特許拒絶査定不服審判
2017-016557
スロットマシン
- 審判番号
- 2017-016557
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-050397外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月07日
- 審決日
- 2018年07月23日
- 公報発行日
- 2018年10月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 50397「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月25日出願公開、特開2014-176403〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月13日の出願であって、平成28年12月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年7月31日付け(発送日:平成29年8月8日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成29年11月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年11月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成29年2月15日付けの手続補正)
「【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
乱数値となる数値データを更新する乱数回路を内蔵し、遊技の制御を行う遊技制御手段と、
ゲームを開始させるときに操作される開始操作手段と、
を備え、
前記乱数回路は、前記開始操作手段が操作されたときに数値データを抽出する数値抽出手段を含み、
前記遊技制御手段は、
ゲームを開始可能な状態において前記開始操作手段の操作を検出したときに、前記数値抽出手段により抽出された数値データを用いて入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
数値データを更新するための乱数用クロック信号の周波数に異常が発生している場合に、特定記憶領域に該周波数に異常が発生している旨を示す特定データを設定する乱数回路監視手段と、
前記乱数回路監視手段による監視対象の設定を行う乱数回路設定手段と、
特定値を格納する格納手段と、
制御命令に従って遊技の進行を制御する制御用CPUと、
を含み、
前記乱数回路設定手段は、前記乱数回路から数値データを抽出するタイミングよりも前に、前記乱数回路監視手段による監視に関する設定を行い、
前記遊技制御手段は、前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かに関わらず遊技の処理を進行可能である一方、遊技の処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に遊技の処理の進行を不能化し、
前記制御用CPUは、
読み出しまたは書き込みの対象となるデータ格納領域に対応するアドレスを第1情報と第2情報とに基づいて特定可能であり、該アドレスを特定するときに、前記格納手段に格納された特定値に基づいて前記第1情報を特定するとともに、制御命令で指定された前記第2情報を特定し、
前記遊技制御手段は、所定の更新条件が成立したときに、前記格納手段に格納されている特定値を更新可能な特定値更新手段をさらに備える
ことを特徴とするスロットマシン。」
から、
(補正後:平成29年11月7日付けの手続補正)
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 乱数値となる数値データを更新する乱数回路を内蔵し、遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D ゲームを開始させるときに操作される開始操作手段と、
を備え、
E 前記乱数回路は、前記開始操作手段が操作されたときに数値データを抽出する数値抽出手段を含み、
F 前記遊技制御手段は、
F1 数値データを更新するための乱数用クロック信号の周波数に異常が発生している場合に、特定記憶領域に該周波数に異常が発生している旨を示す特定データを設定する乱数回路監視手段と、
F2 前記乱数回路監視手段による監視対象の設定を行う乱数回路設定手段と、
F3 特定値を格納する格納手段と、
F4 制御命令に従って処理を行う制御用CPUと、
を含み、
G 前記乱数回路設定手段は、前記乱数回路から数値データを抽出するタイミングよりも前に、前記乱数回路監視手段による監視に関する設定を行い、
H 前記遊技制御手段は、
H1 定期的に発生する割込要求に基づいて、スイッチ類の入力を判定する入力判定処理を含む割込処理を定期的に実行する割込処理実行手段と、
H2 スイッチ類の検出状態の変化に応じて遊技処理を段階的に進行させて実行する遊技処理実行手段と、
H3 ゲームを開始可能な状態において前記開始操作手段の操作を検出したときに、前記数値抽出手段により抽出された数値データを用いて入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
を含み、
I 前記遊技処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、
J 該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に前記遊技処理の進行を不能化し、
K 該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、前記遊技処理を進行可能であり、
L 前記制御用CPUは、
L1 読み出しまたは書き込みの対象となるデータ格納領域に対応するアドレスを第1情報と第2情報とに基づいて特定可能であり、該アドレスを特定するときに、前記格納手段に格納された特定値に基づいて前記第1情報を特定するとともに、制御命令で指定された前記第2情報を特定し、
L2 前記遊技制御手段は、所定の更新条件が成立したときに、前記格納手段に格納されている特定値を更新可能な特定値更新手段をさらに備える
ことを特徴とするスロットマシン。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA~L2に分説した)。
2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「制御用CPU」に関して、補正前の「遊技の進行を制御する」を「処理を行う」とするとともに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技制御手段」に関して、「定期的に発生する割込要求に基づいて、スイッチ類の入力を判定する入力判定処理を含む割込処理を定期的に実行する割込処理実行手段と、スイッチ類の検出状態の変化に応じて遊技処理を段階的に進行させて実行する遊技処理実行手段と、」「を含み、」「前記遊技処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、」「該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に前記遊技処理の進行を不能化し、」「該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、前記遊技処理を進行可能であり、」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2011-147675号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1-a)「【0016】
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0017】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ「黒7」、「網7(図中網掛け7)」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「スイカ」、「黒チェリー」、「白チェリー」、「ベル」、「オレンジ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0018】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
・・・
【0021】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例では遊技状態がRB(BB)の場合には2、通常遊技状態では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。」
(1-b)「【0032】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。」
(1-c)「【0061】
セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]は、乱数用クロックRCLKの周波数を監視する場合に異常が検出される周波数を示す乱数用クロック異常検出設定である。図10(B)は、セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]における設定内容の一例を示している。セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]は、内部システムクロックSCLKの周波数に基づき、乱数用クロックRCLKの周波数が異常と検知される基準値(判定値)を指定する。セキュリティ時間設定KSESのビット番号「5」は、固定のビット値“0”が設定される。」
(1-d)「【0085】
メイン制御部41が備えるCPU505は、ROM506から読み出したプログラムを実行することにより、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行する。このときには、CPU505がROM506から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU505がRAM507に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU505がRAM507に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU505が外部バスインタフェース501やPIP510などを介してメイン制御部41の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU505が外部バスインタフェース501やシリアル通信回路511などを介してメイン制御部41の外部へと各種信号を出力する送信動作等も行われる。
【0086】
このように、メイン制御部41では、CPU505がROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、メイン制御部41(又はCPU505)が実行する(又は処理を行う)ということは、具体的には、CPU505がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、遊技制御基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
・・・
【0090】
メイン制御部41が備える乱数回路509は、例えば16ビット乱数といった、所定の更新範囲を有する乱数値となる数値データを生成する回路である。本実施例では、遊技制御基板40の側において、後述する内部抽選用の乱数値を示す数値データがカウント可能に制御される。尚、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられても良い。CPU505は、乱数回路509から抽出した数値データに基づき、乱数回路509とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを加工或いは更新することで、内部抽選用の乱数値を示す数値データをカウントするようにしても良い。以下では、内部抽選用の乱数値を示す数値データが、ハードウェアとなる乱数回路509からCPU505により抽出された数値データをソフトウェアにより加工しないものとする。尚、乱数回路509は、メイン制御部41に内蔵されるものであっても良いし、メイン制御部41とは異なる乱数回路チップとして、メイン制御部41に外付けされるものであっても良い。
・・・
【0092】
図12は、乱数回路509の一構成例を示すブロック図である。乱数回路509は、図12に示すように、周波数監視回路551、クロック用フリップフロップ552、乱数生成回路553、スタート値設定回路554、乱数列変更回路555、乱数列変更設定回路556、ラッチ用フリップフロップ557A、557B、乱数ラッチセレクタ558A、558B、乱数値レジスタ559A、559Bを備えて構成される。尚、乱数値レジスタ559Aと乱数値レジスタ559Bはそれぞれ、図7(B)に示すようなメイン制御部41の内蔵レジスタに含まれる乱数値レジスタR1D(アドレス2038H-2039H)と乱数値レジスタR2D(アドレス203AH-203BH)に対応している。尚、本実施例では、取得する乱数が内部抽選用の乱数値のみであり、ラッチ用フリップフロップ557A、557B、乱数ラッチセレクタ558A、558B、乱数値レジスタ559A、559Bのうちラッチ用フリップフロップ557B、乱数ラッチセレクタ558B、乱数値レジスタ559Bは未使用とされている。
【0093】
周波数監視回路551は、乱数用クロック生成回路43により生成された乱数用クロックRCLKの周波数を監視して、その異常発生を検知するための回路である。周波数監視回路551は、例えば乱数用外部クロック端子ERCに入力される発振信号を監視して、内部システムクロックSCLKに基づきセキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]における設定内容(図10(B)参照)に応じた周波数異常を検知したときに、内部情報レジスタCIFのビット番号[4]を“1”にセットする。本実施例では、乱数用外部クロック端子ERCに乱数用クロック生成回路43が生成した乱数用クロックRCLKが入力される。」
(1-e)「【0231】
図26に示す乱数回路異常検査処理では、まず乱数用クロック異常判定カウンタをクリアして、そのカウント値である乱数用クロック異常判定カウント値を「0」に初期化する(Sa301)。続いて、内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出す(Sa302)。そして、Sa302での読出値が“1”であるか否かを判定する。このとき、乱数回路509が備える周波数監視回路551によって、乱数用外部クロック端子ERCからの乱数用クロックRCLKに周波数異常が検知された場合には、内部情報データCIF4としてビット値“1”が書き込まれる。
【0232】
そこで、Sa303にて読出値が“1”と判定された場合には、乱数用クロック異常判定カウント値を1加算するように更新する(Sa304)。このときには、Sa304での更新後におけるカウント値が所定のクロック異常判定値に達したか否かを判定する(Sa305)。ここで、クロック異常判定値は、周波数監視回路551により乱数用クロックRCLKの周波数異常が連続して検知された場合にクロック異常と判定するために予め定められた数値であれば良い。Sa305にてクロック異常判定値に達していなければ、Sa302の処理に戻り、再び内部情報データCIF4のビット値に基づく判定を行う。
【0233】
Sa305にてクロック異常判定値に達した場合には、乱数用クロックが正常に機能していないと判断して、CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させる。
・・・
【0237】
そこで、チェック値が「FFFFH」となったか否かを判定し(Sa313)、なっていれば、全ビットについてビット値の変化が認められることから、乱数値が正常に更新されていると判断して、乱数回路異常検査処理を終了する。尚、乱数値が正常に更新されていることを確認できた場合には、乱数ラッチ選択レジスタRDLSのビット番号[0]に格納される乱数ラッチ選択データRDLS0のビット値を“1”として、入力ポートP0への信号入力に応じた乱数値レジスタR1Dへの乱数値取込を、指示するよう設定される。本実施例では、入力ポートP0にスタートスイッチ7からのゲーム開始信号SS1を伝送する配線が接続される。これにより、ゲーム開始信号SS1がオン状態となったときに乱数値レジスタR1Dへの乱数値取込を行うことができる。
・・・
【0240】
尚、乱数回路異常検査処理は、CPU505が実行するものに限定されず、CPU505以外のメイン制御部41における内蔵回路により乱数回路異常検査処理が実行されても良い。一例として、乱数回路509が乱数回路異常検査処理を実行する機能を有し、乱数用クロックRCLKの周波数異常が検知されたときや、乱数値の異常が検知されたときに、エラーの発生をCPU505に通知するようにしても良い。また、乱数回路異常検査処理は、起動時に実行されるものに限定されず、例えばメイン制御部41にてタイマ割込みが発生する毎に、乱数回路異常検査処理の一部又は全部が実行されるようにしても良い。」
(1-f)「【0264】
ゲーム処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、入賞判定処理(Sd4)、払出処理(Sd5)、ゲーム終了時処理(Sd6)を順に実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
【0265】
Sd1のステップにおけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。
【0266】
Sd2のステップにおける内部抽選処理では、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM507に当選フラグが設定される。
【0267】
Sd3のステップにおけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
【0268】
Sd4のステップにおける入賞判定処理では、Sd3のステップにおいて全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
【0269】
Sd5のステップにおける払出処理では、Sd4のステップにおいて入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算並びにメダルの払出等の処理を行う。
【0270】
Sd6のステップにおけるゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。」
(1-g)「【0286】
Se33のステップでは、スタートスイッチ7の操作が検出されているか否か、すなわちスタートスイッチ7の立上りを示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する。さらに立上りエッジは、いずれかのスイッチがONに変化し、かつ全てのスイッチがOFFである場合にのみ設定されるので、Se33のステップでは、いずれかのスイッチがONに変化したか否かに加えて他のスイッチがOFFであるかどうかについても判定されることとなる。
・・・
【0289】
Se37のステップでは、乱数ラッチフラグレジスタの値に基づいて乱数値がラッチされているか否か、すなわち乱数値レジスタ559Aに数値データが取り込まれているか否かを判定し、乱数値がラッチされていなければSe36のステップにおいて禁止した割込を許可し(Se38)、Se9のステップに戻る。」
(1-h)「【0297】
図33及び図34は、メイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)の制御内容を示すフローチャートである。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行期間中は自動的に他の割込が禁止される。
【0298】
タイマ割込処理(メイン)においては、まず、使用中のレジスタをスタック領域に退避した後(Sk1)、入力ポートから各種スイッチ類の検出データを入力するポート入力処理を行う(Sk2)。」
(1-i)段落【0092】には、「乱数回路509は、・・・乱数値レジスタ559A、559Bを備えて構成される。」と記載されている。また、段落【0286】には、「Se33のステップでは、スタートスイッチ7の操作が検出されているか否か、・・・を判定する。」と記載され、段落【0289】には、「Se37のステップでは、・・・乱数値がラッチされているか否か、すなわち乱数値レジスタ559Aに数値データが取り込まれているか否かを判定し」と記載されているから、スタートスイッチ7の操作がされたときに乱数値レジスタ559Aが数値データを取り込むといえる。
よって、刊行物1には、乱数回路509は、スタートスイッチ7の操作がされたときに乱数値がラッチされ、数値データを取り込む乱数値レジスタ559Aを備える点が記載されているといえる。
(1-j)段落【0093】には、「前記周波数監視回路551は、・・・前記セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]における設定内容に応じて周波数異常を検知し」と記載されているから、周波数監視回路551が周波数異常を検知するタイミングよりも前に、セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]を設定することは明らかである。
また、段落【0232】には、「周波数監視回路551により乱数用クロックRCLKの周波数異常が連続して検知された場合にクロック異常と判定する」と記載され、段落【0237】には、「乱数値が正常に更新されていることを確認できた場合には、乱数ラッチ選択レジスタRDLSのビット番号[0]に格納される乱数ラッチ選択データRDLS0のビット値を“1”として、入力ポートP0への信号入力に応じた乱数値レジスタR1Dへの乱数値取込を、指示するよう設定される。・・・これにより、ゲーム開始信号SS1がオン状態となったときに乱数値レジスタR1Dへの乱数値取込を行うことができる。」と記載されているから、ゲームが開始されて乱数値取込よりも前に、周波数監視回路551が周波数異常を検知するといえる。
そして、ゲームが開始されると、上記(1-i)で検討したとおり、乱数回路509は、スタートスイッチ7の操作がされたときに乱数値がラッチされ、数値データを取り込む乱数値レジスタ559Aを備えている。
以上を踏まえると、乱数回路509が乱数値レジスタ559Aに数値データを取り込むよりも前に、セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]を設定しているといえる。
(1-k)段落【0231】には、「内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出す(Sa302)。そして、Sa302での読出値が“1”であるか否かを判定する」と記載され、段落【0240】には、「乱数回路異常検査処理は、起動時に実行されるものに限定されず、例えばメイン制御部41にてタイマ割込みが発生する毎に、乱数回路異常検査処理の一部又は全部が実行されるようにしても良い」と記載されている。
よって、刊行物1には、タイマ割込みが発生する毎に内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出し、その読出値が“1”であるか否かを判定する点が記載されているといえる。
(1-l)段落【0232】には、「読出値が“1”と判定された場合には、乱数用クロック異常判定カウント値を1加算するように更新する(Sa304)。このときには、Sa304での更新後におけるカウント値が所定のクロック異常判定値に達したか否かを判定する(Sa305)。」と記載され、段落【0233】には、「Sa305にてクロック異常判定値に達した場合には、乱数用クロックが正常に機能していないと判断して、CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させる。」と記載されている。
よって、刊行物1には、読出値が“1”と判定された場合には、乱数用クロック異常判定カウント値を1加算するように更新して、更新後におけるカウント値が所定のクロック異常判定値に達したか否かを判定し、クロック異常判定値に達した場合には、CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させる点が記載されているといえる。
(1-m)段落【0093】には、「周波数監視回路551は、・・・セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]における設定内容(図10(B)参照)に応じた周波数異常を検知したときに、内部情報レジスタCIFのビット番号[4]を“1”にセットする」と記載されている。
また、上記(1-k)で検討したとおり、タイマ割込みが発生する毎に内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出し、その読出値が“1”であるか否かを判定しているから、少なくとも、周波数監視回路551により内部情報レジスタCIFのビット番号[4]が“1”にセットされても、内部情報データCIF4の読出値が“1”であるか否かを判定するまでは、タイマ割込みは実行可能であるといえる。
よって、刊行物1には、内部情報データCIF4の読出値が“1”であるか否かを判定するまでは内部情報レジスタCIFのビット番号[4]が“1”にセットされても、タイマ割込みを実行可能である点が記載されているといえる。
上記(1-a)~(1-h)の記載事項及び(1-i)~(1-l)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「a 外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示され(段落【0016】、【0018】)、
b 全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生するスロットマシン1において(段落【0032】、【0016】)、
c 乱数値となる数値データを生成する乱数回路509を備え、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行するCPU505を備えるメイン制御部41と(段落【0090】、【0085】)、
d ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7と(段落【0021】)、
を備え、
e 乱数回路509は、スタートスイッチ7の操作がされたときに乱数値がラッチされ、数値データを取り込む乱数値レジスタ559Aを備え(認定事項(1-i))、
f メイン制御部41は(段落【0090】)、
f1 乱数用クロック生成回路43により生成された乱数用クロックRCLKの周波数を監視して、周波数異常を検知したときに、内部情報レジスタCIFのビット番号[4]を“1”にセットする周波数監視回路551と(段落【0093】)、
f2 乱数用クロックRCLKの周波数が異常と検知される基準値(判定値)を指定するセキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]と(段落【0061】)、
f4 ROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するCPU505と(段落【0086】)、
を備え、
g 乱数回路509が乱数値レジスタ559Aに数値データを取り込むよりも前に、セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]を設定し(認定事項(1-j)、
h メイン制御部41は(段落【0297】)、
h1 一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行し、入力ポートから各種スイッチ類の検出データを入力するポート入力処理を含むタイマ割込処理と(段落【0297】、【0298】)、
h2 スタートスイッチ7やストップスイッチ8L、8C、8Rの操作に応じて、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、入賞判定処理(Sd4)、払出処理(Sd5)、ゲーム終了時処理(Sd6)を順に実行するゲーム処理と(段落【0264】~【0270】)、
h3 スタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選処理と(段落【0266】)、
を含み、
i タイマ割込みが発生する毎に内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出し、その読出値が“1”であるか否かを判定し(認定事項(1-k))、
j 読出値が“1”と判定された場合には、乱数用クロック異常判定カウント値を1加算するように更新して、更新後におけるカウント値が所定のクロック異常判定値に達したか否かを判定し、クロック異常判定値に達した場合には、CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させ(認定事項(1-l))、
k 内部情報データCIF4の読出値が“1”であるか否かを判定するまでは内部情報レジスタCIFのビット番号[4]が“1”にセットされても、タイマ割込みを実行可能であるスロットマシン1(認定事項(1-m)、段落【0016】)。」
(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2012-223332号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(2-a)「【0041】
<主制御部>
まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。
【0042】
主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT314を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。この基本回路302のCPU304は、水晶発振器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。」
(2-b)「【0086】
具体的には、ステップS51では、CPU304に内蔵されたTレジスタに、特定の値(本実施形態では、上述のRWM領域の先頭アドレス7E00Hの上位バイトである7EH)を記憶する。ステップS52では、Tレジスタ以外の他のレジスタに初期値をセットした後にステップS53に進み、後述する主制御部メイン処理を実行する。
【0087】
なお、Tレジスタに記憶する特定の値は7EHに限定されないことは言うまでもなく、例えば、上述のレジスタエリアの先頭アドレス(本実施形態では2000H)の上位バイトである20HをTレジスタに記憶するように構成すれば、後述するRAM308へのアクセスと同様の原理で、内蔵レジスタへのアクセス効率を高めることができる場合がある。また、第一のタイミングではTレジスタにRWM領域の先頭アドレスの上位バイトを設定し、その後(または、その前)の第二のタイミングでTレジスタにレジスタエリアの先頭アドレスの上位バイトを設定するように構成してもよい。また、所定条件が成立している場合(例えば、所定の端子にLレベルの信号が入力されている場合)にはTレジスタにRWM領域の先頭アドレスの上位バイトを設定し、所定条件が成立していない場合には、Tレジスタにレジスタエリアの先頭アドレスの上位バイトを設定するように構成してもよい。」
(2-c)「【0119】
<主制御部タイマ割込処理>
次に、図14を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。」
(2-d)「【0246】
<特図1関連抽選処理>
次に、図31を用いて、上述の主制御部タイマ割込処理における特図1関連抽選処理について説明する。なお、同図は、特図1関連抽選処理の流れを示すフローチャートである。」
(2-e)「【0256】
<特別図柄変動時間抽選処理>
次に、図34および図35を用いて、上述の特図1関連抽選処理における特別図柄変動時間抽選処理について説明する。なお、図34は、特別図柄変動時間抽選処理の流れを示すフローチャートであり、図35は、特別図柄変動時間抽選処理のプログラムリストの一例である。
・・・
【0259】
次のステップS1103では、上述の保留数記憶領域(RWM領域のアドレス7E40H)に記憶された保留数を、Aレジスタに転送する(LDT A,(40H))。ここで、「LDT A、(n:イミディエイト値)」命令は、図36に示すように、Tレジスタを上位、イミディエイト値を下位で示すアドレスのデータをAレジスタにロードする命令である。本実施形態では、Tレジスタに7EHを記憶しているため、「LDT A,(40H)」命令を実行した場合、Tレジスタ(7EH)を上位、イミディエイト値(40H)を下位で示すアドレス(7E40H)のデータ、すなわち保留数記憶領域に記憶された保留数がAレジスタにロード(転送)される。例えば、保留数記憶領域に記憶された保留数が2の場合には、Aレジスタに02Hがロード(転送)される。」
(2-f)図34の特別図柄変動時間抽選処理においては、ステップS1103の処理を有するものであり、段落【0119】、【0246】、【0256】、【0259】の記載から、図34の特別図柄変動時間抽選処理のステップS1103の処理は、主制御部300のCPU304が実行するものといえる。
上記(2-a)~(2-e)の記載事項及び上記(2-f)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「主制御部300は、特定の値(7EH)を記憶するTレジスタを内蔵したCPU304を搭載し(段落【0042】、【0086】)、
CPU304が実行する「LDT A、(n:イミディエイト値)」命令は、Tレジスタを上位、イミディエイト値を下位で示すアドレスのデータをAレジスタにロードする命令であり、Tレジスタに7EHを記憶しているため、「LDT A,(40H)」命令を実行した場合、Tレジスタ(7EH)を上位、イミディエイト値(40H)を下位で示すアドレス(7E40H)のデータ、すなわち保留数記憶領域に記憶された保留数がAレジスタにロード(転送)され(段落【0259】)、
所定条件が成立している場合にはTレジスタにRWM領域の先頭アドレスの上位バイトを設定し、所定条件が成立していない場合には、Tレジスタにレジスタエリアの先頭アドレスの上位バイトを設定するように構成してもよい(段落【0087】)、
パチンコ機100(段落【0041】)。」
(3)刊行物3
特開2013-27711号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(3-a)「【0302】
<主制御部>
まず、図47を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、同図は主制御部300の回路ブロック図を示したものである。」
(3-b)「【0318】
<メイン処理>
次に、図49を用いて、主制御部300のメイン処理について説明する。なお、同図は、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
【0319】
遊技の基本的制御は、主制御部300のMainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、MainCPU310が同図のメイン処理を繰り返し実行する。」
(3-c)「【0328】
ステップS1111では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバーセンサ321の状態に基づいてスタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。ステップS1112では、乱数取得処理を行う(詳細は後述する)。ステップS1113では、ステップS1112で取得した乱数値と、ROM312に格納した抽選データを用いて、入賞役の内部抽選を行う。
・・・
【0331】
ステップS1116では、ストップボタン137~139が押されることによって停止した全リール110~112の図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した役またはフラグ持越し中の役に対応する図柄組合せが揃った(表示された)場合にその役に入賞したと判定する。ステップS1117では、メダル払出処理を行う。このメダル払出処理では、払い出しのある何らかの役に入賞していれば、その役に対応する枚数のメダルを払い出す。ステップS1118では、遊技を終了するための制御や、遊技状態を移行するための制御を行う。例えば、BB入賞やRB入賞の場合に次回からBB遊技またはRB遊技が開始できるように準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるように準備する。
【0332】
以上により1遊技が終了し、以降、このメイン処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。」
(3-d)「【0340】
<乱数取得処理>
次に、図51を用いて、上記メイン処理における乱数取得処理について説明する。なお、同図は乱数取得処理の流れを示すフローチャートである。
【0341】
ステップS1401では、内部情報レジスタのクロック信号状態ビットを参照し、クロック信号状態ビットが1にセットされているか否かを判定する。そして、クロック信号状態ビットが1にセットされている場合(乱数用クロックRCKに異常がある場合)はステップS1402に進み、そうでない場合はステップS1403に進む。
【0342】
ステップS1402では、乱数用クロックRCKに異常がある旨の情報を他の制御部(例えば、副制御部400)に送信するために、乱数用クロックの異常による停止コマンドの出力設定をした後、処理を終了する。なお、この乱数用クロックの異常による停止コマンドを受信した副制御部400は、乱数用クロックの異常を、液晶表示装置157による表示、スピーカ484による音声、扉装置(可動物)163による動きなどによって報知する。次のステップS1403では、乱数発生回路317から乱数を取得した後に、処理を終了する。」
上記(3-a)~(3-d)の記載事項を総合すると、刊行物3には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物3記載の事項」という。)。
「MainCPU310がメイン処理を繰り返すことにより遊技が進行するスロットマシン100において(段落【0302】、【0318】、【0319】、【0332】)、
メイン処理では、スタートレバーセンサ321の状態に基づいてスタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定し、乱数取得処理を行い、ストップボタン137~139が押されることによって停止した全リール110~112の図柄の入賞判定を行うものであり(段落【0328】、【0331】)、
乱数取得処理において、内部情報レジスタのクロック信号状態ビットを参照し、クロック信号状態ビットが1にセットされているか否かを判定し、クロック信号状態ビットが1にセットされている場合には、乱数用クロックの異常による停止コマンドの出力設定をした後、処理を終了するスロットマシン100(段落【0340】、【0341】、【0342】、【0302】)。」
(4)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の見出しの(a)~(k)は、刊行物1発明の構成a~kに対応している。)。
(a)刊行物1発明の「複数種の図柄」、「リール2L、2C、2R」は、それぞれ、本願補正発明の「複数種類の識別情報」、「可変表示部」に相当する。また、刊行物1発明の「複数種の図柄」が識別可能であることは明らかである。
よって、刊行物1発明の「外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示され」る点は、本願補正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え」る点に相当する。
(b)刊行物1発明において「全てのリール2L、2C、2Rが停止される」のは、刊行物1発明の構成aの「各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示され」た後であるといえる。
よって、刊行物1発明の「全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1~L5上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生するスロットマシン1」は、本願補正発明の「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。
(c)刊行物1発明の「乱数回路509を備え」ることは、本願補正発明の「乱数回路を内蔵」することに相当し、刊行物1発明の「ゲームの進行を制御するための処理」は、本願補正発明の「遊技の制御を行う」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「乱数値となる数値データを生成する乱数回路509を備え、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行するCPU505を備えるメイン制御部41」は、本願補正発明の「乱数値となる数値データを更新する乱数回路を内蔵し、遊技の制御を行う遊技制御手段」に相当する。
(d)刊行物1発明の「ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7」は、本願補正発明の「ゲームを開始させるときに操作される開始操作手段」に相当する。
(e)刊行物1発明の「数値データを取り込む乱数値レジスタ559A」は、本願補正発明の「数値データを抽出する数値抽出手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「乱数回路509は、スタートスイッチ7の操作がされたときに乱数値がラッチされ、数値データを取り込む乱数値レジスタ559Aを備え」る点は、本願補正発明の「前記乱数回路は、前記開始操作手段が操作されたときに数値データを抽出する数値抽出手段を含」む点に相当する。
(f)刊行物1発明の「メイン制御部41」は、本願補正発明の「遊技制御手段」に相当する。
(f1)刊行物1発明の「乱数用クロックRCLKの周波数」、「内部情報レジスタCIFのビット番号[4]」、「“1”」は、それぞれ、本願補正発明の「乱数用クロック信号の周波数」、「特定記憶領域」、「特定データ」に相当する。
よって、刊行物1発明の「乱数用クロック生成回路43により生成された乱数用クロックRCLKの周波数を監視して、周波数異常を検知したときに、内部情報レジスタCIFのビット番号[4]を“1”にセットする周波数監視回路551」は、本願補正発明の「数値データを更新するための乱数用クロック信号の周波数に異常が発生している場合に、特定記憶領域に該周波数に異常が発生している旨を示す特定データを設定する乱数回路監視手段」に相当する。
(f2)刊行物1発明の「周波数が異常と検知される基準値(判定値)を指定する」ことは、本願補正発明の「監視対象の設定を行う」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「乱数用クロックRCLKの周波数が異常と検知される基準値(判定値)を指定するセキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]」は、本願補正発明の「前記乱数回路監視手段による監視対象の設定を行う乱数回路設定手段」に相当する。
(f4)刊行物1発明の「プログラムに従って制御を実行する」ことは、本願補正発明の「制御命令に従って処理を行う」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「ROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するCPU505」は、本願補正発明の「制御命令に従って処理を行う制御用CPU」に相当する。
(g)刊行物1発明の「セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]」は、上記(f2)で検討したとおり、本願補正発明の「乱数回路設定手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「乱数回路509が乱数値レジスタ559Aに数値データを取り込むよりも前に、セキュリティ時間設定KSESのビット番号[7-6]を設定」する点は、本願補正発明の「前記乱数回路設定手段は、前記乱数回路から数値データを抽出するタイミングよりも前に、前記乱数回路監視手段による監視に関する設定を行」う点に相当する。
(h1)刊行物1発明の「ポート入力処理」において、入力されたことを判定していることは明らかであるから、刊行物1発明の「各種スイッチ類の検出データを入力するポート入力処理」は、本願補正発明の「スイッチ類の入力を判定する入力判定処理」に相当する。
また、刊行物1発明において、タイマ割込処理を定期的に発生する割込要求に基づいて行うことは自明な事項である。
よって、刊行物1発明の「一定間隔(0.56msの間隔)で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行し、入力ポートから各種スイッチ類の検出データを入力するポート入力処理を含むタイマ割込処理」は、本願補正発明の「定期的に発生する割込要求に基づいて、スイッチ類の入力を判定する入力判定処理を含む割込処理を定期的に実行する割込処理実行手段」に相当する。
(h2)刊行物1発明の「スタートスイッチ7やストップスイッチ8L、8C、8Rの操作に応じて、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、入賞判定処理(Sd4)、払出処理(Sd5)、ゲーム終了時処理(Sd6)を順に実行するゲーム処理」は、本願補正発明の「スイッチ類の検出状態の変化に応じて遊技処理を段階的に進行させて実行する遊技処理実行手段」に相当する。
(h3)刊行物1発明において「乱数値」がラッチされると、構成eによれば、乱数値レジスタ559A(数値抽出手段)に数値データが取り込まれ、この数値データを用いて入賞を許容するか決定するといえる。
よって、刊行物1発明の「スタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選処理」は、本願補正発明の「ゲームを開始可能な状態において前記開始操作手段の操作を検出したときに、前記数値抽出手段により抽出された数値データを用いて入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段」に相当する。
(i)上記(f1)で検討したとおり、刊行物1発明の「内部情報レジスタCIFのビット番号[4]」、「“1”」は、それぞれ、本願補正発明の「特定記憶領域」、「特定データ」に相当する。また、刊行物1発明の「タイマ割込みが発生する毎に」「判定する」ことは、処理における所定契機で判定することであるといえる。
よって、刊行物1発明の「タイマ割込みが発生する毎に内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出し、その読出値が“1”であるか否かを判定」する点と、本願補正発明の「前記遊技処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行」する点とは、「処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行」する点で共通する。
(j)刊行物1発明の「CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させ」ることは、処理の進行を不能化することであるといえる。
よって、刊行物1発明の「読出値が“1”と判定された場合には、乱数用クロック異常判定カウント値を1加算するように更新して、更新後におけるカウント値が所定のクロック異常判定値に達したか否かを判定し、クロック異常判定値に達した場合には、CPU505の動作を停止状態(HALT)へ移行させ」る点と、本願補正発明の「該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に前記遊技処理の進行を不能化」する点とは、「該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に処理の進行を不能化」する点で共通する。
(k)刊行物1発明の「タイマ割込みを実行可能」であることは、処理を進行可能であることであるといえる。
よって、刊行物1発明の「内部情報データCIF4の読出値が“1”であるか否かを判定するまでは内部情報レジスタCIFのビット番号[4]が“1”にセットされても、タイマ割込みを実行可能」である点と、本願補正発明の「該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、前記遊技処理を進行可能」である点とは、「該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、処理を進行可能」である点で共通する。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 乱数値となる数値データを更新する乱数回路を内蔵し、遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D ゲームを開始させるときに操作される開始操作手段と、
を備え、
E 前記乱数回路は、前記開始操作手段が操作されたときに数値データを抽出する数値抽出手段を含み、
F 前記遊技制御手段は、
F1 数値データを更新するための乱数用クロック信号の周波数に異常が発生している場合に、特定記憶領域に該周波数に異常が発生している旨を示す特定データを設定する乱数回路監視手段と、
F2 前記乱数回路監視手段による監視対象の設定を行う乱数回路設定手段と、
F4 制御命令に従って処理を行う制御用CPUと、
を含み、
G 前記乱数回路設定手段は、前記乱数回路から数値データを抽出するタイミングよりも前に、前記乱数回路監視手段による監視に関する設定を行い、
H 前記遊技制御手段は、
H1 定期的に発生する割込要求に基づいて、スイッチ類の入力を判定する入力判定処理を含む割込処理を定期的に実行する割込処理実行手段と、
H2 スイッチ類の検出状態の変化に応じて遊技処理を段階的に進行させて実行する遊技処理実行手段と、
H3 ゲームを開始可能な状態において前記開始操作手段の操作を検出したときに、前記数値抽出手段により抽出された数値データを用いて入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
を含み、
I’ 処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、
J’ 該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に前記処理の進行を不能化し、
K’ 該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、前記処理を進行可能であるスロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本願補正発明は、「前記遊技制御手段は、」「特定値を格納する格納手段」を含み、「前記制御用CPUは、」「読み出しまたは書き込みの対象となるデータ格納領域に対応するアドレスを第1情報と第2情報とに基づいて特定可能であり、該アドレスを特定するときに、前記格納手段に格納された特定値に基づいて前記第1情報を特定するとともに、制御命令で指定された前記第2情報を特定し」、「前記遊技制御手段は、所定の更新条件が成立したときに、前記格納手段に格納されている特定値を更新可能な特定値更新手段をさらに備える」のに対して、刊行物1発明は、そのような構成を有していない点(構成F、F3、L、L1、L2)。
[相違点2]
所定契機で判定処理が実行される処理に関して、本願補正発明では「遊技処理」であるのに対し、刊行物1発明では「タイマ割込み」(処理)である点(構成I、J、K)。
(5)検討
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物2記載の事項は、上記(2)に示した、次のとおりのものである。
「主制御部300は、特定の値(7EH)を記憶するTレジスタを内蔵したCPU304を搭載し(段落【0042】、【0086】)、
CPU304が実行する「LDT A、(n:イミディエイト値)」命令は、Tレジスタを上位、イミディエイト値を下位で示すアドレスのデータをAレジスタにロードする命令であり、Tレジスタに7EHを記憶しているため、「LDT A,(40H)」命令を実行した場合、Tレジスタ(7EH)を上位、イミディエイト値(40H)を下位で示すアドレス(7E40H)のデータ、すなわち保留数記憶領域に記憶された保留数がAレジスタにロード(転送)され(段落【0259】)、
所定条件が成立している場合にはTレジスタにRWM領域の先頭アドレスの上位バイトを設定し、所定条件が成立していない場合には、Tレジスタにレジスタエリアの先頭アドレスの上位バイトを設定するように構成してもよい(段落【0087】)、
パチンコ機100(段落【0041】)。」
刊行物2記載の事項の「主制御部300」、「特定の値(7EH)」、「Tレジスタ」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技制御手段」、「特定値」、「格納手段」に対応する構成であるから、刊行物2記載の事項は、本願補正発明のF、F3に対応する構成を有している。
また、刊行物2記載の事項の「LDT A,(40H)」命令は、読み出しの対象となる記憶領域のアドレスである7E40Hを、上位をTレジスタ(7EH)で、下位をイミディエイト値(40H)を特定可能であり、上位の7EHは、Tレジスタに基づいて特定されるものといえる。そして、刊行物2記載の事項の「CPU304」、「Tレジスタ(7EH)」、「イミディエイト値(40H)」は、それぞれ、本願補正発明の「制御用CPU」、「第1情報」、「第2情報」に対応する構成であるから、刊行物2記載の事項は、本願補正発明のL、L1に対応する構成を有している。
そして、刊行物2記載の事項の「所定条件が成立している場合にはTレジスタにRWM領域の先頭アドレスの上位バイトを設定し、所定条件が成立していない場合には、Tレジスタにレジスタエリアの先頭アドレスの上位バイトを設定する」ことは、Tレジスタ(格納手段)に設定されている先頭アドレスの上位バイト(特定値)を所定の更新条件が成立したときに更新するものといえるから、刊行物2記載の事項は、本願補正発明のL2に対応する構成を有している。
刊行物1発明と刊行物2記載の事項は、共にメイン制御部を有する遊技機である点で共通するものであり、刊行物1発明におけるメイン制御部41のCPUにおいてもレジスタを備えることは自明であるといえる。
よって、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用し、特定の値(7EH)を記憶するTレジスタを内蔵したCPUを搭載するとともに、Tレジスタ(7EH)を上位、イミディエイト値(40H)を下位で示すアドレス(7E40H)で記憶領域を特定し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
刊行物3記載の事項は、上記(3)に示した、次のとおりのものである。
「MainCPU310がメイン処理を繰り返すことにより遊技が進行するスロットマシン100において(段落【0302】、【0318】、【0319】、【0332】)、
メイン処理では、スタートレバーセンサ321の状態に基づいてスタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定し、乱数取得処理を行い、ストップボタン137~139が押されることによって停止した全リール110~112の図柄の入賞判定を行うものであり(段落【0328】、【0331】)、
乱数取得処理において、内部情報レジスタのクロック信号状態ビットを参照し、クロック信号状態ビットが1にセットされているか否かを判定し、クロック信号状態ビットが1にセットされている場合には、乱数用クロックの異常による停止コマンドの出力設定をした後、処理を終了するスロットマシン100(段落【0340】、【0341】、【0342】、【0302】)。」
刊行物3記載の事項の「メイン処理」、「内部情報レジスタのクロック信号状態ビット」、「1」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技処理」、「特定記憶領域」、「特定データ」に対応する構成である。
そして、刊行物3記載の事項においては、スタートレバー135やストップボタン137~139の操作に応じてメイン処理(遊技処理)を進行させるMainCPU310(遊技処理実行手段)を有しており、当該メイン処理(遊技処理)において内部情報レジスタのクロック信号状態ビット(特定記憶領域)を参照し、クロック信号状態ビットが1(特定データ)にセットされているか否かを判定する異常判定処理を実行しているといえる。
刊行物1発明と刊行物3記載の事項とは、共に内部情報レジスタのクロック信号状態ビットを参照し、クロック信号状態ビットが1にセットされているか否かを判定する判定処理を実行する遊技機である点で共通するものである。
よって、所定契機で判定処理が実行される処理に関して、刊行物1発明における「タイマ割込み」に代えて、刊行物3記載の事項における「メイン処理」(遊技処理)で実行するように構成し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「本願発明においては、スロットマシンの稼働中の全期間に亘って乱数監視手段は乱数用クロック信号の周波数異常を監視しており、周波数異常を検出したときには特定記憶領域に異常発生を示す特定データを記憶しますが、その時点でスイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に進行させる遊技処理を停止することはありません。そのため、抽選のための乱数取得処理の後に乱数用クロック信号の周波数異常を検出しても、当該ゲームについては終了し、メダルの払出し等の処理は行われます。しかし、次のゲームが開始して遊技処理が所定契機となった段階で特定データによりクロック信号の周波数異常と判定されると遊技の進行が不能化されます。一方、引例1では、定期的に発生するタイマ割込みが発生する毎に乱数用クロック周波数異常を判定し、判定された場合には直ちにエラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されるものであり、内部情報データCIF4の読出値が“1”であると連続して判定された回数がクロック異常判定値に達するまでの極僅かな期間については一時的に遊技の処理は進行可能となるものの、遊技処理における所定契機を待つことなくゲームが不能化されてしまうこととなります。これに対し、本願発明では前述のように、周波数異常を検出した時点でスイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に進行させる遊技処理の進行を停止することはなく、次のゲームの抽選処理時などの遊技処理における好適な時点を契機として遊技処理の進行を不能化できるという格別の効果を有しています。」と主張する(第9頁第28行~第10頁第16行)。
確かに、刊行物1発明においては、「タイマ割込みが発生する毎に内部情報レジスタCIFのビット番号[4]に格納されている内部情報データCIF4を読み出し、その読出値が“1”であるか否かを判定」するものである。
しかしながら、上記イで検討したとおり、刊行物3記載の事項においては、スタートレバー135やストップボタン137~139の操作に応じてメイン処理(遊技処理)を進行させるMainCPU310(遊技処理実行手段)を有しており、当該メイン処理(遊技処理)において内部情報レジスタのクロック信号状態ビット(特定記憶領域)を参照し、クロック信号状態ビットが1(特定データ)にセットされているか否かを判定する異常判定処理を実行しているといえる。
よって、所定契機で判定処理が実行される処理に関して、刊行物1発明における「タイマ割込み」に代えて、刊行物3記載の事項における「メイン処理」(遊技処理)で実行するように構成することで、遊技処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、そのように構成することにより、本願補正発明と同様に、周波数異常を検出した時点でスイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に進行させる遊技処理の進行を停止することはなく、次のゲームの抽選処理時などの遊技処理における好適な時点を契機として遊技処理の進行を不能化できるという効果を奏するものといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。
(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、 当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び刊行物3記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年2月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
乱数値となる数値データを更新する乱数回路を内蔵し、遊技の制御を行う遊技制御手段と、
ゲームを開始させるときに操作される開始操作手段と、
を備え、
前記乱数回路は、前記開始操作手段が操作されたときに数値データを抽出する数値抽出手段を含み、
前記遊技制御手段は、
ゲームを開始可能な状態において前記開始操作手段の操作を検出したときに、前記数値抽出手段により抽出された数値データを用いて入賞の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
数値データを更新するための乱数用クロック信号の周波数に異常が発生している場合に、特定記憶領域に該周波数に異常が発生している旨を示す特定データを設定する乱数回路監視手段と、
前記乱数回路監視手段による監視対象の設定を行う乱数回路設定手段と、
特定値を格納する格納手段と、
制御命令に従って遊技の進行を制御する制御用CPUと、
を含み、
前記乱数回路設定手段は、前記乱数回路から数値データを抽出するタイミングよりも前に、前記乱数回路監視手段による監視に関する設定を行い、
前記遊技制御手段は、前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かに関わらず遊技の処理を進行可能である一方、遊技の処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に遊技の処理の進行を不能化し、
前記制御用CPUは、
読み出しまたは書き込みの対象となるデータ格納領域に対応するアドレスを第1情報と第2情報とに基づいて特定可能であり、該アドレスを特定するときに、前記格納手段に格納された特定値に基づいて前記第1情報を特定するとともに、制御命令で指定された前記第2情報を特定し、
前記遊技制御手段は、所定の更新条件が成立したときに、前記格納手段に格納されている特定値を更新可能な特定値更新手段をさらに備える
ことを特徴とするスロットマシン。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
刊行物1:特開2011-147675号公報
刊行物2:特開2012-223332号公報
3 刊行物
刊行物1、2及びその記載事項、並びに刊行物1発明及び刊行物2記載の事項は、上記「第2 3(1)」、「第2 3(2)」に記載したとおりである。
4 対比
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「制御用CPU」に関して、「処理を行う」を補正前の「遊技の進行を制御する」の記載に戻すとともに、本願補正発明を特定するために必要な事項である「遊技制御手段」に関して、「定期的に発生する割込要求に基づいて、スイッチ類の入力を判定する入力判定処理を含む割込処理を定期的に実行する割込処理実行手段と、スイッチ類の検出状態の変化に応じて遊技処理を段階的に進行させて実行する遊技処理実行手段と、」「を含み、」「前記遊技処理における所定契機で前記特定記憶領域に特定データが設定されているか否かを判定する判定処理を実行し、」「該判定処理により特定データが設定されていると判定された場合に前記遊技処理の進行を不能化し、」「該判定処理により特定データが設定されていると判定されるまでは、前記特定記憶領域に特定データが設定されていても、前記遊技処理を進行可能であり、」との限定を省くものである。
そして、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、前記「第2 3(4)」で検討した[相違点1]と同様のものになるから、前記「第2 3(5)」で検討したとおり、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-016557