工や端子挿入加工の順序に対応する配列となるように,前記電線クランプ具310に先に保持された前記電線w1に対し電線途中を交差させるセット位置を前記所望の位置とした機構を見て取ることができる。 (イ)上記記載から,引用文献2には,次の技術が記載されていると認められる。 「定尺電線の作製工程及び電線の端末処理工程を行うための端子付電線作製ステーションと, 電線の反転及び配列替え工程を行なうための電線打ち込みステーションと, ジョイント工程を行うためのジョイントステーションと, 端子挿入工程を行うための端子挿入ステーションと, ワイヤハーネスの整形工程を行うための整形ステーションと, を含む別個独立のステーションからなるワイヤハーネスのセット式製造装置において, (a)前記電線打ち込みステーションには,自動打込み装置,打込み作業テーブル,電線供給棚,竿台車,及び空竿台車が配置されており, (i)前記空竿台車には,電線打込みに使用する電線クランプ具が装架され,前記竿台車には,既に電線の打込みを終えた電線クランプ具が装架されており, (ii)前記自動打込み装置は,前記打込み作業テーブルに対して昇降自在でかつ横移動可能な一対の電線クランプ治具を備え,当該一対の電線クランプ治具の動作は,自動制御装置により制御され,予めプログラミングされるものであり, (iii)前記打込み作業テーブルの一端側には,上記一対の電線クランプ治具に対応して電線セット台が並設され,そこから他端側に向けて電線クランプ具を位置決め固定する竿セット台が設けられており, (b)電線打ち込みステーションにおける電線の配列替えの動作は, (i)作業者が,両端端子付電線w1 をU字状にし,その両端部を,一対の電線セット台にセットする工程と, (ii)前記一対の電線クランプ治具が下降して電線両端部を挟持して上昇し,それぞれ予め設定された電線クランプ具の所定の電線クリップの真上に移行し,下降により電線w1 を係止した後,元の位置に復帰する工程と, (iii)以下同様の手順で,定尺電線w2 ,w3 …を所定の電線クリップに係止する工程であって,当該係止は,一つの電線クランプ具の電線クリップ群に対して各ロットの定尺電線w1 ,w2 ,w3 …を,所定の配列順序,すなわち,後工程のジョイント加工や端子挿入加工の順序に対応する配列で係止するものであり,一つのハーネスに対応するハーネス用セットが形成され,前記竿台車にストックされる電線打込み作業が,各ロットの電線本数に対応する組のハーネス用セットが完成するまで続けられる工程とを含み, (iv)前記所定の配列順序での係止は,前記電線クランプ具に先に保持された前記電線に対し電線途中を交差させるセット位置を含むものである, ワイヤハーネスのセット式製造装置。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明は,電線,特にワイヤハーネスの電線の外表面に,使用目的等を識別するために,印(着色意匠)を形成する際の,前記電線の被覆部上での着色材の広がりや広がり方のばらつきを抑え,着色意匠の視認性や意匠性を向上させることを課題とした電線の加工装置に係る技術であり,本件補正発明と,技術分野及び課題が共通する。 (イ)引用発明の「着色装置」は,拭き取り工程P2から搬送される電線竿に保持された被覆電線の拭き取られた外表面に着色材を付着させ,被覆電線の外表面に印を形成するものであるから,本件補正発明の「着色ユニットを通過する前記電線の前記電線被覆部を着色する着色ユニット本体部」に相当する。 また,引用発明の「拭き取り装置」は,電線切断工程P1から搬送される電線竿に保持された被覆電線の両端部の外表面を拭き取って,被覆電線の外表面から当該外表面に析出した酸化防止剤を除去し,被覆電線の外表面の表面張力を20mN/m以上でかつ35mN/m以下とするものであり,しかも,当該「拭き取り装置」は,前記「着色装置」よりも前工程に配置されるのであるから,引用発明の前記「拭き取り装置」は,本願補正発明の「該着色ユニット本体部よりも前工程となり且つ前記電線被覆部の拭き取りを行う拭き取り部」に相当する。 したがって,引用発明の前記「着色装置」と,前記「拭き取り装置」とからなる構成単位(ユニット)は,本願補正発明の「着色ユニット」に相当する。 (ウ)引用発明の「リールに巻き付けられた長尺でかつ着色されていない被覆電線を所定の長さに切断して定尺の被覆電線を作成」する工程で用いられる機構が,被覆電線を当該「所定の長さ」に切断するために,被覆電線の長さを測定する機能を備えた構造,すなわち,「電線の長さを測定する検尺部」を備えていることは自明である。 したがって,引用発明の「リールに巻き付けられた長尺でかつ着色されていない被覆電線を所定の長さに切断して定尺の被覆電線を作成」する工程で用いられる機構は,本願補正発明の「電線の長さを測定する検尺部」及び「該検尺部の前記測定に基づいて前記電線を指示した長さで切断し検尺切断電線を得る電線切断部」とを併せた機構に相当し,また,引用発明の「定尺の被覆電線」は,本願補正発明の「検尺切断電線」に相当する。 (エ)引用発明の「電線竿」は,本願補正発明の「電線保持竿」に相当する。 (オ)「Uターン旋回ヘッド」とは,その名称の日本語としての普通の解釈,及び,下記の周知文献の記載からも明らかなように,電線の引き出し先端側の端末を保持しつつ該引き出し先端側の端末の向きを180度反転させる機構であると理解することができる。 さらに,引用発明において,被覆電線の先端部をU字状に折り曲げた状態で,被覆電線の両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップに挟持させるためには,被覆電線の引き出し先端側の端末を保持するだけではなく,これに加えて,被覆電線の引き出し後端側の端末を保持するとともに,前記引き出し先端側の端末を電線竿の所望の位置の電線クリップまで運び,かつ,前記引き出し後端側の端末を前記電線竿の所望の位置の電線クリップまで運んで,それぞれの位置で電線クリップに挟持させる機構を必要とすることは明らかである。 そうすると,引用発明の「Uターン旋回ヘッドを用いて被覆電線の先端部をU字状に折り曲げた状態で,被覆電線の両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップに挟持させ」る工程で用いられる機構は,本願補正発明の「『前記電線の引き出し先端側の端末を保持しつつ該引き出し先端側の端末の向きを180度反転させる第一の機構と,前記電線切断部により切断されて得られた前記検尺切断電線の引き出し後端側の端末を保持する第二の機構と,前記第一の機構にて反転させた前記引き出し先端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第三の機構と,前記第二の機構にて保持された前記引き出し後端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第四の機構とを設け』た『検尺切断電線を前記電線保持竿に略U字状にセットする』『電線U字状セット部』」に相当するといえる。 ・周知文献1:特開平1-313812号公報 「2.特許請求の範囲 (1)長尺電線からワイヤーハーネス用の長さ2Lの長尺電線を作製する方法であって,先端がU字状に折り曲げられた長尺電線の該折曲端部を固定して前記U字状部を引き伸ばす工程と,該引伸端と前記折曲端部との長さがほぼLに達したときに引伸側の電線を前記折曲端と対向する付近で切断する工程とを含むことを特徴とする方法。 <途中省略> (5)長尺電線の先端部を把持してU字状に折り曲げる回動自在の電線クランプ板を有するUターン旋回ヘッドと,前記U字状部を引っ掛けまたは掴んで電線の軸線方向に引き伸ばす引伸ヘッドと,引伸側の電線を前記U字状の折曲端と対向する付近で切断する切断刃とを備えることを特徴とするワイヤーハーネス用定尺電線の作製装置。」(特許請求の範囲) 「電線のUターン旋回ヘッド8は,電線の先端部をU字状に折り曲げるものであって,第3図aのようにピン12を中心に180°回転する開閉自在の一対の電線クランプ板13と,既知の構造の一対の電線切断片14を備えている。」(第3ページ左下欄第13-17行) (カ)上記(ア)~(オ)より,本件補正発明と引用発明とは,「ワイヤハーネス生産システム」である点で共通するといえる。 イ 以上のことから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 【一致点】 「電線被覆部を着色材で着色をするための着色ユニットをシステム構成に含むワイヤハーネス生産システムにおいて, 前記着色ユニットよりも前工程側のシステム構成として, 電線の長さを測定する検尺部と, 該検尺部の前記測定に基づいて前記電線を指示した長さで切断し検尺切断電線を得る電線切断部と, 該電線切断部により得られた前記検尺切断電線を保持する電線保持竿と, 前記検尺切断電線を前記電線保持竿に略U字状にセットするとともに前記検尺切断電線の各端末を前記着色ユニットの配置側に突出させる電線U字状セット部と, を含み, 前記着色ユニットの構成としては, 該着色ユニットを通過する前記電線の前記電線被覆部を着色する着色ユニット本体部と, 該着色ユニット本体部よりも前工程となり且つ前記電線被覆部の拭き取りを行う拭き取り部と, を含み, 前記検尺切断電線の前記各端末を前記拭き取り部の配置側及び前記着色ユニットの配置側に突出させるため,前記電線U字状セット部には,前記電線の引き出し先端側の端末を保持しつつ該引き出し先端側の端末の向きを180度反転させる第一の機構と,前記電線切断部により切断されて得られた前記検尺切断電線の引き出し後端側の端末を保持する第二の機構と,前記第一の機構にて反転させた前記引き出し先端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第三の機構と,前記第二の機構にて保持された前記引き出し後端側の端末を前記電線保持竿の所望の位置まで運んでセットする第四の機構とを設けるワイヤハーネス生産システム。」 【相違点1】 本件補正発明は,「前記第三の機構及び前記第四の機構は,ワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合い防止に配慮したりサブハーネス生産時における端子金具挿入順に配慮したりするため,前記電線保持竿に先に保持された前記検尺切断電線に対し電線途中を交差させることが可能なセット位置を各前記所望の位置とする機構のものである」るのに対し,引用発明は,当該構成について特定されていない点。 (4)判断 以下,相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用発明は,「簡単に被覆部上での着色材の広がりや広がり方のばらつきを抑え,着色意匠の視認性や意匠性を向上させることができる電線の加工装置を提供すること」を課題とした発明であるから,引用文献1には,前記課題の解決には関与しない,引用発明の「被覆電線を複数束ねて,ワイヤハーネスを製造する」工程については,詳細には記載されていない。 一方,下記の周知例2ないし4の記載からも明らかなように,端子付き電線の端部を挿入してサブハーネスを得る工程を備えたワイヤーハーネス製造システムは周知といえる。 ・周知文献2:特開2009-152107号公報 「【請求項5】 ハウジング図板に配置された各端子挿入用ハウジングに対し,一方側から他方側に向けてかつ下側から上側に向けて,端子が自動挿入される端子挿入用ハウジングの順序が設定されると共に,各端子挿入用ハウジングの端子挿入部に対しては,下側の端子挿入部における一方側から他方側に向けて自動挿入される順序が設定されると共に,順次より上側の端子挿入部における一方側から他方側に向けて自動挿入される順序が設定されたハウジング図板における各端子挿入用ハウジングの端子挿入部に対して,両端に端子が接続された複数本の端子付き電線の各端部が自動挿入される順序に従って,一方側から他方側に向けて自動挿入順に並べて保持された電線端部保持ジグから,その挿入順に従って電線の端部を受け取り,対応する端子挿入用ハウジングの端子挿入部に端子を順次自動挿入してサブハーネスを得る端子自動挿入工程を備えることを特徴とするワイヤーハーネス製造方法。」 ・周知文献3:特開2004-227857号公報 「【0031】 【発明の実施の形態】 以下,本発明の一実施形態にかかる端子金具の誘導装置としてのサブハーネス組立装置を,図1ないし図16を参照して説明する。サブハーネス組立装置1は,自動車などに配索されるワイヤハーネスを組み立てる際に,図4などに示す端子金具2を,図3などに示すコネクタハウジング3の端子収容室4内に挿入して,サブハーネスを組立る装置である。さらに,サブハーネスを複数組み付けて前述したワイヤハーネスを組み立てる。」 ・周知文献4:特開2004-356022号公報 「【請求項1】 サブハーネスを複数備え,かつ各サブハーネスが電線と該電線の端部に取り付けられたコネクタとを備えたワイヤハーネスを組み立てるワイヤハーネスの組立方法において, 前記電線を測長し,切断した後,前記コネクタの端子金具を取り付けるとともに,前記電線の外表面を着色可能な切断装置を用い, 前記切断装置で,前記電線の外表面の一部を着色して,該電線が用いられるサブハーネスの品番を示すサブハーネス品番表示部を各電線の外表面に形成し, 前記切断装置により端子金具が取り付けられた電線を,前記サブハーネス品番表示部が示すサブハーネスの品番毎に集めて,各サブハーネスを組み立てた後, 前記サブハーネスを互いに組み付けて,前記ワイヤハーネスを組み立てることを特徴とするワイヤハーネスの組立方法。」 「【請求項4】 前記コネクタは,前記電線の端部に取り付けられた端子金具と,端子金具を収容する端子収容室を有したコネクタハウジングとを備え, 前記サブハーネス品番表示部は,前記端子金具が収容される端子収容室を示し,前記サブハーネス品番表示部にしたがって前記端子金具を端子収容室内に挿入して,前記サブハーネスを組み立てることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のワイヤハーネスの組立方法。」 そうすると,引用発明に係るワイヤーハーネス製造システムの,「被覆電線を複数束ねて,ワイヤハーネスを製造する」工程は,端子付き電線の端部を挿入してサブハーネスを得る工程を備えたものを含むと理解することが自然であり,また仮に,引用発明が,サブハーネスを得る工程を備えていないとしても,当該工程を付加することは設計事項にすぎないといえる。 他方,引用文献2には,上記(2)イのとおり,端子付電線作製ステーションと,電線打ち込みステーションと,ジョイントステーションと,端子挿入ステーションと,整形ステーションと,を含む別個独立のステーションからなるワイヤハーネスのセット式製造装置において,前記電線打ち込みステーションにおいて,定尺電線を電線クリップに係止する際に,電線クランプ具(引用発明の「電線竿」に相当する。)の電線クリップ群に対して各ロットの定尺電線w1 ,w2 ,w3 …を,所定の配列順序,すなわち,後工程であるジョイント加工や端子挿入加工の順序に対応する配列で係止すること,および,このような配列順序での係止を実現するために,前記係止を,前記電線クランプ具に先に保持された前記電線に対し電線途中を交差させるセット位置を含むものとする技術が記載されている。 すなわち,同引用文献に記載された電線の係止機構は,ワイヤハーネス組み立て時におけるジョイント加工や端子挿入加工の順序に配慮するため,電線竿に先に保持された被覆電線に対し電線途中を交差させることが可能なセット位置に後の被覆電線の端部を係止する機構にほかならない。 そして,引用発明と,引用文献2に記載された技術とは,いずれも,電線竿に電線を係止する工程よりも後の工程において,端子金具を圧着し,コネクタを取り付け,ワイヤハーネスを製造する工程を備えたワイヤハーネス製造システムに係るものである点で共通する。 そうすると,引用文献2に接した当業者であれば,引用発明において,被覆電線の両端部寄りの部分を一対の挟持子即ち電線クリップに挟持させる際に,後工程での作業の内容に配慮して,前記被覆電線の両端寄りの部分を電線クリップに挟持させるセット位置を定めることは容易に想到し得たことといえる。 そして,ワイヤハーネス生産システムにおいて,ワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合いを防止することは当然に配慮されるべきことであり,さらに,先に検討したように,引用発明は,端子付き電線の端部を挿入してサブハーネスを得る工程を備えたものを含むと理解することが自然であるか,あるいは当該工程を付加することが設計事項にすぎないことから,前記「後工程での作業の内容への配慮」を,ワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合いへの配慮,及び,サブハーネス生産時における端子金具挿入順への配慮を目的としたものとして,電線竿に先に保持された被覆電線に対し電線途中を交差させることが可能なセット位置を所望の位置とすること,すなわち,相違点1について,本件補正発明の構成とすることに格別の困難は認められない。 イ そして,上記相違点に基づく本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。 ウ したがって,本件補正発明は,引用発明と引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年12月7日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成29年9月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1ないし6に係る発明は,本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1:特開2010-257778号公報 引用文献2:実願平05-002537号(実開平06-054145号)のCD-ROM 引用文献3:特開平10-112229号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1,3及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に,引用文献1,2及びその記載事項として記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から,検尺切断電線の各端末を「前記拭き取り部の配置側」の配置側に突出させること,及び,「前記第三の機構及び前記第四の機構は,ワイヤハーネス組み立て時における電線同士の絡み合い防止に配慮したりサブハーネス生産時における端子金具挿入順に配慮したりするため,前記電線保持竿に先に保持された前記検尺切断電線に対し電線途中を交差させることが可能なセット位置を各前記所望の位置とする機構のものである」ことに係る限定事項を削除したものである。 そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明と引用文献2(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3)に記載された技術及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明と引用文献2(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3)に記載された技術及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-018162

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決222件(矢崎総業株式会社)
  • 2025-001850拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 請求不成立電力供給システム
    同じ当事者: 矢崎総業株式会社
  • 2025-000452拒絶査定不服審判 / 2025-12-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)端子付き電線及びその製造方法
    同じ当事者: 矢崎総業株式会社
  • 2024-010018拒絶査定不服審判 / 2025-09-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)接合構造及び接合方法
    同じ当事者: 矢崎総業株式会社
  • 2024-009381拒絶査定不服審判 / 2025-06-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)コネクタ
    同じ当事者: 矢崎総業株式会社
  • 2024-013318拒絶査定不服審判 / 2025-06-05 / 請求不成立高純度のバインダーフリー炭素質電極を有するスーパーキャパシタセル
    同じ当事者: 矢崎総業株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)478件(121・H01B、575・H01B)
  • 2025-004792拒絶査定不服審判 / 2026-06-15 / 請求不成立透明導電性フィルム
    共通の審決分類: 121・H01B、575・H01B
  • 2025-006334拒絶査定不服審判 / 2025-08-22 / 請求不成立耐火ケーブルおよび耐火ケーブルの製造方法
    共通の審決分類: 121・H01B、575・H01B
  • 2022-000233拒絶査定不服審判 / 2022-11-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)信号伝送用ケーブル
    共通の審決分類: 121・H01B、575・H01B
  • 2021-005711拒絶査定不服審判 / 2022-05-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)導電性配線シート
    共通の審決分類: 121・H01B、575・H01B
  • 2021-009887拒絶査定不服審判 / 2022-04-18 / 請求不成立設計された微小構造を有する剥離性ケーブルジャケット及び設計された微小構造を有する…
    共通の審決分類: 121・H01B、575・H01B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存